ページ番号1009390 更新日 令和4年6月20日

原油市場他: ロシアのウクライナへの事実上の侵攻実施を巡る石油供給への懸念等と米国金融当局による政策金利の大幅引き上げ等に挟まれる原油価格

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レポートID 1009390
作成日 2022-06-20 00:00:00 +0900
更新日 2022-06-20 12:22:46 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 市場
著者 野神 隆之
著者直接入力
年度 2022
Vol
No
ページ数 36
抽出データ
地域1 グローバル
国1
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国・地域 グローバル
2022/06/20 野神 隆之
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概要

  1. 米国では、夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期に突入したこともあり、ガソリン需要が盛り上がったうえ、輸出も堅調であったこともあり、ガソリン在庫は減少となった反面、留出油在庫は増加したが、ガソリン在庫は平年幅上方付近、留出油在庫は同下限付近に位置する量となっている。他方、原油輸出や製油所の原油精製処理量が高水準であったこともあり、原油在庫は減少となったが、平年幅上限を超過する状態は継続している。
  2. 2022年5月末のOECD諸国推定石油在庫量の対前月末比での増減に関しては、原油については、日本では一部製油所で装置不具合が発生したことにより原油精製処理量が減少したこともあり原油在庫は増加した。しかしながら、米国では原油在庫は減少した他、欧州でもロシアからの原油引き取りを敬遠する動きが発生したことが影響し原油在庫は減少した。結果として、OECD諸国全体では原油在庫は減少となったが、平年幅上限を超過する状態は継続している。石油製品については、ロシアからの重油及び天然ガス供給減少もしくは減少懸念により、それらエネルギー価格が高水準を維持するとともに製油所での石油製品製造を巡る採算性が悪化したこともあり、欧州の製油所での石油製品生産活動が鈍化した結果、石油製品在庫は減少した。ただ、米国では、留出油在庫等の増加により石油製品全体の在庫は増加となった。また、日本でも、石油化学工場における装置の不具合発生等もありナフサ分解装置の稼働が低下した影響で、ナフサの需要がもたついたこともあり、石油製品在庫は増加した。結果として、OECD諸国全体の石油製品在庫は増加となったものの、平年幅下方に位置する量となっている。
  3. 2022年5月中旬から6月中旬にかけての原油市場では、ロシア産石油輸入禁止を含む対ロシア制裁発動でEU加盟国が5月30日に合意したこと等が、原油相場に上方圧力を加えた結果、原油価格(WTI)は6月8日には1バレル当たり122.11ドルの終値と3月8日以来の高水準の終値に到達する場面が見られた。しかしながら、6月14~15日の米国連邦公開市場委員会で0.75%の政策金利引き上げが決定したこと、さらに、6月17日に米国連邦準備制度理事会のパウエル議長が物価の大幅上昇沈静化を重要視する姿勢を示したこと等が、原油相場に下方圧力を加えた結果、5月13日に1バレル当たり110.49ドルであった原油価格は、6月17日には同109.56ドルとなるなど全体としては若干ながらではあるが下落傾向となった。
  4. この先も、米国等での夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要の盛り上がりに対する季節的な需給の引き締まり感が市場に継続することに加え、ロシアからの石油等の供給を巡る不透明感が原油相場を下支えする可能性がある。他方、米国金融当局による物価上昇沈静化に向けた金融引き締め方針が明確になりつつあることが、原油相場の上昇を抑制する形で作用するものと見られる。そのような中、OPECプラス産油国の原油生産方針を巡る動向、中国での新型コロナウイルス感染及びその対応状況、米国メキシコ湾沖合周辺での暴風雨発生等の状況、イラン核合意正常化を巡る関係国の動向等が原油価格に影響を及ぼすものと見られる。

(出所 IEA、OPEC、米国DOE/EIA他)

 

1. OPEC及び一部非OPEC(OPECプラス)産油国が2022年7月につき前月比で日量64.8万バレル減産措置を縮小する旨決定

(1) 協議内容等

2022年6月2日にOPEC及び一部非OPEC(OPECプラス)産油国は閣僚級会合を開催し、2021年8月以降2022年4月まで毎月前月比で日量40万バレル、2022年5~6月については前月比で日量43.2万バレル、それぞれ規模を縮小しながら実施中である減産措置(2022年6月現在日量292万バレル)を、2022年7月については前月比で日量64.8万バレル規模を縮小して実施する旨決定した(表1参照)。

表1 OPECプラス産油国の減産幅

当該会合では、世界の主要地域における新型コロナウイルス感染抑制のための都市封鎖措置の解除により経済活動が再開されること、そして、世界の製油所の季節的なメンテナンス実施完了後原油精製処理活動が活発化すると予想されることに留意した。

このようなこともあり、当該会合では、原油及び石油製品に対する安定的で均衡した市場の重要性が強調されるとともに、9月に実施する予定であった前月比で日量43.2万バレルの減産措置縮小を前倒しで実施、7~8月に均等に配分することとした結果、7月のOPECプラス減産措置は前月比で日量64.8万バレルの縮小(これまでの減産措置縮小規模である日量43.2万バレルの1.5倍)となった。

また、これまで減産目標を達成できていない減産措置参加産油国は2022年12月末(これまでは同年6月末であったが、一部減産措置参加産油国からの要望で延長)までに減産目標未達成部分につき追加減産を実施(することにより減産目標を達成)する他、(該当する産油国は減産目標を完全に達成するための)追加減産計画を2022年6月17日までに提出するよう、会合で要請されるとともに、減産目標の完全遵守に固執することが極めて重要であることを当該会合で再確認した。

さらに、次回のOPECプラス産油国閣僚級会合を6月30日に開催する旨今次閣僚級会合で決定した。

なお、今回の閣僚級会合は6月2日午後3時過ぎ(オーストリア ウイーン時間)開始後11分間で終了したとされ、これは3月31日に開催された閣僚級会合時の所要時間である12分間を上回って史上最短の開催時間となった。

また、今回のOPECプラス産油国閣僚会合での決定に対し米国バイデン政権は歓迎する旨6月2日にジャンピエール報道官が明らかにした。

 

(2) 今回の会合の結果に至る経緯及び背景等

2月24日以降のロシアのウクライナへの事実上の侵攻後、西側諸国等が発動したロシア金融機関への制裁等への抵触の恐れから、西側諸国等の石油会社がロシアから供給される石油の引き取りを敬遠したり、西側諸国等がロシア産石油の輸入禁止を内容とする制裁の発動を検討する動きが見られたり、もしくはロシアが西側諸国等に対し石油を含むエネルギーの供給削減を実施する可能性があったりしたことにより、石油需給引き締まり観測が市場で発生したことが、原油相場に上方圧力を加えた。

