ページ番号1009357 更新日 令和4年5月24日
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概要
- モザンビーク国家石油院(INP)は2022年11月25日に4堆積盆地・16鉱区を対象とした第6次ライセンスランドを開始した。2022年4月6日のINPの発表によると事前審査資格(PQ)通過者は、オペレーター(6社):CNOOC、Sinopec、Eni、ExxonMobil、PetroChina、TotalEnergies、ノンオペレーター(6社):Rn Angoche Pte、Novatek、QatarEnergy、Sasol、ONGC、Discovery Explorationの計12社である。第6次ライセンスラウンドは2022年10月30日に終了し、2022年11月30日に結果が公表される予定であり、どの鉱区が落札されるかに注目が集まる。
- モザンビークでは陸上での治安悪化によるMozambique LNGプロジェクトへのフォースマジュール宣言が続いている。しかし、本ライセンスラウンドが第5次ライセンスラウンドと同様にメジャーズの注目を集め、欧米、アジア、地場企業が当該ライセンスラウンドに参加していることは同国の天然ガスの埋蔵量ポテンシャル、輸出上の地理的アドバンテージ、さらにはウクライナ侵攻によるエネルギーの代替供給源としての期待の表れではないかと思われる。一方で、昨今の石油・天然ガス開発はショートサイクル型が志向されるところ、今後落札された鉱区においては開発のスピード感が求められるだろう。
(INP website)
1. はじめに
モザンビークの天然ガス埋蔵量は100Tcfとナイジェリア、アルジェリアに続いてアフリカ内で第3位を誇る。加えて、モザンビークを含む東部アフリカ地域はインド洋に面していることから、欧州・南米・アジア市場への輸出も期待される。昨今ではウクライナ侵攻の影響を受け、欧州のエネルギー供給代替先として注目が高まっている。しかし、カボ・デルガド州北部陸上でのイスラム系武装勢力によるテロ攻撃の結果、Mozambique LNGプロジェクトでは2021年4月以降、フォースマジュールの状態が続いている。
2. 第6次ライセンシングラウンドの概要
モザンビーク国家石油院(INP)は、2021年11月25日に92,000平方キロメートル以上の海域において、4堆積盆地・16鉱区(Rovuma堆積盆地(5)、Angoche堆積盆地(7)、Zambezi Delta堆積盆地(2)、Save堆積盆地(2))を対象とした第6次ライセンスランドを開始した。当該ライセンスラウンドは表1の日程で開催され、ライセンスラウンドに参加するためには事前登録と法的要件、財政的要件、技術要件、QHSE(Quality、Health、Safety、Environment)等をもとに評価する事前資格審査(PQ)の通過が求められる。
開始式 | 2021年11月25日 |
事前登録・審査 | 2021年11月25日~2022年3月25日 (当初予定2022年2月28日から延長) |
オープンライセンスラウンド | 2021年11月25日~2022年8月31日 |
ライセンスラウンドの修了 | 2022年10月30日 |
結果の公表 | 2022年11月30日 |
出所:INP websiteを参考にJOGMEC作成
2022年3月25日に事前資格審査書類の提出期限が到来し、4月6日にINPは石油会社13社が提出した書類を評価した結果、表2の12社が審査を通過したと公表した。6社がオペレーター、6社がノンオペレーターとして審査を通過したが、ナイジェリアのAiteo Eastern E&P Company Limitedは、事前資格審査の要件を満たしておらず、脱落している。今後、INPは8月30日までに対象鉱区の石油ポテンシャル評価のためデータルームを開設し、各企業は10月30日までに提案書を提出することとなる。INPが提案書を評価後、11月30日に結果が公表され、探査・生産コンセッション契約に向けた交渉が進められる。今後、どの鉱区が落札されるかに注目が集まる。
オペレーター | ノンオペレーター |
---|---|
CNOOC | Rn Angoche Pte |
Sinopec | Novatek |
Eni | QatarEnergy |
ExxonMobil | Sasol |
Petro China | ONGC |
TotalEnergies | Discovery Exploration |
出所:INP websiteを参考にJOGMEC作成

出所:INP website
(https://mozambique6thround.com/assets/6th-Licensing-Areas-Map.pdf)
3. 第5次ライセンスラウンドの結果について
第5次ライセンスラウンドはRovuma堆積盆地、Angoche堆積盆地、Zambezi堆積盆地、モザンビーク堆積盆地を含む、計74,259平方キロメートルにおいて15鉱区を対象に2014年10月23日に実施され、2015年10月28日にINPは表3の通り、結果を公表した。
対象鉱区 | オペレーター | パートナー |
---|---|---|
Angoche Area A5-A | ENI | Sasol Statoil ENH |
Angoche Area A5-B | ExxonMobil | RN-Exploration LLC(Rosneft) ENH |
Zambezi Area A5-C | ExxonMobil | RN-Exploration LLC(Rosneft) ENH |
Zambezi Area A5-D | ExxonMobil | RN-Exploration LLC(Rosneft) ENH |
Pande/Temane Area PT5-C | Sasol | ENH |
Palmeira Area P5-A | Delonex Energy | Indian Oil ENH |
出所:INP websiteを参考にJOGMEC作成

出所:INP website
(http://www.inp-mz.com/core/uploads/Mz5Rnd-PR-28Oct2015-ENG.pdf)
4. さいごに
今回のライセンスラウンドに第5次ライセンスと同様にメジャーズを含む、欧米・アジア・地場企業が当該ライセンスラウンドに参加していることは、対象鉱区が治安の影響を受けにくい海上を対象としている側面もあるが、モザンビークのガス埋蔵量ポテンシャルの高さや地理的条件に起因する輸出上のアドバンテージ、ウクライナ侵攻によるエネルギーの代替供給源としての同国への期待の表れではないか。しかし、昨今の石油・天然ガス開発はショートサイクル型が志向されるところ、今後落札された鉱区においては開発のスピード感が求められるだろう。陸上での治安悪化への懸念や脱炭素に向けた潮流の中、同国のエネルギー産業がどのような方向に向かうのか、今後も同国の動向に注目したい。
以上
(この報告は2022年5月23日時点のものです)