ページ番号1008779 更新日 令和2年6月15日

原油市場他: OPECプラス産油国減産措置延長による世界石油需給引き締まり期待等で上昇する原油価格

レポート属性
レポートID 1008779
作成日 2020-06-15 00:00:00 +0900
更新日 2020-06-15 11:36:04 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 市場
著者 野神 隆之
著者直接入力
年度 2020
Vol
No
ページ数 31
抽出データ
地域1 グローバル
国1
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 グローバル
2020/06/15 野神 隆之
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概要

  1. 米国では、新型コロナウイルス肺炎に伴う個人の外出規制及び経済活動制限が緩和されつつあることからガソリンや留出油需要は底打ちしつつあると見られるものの、原油価格下落に伴う製油所の精製利幅の改善と石油製品生産活動の持ち直しによる各種石油製品供給増加で相殺されて余りあったことから、ガソリン及び留出油在庫は増加傾向となり、双方とも平年幅の上限を超過する量となっている。他方、ブレント原油に対するWTI原油の割安感が低下したこともあり、米国からの原油輸出が減少したことが一因となり、原油在庫は増加、週間統計史上最高水準に到達するとともに平年幅の上限を上回る状態は継続している。
  2. 2020年5月末のOECD諸国推定石油在庫量の対前月末比での増減に関しては、原油については、欧州では、原油精製処理水準が低下した一方で原油調達も減少したと見られることから、原油在庫はほぼ同水準となった。他方、米国では、国内での原油生産が減少しつつあったものの、製油所での原油精製処理活動の低迷で相殺されたことから、在庫は若干ながら増加となった。また、日本でも、製油所での春場のメンテナンス作業実施もあり原油の精製処理が進まなくなったことで、原油在庫は増加した。この結果、OECD諸国全体として原油在庫は増加したうえ、在庫量が平年幅上限を超過する状態は継続している。石油製品については、欧州では製油所の稼働低下に伴う石油製品生産活動の鈍化により供給が低迷した結果、石油製品在庫は減少となった。しかしながら、米国や日本では航空機及び産業向け石油需要の減少等により、石油製品在庫は増加した。このため、OECD諸国全体として石油製品在庫は増加したうえ、平年幅上限を超過する量となっている。
  3. 2020年5月中旬から6月中旬にかけての原油市場では、米国石油坑井掘削装置稼働数の減少に加え、OPECプラス産油国閣僚級会合を控えての主要関係国間での減産措置延長の暫定合意到達の情報に伴う石油需給引き締まり期待等により、原油相場に上方圧力が加わった結果、5月18日には1バレル当たり31.82ドルの終値であった原油価格(WTI)は上昇傾向となり、6月7日夜間から8日未明の時間外取引では一時40ドルを超過する場面が見られたが、その後は新型コロナウイルス肺炎の感染第二波に対する懸念等もあり反落、6月12日の終値は同36.26ドルとなった。
  4. 当面の市場の主な注目点は、まず、新型コロナウイルス肺炎に伴う個人の外出規制と経済活動制限の緩和に伴う感染第二波に関する動向で、これにより石油需要回復に関する市場心理とともに原油相場が左右されるものと考えられる。また、OPECプラス産油国の減産遵守状況に関する情報にも原油相場が反応することも想定される。さらに、原油価格が1バレル当たり40ドルを上回る場面も見られるほど上昇したこともあり、米国でのシェールオイル開発・生産活動が復活し始めるとの観測が市場で増大しつつあることから、この面では今後原油相場の上昇を抑制する方向で作用する可能性もある。そして、香港の国家安全法の制定を巡り米国と中国等の対立の先鋭化すれば、石油需要回復に対する市場の不安感が増大する結果、原油相場が下振れする場面が見られることもありうる。

(IEA、OPEC、米国DOE/EIA他)


1. OPEC及び一部非OPEC(OPECプラス)産油国で5~6月に実施している減産措置を1ヶ月間延長することで合意

(1) 協議内容等

2020年6月6日にOPEC産油国は総会を開催、そしてその後OPEC及び一部非OPEC(OPECプラス)産油国は閣僚級会合を開催した(どちらもテレビ会議形式で開催された)。OPECプラス産油国閣僚級会合にはエクアドル、インドネシア及びトリニダード・トバゴがオブザーバーとして参加した。2020年4月12日に開催された前回のOPECプラス産油国閣僚級会合では次回会合の開催日は6月10日とされた(またその前日の6月9日にはOPEC通常総会が開催される旨3月5日開催のOPEC臨時総会で決定されていた)が、サウジアラビアの原油公式販売価格(地域ごとの指標原油価格に対し加減する調整金)の決定が通常毎月5日であることから、実務上の支障を回避するべく、6月4日に前倒しして開催する方向で調整が行われた(OPEC議長国であるアルジェリアのアルカブ(Arkab)エネルギー相が関係各国に会合開催日の前倒しにつき書簡を発出した旨5月30日に伝えられた)が、関係国間での調整に時間を要した結果実際には6月6日の開催となった。

OPECプラス産油国閣僚級会合では、2020年全体で世界石油需要が日量900万バレル程度縮小するとの認識に基づき、前回のOPECプラス産油国閣僚級会合で決定された2020年5月1日~6月30日において日量970万バレル、及び7月1日~2020年12月31日において日量770万バレルの、それぞれ減産措置(減産の基準となる原油生産量はサウジアラビアとロシアについては日量1,100万バレル、その他の産油国は2018年10月の原油生産量)に関し、2020年7月1日~7月31日の1ヶ月間については5月1日~6月30日の減産措置を延長する旨決定した(表1参照)。また、2020年5~6月に100%の減産遵守率を達成できなかったOPECプラス減産参加産油国は、減産遵守未達成部分につき同年7~9月に既存の減産措置に追加して減産することに同意した。そして減産措置の継続は、4月に開催された前回のOPECプラス産油国会合で決定された減産措置につき、これまで減産遵守未達成であった産油国が未達成分を今後追加して減産することを含め減産を完全に遵守することを条件とするとされた。さらに、サウジアラビア(日量100万バレル)、UAE(同10万バレル)、クウェート(同8万バレル)及びオマーン(同1~1.5万バレル)が、6月において自主的に追加減産措置を実施する旨表明した。ただ、6月5日にメキシコのロペスオブラドール大統領は4月12日に開催されたOPECプラス産油国閣僚級会合で決定された5~6月の減産措置(メキシコ分は日量10万バレルであり、これは5~6月のみに適用されると6月6日に報じられる)を延長する立場にはない旨表明した他、6月6日には同国のナーレ(Nahle)エネルギー相も5~6月に実施されている自国の減産措置を7月に延長することはない旨発言、アルカブOPEC議長も7月のOPECプラス産油国の減産幅は日量960万バレル程度である旨明らかにし、4月12日に開催された前OPECプラス産油国閣僚級会合で決定された同970万バレルをメキシコの減産幅分だけ下回る旨示唆した一方で、ロシアのノバク エネルギー相は7月のOPECプラス産油国減産措置はメキシコも含め日量970万バレルとなっている旨6月6日発言するなど、OPECプラス産油国減産規模を巡っては不透明な部分も存在する。なお、原油生産が不安定なイラン、リビア及びベネズエラの各国の減産目標については、4月12日に開催されたOPECプラス産油国閣僚級会合時の声明では言及されてなかったが、今般の会合等での声明においても言及されていない。次回のOPEC総会(通常総会)は2020年11月30日に、OPECプラス閣僚級会合は12月1日に、それぞれオーストリアのウイーンで開催される予定である。そして、OPEC及び非OPEC閣僚監視委員会(JMMC: The OPEC-Non-OPEC Joint Ministerial Monitoring Committee、委員はサウジアラビア、クウェート、UAE、イラク、アルジェリア、ナイジェリア、ベネズエラ、ロシア及びカザフスタン)が、共同技術委員会(JTC: Joint Technical Committee)及びOPEC事務局による支援のもと、全般的な市場の状況、原油生産水準と減産遵守状況につき緊密に監視を行うことを確認するとともに、2020年12月までJMMCを毎月開催、そして次回JMMCを6月18日に開催する旨OPECプラス産油国閣僚級会合で決定した。

