ページ番号1009270 更新日 令和4年2月14日

探鉱・開発が進展するガイアナとスリナム

レポート属性
レポートID 1009270
作成日 2022-02-14 00:00:00 +0900
更新日 2022-02-14 15:53:54 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 探鉱開発
著者 舩木 弥和子
著者直接入力
年度 2021
Vol
No
ページ数 16
抽出データ
地域1 中南米
国1 ガイアナ
地域2
国2 スリナム
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 中南米,ガイアナ,スリナム
2022/02/14 舩木 弥和子
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概要

  • ガイアナでは、ExxonMobilがStabroek鉱区でこれまでに掘削した21坑の坑井で油層を確認、同鉱区の可採埋蔵量は100億バレルを上回るとしている。2022年2月11日にはLiza油田フェーズ2が生産を開始し、同鉱区の生産量は2022年第4四半期には日量283,000~300,000バレルに増加する見通しだ。ExxonMobilは、Stabroek鉱区の北に隣接するKaieteur鉱区および北東に隣接するCanje鉱区では、2022年よりそれぞれ12坑の探鉱井を掘削することを計画している。Stabroek鉱区の南に位置するCorentyne鉱区では、CGX EnergyとFrontera EnergyがKawa-1号井で炭化水素層を確認、2022年後半には2坑目の試掘井を掘削するとしている。Stabroek鉱区の南に位置するKanuku鉱区ではRepsolが探鉱井掘削を計画、Orinduik鉱区ではTullow Oilが試掘地点を選定している。
  • スリナムでは、TotalEnergiesが国境を挟んでガイアナのStabroek鉱区の東に位置するBlock 58で探鉱と並行して、2025年の生産開始を目指して評価作業を続けている。同鉱区の可採埋蔵量は20億バレル以上とされている。Block58の北に位置するBlock 42では、Shellが2022年中頃に2坑目の試掘井を掘削する計画だ。一方、Chevronは2021年に実施された鉱区入札で落札した浅海Block5のPS契約を国営石油会社Staatsolieと締結した。Chevronはその後、保有する同鉱区の権益60%のうち20%をShellに譲渡することで合意し、ファームアウト契約を締結した。片や、Tullow OilはBlock47、54、62を政府に返還し、スリナムから撤退することを決めた。
  • ガイアナでは、2021年末に国民議会がローカルコンテンツ法案と新天然資源基金法案を可決、2022年1月には、政府が未だ付与されていない最後の深海鉱区を公開入札により付与する計画であることを明らかにした。次第に探鉱・開発に関する制度が整いつつあることが窺える。また、沖合での油田開発に関する経験や技術を保有するブラジル並びにPetrobrasが、ガイアナやスリナムの探鉱・開発を支援することや、天然ガスパイプライン網を敷設しこの3国で生産されるガスの利用促進を図ること等について、3国による協議が行われる模様だ。これが進展すれば、ガイアナ、スリナムの探鉱・開発がさらに進む可能性もある。

(出所:LatAmOil、Platts Oilgram News、International Oil Daily、BNamericas他)

 

1. ガイアナ

(1) Stabroek鉱区:可採埋蔵量100億バレルを上回る。Liza油田フェーズ2生産開始

ガイアナ沖合Stabroek鉱区(面積:26,800平方キロメートル)では、2015年5月にExxonMobilがLiza-1号井で石油を確認したのを手始めに、2021年10月までに21坑の坑井で油層が確認され、同鉱区の可採埋蔵量は全体で石油換算100億バレルであるとされていた。

その後、ExxonMobilは2022年1月5日に、Liza油田の北西約18キロメートル、水深1,838メートルの海域で、ドリルシップStena DrillMAXを用いて掘削した試掘井Fangtooth-1号井で、約50メートルの良質な砂岩の油層を確認したと発表した。さらに、Liza油田の南東約68キロメートル、水深1,461メートルの海域で、ドリルシップNoble Don Taylorを用いて掘削したLau Lau-1号井で、約96メートルの高品質の砂岩の炭化水素層を確認したことも明らかにした。ExxonMobilによると、Fangtooth-1号井ではこれまでよりも深い構造で原油を確認でき、また、Lau Lau-1号井ではStabroek鉱区南東部における油田開発の機会を追加することができたという。そして、今回の2件の油田発見により、同鉱区の可採埋蔵量100億バレルはさらに増加し、また、これまでに発見された油田により、最大で10のフェーズに分けて開発工事を行う可能性があるとした。

