ページ番号1009035 更新日 令和3年5月18日

ロシア情勢(2021年4月 モスクワ事務所)

レポート属性
レポートID 1009035
作成日 2021-05-18 00:00:00 +0900
更新日 2021-05-18 10:46:17 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 基礎情報
著者 豊島 厚二秋月 悠也
著者直接入力
年度 2021
Vol
No
ページ数 14
抽出データ
地域1 旧ソ連
国1 ロシア
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 旧ソ連,ロシア
2021/05/18 豊島 厚二 秋月 悠也
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1. 政治・経済情勢

(1) 国内

政治・経済

プーチン大統領が連邦議会での年次教書演説を実施
  • プーチン大統領は、4月21日、連邦議会向けの年次教書演説を行った。今回の演説では、特に新型コロナウイルスと保健、人口増加、子ども向けの支援について重点が置かれ、身近な課題について多くの時間が割かれていた点が印象的であった。
  • 新型コロナウイルスについては、ロシアでは市民、社会、国家が責任を持って連帯行動を行い、数百万人ものロシア人が迅速、効率的、誠実的にパンデミックと闘ったと賞賛し、ロシアが開発した3種類のワクチンは、ロシアの成長する科学技術の可能性を具現化したものであると評価した。
  • 人口問題については、持続可能な人口増加を達成するために、2030年までに平均寿命を78歳にする目標を強調した。このために、ロシアでの主要な死因の一つである心血管疾患などに取り組むための追加措置を実施する必要性に言及した。
  • また、新規の社会支援策として、一人親家庭の8歳から16歳までの子どもへの支援、経済的困難のある妊婦への支援、学齢期の子どもがいる家庭への支援が掲げられた。
  • さらに、プーチン大統領は、ロシアの重要分野における画期的なプログラムを開始すると発表し、その内の3点を例示した。1つ目は、感染症に対するワクチン及び医薬品の生産において、ロシアの独立性を確保することを挙げ、新型コロナウイルスのような危険な感染症に対し、独自の検査システムを開発し、ワクチンを早期に大量生産する体制を2030年までに構築するとの目標を発表した。2つ目は、水素エネルギー、エネルギー貯蔵や原子力発電分野の新しいソリューションを含む、エネルギー部門の発展への新たな包括的なアプローチが必要だと述べた。3つ目は、気候変動の対応として、炭素排出を利用するための産業を創出し、排出量を削減し、厳格な管理監視措置を導入する必要があると述べた。また、今後30年間のロシアの温室効果ガス累積正味排出量をEUよりも少なくするという目標を掲げ、ロシアの地理気候・経済構造の特徴を考慮すると野心的な目標であるものの、技術的には現実的な目標であると強調した。
  • ミシュスチン首相は、この翌日の4月22日、政府の会議を開催し、大統領のメッセージは政府の活動のための無条件のガイドラインであるとし、議員、地方当局とともに、これらのイニシアティブを実施するために必要な全てのことをしなければならないと強調、大統領の指示を待たずにすぐに作業を始める必要があるとして、政府に対応するよう指示を出した。
プーチン大統領の年次教書演説の様子
プーチン大統領の年次教書演説の様子
写真出典:http://kremlin.ru/events/president/news/65418
気候変動サミットにプーチン大統領が出席
  • プーチン大統領は、米国がオンラインで開催した気候変動サミットに出席し、スピーチを行った。
  • プーチン大統領は、ロシアは他の多くの国よりも1990年時点と比較した温室効果ガスの排出量を大幅に削減していることを強調し、これは過去20年間でロシアの産業とエネルギーが抜本的に再編された結果であると述べた。また、ロシアのエネルギーバランスの45%は、原子力発電を含む低排出エネルギー源で構成されているとし、原子力発電のライフサイクル全体での温室効果ガス排出量は、ほぼゼロであると述べた。また、随伴ガスの利用量をさらに増やすつもりであると述べ、全ての経済部門の環境の近代化とエネルギー効率に関して大規模なプログラムを実施すると述べ、全ての発生源からの二酸化炭素の回収、保管、使用を確実にし、原料及びエネルギー源としての水素を製造するためのインフラを作る方針を示した。
  • また、同大統領は、気候変動を解決するための対策として、4点挙げた。1点目は、二酸化炭素は大気中に何百年も留まるため、新たな排出量について議論するだけでは十分ではないとし、大気中の二酸化炭素の吸収が重要であると述べ、ロシアでは二酸化炭素換算で25億トン分を生態系による吸収で貢献していると強調した。
  • 2点目は、メタンは人為的排出の20%を占め、二酸化炭素の25~28倍の温室効果があると述べ、今後30年間でメタンの半分の排出を削減できれば、地球の気温が0.18度下がるとの見通しを紹介し、あらゆる有害な排出物の量の計算及び監視で国際協力が必要だと述べた。また、全ての関心を有する国に対して、共同研究に参加し、実用的な価値のある気候変動対策プロジェクトに投資するように勧め、気候変動を緩和し、適応するための低炭素技術の開発に積極的に取り組むと述べた。
