ページ番号1009242 更新日 令和4年1月21日
このウェブサイトに掲載されている情報はエネルギー・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、機構が作成した図表類等を引用・転載する場合は、機構資料である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。機構以外が作成した図表類等を引用・転載する場合は個別にお問い合わせください。
※Copyright (C) Japan Organization for Metals and Energy Security All Rights Reserved.
1. 政治・経済情勢
(1) 国内
政治・経済
2021年ロシア経済の総括
- プーチン大統領は、12月7日、ロシア政府関係者との間で経済問題に関する会議を開催し、2021年のロシア経済について総括した。
- 2021年10月までの10か月間のロシアのGDP成長率は前年比4.6%のプラスとなり、世界最高の水準ではないものの、良い水準であると述べた。また、第3四半期までの投資が7.6%増となり、同様に良好な結果であると伝えた。
- 国内の雇用者数は、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年後期の水準に相当する7,230万人であったと紹介しつつ、引き続き、労働市場の回復に向けて、多くの解決すべき課題を抱えていることを強調した。
- 更に、2022年の課題として、新型コロナウイルスの新規変異株が蔓延する中でも、インフレ進行への対策、国民の実質可処分所得の向上、持続可能で長期的な経済発展の確保の3点を行うことを指摘した。特にインフレ進行については、2021年11月末までに8.4%まで上昇しており、2022年の年間インフレ率は目標値である4%に戻す必要があると述べた。インフレの背景には、海外の先進国を中心とした非常に緩んだ財政政策があるとした上で、今後対抗メカニズムを導入する必要性を指摘した。
ノヴァク副首相が2022年の世界エネルギー会議の準備等のため、サンクトペテルブルクを訪問
- ノヴァク副首相は、12月8日、サンクトペテルブルクを訪問し、2022年10月24日から27日にロシアの主催により、当地で開催される第25回世界エネルギー会議の準備等について協議を行った。
- 同副首相は、サンクトペテルブルク・ベグロフ市長との会議を行い、第25回世界エネルギー会議の開催に向けて、同市が策定した計画について報告を受けた。また、2022年末までのサンクトペテルブルク市のガス化や、エネルギーインフラの開発に関する問題等についても議論を行った。
- 加えて、ガスプロムネフチのデジタルトランスフォーメーションセンター「Zifergauz」(2021年3月開所)を訪問し、ヤマル半島における最初の北極海海底天然ガスパイプライン「Yamal Gas」の開通式を行った(詳細は4.(2)を参照)。
- 式典の後、ノヴァク副首相はガスプロムネフチ経営陣との間で、同社がオレンブルク州で実施予定のCCS実証プロジェクトについて協議を行った。同副首相は、CCSプロジェクトが、2060年までのカーボンニュートラル達成のために必要であるとし、今後、政府による促進策の検討を進めていくことを強調した。

写真出典:http://government.ru/news/44040/
国防省の年次拡大会合が開催
- プーチン大統領は、12月21日、国防省の年次拡大会合に参加し、2021年の安全保障問題等について自身の意見を述べた。
- アルメニアとアゼルバイジャンの係争地であるナゴルノ・カラバフを巡る問題については、ロシア平和維持軍による1年以上の活動の結果、人道的状況の改善や地雷除去、社会インフラ施設の修復、歴史文化的遺産の保護が行われたと紹介した。
- 他方で、世界の安全保障情勢は、引き続き困難を抱えており、特に、ルーマニアやポーランドへの米国のミサイル防衛システムの配備計画に加えて、ウクライナにおいても同様の構想が出現する可能性があるなど、ロシア国境における米軍や北大西洋条約機構(NATO)の活動が深刻な懸念事項であると述べた。
- この点について、米国バイデン大統領との交渉開始を提案したことに言及し、解決には、長期的かつ法的拘束力のある合意文書が必要だと強調した。更に、西側諸国による攻撃的な路線が継続すれば、その非友好的な措置に対し、相応の軍事技術により対抗しなければならないと非難した。
- また、ロシアの提案している交渉内容を米国やNATO諸国に対する最後通牒と解釈する一部報道について否定した上で、米軍が自国の領土から数千キロも離れたところで活動し、その結果として、旧ユーゴスラビアやイラク、シリア情勢を複雑化させたと非難。武力紛争ではなく平和的解決を望むとしつつ、ロシアの隣国ウクライナにおける米国の同様の取り組みにおいては、当然譲歩できるものではないと警告した。

