ページ番号1008849 更新日 令和2年9月28日

政争が解決するも先行き不透明なガイアナの探鉱・開発

レポート属性
レポートID 1008849
作成日 2020-09-28 00:00:00 +0900
更新日 2020-09-28 16:40:12 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 探鉱開発基礎情報
著者 舩木 弥和子
著者直接入力
年度 2020
Vol
No
ページ数 8
抽出データ
地域1 中南米
国1 ガイアナ
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 中南米,ガイアナ
2020/09/28 舩木 弥和子
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概要

  1. ガイアナでは、2020年3月2日に総選挙が実施され、Granger大統領率いる与党連合APNU+AFCが勝利宣言をしたものの、野党PPPが開票に不正があったと主張、正式な選挙結果が出ないままの状況が続いていた。8月2日に選挙管理委員会が野党の勝利を発表し、PPPの大統領候補Irfaan Ali氏が大統領に就任した。選挙結果が出ないため、政治が安定せずに、石油開発が遅延するのではないかと懸念されていたが、その懸念は払拭された。
  2. ExxonMobilは沖合Stabroek鉱区でこれまでに掘削した18坑で石油を確認し、同鉱区の可採埋蔵量は80億bbl以上とされている。2019年12月に生産を開始した同鉱区のLiza油田は、ガス圧入機材に技術的な問題が発生し、2020年6月と8月に一時的な生産削減を余儀なくされた。Liza油田開発第2フェーズは予定通り進められているものの、Stabroek鉱区の第3フェーズ、Payara油田の開発はIrfaan Ali新政権の承認待ちの状況となっている。Stabroek鉱区以外では、ExxonMobilがKaieteur鉱区での掘削を開始、Eco AtlanticがOrinduik鉱区で2021年に少なくとも探鉱井2坑を掘削予定と探鉱が進展する鉱区もあるが、Tullow Oilが2020年にはガイアナ沖で掘削を行う計画はないと表明する等原油価格下落やCOVID-19の影響を受けるプロジェクトもある。
  3. Irfaan Ali政権の探鉱・開発政策はまだ明らかになっていないが、ExxonMobil以外の企業との契約についての調査や再交渉、国内調達比率の引き上げ、石油産業を監督する政府機関の再編成などが検討されているようだ。

(出所:LatAmOil、Platts Oilgram News、International Oil Daily、BNamericas他)


1. 総選挙の結果をめぐる政争が決着

ガイアナでは2018年12月21日に国会でDavid Granger政権に対する不信任案が成立したが、Granger政権がこれを受け入れず、ガイアナの最高裁にあたるカリブ共同体の司法機関、カリブ司法裁判所(Caribbean Court of Justice:CCJ、トリニダード・トバゴ)でこの不信任決議についての審理が行われた。2019年6月にCCJはこの不信任案は有効であると判断し、2020年3月2日に総選挙が実施された。一旦はGranger大統領率いる国民統一連携党(APNU)を中心とする与党連合APNU+AFCが勝利宣言をしたものの、野党、人民進歩党(People’s Progressive Party、PPP)側が開票に不正があったと主張、米国や英国、欧州連合(EU)なども、開票結果の信頼性に疑問があると共同声明を出した。さらに、選挙監視団を派遣していたカリブ共同体(CARICOM)や米州機構(OAS)もこれに同調した。これを受け、票の再集計と裁判が繰り返されたが、正式な選挙結果が出されず、反政府抗議行動が頻発していた。

ようやく8月2日に、ガイアナの選挙管理委員会(GECOM)は先の総選挙の開票に不正があったことを認め、野党の勝利を発表し、PPPの大統領候補であるIrfaan Ali元住宅相(40歳)が大統領に就任した。退任が決まったGranger氏は、選挙管理委員会の発表を合法的な結果として尊重すると述べた。一方、Ali新大統領はPPP党首であるBharrat Jagdeo前大統領を副大統領に指名した。

選挙結果をめぐる混乱から、政治が安定せずに、石油開発が遅延する可能性が懸念されていたが、2018年末から続いていた政治的な行き詰まりが解消されたことで、ひとまずその懸念が払拭されることになった。


