ページ番号1009004 更新日 令和3年4月8日
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概要
- タイ国営石油会社PTT傘下の石油・ガス探鉱・開発会社PTTEPは2021年2月1日に総額最大25.9億米ドルを投じてオマーンBlock 61の権益20%を取得し同鉱区へ参入することを発表した。
- オマーンBlock 61は、BPが2007年1月にオマーン政府と生産分与契約を締結し、権益の60%を保有しオペレーターとなって探鉱・開発・生産中のタイトガス田を有する陸上鉱区である。BPがその権益の一部の20%をPTTEPへ売却することで、BPの権益比率は40%に低下するがオペレーターは維持する。
- BPによれば同鉱区は開発・生産中のタイトガス田として中東最大で、BPが米国で培った水平掘削及び水圧破砕を伴う非在来型技術を駆使して生産中である。また、BPの設計によりガス精製工程で発生する温室効果ガス(GHG)のフレア(大気放散)を行わない環境負荷の低い操業がなされている鉱区でもあり、エネルギー・トランジションの観点でも非常に価値の高い鉱区である。
- 今回のPTTEPの買収金額は、BPが2018年4月に同鉱区内のGhazeerガス田開発のFID時に公表した総投資額約160億米ドルに単純に20%を乗じた32億米ドルより約6億米ドルも低いレベルである。
- これは、資源量、生産量、財務状況、資金効率や事業収益の最適化等の従来の評価基準で見ると、買手側にとても優良な条件であるように思える。
- 一方、BP側の視点で、これほど買手側に有利な条件で優良資産を売却することは、従来の評価基準のみで判断できたのかという疑問を抱く。その疑問への答えをBPは明確に示していないが、BPの脱炭素戦略である “Net Zero by 2050”と“from IOC to IEC”を注意深く読み解くことで、推測することができる。
- 具体的には、BPは2020年8月に発表した“from IOC to IEC”の中で、自社がオペレーターを務める油・ガス田から生産される石油・ガスの生産量を2019年の石油換算日量260万バレルから2030年までに同日量150万バレルへ同日量110万バレル削減することにより、GHG排出量をCO2換算年3.6億トンから同2.35億トンへ同1.25億トン削減することを目標としている。優良案件であっても一定量の資産売却が必要になっているようだ。
- つまり、IOC等の生産者が、Scope 3(事業者が販売したエネルギーや製品を使用してユーザーが排出するGHG)ベースで脱炭素を実践する際、Scope 1(事業者が排出するGHG)及びScope 2(事業者が事業活動を行う為に使用する他社のエネルギーや製品について、その調達までに排出されたGHG)で脱炭素を施した上で、Scope 3分を回収・貯留、吸収、若しくは、別の方法でオフセット(相殺)できる容量の保有量が、その事業者のエネルギーや製品の販売量に影響を与えることを垣間見せたのである。
- PTTEPによるオマーンBlock 61の参入は、脱炭素を掲げる売主から資産買収する際の新たな潮流と思われる。その場合、GHG対策へ先進的に取り組む需要家は、売主にとりScope 3分のGHGオフセット費用を低減できるので、資産買収で好条件が得やすくなると思われる。
(出所:PTTEP社HP、BP社HP、IHS他)
はじめに
2021年2月1日、タイの国営石油会社PTTの子会社で、国有の石油ガス上流開発会社PTT Exploration and Production Public Company Limited(以下PTTEP)は、PTTEPの投資家向け説明会でオマーンBlock 61の権益を20%取得し、参入(契約総額最大25.9億ドル)することを発表した。[1] 2018年のBPの投資家向け資料によれば、同鉱区へのBPの総投資額は約160億米ドル[2]とされており、権益比率を踏まえれば、この契約額はPTTEPにとても優良な条件になっているように見える。