ただ、新型コロナウイルス感染抑制のため中国の上海市が3月28日以降都市封鎖措置を実施した他、同国北京市も4月30日以降経済活動を制限するなどしたことにより、同国の経済成長減速と石油需要の伸びの鈍化に対する懸念が市場で増大したことが原油相場に下方圧力を加えた。

この結果、前々回のOPECプラス産油国閣僚級会合開催直前の2022年3月30日時点で1バレル当たり107.82ドルであった原油価格(WTI)は、前回のOPECプラス産油国閣僚級会合開催直前の5月4日時点では同107.81ドルと、ほぼ同水準で推移した。

他方、4月1~29日のロシアの原油生産量(コンデンセートを含む)は推定日量1,011万バレルと3月(同1,108万バレル)から同97万バレル減少した旨4月30日に報じられた反面、4月1~28日におけるロシアからの原油輸出は日量466万バレルと前月から17%(推定日量68万バレル)増加するなど、4月のロシアの原油生産及び輸出増減はまちまちであることが示唆された。

加えて、2022年末にかけロシアの原油生産量は推定日量876~960万バレル(年間4.338~4.753億トン)と2021年の同1,058万バレル(同5.24億トン)から日量98~182万バレル程度の減少となる旨ロシアは認識していると4月27日に伝えられており、同国の原油生産量見通しを巡っては不透明感が強いことが窺われた。

このように、ロシアの原油生産と輸出の状況がまちまちであったうえ、足元の石油需要及び供給、そして将来の石油需給展望が不透明であったこともあり、石油需給が足元、そしてこの先において必ずしも大幅に引き締まるわけではないかもしれないにもかかわらず、減産措置の縮小(つまり増産)ペースを加速することにより原油価格の急落を招くといった事態が発生することを回避すべく、5月5日に開催された前回の閣僚級会合では、6月の原油生産目標につき、5月比で日量43.2万バレルの引き上げと、5月の前月比での原油生産目標引き上げ幅と同水準にするなど、OPECプラス産油国は原油生産政策に対し慎重な対応を行った。

5月5日に開催された前回のOPECプラス産油国閣僚級会合以降も、中国の上海市や北京市等の一部都市において、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、感染抑制のため当局が都市封鎖措置を含む個人の外出規制及び経済活動制限を強化したこともあり、同国経済成長減速に伴う石油需要の伸びの鈍化懸念が市場で広がったことに加え、米国金融当局関係者が同国の金融引き締めペースの加速を示唆したこと等の要因により、原油相場に下方圧力が加わる場面が見られた。

ただ、3月28日より実施していた中国上海市の新型コロナウイルス感染抑制のための都市封鎖措置は6月1日を以て解除されたことにより、中国経済成長と石油需要の伸びの回復に対する期待が市場で拡大した。

また、5月17日にウクライナ南東部の都市であるマリウポリがロシア軍によって事実上制圧される(5月20日に完全に掌握した旨ロシアのショイグ国防相が発表した)など、ロシアのウクライナに対する事実上の侵攻は継続した。

そして、5月21日よりロシアがフィンランド向け天然ガス供給を停止した他、海上輸送を通じたロシアからの原油及び石油製品輸入を禁止する(当該措置の発動に伴い直ちにロシアからの石油輸入の3分の2、2022年末までに同90%程度が、それぞれ停止するとされる)旨5月30日に開催された欧州連合(EU)特別欧州理事会(首脳会議)で加盟国が合意したことにより、欧州での石油需給引き締まり感が市場で強まったことが、原油相場に上方圧力を加えた。

この結果、前回のOPECプラス産油国閣僚級会合開催直前の5月4日には1バレル当たり107.81ドルの終値であった原油価格は今回のOPECプラス産油国産油国閣僚級会合開催直前の6月1日には同115.26ドルの終値と、上昇傾向となった(図1参照)。

図1 原油価格の推移(2021~22年)

そのような中で、西側諸国等がロシア産の原油等の購入を敬遠した代わりに、中国及びインド等の消費国がロシア産の原油を他の産油国産の原油に比べ安価で調達しつつある旨5月19~20日に報じられた他、2022年5月はインドが日量80万バレル程度のロシア産原油を輸入するなど、同年3月の同10万バレル程度から急増する見通しであると5月30日に伝えられたうえ、中国も2022年5月のロシアの原油輸入量が3月に比べ日量30万バレル程度増加している旨示唆されるなど、ロシアのウクライナへの事実上の侵攻により影響を受けたロシアからの石油供給が平準化に向かい始める兆候が見られた。

5月19日には、ロシアのノバク副首相も、4月のロシアの原油生産量は前月比で日量100万バレル減少したものの、5月は前月比で日量20~30万バレル原油生産量が増加する他、6月も原油生産の増加が継続する見込みである旨明らかにした。

加えて、5月12日にOPEC事務局が発表した月刊オイル・マーケット・レポートで、世界の経済成長減速と中国での新型コロナウイルス感染再拡大の影響により、OPEC事務局は2022年の世界石油需要を日量21万バレル(前年比の増加量については同31万バレル)下方修正した。

さらに、5月12日に国際エネルギー機関(IEA)が発表したオイル・マーケット・レポートでも、中東産油国及び米国といった、ロシア以外の産油国での着実な石油生産量の増加と、特に中国での石油需要増加ペース鈍化に伴い、短期的には大幅な石油供給不足は発生しない旨示唆された。

そして、OPECプラス産油国が2022年5月以降年末にかけ毎月前月比で日量43.2万バレル減産措置を縮小し続ければ、2022年の世界石油需給は概ね均衡状態となることが示唆された。

そのような中、OPECプラス構成産油国としてロシアとの関係を重要視するOPEC及びOPECプラス主要構成産油国であるサウジアラビアのアブドルアジズ エネルギー相は、5月9日に、足元の原油価格の上昇は(原油供給が不足しているわけではなく)世界的な精製能力投資不足(から石油製品需給が引き締まることに伴う石油製品価格上昇)によるものであるとの認識を示した。

また、石油需給は実質的には均衡しているため、原油価格高騰を沈静化するためにサウジアラビアが出来ることは最早ない旨同国のファイサル外相が発言したとも5月24日に伝えられる。

