ページ番号1009261 更新日 令和4年2月3日

原油市場他:OPEC及び一部非OPEC(OPECプラス)産油国が従来方針に基づき2022年3月についても前月比で日量40万バレル減産措置を縮小する旨決定(速報)

レポート属性
レポートID 1009261
作成日 2022-02-03 00:00:00 +0900
更新日 2022-02-03 10:57:43 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 市場
著者 野神 隆之
著者直接入力
年度 2021
Vol
No
ページ数 13
抽出データ
地域1 グローバル
国1
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 グローバル
2022/02/03 野神 隆之
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概要

  1. 2022年2月2日にOPEC及び一部非OPEC(OPECプラス)産油国は閣僚級会合を開催し、2021年8月以降毎月前月比で日量40万バレル規模を縮小しながら実施中である減産措置(2022年2月現在日量296万バレル)につき、従来方針に基づき2022年3月も日量40万バレル規模を縮小して実施する旨決定した。
  2. 次回のOPECプラス産油国閣僚級会合は3月2日に開催される予定である。
  3. 当初予想された程には新型コロナウイルスオミクロン変異株感染者の入院確率及び重症化確率が高くないとの見方が市場で広がったことに加え、ウクライナを巡る西側諸国等とロシアとの対立の高まりに伴う、ロシアからの原油供給途絶懸念等により、1月3日に1バレル当たり76.08ドルの終値であった原油価格(WTI)は2月1日には同88.20ドルとなるなど概ね上昇傾向となった。
  4. また、1月3日時点では1ガロン当たり3.381ドルであった全米平均ガソリン小売価格は、1月31日には同3.464ドルなど、米国の消費者の不満が高まり始める同3ドルを相当程度超過し続けているどころか、ガソリンの需要期ではないにもかかわらず上昇傾向となるなどした他、1月12日に米国労働省から発表された12月の同国消費者物価指数(CPI)が前年同月比で7.0%の上昇と1982年6月以来の高水準に到達した他、1月13日に同省から発表された12月の同国生産者物価指数(PPI)も前年同月比で9.7%上昇と、2010年以降の同国月間生産者物価指数統計史上最高水準を更新した。
  5. このようなことが一因となり、足元の米国バイデン大統領の支持率は2021年1月20日の就任時以来の最低水準にまで低下していることから、バイデン政権からサウジアラビア等のOPECプラス産油国に対し減産措置縮小加速に対する働きかけが行われ続けたものと見られる。
  6. しかしながら、サウジアラビアを初めとするOPECプラス産油国は、2022年の世界石油需給バランスは供給過剰になると予想される中、現在の原油価格の上昇はそのような石油需給バランスを反映しているわけではなく、ウクライナを巡る西側諸国等とロシアとの、もしくはイエメンとサウジアラビアやUAEとの、それぞれ対立の高まりによる、ロシアもしくは中東からの石油供給途絶の可能性に対する懸念等を織り込んだものであり、そのような懸念等が低下すれば、原油価格に大きな下方圧力が加わる恐れがあると認識しており、従って減産措置の緩和縮小の加速には慎重な姿勢であることが示唆された。
  7. 従って、OPECプラス産油国としては、むしろ減産措置の縮小の停止も視野に入りうる状況であったが、一方で、ガソリン小売価格高騰等に苦慮する米国との関係維持にも配慮する必要があったことにより、これまでの方針通りの規模での減産措置の縮小継続を決定したものと考えられる。
  8. 今回の閣僚級会合の結果に対し、OPECプラス産油国が原油価格を抑制するための減産措置の縮小加速に関し後ろ向きの姿勢を示したと市場関係者が受け取ったことにより、会合開催当日の原油相場に上方圧力が加わったことが一因となり、2月2日の原油価格は前日末終値比で1バレル当たり0.06ドル上昇し、同88.26ドルの終値となっている。

(OPEC、IEA、EIA他)

 