この参入は、埋蔵量、生産量、財務状況、資金効率や事業収益等の最適化を目的とした従来型の資産買収に加えて、以下の3つの点で、石油ガス上・中流事業における資産買収の新たな潮流と考える。その一つ目は、天然ガス開発に取り組むPTTEPにとっては、新技術領域である水平掘削と水圧破砕を伴う生産中の非在来型タイトガス田への参入であることだ。そして二つ目はPTTEPが早い段階から取り組む気候変動対策の観点である。PTTEPは2030年までの中間目標として、2012年比でGHG排出強度を25%削減する方針を明らかにしており、自社保有資源量・生産量を増やしつつ、単位当たりのGHG排出量を抑制することが必要である。そして三つ目は、今回のBPのようにScope 3での脱炭素達成を目指す企業が上流資産を売却する場合、多少価格が安くなっても売主が売却して目標を達成せざるを得ないため、買手側から見て安価に資産買収ができる可能性が高まるかもしれないという点である。
本稿では上記のような点に着目してこの参入について考察する。
[1]https://www.pttep.com/en/Newsandnmedia/Mediacorner/Pressreleases/Pttepentersintoalargegasfieldinomanimmediatelyincreasingsalesvolumesandenhancingitsinvestmentportfoliointhemiddleeast.aspx
[2] https://www.bp.com/content/dam/bp/business-sites/en/global/corporate/pdfs/investors/oman-2018-investor-day-breakout5.pdf
1 タイのガス需給計画とPTTEPの上流戦略の確認
PTTEPは、タイの国有石油ガス上・中流事業に特化するNOCである。まずはタイのガス需給見通しとPTTEPの上流戦略について確認しておきたい。
1.1 タイのガス需給計画
タイ国政府発表のガスの中・長期計画である「Gas Plan 2018」(図1)では、2037年の同国天然ガス需要を日量53億48百万立方フィートと設定し、2018年需要の46億76百万から日量6億72百万立方フィート、率にして14%強の増加を見込んでいる。ガスの全需要の中でも発電用需要の割合が2018年の57%から2037年の67%へ10%も増加する見通しであり、エネルギー・トランジションによる電化の流れを意識したものと伺える。
供給側の見通しは図2の通り、2018年実績と2037年見通しで調達先が大きく変化する見込みだ。2018年には国内の洋上ガス田がタイの需要4,676mmscfdの70%、ミャンマーからのパイプラインガスの輸入が16%、既存契約によるLNG調達が12%となっている。これに対し2037年には国内ガス田からの供給が28%と大きく割合を減らし、ミャンマーからのP/Lガス輸入も4%と2018年のわずか1/4に減少する見込みだ。そして、その不足分の68%は今後新たに契約するLNGによる調達に依存せざるをえない。今後、LNGの安定的な調達が同国のエネルギー政策において最重要な課題であることが分かる。
1.2 PTTEPの上流戦略
PTTEPが2021年3月5日に発表したAnnual Report 2020では、同社のビジョン“選ばれるエネルギーパートナー”や“6つの中間目標(1.業界トップレベルの競争力維持に向けた継続的なコスト削減、2.生産量の年平均5%の増量、3.可採年数7年の維持、4.LNGバリューチェーンの拡充、5.新領域への投資からの利益が純利益の20%以上、6.コロナ後の新たな標準への対応)”達成のために、3つの柱(High Performance Organization(HPO)-Be Smart、Governance・Risk Management・Compliance(GRC)-Be Good、Stakeholder Value Creation(SVC)-Be Responsible)からなる持続可能な発展のためのフレームワーク(SD Framework)(図3)を設定し、その中で主にHPOの下にExecutive StrategyとExpand Strategyを設定し、それぞれ具体的な戦略(表1)を策定している。2020年12月2日に発表されたPTTEPの2021年から2025年までの投資5か年計画の投資戦略は、上記フレームワークと戦略に基づき策定されているので関連資料(図4)を例示する。
2 PTTEPとBPのGHG排出削減目標
