ページ番号1009106 更新日 令和3年8月23日
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1. 政治・経済情勢
(1) 国内
政治・経済
新たな国家安全保障戦略を承認
- プーチン大統領は、7月2日、新たなロシアの国家安全保障戦略の法令を承認し、署名した。
- 同戦略は、ロシアの戦略的計画立案に関する基本文書と位置付けられ、ロシアの国益と戦略的国家優先事項、国家安全保障及びロシアの着実な発展確保における国家政策の目的と課題を定めている。また、この戦略の実現により,国民の保護、人的潜在能力の発展、国民の生活の質と福祉の向上、国防能力の強化、ロシア社会の団結、国家発展目標の達成、ロシア連邦の競争力と国際的な権威の向上を促進するとされている。
- 具体的には、新たな国家安全保障戦略では、国防、国家的・社会的安全、情報安全保障、経済安全保障、科学技術の発展、環境安全保障、ロシアの伝統的な精神・道徳的価値などの項目について、課題と解決策について記載されている。エネルギーの関連では、経済安全保障上の課題解決策の一つとして、現代的な技術的基盤に基づく国家経済の制度的・構造的な再編、低炭素技術の利用に基づく国家経済の多様化及び発展の確保が挙げられている。一方、「グリーン」経済及び低炭素経済の発展は、国際的なアジェンダにおける主要な課題となりつつあるとし、天然資源へのアクセスを巡る競争の激化が国際的な緊張を高め、国家間の紛争を発生させる要因の一つであると指摘している。
- 前回の国家安全保障戦略は2015年末に承認されており、約6年ぶりに更新された新たな戦略は署名と同時に発効となる。
金融
政策金利を6.50%に引き上げ
- ロシア中央銀行は、7月23日、政策金利をこれまでの5.50%から6.50%に引き上げる決定をしたと発表した。政策金利は6月にも5.00%から5.50%に引き上げられており、引き上げが加速している。
- 中央銀行の発表によると、ロシア経済は2021年第2四半期にパンデミック前の水準にまで回復した。一方で、生産能力の拡大よりも需要が早く成長しており、インフレが進んでおり、インフレを目標値である4%に戻すことを目的として政策金利が引き上げられてきている。中央銀行は、状況が基本予測に沿って進展した場合には、政策金利をさらに引き上げることを検討するとしている。現在の予測によると、ロシアの2021年の年間インフレ率は5.7~6.2%に達すると予測されており、2022年には4.0~4.5%に低下し、その後は4%付近となると予測されている。また、政策金利の平均値は2022年に6.0~7.0%と現在と同水準、2023年には5.0~6.0%に引き下げる予測がされている。
- ロシア経済や世界経済、7月のOPECプラスでの石油生産拡大の決定を考慮に入れ、中央銀行はロシアの年間GDP成長率は2021年に4.0~4.5%と予測しており、2022~2023年にかけては2.0~3.0%と予測している。
- なお、同日に発表された中央銀行の中期見通しでは、1バレル当たりのウラル原油平均価格は2021年に65ドル、2022年に60ドル、2023年に55ドルと下落して行くと予測されている。
(2) 対外関係
1) 米国
6月の首脳会談後の米露対話を継続
- プーチン大統領は、7月9日、米国のバイデン大統領と電話会談を実施し、6月に実施されたジュネーブでの両国の首脳会談でも議論された情報セキュリティとサイバー犯罪について議論を行なった。
- ロシア大統領府によると、プーチン大統領は、ロシアから行われたとされるサイバー攻撃に関して、ロシアが協調して犯罪の兆候を抑制しようとしているにも関わらず、この問題に関する米国側からの連絡を受けていないとしたが、課題の規模と深刻さを考慮すると、ロシアと米国は永続的、専門的かつ非政治的な協力を維持する必要があると述べた。また、両大統領は、情報セキュリティにおける詳細かつ建設的な協力と、連絡の継続の必要性について強調した。
- また、7月28日には6月の首脳会談で合意された米露の戦略的安定性に関する会合がジュネーブで開催され、ロシアのRyabkov外務次官と米国のSherman国務副長官が参加した。会合では、両大統領の指示に従い、戦略的安定を維持するための両国の方針、軍備管理の見通し、リスクを軽減するための措置について包括な議論が行われ、さらなる協力の発展のための議論が行われたとされている。
