ページ番号1008994 更新日 令和3年6月1日
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1. 政治・経済情勢
(1) 国内
政治・経済
ロシアで3番目の新型コロナウイルスワクチンKoviVACを承認
- ミシュスチン首相は、2月20日に開催された政府の会議の中で、ロシアで3番目の新型コロナウイルスワクチンとなるKoviVACが登録されたと発表された。KoviVACはロシア科学アカデミーのChumakov研究所が開発した。同首相によると、新たなワクチンは3月中旬には12万回分が市場に流通する。現在、ロシアでは最初に登録されたSputnik Vが最も利用されているが、2番目に登録されたEpiVacCoronaもすでに流通している。
- ミシュスチン首相によると、Sputnik Vは1,000万回分以上、EpiVacCoronaは約8万回分が生産されている。また、Golikova副首相によると、2021年6月末までにSputnik Vは8,300万回分、EpiVacCoronaは540万回分が生産され、そのうち合計5,900万回分が市民の接種のために流通すると見積もられている。
- 同副首相によると、ロシアでは4,129ヶ所でワクチン接種が実施されている。
- また、同日の会議で、ミシュスチン首相は、ワクチンの価格設定手順が透明であり、薬の価格が合理的であるように注意深く監視する必要がある、主な目的はワクチンにより過剰な利益をあげることではなく、人々を助けることだと強調した。この会議に続き、ロシア政府は、2月25日、保健省がSputnik Vの最大価格を接種2回分で866.81ルーブル(VAT除く)で再登録したと発表した。2020年12月に登録された価格は、1,924ルーブルだった。Manturov産業商務大臣は、ワクチン生産の技術開発と最適化、生産量の大幅な増加の結果としてワクチンの値下げが可能となったと述べ、この最大価格はロシア国内の予防接種プログラムで利用されるワクチンにのみ適用されると述べた。
- さらに、ロシア直接投資基金は、2月28日、輸出向けの新たなワクチンSputnik Lightについてロシアと他の複数の国で承認申請を行なっていると明かした。2回の接種が必要なSputnik Vに対し、Sputnik Lightの接種は1回のみで済むとされており、免疫は3~4か月維持され、有効性は約85%とされている。
- ロシアの新型コロナウイルスの1日当たりの新規感染者数は1月に続き2月も継続的な減少傾向となり、2月末には11,000人前後、2020年5月の第1波のピーク時と同等の水準まで減少した。
プーチン大統領とReshetnikov経済発展大臣との面談
- プーチン大統領は、2月4日、Reshetnikov経済発展大臣と面談し、2020年の経済の結果等について議論を行なった。
- Reshetnikov大臣は、2020年の国民経済の悪化は、2020年半ばに予想されていたよりもはるかに少なく、他の主要経済国よりも良好だったと報告した。また、これは金融政策と予算政策等の措置の成果だと述べた。
- 金融政策としては、政策金利の引き下げ、ビジネスローン、住宅ローンへの支援が効果的に行なわれたと報告した。また、予算政策としては、歳入が減少していたにもかかわらず、歳出を前年比で25%増加させ、市民に大きな支援を提供したと強調した。この結果、実質賃金は推定2.2%の成長となった。一方、実質所得については推定マイナス3.5%となっているが、これは起業家の収入の減少、非正規雇用の減少が要因であると説明した。
- また、プーチン大統領の労働市場の状況に関する質問に対し、Reshetnikov大臣は世論調査による8月時点の失業率が6.4%から5.9%まで低下したと回答した。パンデミック前の失業率は約4.6%だったとされている。また、労働市場は製造業や農業はプラス、建設業においてもほぼ回復している一方、資源採掘部門ではOPECプラスの制限による避けられない問題があるとし、その対処のためにあらゆる努力をしていると説明した。この他、会談では価格が上昇している食料市場の状況や対策について議論が行なわれた。
エネルギー省の次官を5名に削減し、所掌を再編
