ページ番号1008803 更新日 令和2年7月15日
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1. 政治・経済情勢
(1) 国内
政治・経済
子どもを持つ世帯への追加支援、高所得者への増税を発表
- プーチン大統領は、6月23日、国民向けのテレビ演説行い、新型コロナウイルス関連の支援策等について発表した。
- 同大統領は、子どもを持つ家庭への支援として、7月に16歳までの子どもを対象に一人当たり1万ルーブル(約1.5万円 @1ルーブル=1.5円)を追加支給すると発表した。対象は2,800万人となる。この支援策のために、財務省は2,740億ルーブルを割り当てるとしている。また、すでに実施されている両親が一時的に失業している家庭の失業手当の増額、子ども一人あたり3,000ルーブルの支給を、7月8月も継続すると発表した。
- また、同大統領は、税負担を差別化し、重大な社会問題を解決するための追加財政収入を得るため、2021年1月1日から、年間500万ルーブルを超える個人所得に対する所得税率を13%から15%に変更する。これにより、約600億ルーブルの追加歳入が見込まれている。また、同大統領は、この歳入を他の歳入から独立させ、希少疾患のある子どもたちの治療、高価な薬設備・リハビリ用具の購入、高技術手術の実施に利用することを提案した。
- ロシアでは、6月1日には1日あたりの新規感染者数は9千人を超えていたが、6月末には6千人台となり、減少傾向にある。また、モスクワ市では、 1日当たりの新規感染者数は6月1日には2千人台から700人程度となっており、6月9日に市民の外出自粛措置を解除するとともに、段階的に商業施設等の制限が緩和され、6月23日までにほぼ全ての施設が再開可能となった。
経済復興計画案を作成
- ミシュスチン首相は、6月2日、プーチン大統領と会談を行い、同大統領の命令により作成した経済復興計画案を説明した。計画の主な目的は、新型コロナウイルスによる経済不況を克服し、安定したGDP成長率を達成することで、これにより、国民の実質所得を着実に増加させることができるとしている。予算手当は2年間で約5兆ルーブル(約7.5兆円)となる見通し。
- 計画は3段階に分かれており、第1段階は2020年第3四半期までに状況を安定させ、更なる家庭収入の減少を阻止することを目指す。第2段階は20201年第2四半期までで、失業を削減し、国民の所得を2019年の水準まで回復することを目指す。第3段階は2021年第3四半期または第4四半期までで、貧困を減少させ、持続可能な経済発展の達成を目指す。2021年末までの具体的な達成目標は、失業率を5%未満、GDP成長率を2.5%、貧困率を12.3%以下にするなどを設定している。
- プーチン大統領は、業界団体等とも調整の上、7月初旬に計画を開始するよう指示した。

写真出典:http://kremlin.ru/events/president/news/63445
金融
政策金利を4.5%に引き下げ
- ロシア中央銀行は、6月19日、政策金利を4.5%に引き下げることを発表した。政策金利は4月に6%から5.5%に引き下げられていた。
- ロシア中央銀行は、引き下げの理由として、ロシア及び世界中での新型コロナウイルスによる規制措置の期間が長くなり、デフレ要因が予想よりも深刻であったと説明した。この状況下では、2021年にインフレ率を4%とする目標が達成できないリスクがあるため、政策金利の引き下げにより、インフレ率を4%に近づける狙いがある。また、今後もさらに政策金利の引き下げについて検討するとしている。
- 同銀行は、5月から6月にかけて段階的に規制が解除されたことで、消費は徐々に回復するとしているが、最近のビジネス動向調査は、常に慎重な姿勢を示していると指摘した。このため、第2四半期のGDPは予想よりも大幅に縮小する可能性があるとし、2020年のGDPはマイナス4~6%となると予測した。経済発展省は、6月18日に、2020年のGDPはマイナス4.8%とし、5月に予測したマイナス5%からは上方修正している。
(2) 対外関係
1) 米国
トランプ大統領との電話会談を実施