Kerry米国気候変動担当大統領特使がモスクワで気候変動について議論
- ロシアのLavrov外務大臣は、7月12日、モスクワを訪れた米国のKerry気候変動担当大統領特使と会談を行った。会談では、10月31日~11月12日に英国のグラスゴーで開催されるCOP26の準備として国際的な気候変動問題について議論が行われた。
- 外務省によると、温室効果ガスの排出量を削減するための国家の計画と戦略の実施に関する意見交換を行い、両国で環境保護分野における見解が近いことが明らかになったとし、Lavrov大臣とKerry大統領特使は協力を発展させるための相互の意向を再確認したとされる。
- 会談の中で、Lavrov大臣は、ロシアが地球規模の気候変動に関する問題を非常に重要視しているとし、国際的なプラットフォームで積極的に協力して行くと述べた。また、グラスゴーでの会合を成功させるための交渉過程において、米国との緊密な協力を楽しみにしていると述べた。
- 7月13日には、ロシアの気候問題担当のEdelgeriyev大統領顧問がKerry大統領特使との会談を行った。両者は低炭素開発や世界貿易の脱炭素化など幅広い問題を議論し、気候変動問題で協力するために、いかなる政治的意見の不一致も不問に付すという見解を表明した。
- 両者は会談後の7月15日、共同声明を発表した。共同声明の中で、両者は森林や生態系による炭素吸収を増加させる重要性を認識し、カーボンニュートラルへの共通のコミットメントなどを通じて、パリ協定の実施に取り組んでいるとし、COP26に積極的に貢献するため他の国とも協力して行くとした。両者は温室効果ガスの衛星監視、森林と農業、北極圏の気候変動、メタン等の二酸化炭素以外の排出削減、省エネルギー、気候関連金融、気候関連の共同プロジェクトの実施などについて二国間で協力して行く意向を示した。
- また、プーチン大統領は、7月14日、Kerry大統領特使と電話会談を行なった。プーチン大統領は、会談の中で、ロシアがパリ協定の目標を達成することを非常に重要視していると強調し、この分野での非政治的かつ専門的な対話を提唱した。また、気候問題はロシアと米国が共通の利益と方向性を持っている分野の一つであると述べた。
2) EU
ウクライナに関する対露制裁を6ヶ月延長
- EU理事会は、7月12日、ウクライナ危機に関して2014年7月31日に導入されたロシアに対する制裁を、2022年1月31日まで、6ヶ月延長することを決定した。
- EU理事会は、6月24~25日の理事会での2015年末までに履行される予定だったミンスク合意の履行状況の評価により、満場一致で対露経済制裁の延長を決定したとされる。理事会は、ミンスク合意の完全な実施を確保することを、EUの立場を大きく変更するための重要な条件としている。
3) トルコ
貿易と経済協力に関する第17回合同会合を開催
- ロシアのNovak副首相は、7月30日、トルコのMus貿易大臣と、貿易と経済協力に関する第17回合同会合を開催した。会合では、経済、エネルギー、貿易、産業、運輸、農業、観光、その他の分野におけるロシアとトルコの二国間関係の発展について議論された。
- Novak副首相は、会議の中で、新型コロナウイルスのパンデミックによる多くの制限にもかかわらず、両国間の政治的対話は従来通りに行われてきたと評価し、特に、ロシアの新型コロナウイルスのワクチン、Sputnik Vをトルコの製薬会社が数ヶ月以内にトルコでの国内生産を準備しているとして、医薬品分野における協力が進展していると述べた。同副首相によると、両国の貿易額は2020年に前年比で19.5%減少したが、徐々に回復しており、2021年上半期では前年比で40.4%増加し、2021年通年の貿易額は約200億ドルに達すると確信していると述べた。
- 同副首相は、エネルギー分野が、ロシアとトルコの間で最も活発な分野であるとし、TurkStreamパイプラインプロジェクトは成功裏に実施されており、トルコの領土を通る天然ガスの輸送に関する協定が引き続き実行されていると述べた。また、トルコのAkkuyu原子力発電所の建設も重要であり、エネルギー分野の可能性は尽きることはないと強調した。
