ページ番号1009026 更新日 令和3年4月28日
原油市場他:OPEC及び一部非OPEC(OPECプラス)産油国が2021年5月から7月にかけての減産措置を当初予定通り実施する旨確認(速報)
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概要
- 2021年4月27日にOPEC及び一部非OPEC(OPECプラス)産油国は電話会議を通じ変則的に閣僚級会合を開催、世界経済回復が2021年後半に加速するとの予想の下、前回の閣僚級会合で決定した減産措置(2021年4月に実施している日量690万バレルの減産措置を、5月は日量35万バレル縮小し同655万バレルに、6月にさらに同35万バレル縮小し同620万バレルに、7月にさらに同44万バレル縮小し同576万バレルにする)につき、当初予定通り実施する旨確認した。
- また、前回OPECプラス産油国閣僚級会合開催の際にサウジアラビアが明らかにした、同国が単独で実施している日量100万バレルの自主的な追加減産措置の段階的縮小(5月は同25万バレル縮小し同75万バレルに、6月に同35万バレル縮小し同40万バレルにする他、7月には同40万バレル縮小し当該追加減産を終了する)についても、当初予定通り実施することを確認した。
- 次回のOPECプラス産油国閣僚級会合、及びOPECプラス産油国共同閣僚監視委員会(JMMC)は双方とも6月1日に開催される予定である。
- 米国及び中国で新型コロナウイルスワクチン接種普及が進展しつつある他、経済が改善しつつあることを示す指標類が発表されるなどしていることもあり、4月6日に国際通貨基金(IMF)が2021年の世界経済成長見通しを6.0%と2021年1月20日発表時の5.5%から上方修正した他、4月13日にはOPECが、4月14日はIEAが、それぞれ2021年の世界石油需要を上方修正したこと等が、原油相場に上方圧力を加えたことから、インド等での新型コロナウイルス感染拡大により同国等の経済成長減速及び石油需要の伸びの鈍化懸念が市場で発生したことや、イラン核合意正常化に向けたイランと西側諸国等との協議が進展しつつあったこと等が原油相場に下方圧力を加えたものの、4月1日以降原油価格は概ね58~63ドルを中心とする範囲で推移した。
- このように原油価格が比較的安定して推移したこともあり、4月の全米平均ガソリン小売価格は1ガロン当たり2.9ドル台と、米国民が政権に対し不満を増大させやすくなる1ガロン当たり3ドルを割り込んだ状態で推移した。
- 従って、サウジアラビアを含むOPECプラス産油国としては、原油価格は上昇傾向には至らないものの、かといってOPECプラス産油国による制御が困難な程下落し続けているわけでもないことから、そのような現状は受入可能である一方、米国としても全米平均ガソリン小売価格が米国民による不満が増大する可能性が高まる水準を下回っているという意味で、現在の原油価格は受入可能であると見られるなど、両者の利害が概ね一致していたこともあり、今回のOPECプラス産油国閣僚級会合においては、当初予定された通り減産措置の縮小を実施することとしたものと考えられる。
- 今回OPECプラス産油国閣僚級会合でOPECプラス産油国が世界石油需要の回復に自信を持っていると市場で受け取られたこともあり、4月27日の原油価格(WTI)は前日終値比で1バレル当たり1.03ドル上昇し同62.94ドルの終値となった。
(OPEC、IEA、EIA他)
1. 協議内容等
(1) 2021年4月27日にOPEC及び一部非OPEC(OPECプラス)産油国は電話会議形式で閣僚級会合を開催した。
(2) 当該会合は当初OPEC及び一部非OPEC(OPECプラス)産油国共同閣僚監視委員会(JMMC: Joint Ministers Monitoring Committee、委員はサウジアラビア、クウェート、UAE、イラク、アルジェリア、ナイジェリア、ベネズエラ、ロシア、及びカザフスタンとされる)とともに、2021年4月28日にテレビ会議形式で開催される予定であったが、まず、JMMCが4月27日へと1日繰り上げて電話会議形式で開催され、さらに同日JMMC委員が他のOPECプラス産油国に対しOPECプラス産油国閣僚級会合を完全な形で開催することは取り止める旨要請するとともに、意見交換を実施することを通じ当該閣僚級会合の声明を起草するなど、変則的なものとなった。
(3) 今回のOPECプラス産油国閣僚級会合では、前回会合(4月1日開催)で決定した減産措置(2021年4月に実施している日量690万バレルの減産措置を、5月は日量35万バレル縮小し同655万バレル、6月にさらに同35万バレル縮小し同620万バレル、7月にさらに同44万バレル縮小し同576万バレルにする)につき、当初予定通り実施することを確認した(表1及び参考1参照)。
(4) また、前回OPECプラス産油国閣僚級会合開催の際にサウジアラビアが明らかにした、同国が単独で実施している、日量100万バレル(4月時点)の自主的な追加減産措置の段階的縮小(5月は同25万バレル縮小し同75万バレルに、6月に同35万バレル縮小し同40万バレルにする他、7月には同40万バレル縮小し当該追加減産を終了)についても、当初予定通り実施することを確認した。
(5) 当該会合では、2021年3月のOPECプラス産油国による減産遵守率が115%と良好なものであることを歓迎した。
(6) また、2021年3月の当該在庫は前月から1,440万バレル増加し、過去5年(2015~19年)平均を7,740万バレル超過しているものの、OECD諸国石油在庫は減少傾向となっている旨OPECプラス産油国は認識した。