写真出典:http://kremlin.ru/events/president/news/67402
プーチン大統領の定例年次会見が開催
- プーチン大統領は、12月23日、毎年12月に行う定例年次会見を開催し、複数のメディアで生放送された。記者会見は約4時間行われ、プーチン大統領が多くの質問に回答した。
- プーチン大統領は最初の質問で新型コロナウイルス感染拡大の影響下における1年間の評価を問われ、2022年のロシアのGDP成長率は4.5%のプラスとなることが期待され、世界の主要経済国と比較しても早い回復だと述べた。
- また、米国バイデン大統領に対し、NATOの活動をウクライナに拡大させないよう提案したことに触れ、現状前向きな反応を得ていること、2022年1月にスイス・ジュネーブで協議を開始することを明らかにした。その後、NATOは、1990年代の東方拡大を行わないとの約束を反故にし、ロシアを騙してきたと非難し、今すぐに欧米諸国による法的な保証が必要だと強調した。
- 欧州の天然ガス危機については、ガスプロムが既存の契約に基づいて必要量を全量供給していることを紹介し、更に欧州向けに12%、海外向けに20%供給を増やしたと主張した。天然ガス危機の要因として、悪天候や長く寒い昨秋の気候、地下貯蔵施設への充填不足、風力発電の稼働率低迷、脱炭素化による石油・天然ガスへの投資不足を例に挙げ、ロシアにその責がないことを強調した。更には、ドイツからポーランドへのパイプラインガスの逆流に触れ、ロシアとの長期契約に基づく価格の3~7倍以上の価格で転売されており、更にはポーランドからウクライナに天然ガスが流れている可能性について独自の見解による懸念を示した。

写真出典:http://www.kremlin.ru/events/president/news/67438
金融
政策金利を8.50%に引き上げ
- ロシア中央銀行は、12月17日、政策金利をこれまでの7.50%から8.50%に引き上げる決定をしたと発表した。政策金利は10月にも6.75%から7.50%に引き上げられており、引き上げ措置が続いている。更に、今回は前回の上げ幅よりも大きく、一度に1ポイントの引き上げとなり、より強い措置となった。
- 中央銀行の発表によると、引き上げの背景には、中央銀行の従来予測よりも高いインフレ水準があり、2021年の年間インフレ率の予想は、9月時点の7.4%から今回8.4%に引き上げられた。10月から11月にかけて、季節調整済消費者物価指数の月次成長率は、過去6年間で最高となった。生産能力の拡大よりも需要が早く成長し、インフレが進んでおり、インフレを目標値である4%に戻すことを目的として政策金利が引き上げられてきている。中央銀行は、状況が予測に沿って進展した場合には、政策金利をさらに引き上げることを検討するとしている。なお現在の予測によると、ロシアの2022年の年間インフレ率は4.0~4.5%に低下し、その後4%付近に留まると予測されている。
(2) 対外関係
1) インド
モディ首相とニューデリーにおいて会談
- プーチン大統領は、12月6日、インドのニューデリーにおいて、同国モディ首相と会談し、両国の戦略的パートナーシップの状況や、アフガニスタン情勢を含む国際的・地域的な問題、宇宙分野・原子力エネルギー分野での協力拡大について議論を行った。また、両首脳は、露印の平和、進展、繁栄のためのパートナーシップに関する共同声明を採択した。

写真出典:http://www.kremlin.ru/events/president/transcripts/67287
2) 米国
バイデン大統領との2度のオンライン・電話会談でウクライナを巡る問題について議論
- プーチン大統領は、12月7日及び12月30日の2度にわたり、米国バイデン大統領との間で、それぞれオンライン形式、電話での会談を行い、主にウクライナを巡る問題について議論を行った。
- 7日の会談では、バイデン大統領がウクライナ国境付近のロシア軍の活動に対し、状況の改善を促すとともに、悪化した場合のロシアに対する制裁措置に言及。これに対し、プーチン大統領は、ウクライナ国境付近で軍事力を増強する試みを行っているのはむしろNATOであると非難し、NATOの東方拡大とミサイル防衛システムの展開を止めることについて、法的拘束力のある合意により保証することを求めた。その後、プーチン大統領は、15日に上記に関する条約案を米国に提示し、17日に内容を公表した。
- 30日の会談では、プーチン大統領は改めて上記の立場を主張し、これに対しバイデン大統領はウクライナの領土内に攻撃的な軍事設備を導入する意図はないとした上で、ロシアによるウクライナへのいかなる侵攻にも断固として対応すると強調した。またプーチン大統領は、ロシアのウクライナ侵攻に際してバイデン大統領が「前例のない」制裁を発動する可能性があるとしていることに対し、重大な過ちであり両国関係が完全に崩壊する恐れがあると警告した。
- 両国は、1月9-10日にスイス・ジュネーブ、12日にベルギー・ブリュッセルでのNATOロシア理事会との協議、13日に欧州安全保障協力機構の枠組みにおいて、担当間で引き続き協議していく方針で一致した。
- ロシア大統領府のプレスリリースによると、会談は率直かつビジネスライクであり、双方に有益な内容であったと評価している。