2. ガイアナの探鉱・開発状況

Stabroek鉱区を中心に油田発見が続き、Liza油田が発見後4年半で生産を開始するなど、ガイアナでの探鉱・開発は順調に進んできた。しかし、2020年に入り、新型コロナウイルス感染拡大による需要の減少や原油価格下落、ガイアナ国内の政治状況等に影響を受け、探鉱・開発作業が遅延の傾向にある。


(1) Stabroek鉱区での探鉱状況

ExxonMobilは2015年5月に沖合Stabroek鉱区で掘削したLiza-1号井で石油を確認したのを手始めに、2019年末までの段階で同鉱区に掘削した15の坑井で油層を確認した。同社は、油層確認、評価に伴い、同鉱区の可採埋蔵量を2018年12月に50億bbl、2019年3月に55億bbl、7月に60億bbl、9月には60億bbl以上と上方修正してきた。そして、2020年1月には、2019年9月と12月に掘削を終了したTripletail-1号井とMako-1号井の評価を行った結果、同鉱区の可採埋蔵量が80億boe以上であると発表した。

さらに、2020年1月にはExxonMobilが、Liza油田北東16キロメートル、水深1,933メートルの海域でドリルシップNoble Tom Maddenを用い掘削した探鉱井Uaru-1号井で29メートルの砂岩の油層を確認したと発表した。

そして、7月には、ExxonMobilのパートナーであるHessが、ドリルシップStena Carronを用いStabroek鉱区の、2019年4月に原油が確認されたYellowtail-1号井の南東1.6キロメートルの海域で掘削したYellowtail-2号井でも高品質の油層を確認したことを明らかにした。またExxonMobilでも、COVID-19の影響で掘削作業が滞るなどの遅延が一時発生したが、6月末には作業を再開したこと、またドリルシップNoble Don Taylorが7月中旬に同鉱区に到着し、2か月をかけてRedtail-1号井を掘削予定であること、そして、同鉱区全体でドリルシップ4隻が作業中であることなどを明らかにした。

9月8日、ExxonMobilは、Stabroek鉱区で掘削したYellowtail-2号井およびRedtail-1号井で、Uaru-1号井に続く同鉱区で17番目、18番目の原油埋蔵を確認したと発表した。Yellowtail-2号井では、ネットペイ21メートルの砂岩の油層が確認された。周辺で発見された油田との共同開発が可能かどうかを評価中であるという。また、Yellowtail-1号井の北西2.5キロメートル、水深1,878メートルの海域で掘削されたRedtail-1号井では、70メートルの砂岩の油層が確認された。両井はTripletail(2019年9月発表)、Longtail(2018年6月発表)等を含むStabroek鉱区南東部のクラスターの一部で、Apacheが3坑井で炭化水素を確認したスリナムのBlock 58にも近い。

Stabroek鉱区では2019年末までに掘削された15坑、そして2020年に掘削された3坑を加え、合計18坑で油層が確認されたことになるが、Hessは同鉱区にはさらに多くの炭化水素資源が賦存している可能性を確信しているとしている。同社によると、Stabroek鉱区の貯留層の質は非常に良好であるため、生産量単位あたりの開発コストは低く、追加探鉱ポテンシャルも非常に大きいという。また、Credit SuisseのアナリストBill Featherston氏は、Uaru-1号井の結果発表後、同鉱区内には他にも25の構造があり、埋蔵量はさらに追加される可能性があると語った。

なお、Stabroek鉱区の権保有益比率は、ExxonMobil(オペレーター)45%、Hess30%、CNOOC25%となっている。


(2) 先行開発が進むLiza油田の生産状況

ExxonMobilは2019年12月に、ガイアナ沖合190キロメートルに位置するStabroek鉱区、Liza油田の生産を開始した。Liza油田の石油生産量は12月が35,607b/d、2020年1月が56,320b/dと増加し、その後も浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備(Floating Production, Storage and Offloading system:FPSO)Liza Destinyの生産能力12万b/dまで生産量を引き上げるべく、ランプアップ作業が行われていた。