Stabroek鉱区でパートナーのHessによると、2022年には同鉱区で探鉱井8坑、評価井4坑、合計12坑が掘削される予定だ。2022年上半期には、Fangtooth-1号井、Lau Lau-1号井に続いて、少なくとも4坑の探鉱井の掘削が行われる。それら4坑は、2021年12月末にLiza油田の南東32キロメートルの海域で掘削が開始されたBarreleye井、Liza油田の北西101キロメートルの海域で掘削されるTarpon-1号井、2021年10月に掘削されたCataback-1号井の北西5キロメートルの海域で3月に掘削開始予定のPatwa-1号井、2018年12月に掘削されたPluma井の西約3キロメートルの海域で掘削予定のLukanani-1である。また、2022年3月には、Liza油田の南東39キロメートルの海域で評価井Tilapia-2号井が掘削される予定となっている。

なお、Stabroek鉱区の権保有益比率は、オペレーターのExxonMobilが45%、Hessが30%、CNOOCが25%となっている。

表1. Stabroek鉱区での油田発見状況
  発表時期 油田 水深(m) 掘削長(m) 結果
1 2015/5 Liza 1,743 5,433 90mの砂岩の油層を確認
2 2017/1 Payara 2,030 5,512 29m以上の油層を確認
3 2017/1 Liza Deep N.A. 5,700 Liza油田直下の油層を確認
4 2017/3 Snoek 1,563 5,175 25mの油層を確認
5 2017/10 Turbot 1,802 5,622 23mの砂岩の油層を確認
6 2018/1 Ranger 2,735 6,450 70mの油層を確認。
7 2018/2 Pacora 2,067 5,597 20mの砂岩の油層を確認
8 2018/6 Longtail 1,940 5,504 78mの砂岩の油層を確認
9 2018/8 Hammerhead 1,150 4,225 60mの砂岩の油層を確認
10 2018/12 Pluma 1,018 5,013 37mの砂岩の炭化水素層を確認
11 2019/2 Tilapia 1,783 5,726 93mの砂岩の油層を確認
12 2019/2 Haimara 1,399 5,575 63mの砂岩のガス・コンデンセート層を確認
13 2019/4 Yellowtail 1,843 5,622 89mの砂岩の油層を確認
14 2019/9 Tripletail 2,003 N.A. 33mの砂岩の油層を確認
15 2019/12 Mako 1,620 N.A. 50mの砂岩の油層を確認
16 2020/1 Uaru 1,933 N.A. 29mの砂岩の油層を確認
17 2020/7 Yellowtail-2 N.A. N.A. 21mの砂岩の油層を確認
18 2020/9 Redtail 1,878 N.A. 70mの砂岩の油層を確認
19 2021/7 Whiptail 1,795 N.A. 75mの砂岩の油層を確認
20 2021/9 Pinktail 1,810 N.A. 67mの砂岩の炭化水素層を確認
21 2021/10 Cataback 1,807 N.A. 74mの砂岩の炭化水素層を確認
22 2022/1 Fangtooth 1,838 N.A. 50mの砂岩の油層を確認
23 2022/1 Lau Lau 1,461 N.A. 96mの砂岩の炭化水素層を確認

https://corporate.exxonmobil.com/locations/guyana/guyana-project-overview#DiscoveriesintheStabroekBlock他を基に作成

図1.Stabroek鉱区での油田発見状況
図1. Stabroek鉱区での油田発見状況
出所:https://corporate.exxonmobil.com/locations/guyana/guyana-project-overview#DiscoveriesintheStabroekBlockに加筆、修正

一方、Stabroek鉱区では2019年12月にLiza油田フェーズ1が浮遊式生産貯蔵積出設備(FPSO:Floating Production, Storage, and Offloading)Liza Destinyを用いて生産を開始した。FPSO Liza Destinyは、生産開始後、ガス圧入機材に技術的な問題が発生し、フル生産を維持することが難しかった。ようやく安定して日量12万バレルの生産を行うことが可能になったが、パートナーのHessによると、2022年はFPSO Liza Destinyの最適化を行い、生産能力を日量12万バレルから日量14万バレルに引き上げる計画である。

