ページ番号1009005 更新日 令和3年4月8日

タービダイトとはなにか

レポート属性
レポートID 1009005
作成日 2021-04-08 00:00:00 +0900
更新日 2021-04-08 13:59:33 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 技術
著者
著者直接入力 タン ティン アオン
年度 2021
Vol
No
ページ数 6
抽出データ
地域1 アジア
国1 日本
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 アジア,日本
2021/04/08 タン ティン アオン
Global Disclaimer(免責事項)

このwebサイトに掲載されている情報は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

※Copyright (C) Japan Oil, Gas and Metals National Corporation All Rights Reserved.

PDFダウンロード799.0KB ( 6ページ )

概要

タービダイト堆積層は混濁流で運ばれた海底扇状地で集積する深海堆積物である。タービダイト堆積層には粗い砂層が含まれており大きな間隙率を持つため炭化水素の貯留に適している。本書では、タービダイトについて過去の代表的な研究報告を参照し、タービダイト堆積物がどうやって運ばれ、どこで堆積するか、また石油天然ガスの探鉱・開発において、タービダイト貯留層の検討方法などを紹介する。


1. タービダイトの構造と混濁流

地層とは、ある時代ある場所に堆積した砕屑物からなる。海底でたまった砕屑物が積み重なり、岩石に変わり、隆起により陸地になり、風化・侵食などによって再び砕屑物になり、また海底にたまる。その砕屑物を海底に運搬する主要な流れが、混濁流である。混濁流とは水中における堆積物重力流の一種で、砂、泥を多く含んだ密度の高い流れである。

タービダイトは主に陸源の砕屑物であり、混濁流により、供給地からより遠方の水深の深いところに運ばれる。タービダイトという用語はKuenen(1957)による造語で、混濁流によって堆積した深海性の級化成層(※1)を指す。図1はタービダイトの代表的な堆積構造の模式図であるブーマシーケンス(Bouma 1962)を示しており、1回の混濁流で堆積する地層の厚さは数センチから数メートルである(Shanmugam 2006)。ブーマシーケンスはTaからTeまでの5層で形成されている。Taは粗粒の級化成層で他の層と比べて厚くみられる。またTb層では平行ラミナー、Tdではリップルラミナー、TaからTeへ徐々に細粒化していくことなどが特徴である。

(※1) 混濁流によって運搬された砕屑物は、粒度の大きい粗粒砕屑物が先に沈降し、後から細粒の砕屑物が沈降する。上方へ向かって粗粒から細粒へと連続的に変化する層のことをいう。

 

混濁流は取り込んでいる砕屑物の量によって、低密度混濁流、高密度混濁流、ハイパー密度混濁流と分けられる。また、流れの速度、砕石物の粒径などにより、形成される砂層の厚さ、堆積構造が変化する。図2はタービダイトが堆積する深海堆積環境を表すものである。海底扇状地(Submarine Fan)に海底谷口から流れ込み堆積した砕屑物は、流路(Channel)、舌状体(lobe)、自然堤防(Levee)などに分類される。また、海底谷口に近いところを上位扇状地、遠いところを下位扇状地でその間を中位扇状地と称する。

図1 タービダイトであるブーマシーケンスの内部堆積構造、粒度、混濁流の速度を示す。

図1 タービダイトであるブーマシーケンスの内部堆積構造、粒度、混濁流の速度を示す。左図はBouma(1962)によるクラシックなタービダイト層を示しており、Ta-Teの6つに区分され、各層にそれぞれ特徴的な堆積構造がある(Bouma 1962を修正)。右図でのA~Dは左図のTa~Tdと対比しており、それぞれの混濁流の速度と粒度を示す(Shanmugam 2000aを修正)。右図に記載されていないTeは深海性の泥質堆積物であり、混濁流のあと長い年月をかけ堆積している。

図2 海底扇状地を示すスケッチ
図2 海底扇状地を示すスケッチ

2. タービダイト貯留層

ブーマシーケンスにおけるTa砂層などは大きい間隙率をもっているため炭化水素の貯留に適している。海底扇状地のタービダイト堆積層が貯留層を形成することも多い(Weimer and Link 1990)。石油天然ガスの探鉱・開発では地震探査データ、坑井掘削によって得られるコア、物理検層データなどを使ってタービダイト貯留層の堆積環境、地質評価を行っている。