  • 3点目として、気候を維持するための闘いは世界のコミュニティ全体の努力を結集しなければならないと確信している、ロシアはあらゆる種類の共同プロジェクトを提供し、ロシアにおいてクリーン技術に投資しようとする外国企業を優遇する準備ができていると述べた。
  • 最後に、グローバルな開発は「グリーン」であるだけではなく、例外なく全ての国のために持続可能なものでなければならないとし、貧困との闘いや国家間での開発格差の縮小などとも関連が必要だと強調した。また、結論として、ロシアが気候変動や深刻な地球規模の問題に対する効果的な解決策を模索し続けることができるよう、国際協力を強化することに大きな関心を持っていると強調した。
  • バイデン大統領は、翌日のスピーチの中で、プーチン大統領による世界との協力と高度な二酸化炭素除去の呼びかけを心強く思っていると話し、米国がロシアやその他の国と協力することを楽しみにしていると述べた。
気候変動サミットに出席するプーチン大統領
気候変動サミットに出席するプーチン大統領
http://www.kremlin.ru/events/president/news/65425
プーチン大統領が非友好国への制裁法に署名
  • プーチン大統領は、4月23日、外国の非友好的な行動に対する対抗措置をとるための大統領令に署名し、法令は即日発効された。法令により、ロシアが非友好国と認定した国に対し、在ロシア大使館等での雇用契約の締結を制限し、職員の数が制限できるようになる。
  • 大統領に基づき、ロシア政府は非友好国のリストを作成し、締結できる雇用契約の数を決定する。
  • 4月25日付けの報道によると、外務省のZakharova報道官は、非友好国のリストには米国が含まれると明言した。また、この措置はロシアの攻撃的な行動ではなく、敵対的な他国からの行動からロシアを保護するためのものであると説明した。
経済発展省が社会経済発展予測のパラメーターを修正
  • 経済発展省は、4月24日、新たな社会経済発展予測のパラメーターを発表した。社会経済発展予測は今年も9月まで見直しが行われ、ロシア政府はこのパラメーターをもとに、2022年から2024年の予算を検討する予定となっている。
  • 今回の予測では、2021年のGDP成長率が2.9%と、2020年9月時点での3.3%という予測よりも低い数値となった。これは、2020年9月時の予測よりも2020年のGDPが高かったことが理由とされている。2020年のGDP成長率はマイナス3.9%との予測に対し、マイナス3.0%だった。2021年の経済成長は、主に財とサービスの消費の回復によるもので、輸入が回復する一方、原油と石油製品の輸出は低いレベルに留まることが予想され、純輸出はGDP成長率にマイナスの要因となると予測されている。また、2022年にはGDP成長率は3.2%に増加する予測となっており、これはOPEC+の減産合意による生産制限が終了することを前提としている。その後は新たな投資サイクルが開始され、GDP成長率は3.0%と見積もられている。2021年のウラル原油価格は2020年9月の予測の45.3ドル/バレルから大きく引き上げられて60.3ドル/バレルと予測され、2022年以降はOPECプラスの減産合意の終了に伴う増産等により価格が徐々に引き下げられる予測となっている。
  • また、経済発展省は保守的なシナリオも作成している。ベースケースは予測される外部条件やロシア政府による経済政策を考慮に入れて、最も可能性の高いシナリオとされているが、保守的なシナリオでは、新型コロナウイルスの拡大により中期的な成長率の減速を前提としており、ウラル原油価格は基本ケースよりも低く見積もられ、GDP成長率も基本ケースよりも低く予測されている。
(参考)社会経済発展予測のパラメーター
    2020 2021 2022 2023 2024
実績 予測
ウラル原油価格(米ドル/バレル) 基本ケース 41.4 60.3 56.2 54.8 54.2
保守ケース 41.4 58.6 52.7 50.9 48.9
インフレ率(%) 基本ケース 4.9 4.3 4.0 4.0 4.0
保守ケース 4.9 4.7 3.7 4.0 4.0
GDP成長率(%) 基本ケース -3.0 2.9 3.2 3.0 3.0
保守ケース -3.0 2.7 2.8 2.5 2.5
石油・ガスの輸出(100万ドル) 基本ケース 182.5 200.3 214.6 229.3 247.3
保守ケース 149.7 206.0 201.6 199.4 194.0
非石油・ガスの輸出(100万ドル) 基本ケース 182.5 200.3 214.6 229.3 247.3
保守ケース 182.5 197.8 206.8 219.7 234.8
為替レート(ルーブル/米ドル) 基本ケース 71.9 73.3 71.8 72.6 73.6
保守ケース 71.9 73.7 73.2 74.6 76.1