1. 協議内容等

 (1) 2022年2月2日にOPEC及び一部非OPEC(OPECプラス)産油国はビデオ会議形式で閣僚級会合を開催し、2021年7月18日に開催されたOPECプラス産油国閣僚級会合で決定した、同年8月以降毎月前月比で日量40万バレル規模を縮小しながら実施中である減産措置(2月時点で日量296万バレル)に関し、従来方針に基づき2022年3月についても日量40万バレル規模を縮小して実施する旨決定した(表1及び参考1参照)。

表1 OPECプラス産油国の減産幅

 (2) また、これまで減産目標を達成できていない減産措置参加産油国が2022年6月末までに減産目標未達成部分につき追加減産を実施(することにより減産目標を達成)することを含め、減産目標の完全遵守に固執することが極めて重要である旨再確認した。

 (3) さらに、次回のOPECプラス産油国閣僚級会合を3月2日に開催する旨当該会合で決定した。

 (4) なお、今回の閣僚級会合は2月2日午後2時頃(オーストリア ウイーン時間)に開始され、16分間という短時間で終了したとサウジアラビアのアブドルアジズ エネルギー相が明らかにした他、閣僚級会合後の記者会見は開催されなかった。

 (5) ただ、別途ロシアのノバク副首相は、世界石油需要は回復しつつあるものの、新型コロナウイルスオミクロン変異株の感染拡大を含め、不透明感は残存する旨指摘している。

 (6) また、OPECプラス産油国関係者は、原油価格の高騰は、消費国が脱炭素社会を目指すことに伴い、化石燃料の投資を確保できていないことによるものである旨明らかにしたと、2月2日のOPECプラス産油国閣僚級会合開催前に伝えられる。

 

2. 今回の会合の結果に至る経緯及び背景等

 (1) 2022年1月4日に開催された前回のOPECプラス産油国閣僚級会合では、2021年7月18日に開催された当該閣僚級会合で決定した方針に則り、2月のOPECプラス産油国減産措置の規模を前月比で日量40万バレル縮小する旨決定した。

 (2) この決定の背景としては、2022年の世界石油需給バランスは供給不足にはならないものの、当初見込みよりは相当程度供給過剰の幅が小さくなりそうだとの認識をOPECプラス産油国が持った一方、全米平均ガソリン小売価格が高水準を維持するとともに、同国の消費者及び生産者物価の上昇が継続したこともあり、経済政策に苦慮する米国との関係にOPECプラス産油国が配慮したと見られることが挙げられる。

 (3) ただ、世界石油需給が供給過剰となることが予想される中での、前回のOPECプラス産油国閣僚級会合での前月比での日量40万バレルの減産措置の縮小(つまり増産)の決定にもかかわらず、前回の閣僚級会合開催直前の1月3日に1バレル当たり76.08ドルの終値であった原油価格(WTI)は今次閣僚級会合開催直前の2月1日には同88.20ドルの終値となるなど、上昇傾向となったうえ、2月1日の原油価格の終値は2014年10月7日(この時は同88.85ドル)以来の高水準に到達する状態であった(図1参照)。

図1 原油価格の推移(2021~22年)

 (4) この期間の原油価格上昇要因としては、まず、新型コロナウイルスオミクロン変異株感染者の入院確率及び重症化確率が当初懸念されたほど深刻ではなかったことにより、石油需要への影響が軽微であり、従って、今後も概ね順調に世界石油需要が回復するとともに石油需給が引き締まる方向に向かうとの見方が市場で広がったことが挙げられる。

 (5) 併せて、世界石油在庫が減少傾向となっているとの観測が市場で広がったことでも、原油価格は上昇した(図2参照)。

図2 OECD諸国石油在庫(2016~21年)