(7) さらに、会合では、過去最大規模の金融及び財政支援策により世界経済回復が継続し、その回復が2021年後半に加速すると予想する旨の見解が提示された。
(8) しかしながら、会合では、新型コロナウイルスワクチン接種実施にもかかわらず、一部諸国では新型コロナウイルス感染者数が増加しており、それが経済及び石油需要を抑制する可能性があることに言及した。
(9) このような市場を巡る不透明な状況から、減産措置参加国は注意を怠らないとともに柔軟な対応を継続する旨喚起された。
(10) 他方、2020年5月1日のOPECプラス産油国減産措置実施以降平均で100%の減産遵守率を達成できていないOPECプラス減産参加産油国は9月30日までに減産目標未達成部分を追加して減産するよう求められるとともに、会合では、遅滞なく世界石油市場均衡を加速することの重要性が強調された。
(11) 次回のOPECプラス産油国閣僚級会合は6月1日に開催される予定である。
(12) また、次回JMMCについても6月1日(次回OPECプラス産油国閣僚級会合開催日と同日)に開催することとした。
2. 今回の会合の結果に至る経緯及び背景等
(1) 2021年4月1日に開催されたOPECプラス産油国閣僚級会合では、サウジアラビアの自主的な追加減産を含め5~7月にかけ減産措置を縮小する旨決定した。
(2) ただ、当該会合開催直前まで、OPECプラス産油国は4月に実施する減産措置を5月もほぼ同規模で実施する方向で議論を継続していたことが覗われる。
(3) 背景としては、OECD諸国の石油在庫が未だ過去5年平均を上回っていた(図1参照)他、イラン原油生産増加の可能性に加え、欧州一部諸国等で新型コロナウイルス感染拡大に伴う都市封鎖措置が強化されるなどしていたことにより、必ずしも足元の石油需給状況の堅調さが盤石ではなく、将来の石油需給引き締まりに伴う原油価格上昇期待から金融緩和を背景として低コストで投資資金を調達し原油市場に流入させていた(結果原油価格を下支えする一因となっていた)投資家の心理の変化によっては、投資資金が原油市場から急速に退出することにより原油価格が急落する恐れがあったことが挙げられる。
(4) そのような背景とともに、足元石油需給が季節的に緩和しやすい第二四半期(北半球での暖房シーズンに伴う暖房用石油製品需要期は終了した後となる一方で、夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期にはまだ早い)に突入しつつあったことに加え、3月30日に開催されたOPECプラス産油国共同技術委員会(JTC: Joint Technical Committee)では、世界中での新型コロナウイルスワクチン普及加速にもかかわらず、新型コロナウイルス感染が世界中で拡大、都市封鎖措置及び旅行制限等が多くの地域で再導入されていることを認識しつつ、サウジアラビアの提案により2021年の世界石油需要見通しを前年比590万バレルの増加から同560万バレルへと下方修正したうえ、特に4~6月の世界石油需要を以前の見込みよりも日量100万バレル下方修正したことに伴い、OPECプラス産油国は原油価格下落を防止するために先制的に行動すべく、5月の減産措置の4月のそれとほぼ同規模で実施することを検討したものと見られる。
(5) しかしながら、3月31日に米国エネルギー省のグランホルム(Granholm)長官がサウジアラビアのアブドルアジズ エネルギー相と間で電話会談を実施、会談後グランホルム氏は、消費者にとって手頃な価格で信頼できるエネルギー源を確保するための国際的な協力の重要性につき再確認した旨同日夜(米国東部時間)に明らかにした。
(6) 3月29日時点の米国平均ガソリン小売価格は1ガロン当たり2.941ドルに到達しており、さらなるガソリン小売価格の上昇(そしてこの先米国は夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期(2021年は5月29日~9月6日)に突入することからガソリン小売価格がさらに上昇する可能性がそれなりにあった)は米国国民の不満を増大させる(米国平均ガソリン小売価格が1ガロン当たり3ドルを超過して上昇し続けるようだと同国国民の不満が増大しやすいとされる)ととともに政権の支持率に影響する恐れがあったことから、これ以上の原油価格の上昇をグランホルム氏が牽制した可能性が示唆される。
(7) 4月1日に実施した米国とサウジアラビアとの電話会談は、エネルギー分野での協力の強化につき両国が緊密に作業していく旨の内容であったと同日国営サウジ通信が伝えた他、サウジアラビアのアブドルアジズ エネルギー相は4月1日に開催したOPECプラス産油国閣僚級会合の際の減産措置方針決定の際には米国を含む消費国からの影響は受けていない旨明らかにしているが、それまでサウジアラビアの自主的な追加減産を含めOPECプラス産油国の減産措置を維持する方向で協議していた、サウジアラビアを初めとするOPECプラス産油国が4月1日開催のOPECプラス閣僚級会合直前(24時間前とされるが、それは両国の電話会談の実施時前後の時点と概ね重なる)に減産措置緩和へと議論を急転換したとされており、実際4月1日に開催されたOPECプラス産油国閣僚級会合では、サウジアラビアによる自主的な追加減産を含め、5月から7月にかけ減産措置を縮小する旨決定した。
