ページ番号1008847 更新日 令和2年9月28日

ロシア情勢(2020年8月 モスクワ事務所)

レポート属性
レポートID 1008847
作成日 2020-09-28 00:00:00 +0900
更新日 2020-09-28 16:40:12 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 基礎情報
著者 秋月 悠也
著者直接入力
年度 2020
Vol
No
ページ数 12
抽出データ
地域1 旧ソ連
国1 ロシア
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 旧ソ連,ロシア
2020/09/28 秋月 悠也
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1. 政治・経済情勢

(1) 国内

政治・経済

2020年第2四半期のGDPは前年比8.5%減
  • ロシア連邦統計局は、8月11日、新型コロナウイルスの影響が最も大きかった2020年第2四半期のGDPは前年比8.5%の減少であったと予備的な見積もりを発表した。これは、前年比8.6%の減少を記録した2009年第3四半期以来、最大の減少幅となった。
  • 8月20日に発表された経済発展省のマクロ経済レビューによると、2020年7月のGDPは前年比で4.7%の減少となった。4月には10.4%、5月は8.9%、6月は6.4%の減少だったため、減少幅は徐々に縮小している。同省によると、主に消費部門の活動の回復が統計の改善に貢献した。サービス部門では、新型コロナウイルスに対する規制が継続しているため、7月は前年比25.5%と大幅な減少を続けているが、6月よりは改善した。
  • 一方、鉱業部門では、7月の指標は前年比で15.1%の減少となり、6月の14.2%よりも減少幅が拡大した。これは、7月もOPECプラスで減産量の維持が合意されたことによると分析されている。失業率についても6月の6.2%に対し、7月は6.3%と、わずかに増加している。
  • また、プーチン大統領は8月11日に政府の会議で、ロシアのGamaleya研究所が開発した新型コロナウイルスのワクチンが世界で初めてが認可されたと伝えた。臨床試験はこれからとなるが、プーチン大統領は、近い将来に大量生産を開始することに期待を示した。

 

安全保障会議に北極圏における国益確保のための部門間委員会を設置
  • プーチン大統領は、8月25日、ロシアの安全保障会議に北極圏における国益確保のための部門間委員会を設置する大統領令に署名した。同委員会の委員長は安全保障会議のMedvedev副議長が務め、関連省庁の大臣、連邦管区の大統領全権代表等が委員会のメンバーとなる。
  • 委員会は、ロシアの国益を確保する必要性を考慮に入れて、北極圏の国際情勢の発展状況と見通しを分析すること、地域における戦略的国家優先事項の実施の進捗状況を評価し、国内及び国外の脅威の特定をすることが機能として含まれる。
  • また、委員会は、北極圏の安全保障と社会経済発展を確保するための政策、ロシアと他国との間の軍事協力、自然および人工的な緊急事態の対策、北極圏開発のための大規模投資プロジェクトへの外国企業参加に関連する安全保障の形成、環境汚染からの人口生態系の保護や合理的な自然管理、安全保障会議への提案と勧告を準備する。

(2) 対外関係

1) 日本

安倍首相との電話会談を実施
  • プーチン大統領は、8月31日、安倍首相と電話会談を実施した。プーチン大統領は、安倍首相が辞任を表明したことに関連し、安倍首相はこれまで建設的に対話を重ねてきた信頼できるパートナーであり、これまでの協力に感謝する旨述べるとともに、日露関係の発展及び両国間の障害除去に向けた貢献を高く評価すると述べた。これに対して、安倍首相は、これまでプーチン大統領と27回の首脳会談を重ねて平和条約交渉を行ってきたことに言及し、依然として未解決の領土問題を解決する重要性を強調し、今後も精力的に交渉が行われることを期待すると述べた。両首脳は、平和条約交渉を継続することを確認した。
  • 両首脳は、8項目の「協力プラン」や人的交流分野も含め、幅広い分野で日露関係が発展してきており、今後とも二国間関係を強化していくことの重要性を確認した。また、両国の人々の利益、アジア太平洋地域全体の安全と安定のために、二国間の親善を強化する継続的な努力の重要性を強調した。