さらに、5月10日には、アラブ首長国連邦(UAE)のマズルーイ エネルギー相も、消費国での燃料価格高騰は原油価格の上昇というよりは、精製利幅の拡大によるものである他、世界石油需給は均衡しており、原油価格の上昇は、一部の消費者が一部の産油国産の原油購入を拒否したことに伴い、トレーダーがそのような受入を拒否された原油を他の(同原油を受入可能な)市場に輸送するのに時間を要していることによるものであるとの見解を披露した。

このように、主要OPECプラス産油国間では、足元世界石油需給は、大幅に供給不足に振れている状態である、もしくは振れる兆候が見られるとは、必ずしも認識されず、従って減産措置縮小ペース加速への動機付けが必ずしも十分ではない状況であり、むしろ大幅な供給不足に陥らないかもしれないような状況下で、減産措置縮小(つまり増産)ペースを加速すれば、市場関係者の心理の急変を招くとともに原油相場に強い下方圧力が加わる恐れがあることが懸念された。

しかしながら、原油価格上昇に加え、夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期が5月30日の戦没将兵追悼記念日(メモリアル・デー)に伴う連休(5月28~30日)を以て開始された米国では、5月30日時点での全国平均ガソリン小売価格が1ガロン当たり4.727ドルと1993年4月以降の同国週間ガソリン小売価格統計史上最高水準に到達しており(図2参照)、米国バイデン大統領に対する政治的圧力も高まりつつあった。

図2 米国ガソリン平均小売価格(2019~22年)

このようなこともあり、5月23日の週に、米国バイデン政権の中東政策調整官であるブレット・マクガーク(Brett McGurk)氏と同国国務省のエネルギー安全保障担当顧問であるアモス・ホフシュタイン(Amos Hochstein)氏が、世界エネルギー安定供給問題に関する協議を行うべく中東諸国を訪問した旨5月26日に米国バイデン政権のジャンピエール報道官が明らかにしており、その際に米国とサウジアラビアとの関係改善を働きかけた結果、制御不可能となる原油価格を回避する必要性につきサウジアラビアが認識するとともに、ロシアからの石油供給が落ち込んだ場合には、例えば、9月に予定されている増産を7~8月に前倒しする等原油生産を引き上げる旨示唆したと、6月1日に報じられるなどしており、米国バイデン政権のサウジアラビア等への原油価格等抑制のための働きかけは継続している旨示唆された(また、6月1日には米国国務省のブリンケン長官も、米国はサウジアラビアとの関係改善を望む旨表明している)。

他方、5月31日には、ロシアのラブロフ外相が、サウジアラビアのファイサル外相と会談(於リヤド(サウジアラビア))し、OPECプラスの枠内における世界石油市場安定のための協力体制による効果につき賞賛した旨同日ロシア外務省が発表するなど、ロシアがOPECプラス産油国間での結束を意識していることが窺われる。

また、6月1日には、サウジアラビアのリヤドで、ロシアのラブロフ外相とUAEのザイド外相が会談し、世界のエネルギー価格の安定性と予測可能性の確保につきOPECプラスの枠内で緊密に協力していくことに留意した旨同日ロシア外務省が発表した。

さらに、海上輸送を通じたロシアから供給される原油につき今後6ヶ月間程度、及び石油製品につき今後8ヶ月間程度で、段階的に購入を禁止する旨EU加盟国が合意したと5月30日深夜(現地時間)に明らかになったことにより、欧州地域等での石油需給引き締まり観測が5月31日の市場で増大した。

ロシアのウクライナへの事実上の侵攻に伴う、西側諸国等が制裁、もしくは企業の評判リスク(ロシアのウクライナ侵攻のための戦費捻出のための原油収入獲得への貢献に対する批判、Reputation Risk)等によりロシア産石油購入を敬遠する動きが西側諸国等の石油会社等で発生したことから、ロシア産の石油価格が他の産油国産の石油価格を相当程度下回ることに加え、石油販売量も減少することにより、少なくとも短期的には、ロシアの石油収入は、価格及び販売数量の両面で抑制されやすい状況となる。

一方、サウジアラビア他のOPECプラス産油国がロシアの石油販売減少分を穴埋めする形で増産すれば、本来ロシアに流入するはずの石油販売収入がサウジアラビア等他のOPECプラス産油国に移転することになる他、世界石油需給バランスが相対的に緩和することにより、世界的に石油価格が抑制されることを通じ、ロシアの石油収入が一層不利になる可能性がある。

そのようなこともあり、主要OPECプラス産油国間での相対的な石油収入格差が発生する他、原油価格等の下落によりロシアに対し制裁を発動している欧米諸国等に資する(そしてその分だけ、欧米諸国等はさらなる対ロシア制裁の実施が相対的に容易になる)ことにより、今後予想されるロシアの石油生産減少分をサウジアラビア等他のOPECプラス産油国が補填する方策は、OPECプラス枠内でのロシアと他の産油国との間での結束力に負の影響をもたらす恐れがあった。

このため、サウジアラビアは、OPECプラスの重要な構成国であるロシアとの関係を維持することを通じたOPECプラス産油国間での結束に配慮しつつ、当初想定されていたと見られる7~9月の毎月前月比で日量43.2万バレルの減産措置の縮小を7~8月に前倒しして実施すべく、7月(及び8月)に日量64.8万バレル減産措置を縮小することにより、米国等の夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期におけるガソリン等石油需給引き締まり感を抑制するものの、9月の減産措置縮小ペースについては今後の世界石油需給バランスを考慮して再調整する余地を残すことにより、原油価格が大幅に下落することによるロシアの石油収入減少の可能性を抑制すべく配慮したものと考えられる。

 

(3) OPECプラス産油国閣僚級会合開催当日の原油価格の動き等

今回のOPECプラス産油国閣僚級会合での結果に対し、市場では、9月以降のOPECプラス産油国による減産措置縮小ペースを巡る方針が不透明であったうえ、西側諸国等の制裁により原油生産が減少しているロシアや原油生産増加に苦慮しているナイジェリア及びアンゴラ等の産油国に対しても、増産(減産措置縮小)幅の拡大が行われたことから、7月の前月比日量64.8万バレルの増産が実際に可能かどうかに関し疑問視する見方が発生したこと、さらに、6月2日に米国エネルギー省エネルギー情報局(EIA)から発表された米国石油統計(5月27日の週分)で、原油在庫が前週比507万バレルの減少と市場の事前予想(同135万バレル程度の減少)を上回って減少している旨判明したこともあり、当該閣僚級会合開催当日の6月2日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり1.61ドル上昇の同116.87ドルの終値となった。

 

