ページ番号1009373 更新日 令和4年6月3日

ナミビア産油国への道 ―アフリカ最大の石油・天然ガス生産国となるか―

レポート属性
レポートID 1009373
作成日 2022-06-03 00:00:00 +0900
更新日 2022-06-03 16:27:39 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 市場探鉱開発
著者 野口 洋佑
著者直接入力
年度 2022
Vol
No
ページ数 9
抽出データ
地域1 アフリカ
国1 ナミビア
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 アフリカ,ナミビア
2022/06/03 野口 洋佑
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概要

  • ナミビアは110億バレル(bbl)以上の石油と2.2兆立方フィート(Tcf)の埋蔵量ポテンシャルがある一方で長い間その探鉱結果は振るわなかった。しかし、2022年2月にOrange堆積盆地において、ShellがGraffの発見を発表、TotalEnergiesがVenus構造において「significant discovery」を発表したことで、再びナミビアの上流資産に注目が集まり始めている。
  • GraffプロスペクトはOrange堆積盆地のBlock2913Aに位置する。オペレーターであるShellが45%、Qatar Energyが45%、ナミビア国営石油会社National Petroleum Corporation of Namibia(NAMCOR)が10%それぞれ権益を保有している。コンサルタントは、Graffの埋蔵量につき、5boe~7億boeに達する可能性があると推測している。NAMCORのMDは「2028年までには生産を開始する計画である。」と発言している。
  • VenusプロスペクトはOrange堆積盆地のBlock2913B内に位置する。オペレーターであるTotalEnergiesが40%、Impactが20%、Qatar Energyが30%、NAMCORが10%それぞれ権益を保有している。Venusにつき、試掘井により良質な白亜紀下部の軽質砂岩層にて84メートルの油層を発見したと発表したものの資源量を含む詳細は述べられていない。4月下旬には「最近の分析ではVenusの埋蔵量につき、30億boe~134億boeと推定されており、そのうち100億bbl以上の石油と10Tcfのガスが回収可能であることが示唆されている。」とメディアが報道した。その場合、ブラジルのBúzios(確認埋蔵量:113億boe)を上回る世界最大の深海油田の発見となる可能性がある。
  • Venusについてはその埋蔵量への期待から様々な開発オプションが検討されるだろう。大水深の鉱区であることや生産開始までのスパンを考慮すると浮体式生産貯蔵析出設備(FPSO)をリースしての生産が現実的だと思われるが、政府はできるだけ早く油田を稼働させたいと考えているため、FEEDの結果によってはFast Truck方式が検討される可能性がある。
  • VenusとGraffでは主に石油の発見が注目されているが随伴ガスも発見されている。今後、このガス資産をPL003に位置するKuduガス田へのタイバックとして活用する可能性もある。

(各社HP、Platts Oilgram News、International Oil Daily他)

 

1. ナミビアの概要

ナミビアには110億バレル(bbl)以上の石油と2.2兆立方フィート(Tcf)のガスが存在すると推定されており、特に沖合鉱区は隣国南アフリカや地質相関性を持つブラジルとガイアナでの油ガス田の発見を受け、注目を集めていた。コンサルタントによると、2018年6月までに同国ではこれまでに陸上で30本、海上で50本の試掘井が掘削されたものの商業規模の発見は1974年にChevronが発見したナミビア沖合130キロメートルのOrange盆地(水深約170メートル)のKuduガス田(確認埋蔵量:約1.4Tcf)のみであった。しかし、2022年2月にOrange Basin(堆積盆地)において、ShellがGraffプロスペクトの発見を発表[1]、TotalEnergiesがVenusプロスペクトにおいて「significant」である発見をしたと発表[2]したことにより、低迷していた同国の炭化水素資産への新規投資を促し、2030年までにアフリカ最大の炭化水素生産国になる可能性が浮上した。