- プーチン大統領は、6月1日、米国のトランプ大統領との電話会談を実施した。会談では、新型コロナウイルスのために両国でとられている対策について意見交換が行われ、プーチン大統領は米国から提供された人工呼吸器に感謝を伝えた。
- 両大統領は、OPECプラスの合意に関連して、世界の石油市場の状況が議論された。会談の中で、ロシアと米国の両大統領の積極的な支援により達成された多国間協定は、石油需要の回復と価格の安定化を徐々に達成すると述べられた。
- 軍事分野については、戦略的安定と信頼醸成の措置のためのロシアと米国の対話の促進が重要であると議論された。
- また、トランプ大統領は、次回のG7サミットにロシア、オーストラリア、インド、韓国を招待する可能性がある考えも述べた。
- 会談の後、Peskov大統領報道官は、G7へのロシアの招待について、提案の詳細が分からず、より詳細な情報が必要だと述べ、ロシアが返答する前に、議題や形式について知る必要があるとの考えを示した。
2) EU
対露制裁を2021年1月31日まで延長
- EU理事会は、6月29日、2020年7月に期限を迎えるロシアに対する経済制裁について、2020年1月31日まで延長することを決定した。この制裁は、2014年7月31日、ロシアのウクライナとの武力衝突を理由に、ロシアの金融、エネルギー、防衛分野、デュアルユース分野を対象に導入され、幾度も期限を延長されてきたもの。
- EU理事会は、ミンスク合意がまだ完全に履行できていないことから、制裁を延長することを決定した。
3) フランス
マクロン大統領との電話会談を実施
- プーチン大統領は、6月26日、フランスのマクロン大統領と電話会談を実施した。両大統領は、国際的及び二国間の幅広い問題を議論した。6月26日は国連憲章が締結されて75周年にあたり、両国は国連安全保障理事会の常任理事国として世界の平和と維持に特別な責任があると確認された。
- ウクライナの紛争については、ミンスク合意(2014年9月2015年2月に署名されたウクライナのドンバス地域での停戦等合意)及び2019年12月9日にパリで開催されたノルマンディーフォーマット(ロシアウクライナドイツ・フランスでウクライナ情勢を協議する形式)のサミットでの合意の実施が進展していないことに懸念が表明された。ロシアは、ウクライナが政治的な義務を果たす必要性と、紛争地域とウクライナ政府の直接的な対話を確立する必要性を強調した。この他、両大統領はシリアとリビアの状況についても議論を行った。
- また、プーチン大統領は、マクロン大統領をロシアへ招待したい旨を伝え、マクロン大統領は衛生上の条件が許せば、夏の終わりにはロシアを公式訪問すると答えた。

写真出典:http://kremlin.ru/events/president/news/63572
4) ベトナム
チョン国家主席との電話会談を実施
- プーチン大統領は、6月11日、ベトナムのチョン国家主席との電話会談を実施した。ロシアとベトナムは、両国間の外交関係の樹立から今年で70年となる。
- チョン国家主席は、会談の中で、第二次世界大戦の勝利75周年の祝福の意を示した。
- 新型コロナウイルスに関して、両首脳は、ウイルス拡大に対処するため、診断器具や個人防護具の供給、専門家の派遣などの相互支援に高く評価した。
- また、会談では、二国間関係をさらに発展させるための具体的な議論が行われた。両首脳は、ユーラシア経済共同体とベトナム間の自由貿易協定を最大限活用することを含め、貿易と経済協力の拡大に関心を示した。また、炭化水素生産プロジェクトの既存の枠組みと、特に発電と平和的原子力分野の新たな協力の開始の両方について、エネルギー部門の協力の重要性を議論した。
- さらに、今年はロシアが上海協力機構とBRICSの議長国、ベトナムはASEANと東アジア首脳会議の議長国であることを考慮し、両国が国際的及び地域的問題に関する協力を強化することが確認された。
2. 石油ガス産業情勢
(1) 原油・石油製品輸出税
- 2020年6月、原油輸出税はUSD1.1/バレルに引き上げられ、東シベリア及びカスピ海北部の油ガス田等に対しては、引き続きゼロ課税となった。