- 翌7月31日にはプーチン大統領とエルドアン大統領との電話会談が実施され、同会合の結果について肯定的な評価がされ、貿易、経済、エネルギー及びその他の分野での合意を実施するために協力し続ける相互の決意が表明された。
2. 石油ガス産業情勢
(1) 原油・石油製品輸出税
- 2021年5月15日から2021年6月14日までのモニタリング期間におけるウラル原油の平均価格はUSD67.9005/バレルとなり、7月の原油輸出税はUSD8.4/バレルに引き上げられた。
- 7月の石油製品輸出税はUSD18.4/トン、ガソリンについてはUSD33.8/トンに設定された。
(2) 原油生産・輸出量
- 7月、原油、ガス・コンデンセート生産量は4,424万トン(約3億2,295万バレル、平均日量1,046万バレル)で、前年同月比11.5%増。
- 7月、原油輸出量は1,869万トン(約1億3,644万バレル)で、前年同月比8.6%減。
(3) 天然ガス生産
- 7月、天然ガス生産量は576億立方メートル(約2.0TCF)で、前年同月比で16.4%増。
(4) 減産合意
基準生産量を調整し、減産を2022年末まで延長することを合意
- OPECプラスは、7月18日、第19回閣僚会合をテレビ会議形式で開催した。第18回会合は7月1日に予定されていたが、7月2日、7月5日と延期を重ね、7月5日当日に中止が発表され、次回会合の日程は決まり次第発表されるとされていた。報道では、アラブ首長国連邦が、生産量を拡大させるために基準生産量の引き上げを主張し、合意ができなかったとされる。
- その後、7月18日に開催された会合では、2020年4月に合意された減産合意を2022年12月31日まで延長することが合意された。また、2021年8月に1日当たり580万バレルとされている生産調整を段階的に廃止するまで、ひと月ごとに生産調整量を40万バレルずつ縮小して行くこととした。さらに、生産調整の基準となる値を2022年5月から一部調整し、イラク、クウェート、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、ロシアの基準値を引き上げることを決定した。
- 会合に参加したNovak副首相は、ロシアは2022年5月までにパンデミック前の生産水準に達すると述べ、1バレルあたり60ドルの平均価格だとすると、今年と来年の追加予算収入は4,000億ルーブル以上になると述べた。
- OPECプラスは、8月は閣僚会合を開催せず、第20回閣僚会合は9月1日に開催することとしている。
(5) 法令・税制
北極圏の井戸建設等を国家環境監査の対象から除外
- プーチン大統領は、7月2日、環境専門知識に関する連邦法の改正法に署名した。これにより、北極圏で建設される特定の社会インフラ及び輸送インフラのプロジェクト文書は国家環境監査の対象外となり、石油・ガスの探査や生産のための井戸のプロジェクト文書についても対象から外される。
- 石油・ガスプロジェクトは環境に重大な悪影響を及ぼす1番目のカテゴリに分類され、そのような施設のプロジェクト文書は国家環境監査の対象とされるが、石油・ガス鉱床開発全体のプロジェクト文書が環境監督当局の監査を受けるため、個別の井戸のプロジェクト文書については、監査の対象外とされていた。しかし、2020年7月に成立した北極圏の企業活動に対する国家支援のための法律により、環境専門知識に関する連邦法も改正され、北極圏に建設される全ての施設の文書が国家環境監査の対象となった。
- しかし、国家環境監査は問題がない場合でも数ヶ月の時間を要し、環境影響評価を実施するための追加費用も発生するため、RosneftやGazprom Neft等から、井戸のプロジェクト文書を国家環境監査の対象から外すように政府に働きかけが行われていた模様。今回改めて対象外となったのはそのロビー活動が功を奏したと見られる。
- 本改正は2021年8月17日から発効する。
(6) 環境対応
温室効果ガス排出の制限に関する法律が成立
- プーチン大統領は、7月2日、温室効果ガスの制限に関する連邦法に署名した。法律は、温室効果ガスを制限するための「温室効果ガス」、「気候プロジェクト」などの概念的枠組みを確立し、制限するための措置、政府の権限、企業の権利と義務を定めており、温室効果ガスの排出量を削減しながら、ロシア経済の持続可能でバランスの取れた発展のための条件を整えるものとされている。