2020年1月中旬には、ExxonMobilがチャーターしたタンカーYannis P(積載可能量約945,000bbl)がガイアナに到着してFPSOからの原油積載が行われた。Liza原油(API比重32.1度)約100万bblが出荷され、これがガイアナ初の原油輸出となった。また、少なくとも政府引取分の原油はBrent原油のスポット価格に基づいて販売されているようであり、最初の3カーゴは積載日確定後のBrent原油のスポット価格に基づいた価格でShellに売却されたと報じられている。

しかし、3月になると、Stabroek鉱区での掘削は継続されたものの、COVID-19の影響で関係者のガイアナ現地出張が制限されるなど、開発遅延のリスクが伝えられるようになった。パートナーのHessが、2020年の設備投資を当初計画よりも25%削減し22億ドルとすると発表したが、ガイアナでの探鉱、評価、開発は継続すると表明したのもこの時期である。

6月には、ガイアナの環境保護庁(Environmental Protection Agency:EPA)が、Liza油田でガス圧入機材に技術的な問題が発生し、8万b/dまで増加していた石油生産量が2.5~3万b/dに減少していることを明らかにした。ガイアナEPAはフレア可能なガスの量を15MMcf/dと定めているのだが、COVID-19感染拡大防止のため、ガス圧入機材修理のためのメンテナンスチームを派遣することができず、フレア量を制限内に抑えるためには生産量を制限せざるを得なかったのである。この状況により、6月中旬までにFPSO Liza Destinyの生産量を12万b/dまで引き上げるというExxonMobilの当初の計画を達成することは困難となったと見られた。

しかし、その直後、ExxonMobilは、Liza油田の生産減退はプロジェクト開始時の一時的なもので、圧入機材の修理を速やかに終え、生産量も今後数週間のうちにFPSOの生産能力上限の12万b/dに達する見通しであると発表した。実際、ExxonMobilは6月中旬までにはLiza油田の3基のコンプレッサーのうち2基を復旧させ、ガス再圧入を再開、フレアされるガスの量も15MMcf/d以内に抑えつつ、生産量を8万b/dに戻すことが可能になった。Hessも6月中旬に、2020年下半期にはFPSO Liza Destinyの生産能力の12万b/dまで生産量が増加するとした。また、ExxonMobilのChapman上級副社長は7月に、Liza油田の生産量は2020年第2四半期にFPSOのフル生産能力12万b/dを「実証」したと述べている[1]

また、ExxonMobilは6月にCOVID-19感染拡大防止のため中断していたガイアナ沖での掘削作業も再開した。Baker Hughesによると、ドリルシップ4隻のうち2隻が作業に戻った。

ところが、EPAは8月21日、ガスの再圧入の問題が再び深刻化して、ExxonMobilがStabroek鉱区の生産量を10万b/dに制限していることを明らかにした。これまでにも述べたとおり、ExxonMobilは、早期にFPSOの生産能力上限12万b/dまで生産量を引き上げる予定だったが、再度、ガス圧入装置の機械的な問題により、全ての随伴ガスを再圧入することができないため、ガスのフレアを抑えるために、生産量を制限しているという。生産状況について、その後報道はない。


[1] https://www.reuters.com/article/us-guyana-oil-exxonmobil/exxon-limits-guyana-crude-output-due-to-more-gas-injection-issues-idUSKBN25H2N7


(3) Stabroek鉱区の開発状況

2020年初までは、Liza油田の開発第2フェーズで使用されるFPSO Liza Unity(生産能力22万b/d)は建造中で、2022年中頃に生産を開始する予定であり、また2019年末に政府に開発計画を提出し承認待ちの状態となっているStabroek鉱区の開発第3フェーズ、Payara油田の生産(生産能力22万b/d)は2023年に開始する計画とされていた。

2020年3月にはHessが、Liza油田開発第2フェーズは計画よりも早く進められており、2022年中頃としていた生産開始は2021年第4四半期末か、2022年初めになる可能性があるとしていた。

ところが4月になると、ExxonMobilがCOVID-19の拡散により2020年の資本支出を約30%削減すると発表した。そして、ガイアナに関しては、Liza油田開発第1、第2フェーズについては予定通り実施するものの、Payara油田の開発については、選挙をめぐる問題から承認が遅れていることもあり、6か月から1年の遅れが生じるとした。