表1 OPEC及び一部非OPEC産油国減産幅


(2) 今回の会合の結果に至る経緯及び背景等

前述の通り、4月12日に前回のOPECプラス産油国臨時閣僚級会合が開催され、2020年5~6月において合計日量970万バレルの減産を実施する旨決定し、5月1日より実施した。4月のOPECプラス産油国原油生産量は、減産措置が実施される前であり、3月6日に開催された前々々回(4月12日の前回OPECプラス産油国閣僚級会合の3日前の4月9日にも閣僚級会合が開催されているため前々々回となる)のOPECプラス産油国閣僚級会合において追加減産措置に関する交渉が決裂した影響で、大幅な増加となっていた(4月のOPECプラス産油国原油生産量は2月のそれに比べ日量276万バレル(減産に参加するOPECプラス産油国のみでは同307万バレル)の増加となっていた)一方で、新型コロナウイルス肺炎の拡大により、米国(カリフォルニア州では3月19日、ニューヨーク州は3月22日に、それぞれ外出禁止令が発令されるなどしたことで個人の往来が大きく制限された)他世界各国・地域において個人の外出が規制されるとともに経済活動が制限されたことにより、ガソリンやジェット燃料といった石油需要が世界的に減少した(2020年4月の世界石油需要は1月時の見通しから日量2,480万バレル下方修正されたとの指摘もある)ことから、4月は石油供給が需要を日量2,300万バレル程度上回ったものと推定される。しかしながら、4月16日に米国のトランプ大統領が新型コロナウイルス肺炎に伴う外出規制及び経済活動制限の緩和に関する指針を発表して以降米国の諸州が一部であれ市民の外出規制及び経済活動制限を緩和した(5月20日のコネチカット州を以て米国の50州全てが部分的にではあるが規制等を緩和している)他、イタリア、スペイン、フランス及び英国といった欧州の一部諸国でも外出規制や経済活動制限が緩和される方向に動いている一方、中国では4月8日に武漢の都市封鎖が解除された後、経済が正常化に向かいつつあり、それに伴い石油需要も回復する傾向にある旨伝えられる。このような石油需要の回復に加え、5月1日にはOPECプラス産油国による減産措置の開始もあり、5月の世界石油需給バランスは供給が需要を日量1,100万バレル程度超過しているものと推定され、引き続き供給過剰ではあるものの、4月に比べれば相当程度過剰幅が縮小しているものと考えられる。新型コロナウイルス肺炎については、外出規制や経済活動制限を緩和した地域の一部では、感染が再拡大する現象も見られるが、概ね外出規制や経済活動制限を再強化することなく今日に至っていることから、感染の第二波及び第三波の到来は世界経済成長及び石油需要の伸びにとって依然としてリスクではあり続けるものの、少なくともOPECプラス産油国閣僚級会合前の時点では世界石油需要はこの先回復方向に向かうものと市場では概ね認識されていた。他方、4月12日に開催された前回のOPECプラス産油国閣僚級会合では、2020年5月1日~6月30日は日量970万バレル、2020年7月1月~12月31日は同770万バレル、2021年1月1日~2022年4月30日は同580万バレルの、それぞれ減産措置を実施する旨決定されたことから、需要回復と併せれば、世界石油需給は引き締まる方向に向かうものと市場では予想された。このようなこともあり、5月渡し原油先物契約取引期限を4月21日に控え、4月20日には一時1バレル当たりマイナス40.32ドルに到達した他、この日の終値もマイナス37.63ドルとなった原油価格(WTI)は、その後上昇傾向となり、5月下旬においては終値ベースで概ね33~35ドル程度で推移していた。しかしながら、この時点でもまだ、3月6日のOPECプラス閣僚級会合開催直後の終値である1バレル当たり41.28ドルには到達しておらず、3月6日のOPECプラス閣僚会合開催以前のサウジアラビアの財政収支均衡原油価格とされる1バレル当たり80ドル程度(WTIを基準としている)及びロシアの予算措置前提原油価格である40ドル程度(WTIを基準としているが、ブレント原油価格で42.40ドルと伝えられる)を割り込んだままとなっていた(また、3月11日にロシア エネルギー省のソローキン副大臣は原油価格の均衡点は1バレル当たり45~55ドル程度であり、この水準であれば、産油国にとっても快適であり、世界経済発展にとっても十分に低水準である旨認識している旨示唆していた)。加えて、世界石油需給は少なくとも2020年第一四半期及び第二四半期は供給過剰となったことで、この期間中は世界的に石油在庫が積み上がりつつあると見られる(18億バレル程度の石油在庫が積み上がるものと推定される)ことから、これがこの先市場関係者間での石油購買意欲を削ぐ形で作用する結果原油価格の回復を抑制する恐れがあることも予想された。このようなことから、サウジアラビアを中心とする一部OPECプラス産油国は余剰石油在庫の取り崩しを促進するとともに市場での世界石油需給の引き締まり感を増大させることを通じ原油価格の回復を加速させることを希望したと見られ、2020年5~6月に実施している減産措置を2020年末まで延長することを企図している旨5月28日に伝えられた。ただ、この直前の5月26日には、ロシアのノバク エネルギー相が同国の主要石油会社との間で会合を開催し、5~6月に実施されている減産措置を延長する(8月末までにかけての2ヶ月間の延長につき議論されていたとされる)ことにつき、石油会社から意見を聴取したが、賛成と反対が相半ばする状況であった旨この日報じられた他、その後ロシアとしては4月12日に開催された前回のOPECプラス産油国閣僚級会合で決定された7月以降の日量770万バレル程度の減産措置の実施に固執する方針である旨5月26日に報じられた。また、ロシアの最大手石油会社であるロスネフチは、原油売買に関し長期契約を締結している大口需要家に対し販売する原油が不足するとして、減産措置を6月以降延長することは困難である旨示唆したと5月28日に伝えられる。さらに、ロシアとしては、大幅な減産措置を長期間推進する結果、石油需給の引き締まり感が市場で広がることで原油価格が相当程度上昇することに伴い、米国のシェールオイルを含む原油生産量が急速に回復する結果、OPECプラス産油国の原油生産調整を以てしても制御が困難なほどの世界石油需給緩和を招くことによって原油価格が乱高下するのではないかという懸念を持っていたこともあり、5~6月に実施されている減産措置を延長することには消極的であった。この結果、この時点ではサウジアラビアを中心とする一部OPECプラス産油国が推進する、5~6月に実施されている減産措置の2020年末までの延長に対し、ロシアが賛同しないという構図が明らかとなった。

ただ、そのような中で、ロシアのプーチン大統領はサウジアラビアのムハンマド皇太子との間で電話会談を実施し、減産措置に関しさらに緊密に協力することで合意した旨、5月27日にロシア大統領府が声明を発表した。他方、OPECの議長国であるアルジェリアのアルカブ エネルギー相がOPECプラス産油国閣僚級会合を当初の6月10日開催から6月4日開催へと繰り上げることを提案した旨5月30日に報じられる一方で、ロシアはその案に対し反対していない旨5月31日に伝えられたことに加え、OPECプラス産油国間で5~6月に実施されている減産措置を1~3ヶ月(1~2ヶ月との情報もあった)延長すべく検討していると5月31日に伝えられた(この時点でサウジアラビア等は5~6月に実施している減産措置の1~3ヶ月程度の延長につき受け入れる意向を示していたことが示唆される)。また、前述の通り、ロシアとしては、大幅な原油価格の上昇は希望していなかったものの、新型コロナウイルス肺炎の再拡大により世界石油需要の回復が阻害される結果原油価格が大幅に下落する可能性も否定できないなど、不透明感が漂う中で、同国としては、5~6月に実施している減産措置を短期間実施してみることにより、世界石油需給と原油価格への影響を見極めるといった方針を採用する方向に傾いていったものと見られる。6月2日には、ロシア他一部OPECプラス産油国は5~6月に実施している減産措置に関し1ヶ月間の延長を希望している旨、そして、6月3日にはサウジアラビアとロシアは減産措置を1ヶ月間延長することにつき暫定的に合意した旨伝えられた(ただ、サウジアラビアはその後も5~6月に実施している減産措置を8月末迄継続することを主張していたと6月5日に報じられる)。

しかしながら、この合意、及び合意のための6月4日のOPECプラス産油国閣僚級会合の前倒し開催は条件付きとされた。その条件とは、足元の減産状況が芳しくない、イラクやナイジェリア等の産油国に対し、減産遵守を徹底させることであった。OPEC産油国の盟主としてこれまで高水準の減産遵守を維持してきたサウジアラビアに加え、今回の減産措置では国内の石油会社を説得し日量241万バレル程度の大幅減産措置を実現したロシアにとって、OPECプラス産油国の減産措置実施による世界石油需給均衡と原油相場の回復への努力にただ乗りするように見受けられるイラクやナイジェリアといった産油国の存在はOPECプラス産油国の結束という観点からも許容しがたいものであったと見られる。このため、サウジアラビアやロシアは遵守率の低いOPECプラス産油国に対し減産の遵守徹底に加え、これまでの減産措置における目標未達成分についても、今後追加減産を実施することで相殺するよう迫ったとされる。そしてナイジェリア等の減産遵守率の低いOPECプラス産油国に加え、6月5日にはイラクも減産遵守を約束する旨表明した(なお、ナイジェリアは、通常OPEC産油国の原油生産量には計上されないコンデンセート生産量が自国の原油生産量に含まれたことで、これが増加したことが減産遵守率の悪化に寄与したとしており、このコンデンセート生産量を従来の原油生産量から分離した後の原油生産量は原油生産目標の枠内に収まっている旨6月3日に同国石油資源省が明らかにしている)。このようなことから、OPEC総会及びOPECプラス産油国が6月6日に開催され、5~6月に実施している減産措置の1ヶ月延長を決定したものと考えられる(これに伴い当初6月5日に決定予定であったサウジアラビアの7月積みの原油公式販売価格は6月7日に決定されており、大半の油種の公式販売価格が引き上げられた旨同日明らかになっている)。なお、6月5日に米国のトランプ大統領は、サウジアラビアとロシアの支援もあって原油価格は回復し米国のエネルギー産業は短期間で救われたとしてOPECプラス産油国による減産措置に対し感謝の意を表明している。