出典:経済発展省資料よりJOGMEC作成

金融

政策金利を2ヶ月続けて引き上げ
  • ロシア中央銀行は、4月23日、政策金利を0.5ポイント引き上げて、年率5.0%にすることを決定した。政策金利は3月19日にも0.25ポイント引き上げられ、年率4.50%となっていた。
  • 中央銀行は、消費者物価の上昇率と企業のインフレ期待は引き続き上昇しており、着実な需要回復が、特定のセクターでは生産能力を超えていると分析し、インフレが促進されるリスクが高まっているとした。3月の年間消費者物価上昇率は、2月から0.1ポイント上昇して5.8%となり、中央銀行の予測を上回っており、2021年のインフレ予測は、2月の3.7-4.2%という予測から、4.7~5.2%に引き上げられた。
  • また、需要の急速な回復とインフレ圧力の高まりにより中立的な金融政策への早期の復帰が必要とされており、中央銀行は今後、政策金利をさらに引き上げる検討を行うとしている。年間インフレ率は、金融政策により2020年半ばには中央銀行の目標の4%に戻り、それ以降も4%近くに留まると予測されている。
  • 中央銀行のNabiullina総裁は、同日の声明の中で、ロシア経済は回復を続けており、2021年後半にはパンデミック前のレベルに戻ると予測している。また、現在、ほとんどの産業はすでに完全に回復しており、その他のセクターは、主にパンデミックに関する制限によってのみ制約があると分析している。さらに、これまでの金融緩和政策は危機の間に経済を支え、役割を十分に果たしたと評価した。また、同総裁は、今回の政策金利の引き上げが市場にどのように反応するか、注意深く監視すると述べた。

 