さらに、5月に入ると、ExxonMobilのCEO、Woods氏が、ガイアナは引き続き同社の長期的な成長計画の不可欠な部分であるが、政治の先行きの不確実性とCOVID-19感染拡大防止ため作業員のローテーションに問題が生じた結果、Stabroek鉱区の開発計画全体が6か月から1年遅れることになると語った。ExxonMobilは、Stabroek鉱区で2025年に75万b/dを生産する計画であったが、この判断により75万b/d生産の達成時期も2026年に先送りされることになった。

冒頭説明したとおり、8月に、David Granger前大統領に代わりMohamed Irfaan Ali氏が大統領に就任することになり、速やかにPayara油田の開発が承認されることが期待された。ところが、Irfaan Ali大統領は、このプロジェクトを承認する前に「副大統領に依頼し、様々な利害関係者との会議を開催し、これまでに行われてきたプロセスの見直しを行う。そのために、国際的な専門家を雇用し調査を行わせる」と述べた。そして、英国を拠点とするコンサルタント会社Bayphaseが作成した資料を、カナダの専門家チームにさらに見直しさせているという。一方のExxonMobilは、9月中にPayara開発を進めるかどうかを決定したいと考えているという。

なお、ExxonMobilは3月に、Stabroek鉱区の4件目の開発となるHammerhead油田の開発計画をEPAに提出した。Liza油田開発第1、第2フェーズ、Payara油田開発と類似した計画で、2022年より開発井の掘削を開始し、26~30坑の坑井を掘削、石油生産能力15~19万b/d、貯蔵能力160~200万bblのFPSOを用いて2024年中ごろに生産を開始するという内容になっている。生産期間は20年を予定している。

図1.ガイアナおよびスリナム鉱区図
図1. ガイアナおよびスリナム鉱区図
(各種資料を基に作成)

(4) Stabroek以外の鉱区の探鉱状況

ExxonMobilは2020年2月に、同年中にStabroek鉱区の東に隣接するCanje鉱区で掘削を行う計画であることを明らかにした。ExxonMobilはStabroek鉱区の北に隣接するKaieteur鉱区でも掘削を計画しているが、2020年に掘削を行わない可能性もあるとしていた。ところが、ExxonMobilは8月にドリルシップStena CarronによりKaieteur鉱区の水深2,900メートルの海域でTanager-1号井の掘削を開始したと報じられている。掘削長は8,000メートルの予定であり、約90日かかると見られている。

また、Corentyne鉱区とDemerara鉱区でオペレーターを務めるカナダ企業、CGX Energyは5月に、新型コロナウイルスのパンデミックの影響で人員の入れ替え等ができないため、両鉱区での作業に影響が生じ、掘削が遅れる可能性があることを明らかにした。CGX Energyは2020年11月にUtakwaaka-1号井を掘削する計画だったが、政府と代替案について協議を行っているとも報じられている。CGX Energyは従業員の健康と安全を守るため事務所を閉鎖し、カナダ、ガイアナ、米国の自宅で勤務ができるよう調整を行ったという。Corentyne鉱区とDemerara鉱区の権益33.33%を2019年5月にCGX Energyから取得してファームインした、カナダ企業Frontera EnergyのCEO、Richard Herbert氏も8月7日、政治的な行き詰まりに終止符が打たれたことを受け、ガイアナ沖での掘削計画を加速させる方針を明らかにした。

また、Tullowがオペレーターを務めるOrinduik鉱区のパートナー、カナダのEco Atlanticは2020年2月に同鉱区の想定資源量を39.8億boeから51.4億boeに上方修正したことを明らかにした。そして、7月にはOrinduik鉱区で2021年に少なくとも探鉱井2坑を掘削予定であるとした。

また、そのTullow Oilは2020年1月初めに、Kanuku鉱区で探鉱井Carapa-1号井を掘削(掘削長3,290メートル)し、ネットペイ4メートルの油層を確認した。掘削前の見通しを下回ってはいるとのことだが、API比重27度、硫黄含有率1%未満の原油を確認したという。Tullow Oilは、同鉱区の今後の開発計画について、ガイアナとスリナムの3坑井から得られた結果を分析しており、これらを統合して将来の作業プログラムを決定することしたとしている。その後1月末には、Tullow OilのCOO、Mark MacFarlane氏が、同社は2020年にガイアナ沖で掘削を行う計画はないと表明した。同鉱区の権益保有比率はオペレーターのRepsol37.5%、Tullow37.5%、Total25%となっている。