 (6) 加えて、ウクライナとロシア国境付近のロシア側でロシアが軍備を増強しつつあり、ロシアのウクライナへの侵攻(2014年以降、ウクライナ東部の親ロシア派勢力居住地域を巡り両国は対立関係にあった)とウクライナ政府を支援する西側諸国等による大規模対ロシア制裁の発動、そしてそれに対する報復措置としてのロシアから欧州方面への石油及び天然ガス等の供給削減による、世界石油需給引き締まり(ロシアによる天然ガス供給削減は、発電部門及び民生部門での発電用及び暖房用燃料の、天然ガスから石油への転換を促進することから、石油需要を押し上げる形で作用する)への懸念が市場で増大したことも、原油相場に上方圧力を加えた。

 (7) また、カザフスタンで行われていた、国内燃料価格高騰に対する抗議活動が1月5日に暴動に発展した影響で、同国の主力油田の一つであるテンギス油田(原油生産量日量70万バレル程度とされる)が減産した旨、そして、米国北部及びカナダに寒波が来襲し気温が大幅に低下したことにより、カナダ産原油を米国に輸送するキーストーン(Keystone)パイプライン(カナダ アルバータ州ハーディスティ(Hardisty)~米国オクラホマ州クッシング他、原油輸送能力日量60万バレル)が操業を停止した他、米国ノースダコタ州バッケン地域及びカナダ アルバータ州の原油生産関連施設の操業に影響が発生し始めた旨、それぞれ1月6日に報じられたことにより、それら地域からの石油供給減少に伴う石油需給引き締まり感が市場で増大したことでも、原油価格は上振れした。

 (8) さらに、1月17日に、アラブ首長国連邦(UAE)に対し無人攻撃機が発射され、アブダビ郊外ムサファ(Musaffah)にある石油関連施設でタンクローリー3台を攻撃したことに伴い、インド人2人及びパキスタン人1人の計3人が死亡した他、アブダビ国際空港でも火災が発生、同日イエメンのフーシ派武装勢力(イランが支援しているとされる)が犯行声明を発表した一方、サウジアラビアが主導する有志連合軍がフーシ派武装勢力が支配するイエメンの首都サヌアを1月18日に空爆した結果20人が死亡したと同日伝えられたことにより、中東情勢不安定化と当該地域からの石油供給途絶懸念が市場で増大したことも、原油相場を押し上げた。

 (9) また、OPECプラス産油国の一部に、OPECプラス産油国閣僚級会合で決定した原油生産目標に到達しない水準でしか原油生産を実施できない産油国が散見される(後述)ことも、今後のOPECプラス産油国の増産ペースに対し疑問視する見方を市場で増大させた結果、原油相場が浮揚する場面も見られた。

(10) そして、以下のように、原油価格がこの先上昇する可能性があることを示唆する見解を複数の米国大手金融機関等が明らかにしたことも、原油相場にとって支援材料となった。

  1. 新型コロナウイルスオミクロン変異株の石油需要へ与える影響はデルタ変異株に比べると軽微であることから、世界石油需給は大幅に供給不足となっており、2022年第二四半期においても世界石油需給バランスは日量40万バレルの供給過剰にとどまること等もあり、2022年第三及び第四四半期のブレント原油価格予想をそれまでから1バレル当たり20ドル引き上げ同100ドルとする旨米国大手金融機関ゴールドマン・サックスが明らかにしたと1月17日に報じられる。
  2. 1月21日に米国大手金融機関バンク・オブ・アメリカが、余剰原油生産能力の減少、低水準の石油在庫、ウクライナを巡り発生している地政学的リスク要因等を理由として、2022年半ばまでにブレント原油価格は1バレル当たり120ドルに到達する可能性がある旨の予測を明らかにした。
  3. 1月21日に米国大手金融機関モルガン・スタンレーが、2021年を通じ減少した石油在庫は2022年末にかけさらに減少する一方、余剰原油生産能力が減少するとして、2022年7~9月までにはブレント原油価格が1バレル当たり100ドルに到達する旨の予測を発表。