(2) 対外関係

1) 米国

米国による対露制裁、ロシアによる対抗制裁をそれぞれ発表
  • 米国は、4月15日、ロシアへの新たな制裁を発表した。
  • バイデン大統領は、ロシア政府の有害な外国活動全般に対して、新たな大統領令による制裁を課した。これにより、米国財務省は、2021年6月14日以降にロシア中央銀行、国民福祉基金、財務省が発行した債券のプライマリーマーケットへの米国金融機関の参加を禁止し、この3機関への融資も禁止した。また、米国SolarWinds社へのサイバー攻撃に関連し、ロシアの諜報機関を支援するロシアの6社を制裁対象に指定した。
  • また、米国財務省は、ロシア政府主導の偽情報や干渉行為による2020年の米国大統領選挙等への影響を与える行動を実行したとして、16社及び16名の個人を制裁対象に追加で指定した。また、クリミアでのロシアの占領と抑圧に関連する3社及び5名の個人を制裁対象に追加した。
  • ロシアがアフガニスタンのタリバンへ米国に対する攻撃を奨励したとする報告に関しての制裁については、軍隊の安全を含む問題の性質を考慮して、外交、軍事、諜報のチャンネルを通じて取り扱われるとされている。
  • さらに、米国でロシアの諜報活動に従事する人物を含む外交官10名を追放する。
  • これに対し、ロシア外務省は、4月16日、ロシアに対するバイデン政権による最近の攻撃に応じないままではいられないとして、対抗措置をとると声明を出した。声明では、ロシアが近い将来、米国がロシアの外交官に対してとった行動に比例した人数の外交官を追放することとしている。また、米国が3月にロシア高官を制裁対象としたことへの対抗措置として、米国の反ロシア政策の立案と実施に関与した現職及び元高官8名に対して、ロシアへの入国を永久に禁止することも発表した。一方で、声明では、米国との制裁を拡大し続けることは避けたいと述べ、米国との二国間関係を正常化する方法を見つめるために米国との対話を行う準備ができているとも述べた。また、バイデン大統領が提案しているロシアとの首脳会談は前向きに受け止められており、具体的な検討がされているとしている。
バイデン大統領との電話会談
  • プーチン大統領は、4月13日、米国のバイデン大統領と電話会談を行った。
  • 大統領府の発表によると、両首脳は、ロシアと米国だけではなく世界全体の利益を満たす、世界の安全保障を確保するための対話を継続する用意があることを表明した。さらに、バイデン大統領は二国間情勢を正常化し、戦略的安定と武器管理の確保、イラン核開発計画、アフガニスタン情勢、気候変動などの課題について、安定した予測可能な関係を確立することを求めた。
  • また、バイデン大統領は近い将来に対面での首脳会談を開催することを提案した。ウクライナ問題についての意見交換においては、プーチン大統領は、ミンスク合意に基づく政治的解決について説明したとされる。両首脳は、電話会議で議論された内容について、関連部門に指示することが合意されたとされる。
  • 一方、米国ホワイトハウスの発表によると、バイデン大統領は首脳会談の中で、サイバー攻撃や選挙干渉などのロシアの行動に対応して、米国が国益を守るために確実に行動すると述べた。また、クリミアとウクライナの国境でのロシア軍の増強について懸念を表明し、緊張を緩和するようロシアに求めた。

 

2) EU

EUへの対抗措置として8名のロシア入国を禁止
  • ロシア外務省は、4月30日、EUが3月にロシア人6名への制裁を課した対抗措置として、EUの高官8名のロシアへの入国を禁止すると発表した。
  • 外務省は、声明の中で、EUの制裁が国連憲章や国際法の基本基準に違反しており、ロシアがEUと対話を通じて問題を解決するという提案を無視するか拒否してきたと述べている。また、EUの行動は欧州を再度深刻な地政学的対立の場に変える意図を持った米国の支援を受けていると述べた。
  • これに対し、EU理事会委員長、欧州委員会委員長、欧州議会議長は、4月30日、共同声明を発表し、ロシアの対抗制裁は容認できず、法的正当性がないと述べた。また、ロシアのこの決定は、EUとの否定的な関係を修正するのではなく、対立することを選択したことを示していると述べ、EUはこれに対する対抗措置をとる権利を有すると述べている。

 