 

2) ベラルーシ

ロシアはルカシェンコ政権への支援を表明
  • プーチン大統領は、8月16日のベラルーシのルカシェンコ大統領との電話会談で、必要に応じて集団安全保障条約機構(CSTO)を通じて必要な支援を提供することを確認した。CSTOは、2002年にロシア、ベラルーシなど旧ソ連の6ヶ国が、それぞれの国で脅威が発生した場合に軍事的な行動を含め相互に支援を行うことに合意し設立されたもの。
  • また、プーチン大統領は、8月18日、ドイツのメルケル首相とフランスのマクロン大統領とそれぞれ電話会談を行い、プーチン大統領はベラルーシへの内政干渉は容認できないと強調し、問題の早期解決への期待を表明した。
  • 一方、EUは、8月28日、外相会合で、ベラルーシの選挙に抗議するデモの取り締まりを担当する20名程度への移動制限と資産凍結を行う方針に合意した。これに対し、ルカシェンコ大統領は、8月28日、ベラルーシに欧州から制裁が課された場合、欧州の輸送ルートを遮断すると述べた。ベラルーシは欧州とロシア間の主要な陸路であり、ロシアから欧州への石油パイプラインも通っている。
  • ルカシェンコ大統領は8月9日に行われた大統領選挙で6度目の当選となったが、選挙に不正があったとして、国内外から抗議の声があがっている。

2. 石油ガス産業情勢

(1) 原油・石油製品輸出税

  • 2020年8月、原油輸出税はUSD 6.4/バレルに引き上げられ、東シベリア及びカスピ海北部の油ガス田等に対しては、引き続きゼロ課税となった。
  • 8月の石油製品輸出税はUSD 14.0/トン、ガソリンについてはUSD 25.7/トンに設定された。

参考:原油及び石油製品輸出税の推移


(2) 原油生産・輸出量

  • 8月、原油、ガス・コンデンセート生産量は4,170万トン(約3億441万バレル、平均日量986万バレル)で、前年同月比12.8%減。
  • 8月、原油輸出量は1,794万トン(約1億3,096万バレル)で、前年同月比23.7%減。

(3) 減産合意

OPECプラスは、市況は改善傾向も引き続き警戒が必要と分析

  • OPECプラスは、8月19日、サウジアラビアのAbdulazizエネルギー大臣を議長、ロシアのNovakエネルギー大臣を共同議長とし、第21回合同閣僚監視委員会を開催した。OPECプラスでは、2020年7月には世界の需給格差が縮小するなど市場の状況が徐々に改善する傾向があることが確認された。一方、新型コロナウイルスの影響の長期化のリスクが増大し、回復の動きが期待よりも遅く、市場の脆弱性と石油需要に関する重大な不確実性があるとされ、すべての参加国に警戒するように求めた。
  • OPECプラスは、7月の全体の減産達成率は97%だったとし、この結果を歓迎した。また、すべての参加国が100%の適合を達成し、5月から7月に各国が達成できなかった不足分を補うことが公正であるだけでなく、継続的な需給の再均衡のための努力と石油市場の長期的安定を支えるために不可欠であるとして、参加国は2020年9月までにそれぞれの不足分を補うことを確認した。
  • Novakエネルギー大臣はOPECプラスの会合後のインタビューで、OPECプラスの減産量が高いレベルで達成されたことを評価し、非OPEC国とG20諸国は、米国の200万バレル/日を含む300万~350万バレル/日を削減しており、市場の均衡に重大な貢献をしていると述べ、状況を楽観視していると述べた。
  • 8月からは予定通り、減産量は970万バレル/日から770万バレル/日に縮小されている。