(3) 原油価格の動き等

市場では、5~6月に実施されている減産措置の1~3ヶ月間の延長がOPECプラス産油国により検討されていることが5月31日に伝えられたことに加え、6月3日にはサウジアラビアとロシアとの間で当該減産措置を1ヶ月間延長することにつき暫定合意に到達した旨報じられたことから、当該延長による石油需給引き締まりの加速に対する期待が市場で高まったことが原油相場に上方圧力を加える方向で作用した結果、原油価格の終値は6月1日の1バレル当たり35.44ドルから6月5日には同39.55ドルへと上昇傾向を示した。また、今般のOPECプラス産油国閣僚級会合での減産措置の1ヶ月間の延長決定による世界石油需給の一層の引き締まりに対する条件反射的反応で、OPECプラス産油国閣僚級会合開催後の6月7日夜間から8日未明(米国東部時間)の市場では、原油価格が40ドルを超過する場面が見られた。しかしながら、市場では予め5~6月に実施している減産措置の1ヶ月間延長に対する認識が織り込まれてしまっていた一方で、実際にOPECプラス産油国閣僚級会合でも同様の措置が決定されるなど、市場の事前予想を上回るものではなったこともあり、OPECプラス産油国閣僚級会合を巡る石油需給引き締まり期待に関する材料は出尽くし感が強まったことにより、時間の経過とともに利益確定の動きが強まってきたことに加え、これまで減産目標が未達成となっているイラク等の産油国が減産遵守を強化する意向である旨伝えられはするものの、これまでの実績からするとこれらの産油国が今後減産遵守を徹底したうえでこれまでの減産目標未達成分まで追加して減産することに対し市場では懐疑的な見方が根強かったこと、サウジアラビア等が実施している日量118万バレルの自主的な追加減産措置を6月末で終了する旨この日サウジアラビアのアブドルアジズ エネルギー相が示唆したことで、世界石油需給引き締まり加速に対する市場の期待が後退したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり38.19ドルと前週末終値比で1.36ドル下落した。


2. 原油市場を巡るファンダメンタルズ等

2020年3月の米国ガソリン需要(確定値)は日量778万バレルと前年同月比で15.2%程度の減少となり(図1参照)、速報値(前年同月比で12.5%程度減少の日量803万バレル)から下方修正された。新型コロナウイルス肺炎の拡大により、カリフォルニア州では3月19日、ニューヨーク州は3月22日に、それぞれ外出禁止令が発令されるなどしたことで個人の往来が大きく制限されたことに伴い、自動車での移動が大幅に鈍化したことが、ガソリン需要に大きく影響したものと考えられる。また、新型コロナウイルス肺炎に伴う経済活動の制限により、3月の同国農業部門雇用者数が前月比で137.3万人の大幅減少となるなどした一方で、3月27日には米国のトランプ大統領が署名し成立した経済対策法に基づき大半の成人が1人当たり1,200ドル、未成年(17歳未満)が1人当たり500ドルの現金給付が実施されることになったが、実際に現金が給付されたのは4月に入ってからであったことから、3月の米国の1人当たり実質可処分所得は前年同月比で0.2%低下したことが、同月のガソリン需要の減少に反映されている。また、2020年5月の同国ガソリン需要(速報値)は日量731万バレル、前年同月比で22.2%程度の減少となったものの、4月の同国ガソリン需要(速報値)である日量569万バレル、前年同月比で38.0%程度の減少からは減少幅が縮小している。4月16日に米国のトランプ大統領が米国民の外出規制緩和と経済活動再開への指針を発表したことで、同国では外出規制と経済活動制限の緩和が実施されている(5月20日のコネチカット州を以て米国の全50州で部分的であれ個人の外出規制及び経済活動制限が緩和されている)ことから、多少なりとも往来が活発化していると見られるものの、依然として新型コロナウイルス肺炎に伴う個人の外出規制及び経済活動制限以前の状態には戻っていないことが、5月のガソリン需要を抑制しているものと考えられる。他方、新型コロナウイルス肺炎に伴う個人の外出規制及び経済活動の制限の強化に伴う石油需要の不振により概ね3月中旬から4月上旬にかけ米国製油所の精製利幅が低迷したことから、3月下旬以降同国製油所の一部で稼働が低下するとともに石油製品生産活動が抑制される事例が目立ってきたが、4月初旬を底として同国のガソリン需要が回復傾向を示した一方で、4月中旬にかけて原油価格が大幅に下落したことにより、製油所の精製利幅が改善したことから、5月8日の週以降製油所での原油精製処理量が上向き気味に推移する(図2参照)とともにガソリンを含めた石油製品の生産活動が持ち直した(ガソリン最終製品生産量は図3参照)ものの、それに伴うガソリン供給の伸びに需要の伸びが追い付かなかったと見られる結果、5月上旬から6月上旬にかけての同国のガソリン在庫水準は上昇傾向を示した他、平年幅上限を超過する状態は維持されている(図4参照)。

図1 米国ガソリン需要の伸び(2006~20年)

図2 米国の原油精製処理量(2009~20年)

図3 米国ガソリン(最終製品)生産量(2009~20年)

図4 米国ガソリン在庫推移(2003~20年)

2020年3月の同国留出油(軽油及び暖房油)需要(確定値)は日量391万バレルと前年同月比で5.8%程度の減少となり、速報値である日量397万バレル(同4.5%程度の減少)から下方修正されている(図5参照)。同月の同国からの留出油輸出量が速報値段階では日量139万バレル程度と推定されるところ、確定値では同146万バレルへと日量7万バレル程度上方修正されたことで、この分が留出油需要の速報値から確定値への移行段階で国内需要から輸出に振り替えられたことが、当該需要の下方修正の一因になっているものと見られる。また、新型コロナウイルス肺炎拡大に伴う経済活動制限により同月の米国の鉱工業生産が前年同月比で4.3%の減少となった(因みに2019年3月のそれは同2.3%程度の増加であった)こともあり、同月の同国の物流活動も前年同月比で1.9%の減少となった(因みに2019年3月の同国物流活動は前年同月比で1.8%の増加であった)ことに加え、2020年3月は同国北東部が前年同月に比べ相対的に温暖であったことから、当該地域で暖房用に利用されている留出油の需要が抑制されたと見られることが、同月の米国の留出油需要の前年同月比での相当程度の減少に寄与しているものと考えられる。また、2020年5月の留出油需要(速報値)は日量336万バレルと前年同月比で16.8%程度の減少となった。新型コロナウイルス肺炎に伴う米国での経済活動制限は4月後半以降の緩和されているものの、なお、経済活動制限以前の状態には戻っていないことが5月の当該需要を抑制しているものと考えられる。一方で、精製利幅改善に伴い製油所の稼働が上昇したことから石油製品生産活動が上向いたことに加え、空路での往来が極度に落ち込んだことで航空機向け需要が大幅に減少していることにより生産が絞り込まれたジェット燃料に代わりに、相対的に精製利幅が良好であった留出油の生産(ジェット燃料と品質が比較的類似していることもあり製造上の転換が比較的容易であるとされる)が相対的に維持された(図6参照)ことから、5月上旬から6月上旬にかけて同国の留出油在庫は増加傾向となり、6月6日時点の当該製品在庫量は1.758億バレルと2010年8月20日(このときは1.760億バレル)以来の高水準に到達した他、平年幅の上限を超過する状態は続いている(図7参照)。

図5 米国留出油需要の伸び(2006~20年)

図6 米国の留出油生産量(2009~20年)

図7 米国留出油在庫推移(2003~20年)

2020年3月の米国石油需要(確定値)は、前年同月比で9.4%程度減少の日量1,828万バレルとなった(図8参照)。ガソリン、ジェット燃料、留出油及び重油等幅広く石油製品の需要が前年同月の水準を相当程度下回ったことが同月の石油需要に反映されている。また、ガソリンに加え、その他の石油製品需要が速報値(日量436万バレル)から確定値(同390万バレル)に移行する段階で下方修正されたことが一因となり、当該需要も速報値(日量1,912万バレル、前年同月比5.3%程度の減少)から下方修正されている。他方、2020年5月の米国石油需要(速報値)は、日量1,625万バレルと前年同月比で19.7%程度の減少と、4月(同26.7%程度の減少)と比較すると減少幅が縮小しているが、なお、新型コロナウイルス肺炎による個人の外出規制及び経済活動制限の影響が残る格好となっていることから、ガソリン、ジェット燃料及び留出油等幅広く需要が不振であることが石油需要に影響を及ぼしているものと見られる。他方、4月12日にOPECプラス産油国で日量970万バレル程度の減産措置の実施が決定したことが、米国に比べ相対的に中東産油国に距離の近い欧州市場の指標であるブレント原油価格に上方圧力を加えた一方で、当時米国では原油生産量が十分に減少しておらず、米国原油(WTI)先物受け渡し地点である同国オクラホマ州クッシングでの原油在庫が大幅に増加しつつあったことにより、当該地点での余剰原油貯蔵能力の消滅に対する懸念が市場で広がっていたことがWTI原油価格に下方圧力を加えたことから、ブレント原油に対するWTI原油の割安感が強まったこともあり、概ね4月中旬から5月中旬にかけ同国からの原油輸出が高水準に到達したものの、米国の原油生産量が減少し続けた(当該生産量は4月17日の週には日量1,220万バレルであったが、6月5日の週には同1,110万バレルへと減少している)一方で米国製油所の原油精製処理活動が持ち直したことから、かえってクッシングの原油在庫が減少傾向を示し始めたことで、WTI原油価格に上方圧力が加わった結果、ブレント原油に対するWTI原油の割安感が縮小したこともあり、米国からの原油輸出が減少したことが一因となり、5月上旬から6月上旬にかけては米国の原油在庫は増加傾向となり、6月5日には5.38億バレルと1982年後半以降の米国原油在庫統計史上最高水準に到達した他、平年幅上限を上回る状態は続いている(図9参照)。そして、原油、ガソリン及び留出油在庫が平年幅上限を上回っていることから、原油とガソリンを合計した在庫、そして原油、ガソリン及び留出油を合計した在庫は、いずれも平年幅上限を超過する状態となっている(図10及び11参照)。