3) サウジアラビア

プーチン大統領とムハンマド・ビン・サルマン皇太子との電話会談
  • プーチン大統領は、4月1日、サウジアラビアのムハンマドビン・サルマン皇太子との電話会談を実施した。
  • 会談では、ロシアとサウジアラビアの間の協力に関する問題が議論され、グリーンエネルギーを含む気候変動問題と環境保護に関する協力の見通しについて特に注意が払われたとされている。
  • ムハンマド皇太子は、中東地域の温室効果ガス排出量を削減し、地域を緑化し、再生可能エネルギーの割合を増やすことを目的とした環境イニシアティブについて報告し、プーチン大統領もロシアの環境に関する取り組みについて伝えたとされる。
  • ムハンマド皇太子は、3月末にサウジアラビア及び中東でのグリーンイニシアティブを発表し、サウジアラビアに100億本、中東に400億本の植林を行い、サウジアラビアでは2030年までに再生可能エネルギーの割合を50%に増加させることなどを発表している。この計画は石油収入への依存を減らし、国の生活の水準を向上させることを目的としたサウジアラビアの「ビジョン2030」計画の一部となっている。

 

2. 石油ガス産業情勢

(1) 原油・石油製品輸出税

  • 2021年2月15日から2021年3月14日までのモニタリング期間におけるウラル原油の平均価格はUSD64.34825/バレルとなり、4月の原油輸出税はUSD7.9/バレルに引き上げられた。
  • 4月の石油製品輸出税はUSD17.2/トン、ガソリンについてはUSD31.6/トンに設定された。

参考:原油及び石油製品輸出税の推移


(2) 原油生産・輸出量

  • 4月、原油、ガス・コンデンセート生産量は4,281万トン(約3億1,251万バレル、平均日量1,046万バレル)で、前年同月比7.8%減。
  • 4月、原油輸出量は1,864万トン(約1億3,610万バレル)で、前年同月比16%減。

 

(3) 減産合意

5月から7月まで生産制限を徐々に縮小

  • OPECプラスは、4月1日、サウジアラビアのAbdulazizエネルギー大臣とロシアのNovak副首相を共同議長とし、第15回閣僚会合をテレビ会議形式で開催した。
  • OPECプラスは、会合の中で、2021年5月、6月、7月の生産量の調整を承認し、1ヶ月ごとに徐々に生産制限を縮小することで合意した。これにより、4月には合計で日量690万バレルだった生産制限は、5月には日量655万バレル、6月には日量620万バレル、7月には日量576万バレルまで縮小される。また、2020年12月に開催された第12回閣僚会議で合意されたメカニズムを順守し、毎月の閣僚会議で市場の状況を評価した上で、翌月の生産水準の調整を行うとしており、ひと月毎の調整量の変動は日量50万バレル以下としている。
  • OPECプラスの合同技術委員会は、主要経済国におけるワクチン接種と経済政策に支えられた市場の改善を確認したが、直近数週間で見られる動きは、継続的に慎重なアプローチを必要としていると判断した。OECD諸国の石油在庫は、2月には7ヶ月連続で減少を記録したが、依然として2015~2019年の平均量を上回っているとされている。一方、OPECプラス諸国は2021年2月に全体的な減産の順守率が115%に達したことについて、参加国の前向きな取り組みを歓迎した。
  • Novak副首相によると、市場の在庫は向こう2~3カ月で解消され、過去5年間の平均に戻り、また、原油需要は日量500~550万バレルに増加すると予測されている。また、OPECプラスの会合の中で、気候変動や再生可能エネルギーの見通しについて議論することの重要性が強調されたことについて、ロシアもこのプロセスを支持するとし、グリーンエネルギーを非常に重要視していると述べた。また、同4月1日にプーチン大統領とサウジアラビアのムハンマド皇太子が電話会談を行ったのは偶然ではないとして、サウジアラビアとの連携を強調した。
  • 続く4月27日にもOPECプラスは第16回閣僚会合を開催し、4月1日に決定された減産量を維持することを決定した。2021年3月の全体としての減産の順守率は引き続き115%で、不確実な市況を考慮して、全ての参加国が警戒と柔軟性を維持する必要性を確認した。
参考 OPECプラスで合意された各国の生産量(OPECデータより作成)
出典:https://www.opec.org/opec_web/static_files_project/media/downloads/15th%20ONOMM%20-%20Production%20adjustments%20table.pdf