(11) 他方、1月3日時点では1ガロン当たり3.381ドルであった全米平均ガソリン小売価格は、原油価格が上昇したこともあり、1月31日時点では同3.464ドルとなるなど、米国の消費者の不満が高まり始める同3ドルを相当程度超過し続けるどころか、ガソリン需要期でないにもかかわらず上昇傾向となるなどした(図3参照)他、1月12日に米国労働省から発表された12月の同国消費者物価指数(CPI)が前年同月比で7.0%の上昇と1982年6月以来の高水準(この時は同7.1%の上昇)に到達した他、1月13日に同省から発表された12月の同国生産者物価指数(PPI)が前年同月比で9.7%の上昇と、2010年以降の同国月間生産者物価指数統計史上最高水準に到達した(図4参照)。

図3 米国ガソリン平均小売価格(2019~22年)

図4 米国消費者物価指数(CPI)及び生産者物価指数(PPI)(2019~21年)

(12) このようなことが一因となり、足元の米国バイデン大統領の支持率は2021年1月20日の就任時以来の最低水準に到達していることもあり、バイデン政権は原油価格等の監視を継続するとともに必要に応じてOPECプラス産油国と協議を継続する旨、バイデン政権の国家安全保障会議のホーン(Horne)報道官が発言したと1月18日に報じられるなどしており、米国バイデン政権からサウジアラビアを初めとするOPECプラス産油国に対し原油価格抑制のための減産措置縮小加速に対する働きかけが強化されつつあることが示唆された。

(13) しかしながら、サウジアラビアを初めとするOPECプラス産油国は、2022年の世界石油需給バランスは供給過剰になると予想される中、現在の原油価格の上昇はそのような石油需給バランスを反映しているわけではなく、ウクライナを巡る西側諸国等とロシアとの、もしくはイエメンとサウジアラビアやUAEとの、それぞれ対立の高まりによる、ロシアもしくは中東から石油供給途絶の可能性に対する懸念を織り込んだものであり、そのような懸念が後退すれば、石油需給緩和感が急速に市場で醸成されるとともに、原油価格に大きな下方圧力が加わる恐れがあると認識している旨示唆した。

(14) 2月1日にOPECプラス産油国が開催した合同技術委員会(JTC: Joint Technical Committee)では、2022年の世界石油需給バランス見通しを日量130万バレルの供給過剰と、従来の日量140万バレルの供給過剰から過剰幅が縮小する方向で修正したと同日伝えられる(OPECプラス産油国は2022年の世界石油需要を日量420万バレル増加すると見ているが、これは従来の見通しからは変更はないとされる)ものの、依然として2022年は供給過剰となると見られることには変わりはなかった。

(15) このため、本来であれば、OPECプラス産油国としては、この先の市場での石油供給過剰感を抑制すべく、むしろ減産措置の縮小を停止することも視野に入りうる状況のところ、一方で、ガソリン小売価格を含む物価の上昇等により経済政策に苦慮する米国との関係維持に配慮する必要性も感じたことにより、従来方針通り前月比日量40万バレルの減産措置の縮小を決定したものと考えられる。

 

3. 原油価格の動き等

 (1) 今回の閣僚級会合の結果に対し、原油価格上昇の抑制のための減産措置縮小加速に対し、OPECプラス産油国が後ろ向きの姿勢を示したと市場関係者が受け取ったことにより、会合開催当日の原油相場には上方圧力が加わる格好となり、当該閣僚級会合開催当日の2月2日の原油価格は一時1バレル当たり89.72ドル(前日終値比1バレル当たり1.57ドル上昇)に到達する場面が見られた。

 (2) ただ、その後、これまでの原油価格上昇(原油価格は1月28日以降3営業日連続終値ベースで上昇しており、上昇幅は合計で1バレル当たり1.59ドルとなっていた)に対する利益確定の動きが発生したこともあり、原油価格は一時1バレル当たり86.55ドル(前日終値比1バレル当たり1.60ドル下落)にまで下落する場面も見られた。

