ページ番号1008837 更新日 令和2年9月9日

英国:第32次洋上ライセンスラウンドの結果(短報)

レポート属性
レポートID 1008837
作成日 2020-09-09 00:00:00 +0900
更新日 2020-09-09 11:20:24 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 探鉱開発基礎情報
著者 川田 眞子
著者直接入力
年度 2020
Vol
No
ページ数 4
抽出データ
地域1 欧州
国1 英国
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 欧州,英国
2020/09/09 川田 眞子
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概要

  1. 2020年9月3日、英国の石油・天然ガス事業を管轄する行政機関Oil and Gas Authority(OGA)は、昨年12月に締め切られた第32次洋上ライセンスラウンドの結果を発表。65社に対し、113のライセンス(260以上の鉱区および鉱区の一部)が付与された。
  2. 今回のライセンスラウンドの特徴は、(1)成熟鉱区において「イノベート・ライセンス」という、申請者がライセンス期間とフェーズを決めることができる柔軟な条件が認められたこと、(2)ナショナルデータリポジトリ(NDR)を通じてデータにアクセスできるように改善されたこと、である。
  3. 次回のライセンスラウンドについて、2020~2021年のタームには行わないとしている。
  4. 併せて、OGAは、英国政府のネットゼロ目標を支持するために、今後のOGAの戦略を見直すことを明らかにした。詳細は不明であるが、OGAの既存の取り組み(エネルギー統合、フレアリング対策、CCSなど)と関連するものとみられる。また、ビジネス・エネルギー・産業戦略省は、ネットゼロ目標を達成するために、ライセンス制度の見直しに着手したと述べている。今後の動向が注目される。

1. 第32次洋上ライセンスラウンドの概要

2020年9月3日、英国の石油・天然ガス事業を管轄する行政機関Oil and Gas Authority(OGA)は、第32次洋上ライセンスラウンドの結果を発表した。これにより、65社に対し、113のライセンス(260以上の鉱区および鉱区の一部)が付与された[1]

第32次洋上ライセンスラウンドでは、北海中部、北部、南部及びシェットランド沖西部の768の鉱区と鉱区の一部が入札の対象となり、2019年7月11日に受付が始まった。(次ページ図参照。)そして、2019年12月16日、OGAは同ライセンスラウンドの入札を締め切り、入札の状況[2]を発表、245の鉱区と鉱区の一部に対して71社から104の入札があったことを明らかにした。多国籍企業から新規参入企業まで様々な企業から応募があったとしている。


図:第32次洋上ライセンスラウンド対象鉱区(対象はピンクの部分)
図:第32次洋上ライセンスラウンド対象鉱区(対象はピンクの部分)
(OGAプレスリリースより引用。)

2. 特徴:ライセンス条件の工夫とデータ提供の改善

OGAは、このライセンスラウンドにおいて、既存インフラに近い成熟鉱区については「イノベート・ライセンス(the Innovate License)」という柔軟な条件で付与したと述べている。「イノベート・ライセンス」とは、ライセンスラウンド応募者がライセンス期間とフェーズを設定できるものであり、これにより石油会社は自社が望む探鉱開発計画を設定しやすくなる。

また、OGAは新しいデータ提供も積極的に進めており、2019年にはナショナルデータリポジトリ(NDR:National Data Repository)を作成し、オンラインでデータを提供することにより、データのハンドリングとアクセスが大幅に改善されたことを強調している。


3. ネットゼロ目標と今後の戦略の見直し

今回の結果発表の中で、英国政府のネットゼロ目標下におけるOGAの戦略見直しについて言及があった。OGAは、英国の石油・天然ガス需要を満たすために、国内に存在する資源を最大限に活用するという姿勢は変わらないとした上で、ネットゼロへの配慮をコアビジネスに統合する取り組みを加速させ、OGA戦略の見直しに着手すると述べた。この新しい戦略の内容は、今回付与されたライセンスにも適用される見通しである。

見直しの内容については明らかになっていないが、OGAはすでに、「エネルギー統合(Energy Integration)」、フレアリング対策、CCSなどのネットゼロに向けた調査や実証試験を行っておりこれらの取り組みと関係する規制が適用される可能性もある。たとえば、OGAは「エネルギー統合」分野では、北海の石油・天然ガス関連インフラを再生可能エネルギー、水素、CCSで活用するための調査や関係者同士のパートナーシップの強化を行っている。


4. おわりに

次回について、これまでと同様、OGAは2020年~2021年のタームにおいてはライセンスラウンドを行わない方針を発表した。次回のライセンスラウンドについては、改めて産業界と協議して決定する方針である。一方で、9月3日、英国ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS:Department for Business, Energy & Industrial Strategy)は、ネットゼロ目標を達成するために、ライセンス制度の見直しに着手したと述べており、今後の動きが注視される。

OGAは、生産量の減退や政府の気候変動目標など様々な問題に直面している。しかし、今回のライセンスラウンドの結果に見られるように、条件やデータ提供の改善や長期戦略の見直しといった、産業界や政府の要望に応える取り組みを次々に打ち出している。英領北海は成熟油田として知られるが、OGAの取り組みが他の産油国・地域にとっても参考となるかもしれない。


以上

(この報告は2020年9月9日時点のものです)

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