(4) 天然ガス生産

  • 4月、天然ガス生産量は641億立方メートル(約2.3TCF)で、前年同月比で15.9%増。

 

(5) 法令・税制

北極圏開発戦略と北極圏の基本国家政策を実施するための行動計画を承認

  • ロシア政府は、4月19日、北極圏開発戦略と北極圏の基本国家政策を実施するための行動計画を承認したと発表した。2035年までの北極圏開発戦略は2020年10月、2035年までの北極圏の基本国家政策は2020年3月に、それぞれプーチン大統領が署名しており、これらを実施するため268項目が今回の計画に含まれている。
  • 計画は、北極圏の社会開発、経済開発、インフラ整備、科学技術開発、環境保護、国際協力、緊急事態対応、治安、軍事、地域ごとの戦略など多岐にわたっており、多くは2021年から2022年にかけて完了する目標が設定されているが、原子力砕氷船の建設は2032年までの目標とされるなど、長期的なものも一部含まれる。
  • 政府によると、これらの実施により、北極圏の人々の生活の質を改善し、北極圏のロシア経済への貢献を高め、地域の持続可能な開発を確実にする。
  • 2035年までの北極圏開発戦略では、北極圏のLNG生産量を2018年の860万トンから2035年までに9,100万トンに増加させ、北極海航路の貨物輸送量を2019年の3,150万トンから2035年までに1億3,000万トンに増加させることが目標として定められている。

2022年からライセンスの入札を電子オークションに限定

  • プーチン大統領は、4月30日、地下資源法改正法に署名した。改正法は、2022年1月1日から施行される。
  • 改正法では、金額だけではなく技術や社会貢献などを評価する入札形式が廃止され、電子化されたオークションのみが残された。また、オークションの勝者が入札金額を支払えなかった場合、2番目の応札者がライセンスを取得することも規定された。さらに、入札金額を支払わないオークションの勝者が、悪意のある入札者のリストに登録され、リストに登録されている期間はオークションへの参加やオークションを経ずにライセンスを取得する権利がなくなる可能性がある。
  • 改正法には、ライセンスの諸手続きを合理化する改正も含まれる。
  • 天然資源省によると、今回の改正でライセンスの入札手続きの透明化、簡素化が行われ、潜在的な入札の参加者が増加することが期待されている。

 

3. ロシア石油ガス会社の主な動き

(1) Rosneft

Vostok Oil社への資産統合・鉱区取得を継続

  • Rosneftは、4月にもVostok Oil社への資産統合及び鉱区取得を続けて行った。
  • 4月9日付けの報道によると、Rosneftはインド企業コンソーシアムと保有しているVankorneft社の権益をVostok Oil社に移管した。Vankorneft社はRosneftが51%、インド企業のONGC Videsh、Oil India、Indian Oil Corporation、Bharat Petroresourcesが49%を保有している。Vankorneft社はVankorクラスターの主要な生産中油田であるVankorskoyeを保有している。
  • また、Vostok Oil社は、4月12日、クラスノヤルスク地方Taymyr地区のDeryabinsky鉱区及びTurkovsky鉱区のライセンスを、オークションを通じて取得した。ライセンス期間は27年間で、落札価格は合計約24億ルーブルとされている。Turkovskyのガス資源はRosneftだけではなくNorilsk Nickelも関心を示していたが、2社は2020年7月、Norlisk Nickelが必要とするガスを供給することを条件に、Rosneftがライセンスを取得することで合意していた。2社の提案により、オークションに参加できるのがRosneftとNorlisk Nickelに限定されるよう、クラスノヤルスク地方の北極圏で炭化水素生産プロジェクトを保有していることが参加条件とされ、オークション参加者はRosneftとVostok Oil社のみだった。
  • さらに、4月14日付けの報道によると、Rosneftが51%、BPが49%を保有する合弁会社Yermak Neftegaz社からクラスノヤルスク北部のBaikalovsky、Posoiskyの2鉱区のライセンスがVostok Oil社に移管された。Baikalovsky鉱区については、2月に地質調査ライセンスをVostok Oil社に移管したと報じられていたが、探査生産ライセンスについても今回移管され、Vostok Oil社への移管が完了した。
  • また、4月2日付けの報道によると、Rosneftは原油天然ガスの探査・生産関連サービスを提供するTaimyrburservise社をVostok Oil社に移管した。同社はRosneftの前社長であるKhudainatov氏のNNK-Holding社から2020年12月に買収したTaimyrneftegaz社の一部である。Taimyrneftegaz社はPayakhaクラスターの複数鉱区を保有している。