- エネルギー省は、2月8日、省内組織の再編に伴い、次官の所掌の変更を行なったと発表した。エネルギー省は、2020年12月末、次官を7名から5名に削減するなどの再編を行なうと発表していた。ロシアでは11月より省庁の人員削減を議論しており、12月28日に政府全体での具体的な再編方針が決定され、エネルギー省ではこの方針に沿って、2021年4月1日までに部局の再編やポストの削減が行なわれる計画となっている。
- 新たな次官のリストにはTikhonov次官及びInyutsyn次官の名前がなく、この2名の所掌が他の5名に割り当てられた形となる。新たな所掌は下記のとおり。(下線が今回それぞれの次官に新たに追加された所掌)
金融
政策金利を4.25%に維持することを決定
- ロシア中央銀行は、2月12日、取締役会で政策金利を4.25%に維持することを再び決定した。中央銀行は、12月と1月の物価上昇率は高水準を維持し、需要の回復は以前の予想より早く確実であると分析しており、2021年中にデフレリスクは優勢ではなくなるとしている。また、2021年の中央銀行のインフレ予測は3.7~4.2%に引き上げられ、2022年、2023年のインフレ率は4%となると予測している。2020年12月の金融政策レポートでは、2021年のインフレ予測は3.5~4.0%とされていた。
- 2月12日に公表された金融政策レポートでは、ロシアの経済状況は、予想以上に良いと評価された。以前は2020年末に経済活動の回復が一時的に停止すると予測されていたが、ロシアでは秋から冬に発生した新型コロナウイルスの第2波に対して厳格な制限が実施されなかったこと、年末のロシアからの輸出に対する需要が世界経済の回復により予想を上回ったことなどが、経済回復が継続した要因としてあげられている。2020年のGDP成長率はマイナス3.1%だったが、2021年には3.0~4.0%、2022年は2.5~3.0%、2023年は2.0~3.0%と予測している。ウラル原油の平均価格は2020年の42ドル/バレルに対し、2021年~2023年は50ドル/バレルと見積もられている。
(2) 対外関係
1) 米国
Nord Stream 2関連企業への制裁
- 米国財務省は、2月22日、Nord Stream 2の建設に関与したとして、欧州エネルギー安全保障法(PEESA)に基づき、KVT-RUS社及び同社が保有するパイプライン敷設船FortunaをSDNリスト(List of Specially Designated Nationals and Blocked Persons)に追加にすると発表した。同社及び同船は、1月19日にも米国敵性対抗法(CAATSA)に基づき、すでにSDNリストに指定されているため、実質的には追加の制裁は発生しない。
- 米国国務省によると、議会へ提出された同制裁に関する報告書には、建設への関与から退く努力をしている15以上の法人も記載されており、米国の行動が効果を及ぼしていることを強調している。
- 2月23日付の報道によると、ミュンヘン再保険の子会社はNord Stream 2の保険事業から撤退することを発表した。詳細は発表されていないが、制裁の影響を避ける目的があったとみられている。1月15日付の報道では、保険会社のチューリッヒも米国の制裁の脅威を理由に、Nord Stream 2に関連する保険サービスを停止すると決定している。
2) サウジアラビア
プーチン大統領とムハンマド・ビン・サルマン皇太子との電話会談
- プーチン大統領は、2月15日、サウジアラビアのムハンマド皇太子と電話会談を行ない、両国の様々な分野での協力の拡大について議論した。2021年2月は両国の外交樹立95周年となる。
- 両者はOPECプラスの合意についても意見交換を行ない、世界のエネルギー市場の安定を維持するために、ロシアとサウジアラビアの緊密な調整を継続する意思を強調した。
- また、会談ではロシア製の新型コロナウイルスワクチンのサウジアラビアでの使用、シリア情勢、ペルシャ湾地域情勢についても議論された。
3) ベラルーシ
ルカシェンコ大統領との会談
- プーチン大統領は、2月22日、ソチでベラルーシのルカシェンコ大統領と会談を行なった。プーチンは会談の中で、ロシアがベラルーシの最大の貿易経済の約50%を占めるパートナーであり、40億ドル以上を投資していること、原子力発電所等の大規模エネルギープロジェクトを実施していること、文化的も親密であることなど、両国の結びつきを強調した。ルカシェンコ大統領も、カジュアルな服装で会談できることについて、両国の関係が親密であることを示していると述べた。また、同大統領は、ベラルーシ経済への支援に感謝を述べ、ロシアからの資金を無駄にはしていないと強調した。