(4) 天然ガス生産

  • 8月、天然ガス生産量は532億立方メートル(約1.9TCF)で、前年同月比で4.3%減。

(5) 税制・法制

財務省が追加収入税の変更を提案

  • 報道によると、財務省は、7月末に追加収入税の係数を修正し、税収を増加させるための法案を政府に提出した。追加収入税は、新規鉱床及び回収困難な鉱床の開発促進を促進するため、試験的に一部地域を対象に2019年1月1日から導入された。しかし、新税制の導入により、2019年の税収が減少したことが指摘されており、財務省は税制の変更の必要性を訴えていた。追加収入税の対象となっている鉱区の石油生産量は年間約5,000万トンで、ロシアの生産量の10%にあたるとされている。
  • 財務省の修正の提案内容は主に2点ある。1つ目は、これまで100%の控除が可能だった過去の損失の繰り越しについて、課税ベースを50%以上減少させることを禁止し、過去の損失のインデクセーション係数を2020年に16.3%から7%に引き下げ、控除の上限が引き下げられる。2つ目は、追加収入税の対象となる第2グループの交渉に対して、鉱物抽出税の軽減係数ではなく、1.5の加重係数がかけられる。第2グループは一部地域の回収困難な石油開発プロジェクトに適用が可能となっている。財務省によると、これらの変更により、向こう3年間で約2,000億ルーブルの増収を見込む。
  • これに対し、RosneftやGazprom Neft等の石油会社は、この税制の変更によりプロジェクトに影響を及ぼし、10年間で6億トン、歳入が4.5兆ルーブルの減少に繋がるとプーチン大統領に書簡で訴えた。報道によると、プーチン大統領は財務省に石油会社からの訴えを検討するように指示を出した。

 

ロシア政府はEUの炭素税に対する対応を検討

  • ロシア安全保障会議のMedvedev副議長は、8月26日、EUが国境を越えた特定の製品に対して炭素税を課すこと検討していることについて、鉄鋼業、非鉄産業、化学産業、エネルギーなど、ロシアの基本的な産業が苦しむ可能性があり、石油と石炭の消費は大幅に削減される可能性があると述べた。また、ロシア科学アカデミーが算出した国内輸出業者の経済的損失が数十億ユーロに達するとの試算も紹介した。その上で、EUでそのような決定がされた場合、ロシアは最も脆弱な企業と産業を支援する方法を考える必要があるとの考えを示した。
  • また、Medvedev副議長は、炭素税のようなメカニズムが制限や条件なしで導入された場合、気候変動対策を利用して国際競争力を制限することを許可しないとする国連気候変動枠組み条約を含む既存の国際協定に反することになると主張した。
  • ロシアは今年中に温室効果ガス排出規制の法律を策定する予定となっている。

3. ロシア石油ガス会社の主な動き

(1) Rosneft

Sechin社長がプーチン大統領と面談

  • Sechin社長は、8月18日、プーチン大統領と面談し、新型コロナウイルスの影響とOPECプラスの減産合意の取り組み等について議論を行った。
  • Sechin社長は、新型コロナウイルスの拡大の中で従業員の健康と安全が最優先事項であると述べ、生産活動に支障がない範囲で在宅勤務を最大化していると伝えた。また、シフト制で働く労働者の疫学的状況を継続的に監視することで、感染の拡大を特定することが可能としている。
  • 減産の対応については、同社長は、鉱区の効率を順位付けし、損失を最小限に抑えるために主に低効率の枯渇鉱区で生産を削減していると説明した。
  • また、Sechin社長は極東での石油処理能力が不足していると訴え、コムソモリスクとハバロフスクの2つの製油所で約300万トンを供給しているが、総消費量は約600万トンであり、約半分を他の地域から輸送していて、価格が高くなっていると説明した。このため、ナホトカで計画されていた、Eastern Petrochemical Company(VNKhK)の石油化学工場所プロジェクト(FEPCO)を再開するため、30年間、収益を確保する税制を作るようにプーチン大統領に訴えた。プーチン大統領は、Sechin社長に対し、提案を作成して出するように求めた。Rosneftは2019年5月のプレスリリースで、同プロジェクトの投資額は全体で最大1.5兆ルーブルと見積もられており、この巨額のプロジェクトは安定的で魅力的な財務体制や、周辺社会インフラの建設などの政府の支援が必要となっていたが、政府の支援は得られず、プロジェクトへ影響を及ぼす50もの税制変更がされてきたため、中止を決定したと発表していた。一方、政府との対話を継続するとも明言しており、安定的で優れた規制条件が示されれば、Rosneftはこのプロジェクトを再開する準備があるとも説明していた。
  • Vostok Oilプロジェクトについては、West Irkinskyの31番油田で最初に生産された最初の石油をプーチン大統領に渡し、硫黄分が0.02%とし、1バレルあたり11ドルのプレミアムがつくという評価もあると述べ、中東よりも優れた原油の品質であると主張した。
  • Sechin社長はKara海及びTaimyr半島でも活動していると説明し、世界の経済危機の終わりに向けて、2023年、2024年に成長が見込まれる市場に新しい石油を供給できるよう、準備を進めていると説明した。
プーチン大統領とSechin社長の会談
プーチン大統領とSechin社長の会談
写真出典:http://kremlin.ru/events/president/news/63904

