ページ番号1008780 更新日 令和2年6月18日

ベネズエラ石油産業の最近の動向 ―石油大臣及びPDVSA総裁更迭、石油産業改革に向けての動向等―

レポート属性
レポートID 1008780
作成日 2020-06-18 00:00:00 +0900
更新日 2020-06-18 12:21:02 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 企業探鉱開発
著者 舩木 弥和子
著者直接入力
年度 2020
Vol
No
ページ数 9
抽出データ
地域1 中南米
国1 ベネズエラ
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 中南米,ベネズエラ
2020/06/18 舩木 弥和子
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概要

  1. 2020年4月27日、Manuel Salvador Quevedo Fernández石油大臣兼PDVSA総裁が解任され、後任の石油大臣にTareck El-Aissami氏、PDVSA総裁にAsdrúbal Chávez氏が任命された。今回の更迭の理由は明らかにされておらず、Quevedo氏が石油生産量、輸出量、石油収入を増やすことができなかったことが原因なのではないか、あるいはMaduro大統領へ権力を集中させることを企図した動きなのではないか、ベネズエラとイランの関係が緊密になっていることの表れではないかと様々な見方がなされている。
  2. PDVSAの再編、改革を検討するPDVSA改革委員会が、石油産業改革に関する提案書を公表した。石油関連事業に対する国家管理を排除し、国内および国際的な民間資本に石油事業を開放するよう求めており、石油開発政策の方向を大きく変える可能性を秘めた内容となっている。しかし、現状では変化は期待できないとの見方や、Maduro大統領に近い委員会が策定したもので割り引いて評価すべきだとの見方がなされている。
  3. Rosneft子会社に代わってベネズエラ原油を取り扱っていたメキシコ企業へのベネズエラ原油の供給が停止したことで、2020年5月のベネズエラの原油及び石油製品輸出量は45万b/dに減少した。原油輸出量が減少したため、原油貯蔵設備が充溢となり、PDVSAは原油生産を削減せざるを得なくなっている。一方で、Maduro大統領は、6月1日より補助金を大幅に削減したガソリン価格制度を導入した。この新たなガソリン価格制度導入にあたっては、イランから輸入したガソリンが提供されたが、イランからのガソリン輸入量は合計で150万bblとなっており、ベネズエラの需要を継続的に賄うには十分ではない。PDVSAは、イランからの支援を受け、Cardon製油所のガソリン生産ユニットの再稼働を試みたが、うまくいかず、政府はさらにガソリンを輸入せざるを得なくなるだろう。しかし、米国はMaduro政権に対し圧力を強めており、今後のガソリン調達は、石油の生産や輸出と併せて、ベネズエラにとって大きな課題となろう。

(Platts Oilgram News、International Oil Daily、BNamericas他)


1. Quevedo石油大臣兼PDVSA総裁更迭

Nicolas Maduro大統領は2020年4月27日、2017年11月26日から28か月にわたり石油大臣とPDVSA総裁を務めたManuel Salvador Quevedo Fernández氏を解任し、後任の石油大臣にTareck El-Aissami氏を、PDVSA総裁にAsdrúbal Chávez氏を任命した。

El-Aissami氏は、1974年生まれの45歳。Chávez前政権下の2008~2012年に内務大臣、法務大臣を、2012~2017年にはベネズエラの中北部に位置するAragua州の知事を務め、2017年1月からは経済担当副大統領の任に就いている。さらに、産業・国家生産大臣や諜報機関Sebinの長官、PDVSA社外取締役を兼務している。このように豊富な経験を有し、副大統領就任にあたっては、Maduro大統領の事実上の後継指名であると取りざたされた人物ではあるが、石油、天然ガス業界に関してはPDVSA社外取締役を務めたのみで、専門知識はほとんどないという。その一方で、2017年2月13日に、米国財務省外国資産管理室(OFAC)が、国際的な麻薬密輸で重要な役割を果たしたとして、El-Aissami氏の米国内資産凍結及び米国人との取引禁止を内容とする制裁を科した。また、El-Aissami氏はテロ組織に指定されたヒズボラの関係者も含め、中東の人物らへのベネズエラのパスポートや身分証明書の発給にかかわっていたとされている[1]。2019年には、米国移民税関捜査局(ICE)がEl-Aissami氏を国土安全保障省捜査局がリストアップしたICEの最重要指名手配リストに追加している。