2. 原油市場を巡るファンダメンタルズ等

2022年3月の米国ガソリン需要(確定値)は日量886万バレル、前年同月比で3.3%程度の増加と2022年2月の同860万バレルから需要量は増加したものの、前年同月比での増加率は2月(同11.0%程度の増加)から相当程度縮小した(図3参照)。ただ、当該需要は速報値(前年同月比1.3%程度増加の日量869万バレル)からは上方修正されている。2022年1月31日には661,972人であった米国の1日当たり新型コロナウイルス新規感染者数は2月28日には107,800人に、そして3月31日には37,777人へと減少傾向となったことにより、個人の外出が促されたこともあり、3月の同国自動車運転距離数が1日当たり89億マイルと2月の同84億マイルから拡大したことが、3月の同国ガソリン需要が前月比で増加した背景にあるものと見られる。しかしながら、2021年2月は前年同月比で大きく冷え込んだ地域があったこともあり、個人の外出が敬遠されたことが、自動車運転距離数に負の影響を及ぼした(同月の米国の当該距離数は前年同月比12.1%の減少となった)こともあり、2021年2月のガソリン需要が前年同月比で14.4%の減少と落ち込んだ一方、2021年3月はそのような寒波来襲の影響が低減したうえ、米国では2021年2月28日時点の1日当たり新型コロナウイルス新規感染者数が50,925人と同年1月31日の113,826人から半減した他、3月31日においても同67,956人と感染者数が概ね安定して推移したこともあり、個人の外出が相対的に活発化したと見られることから、2021年3月の同国自動車運転距離数が1日当たり87億マイルと2月の同76億マイルから相当程度回復した反動で、2022年3月の同国自動車運転距離数の前年同月比の伸び率が2.9%と同年2月の同10.7%の伸び率から相当程度縮小したことが、2022年3月のガソリン需要の伸びの圧縮に反映されているものと考えられる。なお、2022年3月の同国ガソリン需要は2019年3月の水準(日量918万バレル(確定値))を3.6%程度下回っている。他方、2022年5月の同国ガソリン需要(速報値)は日量894万バレル、前年同月比で2.2%程度の減少となっており、4月の当該需要(速報値)の日量879万バレルからは増加しているものの、4月の同需要の前年同月比での変動率(0.0%の増加)からは下振れしている。気候が温暖になるとともに個人の外出が促進されるようになったことが、5月の同国ガソリン需要が前月比で増加した背景にあるものと考えられるが、2021年4月29日には57,582人であった同国の1日当たり新型コロナウイルス新規感染者数は、5月31日には5,503人へと減少したこともあり、2021年5月の同国自動車運転距離数が1日当たり92億マイルとなった一方、2022年は4月30日に22,236人であった同国の1日当たり新型コロナウイルス感染者数は、5月31日には182,368人へと増加したうえ、4月25日に1ガロン当たり4.211ドルであった全米平均ガソリン小売価格は5月30日には同4.727ドルと1993年4月以降のEIAによる週間全米ガソリン小売価格統計史上最高水準に到達するなどしたこともあり、個人の外出が敬遠されるとともに同国の推定自動車運転距離数が1日当たり92億マイルと前年同月比で0.7%の増加にとどまったことにより、ガソリン需要が抑制されたものと考えられる。他方、米国では、5月28~30日の戦没将兵追悼記念日(メモリアル・デー)(5月30日)に伴う連休を以て夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期に突入したが、需要期に向けガソリンを製造するため同国の製油所は原油精製処理量を増加させる(図4参照)とともに、ガソリンの製造活動も活発化した(ガソリン最終製品生産量は図5参照)ものの、2020年以降の新型コロナウイルス感染に伴う個人の外出規制や経済活動制限の強化に伴う石油需要の伸びの鈍化、及び地球環境問題を含む環境問題への対応に伴う規制の強化もしくは将来的な石油需要の減少見通しによる、米国製油所での石油製品生産を巡る採算性の悪化もしくは悪化観測により、製油所の精製能力が縮小傾向となったことが同国での石油製品生産を抑制したことに加え、2月24日以降のロシアによるウクライナへの事実上の侵攻実施に伴う西側諸国等による対ロシア制裁への抵触の可能性やロシア産原油等を購入する西側諸国等石油会社の評判リスクに対する企業の懸念から、ロシア産原油の購入が敬遠されたこと等もあり欧州等での製油所での精製活動が伸び悩むとともに、欧州等から米国方面へのガソリンの輸出がもたつき気味となった一方、大西洋圏でのガソリン需給の引き締まり感が強まったこともあり、米国からのガソリン輸出が総じて好調であった(中南米方面が中心であるとされる)ことから、5月上旬から6月上旬にかけ米国ガソリン在庫は減少傾向となり(同国ガソリン在庫は2022年3月25日以降11週間連続前週末比で減少している)、平年幅上方付近に位置する量となっている(図6参照)。

図3 米国ガソリン需要の伸び(2006~22年)

図4 米国の原油精製処理量(2009~22年)

図5 米国のガソリン(最終製品)生産量(2009~22年)

図6 米国ガソリン在庫推移(2003~22年)

2022年3月の同国留出油需要(確定値)は日量416万バレルと前年同月比で3.2%程度増加したが、2月の日量418万バレル、前年同月比5.9%程度の増加から需要量も需要の前年同月比増加率も縮小した。ただ、3月の当該需要速報値である日量398万バレル(同1.2%程度の減少)からは上方修正された(図7参照)。3月は同国の消費者物価指数(CPI)が前年同月比で8.5%の上昇と、1981年12月(この時は同8.9%の上昇)以来の高水準の上昇率となったこともあり、3月の同国小売売上高が前年同月比で7.3%の増加と2月の同17.7%の増加から増加率が相当程度縮小するとともに、特にガソリンを除く小売売上高が3月は同4.8%の増加と2月の同16.2%の増加から急激に増加率が縮小していることもあり、3月の同国鉱工業生産が前年同月比で5.0%の増加と2月の同7.4%の増加から伸び率が縮小するとともに、3月の同国の物流活動が前年同月比で3.6%の増加率と2月の同4.9%の増加率から伸びが鈍化していることが、3月の留出油需要の伸び率の低下に影響しているものと考えられる。なお、2022年3月の米国留出油需要は2019年3月の当該需要(日量418万バレル(確定値))を0.5%程度下回っている。他方、2022年5月の留出油需要(速報値)は日量383万バレルと前年同月比で1.2%程度の減少となり、4月の当該需要(速報値)である日量377万バレル、前年同月比5.4%程度の減少から需要量及び前年同月比での増加率が上振れした。2021年3月11日に、新型コロナウイルス対策として「2021年米国救済計画法」が発効するとともに、米国国民1人当たり最大で1,400万バレルの現金が給付され始めたことにより、2021年3月の米国個人の可処分所得が相当程度上振れした結果、小売、物流及び製造といった経済活動が2021年4月に盛り上がったものの、同年5月には盛り上がりが沈静化に向かい始めたことから、そのような2021年3~5月の経済活動を巡る動向が、2022年5月(及び4月)の米国留出油需要の前年同月比での伸びに影響しているものと考えられる。なお、2022年5月の米国留出油需要は2019年5月の当該需要(日量411万バレル(確定値))を6.8%程度下回っている。そして、2022年2月24日以降のロシアのウクライナへの事実上の侵攻実施による、欧州を含む西側諸国等の対ロシア制裁の実施、及び報復措置としてのロシアから欧州方面への留出油(欧州の石油需要の半分程度を占める)や原油等の供給削減に対する懸念が市場で増大したことから、一時米国から欧州への留出油輸出が活発化したものの、欧州での留出油価格が米国のみならずアジアに比べての割高となったこともあり、インドを含むアジア諸国や中東方面から欧州への留出油の流入が活発化した結果、4月から5月にかけ欧州での留出油在庫はかえって増加傾向となったこともあり、欧州の留出油価格の米国の当該製品価格に対する割高感が薄れたことにより、米国からの留出油輸出も落ち着いたと見られる。他方、米国の製油所での稼働上昇とともに留出油製造活動も活発化した結果、留出油生産は増加した(図8参照)。このようなことから、5月上旬から6月上旬にかけ留出油在庫は増加傾向となった(図9参照)が、平年幅の下限付近に位置する量となっている。