写真出典:http://kremlin.ru/events/president/news/67315
3) ギリシャ
ミツォタキス首相と対面での会談で経済・貿易問題等を議論
- プーチン大統領は、12月8日、ソチにおいて、ギリシャのミツォタキス首相と会談し、両国の貿易・経済協力の状況や安全保障問題について議論を行った。また、両首脳は、2022‐2024年のロシアとギリシャ間の共同行動計画を含む一連の合意文書を採択した。
- プーチン大統領は、両国間の貿易量について、2020年には新型コロナウイルスの感染拡大等により約35%減少した一方、2021年は56%増加し、パンデミック前の水準に達したと紹介した。ミツォキタス首相は、ギリシャ革命200周年という節目に、独立に重要な役割を果たしたロシアを訪問できることへの感謝を表明した。

写真出典:http://kremlin.ru/catalog/persons/646/events/67317
4) モンゴル
フレルスフ大統領と対面での会談で国家プログラム「トランジットモンゴル」等を議論
- プーチン大統領は、12月16日、クレムリンにおいて、モンゴルのフレルスフ大統領と会談し、モンゴルが進める国家プログラム「トランジットモンゴル」を中心とした両国の協力について議論を行った。また、両首脳は、両国の外交関係樹立100周年に合わせた共同宣言を採択した。フレルスフ大統領の就任後初の外遊であった。
- 両国は、11月に開催された貿易経済・科学技術協力のための政府間委員会を通じて、インフラ、鉱業、エネルギー、農業、デジタル技術等の分野での協力に関する新たな計画を策定したことを紹介した。
- モンゴルが進める国家プログラム「トランジットモンゴル」において、モンゴルはアジアと欧州、ロシアと中国の中継国として物流を繋ぐ役割を担うことを目標としており、両国は、ロシアの支援の下で、鉄道の近代化、天然ガスパイプラインの新設の検討を進めていることに言及した。プーチン大統領は、このうち鉄道の近代化については、両国の共同出資会社「ウランバートル鉄道」を通じて多くの準備作業が進んでいることを紹介し、天然ガスパイプラインについては、シベリアの力2パイプラインのモンゴル通過部分に関して、最適なルートや総延長が既に決定されており、今後数週間のうちに、フィージビリティスタディが完了すると述べた。
- また同大統領は、エネルギー分野の協力について、ロシアがモンゴルの石油製品需要の約80%を供給していることに触れ、今後、ロスネフチがウランバートルに新規に建設される空港の給油施設のオペレーターを担う可能性など、ロシアのエネルギー会社がモンゴル国内の燃料・潤滑油市場でのプレゼンスを拡大することに期待を表明した。また、ロスアトムが、モンゴルにおける原子力科学センターの建設の可能性を検討していることを紹介し、原子力の平和利用においても両国の協力可能性が開かれていることを示した。

写真出典:http://kremlin.ru/events/president/transcripts/67373
5) CIS諸国
CIS諸国首脳による恒例の非公式会合がサンクトペテルブルクで開催
- プーチン大統領は、12月28日、サンクトペテルブルクにおいて、自身の招待に基づき、事実上恒例となっているCIS諸国首脳との非公式会合を開催した。新型コロナウイルスの感染拡大前の会合以来の開催となった。
- 冒頭プーチン大統領は、2021年でCIS創設から30周年を迎えたことを祝福した。その後、専門家による報告を含む新型コロナウイルス感染症対策を中心に議論が行われた。
- また、プーチン大統領は、会期中、タジキスタンのラフモン大統領、カザフスタンのトカエフ大統領、ナザルバエフ元大統領(国家安全保障会議議長、当時)、ベラルーシのルカシェンコ大統領との間で個別に会談を行った。

写真出典:http://kremlin.ru/events/president/news/67461/photos/67298
6) 韓国
水素エネルギーとグリーン技術、カーボンクレジットでの協力可能性を協議
- レシェトニコフ経済発展大臣は、12月17日、韓国の呂翰九(ヨ・ハング)産業通商資源部通商交渉室長とオンライン形式で会議を行い、投資協力の発展について議論を行った。両国の2021年1月から10月の貿易量は、前年比60%増加の245億ドルであった。
- 両者は、投資協力の発展のため、韓国の投資家をロシア極東に誘致することに特に注力し、取り組みを強化することに合意した他、水素エネルギーやグリーン技術(電力グリッドを含む)が有望な協力分野であるとの認識を共有した。
- また、レシェトニコフ大臣は、COP26の結果を踏まえ、カーボンクレジットの国境を越えた流通や民間セクターの直接的な参加について、韓国側と協力の用意があると述べた。
3. 石油ガス産業情勢
(1) 原油・石油製品輸出税
- 2021年10月15日から2021年11月14日までのモニタリング期間におけるウラル原油の平均価格はUSD82.45357/バレルとなり、12月の原油輸出税はUSD10.6/バレルに引き上げられた。
- 12月の石油製品輸出税はUSD23.2/トン、ガソリンについてはUSD42.6/トンに設定された。