一方、Asdrúbal Chávez氏は、故Hugo Chávez前大統領の従兄弟で、化学エンジニア。長期間にわたりPDVSA下流部門に従事し、2014~2016年には石油鉱業大臣、2016~2017年にはベネズエラ国民議会副議長、2017~2019年にはPDVSAの米国子会社CITGOの社長を務めた。

今回のQuevedo氏解任の理由は明らかにされておらず、様々な見方がなされている。

最も多いのが、石油生産量の急減やガソリン不足が深刻化しており、Quevedo氏を石油大臣及びPDVSA総裁とする体制では、これらの問題を解決することは難しいとの考えから今回の更迭が行われたというものだ。

ベネズエラではChávez前政権以降、PDVSAが、貧困層を支援するための社会プログラムの資金を負担したり、石油関連以外の子会社を抱えたり、国家開発基金 (FONDEN)への資金移転を行ったり、PetroCaribeなどのエネルギー協力協定に基づいてカリブ海地域や中米諸国に対し長期、低金利の融資を付け、一部は物納での支払いも認める石油輸出を行ってきた。また、中国やロシアから得た融資の返済に石油が用いられた。そのため、本来であれば探鉱・開発や精製など石油関連部門に投じられるべき資金が不足したり、石油輸出による収益が減少したりするという状態が続いてきた。2016年4月には支払い滞りによりサービス会社がベネズエラでの活動を縮小、リグ稼働数が減少し、それに伴い原油生産量が減少するようになった。さらに、政治、経済、社会状況の悪化や劣悪な労働環境などを理由に、技術力のある人材がベネズエラやPDVSAを去っていった。


[1] https://www.cnn.co.jp/world/35096553-2.htm

図1 ベネズエラの稼働リグ数と原油生産量の推移
図1 ベネズエラの稼働リグ数と原油生産量の推移
IEA Oil Market Report、Baker Hugesウェブサイトを基に作成

それでも、Quevedo氏が石油大臣及びPDVSA総裁に就任した2017年11月のベネズエラの原油生産量は178万b/dであった。しかし、その後状況はさらに悪化、原油生産量は減少の一途をたどっており、2020年4月は63万b/dとなっている。

特に2019年に入ってからは、1月に米財務省OFACがPDVSAを制裁対象に加えたため、原油輸出や希釈剤輸入が減少し、また3月にはベネズエラ全土で大規模停電が発生したため、生産量減少が一気に加速した。その後、生産は若干回復したものの、8月に米国による制裁が強化され、PDVSAはタンカーを調達することが難しくなり、原油輸出量を減らし、その結果、貯蔵設備が満杯となり、ベネズエラは原油生産を削減せざるを得なくなった。10月以降は、主にRosneftが原油を引き取ったことで、貯蔵設備に空きが生じ、生産が若干回復した。

しかし、2020年に入り、ベネズエラ及びPDVSAにとって状況はさらに厳しくなっている。

2月18日には、OFACが、2019年のベネズエラ原油輸出の6割以上を扱っていたRosneftの子会社Rosneft Trading SA及びその代表のディディエ・カシミーロRosneft副社長を制裁対象に指定した。さらに、3月12日にOFACは、Rosneft Trading SAの後を引き継いでベネズエラ原油の輸出を担っていた同じくRosneft子会社のTNK Trading International SAも制裁対象とした。 その結果、PDVSAは原油輸出先確保に奔走するようになった。また、ガソリン不足も一気に加速することとなった。2020年初より、原油販売にあたりPDVSAがディスカウントを提案していると伝えられていたが、原油価格が急落する中、PDVSAはさらに大幅な価格引き下げを行うようになった。4月には、マレーシアまで運送後のMerey原油のスポット価格が1~2ドル/bblとなっている模様だと報じられた[2]。さらに、メキシコ企業Schlager Business GroupやLibre Abordoに原油輸出を取り扱わせ、代わりに食料や水を輸入するようになった。

なお、3月12日に米国の制裁対象となっていたTNK Trading International SA は、3月28日にベネズエラにおける全ての権益をロシア政府が100%を所有する企業に売却し、ベネズエラでの油田サービス事業、同国産石油の販売などベネズエラ関連事業を終了すると発表した。これは制裁を逃れるための方策で、ベネズエラからの撤退を意味するものではないと考えられる。[3]