2021年10月には、Liza油田フェーズ2で用いられるFPSO Liza Unityが、シンガポールから53日をかけてガイアナ沖に到着した。ExxonMobilによると、FPSO Liza Unityは生産・処理能力が日量22万バレル、随伴ガス処理能力が日量4億立方フィートで、約200万バレルの原油を貯蔵可能である。水深約1,650メートルの海域に係留されたFPSO Liza Unityは、2022年2月11日に生産を開始した。2022年後半にはフル生産に達する見通しであるという。

このような状況から、Hessは、同社のガイアナのネット生産量は2021年第4四半期の日量31,000バレルから、2022年第1四半期には日量25,000~30,000バレルに減少する見通しであるという。しかし、2022年第4四半期には同鉱区の生産量は日量283,000~300,000バレルに増加し、Hessのネット生産量は日量85,000~90,000バレルとなる見通しであるとしている。

Stabroek鉱区における3件目の開発プロジェクトとなるPayara油田については、FPSO Prosperity(生産能力:日量22万バレル)の船体が完成し、2024年の生産開始に向けてシンガポールのKeppel造船所でトップサイドの建造が進められている。ExxonMobilは、Payara油田の開発について、水深1,800メートルの海域で、生産井20坑とガス注入井21坑の最大41坑の坑井を掘削する計画であると発表している。Hessによると、Payara油田の開発プロジェクトの作業は全ての面で予定通り、あるいは、前倒しで進んでおり、生産開始に向けた全ての準備の約66%が終了しているという。

Stabroek鉱区での4件目のプロジェクトとなるYellowtail油田の開発については、ExxonMobilが開発計画と環境影響評価書を提出し、政府および規制当局の審査を受けているところだ。2022年に最終投資決定、2025年後半又は2026年前半に生産開始を計画している。Yellowtail油田の開発ではこれまでの開発より多い41〜67坑の開発井(生産井、ガス再注入井、水注入井を含む)を掘削することになるため、開発コストはPayara油田の90億ドルを上回ることになるという。2021年11月には、ExxonMobilが、同油田開発用のFPSOの基本設計業務(FEED)をSBM Offshoreに発注した。このFPSOは生産能力が日量25万バレル、随伴ガス処理能力が日量4.5億立方フィート、水注入能力が日量30万バレル、原油貯蔵能力が200万バレルで、少なくとも20年間は生産を継続する計画だ。ExxonMobilは、Yellowtail油田から生産される随伴ガスの一部をFPSOの燃料として使用し、残りは貯留層の圧力を維持するために再圧入するとしている。

表2. Stabroek鉱区の開発計画
油田 FID 生産開始 FPSO 生産能力 開発コスト 損益分岐点
Lizaフェーズ1 2017年6月 2019年12月 Liza Destiny 12万b/d 44億ドル $35/b
Lizaフェーズ2 2019年5月 2022年2月 Liza Unity 22万b/d 60億ドル $25/b
Payara 2020年9月 2024年 Prosperity 22万b/d 90億ドル $32/b
Yellowtail/Redtail 2022年 2025年後半~26年前半   25万b/d 90億ドル~  
Uaru/Mako   2026年        
Whiptail/Pinktail   2027年        

各種資料を基に作成

これまで随伴ガスは、原油生産を維持するために再圧入されたり、一部はフレアされたりしてきたが、今後、原油生産量の増加に伴い、随伴ガスの生産量も増加する見通しだ。この随伴ガスを利用しエネルギー安全保障を強化するために、ガイアナはGas to Power(GTP)計画を進めている。

2022年1月には、天然資源省が、Stabroek鉱区の随伴ガスを利用する天然ガス火力発電所とNGLプラントの建設に関する入札を実施した。入札を行った企業は、Amerapex(米)、Apan Energy(英)、SEPCOIII Electric Power(中)、CH4 Guyana Inc.(米)、China Energy International Guyana Co. Ltd.、China Machinery Engineering Corp.、Constutora Queiroz Galva(ブラジル)、Lyndsayca Inc.(米)、National Gas Co. of Trinidad and Tobago Ltd(NGC)、Power China International Group、Tecnicas Reunidas(西)、Wison Offshore and Marine Ltd(米)の12社であった。