 (3) それでも、2月2日に米国エネルギー省エネルギー情報局(EIA)から発表された米国石油統計(1月28日に週分)で、原油在庫が前週比で105万バレ、留出油在庫が同241万バレルの、それぞれ減少と、市場の事前予想(原油在庫同150万バレル程度の増加、留出油在庫同150万バレル程度の減少)に反し、もしくは事前予想を上回って減少している旨判明したことが、原油価格に上方圧力を加える格好となった。

 (4) また、ウクライナを巡る西側諸国等とロシアとの対立の高まりに備え、バイデン大統領が既に決定している約8,500人の軍事関係者の欧州への派遣待機に加え、3,000人程度の軍事関係者の東欧配備を2月2日に承認したことも、欧州等へのエネルギー供給への影響に対する市場の懸念を増大させたことで、原油価格は上振れした。

 (5) さらに、2月1日夕方(米国東部時間)に発表された米国情報技術(IT)大手アルファベット(グーグル)の2021年10~12月業績が市場の事前予想を上回ったこともあり、米国株式相場が上昇したことも、原油価格を支持した。

 (6) そして、2月2日に米国企業向け給与計算サービス会社オートマチック・データ・プロセッシング(ADP)から発表された2022年1月の同国民間雇用者数が前月比で30.1万人の減少と市場の事前予想(同18.0~20.7万人の増加)に反し減少している旨判明したこともあり、米ドルが下落したことも、原油価格にとって支援材料となった。

 (7) このようなことから、2月2日の原油価格の終値は1バレル当たり88.26ドルと、前日終値比1バレル当たり0.06ドルの上昇となった他、原油価格は1月28日から2月2日にかけ4営業日連続終値ベースで上昇し、上昇幅は合計で1バレル当たり1.65ドルとなった。

 (8) 他方、市場関係者の間では、ロシア、アンゴラ及びナイジェリア等の一部OPECプラス産油国が、足元で設定されている原油生産目標を充足できない可能性がある旨指摘されつつあり、これも石油需給引き締まり観測を市場で醸成させる形で作用している結果、原油相場を下支えする格好となっている。

 (9) アンゴラは、2020年の新型コロナウイルス感染拡大以前から国内での石油探鉱・開発投資が促進されておらず、既存の沖合油田の老朽化が進んでおり、新規に生産を開始した油田の生産を以てしても減産に歯止めがかからない状況にある。

(10) 根本的な問題は、同国石油産業を担当する省庁の手続きが官僚的で効率化されておらず、また同国国営石油会社ソナンゴル(Sonangol)による腐敗問題も存在した他、同国の石油開発に関する法制及び税制が外国石油会社にとって厳しかった(同国の生産物分与契約は地震探鉱データ取得と掘削に関する義務が厳しい他、生産物に占める政府取得分が85%前後と世界平均(60%)よりも大きく、特に中小油田に対しては条件が厳しいとされる)ことから、同国は2008年の日量183万バレルをピークとして原油生産量が減少傾向となっていた(図5参照)。

図5 アンゴラの原油生産目標と原油生産量(2020~22年)

(11) ナイジェリアについても、新型コロナウイルス感染拡大前から、石油輸送インフラが脆弱であった他、長期に渡る投資不足に加え、2020年の新型コロナウイルス感染流行に伴うOPECプラス産油国減産措置実施に伴い操業を停止した油田での操業再開上の支障、石油生産関連施設等に対する破壊行為(パイプラインに穴を開けて原油を抜き取る行為)等で生産が伸びていない。

(12) 同国では、主力原油ターミナルの一つであるボニー(Bonny)輸出ターミナルに繋がるネンベ・クリーク幹線(Nembe Creek Trunk Line)パイプライン(原油輸送能力日量15万バレル)が2021年10~11月に操業停止した(破壊行為が理由とされる)他、当該パイプラインの修理が完了しボニー原油出荷ターミナルの操業が再開された後に、トランス・フォルカドス(Trans Forcados)パイプライン(原油輸送能力日量15万バレル)が事故で操業を停止したことにより、12月22日にShellがフォルカドス原油出荷ターミナルからの原油の出荷に対し不可抗力条項適用を宣言するなどしたことから、同国の原油生産がもたつき気味となった(図6参照)