図7 米国留出油需要の伸び(2006~22年)

図8 米国の留出生産量(2009~22年)

図9 米国留出在庫推移(2003~22年)

2022年3月の米国石油需要(確定値)は、前年同月比で6.8%程度増加の日量2,051万バレルとなり(図10参照)、2月の同2,044万バレル(前年同月比17.2%程度の増加)から需要量は増加したものの、前年同月比での増加率は縮小した。新型コロナウイルスのオミクロン変異株は感染力は強いものの入院化及び重症化の確率が当初想定よりも高くないとの認識が市場関係者間に広がったことに加え、米国での1日当たり新型コロナウイルス新規感染者数が減少傾向となったこともあり、ガソリン及び留出油等幅広い種類の石油製品需要が前年同月比で増加したことが、同国石油需要増加の背景にあるものと考えられる。なお、2021年2月は寒波「ウリ(Uri)」が米国に来襲した結果、石油化学製品生産関連施設の稼働に支障が発生したと見られることもあり、石油化学産業向けの原料となるエタンの需要が落ち込んだうえ、寒波の来襲に伴う停電や凍結等による生産関連装置不具合により、ガス田等の操業に支障が発生したことから、エタンやLPGといった天然ガス液(NGL: Natural Gas Liquids)の生産が落ち込んだことにより、当該製品の購買活動が制約を受けたことが、エタンを含むその他の石油製品需要を減少させる格好となったため、その反動で2022年2月のその他の石油製品の前年同月比の増加率が37.9%程度と顕著に伸びたことが、同月の石油需要の前年同月比での伸びの拡大に影響したと見られる一方、2022年3月はそのようないわゆる特殊要因が存在しなかったことから、前年同月比の伸び率が2022年2月の当該伸び率よりも縮小しているように見える側面がある。また、ガソリン及び留出油等の需要が速報値から確定値に移行する段階で上方修正されたこともあり、米国石油需要は速報値(前年同月比で6.5%程度増加の日量2,045万バレル)から上方修正されている。なお、2022年3月の米国石油需要は、2019年3月の当該需要(日量2,018万バレル(確定値))を1.7%程度上回っている。他方、2022年5月の米国石油需要(速報値)は日量1,965万バレルと前年同月比で2.2%程度の減少となっている。石油製品を含めた物価上昇によりガソリン及びその他の石油製品の需要が前年同月比で減少となったことが影響しているものと考えられる。なお、2022年5月の米国石油需要は、2019年5月の当該需要(日量2,033万バレル(確定値))を3.6%程度下回っている。また、米国の原油生産は微増となった反面、ロシアのウクライナへの事実上の侵攻実施に伴う西側諸国等による対ロシア制裁の実施とロシアからのエネルギー供給への影響に対する懸念の増大から、特にロシアからの原油輸入依存度の高い欧州の指標原油であるブレントの価格が米国の指標原油であるWTIの価格を相当程度上回る場面が見られたこともあり、米国からの原油輸出が堅調に行われたことに加え、米国の夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期が到来しつつあったことにより、ガソリンを中心とする石油製品需給の引き締まり感が市場で意識されたこともあり、米国国内製油所での原油精製処理活動が比較的堅調に行われたことから、同国戦略石油備蓄(SPR)から原油が供給された(5月6日の週から6月10日の週にかけ1週当たり501~771万バレルの原油が供給された)ものの、原油在庫は減少傾向となったが、平年幅上限を上回る状態は継続している(図11参照)。そして、留出油在庫が平年並幅下限付近に位置する量となっているものの、ガソリン在庫が平年幅上方付近に位置する量となっている他、原油在庫が平年幅上限を超過する量となっていることから、原油とガソリンを合計した在庫、そして原油、ガソリン及び留出油を合計した在庫は、いずれも平年幅上限を超過する状態となっている(図12及び13参照)。

図10 米国石油需要の伸び(2006~22年)

図11 米国原油在庫推移(2003~22年)

図12 米国原油+ガソリン在庫推移(2003~22年)

図13 米国原油+ガソリン+留出油在庫推移(2003~22年)