- さらに、ルカシェンコ大統領は、今後5年間に計画されているプロジェクトを実施すれば、ロシアからの輸入は急激に増加すると述べた。また、原子力発電所の運転開始により天然ガスの購入額は50億ドル減少するが、天然ガスを原料とする窒素肥料工場の建設により、ガス消費量は増加すると述べた。また、プーチン大統領の指示があれば、このプロジェクトはGazpromと共に実施する準備ができていると加えた。
- 新型コロナウイルス対策については、プーチン大統領は、ロシアがベラルーシでワクチン生産を行なうための技術を提供したと述べ、ベラルーシがロシア製ワクチンの生産を展開した最初の国であることを明かした。ルカシェンコ大統領も、この支援がなければ予防接種に問題があっただろうと指摘し、ロシアのワクチンが最も効果的であると称賛した。
- プーチン大統領とルカシェンコ大統領は、2020年9月にもソチで首脳会談を実施しており、ロシアがベラルーシに15億ドルの融資を行なう方針が示されるなど、ベラルーシとの緊密な関係がアピールされている。
ベラルーシ産石油製品をロシア経由で輸出することに合意
- ロシア政府は、2月19日、ロシアとベラルーシとの間で、ロシアの港を通じた輸出を目的とした石油製品の輸送及び積替えに関する協定に署名したと発表した。この協定により、ベラルーシ企業はロシアのバルト海の港において、2021年に350万トン、2022年に320万トン、2023年に310万トンの石油製品の積替えを行なうことができる。合意にはTake or Pay条項、2024年以降の自動更新条項が含まれている。
- Novak副首相は、文書の署名の後、ロシアの海上及び鉄道輸送における成長の機会を作り、ロシアのインフラの魅力を高めると述べ、ロシアは燃料・エネルギー部門におけるベラルーシの主要なパートナーであり、石油、ガス、電力の分野における共通のエネルギー市場の創設について対話が続いていると加えた。また、この協定の署名は両国の経済的結びつきを強化すると述べた。
- 報道によると、ベラルーシが現在行なっている約1,050万トンの年間石油製品輸出のうち、約600万トンをバルト諸国経由で輸出しており、今回の合意によりこの半数をロシア経由に変更することが可能になる。2020年8月の大統領選挙後にバルト諸国によるルカシェンコ政権に対する制裁が課された後、同大統領は、石油製品の輸送をロシア経由に変更することに言及していた。
2. 石油ガス産業情勢
(1) 原油・石油製品輸出税
- 2020年12月15日から2021年1月14日までのモニタリング期間におけるウラル原油の平均価格はUSD51.69525/バレルとなり、2月の原油輸出税はUSD6.0/バレルに引き上げられた。
- 2月の石油製品輸出税はUSD13.1/トン、ガソリンについてはUSD24.0/トンに設定された。
(2) 原油生産・輸出量
- 2月、原油、ガス・コンデンセート生産量は3,856万トン(約2億8,149万バレル、平均日量1,010万バレル)で、前年同月比13.8%減。
- 2月、原油輸出量は1,647万トン(約1億2,020万バレル)で、前年同月比21.1%減。
(3) 減産合意
OPECプラスは2021年の需要回復に楽観的な見方
- OPECプラスは、2月3日、サウジアラビアのAbdulazizエネルギー大臣が議長、ロシアのNovak副首相が共同議長を務め、閣僚監視委員会をオンライン形式で開催した。
- 委員会では、2020年12月の結果を確認し、参加国の前向きな取り組みを歓迎した。全体としての減産合意の適合性は101%だったとされている。また、OPECプラス諸国は、2020年4月以降、累積で21億バレルの原油の生産を削減し、石油市場を安定させ、市場の再均衡を加速させたことを評価した。さらに、委員会は、OECD諸国の在庫は5ヶ月連続で減少しており、経済見通しと石油需要は今後数ヶ月間不確実なままであるが、世界の新型コロナウイルスに対するワクチンの動向が、世界経済と石油需要を後押しする前向きな要因であると分析している。
- また、委員会はサウジアラビアが2月から自主的に供給量を減少させるという取り組みに感謝の意を示した。