- 法律では、温室効果ガスを二酸化炭素相当で年間15万トン以上排出する企業は2023年1月1日から、年間5万トン以上排出する企業は2025年1月1日から、それぞれ報告を政府に提出する義務を定めている。
- Reshetnikov経済発展大臣は、7月1日の記者会見で、サハリン州でカーボンニュートラルを目指すための法案も、今年の夏に政府で検討され、下院に提出される予定だと述べた。同大臣は、気候変動の規制は、水素や原子力エネルギーの利用などの分野で、技術開発の機会を生み出すとして、特に水素については産業商務省と協力して、必要な政策を実施していると説明した。また、気候変動の視点も含むESG投資を促進するシステムについて政府が検討しており、これには各国によって相互に認識されるための国際的な基盤が必要だとし、国際的な議論が重要だと述べた。
- 同大臣は、ロシアは他国同様、今年11月にグラスゴーで開催されるパリ協定第6条を実現するための会議に向けて積極的に準備を進めている。パリ協定第6条は、すべての気候変動プロジェクトを実施するためのメカニズムと、カーボンクレジットの相互承認をすでに確立しているが、その計算方法、どのプロジェクトを対象とするのか、原子力発電は低炭素なのかなど、かなり多くの問題が残っており、現在、ロシアの関連省庁がこのテーマに積極的にかかわっていると述べた。ロシアのグリーンファイナンスの目標と方向性については、7月20日に政府によって承認された。グリーンプロジェクトの採択基準が近い将来に提示され、高度な環境基準に移行するための経済的インセンティブを形成することに役立つとされている。
3. ロシア石油ガス会社の主な動き
(1) Rosneft
サハ共和国で新たなガス・コンデンセート田を発見
- Rosneftは、7月9日、子会社のTaas-Yuryakh Neftegazodobycha社がサハ共和国で新たなガス・コンデンセート田を発見したと発表した。プロジェクトはRosneftが50.1%を保有し、インド企業のコンソーシアムTaas India社が29.9%、BPが20%を保有する。
- 新たなガス・コンデンセート田は40BCM以上のガスと200万トン以上のガス・コンデンセートの埋蔵量が確認され、Kederginskoyeと名付けられた。
- Taas-Yuryakh Neftegazodobycha社はサハ共和国の10鉱区のオペレーターを務めている。報道によると、2019年に29万トン、2020年に481.5万トンの石油を生産しており、2021年には500万トンを生産する計画となっている。
(2) Gazprom
OPALパイプラインに関するドイツの控訴を欧州司法裁判所が棄却
- 欧州司法裁判所は、7月15日、Nord Streamパイプラインに接続されているOPALパイプラインの利用に関するドイツの控訴を棄却したと発表した。Gazpromのパイプライン利用枠は出資分の50%に制限されたままとなる。
- ガス価格の競争性を担保するため、EUでは2009年からガスの供給者と輸送者を分離する規制を導入しており、同パイプラインの出資者となっているGazpromの利用枠は、同社出資分の50%に制限されるが、欧州委員会は、2016年10月、同制限を2033年まで緩和する決定を下した。しかし、ロシアからベラルーシ経由でガスを輸入しているポーランドは、この決定により、ポーランドのガス供給が脅かされる恐れがあることから、ポーランドの国営ガス会社のPGNiGが、この決定を無効にする訴えを起こし、2019年9月にこれが認められた。判決では、2016年の欧州委員会の決定は、Gazpromの利用枠の拡大によるポーランドのエネルギー安全保障を考慮しなかったとして、EUのエネルギー連帯の原則に反するとされた。
- ドイツはこの判決に対して、控訴を行なったが、今回の控訴棄却においても、欧州司法裁判所は、連帯の原則はEU法の基本原則であり、EUでのエネルギー政策の目的の土台になっていると結論付けた。
- 報道によると、Gazpromは、この控訴の当事者ではないとしつつも、欧州へのガス輸送システムへの投資の効率的な活用に対して、人為的に障害物が作られたことに失望したとのコメントをしている。