昨年10月菅総理大臣の所信表明演説の中で、日本が2050年までにカーボンニュートラル・脱炭素社会の実現を目指すことを宣言したように、2021年11月4日に「パリ協定」の発効から5年目を迎へ、世界の国々は既に発表している中間目標に加え、より先進的な目標を発表している。
ここではPTTEPのGHG排出削減目標を確認する。またBPの戦略については、2021年1月のJOGMECブリーフィングでコンパクトにご紹介しているが、この稿をお借りしてもう少し詳述する[3]。
[3] https://oilgas-info.jogmec.go.jp/seminar_docs/1008936/1008937.html
2.1 PTTEPの温室効果ガス(GHG)削減目標
PTTEPは、東南アジアのNOCとしてだけでなく世界のE&P企業の中でも早い段階からGHG削減目標を設定し、その目標達成に向け取り組んでいる。
具体的には、まず2012年にGHG排出量について2020年までに2012年比で20%削減することとエネルギー効率を同じく5%改善させる2つの項目からなる中間目標を設定した。
その後、2017年から2018年の見直し期間を経て、2018年には、図3で示したSD Frameworkを策定し、その中でこれまでのGHG排出量とエネルギー効率の目標を統合し、目標を単位当たりのGHG排出量であるGHG排出強度へ変更している。また、GHG排出削減目標以外に、主要鋼材の再利用率、廃棄物、海上施設での生物多様性と生態系サービス、地域経済への貢献などの新たな指標も追加されている。
2.2 BPのGHG排出削減目標
BPのGHG排出削減目標は、2020年2月に発表した”Net Zero by 2050[4]”と2020年8月に発表した“from IOC to IEC[5]”の中で示されている。
“Net Zero by 2050”では2050年の目標とその対象についての基本概念が示され、“from IOC to IEC”では2025年・2030年の中間目標とその具体策が示されている。これらの目標を以下表3にまとめる。BPが2020年10月に発表した“Energy illustrated[6]”と合わせて確認するとよく理解できる。
BPが示すNet Zeroは、あくまでも同社の定義で2050年までにBPがオペレーターを務める上流事業と中流生産施設でエネルギーや製品(原油、天然ガス、石油製品、電力、バイオマス燃料等。以下BPのエネルギー・製品)を生産する際に使用されるエネルギーから発生するGHG(いわゆるScope 1とScope 2)についての排出量をゼロにした上で、そのBPのエネルギー・製品のユーザーがBPのエネルギー・製品を使用することで排出するGHG(いわゆるScope 3)についてのGHG排出量もゼロにするということである。
また一方で他社から、販売を目的として調達したエネルギー・製品(以下、他社のエネルギー・製品)についてはNet Zeroの対象から外れており、その代わりGHG排出強度を2050年までに50%削減するとしている。つまり、他社から販売を目的としての他社のエネルギー・製品の調達は、販売量の50%を上限とすることである。なお、中間目標で示される目標の基準年・基準値は2019年・2019年の実績値と思われるが、明確に定義されておらず再確認が必要である。
同社の脱炭素戦略から読み取れるのは、石油ガス事業者が、Scope 3を含めた脱炭素戦略を打ち出す場合、ユーザーが排出するGHGをオフセットするために、化石燃料からグリーンエネルギーへのエネルギー転換、CCUSや植林等の確保が不可欠になることである。
[4]https://www.bp.com/en/global/corporate/who-we-are/our-ambition/ambition-launch-event.html
[5] https://www.bp.com/content/dam/bp/business-sites/en/global/corporate/pdfs/investors/2q-strategy-2020-bernard-looney-strategy-overview.pdf
[6] https://www.BP.com/en/global/corporate/energy-economics/spencer-dale-group-chief-economist/energy-illustrated.html