図6 ナイジェリアの原油生産目標と原油生産量(2020~22年)

(13) また、ロシアでは、2021年12月24日に同国のノバク副首相が、ロシアの原油及びコンデンセート生産量は2022年には(前年比で)5%増加し、5.4~5.5億トン程度(推定日量1,084~1,105万バレル)に到達する他、2022年5月には新型コロナウイルス感染拡大前の水準に回復する旨明らかにした。

(14) しかしながら、2021年12月の同国の原油生産量(OPECプラス産油国減産措置の基準に従いコンデンセートを除外)は日量995万バレルと同年11月の同996万バレルから若干減少、OPECプラス産油国減産措置縮小措置により付与された事実上の増産枠(日量10.5万バレル)を満たせない状態となった(図7参照)。

図7 ロシアの原油生産目標と原油生産量(2020~22年)

(15) OPECプラス産油国減産措置縮小により順調に増産が継続すれば、ロシアの原油生産量は2022年10月には日量1,100万バレル(つまり減産措置の基準となる原油生産量)に到達するとされるが、実際には同月の当該原油生産量は同1,024万バレルにしか到達しないと見る向きもある。

(16) ロシアでは、新型コロナウイルス感染拡大に伴う世界石油需要の減退と原油価格の大幅下落に伴う、2020年5月以降のOPECプラス産油国減産措置の実施に伴い、減産措置のため生産を停止した同国の油田が、その後の減産措置の縮小により、生産を再開したものの、既にロシア国内では生産が再開できる油田は大方全て再開されたとされており、これ以上原油生産を増加させるには、新規の坑井の掘削が必要であるとの声も同国石油産業関係者から聞かれることから、同国の既存の油田生産能力が減産措置実施中に低下した可能性があるものと考えられる(因みに減産措置を実施する直前の2020年4月の同国原油生産量は同1,053万バレルであった)。

(17) ただ、2022年の世界石油需給バランスを均衡させるには、同年3月以降2022年末に向け相当長期に渡り減産措置の縮小を完全に停止(つまり、この期間毎月前月比での原油生産措置縮小(つまり増産)規模はゼロ)しなければならない(表2参照)ことから、一部OPECプラス産油国が減産措置縮小方針通りに増産ができなかったからといっても直ちに世界石油需給が大幅に引き締まるわけではなく、一部OPECプラス産油国の緩慢な増産状況を考慮しても、2022年は世界石油需要が供給過剰に振れやすいことが示唆される(表3参照、このシナリオは2022年10月のロシアの原油生産量が日量1,024万バレルとなることを前提としている)。

表2 世界石油需給バランスシナリオ(2022年)(2月2日OPECプラス産油国閣僚級会合開催時点)

表3 世界石油需給バランスシナリオ(2022年)(2月2日OPECプラス産油国閣僚級会合開催時点)

(18) 他方、全米平均ガソリン小売価格も十分に下落していない他、米国CPI及びPPIの上昇率が高水準に到達しているため、このような原油及びガソリン小売価格を含めた物価上昇による米国経済への悪影響を懸念する同国バイデン政権からOPECプラス産油国への減産措置縮小加速に対する働きかけが強まると見られる一方、OPECプラス産油国がそのような米国の意向に沿って減産措置の縮小を加速する方向で再調整する結果、原油価格の上昇が抑制されるといった展開となることもありうる。