- 6月の石油製品輸出税はUSD2.4/トン、ガソリンについてはUSD4.5/トンに設定された。
(2) 原油生産・輸出量
- 6月、原油、ガス・コンデンセート生産量は3,816万トン(約2億7,857万バレル、平均日量932万バレル)で、前年同月比16.5%減。
- 6月、原油輸出量は1,815万トン(約1億3,249万バレル)で、前年同月比15.3%減。
(3) 減産合意
OPECプラスでの減産の拡大を合意
- OPECプラスの閣僚会合が6月6日、ビデオ会議形式で開催され、サウジアラビアのAbdulazizエネルギー大臣が議長を務め、ロシアのNovakエネルギー大臣が共同議長を務めた。会合では、5月の生産調整が世界経済と石油市場の回復に役立っていることが強調されるとともに、市場の均衡と安定化に向けた取り組みが引き続き不可欠であることが強調された。
- 会合では、今年4月の減産合意に基づく既存の決定を確認し、各国が5月と6月に生産調整の完全な履行ができなかった分はすでに合意されている生産調整に加えて7月~9月に追加減産すること、これを条件に5月と6月に合意された第一期間の減産量を1ヶ月延長することが合意された。OPECプラスは4月12日の会合で、5月から6月は合意された生産調整期間で最大の合計970万バレル/日を減産することで合意しており、7月から12月は770万バレル/日に減産量を緩和することで合意していた。
- また、会合では、サウジアラビアが100万バレル/日、UAEが10万バレル/日、クウェートが8万バレル/日、オマーンが10~15万バレル/日を6月に追加で削減することが表明された。さらに、ノルウェーやカナダなどの国からも自主的な調整が行われることが発表された。
- OPECによると、2020年5月の減産の達成率は87%だった。また、ロシアの5月の原油の生産量は859万バレル/日で、減産の達成率は96%だった。
(4) 天然ガス生産量
- 6月、天然ガス生産量は477億立方メートル(約1.7TCF)で、前年同月比で12.1%減。
(5) 税制・法制
随伴鉱物の生産を可能にするため地下資源法を改正
- プーチン大統領は、6月8日、炭化水素資源(原油、ガス、コンデンセート)のライセンス保有者が、当該鉱区の開発途中に地下水等から発見された鉱物を、当該鉱物の開発ライセンスを取得していなくとも商業生産できるようにする地下資源法の改正法に署名した。法律は9月7日に施行される。
- 現在の地下資源法では、ライセンスを取得している対象鉱物以外は鉱区内で資源が発見されても商業生産できないことになっている。この法律改正は、そのような随伴鉱物から企業が収入を得ると同時に、政府が税収を確保することが狙い。2016年7月からは、国営企業に限って随伴鉱物の生産ができるようになっており、パイロットプロジェクトを通して運用にリスクがないと判断されたことから、全ての企業に広げることが決定された。
- この法律で生産が許可される随伴鉱物の条件は、ライセンスで指定されている資源量国家バランスに含まれている鉱物と一緒に下層土に存在すること、個別に抽出することが技術的経済的に困難であること、対象鉱物の推定価値が全体の10%を超えないことなどが定められている。
- この法改正により、特にイルクーツク州、サハ共和国、クラスノヤルスク地方の石油ガス鉱区からのリチウム生産が期待されている。
対制裁法に大統領が署名
- プーチン大統領は、6月8日、外国の制裁等からロシアの権利を保護するため、仲裁法を改正する法案に署名した。法律は6月19日に施行された。
- 法律は、外国等の制裁の対象となっているロシアの個人法人等が関与する紛争に関し、両当事者の合意や国際条約によって別段に定められていない限り、ロシアの仲裁裁判所に専属管轄権を与える。しかし、制裁の影響により両当事者間の合意等の履行に障害がある場合も、ロシアの仲裁裁判所が専属管轄権を持つことができる。
- また、すでに外国裁判所等で裁判が進行している場合、ロシアの個人法人等はロシアの仲裁裁判所に差し止めを申請することが可能で、この差止命令が拒否された場合は、外国裁判所等で主張する金額と関係する法的費用の合計を上限に、損害賠償を請求することができる。
3. ロシア石油ガス会社の主な動き