3 オマーンBlock 61への参入の概要
今回PTTEPが参入するのは首都マスカットの南約350キロメートルのオマーン中央域に位置するBlock 61鉱区の20%の権益である。2007年にBPが生産分与契約(PSA)を締結し、オマーン政府が権益の40%を、BPが権益の60%を保有し、BPがオペレーターとして探鉱・開発そして現在生産中の総面積3,950平方キロメートル、可採埋蔵量はガスが10.5tcf、コンデンセートが石油換算3.5億バレルを有する陸上大規模タイトガス鉱区である。BPの資料によれば、開発・生産中としては中東最大のタイトガス鉱区とのことである。PSAを締結した2007年当時のJOGMECのレポート、「オマーン:BPが天然ガス鉱区権益を取得、新規開発案件への外資導入が進む(猪原)」[7]を参照すると当時のオマーンの石油・ガス業界の状況や同国政府やBPが同鉱区へ寄せる期待度が伺える。
Khazzanガス田は2017年9月から、またGhazeerガス田は2020年10月から商業生産を開始し、2つのガス田を合わせた生産能力はガスが日量1.5bcf、コンデンセートが日量石油換算6.5万バレルで、全量がオマーン政府に売却されているが、将来の追加開発においては、オマーン国内のLNG出荷施設につなぎこむ構想もあるようだ。
KhazzanとGhazeerの両ガス田は、オマーンのガス需要全体の約35%分に相当する、オマーンにとって重要なガス供給源でもある。本貯留層は地下4,000メートル以深のタイトガスであり、水平坑井掘削後に水圧破砕を行うという、非在来型資源開発の典型的な手法が採用されている。また、BPによると本プロジェクトのガス生産施設ではその精製工程でガスのフレアや大気放散を一切行わないことからGHG排出を抑制した操業が実践されている。
[7] https://oilgas-info.jogmec.go.jp/_res/projects/default_project/_project_/pdf/1/1596/200703_073t.pdf
4 PTTEPの本件参入意義と新たな評価基準
PTTEPにとり、オマーンは2019年6月にPartex Holdingの買収(6.22億米ドル)を通じて得たBlock 6(陸上油田-生産中)、Block 53(陸上油田-生産中)、Block 12(陸上鉱区-探鉱中)、Oman LNG(権益2%)に次ぐ5案件目の事業である。PTTEPの2021年2月1日の投資家向け説明資料[8]では、PTTEPが本件に参入する意義として以下5つのポイントが挙げられている。
[8]https://www.pttep.com/en/Investorrelations/Publications/Investorpresentationcurrentpresentation.aspx
上記は、これまでの一般的な経営評価基準から見た参入意義であるが、筆者はこれに加え以下2つの点も考慮・評価されたと考えている。
1つ目は、PTTEPとして未経験若しくは経験が豊富とは言えない非在来型タイトガス田の探鉱・開発・生産の技術的知見の習得である。タイトガスは在来型より資源量が豊富であり、更に資源量の多いシェールガスの生産にも活用できる水平掘削と水圧破砕を伴う探鉱・開発・生産技術である。この技術の習得は天然ガス需要の増大が予想されるタイのNOCとしては不可欠な技術と経験であろう。
2つ目は、GHG排出強度の低減である。PTTEPは、表2で見たように、2030年までに2012年比 でGHG排出強度(石油・ガスの単位生産量あたりのGHG排出量)を25%削減することを目標としている。上記表5の項目4に「生産量と埋蔵量を増加させつつ生産コストも低減させる」とあるが、これはGHG排出強度にも関連しているので以下に補足する。
Block 61はBPが米国で培った水平掘削と水圧破砕を伴う非在来型技術の経験を投入すると共に、積極的にGHGを削減し炭素排出量を抑制しながらの操業を実践している鉱区である。