政府は、天然ガス発電所の発電容量を少なくとも300メガワットとし、そのうち250メガワットを電力会社Guyana Power and Light社のDemerara川周辺の送電網に供給するよう定めている。また政府は、NGLプラントの第 1フェーズでは日量6,000万立方フィート、第2フェーズでは日量1億2,000万立方フィートのNGL処理能力を求めている。そして、2022年第3四半期に建設を開始し、2024年第4四半期に完工する予定とされている。パイプライン、ターミナル、NGLプラント等の総工費は9億ドルとなる見込みである。

なお、政府は2021年12月9日、ExxonMobilに対して、ガイアナ・スリナム堆積盆地において炭素回収・貯留(CCS)の調査、研究を行うことを許可した。ガイアナ政府関係者は、Liza油田フェーズ2をはじめとする今後のプロジェクトの生産開始により、2026年までにStabroek鉱区の生産量は日量80万バレルに増加する可能性があることから、二酸化炭素排出量やガスフレアの増加を防ぐために、この調査がより一層必要になるとしている。

 

(2) Kaieteur鉱区およびCanje鉱区:ExxonMobilがそれぞれ12坑の探鉱井掘削を計画

ExxonMobilは、Stabroek鉱区の北に隣接するKaieteur鉱区および北東に隣接するCanje鉱区でも、オペレーターを務めている。同社は、2020年8月にKaieteur鉱区で試掘井Tanager-1号井を掘削し、砂岩の油層16メートルを確認したが、単独で商業開発を行うには十分な量ではなかった。また、ExxonMobilはCanje鉱区で、2020年12月よりBulletwood-1号井、2021年3月よりJabillo-1号井、8月よりSapote-1号井と3坑の試掘井を掘削したが、いずれの坑井でも商業規模の油・ガスを確認できなかった。

しかし、ExxonMobilは、Kaieteur鉱区とCanje鉱区で2022年よりそれぞれ12坑の探鉱井の掘削を計画している。Kaieteur鉱区では2022年3月に掘削キャンペーンを開始、Canje鉱区では2022年第1四半期に最初の掘削を行い、2025年第1四半期に全ての掘削を終了させる予定であるという。

2021年10月、海洋船舶サービス企業Bourbonは、探鉱が活発化することにより、Stabroek鉱区は、隣接するKaieteur鉱区およびCanje鉱区と合わせて、石油換算で約150億バレルの油・ガスを生産できる可能性があると発表した。Bourbonは、Stabroek鉱区ではすでに少なくとも石油換算100億バレルの炭化水素が確認されており、Kaieteur鉱区とCanje鉱区ではさらに石油換算50億バレルの油・ガスが確認される可能性があるとし、この地域全体の原油生産量は、今後数年のうちに劇的に増加するだろうとしている。

権益保有比率は、Kaieteur鉱区がExxonMobil35%、Cataleya Energy20%、Ratio Guyana25%、Hessが20%、Canje鉱区がExxonMobil35%、TotalEnergies35%、JHI17.5%、Mid-Atlantic Oil & Gas12.5%となっている。

図2.ガイアナおよびスリナム鉱区図
図2. ガイアナおよびスリナム鉱区図
各種資料を基に作成

(3) Corentyne鉱区:Kawa-1号井で炭化水素確認。2022年後半に2坑目の試掘井掘削予定

CGX EnergyとFrontera Energyは、Stabroek鉱区の南に位置するCorentyne鉱区の水深355mの海域で2021年8月23日より試掘井Kawa-1号井の掘削を開始した。両社は、2022年1月末にKawa-1号井を掘削長6,578メートルまで掘削し、54メートルの炭化水素層を確認したことを明らかにした。Kawa-1号井の掘削は予想以上に長引いたため、掘削費用は当初予定の1億1,500万ドルから1億2,500万ドルに上昇するとされているが、最終的な坑井掘削費用については追加結果と併せて、同井の掘削が終了する予定の2022年2月末に発表されるという。両社は、Kawa-1号井での良好な結果を踏まえ、2022年後半にCorentyne鉱区北西部で同鉱区の2坑目の試掘井Wei-1号井をMarskの半潜水型移動式掘削装置Discovererを使用して掘削する予定である。