(2) 原油生産・輸出量
- 12月、原油、ガス・コンデンセート生産量は4,611万トン(約3億3,660万バレル、平均日量1,090万バレル)で、前年同月比8.6%増。
- 12月、原油輸出量は1,992万トン(約1億4,539万バレル、同469万バレル)で、前年同月比7.0%増。
(3) 天然ガス生産
- 12月、天然ガス生産量は690億立方メートル(約2.4TCF)で、前年同月比で3.3%増。
注1 原油生産量及び輸出量はエネルギー省の公表データに基づき、今後更新される可能性あり。原油輸出量は、(4)原油輸出先に記載の連邦税関庁の公表データに基づく数値とは異なる。
注2 天然ガス生産量はエネルギー省の公表データ、天然ガス輸出量は連邦税関庁の公表データに基づき、今後更新される可能性あり。
(4) 原油輸出先
注 連邦税関庁の公表データは、2か月前のデータが最新。
- 10月、主な原油輸出先は、欧州947万トン(約6,912万バレル、全輸出量に占める割合45.7%)、中国656万トン(約4,790万バレル、同割合31.7%)、韓国164万トン(約1,198万バレル、同割合7.9%)となった。
- 前年同月比でトルコが7.5倍、韓国が68.8%増、米国が65.3%となった一方、ベラルーシが24.4%減、日本が21.1%減となった。また、タイへの輸出が行われた。

(5) 天然ガス輸出先
注 連邦税関庁の公表データは、2か月前のデータが最新。
- 10月、主なLNG輸出先は、欧州118万トン(全輸出量に占める割合42.2%)、日本107万トン(同割合38.4%)であり、前年同月比でアジア向け輸出シェアが大幅に増加し、欧州向けシェアが減少した。前年同月の輸出先でなかった日本、中国、韓国向けの輸出が行われたことによるもの。

- 10月、北極海航路を経由した主なLNG輸出先は、欧州118万トン(全輸出量に占める割合76.1%)、アジア37万トン(同割合23.9%)で、前年同月と異なり、日本、中国向けの輸出が行われたことにより、欧州向けシェアが減少した。

- 10月、主なパイプラインガス輸出先は、ドイツ2.8BCM(全輸出量に占める割合20.2%)、イタリア2.3BCM(同割合16.7%)、トルコ1.9BCM(同割合13.7%)、ベラルーシ1.8BCM(同割合13.1%)となった。
- 前年同期比でドイツが33.8%減、トルコが8.8%減となった一方、イタリアが25.5%増となった。また、前年同月の輸出先であった中国、ハンガリー向けの輸出は行われなかった。