(8) なお、原油価格が下落するなど石油市場を巡る状況が変化した場合には、原油生産量を増加、凍結、もしくは減少させるなど計画を迅速に調整する方針である旨サウジアラビアのアブドルアジズ エネルギー相が4月8日に明らかにしており、依然として世界石油需給に関しては新型コロナウイルス感染や新型コロナウイルスワクチン接種普及を巡る状況等に不透明感が強いこともあり、原油価格下落に対し遅滞なく対応できるようにするため、次回OPECプラス産油国閣僚級会合を1ヶ月未満後の4月28日に開催することにしたものと見られる。
(9) しかしながら、4月1日のOPECプラス産油国閣僚級会合開催後、米国及び中国で新型コロナウイルスワクチン接種普及が進みつつある他、経済が改善しつつあることを示す指標類が発表されるなどしたこともあり、4月6日に国際通貨基金(IMF)が発表した世界経済見通し(WEO: World Economic Outlook)では、IMFは2021年の世界経済成長見通しを6.0%と2021年1月20日発表時の5.5%から上方修正した。
(10) また、IMFが2021年の世界経済成長見通しを上方修正したこともあり、4月13日に発表されたOPEC「月刊オイル・マーケット・レポート」において、OPECが2021年の世界石油需要を日量19万バレル上方修正したことに加え、4月14日に発表された国際エネルギー機関(IEA)の「オイル・マーケット・レポート」においても、IEAが同年の世界石油需要を日量21万バレル上方修正したことが、原油相場に上方圧力を加えた。
(11) このようなことを含む原油価格上昇要因が、4月1日のOPECプラス産油国閣僚級会合で決定された減産措置の縮小に伴う市場での石油需給緩和感の醸成、インド等での過去最高水準への新型コロナウイルス感染者数増加による同国等の経済成長減速及び石油需要の伸びの鈍化懸念の市場での増大、そしてイラン核合意正常化に向けたイランと西側諸国等との協議進展等による、原油相場への下方圧力を抑制する格好となったこともあり、4月1日以降原油価格は今回のOPECプラス産油国閣僚級会合直前まで概ね58~63ドルを中心とする範囲で比較的安定して推移した(図2参照)。
(12) また、このように原油価格が比較的限られた幅で変動していたこともあり、4月の全米平均ガソリン小売価格は1ガロン当たり2.9ドル台と、米国民が政権に対し不満を増大させやすくなる1ガロン当たり3ドルを割り込んだ状態で推移した(図3参照)。
(13) 従って、サウジアラビアを含むOPECプラス産油国としては、原油価格は上昇傾向には至っていないものの、かといってOPECプラス産油国による制御が困難となるような下落継続も発生していないことにより、さらに原油価格が上昇した場合に比べ原油収入が減少する可能性が高いことにより、十分満足できる状況というわけではなかったと見られるものの、原油価格下落継続に伴い原油収入が大幅に減少しているわけでもなかったことにより、現状は受入可能な状態であると見られた。
(14) 一方、米国側としても足元のガソリン小売価格が1ガロン当たり3ドル寸前ではあるもののその水準を割り込み続けていることもあり、米国民による不満が発生する可能性は低いという意味で、現状の原油価格水準は受入可能な状況であると見られるなど、OPECプラス産油国及び米国双方の利害が概ね一致している状態であったこともあり、今回のOPECプラス産油国閣僚級会合においては、既に決定した減産措置の縮小方針に関しては、さらなる調整を施さず、当初予定通り実施することとしたものと考えられる。
(15) 他方、既に方針を決定している5~7月の後の、8月以降の減産措置を巡る方針については、新型コロナウイルスワクチン接種の普及がさらに進展する結果世界経済成長が加速するとともに石油需要の伸びが回復することにより、石油需給が引き締まる方向に向かうとともに原油相場に上方圧力を加えるといった展開もありうる一方、変異株を含む新型コロナウイルス感染が一部諸国で拡大することにより、都市封鎖措置等が強化されることを通じて、世界経済成長が伸び悩むととともに、石油需要を下振れさせる結果、石油需給緩和感が市場で醸成されるとともに原油相場に下方圧力を加えるリスクも存在するなど、不透明感が強いことに加え、現時点では8月まであと3ヶ月程度と比較的期間的な余裕もあることから、当該期間における減産措置に関する方針の決定は見送られたものと考えられる。
(16) しかしながら、今後新型コロナウイルスを巡る情勢に加え、イラン核合意正常化を巡るイランと西側諸国との協議の進捗状況、もしくはイランの原油生産状況等によっては、原油相場が上下に変動する可能性があることから、そのような原油価格の安定を図るべく、減産措置参加国は注意を怠らないとともに柔軟な対応を継続する旨喚起された他、原油生産方針に関し時機を得た判断を行うべく、約1ヶ月後の6月1日に次回OPECプラス産油国閣僚級会合を開催する旨決定したものと考えられる。
3. 原油価格の動き等
(1) 今般のOPECプラス産油国閣僚級会合では、過去最大規模の金融及び財政支援策により世界経済回復が継続し、その回復が2021年後半に加速すると予想する旨の認識が示されたことで、この先の世界石油需要の回復に対しOPECプラス産油国が自信を持っていることが示唆されていると市場参加者が受け取ったことに加え、新型コロナウイルスワクチン接種実施にもかかわらず、一部諸国では新型コロナウイルス感染者数が増加しており、それが経済及び石油需要を抑制する可能性があるものの、減産措置参加国は注意を怠らないとともに柔軟な対応を継続する旨喚起されたこと、次回のOPECプラス産油国閣僚級会合開催を6月1日とするなど時間的な間隔を開けずに開催する旨決定することで、石油市場の状況変化に迅速に対応する姿勢が示されたことにより、新型コロナウイルス感染拡大に伴う石油需給緩和の可能性に対する不透明感を巡る懸念が市場で後退したこともあり、OPECプラス産油国閣僚級会合開催当日である4月27日の石油市場では原油相場に上方圧力が加わる格好となっており、この日のWTIの終値は1バレル当たり62.94ドルと前日終値比で同1.03ドル上昇した。