 

(2) Gazprom

Urengoyskoye鉱床のAchimov層の5Aエリアで生産開始

  • Gazpromは、4月21日、Urengoyskoye鉱床の5AエリアのAchimov層での生産を開始したと発表した。同鉱区の開発は、Gazpromが74.99%、Wintershall社が25.01%を保有する合弁会社Achim Development社を通じて行われている。同合弁会社は、2021年1月、4Aエリアでの生産も開始している。
  • 5Aエリア及び4Aエリアは包括的試験段階にあり、生産されたガスはGazpromの輸送システムに供給されている。試験の完了後、生産量を徐々に増加させ、2027年にはガス14BCM、ガスコンデンセート500万トンの年間生産量に達する見込みとなっている。
  • 西シベリアの過酷な気候に加え、Achimov層は地下4,000メートルで、非常に高い圧力があり、開発が困難とされている。
  • GazpromとWintershall社は、2003年にAchimov層の開発のために50%ずつの合弁会社Achimgazを設立し、2008年に1Aエリアでの生産を開始しているが、2Aエリア、3Aエリアの開発はGazpromが独自で開発を行っている。また、Gazpromが保有する4A、5Aエリアの権益のうち24.98%については、2016年12月にノルウェーで探査生産活動を行うOMV Norge社の38.5%の権益とスワップする基本合意をOMV社と署名しており、2018年10月、2020年3月にそれぞれ交渉期間を延長することで合意し、現在の合意の期限は2022年6月となっている。
Urengoyskoye鉱床位置図
Urengoyskoye鉱床位置図
出典:https://www.gazprom.com/press/news/2021/april/article527300/

(3) Novatek

TotalがArctic Transshipment社の10%を買収する基本条件に合意

  • Novatekは、4月28日、TotalがArctic Transshipment社の10%の権益を買収する基本合意に署名したと発表した。Arctic Transshipment社は、現在Novatekが100%保有しており、カムチャツカとムルマンスクにおいてLNG積替え施設の建設を行っている。
  • LNG積替え施設については、Arctic LNG 2プロジェクトやその他のNovatekのプロジェクトからArc7級砕氷LNG船で運ばれてきたLNGを従来型のLNG船に積み替えることで、効率性を向上させる狙いがある。各地点での施設には、それぞれ36万立方メートルの浮体式LNG貯蔵施設と、2ヶ所の船から船へのLNG積替え施設が含まれる。
  • 2020年9月30日付けの報道によると、NovatekはLNG積替え施設の第1段階をムルマンスクで2022年12月、カムチャツカで2023年2月に立ち上げる予定としている。第2段階は2025年~2026年とされており、それぞれの積替え能力は年間2,000万トンが予定されている。
NovatekのLNG生産及び輸送計画
NovatekのLNG生産及び輸送計画
出典:https://www.novatek.ru/common/upload/doc/IR_June_2020_Investor_Meetings.pdf