(1) Rosneft
新たな石油貿易会社をスイスに設立
- 6月4日付けの報道によると、Rosneftは米国の制裁対象となった石油貿易会社の代わりとなる100%子会社のEnergopole社をスイスに設立した。登記日は2020年3月31日とされている。Energopole社は、Rosneft Trading社の主な事業を引き継ぎ、ドイツのRosneftの製油所への石油供給や欧州での貿易事業を行うが、南米の事業に関与する計画はないとされている。
- 米国はベネズエラとの石油取引を理由に、2月18日にRosneft Trading社、3月12日にTNK Trading Internationalに制裁を科すと発表した。Rosneftは3月28日にベネズエラでの事業から撤退すると宣言し、RosneftのSechin社長は、5月、ベネズエラの全ての事業を停止したと発表した。
(2) Gazprom
将来、中国へのパイプラインガス供給量を130BCMに拡大
- GazpromのMiller社長は、6月26日、インタビューの中で、中国との協力は非常にポテンシャルが高いと評価し、予測可能な将来、中国へのパイプラインガス供給量は130BCMを超えると述べた。
- 同社長は、2019年に中国のガス需要は約10%増加して300BCMを超え、15年後にはさらに2倍になる可能性があると述べた。また、同社はシベリアの力パイプラインを通じたガス供給を数年で38BCMに増加させ、LNGの輸入や中央アジアからの中国のガス供給よりも早く供給量が増加すると予測した。さらに、シベリアの力のガス供給量を、現在の契約の年間38BCMから44BCMに増加させること、また、極東及びシベリアの力2を通じた新たなガス供給についても、中国と交渉をしていると明かした。
- Gazpromは、2019年にシベリアの力パイプラインを完成させ、パイプラインでの中国へのガス供給を開始した。Gazpromと中国のCNPCは、2014年にシベリアの力パイプラインの建設に合意し、年間38BCM、30年間のガス売買契約を締結した。これまでの見込みでは、2020年に4.6BCM、2021年に10BCM、2022年に16BCM、2023年に21BCM、2024年に25BCMと、徐々に輸送量を増加するとされていた。
Yamal半島のKharasaveyskoye鉱区の最初の生産井掘削を開始
- Gazpromは、6月12日、Yamal半島のKharasaveyskoye鉱区で最初の生産井掘削を開始したと発表した。井戸の深度は2,540メートルとなる。今年は16の井戸を完成させる予定。
- Kharasaveyskoye鉱区の埋蔵量は約2兆立方メートルとされており、鉱区のほとんどが陸上で、一部がKara海に位置している。海上部分は、陸上からの水平井を掘削する予定。生産は2023年に開始され、2131年までの108年間にわたりガスを生産する計画となっている。生産されたガスは、106㎞のパイプラインをBovanenkovskoye鉱区まで繋ぎ、そこからロシアの統合ガス供給システムに供給される構想となっている。
- Kharasaveyskoye鉱区の最初の開発対象はCenomanian-Aptian鉱床で、生産井の他、複合的ガス処理施設、コンプレッサー基地、輸送インフラ、電力インフラが鉱区内に建設される。その後、より深い地層のNeocomian-Jurassic鉱床が開発される予定。

出典:https://www.gazprom.com/press/news/2020/june/article507064/
Ust-Lugaのガス処理施設のガス供給契約、EPC契約を締結
- Gazpromは、6月8日、Ust-Lugaのガス処理施設建設のガスの供給契約と、EPC契約を締結したと発表した。
- GazpromとRusGazDobycha社が共同で設立したプロジェクトのオペレーターRusKhimAlyans社は、Gazpromと20年間のガス供給契約を締結した。Gazpromは、エタンを含む天然ガスを年間45BCM供給する。RusKhimAlyans社は天然ガスからエタン等を抽出し、処理後に残った約18BCMのガスは、Gazpromのガス輸送システムに送られる。また、RusKhimAlyans社と、RusGazDobycha社の完全子会社のBaltic Chemical Complex社が、ガス化学施設での更なる処理のため、エタン留分の20年間の供給契約を締結した。