図 1:Orange堆積盆地の位置
図 1:Orange堆積盆地の位置
出所:各種資料よりJOGMEC作成
 

[1] “SHELL MAKES DEEP-WATER DISCOVERIES OFFSHORE NAMIBIA” Shell, Apr 22, 2022.
https://www.shell.com.na/media/2022-media-releases/shell-makes-deep-water-discoveries-offshore-namibia.html(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[2] “Namibia: TotalEnergies makes a significant discovery in offshore Block 2913B” TotalEnergies, February 24, 2022.
https://totalenergies.com/media/news/press-releases/namibia-totalenergies-makes-significant-discovery-offshore-block-2913b(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

 

2. Block2913AのGraff1(PEL39)とBlock2913BのVenus1X(PEL56)での発見

Shellが2月4日にBlock2913A(PEL39)における、Graff-1試掘井による発見を発表してからわずか20日後に、2月24日にTotalEnergiesがBlock2913B(PEL56)においてVenus-1X試掘井により、軽質油と随伴ガスを発見したと発表した。これらの発見によりナミビアの上流資産が再び脚光を浴びるだろう。また、同国の財務条件が比較的良好であることから、今後、新規投資資本の流入が見込まれる。

図 2:GraffプロスペクトとVenusプロスペクトの位置
図 2:GraffプロスペクトとVenusプロスペクトの位置
出所:各種資料よりJOGMEC作成

A) Graffプロスペクト

2022年2月4日、オペレーターのShellは、2021年12月に掘削を開始したOrange堆積盆地のBlock2913B(PEL39)内の深海Graffプロスペクトにおいて、Graff-1試掘井により軽質油を含む石油システムの存在を示す「有望な」結果を示したと発表した。当該鉱区はナミビア沿岸から約270キロメートル、水深約2,000メートルに位置し、掘削総延長は5,376メートル。Block2913Bは、オペレーターであるShellが45%、Qatar Energyが45%、National Petroleum Corporation of Namibia(NAMCOR)が10%とそれぞれ権益を保有する。

この発表を受けナミビア政府関係者は2月、メディアに対し、「5月か6月には、埋蔵量について自信を持ってお知らせできるに足るデータを入手できる。2026年、同国初の生産に向け開発を早めることを目指している。」と述べた。また、同月に政府の公式コメントとして鉱山エネルギー省のマギー・シノ石油コミッショナーは、「今後4年以内に開発が完了すれば、我々にとって素晴らしいことである。ナミビア政府として、パートナーと団結し、油田開発を確実に進め、できるだけ早く生産することを約束した。」と述べた。一方で、Graffが単独プロジェクトとして成立するかどうか、あるいは更なる探鉱が必要になるかどうか、具体的な予測を立てるには時期尚早であるとも述べている。同様にNAMCOR関係者は「Graff-1について炭化水素の規模や回収可能量など将来の開発可能性を判断するには2本目の試掘井を含む更なる探鉱活動が必要になる」と述べ、2022年4月にはNAMCORのMDであるImmanuel Mulunga氏が「VenusプロスペクトとGraffプロスペクトを評価、オプションを検討し、2028年までには生産を開始する計画である。」と発言した。Graffの埋蔵量につき2億boeほどと報道されているが、コンサルタントは、5~7億boeに達する可能性があると推測している。

 

B) Venusプロスペクト

2022年2月 24日、TotalEnergiesは、2021年12月に掘削を開始した大水深Orange堆積盆地のBlock2913B Venusプロスペクトにおいて、Venus-1X試掘井により軽質油と随伴ガスを発見したことを発表した。当該発表ではVenusの試掘性により良質な白亜紀下部の軽質砂岩層にてネットペイ84メートルの油層を確認したと述べている。当該鉱区はナミビア沿岸から約290キロメートル、水深3,000メートルに位置し、最近アンゴラ共和国で世界新記録の水深3,628メートルの沖合Block48にあるOndjaba-1を掘削したMaersk DrillingのMaersk Voyagerドリルシップを配備し、6,296メートルまで掘削した。4月下旬の報道では、「最近の評価ではVenusの推定埋蔵量は最大134億boeと評価されており、そのうち100億bbl以上の石油と10Tcfのガスが回収可能であることが示唆されている。」と報じられており、その場合、ブラジルの大水深Búzios油田(埋蔵量:113億boe)を上回る世界最大規模の深海油田の発見となる可能性がある。Block2913Bは、オペレーターであるTotalEnergiesが40%、Impactが20%、Qatar Energyが30%、ナミビア国営石油会社NAMCORが10%とそれぞれ権益を保有する。Venusプロスペクトの面積は828平方キロメートルであり、702平方キロメートルがBlock2913B内に、残りはBlock2912(TotalEnergiesが37.7%、Qatar Energyが28.22%、NAMCORが15%、Impact Oil & Gasが10%の権益を保有)に跨っている。