(2) 今後、米国とはじめとする一部諸国で新型コロナウイルスワクチン接種普及が進展するとともに、個人の外出規制及び経済活動制限が緩和することにより、経済成長が加速するとともに石油需要が増加するとの期待が市場で広がることに加え、北半球での夏場のドライブシーズンに伴うガソリン等自動車用石油製品需要期突入による季節的な石油需給引き締まり観測が市場で強まることを通じ、原油相場に上方圧力が加わるといった展開が想定される。
(3) しかしながら、インド等一部諸国では新型コロナウイルス感染者数が過去最高水準をしばしば更新する程増加するなどしていることから、この面ではこれら諸国の経済成長が減速するとともに石油需要の伸びが鈍化、さらにこれら諸国との間での国際航空便の再開が遅延し、それがジェット燃料の回復に負の影響を与えるとともに石油需給の緩和感を市場で拡大させるなどすることにより、原油相場に下方圧力を加える可能性がある。
(4) ただ、原油価格の下落傾向が創出される兆候が見られるようであれば、サウジアラビアをはじめとするOPECプラス産油国は、まずは原油生産調整を実施することがありうる旨の口先介入の類いを行うことにより、市場での石油需給引き締まり感の醸成を試みる他、それでも原油価格の下落傾向が継続するような場合には、予定されている、もしくは臨時に開催されるOPECプラス産油国閣僚級会合において、実際に原油生産を絞り込む方向で調整に乗り出すか、もしくはサウジアラビアによる自主的な追加減産措置を当初予定よりも拡大する方向で調整するなどして、原油相場の下落を抑制しようとするといった場面が見られることもありうる。
(5) 他方、原油価格の上昇傾向が創出される兆候が見られるようであれば、全米平均ガソリン小売価格が1ガロン当たり3ドルを超過して上振れし続けるとともに米国民の同国バイデン政権に対する不満が高まる可能性が増大することに対し政権の懸念が高まるといった事情をサウジアラビアをはじめとするOPECプラス産油国が考慮することにより、まずは、原油生産を増加させる方向で調整に乗り出す旨の口先介入を行うことで、原油相場への上方圧力の緩和を試みる他、それでも原油相場の上昇傾向が継続するようであれば、予定されている、もしくは臨時に開催されるOPECプラス産油国閣僚級会合において、実際に原油生産を拡大させる方向で調整に乗り出すか、もしくはサウジアラビアによる自主的な追加減産措置縮小を加速する方向で調整するなどして、原油相場の上方圧力を抑制しようとするといった場面が見られることもありうる。
(6) このようなことから、当面原油相場は上方圧力と下方圧力に挟まれる格好となりやすく、原油価格は変動したとしても、比較的限られた範囲でのものとなるとともに、持続的な上昇もしくは下落の傾向は生じにくいものと考えられる。
(7) その他、イラン核合意正常化のためのイランと西側諸国等との間での協議の進捗状況、イエメンのフーシ派武装勢力からサウジアラビア等に向けたミサイル等の発射を含む中東情勢、米国石油坑井掘削装置稼働数を含む米国シェールオイル等の開発・生産状況等が、原油相場に影響する可能性があるものと思われる。
(参考1:2021年4月27日開催OPECプラス産油国閣僚級会合時声明)
OPEC and non-OPEC Ministerial Meeting highlights importance of ongoing rebalancing efforts
No 11/2021
Vienna, Austria
27 Apr 2021
The 16th Meeting of OPEC and non-OPEC Ministers took place via teleconference on Tuesday, 27 April 2021, under the Chairmanship of HRH Prince Abdul Aziz bin Salman, Saudi Arabia’s Minister of Energy, and Co-Chair HE Alexander Novak, Deputy Prime Minister of the Russian Federation.
The Meeting emphasized the ongoing positive contributions of the Declaration of Cooperation in supporting a rebalancing of the global oil market in line with the historic decisions taken at the 10th (Extraordinary) OPEC and non-OPEC Ministerial Meeting (ONOMM) on 12 April 2020 to adjust downwards overall crude oil production, and subsequent decisions.