4月22日には米国政府が、制裁下で操業を認めていたChevronと大手サービス会社4社(Halliburton、Schlumberger、Baker Hughes、Weatherford)に対し、12月1日までベネズエラ国内で活動を継続することを認めたものの、掘削やベネズエラ産原油の生産、輸送、輸出、さらに、安全対策以外のメンテナンスを禁止した。これらの大手サービス会社はすでにベネズエラではほとんど活動を行ってはおらず、影響は少ないと考えられる。一方、Chevronも油価下落に伴い、すでにベネズエラでの操業ペースを落としているとの報道がなされていたが、ChevronのCEO Wirth氏はベネズエラから完全撤退することは考えていない[4]と語っている。

さらに、新型コロナウイルス感染拡大を受けてMaduro大統領は3月15日、首都と6州での「社会的集団隔離」実施を宣言、そして、その後、この非常事態宣言をベネズエラ全土に拡大した。これにより石油生産、輸出はさらに混乱をきたす可能性があるとの懸念が広まった。

軍出身で石油大臣及びPDVSA総裁の職に就くまでは石油産業での経験が全くなかったQuevedo氏には、このように石油産業、特にベネズエラの石油産業にとって厳しい時期を乗り越えることは難しかったのではないだろうか。ベネズエラの石油産業を取り巻く状況にうまく対処し、石油生産量、輸出量、石油収入を増やすことができなかったことを理由に、Quevedo氏が解任されたのではないかとの見方をする向きは多い。

また、El Aissami石油大臣はMaduro大統領に近い存在と言われており、PDVSAの社外取締役を務めるSimón Alejandro Zerpa Delgado経済財務大臣とともに、Maduro大統領へ権力をより集中させることを企図した任命であるとの見方もある。

さらに、El-Aissami氏の石油大臣任命は、ベネズエラとイランとの関係が緊密になっていることの表れではないかと見る向きもある。

ベネズエラには、Amuay製油所(精製能力64.5万b/d)、Cardon製油所(同31万b/d)、Puerto La Cruz製油所(同18.7万b/d)、El Palito製油所(同14万b/d)があるが、修理やメンテナンスが十分に行われていないことや原油が供給されないこと等から、稼働しているのはAmuay製油所とEl Palito製油所の2か所のみという状態が続き、稼働率も10%を切り、主にFuel Oil (バンカー重油)が精製されるようになっていた。このような製油所の状況に加え、上述した通り、米国の制裁強化によりガソリン輸入が困難となっていることから、ベネズエラは深刻なガソリン不足に陥っており、国民はガソリン購入のために何日も行列に並ぶことが常態となっている。これを解消するため、ベネズエラは製油所の改修工事を計画したが、資金や物資、技術者の不足から製油所を改修できずにいた。

そのような状況下、4月初めに、Maduro大統領はイランのRouhani大統領とエネルギー及び金融プロジェクトで協力することで合意した。そして、4月22日、23日には、イランのMahan航空が運航する航空機が、製油所改修に必要な作業員や機材、接触分解装置用の触媒をテヘランからベネズエラ北西部、Paraguana精製センター(CRP)近郊のLas Piedras飛行場に空輸した。また、イランは5隻のタンカーにガソリン150万bblを搭載、5月25日以降、これらのタンカーが順次、ベネズエラに到着している。イランでは、最新の大型製油所 Persian Gulf Star Refinery(PGSR)プロジェクトにより精製能力が200万b/dを上回った。国内で消費しきれない余剰の石油製品を輸出したいと考えているものの、米国による制裁で販路を絶たれている。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、イラン国内の需要がこの数か月で大きく落ち込んでいる。このようなイランと、ガソリン不足に苦しむベネズエラの思惑が合致し、両者にとってメリットのある取引が成立したということができよう。このように、両国の関係はこの数か月で急接近しているように見える。

Guaido暫定大統領が英国特使に任命したVanessa Neumann氏は、El-Aissami氏を石油大臣に据えることは、イランがチャビスモを維持するために資金を提供していることの代償であり、イランは最終的にはMaduro氏を見捨てるつもりで、El-Aissami氏をその後継者と位置づけていると語ったという。


[2] Reuters, 2020/4/22

[3] 詳細は原田調査役による記事を参照されたい。(https://oilgas-info.jogmec.go.jp/info_reports/1008604/1008765.html