(2) Gazprom

Portvaya LNGプロジェクトの開始を2021年に後ろ倒し

  • 8月に発表されたGazpromの2020年第2四半期報告によると、レニングラードのPortvayaコンプレッサー基地付近に建設されている年間150万トンの容量を持つLNG基地の開始は2021年とされた。同プロジェクトは2018年から数度にわたり延期されていたが、今年6月には建設が最終段階にあると発表されていた。延期の理由は明らかにされていないが、報道ではガス需要の低下が指摘されている。
  • LNG基地ではLNGタンカーへの積み込み、LNGバンカリング、陸上輸送が計画されている。また、必要に応じてカリニングラードの3.7BCMの再ガス化施設にも供給が可能とされている。

(3) Gazprom Neft

Novoportovskoye鉱区の北部で本格開発を開始

  • Gazprom Neftは、8月21日、同社の北極圏の主要な資産であるNoroportovskoye鉱区の北部(ヤマロネネツ自治管区)で本格的な開発を開始したと発表した。この開発により、同社の北極圏での石油生産量は2021年にピークである800万トン/年に達する見込み。同地域の開発は2016年に開発された。
  • Novoportovskoye鉱区の北部の可採埋蔵量は、2,780万トン以上の石油と28.5BCMのガスとされており、投資額は860億ルーブルとなる。同地域の開発の課題は、基本的なインフラから遠いことにあり、現在、電力供給を確実にするための変電所の建設が完了しようとしている。
  • 北部ではすでに2つのウェルパッドが開発されており、さらに8つのウェルパッドを開発する予定。最初の井戸は全長3,395メートル、水平面で999メートルの長さがあり、水圧破砕法が利用されている。生産された炭化水素はオビ湾の港から輸送される。
Novoportovskoye鉱区の北部の地図
Novoportovskoye鉱区の北部の地図
出典:https://www.gazprom-neft.com/press-center/news/full_scale_development_of_the_northern_section_of_gazprom_neft_s_novoportovskoye_field_has_now_begun/にJOGMEC加筆

(4) Novatek

チェリャビンスク州で小規模LNGプラントを稼働

  • Novatekは、8月26日、チェリャビンスク州のMagnitgorskで、初めての小規模LNGプラントを立ち上げ、パイロット生産を開始したと発表した。立上げに際し、Borisov副首相が出席し、式典が執り行われた。LNGプラントは年間4万トンの生産能力を有する。
  • 生産されたLNGは、主に、Novatekが積極的に市場を開発している天然ガス自動車燃料として販売される。同社は、チェリャビンスク州とその周辺地域にある旅客、貨物輸送、鉱山機械向けの燃料補給施設にLNGを供給する。
  • 主要な技術機器は、極低温技術を専門とするロシアのJSC NPO GELIYMASHから供給され、建設されたとされる。

 