図8 米国石油需要の伸び(2006~20年)

図9 米国原油在庫推移(2003~20年)

図10 米国原油+ガソリン在庫推移(2003~20年)

図11 米国原油+ガソリン+留出油在庫推移(2003~20年)

2020年5月末のOECD諸国推定石油在庫量の対前月末比での増減に関しては、原油については、欧州では、複数の製油所で春場のメンテナンス作業が実施されたことに加え、新型コロナウイルス肺炎感染拡大により人材確保が困難になったと見られることに伴い操業削減が行われた製油所もあったことから、原油精製処理水準が低下したものの、原油の調達も併せて減少したと見られることから、原油在庫はほぼ同水準となった。他方、米国では、国内での原油生産が減少しつつあったものの、製油所での原油精製処理活動の低迷で相殺されたことから、在庫は若干ながら増加となった。また、日本でも、複数の製油所が春場のメンテナンス作業を実施したこともあり原油の精製処理が進まなくなったことで、原油在庫は増加した。この結果、OECD諸国全体として原油在庫は増加したうえ、在庫量が平年幅上限を超過する状態は継続している(図12参照)。石油製品については、欧州では製油所の稼働低下に伴う石油製品生産活動の鈍化により供給が低迷した結果、中間留分やガソリンを中心として石油製品在庫は減少となった。しかしながら、米国や日本では新型コロナウイルス肺炎に伴う空路での往来の大幅鈍化による航空機向け需要の減少に加え経済活動制限に伴う産業向け需要の低迷(さらに日本の場合冬場の暖房シーズンの終了に伴う暖房向け灯油需要の低迷)等により、灯油及び軽油を中心として石油製品在庫が増加した。このため、OECD諸国全体として石油製品在庫は増加したうえ、平年幅上限を超過する量となっている(図13参照)。そして、原油及び石油製品在庫が平年幅上限を上回っていることから、原油と石油製品を合計した在庫も平年幅上限を超過する状態となっている(図14参照)。なお、2020年5月末時点のOECD諸国推定石油在庫日数は73.8日と4月末の推定在庫日数(79.1日)から減少している。

図12 OPEC諸国原油在庫推移(2005~20年)

図13 OPEC諸国石油製品在庫推移(2005~20年)

図14 OPEC諸国石油在庫(原油+石油製品)推移(2005~20年)

5月13日に1,500万バレル台前半程度であったシンガポールでのガソリン等の軽質留分在庫は、5月20日も1,500万バレル台前半程度の量であった。5月27日には1,400万バレル台前半程度の水準へと低下したものの、6月3日には1,500万バレル台後半程度の量へと増加した。ただ6月10日には1,500万バレル台前半の量へと減少した結果、5月13日とほぼ同水準となっている。新型コロナウイルス肺炎感染例が増大しつつあった欧州諸国で3月に個人の外出制限等の規制が強化された他、同月米国でも主要各州で個人の外出禁止令が発令されるなどしたことから、欧州での域内及び米国向けガソリン需要が減少するとの観測が市場で広がったこともあり、欧州のガソリン価格が下落した結果、アジアのガソリン価格(他方中国が2月10日以降経済活動制限を緩和し始めたことから石油需要回復への期待が市場で発生したこともありアジア市場でのガソリン価格は比較的維持されていた)が欧州のそれを上回る状態が顕著になったことから、欧州方面からアジアに向けガソリンが流入したことが、シンガポールでの軽質留分在庫を増加させる方向で作用した反面、アジア諸国での製油所における春場のメンテナンス作業の実施に伴うシンガポールへの石油製品供給減少に加え、新型コロナウイルス肺炎感染沈静化後経済活動を再開させつつあった中国がシンガポールからガソリンを輸入する場面が見られたことが、シンガポールでの軽質留分在庫を抑制する格好となったことから、当該在庫水準は上下に変動しながらも比較的限られた範囲で推移した。他方、アジア諸国での新型コロナウイルス肺炎に伴う外出規制の緩和の動きに伴いガソリン需要が回復するとの観測が市場で増大し続けていることに加え、米国での新型コロナウイルス肺炎に伴う外出規制の緩和の進展によりガソリン需要が持ち直し始めたことで欧米諸国でのガソリン価格が回復しつつあることがアジア市場でのガソリン価格に上方圧力を加えたことから、依然として当該価格はドバイ原油価格を下回る状態ではあったものの、その差は縮小しつつある。

ナフサについても、欧米諸国での新型コロナウイルス肺炎に伴う外出規制の緩和によるガソリン需要回復傾向でガソリンに混入するナフサの需要が拡大しつつあることに加え、中東でも、サウジアラビアのラス・タヌラ製油所(操業者:サウジアラムコ、原油精製処理能力日量55万バレル)がメンテナンス作業の実施に伴い操業を停止することにより、これら地域からアジアに向けたナフサ供給が減少するとの観測が市場で拡大したうえ、アジアの一部諸国でも製油所で装置不具合が発生したことにより、ナフサを含めた石油製品の供給に支障が生じるとの見方が市場で増大したことに加え、アジア諸国での石油化学製品製造のための原料としてナフサ需要は比較的堅調に推移していたとことから、当該製品需給の引き締まり感が市場で広がった結果、依然としてナフサ価格はドバイ原油価格のそれを下回ってはいたものの、価格差は縮小する傾向を示している。

5月13日には1,400万バレル台前半程度の量であったシンガポールの中間留分在庫は、5月20日もほぼ同水準であった。5月27日には1,500万バレル弱の量へと増加した後6月3日には1,400万バレル台後半程度の量へと減少、6月10日も1,400万バレル台後半程度の量ではあったが前週からは増加となるなど、当該製品在庫は、若干ではあるが増加傾向となっている。アジア諸国での製油所の春場のメンテナンス作業実施等により石油製品生産が抑制された反面、緩和されつつあるとはいえ、アジア諸国での新型コロナウイルス肺炎に伴う経済活動の制限は継続していたことや、空路での往来が低迷したままとなっていることが軽油やジェット燃料の需要に影響を与えたことが、在庫増減の背景にあるものと考えられる。ただ、アジア諸国では、新型コロナウイルス肺炎に伴う経済活動の制限がさらに緩和される方向であることから、軽油需要回復に対する期待が市場で増大してきていることがアジア市場での軽油価格に上方圧力を加えた結果、軽油とドバイ原油との価格差(この場合軽油価格がドバイ原油のそれを上回っている)は拡大する傾向が見られる。

5月13日には2,500万バレル弱程度の水準であったシンガポールの重油在庫(高硫黄のものが中心と見られる)は、5月20日には2,600万バレル台前半程度の水準の量へと相当程度増加した。しかしながら、5月27日には2,500万バレル半ば程度の水準へと低下した後、6月3日は2,500万バレル台後半程度の量へと若干ながら増加、そして、6月10日の当該在庫も6月3日とほぼ同水準となっている。アジア、中東、及び欧米諸国の製油所が、新型コロナウイルス肺炎に伴う外出規制及び経済活動制限の強化に伴う石油需要不振による精製利幅の縮小で操業を削減したり、メンテナンス作業を実施したりしたことにより、稼働を低下した結果、重油の生産が鈍化したことから、それら諸国からシンガポールへの当該製品供給が減少したものの、新型コロナウイルス肺炎に伴う経済活動の制限により、海上輸送活動が鈍化したこともあり、船舶用重油需要が低迷したことで相殺されて余りあったことから、シンガポールでの重油在庫が多少なりとも増加したものと見られる。ただ、新型コロナウイルス肺炎に伴う経済活動の制限緩和に伴い、国際貿易が相対的に活発化することにより船舶用重油需要が持ち直すと見られることに加え、中東では夏場の空調向けの電力供給のための発電用重油需要が盛り上がる時期に差し掛かってきていることもあり、重油需給の引き締まり感が市場で意識されていることから、例えば、シンガポールでの高硫黄重油とドバイ原油の価格差(高硫黄重油価格がドバイ原油のそれを下回っている)は縮小する傾向を示している。


3. 2020年5月中旬から6月中旬にかけての原油市場等の状況

2020年5月中旬から6月中旬にかけての原油市場では、中国石油需要回復に関する報道、米国政府の景気刺激策実施方針発表等による石油需要増加観測、及び米国石油坑井掘削装置稼働数の減少に加え、OPECプラス産油国閣僚級会合を控えての主要関係国間での減産措置延長の暫定合意到達の情報に伴う石油需給引き締まり期待等により、原油相場に上方圧力が加わった結果、5月18日には1バレル当たり31.82ドルの終値であった原油価格(WTI)は上昇傾向となり、6月7日夜間から8日未明の時間外取引では一時40ドルを超過する場面が見られたが、その後は新型コロナウイルス肺炎の感染第二波に対する懸念等もあり反落、6月12日の終値は同36.26ドルとなった(図15参照)。