2022年5月末のOECD諸国推定石油在庫量の対前月末比での増減に関しては、原油については、日本では一部製油所で装置不具合が発生したことにより原油精製処理量が減少したこともあり原油在庫は増加した。しかしながら、米国では減少した他、ロシアによるウクライナへの事実上の侵攻実施に伴い西側諸国等が実施する、もしくは実施することが想定される対ロシア制裁への抵触可能性及びロシア産原油等を購入する西側諸国等石油会社の評判リスクへの懸念の増大により、ロシアからの原油引き取りを敬遠する動きが発生、5月になりその影響が欧州への原油輸入に反映され始めたと見られることもあり、欧州での製油所の原油精製処理量は縮小したものの、当該地域での原油在庫は減少した。結果として、OECD諸国全体では原油在庫は減少となったが、平年幅上限を超過する状態は継続している(図14参照)。石油製品については、ロシアのウクライナへの事実上の侵攻実施により石油会社がロシアからの石油製品購入を敬遠する流れが見られるようになったと見られることもあり、欧州方面への重油の流入が減少したことにより、欧州において製油所の燃料としての重油の価格が上昇した(また、一時に比べれば落ち着きを取り戻しているものの、同じく製油所で燃料等として利用される天然ガスの価格も依然高水準である)ことから、製油所での石油製品製造を巡る採算性が悪化したこともあり、欧州の製油所での石油製品生産活動が鈍化した結果、当該地域では中間留分を中心として石油製品在庫は減少した。ただ、米国では、留出油の在庫が増加したうえ、暖房シーズンが終了したことによるプロパン需要の低下に伴い当該製品在庫が増加したり、冬用ガソリンの利用時期終了に伴い当該製品に混入していたブタンの需要減少によりその他の石油製品在庫等が増加したりしたこともあり、石油製品在庫は増加となった。加えて、日本でも、4月から5月にかけ、一部製油所の高度化装置において不具合が発生したこともあり、高硫黄重油の生産が増加したと見られることから当該製品在庫が増加したうえ、同国の石油化学工場における装置の不具合発生等もあり、ナフサ分解装置の稼働が低下した影響で、ナフサの需要がもたついたことにより、当該製品在庫が増加した。このような一部製品の在庫増加が一因となり同国での石油製品在庫は増加した。結果として、欧州での在庫減少が米国及び日本での在庫増加で相殺されて余りある格好となったことにより、OECD諸国全体の石油製品在庫は増加となったものの、平年幅下方に位置する量となっている(図15参照)。そして、原油在庫が平年幅上限を超過する量となっている一方、石油製品在庫が平年幅下方付近に位置する量となっていることから、原油と石油製品を合計した在庫は平年幅上方付近に位置する量となっている(図16参照)。なお、2022年5月末時点のOECD諸国推定石油在庫日数は57.9日と4月末の推定在庫日数(57.8日)から増加している。

図14 OECD諸国原油在庫推移(2005~22年)

図15 OECD諸国石油製品在庫推移(2005~22年)

図16 OECD諸国石油在庫(原油+石油製品)推移(2005~22年)

5月11日に1,400万バレル半ば程度の水準であったシンガポールのガソリンを含む軽質留分在庫は、5月18日には1,300万バレル台後半程度の量へと減少したものの、5月25日には1,500万バレル台半ば程度の水準へと上昇した。その後、6月1日には1,500万バレル台前半程度、6月8日には1,500万バレル強程度の、それぞれ量へと若干減少した。しかしながら、6月15日には1,500万バレル台後半程度の水準へと上昇しており、5月中旬から6月中旬にかけ、当該在庫は総じて増加傾向となった。3月28日以降6月1日に至るまで、中国の上海市では、新型コロナウイルス感染抑制のため個人の外出制限が相当程度強化されていた他、他の都市でも個人の外出が帰省されていたとされることにより、同国国内の往来が鈍化するとともにガソリン需要が低迷した結果、国内のガソリン在庫が積み上がったものと見られることから、中国政府による2022年第一回石油製品輸出枠(1月4日に付与されたと伝えられる)は、低硫黄重油を除く石油製品については必ずしも多くはなかった(内訳はガソリン、ジェット燃料及び軽油が合計で1,300万トン、低硫黄重油が650万トンとなっており、ガソリン、ジェット燃料及び軽油輸出枠は2021年第一回の同輸出枠(2,950万トン)の44%程度にとどまった一方、低硫黄重油輸出枠は前年第一回の同輸出枠(500万トン)の1.3倍となった)ものの、中国からシンガポール向けのガソリン輸出がそれなりに行われたことに加え、3月1日から4月8日にかけメンテナンス作業を実施していた台湾塑膠工業(フォルモサ)の麦寮(Mailiao)製油所(原油精製処理能力日量18万バレル)がメンテナンス作業を完了し原油精製処理活動を活発化させたこともあり、台湾からシンガポールへのガソリン流入が総じて活発であった反面、新型コロナウイルス感染が沈静化した結果ガソリン需要が回復しつつあると見られるインドネシアを含むアジア諸国等に向けた輸出は概して堅調であったものの、インドネシア等での断食月(ラマダン、2022年は概ね4月1日~5月1日)明けの大祭(レバラン、2022年は概ね5月2~3日)に伴う休暇シーズン(概ね4月29日~5月6日)到来による、個人の帰省等のための往来活発化とガソリン需要の盛り上がりが、休暇シーズン終了とともに沈静化したこともあり、5月中旬から6月中旬にかけシンガポールの軽質留分在庫が増加傾向となったものと考えられる。そして、シンガポールでの軽質留分在庫が増加傾向となったことに加え、原油価格上昇にアジア市場のガソリン価格上昇が追い付かなかい場面が見られたものの、新型コロナウイルス感染が沈静化した中国以外のアジア諸国でガソリン需要が総じて回復しつつあると見られることに加え、米国でも5月28~30日の戦没将兵追悼記念日を以て夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期に突入した一方、同国のガソリン在庫が3月25日以降減少し続けるなど、ガソリン需給の引き締まり感が強まったことにより、6月9日には米国でのガソリン先物価格が1ガロン当たり4.2762ドルと2005年10月以降の同国ガソリン先物統計史上最高水準に到達するなど高騰したことが、シンガポールでのガソリン価格に上方圧力を加える格好となったことから、5月中旬から6月中旬にかけガソリンとドバイ原油価格差(この場合ガソリン価格がドバイ原油価格を上回っている)は総じて高水準で安定的に推移した。

また、3月28日以降新型コロナウイルス感染抑制のために上海で都市封鎖が実施されるなど、中国での経済活動が制限されたこともあり、同国等でのプラスチックを含む石油化学製品需要が低調であったことが、原料となるナフサ需要に負の影響を与えたと見られる他、夏場の空調向け電力供給のための発電部門での石油製品(軽油及び重油等)の需要増加に対応するために中東諸国の製油所での稼働が上昇するとともに、活発化した石油製品生産に併せて生産されたナフサが当該製品の需要中心地であるアジアに向け輸出されたこと、そして冬場の暖房シーズン終了とともに暖房向けに利用されていた液化石油ガス(LPG)の需要が減少するとともに当該製品価格が下落したことにより、石油化学部門における原料としてナフサとLPGとが競合するようになったことが、アジア市場でのナフサ価格に下方圧力を加えた。さらに、原油価格の上昇にナフサ価格の上昇が追い付かなかい場面が見られたことから、5月中旬から6月中旬にかけては、ナフサ価格がドバイ原油価格を下回ったうえ、その幅は拡大する傾向を示した。