2022年4月にはNAMCORのMDであるImmanuel Mulunga氏は「VenusとGraffを評価、開発オプションを検討し、2028年までには生産を開始する計画である。」と述べているが、コンサルタントによると、Veunusは2029年までに生産開始されると想定しており、油田の規模によっては、段階的な開発になる可能性もあるとしている。

表 1:GraffプロスペクトとVenusプロスペクトの概要
鉱区 オペレーター パートナー 埋蔵量(推定)
Block2913A
Graffプロスペクト(PEL39)
Shell(45%) Qatar Energy(45%)
NAMCOR(10%)
5~7億bbl
Block2913B
Venusプロスペクト(PEL56)
TotalEnergies(40%) Qatar Energy(30%)
Impact Oil&Gas(20%)
NAMCOR(10%)
134億boe
(100億bblの石油と10Tcfのガス)

出所:各種資料によりJOGMEC作成

 

C) ナミビアの財政規定

ナミビアにおける石油の探鉱および生産は、1991年石油法並びにその改正法(1998年)並びに1991年石油法の補足として、モデル石油契約並びに探鉱・生産地域における雇用者の健康、安全、福祉、およびその他の人、財産、環境、天然資源の保護に関する石油規則により規定[3]されている。

ナミビアは、中所得国であること、政治的安定性、魅力的なE&P条件により、サブサハラ・アフリカで最も魅力的な上流投資先の1つとなっている。契約方式は1991年石油法、2007年モデル石油契約に基づくコンセッション契約(Royalty/tax arrangement)であるが、生産分与契約(PSC)も付与されると規定されている。税制はロイヤリティが5%、石油所得税(PIT)が35%の固定税率と、会社がプロジェクトのネットキャッシュフロー(NCF)で指定された収益率(IRR)を超えた場合(税引き後)に請求される追加利潤税(APT)が徴収される。APTは3段階になっており、第1段階は1991年石油法で定められている通り25%。第2段階、3段階は交渉によって設定されることとなっている。以上、政府取り分において中東や東南アジアでは65%、あるいはそれ以上の政府取り分もあるところナミビアにおける石油の政府取り分は50%~60%(石油の平均政府取り分は55%、ガスの平均政府取り分は51%)と比較的良好な財務条件と言われており、政府関係者もこの財務条件を一つのアピールポイントとして認識している。政府は、NAMCORを通じて国家関与の拡大を目指す可能性があるが、その割合は1991年石油法および2007年のモデル協定では詳細は定義されておらず石油法の改正が必要となるだろう。


[3] “SUMMARY OF LEGAL TERMS” Ministry of Mines and Energy, 2022年5月27日閲覧
https://www.mme.gov.na/petroleum/legal_terms/(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

 

3. 今後のナミビアへの期待

A) Graff、Venusの今後

Venusについてはその埋蔵量への期待から様々な開発オプションが検討されることが想定される。大水深の鉱区であることや生産開始までのスパンを考慮すると浮体式生産貯蔵析出設備(FPSO)をリースしての生産が現実的であると推察されるが、このような膨大な油ガスが存在するとされるアフリカ最大級の大水深フロンティアという条件下での開発・生産には、段階的な開発が必要となるため、生産開始までにナミビア政府は相当の時間、我慢を強いられることとなる。ナミビア政府はVenusの開発につき、厳しい環境であると認識しているが、政府はできるだけ早く油田を稼働させたいという思惑もあり、FEEDの結果によってはFast Truck方式も検討される可能性もある。