図15 原油価格の推移(2003~20年)

5月18日には、足元の中国石油需要が日量1,300万バレルに到達し2019年12月の日量1,370万バレルを若干下回る水準にまで回復した旨この日報じられたことに加え、OPECプラス産油国の原油輸出量(海上輸送分)が過去1ヶ月間で日量630万バレル減少した旨石油市場調査会社ケプラー(Kpler)が報告した他、石油市場調査会社ペトロロジスティックス(Petro-Logistics)も、5月1~13日の期間のOPECプラス産油国の原油輸出量が4月との比較で日量596万バレル減少した旨報告したと5月18日に報じられたことで、OPECプラス産油国の減産が順調に行われつつあることを市場が意識したこと、初期の小規模臨床試験で新型コロナウイルスから防御するための免疫を体内で生産する潜在性を示す等の有望な結果が得られた旨5月18日に米国バイオテクノロジー会社モデルナが発表したことで、新型コロナウイルス肺炎拡大と世界経済に対する影響に関する市場の懸念が後退したこともあり、米国株式相場が上昇したことから、この日の原油価格は前週末終値比で1バレル当たり2.39ドル上昇し、終値は31.82ドルとなった。また、5月19日も、この日のNYMEXの6月渡し原油先物契約の取引期限を控えた持ち高調整が市場で発生したことに加え、この日米国のムニューシン財務長官が、米国議会上院銀行委員会の公聴会での証言で4月3日より実施している同国中小企業融資制度である給与保障プログラム(PPP: Paycheck Protection Program)の延長を検討している旨明らかにしたことで、米国経済成長と石油需要の回復に対する期待が市場で増大したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり32.50ドルと前日終値比で0.68ドル上昇した(なお、この日を以てNYMEXの2020年6月渡し原油先物契約は取引を終了したが、2020年7月渡し原油先物価格のこの日の終値は1バレル当たり31.96ドル(前日終値比0.31ドルの上昇)であった)。5月20日も、この日米国エネルギー省(EIA)から発表された同国石油統計(5月15日の週分)で原油在庫が前週比で498万バレルの減少と市場の事前予想(同120~240万バレル程度の増加)に反し減少していた他、米国オクラホマ州クッシングの原油在庫が同559万バレル減少していた旨判明したことから、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり0.99ドル上昇し、終値は33.49ドルとなった。5月21日も、5月20日にEIAから発表された米国石油統計で原油在庫が市場の事前予想に反し減少していた他クッシングの原油在庫が減少していた旨判明した流れを引き継いだことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり33.92ドルと前日終値比で0.43ドル上昇した。この結果原油価格は5月18~21日の4日間で併せて1バレル当たり4.49ドルの上昇となった。ただ、5月22日には、この日開会した中国全国人民代表会議(全人代)(5月28日まで開催)の政府活動報告(所信表明演説)で李克強首相が2020年の同国の経済成長目標を示さなかったことで、同国の経済成長と石油需要の伸びに対する不安感が市場で発生したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり33.25ドルと前日終値比で0.67ドル下落した。

5月25日は、米国戦没将兵追悼記念日(メモリアルデー)の休日に伴い終値は計上されなかったが、この日国際エネルギー機関(IEA)のビロル事務局長が、政府による政策の欠如、持続的な経済回復、及び低原油価格により、世界石油需要はこの先新型コロナウイルス肺炎の拡大による石油需要の落ち込み前の水準を超過する可能性がある旨主張したことに加え、ロシアがOPECプラス産油国による減産措置に基づく自国の減産目標に到達した旨同国のノバク エネルギー相が発言した他、6~7月には世界石油需給が再均衡するとロシアエネルギー省が予想している旨明らかにしたと5月25日に報じられたことから、この日の原油価格は前週末終値比で1バレル当たり1.10ドル上昇し、終値は34.35ドルとなった。しかしながら、香港はもはや中国からの高度な政治的自治が認められず、従って香港は1997年7月1日の中国への返還以前と同様の、米国法に基づく優遇措置を適用し続けることは困難である旨公式に判断し米国議会に通知した旨5月27日に米国のポンペオ国務長官が声明を発表したことで、今後米国と中国との対立が先鋭化するとともに両国等の経済成長及び石油需要の伸びが影響を受けるのではないかとの懸念が市場で発生したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり32.81ドルと前日終値比で1.54ドル下落した。それでも、5月28日には、この日EIAから発表された米国石油統計(5月22日の週分)で、クッシングの原油在庫が前週比で340万バレル減少したことに加え、ガソリン需要が前週比で日量46万バレル増加するとともにガソリン在庫が前週比で72万バレルの減少と市場の事前予想(同100万バレル程度の減少~15万バレル程度の増加)の一部に反し減少している旨判明したことから、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり0.90ドル上昇し、終値は33.71ドルとなった。5月29日も、この日米国石油サービス会社ベーカー・ヒュージズ(Baker Hughes)から発表された同国石油坑井掘削装置稼働数が同日時点で222基と前週比で15基減少(同国石油水平坑井掘削装置稼働数は同日時点で219基と同14基減少)していた旨判明したことに加え、5月29日に中国の全人代において香港への国家安全法制導入を採択したことに対し、米国のトランプ大統領が米国と中国との貿易問題を巡る第一段階の合意を破棄する意向はない旨5月29日に報じられたことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり35.49ドルと前日終値比で1.78ドル上昇した。この結果原油価格は5月28~29日の2日間で併せて1バレル当たり2.68ドルの上昇となった。

他方、5月28日の中国全人代で香港への国家安全法制導入を採択したことに対し、5月29日に米国のトランプ大統領が貿易面等での香港への優遇措置の付与を撤廃する旨表明したことを受け、中国政府が米国からの大豆等農産物購入の一部を停止するよう同国主要国有農産物輸入会社に対し要請した旨6月1日に報じられたことにより、両国間の対立の先鋭化と両国等の経済成長及び石油需要の伸びに対する懸念が市場で増大したことが原油相場に下方圧力を加えた一方で、OPEC議長国であるアルジェリアのアルカブ エネルギー相が、従来6月9日に開催予定であったOPEC総会及び6月10日に開催予定であったOPECプラス産油国閣僚級会合を、6月4日に前倒しして開催する方針である旨の書簡をOPECプラス産油国に向け発出したと5月30日に報じられたことに対し、ロシアは当該日程での開催に反対しない旨5月31日に伝えられた他、ロシアを含むOPECプラス産油国は現行の日量970万バレル程度の減産措置を7~8月においても実施する方向で協議中である旨6月1日に報じられたことで、世界石油需給の引き締まり加速に対する市場の期待が増大したことが原油相場に上方圧力を加えたことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり35.44ドルと前週末終値比で0.05ドルの下落にとどまった。しかしながら、6月2日には、OPECプラス産油国が5~6月に実施している日量970万バレル程度の減産措置に関し、ロシアを含め一部のOPEC産油国が1ヶ月間の延長を希望しており、当該案に対するOPECプラス産油国間での合意が形成されつつある旨この日伝えられたことにより、世界石油需給引き締まり加速に対する期待が市場で増大したことから、6月2日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり1.37ドル上昇し、終値は36.81ドルとなった。6月3日も、サウジアラビアとロシアがOPECプラス産油国による日量970万バレル程度の減産を7月も実施することで暫定的に合意した旨この日報じられたことで、世界石油需給引き締まりの加速に対する期待が市場で拡大したことに加え、6月3日にEIAから発表された米国石油統計(5月29日の週分)で原油在庫が前週比で208万バレルの減少と市場の事前予想(同300~350万バレル程度の増加)に反し減少している他、クッシングの原油在庫も前週比で174万バレル減少している旨判明したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり37.29ドルと前日終値比で0.48ドル上昇した。また、6月4日も、OPECプラス産油国による日量970万バレル程度の減産措置の1ヶ月間延長の条件となっている、イラク他減産遵守状況の芳しくない産油国による減産遵守改善の約束を巡る関係国間での協議の進捗を巡り、持ち高調整が市場で発生したことから、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり0.12ドル上昇し、終値は37.41ドルとなった。さらに、6月5日には、OPECプラス産油国閣僚級会合が6月6日に開催される方向である旨この日報じられたことで、日量970万バレル程度の減産措置の延長決定に対する期待が市場で増大したうえ、6月5日に米国労働省から発表された5月の同国非農業部門雇用者数が前月比で250万人の増加と市場の事前予想(同750~800万人程度の減少)に反し増加していたことに加え、失業率が13.3%と4月の14.7%から低下した他市場の事前予想(19.0~19.8%)を下回ったこともあり、米国株式相場が上昇したこと、6月5日にベーカー・ヒュージズから発表された米国石油坑井掘削装置稼働数が同日時点で206基と前週比で16基減少(同国石油水平坑井掘削装置稼働数は同日時点で204基と同15基減少)していた旨判明したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり39.55ドルと前日終値比で2.14ドル上昇した。この結果原油価格は6月2~5日の4日間で併せて1バレル当たり4.11ドルの上昇となった。