(6) 減産合意
2022年1月の増産(減産措置縮小)について日量40万バレル規模の維持に合意
- OPECプラスは、12月2日、第23回閣僚会合をテレビ会議形式で開催した。7月18日に開催された第19回会合における合意に基づき、8月以降実施されている増産(減産措置縮小)(毎月日量40万バレル)について、2022年1月の減産措置にも適用することを決定した。
- 同会合では、メキシコを含むOPECプラス産油国による10月の減産遵守率が116%であったことを確認した。会合に参加したノヴァク副首相は、世界の原油市場は引き続き需給バランスを保っている状態であり、需要の回復が継続していると述べた。また、新型コロナウイルスの変異株(オミクロン株)の出現が原油市場に影響を与えているが、以前の決定を見直すほどの新たな客観的指標はないと付け加えた。
- OPECプラスは、次回の第24回閣僚会合を2022年1月4日に開催する。
(7) 法令・税制
特別投資契約(SPIC)のための現代技術リストを拡大
- ミシュスチン首相は、12月2日、ロシア連邦政府令第3420-r号により、民間企業が政府との間で特別投資契約(SPIC)を締結することができる現代技術リストについて、新規に80項目を追加することを承認した。
- SPICメカニズムは2020年末に導入され、主要な国内製品の生産における競争力を向上させる観点から、政府との間でSPICを締結した案件については、政府により税制上の優遇措置や土地借用時の入札プロセスの省略等の特別な条件を含む、投資メリットが保証される。
- 今回追加された項目は、80項目あり、この中には、脱炭素化をふまえ、水素燃料電池、アンモニアの生産、EV用やエネルギー貯蔵用のリチウムイオン電池の製造、大気中への汚染物質の排出の特定・管理に係る設備技術が追加されていることに加え、MRI装置や眼内レンズ、心血管治療のための最新薬剤などの医療分野が含まれている。
- プロジェクトの投資額が500億ルーブル以下の場合は最大15年間、500億ルーブル以上の場合は最大20年間まで投資メリットを享受することが可能となる。
国営企業及び開発機関の活動に対する管理を強化
- ミシュスチン首相は、12月10日、ロシア連邦政府令第3522-r号により、国営企業及び開発機関の活動に対する政府の管理を強化することを承認した。
- 同政令により、2020年12月に承認された政府出資法人の主要業績評価指標の決定に関する推奨方針が修正され、政府出資法人は、ロシア連邦国家資産管理局のポータルサイト上で、従来の年に一度から報告頻度が増え、四半期に一度の報告書の提出義務が課される。また、追加的なKPIが設定されることになる。更に、開発機関については、経営陣の報酬の計算方法が変更され、今後はKPIの達成度に応じた報酬の制限も可能となる。
(8) 北極海航路
Arctic LNG 2プロジェクトのLNGタンカー建造等への補助金割当が決定
- ミシュスチン首相は、12月10日、ロシア連邦政府令第3519-r号により、Arctic LNG 2プロジェクト向けのLNGタンカー建造の第2フェーズを完了するため、8億9,000万ルーブル以上の補助金を割り当てることを承認した。
- 補助金の提供は、国家プログラム「オフショア油ガス田の開発のための造船及び設備開発」の枠組みの中で行われる。
- 現在、ズヴェズダ造船所においては、新規の大型砕氷LNGタンカー(積載量:17万2,600m3)の建造作業が行われており、Arctic LNG 2プロジェクトから北極海航路を通じた年間LNG輸送用に利用される。同タンカーの建造は2023年に完了する予定。
- 2020年以降、大容量船舶の建造には、連邦予算からの補助金が割り当てられており、この対象には、建造に係る労働者の人件費、特別な技術設備、建造の準備・開発のためのコストの一部が含まれている。
- 上記に加えて、同枠組みの中で、105億ルーブル以上が国営リース会社GTLK社の追加資本準備金に充当される。同資金は、旅客、貨物輸送、技術的ニーズに合わせた19件の民間用船舶向けのリース契約に利用される見込みである。
(9) 脱炭素・環境対応
第13回「Russia Calling!」投資フォーラムの持続可能な開発セッション
- エネルギー省ソローキン次官は、12月1日、オンライン形式で開催された第13回「Russia Calling!」投資フォーラムの持続可能な開発セッションにおいて、温室効果ガス排出量のモニタリングシステムや二酸化炭素の回収に係る検証・確定システムに関する他国との協力について見解を述べた。
- 同次官によれば、ロシアは、温室効果ガスのモニタリングシステムや、二酸化炭素の回収に係る検証・確定システムにおいて、他国との協力の準備ができており、特にCCS技術の導入においては、ロシアは大きなポテンシャルを有すると強調した。
サハリン州における温室効果ガスの排出制限の実験に関する法案が下院に提出
- 経済発展省は、12月13日、連邦法案「ロシア連邦の特定の構成主体における温室効果ガスの排出量の制限に関する実験の実施」をロシア連邦下院に提出し、22日に下院第1読会を通過したと発表した。
- 同法案は、2022年3月1日~2028年12月31日の期間におけるサハリン州での温室効果ガス排出を制限するための実験の実施を規定しており、2025年12月31日までのサハリン州のカーボンニュートラルの実現を目的としている。2021年7月2日に採択された連邦法第296-fz号「温室効果ガス排出量の抑制について」は、ロシア全土を対象としており、温室効果ガス排出の規制対象に指定された組織(※)に対し、排出量の報告義務のみを設ける「ソフト」規制に留まっているのに対し、サハリン州の実験法案においては、排出枠による規制を設けて、割当量を超過した際に超過料金を支払う「ハード」規制を導入している。
注 2023年1月1日~温室効果ガス排出量が年間15万トン-CO2e以上、2025年1月1日~温室効果ガス排出量が年間5万トン-CO2e以上の法人・個人事業主等が対象。
- また経済発展省は、並行して、気候変動対策プロジェクトの実施のための規制枠組みの準備を進めている。既に、政令案「気候変動対策プロジェクトの選定基準及び手続について」や政令案「気候変動対策プロジェクトの実施結果の認証に関する規則」、政令案「カーボンクレジット登録簿のオペレーターについて」等を作成済みである。
- レシェトニコフ経済発展大臣によると、Rusal、EuroChem、SUEK、Orsknefteorgsintez等の大企業が、新たな枠組みを利用する意向を示しており、2022年前半には気候変動対策プロジェクトの実施を開始する予定である。
- レシェトニコフ大臣によると、サハリン州においては、現在、年間1,230万トン-CO2eの温室効果ガスを排出し、年間1,110万トン-CO2eの温室効果ガスを吸収しており、2025年までに差分の120万トン-CO2eを削減する必要がある。また、この差分のうち、年間80万トン-CO2eは、サハリン州のガス化、再生可能エネルギーの導入、廃棄物処理プログラム実施により州政府主導で行われ、残りの年間40万トン-CO2eが企業の負担となる。既に、サハリン州の排出量の75%に相当する排出企業を特定しており、割当量による排出枠の設定は、年間2万トン-CO2e以上を排出する21社を対象に設定される見込み。
- 将来的には、サハリン州に加えて、既に実験参加の意向を示している4地域(バシコルトスタン共和国、ハバロフスク地方、イルクーツク州、カリーニングラード州に対象地域を広げる可能性についても検討がなされる予定。
新規政省令案 | ステータス |
連邦政令第2979-r号「温室効果ガス排出の国家会計の対象リスト」 | 2021年10月22日採択 |
連邦政令案「温室効果ガス排出削減目標の達成度の評価手順について」 | 審議中 |
連邦政令案「法人及び個人事業主の規制対象組織への分類基準について」 | 審議中 |