[4] 権益は保有したまま作業は行わない意向と考えられる。ベネズエラ政府との関係でそれが認められるかどうかは不明。


2. 石油産業改革へ向けた動向

PDVSAの再編、改革を検討するために、El-Aissami氏を委員長、Asdrúbal Chávez氏を副委員長として運営されてきたPDVSA 改革委員会は、両氏の石油大臣、PDVSA総裁就任に合わせて、石油産業改革に関する提案書「PROPUESTA de REESTRUCTURACIÓN PETROLEOS DE VENEZUELA S.A.」を公表した。64ページに及ぶこの提案書は、2020年3月に作成されたもので、ベネズエラの石油生産量を増やし、PDVSAをベネズエラへの石油業界の主役へ復帰させるという目的を達成するためには、 PDVSAの再構築が必要かつ緊急の課題であるとしている。そして、石油関連事業に対する国家管理を排除し、国内および国際的な民間資本に石油事業を開放するよう求めている。具体的には、PDVSAの再編と組織の簡素化、PDVSAの非石油産業への参入禁止、海外子会社の再編・売却、子会社PDVSA Russiaの創設、ジョイントベンチャーやサービス契約の変更(ジョイントベンチャーの過半をPDVSAが保有する方針の廃止)、ロイヤルティ引下(30%を20%に引き下げ)、一部の税の低減や撤廃、炭化水素法(Ley Orgánica de Hidrocarburos)改正、ガソリン等に対する補助金の削減等を提案している。

このようにMaduro政権がChávez前政権から引き継いだ石油開発政策の方向を大きく変える可能性を秘めた内容となっているが、米国から制裁を科されている状況では変化は期待できないとの見方や、Maduro大統領に近いEl-Aissami氏をトップとするPDVSA 改革委員会が策定したものであることから、割り引いて評価すべきだとの見方がなされている。

ベネズエラでは、以前より野党議員が主流を占める国会を中心に炭化水素法の見直しが検討されており、現行の炭化水素法を一部改正する案と新たに炭化水素法を制定する案が併存していた。5月中旬に両案を統合し、一本化することが決定されたところだ。

原油価格の急落と新型コロナウイルス感染拡大による石油需要の減少により、産油国はいずれも影響を受けているが、ベネズエラは中でも最も大きく影響を受け、危機的な状況に陥っているといわれている。野党側だけではなく、Maduro政権側も、このような事態に対応するためには、ベネズエラの石油産業を大きく変えていく必要があると認識せざるを得ないほど状況は悪化しているということができるのだろう。


3. 2020年5月以降の石油生産、輸出入等の状況

ベネズエラは2020年5月以降、メキシコのSchlager Business Group、Libre Abordoへの原油供給を停止している。米国が、両社とベネズエラの原油と食料や水のバーター取引について調査を実施することとなったためだ。その結果、5月のベネズエラの原油及び石油製品輸出量は45万b/dと、2020年1~4月の実績の半分にとどまり、2003年1月以来、17年ぶりの低水準に落ち込んだ[5]

原油輸出量が減少したため、ベネズエラの原油貯蔵設備が再び充溢となってきた。商品(コモディティー)データ会社Kplerによると、ベネズエラの原油貯蔵量は2019年9月に4,030万bblに達したものの、その後、輸出が持ち直し減少していたが、4月末から5月の終わりにかけて230万bbl増加し、3,820万bblに達しているという。

また、4月28日、電気系統の故障により、Morichalオペレーションセンターの貯蔵タンクに油が流出する事故が発生した。この事故がベネズエラの石油生産の中心地であるOrinoco BeltのPetrolera Sinovensa(PDVSA60%、CNPC40%)の操業、生産に影響し、生産井212坑の閉鎖を余儀なくされた。Petrolera Sinovensaの生産は5月19日に再開されたが、Morichalオペレーションセンターの貯蔵タンクの一部は修理されておらず、事故後は使用できない状態が続いている。

このように貯蔵施設が十分に使用できなくなっていることから、PDVSAは2019年8月と同様に、原油生産を削減せざるを得なくなっている。希釈剤や軽質原油の不足もあって、Orinoco Beltの生産量も大きく減少している。Orinoco Beltの生産量は、4月の39万b/dから、5月26日には23.5万b/d[6]、6月5日には18万b/d、6月9日には10.4万b/dまで減少している[7]という。さらに6月13日には、Orinoco Beltの生産量は9.5万b/d(Carabobo 3.5万b/d、Ayacucho 3.9万b/d、Junin1万b/d、Boyaca1.1万b/d、Orinoco Beltの生産能力130万b/dの7.3%相当)まで減少、ベネズエラ全体の生産量も30万b/dを切り、28.4万b/dとなった[8]