3. 新政権の探鉱・開発政策

Irfaan Ali政権成立直後は、同政権が上流投資の誘致を目指したGranger政権のアプローチを維持し、停滞していた上流プロジェクトの承認を進めることを優先するだろうとの見方がなされていた。しかし、現時点で、Irfaan Ali政権の探鉱・開発政策について全体像はまだ明らかにされていない。

契約条件の変更について、PPPは総選挙前に、選挙で勝利した場合、ExxonMobil以外の企業との契約については調査、再交渉を行うが、ExxonMobilとの契約について再交渉することはないとしていた。ExxonMobilは先駆的に投資を行ってきており、リスクのあるフロンティアへの投資を確保するためには魅力的な条件が必要であることから、他の石油会社とはケースが異なるためだという。今後、ExxonMobil以外の企業との契約条件を調整する可能性が高い。ただし、原油価格の低迷や、Stabroek鉱区以外で発見された油田の商業開発の可能性について技術的な問題が発生する可能性もあるため、政府は契約の見直しを遅らせるか、あるいは最終的には契約条件の再交渉を行わないことになるかもしれない。

一方で、PPPは選挙前、ExxonMobilとの契約についても管理、運営を改善し、ガイアナの製品やサービスをより多く利用すべきだと指摘していた。そして、8月下旬には、新政権が、実際に沖合石油探鉱・開発部門における雇用や物品、サービスの調達において、国内調達の要件(いわゆるローカルコンテンツ)を引き上げようとしているとの報道がなされるようになった。そして、8月27日には、Ali大統領が、ローカルコンテンツについて協議し、勧告の草案を作成するパネリストを任命した。このような状況から、国内調達比率について、その要件とガイアナの技術、物品、サービスの調達の現状とのバランスが取れなければ、探鉱・開発プロジェクトを遅らせる可能性があるとの懸念の声が出ている。

また、8月中旬には、Vikram Bharrat天然資源相が、Irfaan Ali政権が同国の石油産業を監督する政府機関を再編成する可能性があると述べた。これまでは、大統領府の一部であるエネルギー局が、石油・ガス関連のほとんどの問題を扱ってきたが、Irfaan Ali政権はこれを天然資源省に吸収し、天然資源省に炭化水素部門を担当させる可能性を検討しているという。新政権がこの件についていつ決定を下すかについてVikram Bharrat天然資源相は言及しなかった。

このような新政権の動向に対しては、米州開発銀行(IDB)が、いわゆる「オランダ病」のリスクを軽減するために設立された天然資源基金(6月末時点の積立額:198億ガイアナ・ドル(9,470万ドル))が設定されてはいるが、より広範な財政的枠組みがあると好ましい、石油委員会の創設等強力な独立した規制機関が必要、また国内調達比率に関する政策を進めるための知見の構築が必要との見解を表明している。また、ガイアナの政策・リスクアナリストであるBobby Gossai氏はカリブ評議会(Caribbean Council)が主催する講演で、天然資源基金の透明性の向上と効果的なガバナンスの必要性を強調するとともに、中流・下流を含むバリューチェーン全体を網羅するための新たな規制、法制の枠組みを提言、さらに、石油委員会や国営石油会社のような新たな機関の設立を提案した。この他にも、精製能力は世界的に過剰な状況なので、新規に製油所を建設すべきではないこと、ガソリンに補助金を出すべきではないこと、知見、経験を有する人材確保のため二重国籍者を歓迎すべきこと、天然ガスを収益化する可能性を考慮すべきこと、産油国になったからといってすぐに生活に大きく変化は生じないことを国民に理解させる必要があること、等の指摘をしている。

政府がこれらの助言を参考にして、探鉱・開発を推進して行けるのか、今後の状況を注視したい。


以上

(この報告は2020年9月24日時点のものです)

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