ただ、6月6日に開催されたOPECプラス産油国閣僚級会合において、5~6月に実施されている減産措置の1ヶ月間の延長が決定したものの、既に事前に市場で予想されていた減産規模を上回ったわけではないこともあり、これまでの原油価格上昇に対する利益確定が発生したことに加え、OPECプラス産油国閣僚級会合で、イラク等これまでの減産遵守未達成産油国に対しこれまでの未達成分につき今後既存の減産目標に追加して減産を実施する旨決定したものの、当該方策に対する懐疑的な見方が市場で発生したこと、世界石油需要の回復が示唆されており目的が達成されたとしてサウジアラビア等が現在実施している日量118万バレルの自主的な追加減産措置を6月で終了する旨6月8日にサウジアラビアのアブドルアジズ エネルギー相が示唆したことで、世界石油需給引き締まり加速に対する市場の期待が後退したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり38.19ドルと前週末終値比で1.36ドル下落した。しかしながら、6月10日にEIAから発表される予定である米国石油統計(6月5日の週分)で、原油在庫が減少しているとの観測が6月9日の市場で発生したことに加え、6月7日に操業を再開したリビアのシャララ油田(停止前の原油生産量は日量約30万バレルであったが、原油出荷のためのパイプラインを武装勢力が停止したことから、2020年1月19日により事実上操業停止)につき、武装勢力が油田関連施設を占拠したことにより、6月9日にリビア国営石油会社NOCが当該油田で生産される原油の出荷に関し不可抗力条項の適用を宣言したこと、イラク国営石油販売公社SOMO(State Organization of Marketing of Oil)が、顧客に対し契約に従って6~7月に売買する原油につき引き取りを行わないようにすべく検討できるかどうか打診している旨6月9日に伝えられたことで、OPECプラス産油国による減産措置におけるイラクの遵守強化に対する期待が市場で増大したことから、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり0.75ドル上昇し、終値は38.94ドルとなった。また、6月10日も、この日EIAから発表された米国石油統計でガソリン及び留出油需要が前週比でそれぞれ日量35万バレル及び同58万バレル増加している旨判明した他、留出油在庫が前週比で157万バレルの増加と市場の事前予想(同150~350万バレル程度の増加)の一部ほど増加していなかったことで、この先の米国石油需要回復と石油需給引き締まり期待が市場で増大したことに加え、6月10日に開催された米国連邦公開市場委員会(FOMC)で、2022年まで政策金利を0.00~0.25%近辺で据え置く方針を示唆したことで、米ドルが下落したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり39.60ドルと前日終値比で0.66ドル上昇した。この結果原油価格は6月9~10日の2日間で併せて1バレル当たり1.41ドル上昇した。しかしながら、6月10日にEIAから発表された米国石油統計で原油在庫が前週比で572万バレルの増加と市場の事前予想(同170~320万バレルの減少)に反し増加していた他、原油在庫量が3.58億バレルと1982年後半以降の米国原油在庫統計史上最高水準に到達した旨判明した流れを6月11日の市場が引き継いだことに加え、米国の新型コロナウイルス肺炎感染者が200万人を突破した旨6月10日夜(米国東部時間)に報じられた他、個人の外出規制及び経済活動制限の緩和を実施した同国の一部の州で感染者が拡大傾向を示すなどしたことで、感染第二波の到来の兆候が意識されたこともあり、米国株式相場が下落したことから、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり3.26ドル下落し、終値は36.34ドルとなった。また、6月12日には、米国を含む世界各国・地域における新型コロナウイルス肺炎の感染第二波に関する懸念が市場で増大しつつある流れを引き継いだことが原油相場に下方圧力を加えたものの、この日ベーカー・ヒュージズから発表された米国石油坑井掘削装置稼働数が同日時点で199基と前週比で7基減少(同国石油水平坑井掘削装置稼働数は同日時点で196基と同8基減少)していた旨判明したことに加え、6月11日の大幅下落に対して値頃感から買い戻しの動きが発生したことで米国株式相場が上昇したことが、原油相場に上方圧力を加えたことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり36.26ドルと前日終値比で0.08ドル下落にとどまった。


4. 原油市場における主な注目点等

地政学的リスク要因面ではいくつかの動きが見られる。2018年7月にイランの最高指導者ハメネイ師を侮辱した罪で2019年にイランの裁判所により10年間の禁固刑の判決が下された米海軍退役軍人であるマイケル・ホワイト氏が釈放された(同氏は出国し米国に向かったとされる)旨6月4日に米国のトランプ大統領が発表した。他方、米国の対イラン制裁に違反したとして有罪とされた、米国とイランの二重国籍を保有するマジッド・タヘリ氏に対し同氏のイラン訪問が承認された旨6月4日に報じられる。このように最近両国では対立の先鋭化とは反対方向の動きが見られてはいるものの、5月19日に、米国財務省は、制裁対象となっているイランのマハン航空の代理店業務を行っている中国の上海の企業に対し、米国内資産凍結と米国人との取引禁止を内容とする制裁を発動した。また、2019年11月15日以降発生したイラン政府に対するガソリン価格引き上げに対するデモ活動を武力で鎮圧するよう指示した結果、一部のデモ参加者が殺害されるなど人権が侵害されたとして、5月20日に米国財務省はイランのラハマニファズリ内相にも同様の制裁を発動した。他方、ペルシャ湾において米軍艦船から100メートル以内の範囲に進入した場合には合法的に自衛措置を実施するための脅威の対象と見做す旨当該地域の船舶に対し米海軍が警告したと5月19日に報じられる。また、5月27日に米国のポンペオ国務長官は、対イラン制裁猶予策の一部である、同国西部アラクにある重水炉でのプルトニウム産出を困難にするための施設改修作業や、テヘランの研究用原子炉で使用される濃縮ウランの供給、及び原子力発電で使用された核燃料の国外搬送等を制裁対象とする(60日間の猶予期間付き)旨表明した。さらに、イラン原子力機構の幹部2名につきウラン濃縮のための遠心分離機の研究・開発に関与していたとして制裁を発動した(他方、イラン南部のブシェール原子力発電においてロシアの支援により進められている新規原子炉建設工事については、90日間制裁猶予期間を延長する旨発表した)。また、6月5日に取り纏められた国際原子力機関(IAEA)の報告書によれば、核兵器の開発が実施されていたと疑われているイラン国内の3施設に関しイランがIAEAからの質問に回答しないうえ、うち2施設についての査察を認めない状態がここ数ヶ月間継続しているとして、深い懸念を表明していることに加え、低濃縮ウラン貯蔵量が1,571.6キログラムと2015年7月14日にイランと西側諸国等との間で締結された核合意で規定されている202.8キログラムの貯蔵上限を相当程度上回っている他、2月19日時点での1,020.9キログラムからも貯蔵量が増加している旨明らかにしている。このように、米国とイランとの対立は継続しており、今後新型コロナウイルス肺炎に伴う外出規制と経済活動制限の緩和が進むにつれ、また、11月の米国大統領選挙を控えるにつれ、米国とイランとが対立する局面が目立つようになることで、原油相場に上方圧力が加わる場面が見られる可能性も否定できない。

5月27日にベネズエラの最高裁判所はグアイド国会議長の議長としての正当性を否定し、汚職疑惑で野党勢力から追放されたパラ氏を正当な議長として承認したが、野党はこの決定に反発している。また、米国政府は、ベネズエラと取引したと見られる(最低40隻程度とされる)外国籍タンカーに制裁を科するべく検討しており、近日中にその一部を発表する予定である旨6月5日に伝えられる。このようなこともあり、ベネズエラに石油を輸送しつつあったタンカーが仕向け地を変更したり、ベネズエラ周辺海域から離れつつあったりする旨6月9日に伝えられる。そして、ベネズエラ産原油輸出上の支障の増大から、同国西部のマラカイボ湖近辺に位置するラグニラス(Lagunillas)及びバチャクエロ(Bachaquero)の両油田は操業を停止する予定である旨6月11日に伝えられる。このようにベネズエラについても、米国が制裁をさらに強化する可能性があり、米国とベネズエラとの間での対立が高まるとともに、ベネズエラでの政情不安と当該地域からの原油供給のさらなる低下への懸念から原油相場を下支えするといった展開もありうる。

ここ最近リビアでは、西部の首都トリポリを拠点とする国民合意政府(GNA: Government of National Accord)(国連及びトルコ等が支援)が、東部トブルクを拠点とする暫定議会を支援する、ハフタル将軍を指導者とするリビア国民軍(LNA: Libya National Army)(エジプトやUAE等が支援)の支配していた同国北西部やトリポリ近郊の軍事拠点を奪還しつつあると伝えられており、6月4日にはトリポリ周辺地域全体を制圧した旨明らかにしている。6月6日にはエジプトのシシ大統領が6月8日からの停戦を提案、LNAの指導者であるハフタル将軍は受諾した。しかしながら、GNAはLNAが拠点としている同国中部の都市シルテ(Sirte)の掌握に向け進軍しつつあり、6月8日朝の受諾期限においても停戦に応じる姿勢を示していない。ただ、GNAとLNAとの間で停戦監視委員会を再開する(2020年2月3~8日及び2月18日に実施されたが、2月18日からの委員会開催の際GNAの支配地域内の港湾が攻撃されたとしてGNAのシラージュ首相が協議の中断を表明していた)旨6月1日遅く(リビア現地時間)に国連リビア支援団(UNSMIL: United Nations Support Mission in Libya)が発表、6月3日より委員会を実施している旨6月10日に明らかになっている。