連邦政令案「温室効果ガス排出量登録簿の作成・管理に関する規則について」 | 審議中 |
連邦政令案「温室効果ガス排出量に関する報告書の提出と検証に関する規則について」 | 審議中 |
経済発展省令案「気候変動対策プロジェクトの選定基準及び手続きについて」 | 審議中 |
連邦政令案「気候変動対策プロジェクトの実施結果の認証に関する規則について」 | 審議中 |
連邦政令案「カーボンクレジット登録簿のオペレーターについて」 | 審議中 |
連邦政令案「オペレーターによるカーボンクレジット登録簿への登録サービス提供費用の決定手続き」 | 審議中 |
連邦政令案「オペレーターによるカーボンクレジット登録簿への登録サービス提供契約書の様式」 | 審議中 |
出典:政府公表情報よりJOGMEC作成
新規政省令案 | 準備期限 | 担当機関 |
連邦政令案「実験参加国の領土における温室効果ガスの排出・吸収に関する特別な規制を確立するための実験を調整する連邦行政当局の権限の定義、および国家温室効果ガス記録簿の導入に関するもの」 | 2022年3月1日 | 経済発展省および関係する連邦行政機関 |
連邦政令案「『温室効果ガス排出量の制限に関する』連邦法に基づく会計処理の対象となる温室効果ガスに関する割当量を達成(超過)できなかった場合の支払率の設定について」 | 2022年3月1日 | 経済発展省、エネルギー省、産業商務省、サハリン州 |
連邦政令案「割当量を遵守(超過)しなかった場合の支払いの計算と徴収に関する規則の確立について」 | 2022年3月1日 | 経済発展省、エネルギー省、産業商務省、サハリン州 |
連邦政令案「割当量実施単位を用いた取引および民法上の取引に関するデータを登録簿に入力するためのオペレーターのサービスに対する支払額および支払方法の確立について」 | 2022年3月1日 | 経済発展省、エネルギー省、産業商務省、サハリン州 |
連邦政令案「カーボンクレジット登録簿にアカウントを開設するための契約の形式と必須条件の確立について」 | 2022年3月1日 | 経済発展省、サハリン州 |
経済発展省令案「法人および個人事業主を規制対象企業に分類するための手順の承認について」 | 2022年3月1日 | 経済発展省、サハリン州 |
経済発展省令案「実験実施プログラムのモニタリング結果に関する報告書を公認機関が提出するための形式と手順の定義について」 | 2022年3月1日 | 経済発展省、サハリン州 |
経済発展省令案「温室効果ガス排出量の割当量を決定するための方法論の承認について」 | 2022年3月1日 | 経済発展省、サハリン州 |
経済発展省令案「規制対象企業による認可機関へのカーボンレポート提出の手順と形式の承認について」 | 2022年3月1日 | 経済発展省、サハリン州 |
経済発展省令案「実験実施のためのプログラム案の公開討論の開催に関する方法論的勧告の承認について」 | 2022年3月1日 | 経済発展省、サハリン州 |
出典:経済発展省公表情報よりJOGMEC作成
露独クロスイヤーフォーラム「経済と持続可能な発展 2020-2022」が開催
- 12月8日、露独クロスイヤーフォーラム「経済と持続可能な発展 2020-2022」がモスクワにおいて、経済発展省、産業起業家同盟、ドイツ経済の東部委員会、在露ドイツ大使館の主催により、両国外務省の支援の下で開催された。
- 経済発展省イリイチェフ副大臣は、ロシアが欧州グリーンディール政策やその他の政策パッケージにおける脱炭素化の方針について、欧州連合(EU)の水準にあわせることが、ロシアにとって重要な課題となっていると述べた。また、ロシアの低炭素化経済の発展に向けて、森林吸収能力の向上も考慮しつつ、温室効果ガス排出量を2030年までに1990年比で70%の水準まで削減することを示した。
- 加えて、水素エネルギー分野における露独の協力関係は、技術面と投資面の双方でポテンシャルが高く、有望であると期待を表明した。
世界貿易機関(WTO)による貿易と持続可能性に関する2つの共同声明に参加
- 経済発展省は、12月17日、世界貿易機関(WTO)が採択した、貿易と持続可能性に関する3つの共同声明のうち、ロシアが2つに参加したことを公表した。
- WTOが採択した共同声明は、貿易と環境の持続可能性に関する声明、プラスチック汚染と持続可能なプラスチック貿易に関する声明、化石燃料に対する補助金改革に関する声明の3点であり、ロシアはこのうち最初の2つに参加した。
「グリーン」証明書の発行及び流通に関する法案が策定
- エネルギー省は、12月22日、低炭素証明書である「グリーン」証明書の発行及び流通に関する法案を策定したことを公表した。
- 「グリーン」証明書は、二酸化炭素排出量の少ない発電所(太陽光、風力、水力、原子力)で発電された電力に紐づいて発行される電子文書であり、同法案が成立した場合、これら発電所の事業者は、任意で「グリーン」証明書を受け取ることが可能となる。
- 同法案においては、発電の属性情報の概念が導入されており、この属性情報に基づいて、温室効果ガス排出量の決定や、ESG基準に準拠していることを示す広告として活用することが可能となる。
2022年1月から温室効果ガス地下貯蔵施設の建設ライセンスの発給が開始
- コズロフ天然資源環境大臣は、12月22日、2022年1月1日から温室効果ガス地下貯蔵(CCS)施設の建設のためのライセンスの発給を開始すると公表した。同大臣の発言によると、ライセンスの発給は入札方式ではなく、申請方式となる。
- 但し、温室効果ガスの地下貯蔵の実施に関するライセンスの発給については、今後、天然資源環境省が法案を検討し、2022年春の国会への提出を行う方向で検討を進める。
- 本件について、連邦地下資源利用庁(Rosnedra)ペトロフ総裁は、オレンブルク州においてガスプロムネフチが実施予定のCCS実証プロジェクトについて、理想的な事業地であると述べ、また、Novatekがヤマル半島におけるCCS施設の建設に関心を持っていることにも言及し、同分野での法整備の必要性を示唆した。
東京都とサハリン州が温室効果ガス排出権取引システムの構築に関するセミナーを実施
- 経済発展省は、12月21日、サハリン州政府と共同で、東京都の温室効果ガス排出権取引運営者とのオンラインセミナーを開催した。
- 同セミナーにおいて、キャノンITソリューションズ社が、東京都キャップ&トレード制度への参加経験を紹介した他、東京都キャップ&トレード制度運営者が、システムに参加する企業の温室効果ガス排出枠を設定するための基本原則等を説明した。
- 両者は、今後対話を継続し、関心のある日露企業を参加させることに合意した。
4. ロシア石油ガス会社の主な動き
(1) ガスプロム
2022年のベラルーシ向け天然ガス供給に関する価格フォーミュラに合意
- ガスプロムは、12月1日、ミレル社長とベラルーシのカランケビッチ・エネルギー大臣、セマシュコ在露ベラルーシ大使との間での会議を行い、両者間で、2022年のベラルーシ向け天然ガス供給に関する価格フォーミュラについて合意に至ったことを発表した。
(2) ガスプロムネフチ
北極海海底天然ガスパイプライン「Yamal Gas」が開通
- ガスプロムネフチは、12月8日、ヤマル半島ノヴィポルト油田の生産施設とヤンブルグ-トゥーラ天然ガスパイプラインを接続する北極海海底天然ガスパイプライン「Yamal Gas」が開通したと発表した。同社は、これによりノヴィポルト油田で生産される随伴ガスをオビ湾海底経由で輸送し、ロシアの統一ガス供給システム(UGSS)へ供給することが可能となる。同パイプラインの海底部の総延長は58.4kmで、輸送能力は年間20BCM、投資額は1,500億ルーブル以上となっている。
- 開通式には、サンクトペテルブルクからオンライン形式で、ノヴァク副首相、同社デュコフ社長が参加し、サレハルドからヤマロ・ネネツ自治管区アルチュコフ知事が参加する中で行われた。