- Novak副首相は、政府のプレスリリースの中で、既存の合意を100%履行することが引き続き重要な仕事であると述べ、また、過去数年実施してきたメカニズムが、市場を均衡させる共通の利益のために力を合わせている良い手本であり、共同の取り組みに参加しない大規模生産者の動向に特別な注意を払う必要があると強調した。
(4) 天然ガス生産
- 2月、天然ガス生産量は620億立方メートル(約2.2TCF)で、前年同月比で2.9%増。
2025年までの小規模LNG・ガスエンジン燃料の市場開発のためのロードマップを承認
- ロシア政府は、2月17日、ミシュスチン首相が2025年までの小規模LNGガスエンジン燃料の市場開発のためのロードマップを承認したと発表した。このロードマップにより、LNGの小規模生産の発展と、モーター燃料としての積極的な利用のための条件が整えられるとされている。
- ロードマップには、LNG生産施設やガソリンスタンドでのLNG貯蔵の要件を緩和し、火災安全分野での研究を実施し、国際基準を業界に浸透させることなどが計画されている。
- ミシュスチン首相は、2月17日の政府の会議の中で、地域の社会経済発展にとってガス化の問題が非常に重要で、大統領が特別な注意を払っていると述べ、可能な限り早く家庭に安価な暖房が届くように、仕事を加速する必要があるとして、ロードマップの重要性を強調した。また、同首相は、シベリアや極東を含む地域では、ガスパイプラインが常に敷設可能であるとは限らず、LNGの生産とインフラを増加させる必要があるとし、適切なインフラを開発する計画がロードマップに規定されていると説明した。
- ロードマップによると、現在ロシアには11の小規模LNGプラントがあり、合計生産能力は年間10万トンしかないが、実際の生産量はその4割程度だとされている。このうち、国内市場向けのプラントは8ヶ所で、4つの地域の1,145の集合住宅住居にLNGが供給されている。ロードマップでは、2025年までに小規模LNGの生産規模を2020年の約4倍に増加させ、LNGによるガス充填インフラを10ヶ所から81か所に増加させることを目標としている。
(5) 北極海航路
2021年は4月にも北極海航路でのLNG輸送を開始する計画
- Novatekは、2月18日、2020年の業績発表のためのカンファレンスコールにおいて、2021年は4月または5月初旬にも北極海航路の運用を開始すると述べた。2020年においても、前年よりも1ヶ月早く、5月に北極海航路を利用しているが、これよりも前倒しとなる。また、この冬は例年よりも2ヶ月遅く、1月中旬まで北極海航路を利用していた。
- 同社の発表によると、2020年に北極海航路の東回りは、34隻のLNG船が航行し、そのうち20隻が長期契約、14隻がスポット契約によるものだった。これは、2018年の4隻、2019年の17隻から飛躍的な成長を見せている。また、LK-60原子力砕氷船が2022年末までに運用が可能になり、年間を通じて北極海航路の東回りでアジアへの支援が強化されると予測している。
(6) 環境関連
温室効果ガス排出制限に関する法案を作成
- 経済発展省は、2月17日、温室効果ガス排出の制限に関する法案を作成し、政府で検討を行なったと発表した。
- 法案は、2つの要素から作られている。1つ目は、法案により企業に対して炭素排出量の当局への報告が義務化される。対象となるのは、2024年までは温室効果ガスの排出量が二酸化炭素換算で年間15万トン以上の企業で、2024年以降は排出量が5万トン以上の企業。これにより、経済産業における温室効果ガス排出管理のための情報基盤を作成する。
- 2つ目は、法案により炭素単位の循環のための法的枠組みが規定される。これにより、企業はカーボンフットプリントを削減し、投資を誘致するためのツールとして、自主的に省エネや植林等の気候に関する事業を実施することができる。
- 法案では、温室効果ガス排出の割り当てや価格は定められていないが、経済発展省によると、優先事項はロシアの製造業者の利益を保護することであり、二酸化炭素排出量を削減し、持続可能な投資を誘致するために、気候プロジェクトを通じてビジネスチャンスを提供するとしている。