[5] Reuters, 2020/6/3

[6] BNamericas, 2020/5/27

[7] Platts Oilgram News, 2020/6/10

[8] Platts Oilgram News, 2020/6/16


表1 Orinoco Beltの生産状況

エリア

プロジェクト

生産能力

5月末の生産量

Carabobo Petrolera Sinovensa(CNPC)

105.000 b/d

36,000 b/d

Petromonagas

120,000 b/d

30,000 b/d

Morichal

 

20,000 b/d

Ayacucho Petropiar(Chevron)

190,000 b/d

55,000 b/d

San Tome

 

55,000 b/d

Junin Petrocedeno

202,000 b/d

4,000 b/d

Petro San Felix

120,000 b/d

10,000 b/d

各種資料を基に作成                              

 

一方で、Maduro大統領は5月31日、6月1日より補助金を大幅に削減したガソリン価格制度を導入すると発表した。新たな制度では、1カ月につき120リットル(オートバイは60リットル)までは1リットル当たり2.5セントでガソリンを購入できる。120リットルを超えて購入する場合には、政府が民営化した200カ所の給油所で1リットル当たり50セントの価格で無制限にガソリンを購入可能となる。購入可能な日が指定され、週に1度、購入できる。公共輸送に関しては、90日間100%の燃料補助を行う。

新制度スタートにあたっては、補助金付きのガソリンが直ちに売り切れたり、PDVSAからの説明がなく営業が開始できない給油所があったりというような混乱が生じた。しかし、これまでガソリンを購入するために何日も待ったり、闇で1リットル当たり50セント以上の価格でガソリンを購入したりしていたことから、補助金が削減されたことについて、国民の不満が募るということは概ねなかったという。ただし、カラカスについては、6月1~7日の1週間、給油所に長蛇の列が発生した。そこで、PDVSAは8日から192の給油所でPDVSAの職員が監督・販売を担当し24時間営業を実施することとした。

この新たなガソリン価格制度導入にあたっては、イランから輸入したガソリンが給油所に供給されたという。しかし、イランからのガソリン輸入量は合計で150万bblとされており、ベネズエラの需要を継続的に賄うには十分ではない。ベネズエラは今後、どのようにして、ガソリンを調達する計画なのだろうか。

PDVSAは、深刻なガソリン不足に直面している国内市場にガソリンを供給しようと、イランからの支援を受け、5月からCardon製油所の再稼働に力を入れていた。そして、ついに6月6日に、Cardon製油所のナフサ改質装置(能力45,000b/d)と流動接触分解(FCC)装置(同90,000b/d)の操業を再開することができた。しかし、コンプレッサー、バルブ、ポンプなど多くの機器に問題があり、安定した連続運転を維持できず、また、FCCユニットで行われたイランから提供された触媒のテストが失敗したことで、6月9日にこれらの装置を停止した。

 

表2 主な製油所の稼働状況

製油所

精製能力

稼働状況

Paraguana精製センター(CRP) Amuay

64.5万b/d

86,000b/dを処理(稼働率13.3%)。
Cardon

31万b/d

52,000b/dを処理(稼働率16.8%)。ナフサ改質装置は、故障のため1月3日から停止。
Puerto La Cruz

18.7万b/d

操業停止。
El Palito

14万b/d

軽質原油不足、ユニットの劣化、メンテナンス不足により操業を停止していたが、ガソリン不足解消のため、Mesa 30原油の供給を受け操業再開。

各種資料を基に作成                  

 

Cardon製油所のガソリン生産ユニットの再稼働が失敗に終わったことで、政府はさらにガソリンを輸入せざるを得なくなるだろう。イラン外務省報道官は6月1日、ベネズエラ政府から要請があれば、ベネズエラ向けにさらにガソリンを輸出する方針を示した。また、Maduro大統領は6月8日、燃料や品質向上に必要な添加剤の輸入を免税とした。しかし、米国はイランによるベネズエラへの燃料輸出を批判、また6月2日には、ベネズエラ産石油の輸送に従事したとして海運会社4社を制裁対象に指定するなど、圧力を強めており、今後のガソリン調達は、石油の生産や輸出と併せて、ベネズエラにとって大きな課題となろう。


以上

(この報告は2020年6月16日時点のものです)

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