(19) しかしながら、このまま毎月日量40万バレルの減産措置縮小を継続した場合、2022年は全体として世界石油供給が需要を上回るといった、いわゆる供給過剰の状態となる恐れがあることに伴い、現在はウクライナ情勢を巡るロシアからの石油供給途絶懸念等により上昇している原油価格が、そのような懸念が後退することに伴い急落することによる原油収入減少の可能性を不安視するOPECプラス産油各国の、減産措置縮小加速に向けた意思決定が後手に回る結果、一時的にせよ原油価格がさらに上振れする場面が見られることも否定できない。

(20) そして、今後の季節的な石油需給状況(既に季節的には石油は不需要期に入っているが、寒波来襲に伴う気温の低下等により暖房用石油製品需要が盛り上がるとともに価格が上昇することに、原油価格が引きずられる可能性がある)、米国金融政策の動向(2022年3月15~16日に開催される予定である米国連邦公開市場委員会(FOMC)では、金融緩和の量的緩和縮小が完了するとともに金利の引き上げが開始されると見られているが、金融引き締め措置が加速するとの見方も市場にはあり、これは原油相場に下方圧力を加えうる)、そしてそれら要因を反映した原油価格の変動具合等を考慮しつつ、3月2日に開催される予定の次回OPECプラス産油国閣僚級会合では4月以降の減産措置の取り扱いにつき検討が行われるものと考えられる。

(21) ただ、ウクライナを巡る西側諸国等とロシアとの緊張がさらに高まることにより、石油供給途絶懸念が市場で増大することを通じ、原油相場に一層の上方圧力を加えるようであれば、米国のサウジアラビア等OPECプラス産油国に対する減産措置縮小加速への働きかけが一層強まるとともに、3月2日に予定されるOPECプラス産油国閣僚級会合開催を待たずして、会合を開催、減産措置加速が決定されるといった展開となることも否定はできないものと思われる。

(22) それでも、市場関係者間では、OPECプラス産油国が減産措置の縮小を実施するにつれ、OPECプラス産油国の余剰原油生産能力(2022年1月時点で日量647万バレルとされるが、実際にはイラン等事実上余剰原油生産能力が利用できないOPECプラス産油国もあることから、直ちに利用可能な余剰原油生産能力はこの水準を下回るものと考えられる)が減少する結果、世界石油供給体制に余裕がなくなることを懸念する向きもあり、従って、OPECプラス産油国が減産措置の縮小加速を見送れば、足元、もしくは短期的な石油需給引き締まり感を市場が意識する結果、原油価格が上振れしやすい一方、仮にOPECプラス産油国が減産措置の縮小を加速したとしても、OPECプラス産油国の保有する余剰原油生産能力が減少することにより、中長期的な石油需給引き締まり感が市場で強まる結果、やはり原油相場に上方圧力が加わりやすい状況となるものと考えられる。

 

(参考1:2022年2月2日開催OPECプラス産油国閣僚級会合時声明)

25th OPEC and non-OPEC Ministerial Meeting concludes

No 03/2022
Vienna, Austria
02 Feb 2022

Following the conclusion of the 25th OPEC and non-OPEC Ministerial Meeting (ONOMM), held via videoconference on Wednesday, 2 February 2022, and in view of current oil market fundamentals and the consensus on the outlook, the OPEC and participating non-OPEC oil-producing countries in the Declaration of Cooperation (DoC) decided to:

  • Reaffirm the decision of the 10th OPEC and non-OPEC Ministerial meeting on 12 April 2020 and further endorsed in subsequent meetings, including the 19th ONOMM on 18 July 2021.
  • Reconfirm the production adjustment plan and the monthly production adjustment mechanism approved at the 19th ONOMM and the decision to adjust upward the monthly overall production by 0.4 mb/d for the month of March 2022, as per the attached schedule.
  • Reiterate the critical importance of adhering to full conformity and to the compensation mechanism, taking advantage of the extension of the compensation period until the end of June 2022. Compensation plans should be submitted in accordance with the statement of the 15th ONOMM.
  • Hold the 26th ONOMM on 2 March 2022.

 

以上

(この報告は2022年2月3日時点のものです)

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