North Russkiyクラスターで生産開始

  • Novatekは、8月3日、子会社のNOVATEK-TarkosaleneftegasがNorth RusskiyクラスターのNorth-Russkoye鉱区及びEast-Tazovskoye鉱区のガスコンデンセートを含有する地層からのパイロット生産を開始したと発表した。鉱区はヤマロネネツ自治管区に位置し、年間生産量は天然ガス7.7BCM、ガスコンデンセート100万トンを予定している。同社のMikhelson社長は、プレスリリースの中で、生産された天然ガスはロシア国内市場に供給される予定で、最近数ヶ月の状況では国際市場と比較して国内市場の方が安定しているとしており、統合ガス供給システムへのガス生産の増加は同社の戦略の主要な優先事項の一つであると述べた。
  • 同クラスターにはDorogovskoye鉱区、Kharbeyskoye鉱区も含まれ、2020年~2021年に順次生産を開始し、生産能力は合計で年間13BCMになるとされている。これらの鉱区は互いに隣接しており、ガス処理や輸送のインフラの費用を最適化することができるとされる。

4. 東シベリア・サハリン・極東

(1) サハリン

ミシュスチン首相がサハリン北部の油ガス田の生産再開検討を指示

  • ミシュスチン首相は、8月31日、エネルギー省がRosneftとともに、7月に停止されたサハリン北部での生産について、9月25日までに油ガス田の再開を検討するように指示をした。ミシュスチン首相は8月13日から18日まで極東連邦管区に出張し、それに関連して極東の医療、農業、ガス化、電力等について関係省庁に指示をした。
  • Rosneftは、7月21日、OPECプラスの減産合意に準拠するため、RN-Sakhalinmorneftegazがサハリン北部の油ガス田の生産を一時的に制限していると発表した。7月13日、ハバロフスクでOkha-Komsomolsk-on-Amurパイプラインが破裂したため、生産を制限している間、この代替パイプラインの構築も検討するとされていた。
  • また、ミシュスチン首相は、Sakhalin-1プロジェクトからサハリンの消費者向けにガスを供給することについて、9月10日までに政府に提案を提出するよう、エネルギー省等に指示をしている。

(2) 極東

Gaspromがカムチャツカのインフラ建設へ

  • プーチン大統領は、8月12日、カムチャツカ州のSolodov知事代行とテレビ会議を行い、カムチャツカでのガス化について議論を行った。Solodov知事代行は、2007年以降のカムチャツカのガス化プログラムにより、ガス供給インフラが構築され、ガス化が促進されてきたが、ガスの生産は計画水準に達しないと述べた。計画では7億立方メートルだったが、現在の生産水準は2.5億立方メートルに留まり、将来的には1.5億立方メートルに減少するため、地域のエネルギー安全保障を確保できないと訴えた。このため、同知事代行は、現在Novatekがカムチャツカで計画しているLNG積み替えターミナルのプロジェクトの一環として、カムチャツカ南東のAvacha湾に浮体式再ガス化基地を建設し、カムチャツカにガスを供給する案について、政府とGazpromが必要なインフラを建設するようにプーチン大統領に支援を依頼した。プーチン大統領はこの提案に完全に同意し、検討を行うと伝えた。
  • カムチャツカはGazpromの統一ガス供給システムの領域外となるため、ロシアの法律ではGazpromにインフラを建設する義務はなく、必要なインフラ建設のための費用負担については問題が残っている。
  • Solodov知事代行は、8月27日、GazpromのMiller社長と会談を行い、ガス配送施設とパイプラインの建設に合意したとされる。また、ミシュスチン首相は、8月31日、エネルギー省等の関係省庁に、GazpromとNovatekとともに、10月5日までにカムチャツカでのガス供給を確保するための行動計画を作成するように指示をした。検討事項にはカムチャツカにLNG積み替え基地を建設することを考慮したガス輸送インフラの建設することと、必要資金額、資金源の検討も含まれる。
  • Novatekは、北極圏で生産したガスをアジア太平洋地域に輸出するため、カムチャツカで砕氷船から通常のLNGタンカーに積み替える施設の建設を計画している。
プーチン大統領とSolodov知事代行との会談
プーチン大統領とSolodov知事代行との会談
写真出典:http://kremlin.ru/events/president/news/63881