(4) Sibur

SIBURとTAIFが石油化学事業を統合

  • ロシアの石油化学企業大手のSIBURとTAIFは、4月23日、企業統合を発表した。今後、新たな企業がSIBUR Holdingの下に設立され、TAIFがその15%を取得し、TAIFは自社の支配権を新会社に譲渡する。また、残りの株式も新会社が購入することができるようにする。この統合は、企業の手続きの後、規制当局の承認を得ることを条件としている。
  • この合併によりポリオレフィンは年間800万トン、合成ゴムは年間120万トンの生産規模となり、世界で第5位の企業となるとされている。
  • 合併の署名式に出席したNovak副首相によると、今後10~15年間のロシアの石油化学産業への投資額は2.6~4.6兆ルーブルに達する可能性があり、年間800万トン~1600万トンの製品を輸出することにより、90億ドル~180億ドルの非資源輸出による輸出収入を得ることが可能と見積もられている。また、Novak副首相は、石油化学製品の成長率は、世界経済の成長率の最大1.5倍となっていることを指摘し、今回の2社の統合により、国内の石油化学業界発展の原動力となり、新たな化学製品の開発の機会拡大に貢献すると確信していると述べた。
  • ロシア政府は3月にエタンと液化石油ガスに対する逆物品税を適用することを可能にしており、石油産業の収益性を高めることが期待されている。プーチン大統領は、2018年5月、2024年までに非資源非エネルギー商品の輸出を2,500億ドルに引き上げることを目標として掲げており、石油産業の発展はこの目標への貢献も期待されている。
署名式の様子
署名式の様子
写真出典:http://government.ru/news/42043/

4. 新規LNG・P/L事業

(1) Arctic LNG 2

Arctic LNG 2の参加者が20年の売買契約を締結

  • Novatekは、4月28日、Arctic LNG 2プロジェクトの全ての参加者が、それぞれの権益比率に従った20年間のLNG売買契約を締結したと発表した。売買契約には、Arctic LNG 2のLNGをムルマンスク及びカムチャツカでのFOBベースで、国際的な石油ガスのベンチマークにリンクした価格で引き取ることが定められている。
  • NovatekのMikhelson社長は、プレスリリースの中で、長期オフテイク契約はプロジェクトの将来の収益源を確保してプロジェクトのリスクを軽減する、これは2021年に完了する外部資金調達の上で最も重要なマイルストーンの1つとなると述べている。
  • また、Arctic LNG 2社は、同日、ロシアの銀行団と長期融資契約を締結したと発表した。銀行団はSberbank、Gazprombank、Bank GPB International、VEB.RF、Bank Otkritie Financial Corporationで構成され、金額は31.1億ユーロ、期間は15年間とされている。
  • 4月23日付けの報道によると、4月23日に行われたNovatekの株主総会において、Arctic LNG 2の110億ドルの外部資金調達が承認されている。Mikhelson社長によると、調達される資金のうち、3分の1はロシア、3分の1は中国、3分の1は日本及び欧州の銀行から調達される。また、資金調達は2021年第2四半期末までに完了する予定とされている。
  • 同社長によると、3月31日時点でのArctic LNG 2の全体的な進捗は39%となっており、プロジェクトの第1段階は53%が完了している。

 

(2) シベリアの力P/L

モンゴルのパイプラインの最適ルート等を承認

  • Gazpromは、4月12日、シベリアの力2パイプラインのモンゴルを通過する部分となるSoyuz Vostokパイプラインの建設について、パイプラインの最適ルート、パイプランの長さと直径、使用圧力、コンプレッサーの数などについて行った分析を承認したと発表した。
  • 2021年3月に承認されたGazpromとモンゴル政府の合同作業部会の行動計画によると、Soyuz Vostokパイプライン建設プロジェクトの投資と運用コストの詳細な内訳を含む実現可能性調査は、2021年末までに作成される予定となっている。

 

以上

(この報告は2021年5月17日時点のものです)

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