ページ番号1009059 更新日 令和3年6月11日

IEA World Energy Investment 2021-2021年の世界の石油・天然ガス投資見通し

レポート属性
レポートID 1009059
作成日 2021-06-11 00:00:00 +0900
更新日 2021-06-11 09:44:58 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 企業探鉱開発
著者 川田 眞子
著者直接入力 竹原 美佳
年度 2021
Vol
No
ページ数 8
抽出データ
地域1 グローバル
国1
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 グローバル
2021/06/11 川田 眞子 竹原 美佳
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概要

  1. 2021年6月2日、国際エネルギー機関(IEA)は“World Energy Investment 2021”を発表した。2021年の世界のエネルギー投資は前年比約10%増の9兆ドルとなり、コロナ以前の水準に回復すると見られている。
  2. 石油・ガス上流への投資額は3,510億ドルと再生可能エネルギー事業の投資額(3,670億ドル)を下回る水準となった。欧米メジャー企業等が設備投資を削減する一方で、国営石油企業は投資を増やしており、市場シェアをさらに拡大する可能性が指摘されている。LNGにおいても類似する事例があり、カタールがCCSを含めた世界最大規模のLNG液化プラント拡張を進めている。
  3. IEAは、「世界の人口の3分の2を占める途上国への投資がコロナ以前の水準を下回り、近代的なエネルギーへのアクセス拡大の試みが後退している点がCOP26に向けた課題」と指摘している。5月に発表されたNetZero報告書(“Net Zero by 2050 A Roadmap for the Global Energy Sector”)に続き、本報告書もCOP26が強く意識なされたものであることが読み取れる。

 

1. 2021年の世界のエネルギー投資見通し:電力部門への投資が増加

国際エネルギー機関(IEA)は毎年、世界のエネルギー投資に関する報告書(World Energy Investment)を発行しており、本年の報告書は6月2日に公表された[1]。同報告書によると、2021年の世界のエネルギー投資は前年比約10%増の1.9兆ドルとなり、コロナ以前の水準に回復すると見られている(図1)。


[1] IEAウェブサイトよりダウンロード可能:https://www.iea.org/reports/world-energy-investment-2021

図1:世界のエネルギー投資推移
図1:世界のエネルギー投資推移 (IEAより引用)

電力部門の投資の増加傾向は続いており、電力向けの投資は2021年には約5%増加し、過去最高水準の8,200億ドルに達した。新規発電設備への投資は再生可能エネルギーが7割を占めるなどクリーンエネルギーへの投資が拡大している。

2021年のクリーンエネルギー技術と効率化への投資は7,500億ドルの見込みである。しかし、2050年までに温室効果ガスの排出を実質的にゼロとし、地球の気温上昇を1.5℃で安定させるためには2020年代にクリーンエネルギーへの投資を3倍以上に増やす必要があるとIEAは指摘している。前回報告では2倍に増やす必要があると指摘していたが今回は3倍に増えた。

 

2. 石油・ガス上流:全体では投資減少も、国営石油会社は投資を拡大

石油・ガス上流への投資は企業公表ベースで2021年に前年比8%増加し3,510億ドルとなる見込みだが、コロナ前の2019年の水準を大きく下回り、再生可能エネルギー事業の投資額(3,670億ドル)を下回った(図2)。

図2:エネルギー供給セクター別の投資額推移
図2:エネルギー供給セクター別の投資額推移 (IEAより引用)

中でもIEAは、企業ごとに投資戦略が異なっていることを指摘している。2021年の第一四半期は石油・ガス価格が回復しているにも関わらず、欧米メジャー企業はExxonMobil(前年比25%減)やTotal(前年比14%減)のように上流投資を削減している企業が目立つ[2]。一方で、国営石油会社は投資を強化しており(図3)需要の増加が続けば、国営石油会社の市場シェアが拡大する可能性があるとみられている。

国営石油会社の上流投資は2021年に平均で前年比約10%増加している。投資の制約に直面している企業もあるが、たとえば中国の国有石油会社は2021年に上流投資の増額を公表した(2020年Annual ReportによるとSinopecは前年比18%増、CNOOCは前年比26~40%増)。他にもSaudi Aramco、ADNOCなどの中東の大手国営石油会社も増産に向け投資を拡大している。ADNOCは数年以内に100万b/dの増産を目指し、2021~25年に1,200億ドルを投じる計画である。Saudi Aramcoは2021年に350億ドル(2020年は270億ドル)を投じる計画である。ただし同社は国家収入を維持する必要性から借り入れが増加しており、2020年に900億ドルの債権を新たに発行した。


[2] 2021年第1四半期は油価の上昇により全社黒字転換となったが、設備投資の増強よりも財務状況の改善が優先されている。
(参考)メジャー企業の2021年第1四半期決算―7四半期ぶりに全社黒字転換(2021年5月13日):
https://oilgas-info.jogmec.go.jp/info_reports/1008924/1009033.html

図3:企業別上流投資額(2020年・2021年)
図3:企業別上流投資額(2020年・2021年) (IEAより引用)