Corentyne鉱区の権益保有比率は、CGX Energyが66.67%、Frontera Energyが33.33%となっている。

図3.Corentyne鉱区
図3. Corentyne鉱区
出所:
https://cgxenergy.com/wp-content/uploads/2021/10/Informational-Presentation-on-Guyana-Suriname-Basin-Offshore-Corentyne-Block-and-KAWA-1-Objectives.pdf

(4) Kanuku鉱区およびOrinduik鉱区:探鉱井掘削へ。

Repsolは2020年1月初めに、Stabroek鉱区の南に位置するKanuku鉱区(面積4,154平方キロメートル)で探鉱井Carapa-1号井を掘削(掘削長3,290メートル)し、ネットペイ4メートルの油層を確認した。同社は、2022年5~6月にはジャッキアップリグNoble Regina Allenを用いてCarapa-1号井の北北東約16キロメートル、水深150メートルの海域で探鉱井Beebei-Potaro-1号井を掘削する計画だ。

同鉱区の権益保有比率はオペレーターのRepsolが37.5%、Tullow Oilが37.5%、TOQAP(Total60%、Qatar Petroleum40%)が25%となっている。

Tullow Oilは同じくStabroek鉱区の南に位置するOrinduik鉱区(面積1800平方キロメートル、水深70~1,400メートル)で掘削したJethro-1号井でネットペイ55メートルの油層を、Joe-1号井でもネットペイ14メートルの油層を確認した。しかし、両坑井で発見された原油はAPI比重が10~15度と重質で、硫黄分の含有率が高く、商業的な価値があるか疑わしいとされている。

しかし、パートナーのEco (Atlantic) Oil & Gas(カナダ企業、ロンドン証券取引所のAlternative Investment Market(AIM)およびトロント証券取引所に上場)は、同鉱区の東側のエリアがStabroek鉱区内のLiza油田等いくつかの油田に非常に近いことを指摘し、同鉱区での大規模な発見の可能性について楽観的な見方を示している。Eco (Atlantic) Oil & Gasは、パートナー企業と協力して掘削ターゲットのリストを更新し、試掘地点を選定しており、近い将来、最終的な選択を行い、掘削の準備を開始したいとしている。

同鉱区の権益保有比率はオペレーターのTullow Oilが60%、Eco (Atlantic) Oil & Gasが15%、TOQAPが25%となっている。

図4.Kanuku鉱区およびOrinduik鉱区
図4. Kanuku鉱区およびOrinduik鉱区
出所:https://www.tullowoil.com/our-operations/south-america/guyana/

2. スリナム

(1) Block 58:可採埋蔵量は石油換算20億バレル以上

TotalEnergiesとApacheの持ち株会社であるAPAは、スリナム沖合Block 58(面積:5,845平方キロメートル)において、試掘井Maka Central-1号井、Sapakara West-1号井、Kwaskwasi-1号井、Keskesi-1号井を掘削、いずれでも油層を確認した。現在、両社は、探鉱と並行して、2025年の生産開始を目指して評価作業を続けている。

両社は、2021年7月末に、Sapakara West-1号井の南東4キロメートル、水深850メートルの海域でセミサブマーシブル・リグMaersk Developerを用いて掘削した評価井Sapakara South-1号井で約30メートルの高品質の油層を確認した。

しかし、Maersk Developerを移動し、続けて掘削した評価井Keskesi South-1号井では商業量の油・ガスを確認できなかったことを、同年9月に明らかにした。

その後、Maersk DeveloperはSapakara South-1号井に戻り、フローテストを実施、48時間にわたり日量4,800バレルの出油に成功した。

また、11月には、試掘井Bonboni-1号井でネットペイ16メートルの油層を確認したが、商業規模ではなかった。

続いて、両社は、ドリルシップMaersk Valiantを用いて同鉱区中央部で試掘井Krabdagu-1号井を掘削している。Krabdagu-1号井は、結果次第では、同鉱区の中央部における開発拠点となる可能性があるとされている。