写真出典:https://www.gazprom-neft.ru/press-center/news/gazprom_neft_zapustila_arkticheskiy_podvodnyy_gazoprovod_gaz_yamala_cherez_obskuyu_gubu_karskogo_mor/
(3) ロスネフチ
Indian Oilとの間で最大200万トンの原油供給契約を締結
- ロスネフチは、12月6日、プーチン大統領がインドを訪問し、モディ首相との首脳会談を行った際に、これにあわせて、Indian Oilとの間で、ノヴォロシースク港を通じたインド向けの最大200万トンの原油供給契約を締結した。
- Indian Oilは、その他のインド企業(ONGC Videsh Ltd.、Oil India Limited、Bharat PetroResources)と共に、2016年からVankorneftの49.9%株式を保有しており、同社を通じて、ヴァンコール油ガス田の開発に参加している。また、その他のインド企業(Oil India Limited、Bharat PetroResources)と共に、Taas-Yuryakh Neftegazodobycha社の29.9%株式を保有しており、同社を通じて、スレドネ・ボツオビン鉱床の中央鉱区及びKurungsky鉱区のライセンスを保有している。
(4) Novatek
PetroVietnam Powerとの間でLNG・電力分野での協力協定に署名
- Novatekは、12月2日、ベトナムのグエン・スアン・フック国家主席の訪問にあわせて、PetroVietnam Powerとの間で、ベトナムにおけるLNG・電力プロジェクトに関する協力協定に署名した。
- 両者は、ベトナムで増加が見込まれる電力需要を補うことを目的に、LNGインフラを整備するプロジェクトの実施において協力を行う予定。Novatekは、同協定が、同社が8月に開設したベトナムにおける駐在員事務所を通じたベトナム企業との協力関係を更に推進する上で重要なステップとなるとしている。
独RWEとの間で脱炭素化・LNG分野での覚書に署名
- Novatekは、12月7日、ドイツのRWE Supply & Trading GmbHとの間で、LNG供給及び脱炭素化に関する覚書に署名した。
- 同覚書は、Novatekが生産する低炭素アンモニア・水素をRWEへ供給する可能性について規定している。低炭素・水素アンモニアは、オビ・ガス化学コンプレクス(オビGCC)において生産され、その後、ドイツやその他欧州諸国に供給される見込み。
- また両者は、既存のスポット供給を拡大することで、カーボンニュートラルLNGを含むLNG供給分野における協力を深めるとともに、Arctic LNG 2プロジェクト及びその他のNovatekのプロジェクトからの長期契約でのLNG供給可能性についても検討する予定。
独Uniperとの間で低炭素アンモニアの供給に関するタームシートに合意
- Novatekは、12月22日、ドイツのUniper SEとの間で、最大120万トンの低炭素アンモニアの長期供給に関するタームシートに合意した。同合意は、2021年1月に両者間で締結した覚書の次のステップとして締結された。アンモニアの製品価格は、関連する欧州や国際ベンチマークに基づいて決定される。
- 低炭素アンモニアは、CCS付帯のオビ・ガス化学コンプレクス(オビGCC)において生産され、ウィルヘルムスハーフェンにおいて、Uniperが建設を計画しているアンモニア輸入基地に供給される。同基地は、再生可能エネルギー由来電力により操業される予定であり、水素キャリアとして輸入されたアンモニアは、同基地において水素に変換されて、現在建設が検討されているドイツ国内の水素パイプライン網に送られ、クリーン原料或いは燃料として直接供給される見込み。
(5) イルクーツク石油
国際協力銀行(JBIC)・外資系銀行からポリマープラント向けバイヤーズ・クレジットを取得
- イルクーツク石油(INK)は、12月30日、国際協力銀行(JBIC)や外資系銀行(ドイツ銀行東京支店、ソシエテ・ジェネラル銀行東京支店、ゴールドマン・サックス・リアルティ・ジャパン有限会社)との間で、総額8億7,100万ドルのバイヤーズ・クレジットによる貸付契約を締結した。このうち、JBIC分が5億2,200万ドルであり、民間金融機関の融資部分には、日本貿易保険(NEXI)による保険が付される。
- INKは、同社子会社Irkutsk Polymer Plant社を通じて、イルクーツク州ウスチ・クートにエチレン製造プラント、ポリエチレン製造プラントを新設する予定であり、本融資は、東洋エンジニアリング等からプラント設備一式等を購入するための資金に利用される。