他方6月5日には、同国南部にあるシャララ(Sharara)油田(停止前の原油生産量日量30万バレル)の操業が再開され、6月7日には原油生産が開始されており(同油田と近隣のエル・フィール(El Feel)油田(同7~7.5万バレル)は石油ターミナルに原油を輸送するパイプラインが閉鎖されたことにより、原油の出荷に関し不可抗力条項の適用を宣言したと2020年1月20日伝えられ、それに伴い油田の原油生産も停止していた)、90日以内に日量30万バレルの原油生産量に到達する予定である旨6月7日に伝えられ、6月8日にはリビア国営石油会社NOCが同油田産原油の出荷に関し不可抗力条項の適用を解除する旨発表した。さらにエル・フィール油田も生産を再開したと6月8日に伝えられた。しかしながら、シャララ油田は6月9日に武装勢力が油田関連施設に侵入したことにより生産を停止、同日一旦操業を再開したものの、再び停止した結果、6月9日にNOCは同油田からの原油の出荷に関し再度不可抗力条項の適用を宣言した。またエル・フィール油田も武装勢力が油田を占拠したとして6月10日に停止した旨伝えられる。このように、リビアについては、和平協議が行われつつあるものの、その行方に不透明感が伴う他、同国の油田関連施設の操業も不安定なままとなっていることから、今後も同国の石油供給の低迷状態が継続する結果、原油相場に影響を及ぼす場面が見られる可能性もある。

イラクにおいても、5月12日より同国南部のアフダブ(Ahdab)油田周辺での住民による抗議活動(同油田が位置するワジット(Wasit)州知事他幹部の辞任を要求)で、当該油田(原油生産量日量6.8万バレル)の操業に支障が発生したことから、早ければ5月16日にも同油田の操業が停止する旨5月15日夕方(米国東部時間)に報じられた(但し、5月18日(現地時間)にイラク石油省はアフダブ油田の閉鎖は予定していない旨明らかにしている)ことや、原油価格の下落による予算措置上の問題に加え、4月にはイスラム国(IS)による攻撃が活発になってきている旨伝えられる他、5月22日には、同国南部のバスラで天然ガス開発活動を行うバスラ・ガス・カンパニーの労働者が給与遅配に抗議する活動を活発化させたことに伴い外国人従業員が避難した旨5月21日に報じられる等、5月7日にカディミ新政権が発足したものの、同国政治経済における混迷等に伴う石油供給への支障の可能性等の不安材料が散見される。

経済面での市場の注目点は、新型コロナウイルス肺炎に伴う個人の外出規制及び経済活動制限に関する動向であろう。現時点では欧米やアジア諸国等で個人の外出規制の緩和や経済活動の再開等が行われており、この結果、石油需要も回復傾向を示していることから、OPECプラス産油国等による原油供給削減努力と相俟って、石油需給引き締まり期待を市場で醸成させている結果、原油相場に上方圧力が加割っている。今後も欧米及びアジア諸国等において都市の封鎖が緩和されるとともに経済活動が再開する動きが続くようであれば、原油相場にさらなる上方圧力が加わりやすいものと考えられる。他方、都市封鎖を緩和し個人の外出規制が緩和されるとともに経済活動が再開される過程で、新型コロナウイルス肺炎の感染第二波(もしくは第三波以降)が到来する(6月11日時点では米国のフロリダ州やテキサス州等21州で感染者数が増加する傾向が見られる旨報告されており、これが感染第二波の兆候として市場で懸念されている)結果、外出規制や経済活動制限が再度強化される、といったことになれば、再び石油需要が抑制される方向に向かう結果、石油需給緩和感が市場で強まることにより、原油相場に下方圧力が加わる可能性がある。他方、新型コロナウイルス肺炎のワクチンもしくは治療薬の開発進展状況に関する情報によっても、原油相場左右されるものと考えられる。ここにおいては、治験結果が良好であれば早期の新型コロナウイルス肺炎感染収束と経済活動完全回復による石油需要増加期待が市場で増大する結果、原油相場に上方圧力を加える反面、治験結果が後ろ向きであれば、新型コロナウイルス肺炎感染収束と経済活動の完全回復時期が遠のくとの観測が増大する結果、石油需要の増加期待が市場で後退することにより原油相場に下方圧力を加える可能性がある。

また、5月22~28日には中国で全国人民代表大会(全人代)(国会に相当)が開催され、5月22日に同国の李克強首相は香港の国家安全の改善を企図する法制度を導入する意向である旨表明した。全人代での香港への国家安全法導入検討の動きは5月21日に既に報じられており、同日米国のトランプ大統領は中国が香港に対し国家安全法を制定するようであれば、「非常に強硬な」方策を実施する旨発言した他、5月22日にはホワイトハウスのハセット顧問も香港問題により米国は中国に対し懲罰的な経済措置を検討中である旨明らかにした。また、5月22日午後(米国東部時間)には中国新疆ウイグル自治区のウイグル族等少数民族の人権侵害に関与しているとして、米国政府が中国の企業や機関を含む9組織に対し米国企業との取引関係を禁止する旨の措置を実施する旨発表した。他方、5月24日には中国の王毅外相が、中国は香港に対し国家安全法を速やかに成立させるとしたうえで、米国からの批判を内政問題に対する干渉であると非難した他、台湾統一問題についても、その流れは誰も止められない旨表明している。5月28日に中国の全人代で香港への国家安全法制導入方針を採択したことを受け、5月29日午後(米国東部時間)に米国のトランプ大統領が記者会見を開催し、中国の香港への国家安全法制導入方針に関連し、米国と中国との貿易問題を巡る第一段階の合意の取り扱いについて言及することはなかったものの、貿易面等での香港への優遇措置の適用を停止させる方針を表明した。これに対し、中国政府は同国主要国有農産物輸入会社に対し米国からの大豆等農産物購入の一部を停止するように要請した旨6月1日に報じられる。このように、5月21日以降米国と中国との間での政治関係を巡る対立が高まる兆しを見せている(これ以外にも5月22日には米国運輸省が米国と中国との米国航空会社による航空便運航の再開について中国当局が妨害行為を行っていると非難している)こともあり、両国間の対立の先鋭化と両国等の経済成長及び石油需要の伸びに対する懸念が市場で増大しつつあり、今後も、香港への国家安全法の制定問題に関する米国の中国に対する政策及びそれに対する中国の対応の仕方によっては、両国の政治的対立が一層高まるとともに、貿易を含む両国関係が悪化することにより、両国等の経済成長及び石油需要の伸びに対する懸念が市場で一層広がる結果、原油相場に下方圧力を加える可能性がある。

加えて、今後発表される予定である欧米諸国や中国等の景況感等の経済指標類や米国等の金融当局者等による金融政策を含めた景気刺激策等の他、7月に入ると米国主要企業等による2020年4~6月等の企業業績及び業績見通し等が発表され始めることから、それらの内容によっては、米国等の経済成長及び石油需要の伸びに関する観測を市場で発生させる結果、原油相場にそれらが反映されるといったことも想定される。

他方、新型コロナウイルス肺炎に伴う外出規制と経済活動制限の実施に伴う同国経済成長鈍化の可能性に対処するために、3月15日に米国連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利をそれまでの1.00~1.25%から0.00~0.25%へと引き下げた。このような金融緩和策に伴う資金調達コストの低下により、株式や商品といったリスク資産市場に低コストで調達された資金が流入しやすい状況が生まれており、これが原油相場への上方圧力を増幅する方向で作用する可能性がある。この場合、原油価格を押し下げる要因であっても、下落した局面では原油を購入する良い機会であるとの市場の判断から原油の購入が促進される結果、原油価格がそれほど下落しない現象が見られやすくなる一方で、原油相場をそれほど大幅に押し上げそうにない要因であっても、資金流入が活発化する結果、原油相場の上昇幅が拡大するといった、原油価格の上下変動が非対象となる場面が見られることもありうるので注意が必要であろう。

石油需給ファンダメンタルズ面では、前述の新型コロナウイルス肺炎感染による個人の外出規制と経済活動制限の緩和具合による石油需要の回復状況や回復に対する市場の観測に加え、OPECプラス産油国等による減産措置を巡る動向と実際の石油供給状況等が挙げられる。既に外出規制や経済活動制限を緩和した一部地域では感染が再拡大しているとも伝えられるが、これが外出規制や経済活動制限の再強化に繋がるようであれば、石油需要の回復がその分だけもたつくことになり、世界石油需給引き締まり感が市場で後退することから、原油相場の上昇を抑制する方向で作用する反面、感染再拡大が限定的であり、外出規制や経済活動制限の緩和過程に大きな影響を及ぼさない、ということであれば、世界石油需要回復(もしくはその期待)がOPECプラス産油国による減産措置延長と相俟って世界石油需給引き締まり観測が市場で強まる結果、原油相場に上方圧力を加えるものと考えられる。また、タンカー追跡データ等により明らかになるOPECプラス産油国等の原油生産関連情報や、EIAの週間原油生産関連情報、掘削生産性報告(DPR: Drilling Productivity Report)、ベーカー・ヒュージズによる石油坑井掘削装置稼働数情報を含む、米国、カナダ、ブラジル及びノルウェー等OPECプラス産油国枠外の産油国の原油生産動向によっても、石油供給に関する新たな観測を市場で醸成させ、原油相場にそれが反映される場面が見られることもありうる。