Maersk Valiantは、Bonboni井掘削のため、間もなく同鉱区北部に移動予定であるという。

TotalEnergiesとAPAによると、両社がBlock 58でこれまでに掘削した試掘井Maka Central-1号井、Sapakara West-1号井、Kwaskwasi-1号井、Keskesi-1号井および評価井Sapakara South-1号井の結果から、同鉱区の可採埋蔵量(recoverable resource)は石油換算20億バレル以上であるという。両社は掘削キャンペーンを延長し、Maersk Valiantで3月よりさらに1坑を掘削する計画である。

なお、TotalEnergiesのCEOであるPatrick Pouyanné氏は、Block 58には大量の随伴ガスが含まれるが、この随伴ガスを一切フレアリングしないと述べた。そして、このガスを収益化する方法を見つけなければならないだろうと語り、Liza油田の随伴ガスを国内の電力や石油化学製品の生産に利用することとした隣国ガイアナと同様の措置を検討しているとした。さらに、最終投資決定を行う前に、このガスに関する計画を立てなければならず、この問題は重要であると語った。

同鉱区の権益保有比率は、オペレーターのTotalEnergiesが50%、APAが50%となっている。

なお、APAはBlock 58の東に隣接するBlock 53(面積:3,521平方キロメートル)で2022年2月から3月に試掘井Rasper‐1号井を掘削する計画だ。Block 53では2015年と2017年に試掘井Popokai‐1号井とKolibrie‐1号井が掘削されたが、商業量の炭化水素を確認できなかった。Rasper‐1号井はこれまで掘削の行われていない同鉱区の北西部で掘削される。

Block 53の権益保有比率はオペレーターのAPAが45%、Cepsaが25%、Petronasが30%となっている。

図5.Block58
図5. Block58
出所:https://investor.apacorp.com/static-files/cb0eb758-205d-406c-8af0-9f781d1a245c

(2) Block 42:2022年中頃に2坑目の試掘井掘削を計画

Hessによると、Block 42では2022年中頃に2坑目の試掘井Zanderij-1号井の掘削が計画されている。この鉱区は、Stabroek Blockの延長線上にある鉱区と見られており、トラップスタイルも類似しているという。なお、同鉱区では、2018年に試掘井Pontoenoe‐1号井が掘削されたが、商業量の油・ガスを確認できなかった。

同鉱区の権益保有比率は、Kosmos Energy、Hess、Chevronが33.33%ずつとなっていたが、2020年9月にKosmos Energyがサントメ・プリンシペ、ナミビア、南アフリカ沖のフロンティア探鉱鉱区の権益とともに、スリナムのBlock 42の権益の33.33%とBlock 45の権益の50%をShellに売却することに合意した。現在、Block42についてはShell、Hess、Chevronが権益33.33%ずつを保有している。

 

(3) Block 5:ChevronとPS契約締結、Shellがファームイン

スリナムの国営石油会社Staatsolieは、ガイアナとの境界に近い8つの浅海鉱区を対象とする鉱区入札SHO Bid Round 2020/2021の結果を2021年6月に発表した。Block 5をChevronが、Block 6とBlock 8をTotalEnergiesとQatar Petroleumから成るコンソーシアムが落札した。

Staatsolieは、このうちBlock 5についてChevronと2021年10月13日にPS契約を締結した。Block 5は水深が100メートル以下、面積が2,235平方キロメートルで、PS契約の期間は30年間となっている。Chevronはサインボーナス3,087.5万ドルを支払った。Staatsolieは同鉱区の権益40%を取得し、探鉱中の費用はChevronがキャリーし、開発段階に移行すればStaatsolieも費用負担する。

Chevronはその後、Block 5の権益60%のうち20%をShellに譲渡することで合意し、同年12月17日、両社はファームアウト契約を締結した。本取引の詳細については開示されていないが、Chevronは権益の40%を保持し、オペレーターを務める。

図6.浅海鉱区入札SHO Bid Round 2020/2021の対象鉱区
図6. 浅海鉱区入札SHO Bid Round 2020/2021の対象鉱区
出所:https://www.staatsolie.com/en/news/most-favorable-bids-for-shallow-offshore-blocks/