- さらに、RusKhimAlyans社は、SIBURグループのNIPIGAZ社とEPC契約を締結した。NIPIGAZ社は、2019年9月に締結されたRusKhimAlyans社との契約に基づき、すでにエンジニアリング調査を終え、基本的な技術ソリューションを開発しており、現在、ガス処理施設の設計文書のドラフトを作成している。今後、RusKhimAlyans社は、天然ガス液化施設、原料と製品の貯蔵施設、海上輸送ターミナル、その他非生産施設のEPCコントラクターの選定を行う。
- このプロジェクトでは、年間1,300万トンのLNGと、エタン、LPG、ペンタン-ヘキサン留分を生産する。また、生産されたエタンから、最大300万トンのポリエチレン製品を生産する。

出典:https://www.gazprom.com/projects/lng-leningrad/
ギリシャのMytilineos社との長期ガス供給契約を締結
- Gazpromは、6月1日、子会社のGazprom Exportが、ギリシャのMytilineos社と2020年から2030年までの長期のガス供給契約を締結したと発表した。Mytilineos社は、ギリシャにおける冶金、発電所建設、電力ガス取引分野の最大級の企業。
- Gazprom ExportとMytilinneos社は、2017年から短期での契約をしており、2019年は、Gazprom Export は5.88億立方メートルのガスをMytilinneosに供給した。
(3)Gazprom Neft
回収困難な石油の探査・開発のためのジョイントベンチャーを設立
- Gazprom Neft、Lukoil、Tatneftの3社は、6月29日、オレンブルク州で回収困難な石油を探査開発するための新たなジョイントベンチャー、New Oil Production Technologies社を設立したと発表した。3社は同社を3分の1ずつ均等に保有し、ポートフォリオには、Savitsky鉱区、Zhuravlevsky鉱区が含まれる。
- Savitsky鉱区は900㎞2の面積があり、探査活動はあまり進んでいない。この鉱区の探査プログラムでは6つの井戸の掘削が予定されており、すでに最初の探査及び評価井の掘削は完了している。Zhuravlevsky鉱区はSavitsky鉱区に隣接しており、120㎞2の面積があり、探査プログラムは2020年から2023年にかけて実施される予定。両鉱区でのパイロット開発は2024年に開始される見込み。
Salym鉱区のBazhenov層の開発を開始
- Gazprom Neftは、6月4日、ハンティマンシ自治管区のSalymグループ鉱区で、Bazhenov層の開発準備を開始したと発表した。非従来型石油の商業開発は、2025年に開始される予定で、Salymsky-3 鉱区及びSalymsky-5鉱区では、5億トン以上の埋蔵量があるとされている。同鉱区は、Gazprom NeftとZarubezhneftのジョイントベンチャーのポートフォリオの一部となっている。
- 同社は、Salymsky-3 鉱区では、300㎞3の3次元地震探査を終えており、データ解析を2020年末までに終え、この結果によりBazhenov層と従来型鉱床の地質的解釈を更新する。さらに、Salymsky-3 鉱区では、近く15段階のフラッキング工程を開始する予定となっている。また、隣接するSalymsky-5ブロックでは2020年末までに地質探査作業を開始する計画。
- Bazhenov層は西シベリアに約100万㎞2の面積を持ち、深度2~3㎞に位置する。暫定的な予測では、Bazhenov層の埋蔵量は180~600億トンある可能性が示されている。Bazhenov層での開発に有効な技術は確立されていない。
(4) Novatek
大宇造船海洋がLNG積み替え施設用のLNGバージ2隻を受注