例えば、図3はHansen and Fett(2000)より露頭での写真とワイヤライン検層Formation Microimager(FMI)を比較したもので、Top ShaleとLower Shaleの間のタービダイト層がFMI上でどのように見えるか示したものである。

図3 2列目Formation Microimager(FMI)と3列目は露頭で観察したタービダイト写真の比較。

図3 2列目Formation Microimager(FMI)と3列目は露頭で観察したタービダイト写真の比較。Lower Shaleの上部からTop Shaleの上部までタービダイトである。

 

図4はメタンハイドレート研究開発において東部南海トラフ第二渥美海丘で確認されたタービダイト貯留層の例である。ブーマシーケンスの各堆積構造がコアのCT画像と粒度分析結果において確認されている(鈴木 他2009)。また地震探査データでは、ブーマシーケンスでの詳細な数センチの堆積構造は観察できないが、厚く堆積したタービダイト層で形成されている流路、舌状体などを推定する震探相解析という手法も用いて解釈されている。

図4. 東部南海トラフ第二渥海丘で採集されたコアのX線CT装置とマイクロフォーカスX線CT装置によるタービダイトの堆積構造画像(左画像)および粒度 分析結果(右グラフ)

図4. 東部南海トラフ第二渥海丘で採集されたコアのX線CT装置とマイクロフォーカスX線CT装置によるタービダイトの堆積構造画像(左画像)および粒度 分析結果(右グラフ)。これらの情報から求めたブーマシーケンスの各堆積構造(Ta-Te)の解釈が図中左に示されている(鈴木他2009)。


3. 終わりに

タービダイト堆積層は混濁流で運ばれた海底扇状地でたまる深海堆積物であり、その内部構造を説明し、粗粒な砂層が重要な貯留層であることを紹介した。また、地中のタービダイト砂層を評価する手法・技術例を紹介した。これら技術は近年CCS貯留層評価にも用いられており、また、津波の堆積物の解析や、海水準変動解析にも適用され、防災分野、環境評価分野にも貢献している。今後も石油業界ではタービダイトの研究がなされ、新たな解析手法の開発、測定機器の開発が進むことが見込まれる。


謝辞

本書で示している図面はいくつかの出版社の論本を参照して修正した図である。そのため、図1についてはElsevier出版社へ、図3についてはAAPG出版社へ、図4については地学雑誌へ心より感謝の意を表します。

 

<参考>

Bouma, A. H., 1962. Sedimentology of Some Flysch Deposits. A graphic approach to facies interpretation. Amsterdam: Elsevier, p.168.

Hansen, S. M., and Fett,T., 2000. Identification and evaluation of Turbidite and other deepwater sands using Open Hole Logs and Borehole Images, in A. H. Bouma and C. G. Stone, eds., Fine-grained turbidite systems, AAPG Memoir 72/SEPM Special Publication 68, p.317–338.

Kuenen、Ph. H., 1957: Sole markings of graded greywacke beds, Journal of Geology, 65, 231-258.

Peter Aird 2019, Deepwater Drilling: Well Planning, Design, Engineering, Operations, and Technology Application: Chapter 2 - Deepwater Geology & Geoscience, p. 17-68.

Shanmugam, G., 2006. 50 years of turbidite paradigm (1950s-1990s): Deep water processes and facies model-a critical perspective. Marine and Petroleum Geology, 17, p.285-342.

Shanmugam, G., 2006, Deep-water processes and facies models: Implications for sandstone petroleum reservoirs: Amsterdam, Elsevier, Handbook of petroleum exploration and production, v. 5, p.476.

鈴木清史、海老沼孝郎、成田英夫、2009, メタンハイドレートを胚胎する砂質堆積物の特徴とメタンハイドレート胚胎メカニズムへの影響。地学雑誌、118(5)、p.899-912.

Weimer. P. and Link M.H., 1991, Global Petroleum Occurrences in Submarine Fans in Seismic Facies and Sedimentary Processes of Submarine Fans and Turbidite Systems, Springer-Verlag New York, Inc.


以上

(この報告は2021年4月8日時点のものです)

アンケートにご協力ください
1.このレポートをどのような目的でご覧になりましたか?
2.このレポートは参考になりましたか?
3.ご意見・ご感想をお書きください。 (200文字程度)
下記にご同意ください
{{ message }}
  • {{ error.name }} {{ error.value }}
ご質問などはこちらから

アンケートの送信

送信しますか?
送信しています。
送信完了しました。
送信できませんでした、入力したデータを確認の上再度お試しください。