5月11日には700万バレル台半ば程度の水準であったシンガポールの中間留分在庫は、5月18日及び25日には700万バレル台前半程度、5月25日には700万バレル弱程度、6月1日には600万バレル台後半程度の、それぞれ量へと減少した。しかしながら、6月15日には800万バレル弱程度の水準へと回復した結果、同日時点の当該在庫は5月11日時点の量を超過する状態となっている。2月24日以降のロシアのウクライナへの事実上の侵攻実施に伴い、西側諸国等が対ロシア制裁を発動したこともあり、ロシアから欧州への原油及び留出油供給の減少懸念が市場で拡大したことから、欧州市場の軽油価格がアジア市場の軽油価格を相当程度上回ったことにより、インド等アジア諸国から欧州方面へ軽油等が流出した一方、シンガポールへの軽油等の流入がもたついたことが、5月中旬から6月上旬にかけての同国での中間留分在庫減少の背景にあるものと考えられる。しかしながら、アジア地域の製油所における軽油生産を巡る利幅が堅調であったこともあり、当該地域の製油所は稼働を引き上げるとともに軽油生産を活発化したとされ、その結果生産された軽油の一部がシンガポールに流入したことが、6月上旬から中旬にかけてのシンガポール中間留分在庫を押し上げたものと考えられる。それでも、シンガポールでの中間留分在庫は2020~21年のみならず2019年の同期に比べ相当程度減少しているうえ、欧州諸国を中心としてロシアからの原油及び軽油等の供給減少懸念が市場で根強かったことが、アジア市場での軽油価格にも上方圧力を加えた結果、5月中旬から6月中旬にかけ、アジア市場の軽油とドバイ原油の価格差(この場合軽油価格がドバイ原油価格を上回っている)は概して拡大傾向となった。

5月11日に1,700万バレル台半ば程度の量であったシンガポールの重油在庫は、5月18日には1,800万バレル台後半程度、5月25日には2,100万バレル強程度の、それぞれ水準へと上昇した。6月1日には2,000万バレル台半ば程度の量へと減少したものの、6月8日には2,100万バレル台半ば程度の量へと回復した。また、6月15日には2,000万バレル台前半程度の量へと再び減少したものの、それでも、5月11日の水準は上回っている。2月24日のロシアのウクライナへの事実上の侵攻実施以降、西側諸国による制裁等の影響で、西側諸国等により引き取られなくなった重油が、シンガポールに流入しつつある一方、新型コロナウイルス感染抑制のために3月28日以降上海市で都市封鎖措置を実施した中国向けの重油輸出が低調であったことが、シンガポールでの重油在庫増加の背景にあるものと考えられる。このようにシンガポールでの重油在庫が増加傾向となったことに加え、重油の絶対価格が高水準となったこともあり、一部消費者が重油の購入を敬遠するようになったことが重油価格を相対的に抑制する形で作用したこと、及び原油価格の上昇に重油価格の上昇が追い付かない場面が見られたこと等もあり、アジア市場での高硫黄重油とドバイ原油の価格差(この場合高硫黄重油価格がドバイ原油価格を下回っている)は拡大する傾向を示した。しかしながら、アジア諸国等において、この先の夏場の空調用電力供給のための発電部門での低硫黄重油需要増加観測が市場で増大したこともあり、アジア市場での低硫黄重油とドバイ原油との価格差(この場合低硫黄重油価格のドバイ原油価格を上回っている)は、むしろ拡大する傾向を示した。

 

3. 2022年5月中旬から6月中旬にかけての原油市場等の状況

2022年5月中旬から6月中旬にかけての原油市場では、ロシアのウクライナへの事実上の侵攻実施に伴い、ロシア産石油輸入禁止を含む対ロシア制裁発動でEU加盟国が5月30日に合意したこと、4月にギリシャ等がイラン船籍の石油タンカーを拿捕し原油を押収したことに対し、5月27日にイランがギリシャ船籍の石油タンカーを拿捕したこと、及びイランが国際原子力機関(IAEA)に未申告の施設で核開発活動を実施していた可能性に対しイラン側が信用に足る説明をしてこなかったことから、米国等がIAEA理事会に対イラン非難決議案を提出したことにより、西側諸国とイランとの対立の高まりによる、イラン核合意正常化とイランからの原油供給拡大に対する市場の期待が後退したこと、6月2日開催のOPECプラス産油国閣僚級会合で7月につき前月比で日量64.8万バレルの減産措置縮小を決定したものの、石油需給緩和効果につき懐疑的な見方が市場で発生したこと等が、原油相場に上方圧力を加えた結果、原油価格(WTI)は6月8日には1バレル当たり122.11ドルの終値と3月8日(この時の終値は同123.70ドル)以来の高水準の終値に到達する場面が見られた。しかしながら、中国の一部都市で新型コロナウイルス新規感染者が確認され続けていることにより、それら都市での封鎖措置を通じた、同国の経済成長減速と石油需要の伸びの鈍化懸念が市場で増大したことに加え、6月14~15日の米国連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75%の政策金利引き上げが決定したこと、さらに、6月17日に米国連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が物価の大幅上昇沈静化を重要視する姿勢を示したことにより同国の経済成長減速と石油需要の伸びの鈍化観測が市場で増大したこと等が、原油相場に下方圧力を加えた結果、5月13日には1バレル当たり110.49ドルであった原油価格は、6月17日には同109.56ドルとなるなど全体としては若干ながらではあるが下落傾向となった(図17参照)。

図17 原油価格の推移(2003~22年)