- 韓国の大宇造船海洋は、6月8日、Novatekが計画を進めているムルマンスクとカムチャツカLNG積み替え施設で利用されるLNGバージ2隻を、約9013億ウォン(約7億4,800万ドル)で受注したと発表した。FSUは2022年末までに完成する予定。同契約には、更に2隻を追加するオプションも含まれている。
- LNGバージは、海上でLNG砕氷船からLNGを積み替え、貯蔵し、更に従来型LNG船に荷役する機能を持つ設備。LNGバージはムルマンスクとカムチャツカに設置され、ロシアの北極圏からLNG砕氷船で輸送されたLNGを従来型LNG船に積み替え、それぞれ欧州やアジアに輸送することで、輸送速度を上げ、輸送コストを削減することが期待されている。
4. 東シベリア・極東・サハリン
(1) サハリン
Sakhalin Energyがライセンスを5年間延長
- Sakhalin-2プロジェクトのオペレーターであるSakhalin Energyは、6月18日、1996年5月にロシア政府と締結したオホーツク海のPiltun-Astokhskoye鉱区、Lunskoye鉱区における25年間の開発ライセンスを5年間延長したと発表した。ライセンス期限は2026年5月19日までとなる。
- 同プロジェクトのPSA契約では、さらにライセンスを5年間延長できることになっており、次の更新により、開発ライセンスは2031年までとなる。

出典:http://www.sakhalinenergy.ru/upload/iblock/242/GRI-Report_2019_2704_ENG_FINAL.pdf
5. 新規LNG・P/L事業
(1) Arctic LNG 2
プロジェクトの進捗は現在19%、予定通りに生産開始予定
- Novatekは、6月12日、Arctic LNG 2プロジェクトの参加企業とテレビ会議を実施し、プロジェクトの進捗状況を確認したと発表した。
- 現在、プロジェクトの全体の進捗状況は19%と推定されている。プラントのモジュール生産工場は完全稼働しており、Utrenneye鉱区では3つの掘削リグが稼働していて、9つの生産性が既に掘削されている。プロジェクトの第一トレインは2023年に開始することを予定しており、プロジェクトは予定通り開始される見込みとなっている。
- 一方、Novatekは6月1日に2030年までの北極圏でのLNG生産計画を更新し、これまで2022~2023年に生産を開始予定とされていたOb LNGについて、生産開始時期を2024年に後ろ倒しにした。Novatekは4月末のカンファレンスコールの中で、計画の後ろ倒しの可能性に言及しており、最終投資決定のタイミングも遅らせている。この計画変更による、2030年時点のLNG生産規模には変更はない。

出典:http://www.novatek.ru/common/tool/stat.php?doc=/common/upload/doc/IR_June_2020_Investor_Meetings[1].pdf
(2) TurkStream
ハンガリーがセルビアからのパイプライン建設投資決定
- ハンガリー最大のガス輸送事業者であるFGSZは、6月26日、セルビアから年間6BCMの天然ガスを輸送するための開発計画を承認したと発表した。2021年10月1日には計画を完了する予定。報道によると、このパイプラインはTurkStreamを通じてロシアから供給されるガスを輸送すると見られている。
- これに先立ち、ハンガリーのSzijjártó外務大臣は、6月23日にモスクワでロシアのNovakエネルギー大臣と面談し、エネルギー部門の二国間協力について議論した。Novak大臣は、ロシアがハンガリーへの最大の天然ガス供給国であると述べ、2019年のハンガリーへのガス供給量は、2018年より40%増加して過去最高の10.5BCMに達し、さらに2020年はTurkStreamを経由してブルガリア、ギリシャ、北マケドニアへロシアのガス輸送が始まり、必要なインフラの建設後、ガスはセルビアとハンガリーにも配送される予定だと語った。
以上
(この報告は2020年7月14日時点のものです)
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