- ミシュスチン首相は、2月17日の政府の会議で、この法案はパリ協定とロシアの新たな気候変動政策の下での我々の国際的義務の一部であると説明した。また、同首相は、この法案に基づき、温室効果ガス排出量を削減し、吸収を増加させるためのシステムが作られるだろう、企業は独自の気候プロジェクトの実施によりグリーン投資を誘致することができると述べ、企業が二酸化炭素排出量を削減するために積極的に生産を近代化し、新たな技術を導入するように、この法案が刺激となることを願っていると述べた。
- 法案は政府で了承され、2月20日に下院に提出された。
3. ロシア石油ガス会社の主な動き
(1) Rosneft
Priobskoye油田での石油生産を促進するための投資協定を調印
- Rosneft、財務省、天然資源環境省は、2月5日、Priobskoye油田の投資協定に調印したと発表した。投資協定には、月額最大38.3億ルーブル、年間最大約460億ルーブルの鉱物抽出税の控除について規定しており、期間は10年間とされている。Priobskoye油田の税控除を認める法律には、2020年10月にプーチン大統領が署名している。
- 協定では、月間平均ウラル原油価格がロシア政府の定める基準価格(2021年は43.3ドル/バレル)を超えた分の鉱物抽出税について、控除が与えられるとされている。
- 10年間で税控除を受けることができる合計4,600億ルーブルについては、Rosneftが同油田での開発に投資することとなっている。Rosneftによると、これにより2030年までに7,000万トンの原油を追加生産することができ、この鉱物抽出税及び輸出税の税収は5,000億ルーブルとなり、税控除以上の税収をもたらすとしている。また、同社は、追加の設備やサービスの発注によるロシア経済への相乗効果や、ロシアの原油市場における地位を維持することにも貢献すると説明している。
プーチン大統領とSechin社長の面談
- Sechin社長は、2月15日、プーチン大統領と面談を行ない、新型コロナウイルスの対策状況や2020年の業績について報告を行なった。
- 新型コロナウイルス対策については、Rosneftは生産現場での観察施設と隔離施設が作られ、医療スタッフの数を増やしたと報告した。また、頻繁に人員の交代を行なわないようにシフト期間を延長し、シフトの前に14日間の観察期間を設け、健康に疑問がある場合は隔離施設に配置されると説明した。ワクチンについては、3月中にRosneftの従業員全員にワクチン接種をさせることを希望しており、30万人分のワクチンを確保するように保健省と議論していると説明した。
- 2020年の業績については、2020年に赤字を計上したExxonMobil、Chevron、Shell、Totalと対照的に、Rosneftは1,470億ルーブルの純利益を計上し、50%を配当金として支払う準備ができていると説明した。これは、OPECプラスの合意による減産や消費の縮小はあったものの、CAPEX、OPEX、間接費の削減を行なったことによるものであると加えた。なお、Rosneftの2020年の業績には、12月にTrafiguraと契約締結されたVostok Oilの10%の売却益である70億ユーロ(6,440億ルーブル)、Vostok Oilプロジェクトの資産再編でNNK-Holding社から買収したTaimyrneftegaz社の評価益5,040億ルーブル、原油長期供給契約による収益約1兆ルーブルが含まれる。
- さらに、2020年には新たな3つの大きな油ガス田を発見し、2020年末時点のRosneftの埋蔵量の増加は国際的な基準で、石油換算で7億トン以上に達したと報告した。また、生産量は石油換算で2億5,620万トンだった。また生産井掘削については前年比で9.1%増加させ、主にSamotlor油田を拡張したと述べた。SamotlorはRosneft財務省の投資協定により、含水率の高い油田の開発インセンティブを得るために生産を維持向上する必要がある。
- 掘削については、Rosneftは約半分を自社で行ない、残りをロシアの請負業者に外注していると説明し、これにより自ら市場に参入するとともに掘削サービスのコストを監視し、自社施設の効率を維持することができると述べた。また、操業コストの削減については、2020年の生産コストは前年比で9.7%削減し、石油換算で1バレルあたり2.8ドルとなり、業界最高水準であると強調した。