The Meeting highlighted the continuing recovery in the global economy, supported by unprecedented levels of monetary and fiscal support, while noting that the recovery is expected to pick up speed in the second half of the year. The Ministerial Meeting emphasized, however, that COVID-19 cases are rising in a number of countries, despite the ongoing vaccination campaigns, and that the resurgence could hamper the economic and oil demand recovery.
The Meeting reviewed the monthly report prepared by the Joint Ministerial Monitoring Committee (JMMC), including the crude oil production data for March 2021, and welcomed the positive performance of the Participating Countries. Overall conformity to the production adjustments was 115% in March 2021, reinforcing the trend of high conformity by the Participating Countries.
The Meeting expressed its appreciation to the Participating Countries that performed beyond expectation in March 2021, with total overconformed volumes of 1.23 mb/d. However, some Participating Countries have yet to achieve the minimum expectation of 100% conformity and to compensate for overproduced volumes.
The Meeting further noted that DoC Participating Countries pledged to achieve full conformity and make up for previous adjustment shortfalls during the extended compensation period, which runs through the end of September 2021, and stressed the importance of accelerating the market rebalancing efforts without delay. It reminded all Participating Countries to remain vigilant and flexible given the uncertain market conditions.
The Meeting noted, with gratitude, the significant additional voluntary supply adjustment of 1 mb/d made by Saudi Arabia in April 2021 and a gradual return of these volumes in May, June and July 2021, given the prevailing uncertainties surrounding the pace of the oil demand recovery.
The Meeting observed the destocking trend of commercial OECD inventories, but noted that they increased by 14.4 mb in March 2021 and were 77.4 mb above the 2015-2019 average.
Under the referred circumstances, the Ministerial Meeting decided on the continued implementation of the production adjustment decision of the 15th OPEC and non-OPEC Ministerial Meeting (in the months of June and July as per the attached table).
It was decided that the 30th JMMC Meeting and the 17th OPEC and non-OPEC Ministerial Meeting will take place on 1 June 2021.
The Meeting thanked the JMMC, Joint Technical Committee (JTC) and the OPEC Secretariat for their contributions to the meeting.
以上
(この報告は2021年4月28日時点のものです)