また、企業の観点から今後の生産の可能性を見通すと、TotalEnergiesは今年、約140億〜150億ドルの純投資を目標として掲げており、その半分の約75億ドルから80億ドルは探鉱開発事業を含むベースビジネスへの投資に、半分は再生可能エネルギー、電力、LNGなどの成長分野に投じられる予定である。同社のプレスリリース上で「significant discovery」と評された南アフリカ沖のBlock 11B/12BのLuiperd-Brulpadda(2020年10月28日、南アフリカ沖Block 11B/12BにおいてBrulpaddaに続きLuiperd でガスコンデンセートを発見したと発表。[4]詳細な埋蔵量は発表されていない。)および2019年以降のスリナム沖Block 58における5つの油田発見(2022年2月21日、スリナム海上Block58中央エリアにおける試掘井Krabdagu-1においてネットペイ90メートルの油層を発見した旨発表。Block58における一連の発見を受け、開発に必要な追加埋蔵量の確保を継続する方針である。[5]詳細な埋蔵量は発表されていない。)の中でVenusの優先順位付けがどうなるかが今後の進展を左右する。一方でShellは2019年に生産量のピーク[6]、2025年以降は新規フロンティアでは探鉱しない方針であるため、早急な開発が急がれる。

表 2:TotalEnergiesが「significant discovery」と評した鉱区の概要
鉱区 権益比率 発見年 水深 生産開始予定
Block 11B/12B TotalEnergies (45%)
QatarEnergy (25%)
Canadian Natural Resources (20%)
Africa Energy (10%)
2019年(Brulpadda)
2020年(Luiperd)
約200m~1,800m 2025年
Block 58 TotalEnergies (50%)
APA Corporation (50%)
2019年12月~2022年2月 約750m~1,000m 2026年
Block2913B
(Venusプロスペクト)
TotalEnergies (40%)
QatarEnergy (30%)
Impact Oil & Gas (20%)
NAMCOR (10%)
2022年2月 約3,000m 2028年以降

出所:各種資料によりJOGMEC作成

 

Kuduガス田の95%の権益を保有するBW Energyによると、セミサブマーシブル掘削装置をFPU(Floating Production Unit)として再利用することを前提としたKuduガス田の開発およびGTP(Gas-to-Power)プロジェクトの再検討を行っており、VenusとGraffでは石油以外にも随伴ガスも発見されていることから、このガス資源を、Kuduガス田へのタイバックとして活用する可能性もある。

ナミビアの石油・天然ガス生産への道のりは始まったばかりであり、埋蔵量の有無に加えて、今後、当該油田の開発とともにインフラ[7]、発電[8]・配電・生産といった主要産業への資本投入が必要であることなど、数多くの課題を抱えている。一方で、近々ナミビア・ザンビア間で石油および天然ガスパイプライン建設の実行可能性を評価するためにMoUを締結する可能性[9]が報じられており、この計画が順調に進んだ場合は将来の石油・天然ガスの供給先が確保されることとなる。

Shellは隣国南アフリカ共和国のAlgoa、Transkei鉱区において、探鉱が海洋生物に回復不能な損害を与えるとして環境団体が訴訟を提起したと報道されている[10]。同様の訴訟がGraffプロスペクトやVenusプロスペクトの探鉱に対して提起される恐れがあり、本裁判の判決によっては探鉱活動が危ぶまれることとなる。

企業にとっては、ナミビア政府が利益拡大を狙い今後契約の種類や条件が更新されるリスクがある。特に、1991年石油法に照らすと、PSCに移行する可能性もある。特に、セネガルやタンザニア[11]などでは資源が確認された後に新規契約の自国の収益率を上げるための金銭的負担増を検討もしくは実行したことで上流投資が抑制された過去があり、ナミビアが産油国に向かうには財務条件において細心の注意が必要となるだろう。


[4] “South Africa: Total Makes Second Significant Gas Condensate Discovery” TotalEnergies, October 28, 2020.
https://totalenergies.com/media/news/communiques-presse/south-africa-total-makes-second-significant-gas-condensate-discovery

[5] “Suriname: TotalEnergies announces another significant discovery in Block 58” TotalEnergies, February 21, 2022.
https://totalenergies.com/media/news/press-releases/suriname-totalenergies-announces-another-significant-discovery-block-58