5. 新規LNG・P/L事業

(1) Yamal LNG

UAEへLNGを初出荷

  • Novatekは、8月28日、Yamal LNGプロジェクトから、初めてスポット契約でアラブ種国連邦(UAE)にLNGを輸送したと発表した。LNGは欧州で積み替えられ、UAEのJebel AliのLNGターミナルに輸送された。
  • NovatekのFeodosyev第一副社長は、プレスリリースの中で、UAEへの最初の出荷によりLNG供給の地理的範囲を拡大したと述べた。また、ロシア北極圏の高品質な資源基盤、NovatekのLNGプロジェクトに備えられた最先端テクノロジー、実績のあるロジスティックソリューションは、ほぼすべての世界のLNG市場へのコスト競争力のある供給を保証すると主張した。
  • Novatekによると、Yamal LNGからは欧州の他、中国、タイ、インドなどのアジアに加え、ブラジルにもLNGの輸送実績がある。また、Novatekは6月に初めて日本への輸送を行ったと発表している。
Yamal LNGからのLNG輸送先
Yamal LNGからのLNG輸送先
出典:http://www.novatek.ru/common/tool/stat.php?doc=/common/upload/doc/IR_June_2020_Investor_Meetings[1].pdf

(2) Nord Stream 2

露独外相会談でパイプラインの完成に言及

  • ロシアのLavrov外務大臣とドイツのHeiko Maas外務大臣は、8月11日に行われた会談で、Nord Stream 2について議論を行った。Lavrov外務大臣は、会談後、Nord Stream 2の参加企業は、このプロジェクトを完成させる予定であり、これが近い将来に実現されると信じる理由があると語った。また、純粋に商業的なプロジェクトを支持するドイツの立場を高く評価し、プロジェクトは天然ガス供給ルートの多様化と欧州のエネルギー安全保障の強化に貢献すると付け加え、Nord Stream 2は他国ではなく欧州自身で評価されるべきだと強調した。
  • また、Heiko Maas外務大臣は、エネルギー源をどこから購入するかは、我々の主権的な決定であり、域外制裁が国際法に違反しているかをEUレベルで議論していると述べた。
  • 米国は、7月、米国敵性対抗法(CAATSA)の232条のガイドラインを改定し、Nord Stream 2及び、Turk Streamの2番目のパイプラインを制裁対象にすることを明確にしている。 
  • 一方、Nord Stream 2に融資を行っているドイツのUniper社は、2020年上半期の報告書において、パイプラインの建設が遅延または完成しない可能性が高まっていると言及した。同社は、Shell、Engie、Wintershall、OMV各社と同様に最大9億5,000万ユーロを融資する契約をしており、プロジェクトが米国の制裁により完成できなかった場合、提供したローンを損失として計上する可能性について初めて言及した。

(3) シベリアの力 2

モンゴル政府との覚書を締結

  • Gazpromは、8月25日、Miller社長とモンゴルのフレルスフ首相とテレビ会議を通じて、モンゴルを経由してロシアから中国にガスを供給するパイプラインプロジェクトに関する協力について議論を行ったと発表した。また、会議の中で、Miller社長とモンゴルのSodbaatar副首相は特別目的会社設立に関する覚書に署名した。この覚書に基づいて同社はガスパイプラインの建設と運用に関する実施可能性調査を実施する。
  • プーチン大統領は、2019年9月にシベリアの力2パイプラインについて、モンゴル経由で中国にガスを輸出するルートを検討するようにMiller社長に指示をしており、Gazpromはモンゴルと2019年12月にパイプラインプロジェクトの共同評価を行う合意をしている。現在、Gazpromは年間50BCMの容量のパイプラインを建設する検討を行っている。

以上

(この報告は2020年9月28日時点のものです)

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