- 気候変動対策については、Rosneftの戦略として、同業者の間で温室効果ガスの排出強度に関して主導的な地位を確保することが含まれていると説明し、ほぼ全ての随伴ガスを利用する計画をしており、現在の随伴ガス利用は平均で83%であり、今後2年以内に95%にする予定だとした。また、可能であればVostok Oilプロジェクトには風力発電を利用する計画であるとも述べた。
(2) Gazprom
Miller社長の契約を5年間再延長することを決定
Gazpromは、2月24日、Miller社長の任期を2021年5月31日から5年間延長することを取締役会で全会一致により決定したと発表した。Miller社長は2001年にGazpromの社長に就任している。
- また、Gazpromの2月4日の発表では、次回の年次総会におけるGazpromの候補者リストも承認され、2016年から取締役を務めていたPatrushev農業大臣に替わり、新たに2020年11月に就任したShulginovエネルギー大臣の名前があがった。取締役候補は全部で11名で、Novak副首相(前エネルギー大臣)を含めて他の10名に変更はない。
- 年次総会は6月25日に開催される予定となっている。
4. 新規LNG・P/L事業
(1) Yamal LNG
Yamal LNGは2020年に1,880万トンのLNGを生産
- Novatekは、2月18日、カンファレンスコールの中で、Yamal LNGが2020年に1,880万トンを生産し、年間生産能力を約14%上回ったことを明かした。年間の出荷量はLNGが1,860万トンで貨物船255隻分、ガスコンデンセートが約100万トンで、貨物船24隻分を出荷した。Yamal LNGは2017年末に生産開始以来、LNGを4,560万トン、貨物船624隻分を出荷したことになる。
- また、2020年末には、Yamal LNGの第4トレインがパイロット生産を開始した。現在、生産開始に向けた準備が進んでおり、液化プロセスの最適化するための最終試験が行なわれており、数週間以内に最大能力での生産を開始するとされた。第4トレインの生産能力は年間90万トンとなる。
- 同社のMikhelson社長によると、Novatek独自のLNG技術「Arctic Cascade」がYamal LNGの第4トレインで利用されており、この技術を適用するために施設をカスタマイズしているため、テストや生産開始には通常の施設よりも長い時間を要すると説明した。また、同技術は、より生産能力の大きいObskiy LNGでも利用される計画となっているが、規模を大きくするための経済性を理解するには、Yamal LNGの第4トレインを1年から1年半の間、稼働させる必要があると説明した。
(2) Arctic LNG 2
Shenergy GroupとLNG売買契約を締結
- Novatekは、2月25日、Novatek Gas&Power Asia社が中国のShenergy Groupと、Arctic LNGプロジェクトから生産されたLNGの長期のLNG売買契約を締結したと発表した。同プロジェクトについて、具体的なLNGの売買契約の内容が公表されるのは初めてとなる。
- 契約は、15年間有効で、累計300万トン(年間20万トン)以上のLNGを供給することを規定しており、DESベースで中国のLNGターミナルに供給されることになる。NovatekのMikhelson社長は、プレスリリースの中で、中国市場はLNGマーケティング戦略の重要な地域の一つであり、中国へのLNGの供給をさらに増やす予定であると述べている。
- Novatekは、2月18日のカンファレンスコールの中で、Arctic LNG 2のLNG販売について積極的に交渉を行なっていると説明し、すでに複数の拘束力のある契約をいくつか締結していると明かしていた。しかし、契約相手の合意により、この時点では契約の内容は非公表とされ、順次契約を発表していくと述べていた。また、LNGは少なくとも8割をアジア市場に供給する目標であると述べた。
- Novatekは2019年4月にスペインのRepsol及びオランダのVitolと、それぞれ年間100万トンのLNGを15年間供給するための拘束力のない基本契約条件合意に署名している。
以上
(この報告は2021年3月25日時点のものです)
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