他方、2020年5月はOPECプラス産油国で日量970万バレル程度、うちOPEC産油国で推定日量609万バレル程度の減産を実施する予定となっていたが、実際のOPEC産油国の減産遵守状況はまだら模様である。サウジアラビアについては、日量251万バレル程度の減産目標と推定されるところ、実際の減産量は同240万バレルと遵守率は96%となっている他、UAEは同72万バレルの減産目標に対し同67万バレルの減産と93%の遵守率である。また、5月のロシアの推定原油生産量(コンデンセートを除く)は日量859万バレルと減産量は同241万バレルで、減産目標である同251万バレルに対し遵守率は96%とサウジアラビアと同等の遵守状態となっている。他方、イラクは日量106万バレルの減産目標に対し実際の減産量は同40万バレルと遵守率38%、ナイジェリアは同42万バレルの減産目標に対し実際の減産量は同8万バレルと遵守率は19%にとどまる。この結果、OPEC産油国の減産量は日量448万バレルと遵守率は74%となっている。6月8日にイラクは減産遵守を強化させる意向である旨表明した他、6月12日にナイジェリア国営石油会社NNPCのクヤリ社長も減産を遵守する旨明らかにしているが、減産措置の遵守率低迷に対する罰則が事実上存在しないということもあり、引き続き遵守状態が必ずしも良好でない減産参加国が存在するようであると、この先のOPECプラス産油国の結束力に緩みが生ずることにより、減産遵守率が一層低下する結果、石油需給引き締まり感が市場で後退することで、原油相場に下方圧力を加えるようになるといった展開も否定できない。

また、4月10日の20ヶ国・地域(G20)エネルギー相会合(サウジアラビアが議長国)開催の際には、米国のブルイエット エネルギー省長官が2020年末までに日量200~300万バレル程度同国の原油生産水準が低下する可能性がある旨予想していたが、6月5日の週の当該原油生産量は日量1,110万バレルと直近の最高水準である3月13日の週の同1,310万バレルから同200万バレル減少している。ただ、原油価格がWTIで1バレル当たり30ドルを相当程度上回る水準に到達していることもあり、米国でのシェールオイル開発・生産活動が復活するとの見方が市場で広がってきている(各鉱床によりばらつきはあるものの、同国のシェールオイル生産コストは平均で1バレル当たり23~32ドル程度とされる他、ダイアモンドバック・エナジー(Diamondback Energy)やパセリ・エナジー(Parsley Energy)等といった米国シェールオイル開発・生産会社は30ドル前後の原油価格であれば、開発・生産活動を再開できる旨示唆したと5月5日に報じられることに加え、パイオニア・ナチュラル・リソーシズ(Pioneer Natural Resources)は既に石油サービスコストが20%低減したうえ、現状の原油価格やリグ稼働数が継続すれば2021年に向けさらに5~10%石油サービスコストが低下する可能性がある旨示唆したと6月4日に報じられる)。また、北米の油井の操業停止は5月がピークであり、原油価格が上昇してきていることから、石油会社は急速に原油生産を回復させるはずである旨の見解を6月1日に米国大手金融機関バンク・オブ・アメリカが明らかにしている他、パセリ・エナジー(2019年の原油生産量日量9万バレル)も原油価格が上昇していることにより数週間前に操業を停止した油井での操業を再開させつつあると6月1日に報じられたことに加え、米国中堅石油会社(そして米国最大のシェールオイル生産企業とも言われる)EOGリソーシズ(2019年原油生産量日量46万バレル)も、5月は自社の原油生産量を4分の1程度削減したものの、2020年後半においては産出を加速する方針である旨6月2日に明らかにするなど、米国の原油生産が持ち直す兆候が見られたり、持ち直すとの観測が市場で発生したりしている。このようなことから、世界石油需給の引き締まり感が市場で低下する結果、原油相場の上昇を抑制する場面が見られることもありうる。

もっとも、原油価格の下落が持続したり、原油価格の下落が加速する兆候が見られる局面では、サウジアラビア等のOPECプラス産油国が、減産措置の強化等の意向を示唆すること等により、石油需給引き締まり期待を市場で醸成することを試みることを通じ、原油価格の回復を図るといった展開となることも予想される。

大西洋圏ではハリケーン等の暴風雨シーズンに突入した(暴風雨シーズンは例年6月1日~11月30日である)。ハリケーン等の暴風雨は、進路やその勢力によっては、米国メキシコ湾沖合の油田関連施設の操業に影響を与える結果、当該地域での原油生産が減少する(実際に被害が発生しなくても、暴風雨接近に伴い沖合油・ガス田は従業員を避難させなければならず、また、2020年は新型コロナウイルス感染抑制のため、従業員の避難及び復員に時間を要する結果油・ガス田の操業停止が長期化する恐れもある)他、湾岸地域の石油受入及び積出港湾関連施設や製油所の活動に支障を発生させたり(実際に製油所が冠水し操業が停止することもあるが、そうでなくても周辺の送電網が暴風で切断されることにより、製油所への電力供給が途絶することを通じて操業が停止するといった事態が想定される)、メキシコの沖合油田や原油輸出港の操業を停止させたりすること等により米国の原油輸入(2019年には米国メキシコ湾岸地域はメキシコから日量56万バレル程度の原油を輸入した)に影響を与えたりする。最近では米国の原油生産に占める陸上の割合が大きくなってきているものの、それでも同国メキシコ湾沖合ではそれなりの量原油が生産されている(2019年に当該地域では日量188万バレルの原油を生産しており、米国の原油生産量全体の約15%を占める)他、米国メキシコ湾岸は引き続き同国の精製活動中心地(2019年の当該地域の原油精製処理能力は日量866万バレルと米国原油精製処理能力全体の約47%を占める)こともあり、今後のハリケーン等の実際の発生状況、進路及び勢力、そしてその予報等によっては石油市場関係者間での石油供給に対する懸念が強まるとともに、その影響が原油価格に織り込まれるといった場面が見られることもありうる。5月21日に発表された米国国立ハリケーンセンターの予報や6月4日時点でのコロラド州立大学の予想によると、2020年の大西洋圏でのハリケーンシーズンは平年よりも活発な暴風雨の発生が予想されている(表2参照)。そのような中で、既に6月5~7日頃(米国東部時間)には熱帯性低気圧「クリストバル(Cristobal)」が勢力を強めつつ米国メキシコ湾沖合を北上、ルイジアナ州沿岸方面に上陸したことで、メキシコ湾沖合の一部油田及びガス田が操業を停止した(6月7日午後零時半(米国東部時間)現在米国メキシコ湾沖合原油生産量の34.30%に当たる日量約64万バレルが停止したと報告されている)他、6月6日には米国の主要原油受入ターミナルであるルイジアナ沖合石油ターミナル(LOOP: Louisiana Offshore Oil Port、原油受入能力日量100万バレル程度とされる)が閉鎖された(暴風雨の通過に伴い操業を再開した旨6月9日に報じられる)。そして、活発なハリケーン等の暴風雨シーズンが予想される中、シーズン初期に米国メキシコ湾沖合での油田操業を脅かすような暴風雨が発生していることから、この先のシーズン中も活発にハリケーン等の暴風雨が発生し油田操業等を再度脅かすのではないとの神経質な感情が市場で根強くなる結果、この面で原油価格の下落が抑制されやすくなるといったこともありうる。

表2 2020年の大西洋圏でのハリケーン等発生個数予想

総合すると、当面の市場の主な注目点は、まず、新型コロナウイルス肺炎に伴う個人の外出規制と経済活動制限の緩和に伴う感染第二波に関する動向であり、感染第二波による個人の外出規制及び経済活動制限の再強化が広がるようであれば、石油需給の緩和感が市場で再燃する結果、原油相場に下方圧力を加えるものと考えられる。他方、制限等の再強化が広がらないようであれば、石油需要の回復と石油需給の引き締まり期待が市場で強まる結果、原油相場には上方圧力が加わるものと考えられる。また、今後のOPECプラス産油国の減産遵守状況に関する情報によっても、OPECプラス産油国間での結束を巡り市場での観測が発生することにより原油相場が反応するといったことも想定される。さらに、既に原油価格が1バレル当たり40ドルを上回る場面も見られるほど上昇したこともあり、米国でのシェールオイル開発・生産活動が復活し始めるとの観測が市場で増大しつつあることから、この面では今後米国石油供給の回復に伴う世界石油需給引き締まり期待が後退することにより原油相場の上昇を抑制する方向で作用する可能性もある。そして、香港の国家安全法の制定を巡る米国と中国等の対立の先鋭化が両国等の政治・外交・経済問題に発展する結果、貿易上の制限が強化されるようであれば、それが世界経済成長に対する足枷となることにより、石油需要回復に対する市場の不安感が増大する結果、原油相場が下振れする場面が見られることもありうる。


以上

(この報告は2020年6月15日時点のものです)

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