写真出典:https://irkutskoil.com/press-center/ink-privlekla-kredit-v-871-mln-doll-u-mezhdunarodnykh-bankov-na-oborudovanie-dlya-irkutskogo-zavoda-/
5. 新規LNG・P/L事業
(1) SKV天然ガスパイプラインの拡張が完了
- ガスプロムは、12月21日、SKV(サハリン‐ハバロフスク‐ウラジオストク)天然ガスパイプラインの拡張に関する建設・敷設作業が完了したことを発表した。拡張区間は、コムソモリスク・ナ・アムーレからハバロフスクまでの390.8kmの区間である。
- 同パイプラインは、2012年に開催されたAPECウラジオストクにおける象徴的プロジェクトとして建設が進められたもので、2011年9月に建設が完了し、完成時の輸送能力は年間5.5BCMである。今回の拡張は、ハバロフスク地方のガス化を目的としているが、一部報道によると、ガスプロムは、将来的にシベリアの力パイプラインに接続することで、中国向けの供給に年間10BCMを追加する可能性も明らかにしている。
- なお現在、ガスプロムの生産する天然ガスのハバロフスク地方への供給は行われておらず、同地方政府との間で、「2021年から2025年までの同地域のガス供給及びガス化のための開発プログラム」が実施されている。同地域のガス化に対するガスプロムの総投資額は、過去5年間の3.2倍の規模の54.9億ルーブルになると見込まれており、14箇所の自治体・集落間を結ぶ9.3kmの支線パイプラインを敷設し、6箇所のガスコンプレッサーステーションを配置する。この結果として、同社とハバロフスク地方の発表によれば、20,607世帯の需要先にガスを供給することが可能となる。
以上
(この報告は2022年1月20日時点のものです)