PTTEPの2020年末の天然ガス埋蔵量は4,751bcfと公表されており、ここにBlock 61のガス埋蔵量分2,100bcfを加えるとPTTEPが保有する天然ガス資源量は約44%増加する。これは、今後、天然ガスの安定的な供給が求められるPTTEPにとっては極めて重要な追加資源である。また、PTTEPの2020年の年間ガス生産量は666bcfで、Block 61におけるPTT持ち分権益の年間生産量110bcfはそれを16.5%増加させることにもなる。本件のGHG排出量は公表されていないが、各種情報によると同ガス田のCO2含有率は2%程度と言われており、これは他のガス田と比較して、比較的CO2含有量が少なく、更にBlock 61ではフレアを行っていないことから、GHG排出強度を低減に寄与すると評価したのではないだろうか。
上記2つの評価基準は、今後も一定期間ガス需要の増加が見込まれるアジアのNOCが行う上流投資や資産買収において重要な評価基準となる可能性があると思われる。
5 BPのオマーンBlock 61の一部権益売却の意義と評価基準の推定
BPが、上述の条件でオマーンBlock 61鉱区の権益の一部を売却した理由を推測するとき、埋蔵量、生産量、財務状況、資金効率や事業収益等の最適化を目的とした従来の評価基準だけでは理解できない。BPの脱炭素戦略である“Net Zero by 2050”と “from IOC to IEC”の目標項目のひとつであるNet Zero Oil and Gasの目標値を注意深く確認すると、初めてこの売却の意義が見えてくる。
端的に説明すれば、BPは、自社がオペレーターを務める全世界の事業からの権益保有分の生産量・販売量を2019年の石油換算日量260万バレルから、2025年までに20%削減し石油換算日量208万バレル(日量52万バレル)とし、これによりBPのエネルギー・製品のScope 1からScope 3までのGHG排出量を2019年のCO2換算年間3.6億トンから同2.88億トンへ削減しようとしている。今回の売却で削減できる当該生産・販売量は石油換算日量約6.3万バレルとなり目標の約12%である。
今回BPが資産売却(20%)によりScope 3排出量を削減できる生産量・販売量(権益保有分)
= オマーンBlock 61全体の生産量 × 20%
= (天然ガス生産量bcfd × 換算レート(boe/bcf)+コンデンセート生産量boed) × 20%
= (1.5bcfd × 166,588boe/bcf+65,000boed) × 20%= (249,882boed +65,000boed)× 20%
= 62,976boed←2025年削減目標石油換算日量52万バレルの約12%
2025年の目標を達成するために、BPは今回と同規模の資産売却を2025年までに更に約7回、2030年までには合計で約16回も実施しなければならない計算になるが、そういう意味で今回の資産売却にはこのような目標に向けた重要な一歩にもなっていると思われる。
また、BPのオペレーターとしての生産量・販売量削減目標の意味は、以下のように考える。
- BPは、自社がオペレーターを担う上流・中流事業から生産・販売される権益保有分のBPのエネルギー・製品のScope 3ベースでの排出量を段階的に削減し2050年にはゼロにする目標である。
- この目標を達成するためには、BPのエネルギー・製品のユーザーが、BPのエネルギー・製品を使用する際に排出されるGHG排出量と同量のGHGをCCUSや植林等の技術でBPが自社でオフセット(相殺)する必要がある。
- の見方をすれば、BPが自社でGHGをオフセット(相殺)できる量によって、BPがオペレーターとして生産・販売できる権益保有量が決まってくることとなる。
- BPがオペレーターとして生産・販売できる量を2019年の石油換算日量260万バレルから2030年に同150万バレルへ減少させるということは、BPが自社でオフセット(相殺)できる能力に合わせて、その生産・販売能力を調整・売却しなければならないということである。
また、資産売却において、BPのエネルギー・製品のユーザーになる可能性がある買主で、その買主がGHG対策を先進的に取り組んでいればその程度に応じて、BPはGHGのオフセット(相殺)を低減できるメリットがあるので、そのような買主に対しBPは好条件を提示しやすくなると思われる。
以上よりPTTEPのオマーンBlock 61への参入は、脱炭素社会を見据えた石油・ガス業界の上流・中流事業における資源買収の新たな潮流と考える。
以上
(この報告は2021年3月26日時点のものです)