3. LNG:全体の投資は減少も、カタールは投資を継続し、主導的地位を維持する構え

LNG液化事業への投資は2020年に3分の1以上減少したが2021年の投資額は230億ドルを超える見込みである(図4右側)。カタール、ロシア、米国の活発な投資により、前年の3分の2以上の伸びが期待されている。

図4:投資決定がされたLNG輸出能力と投資額の推移
図4:投資決定がされたLNG輸出能力と投資額の推移 (IEAより引用)

カタールQPは2021年2月、過去最大のLNG液化事業拡張(33Mtpa)について最終投資決定(FID)を行い、LNG市場で主導的な地位を維持する意図を強く示している(図4左)。カタールは世界最安コストと豊富な埋蔵量に加え、“CCSを含めた低排出LNG”を売りにしており、まだFIDを行っていない米国のLNGプロジェクトを含む他のLNGプロジェクトを圧倒している。

 

4. CCUS:政府のサポートにより投資増加も、操業開始したものは少ない

CCUS(Carbon Capture Utilization and Storage)技術への投資は、政府の支援により増加している。2020年から2021年5月にかけて、官民合わせて120億ドル以上がCCUSプロジェクトに投資された。たとえば、ノルウェーのNorthern Lights CO2貯蔵プロジェクトはEquinor、Total、Shellが政府のファイナンスを受けて2021年3月にJVを組成した。LNG事業においては、カタールのNorth Field拡張におけるCCSに加えて、米NextDecadeがRio Grande LNGのカーボンオフセットのため5MtのCCUSプロジェクトを行う計画である。

しかしながら、操業を開始したものは少ない(図5)。

図5:発表されたCCUSプロジェクトと操業を開始したプロジェクトの比較
図5:発表されたCCUSプロジェクトと操業を開始したプロジェクトの比較 (IEAより引用)

5. 石油・ガス企業によるクリーンエネルギー投資

IEAは、石油・ガス業界の投資は多様化しつつあり、クリーンエネルギーへの投資が増加していることを指摘している(図6)。2020年の報告では石油・ガス業界の資本支出に占めるクリーンエネルギーへの投資は1%に過ぎなかったが、2021年には業界全体で4%になると見られている。

図6:主要企業によるクリーンエネルギーへの投資額推移
図6:主要企業によるクリーンエネルギーへの投資額推移 (IEAより引用)

欧州系メジャー企業は、資本支出に占めるクリーンエネルギー投資の割合や金額について目標を設定しているのに対して、国営石油企業は様々な戦略を示しつつも全体的には中核となる石油・ガス事業に近いところで活動している。報告書の中で紹介があった企業事例は以下のとおり。

 

BP:クリーンエネルギーへの年間投資額2019年の5億ドルから2025年には年30~40億ドル、2030年までに50億ドルに引き上げる目標。

Total:2021年の資本支出120~130億ドルのうち25億ドルを再生可能エネルギー事業と電力事業(ガス火力発電も含む)に投資すると発表。

Shell:2025年までにクリーンエネルギーへの投資割合を設備投資全体の25%とする目標。

Eni:2021-2024年の戦略で、設備投資のうち毎年平均70億ユーロのうち20%をクリーンエネルギーに投資する目標。

CNOOC、PetroChina、Sinopec:主に太陽光発電や洋上風力発電などの自然エネルギーへの投資を通じて、2025年までに事業活動による二酸化炭素排出をピークアウトさせる目標。

Saudi Aramco、ADNOC:低炭素の水素製造やCCUSへの投資の可能性を検討。

 

おわりに

IEAは本報告書についてのプレスリリース[3]の中で、中国を除く途上国(Emerging Market and Developing Economies; EMDEs)は世界の人口の3分の2近くを占めるが、その途上国への投資は世界のエネルギー投資の3分の1、クリーンエネルギー投資の5分の1でコロナ前の水準を下回る見通しである。途上国は先進国に比べ財政的余裕がなく、近代的なエネルギーへのアクセスを拡大するための取り組みが後退している点がCOP26に向けた課題となっていると指摘している。なお、この論点については6月9日に発表された発展途上国におけるファイナンスについての報告書(Financing Clean Energy Transitions in Emerging Market and Developing Economies[4])において詳しく分析されている。

本報告書と発展途上国におけるファイナンスについての報告書は、どちらもEUの支援を受けて書かれ、5月に発表されたIEAのNetZero報告書[5](“Net Zero by 2050 A Roadmap for the Global Energy Sector”)COP26開催国・英国の要請を受けて書かれた。5月に発表されたNetZero報告書(“Net Zero by 2050 A Roadmap for the Global Energy Sector”)に続き、本報告書もCOP26が強く意識なされたものであることが読み取れる。11月のCOP26に向けて、議論がどう展開していくか注視される。


[5] IEA Net Zero by 2050(2021年5月18日):https://www.iea.org/reports/net-zero-by-2050

 

以上

(この報告は2021年6月10日時点のものです)

 

参考資料

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