- OPALパイプラインはNord Steam 1の到着点であるドイツ北部からチェコ共和国まで続いており、年間36BCMの輸送能力がある。
4. 新規LNG・P/L事業
(1) Obskiyガス化学コンプレックス
Obskiyガス化学コンプレックスでのLNG生産の可能性を排除せず
- Novatekは、7月29日、2021年第2四半期の業績報告のためのテレカンファレンスの中で、Obskiyガス化学コンプレックスでLNGも生産する可能性を排除しなかった。NovatekはObskiy LNGの名称をObskiyガス化学コンプレックスに変更し、ブルーアンモニア、水素、エタノール等のクリーン燃料の生産を検討しているとしている。
- テレカンファレンスの中で、NovatekのCFO、Gyetvay氏は、名称の変更は、プロジェクト内でLNGが生産される可能性を排除するものではないと語った。また、設計の選択肢、容量、立地などの調査をするための事前基本設計を作成する契約に署名を行い、今年の年末までにはプロジェクトのパラメーターについてより多くの情報を共有できるだろうと述べた。
- 同氏は、長期的見通しを理解するため、市場を分析し、アジアと欧州の両方のパートナーと議論していると述べた。同氏は、エネルギーとしてのアンモニアは新たな市場を代表するものだとして、水素キャリアとして良い方法だと評価した。また、LNGプロジェクトと同じマーケティング原則を用いて、大西洋と太平洋の両方の市場への輸出を検討して行くとした。
- Obskiy LNGでは、以前、Novatek独自のLNG技術であるArctic Cascadeを用いて、年間生産能力250万トンのプラントを2系列建設し、合計年間生産能力500万トンのLNGプロジェクトとする計画だったが、Arctic Cascadeを利用したYamal LNG第4トレインでの生産開始が遅れ、Obskiy LNGでの利用を断念したと見られている。Gyetvay氏は、テレカンファレンスの中で、Arctic Cascadeを改善し、他のプロジェクトに適用するためには、時間をかけて操業を見て行く必要があると述べた。
(2) Nord Stream 2
ドイツと米国がNord Stream 2への対応について合意
- ドイツと米国は、7月21日、Nord Stream 2を巡る問題を解決するための共同声明を発表した。7月15日、ドイツのメルケル首相と米国のバイデン大統領がワシントンで会談し、Nord Stream 2について議論をしていた。
- 共同声明の中では、ロシアがウクライナに対する武器としてエネルギーを使用しようとした場合、またはウクライナに対するロシアの攻撃的な行動があった場合にドイツが制裁等の行動を起こすことを約束している。これは、ロシアが政治的目標を達成するためにNord Stream 2を含む欧州へのパイプラインを使用しないことを目的としている。また、ドイツは、ロシアのウクライナ経由のガス輸送がウクライナと欧州の利益になるとして、ロシアとウクライナ間のガス輸送契約を、2024年以降も最大10年間延長するための影響力を行使するとしている。さらに、ドイツと米国は共同で基金を設立するなど、ウクライナの再生可能エネルギーや水素などのカーボンニュートラルに向けた支援をすることでも合意した。
- また、共同声明が発表された7月21日、プーチン大統領とメルケル首相は電話会談を行なった。ロシア大統領府の発表によると、会談の中で両国はNord Stream 2ガスパイプラインの完成が近づいていることに満足し、ドイツの一貫したプロジェクトへのコミットメントに留意し、プロジェクトが商業的なものであり、ドイツとEUのエネルギー安全保障を強化する目的であることを確認した。また、両首脳は、2024年以降におけるウクライナ経由のガス輸送契約延長の可能性についても議論されたとされる。
- 報道によると、Nord Stream 2 AGは、7月28日、Nord Stream 2パイプラインが99%完成したと発表した。パイプライン敷設船のAkademik Cherskiyが作業を完了し、Fortunaが最後の作業を行なっているとされる。
以上
(この報告は2021年8月23日時点のものです)
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