(4) Block 47、54、62:Tullow Oil撤退

一方、Tullow Oilは、2021年9月、Block 62を政府に返還することを決定した。Block 62は水深が1,600~2,400メートルの海域に位置し、面積は4,062平方キロメートルの鉱区だ。Tullow Oilは2018年10月に同鉱区のPS契約を締結したが、地震探査や掘削作業は行っていない。Pluspetrolが同鉱区の唯一のパートナーで、権益20%を保有しているが、Pluspetrolの去就については明らかにされていない。

Tullow Oilは、また、同年11月に、権益の100%を保有するBlock 54(面積:8,469平方キロメートル)での探鉱結果が芳しくなかったことから、2021年中に同鉱区から撤退することを明らかにした。

さらに、Block 47(面積:2,369平方キロメートル)についても、2021年3月に掘削した試掘井Goliathberg-Voltzberg North-1号井で商業規模の油・ガスを確認できず、パートナーのPetroandia Resources (権益保有比率30%)とRatio Petroleum(同20%)と協議の上、同鉱区を返還することを決定した。

これにより、Tullow Oilは、保有していたスリナム沖3鉱区の権益を全て政府に返還することとなり、同国から撤退することになった。

なお、ガイアナについてTullow Oilは、2021年9月に、Orinduik鉱区およびKanuku鉱区での活動を縮小し、主要なプロジェクトにより集中するとしたが、今のところ、両鉱区から撤退するつもりはないとしている。

 

終わりに

ガイアナでは2021年末に、国民議会がローカルコンテンツ法案と新天然資源基金法案を可決した。ローカルコンテンツ法は、石油・ガス部門で操業する全ての認可業者、操業者、請負業者が、2022年末までに、ガイアナ国民および企業からサービスの一定割合を調達しなければならないと定めている。また、新天然資源基金法は、国庫に繰り入れられる石油収入の管理を改善し、特に透明性と説明責任を確保することを目的としており、基金の監視を行う理事会を設置することが定められている。

これらの政策は、外資による収入独占を防いだり、石油収入の私的流用を防いだりする目的で、比較的新たな産油国でしばしば導入される施策であり、必ずしも特別ないものとは言えないが、本格的な産油国を目指して一皮むけるプロセスの一つとして前向きに評価すべきだろう。

2022年1月に、ガイアナ政府は、Stabroek鉱区の北、Kaieteur鉱区の東に位置する未だ付与されていない最後の深海鉱区Block Cを公開入札により付与する計画であることを明らかにした。Block Cについては、すでに、特定の企業(非公開)から強い関心が表明されており、当該企業は地震探鉱を無料で実施する旨申し出ているという。

Irfaan Aliガイアナ大統領は2021年5月に、鉱区付与の方式をこれまでの国際石油企業(International Oil Company:IOC)との直接交渉から公開入札方式に変更し、契約条件等の整備を進めるとしていたが、ガイアナは次第にその制度を整えつつあると考えられる。

また、同じく1月には、ブラジルのBolsonaro大統領が、スリナム、ガイアナを公式訪問し、3国が探鉱・開発等で協力することについて協議が行われることとなった。沖合での油田開発に関する経験や技術に加え、環境保護に関する特許やノウハウをも保有するブラジル並びにPetrobrasが、ガイアナやスリナムの探鉱・開発を支援することや天然ガスパイプライン網を敷設し、ブラジルのプレソルトやガイアナ、スリナムで生産されるガスの利用促進を図ることが提案されていた。また、電力の相互供給や、ガイアナに計画されている港湾に接続して高速道路網を建設すること等が議題に上がっていた。さらに、Bolsonaro大統領は、スリナムが新たな油田の開発でブラジルに優先権を与えたいとしていると語っていた。母親の死去を理由にBolsonaro大統領が早々とブラジルに帰国してしまい、協議は延期されることになったが、これが進展すれば、さらにガイアナ、スリナムの探鉱・開発が進展する可能性もあり、両国の探鉱・開発状況と併せて、ブラジルの動向を注目してゆきたい。

 

以上

(この報告は2022年2月14日時点のものです)

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