[6] “Shell accelerates drive for net-zero emissions with customer-first” Shell, February 11, 2021. strategy
https://www.shell.com/media/news-and-media-releases/2021/shell-accelerates-drive-for-net-zero-emissions-with-customer-first-strategy.html

[7] ナミビア鉱山エネルギー省によると、ナミビアには精製能力がなく、精製品はすべてウォルビスベイ港を通じて国際石油市場から輸入している。また、潤滑油は主に南アフリカに依存しているとのこと。
“PETROLEUM DOWNSTREAM” Ministry of Mines and Energy, 2022年6月1日閲覧
https://www.mme.gov.na/petroleum/downstream/(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[8] 現在ナミビア国内で稼働している発電所はRuacana発電所(水力、330 MW)、Van Eck発電所(石炭、120MW)、Paratus(ディーゼル、16 MW)、ANIXAS(ディーゼル、22 MW)の4か所のみ。
NamPower, Generation
https://www.nampower.com.na/Page.aspx?p=182 NamPower, 2022年6月1日閲覧

[9] “Zambia, Namibia plan for Gas, Oil Pipeline” Ministry of Energy, May 9, 2022. https://www.moe.gov.zm/?p=2278

[10] AfrOil, February 17, 2022

[11] “(短報)タンザニアLNGプロジェクト交渉再開 (jogmec.go.jp)” JOGMEC, February 4, 2022.
https://oilgas-info.jogmec.go.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/009/264/2102_g_c_tz_tlng_hga.pdf

 

B) 他鉱区への波及について

ナミビアではGraffとVenusの発見を受け、Orange堆積盆地内の鉱区(隣国の南アフリカ部分を含む)や、Lüderitz、Okavango/Owambo、Walvis Sub-Basinsなどでの掘削により更なる探鉱の成功が期待されるところである。

2022年4月、ShellはPEL 0039、Graffから8キロメートル離れたLa Rona-1プロスペクトでOrange盆地第2の発見をし、探鉱井の掘削の結果、複数の炭化水素ペイを確認したと発表[12]した。カントリーチェアのDennis Zekveld氏は、「Graff-1およびLa Rona-1の両探鉱井が無事に終了したことをご報告できることを大変嬉しく思う。我々は、商業性を判断するためにペースを上げて作業を続けていく。」と述べている。PEL 0039では、2022年末に更なる掘削を開始する予定である。その他にもVenus付近のPancontinental Oil & Gasが主導するBlock2713やHarmattan Energyが主導するBlock2813B、Galpが主導するBlock2813Aの開発が進展しており、今後の動向に期待が懸かる。加えて、陸上の開発においても関心が集まっている。Netherland、Sewell & Associates(NSA)はPEL 73で掘削した2坑の試掘井と、同鉱区で取得された450キロメートルの2次元地震探鉱のデータに基づき、PEL 73では1.43Tcfのガスと9.99億bblの石油の埋蔵量を有していると推定している。ReconAfricaは、6月末までに複数の掘削キャンペーンを行う予定である。


[12] “SHELL MAKES DEEP-WATER DISCOVERIES OFFSHORE NAMIBIA” Shell, Apr 22, 2022.
https://www.shell.com.na/media/2022-media-releases/shell-makes-deep-water-discoveries-offshore-namibia.html

 

4. 最後に

2月4日に発見されたGraffプロスペクトと2月24日に発見されたVenusプロスペクトの詳細な評価と商業性がカギとなる。商業的と判断された場合、開発オプションや環境的側面による開発の難しさ、TotalEnergiesによるナミビアの位置づけなど様々な課題は残るが、探鉱において長い間振るわなかった同国においては非常な大きな進展を見せることになるだろう。また、同国は石油の輸入や水力発電に大きく依存しており、当該油田での生産が開始されれば同国のエネルギー安全保障が大幅に改善されることが見込まれる。

Graff、Venusでの発見はナミビアのバリューチェーン全体にわたる雇用の創出、国内企業の設立、交通や教育、経済など様々なセクターの成長を通じて、経済成長の活発化が期待される。その効果は国内に留まらず、アフリカ南部地域に波及する可能性もある。

今後もナミビアの動向に注目したい。

 

以上

(この報告は2022年6月2日時点のものです)

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