欧州連合(EU)加盟国間でロシアからの石油輸入禁止措置を合意できなくても、ドイツは2022年末までにロシアからの石油輸入を停止することを計画している旨、5月15日に報じられたことにより、石油需給引き締まり感が5月16日の市場で強まったことに加え、新型コロナウイルス感染抑制のための経済活動制限を5月16日以降段階的に緩和する方針である旨5月15日に中国の上海市当局が発表した他、6月1日からはより広範に通常生活を再開することを目指す旨5月16日に上海市当局が明らかにしたことにより、中国経済と石油需要の回復期待が市場で発生したこと、5月13日までの1週間で米国オクラホマ州クッシングの原油在庫が263万バレル減少した旨英国石油関連情報サービス会社ウッド・マッケンジーが明らかにしたと5月16日に報じられたことにより、米国原油先物契約受渡地点での石油需給引き締まり感を市場が意識したこと、5月28~30日の米国戦没将兵追悼記念日(メモリアル・デー)の休日(5月28日)に伴う連休を以て開始される同国の夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期を控え、米国の欧州からのガソリン輸入が減少している旨5月16日に報じられたこともあり、米国ガソリン先物価格が上昇したことから、5月16日の原油価格は前週末終値比で1バレル当たり3.71ドル上昇し、終値は114.20ドルとなった。ただ、5月17日には、これまでの原油価格上昇に対する利益確定の動きが市場で発生したことに加え、大手国際石油会社シェブロンがベネズエラ国営石油会社との間で交渉を実施できるよう、早ければ5月17日にも、米国バイデン政権がベネズエラに対する制裁を一時的に緩和する方針である旨5月17日に報じられことにより、将来的なベネズエラからの原油生産増加に対する期待が市場で増大したこと、物価上昇ペースが鈍化しているとの確信が持てないのであれば、FRBはさらなる金融引き締め政策実施を検討する必要がある他、物価上昇率が有意に低下していることを確認するまで、金融引き締め政策を推進する意向である旨5月17日にパウエルFRB議長が示唆したことにより、この先のさらなる金融引き締め政策の実施による米国経済成長減速と石油需要の伸びの鈍化観測が市場で増大したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり112.40ドルと前日終値比で1.80ドル下落した。また、5月18日も、これまでの原油価格上昇に対する利益確定の動きが市場で発生した流れを引き継いだことに加え、この日EIAから発表された米国石油統計(5月13日の週分)で、製油所の原油精製処理量が前週比で日量24万バレル増加したことにより、石油製品供給拡大に伴う当該需給の相対的な緩和感が市場で意識されたこともあり、米国ガソリン及び暖房油先物価格が下落したこと、中国の天津市で新型コロナウイルス感染抑制のための都市封鎖措置が拡大しつつある旨5月18日に報じられたことにより、中国の経済成長減速による石油需要の伸びの鈍化期間が長引くとの懸念が市場で増大したこと、5月18日朝(米国東部時間)に発表された、米国小売大手ターゲットの2022年2~4月期業績が市場の事前予想を下回ったこともあり、米国株式相場が下落するとともに、投資家のリスク許容度が縮小したことにより米ドルが上昇したことから、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり2.81ドル下落し、終値は109.59ドルとなった。この結果原油価格は5月17~18日の2日間で1バレル当たり合計4.61ドル下落した。ただ、5月19日には、これまでの原油価格下落に対し値頃感から原油を買い戻す動きが市場で発生したことに加え、5月19日に発表された5月の米国フィラデルフィア連銀製造業景況感指数(ゼロが当該部門好不況の分岐点)が2.6と4月の17.6から低下した他、市場の事前予想(15.0~16.0)を下回ったうえ、同日米国労働省から発表された同国新規失業保険申請件数(5月14日の週分)が21.8万件と前週比で2.1万件増加した他、市場の事前予想(20.0万件)を上回ったことにより、米国経済成長減速懸念が市場で強まったこともあり、米ドルが下落したことから、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり2.62ドル上昇し、終値は112.21ドルとなった。また、5月20日も、中国上海市で新型コロナウイルス感染による隔離地域でない地域で6日ぶりに新規感染者が発生した旨5月20日に同市当局が発表したものの、6月1日に予定されている同市の広範な通常生活再開予定を変更することはない旨示唆されたことにより、同国の石油需要回復期待が市場で増大したことに加え、5月21日朝(現地時間)にロシアが天然ガス供給を停止する旨5月20日にフィンランド国営ガス会社ガスム(Gasum)が明らかにしたことにより、欧州での天然ガス需給引き締まりとともに燃料転換に伴う石油需要増加観測が市場で発生したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり113.23ドルと前日終値比で1.02ドル上昇した(なお、この日を以てNYMEXの2022年6月渡し原油先物契約は取引を終了したが、7月渡し原油先物契約のこの日の終値は1バレル当たり110.28ドルと前日終値比0.39ドルの上昇であった)。この結果原油価格は5月19~20日の2日間で1バレル当たり合計3.64ドルの上昇となった。

5月23日の原油価格の終値は1バレル当たり110.29ドルと、前週末終値比で2.94ドル下落したが、2022年7月渡し米国原油先物契約間では、前週末終値比で0.01ドルの上昇となった。これは、これまでの下落に対し値頃感から原油を買い戻す動きが発生したこともあり米国株式相場が上昇したことに加え、7月には政策金利引き上げを開始するとともに、9月末までにはマイナス金利から脱却できる可能性がある旨5月23日に欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁が明らかにしたこともあり、ユーロが上昇した反面米ドルが下落したこと、今後税額控除の適用範囲拡大、自動車購入税引き下げ、一部企業の社会保障費支払い延期、及び銀行への融資返済繰り延べ等の経済支援策を実施する方針である旨5月23日に中国国務院が発表したことにより、中国経済成長減速に伴う石油需要の伸びの鈍化懸念が市場で後退したことが、原油相場に上方圧力を加えた反面、中国北京市の新型コロナウイルス新規感染者数が5月22日時点で99人と21日の61人から増加した旨判明したと5月23日に報じられたことにより、同市における個人の外出規制及び経済活動制限の強化による中国経済成長減速と石油需要の伸びの鈍化懸念が市場で増大したこと、5月30~31日に開催される予定である特別欧州理事会(首脳会議)の場での承認を目指していた、EUによるロシアからの石油輸入禁止措置に関し、ハンガリーが反対し続けていることに伴い、当該決定は早くても6月になる可能性が増大していることにより、当該措置の実施による欧州等での石油需給引き締まり観測が市場で後退したこと、世界主要国が景気後退に陥るとは予想してはいないものの、その可能性は否定できない旨国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事が5月23日に明らかにしたことにより、世界経済成長減速に伴う石油需要の伸びの鈍化懸念が市場で増大したことが、原油相場に下方圧力を加えたことによる。また、5月24日には、スイス大手金融機関UBSが新型コロナウイルス感染抑制のための都市封鎖措置実施等の影響に伴い、2022年の中国経済成長予想をそれまでの4.2%から3.0%へと引き下げたことにより、同国の石油需要の伸びの鈍化懸念が市場で増大したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり109.77ドルとは前日終値比で0.52ドル下落した。しかしながら、5月25日には、この日EIAから発表された米国石油統計(5月20日の週分)で、製油所の原油精製処理量が日量1,627万バレルと、この時期としては2019年(5月21日の週で同1,734万バレル)以来の高水準に到達した旨判明したことにより、原油の精製処理が進む結果、製油所の原油購入意欲が旺盛になるとの観測が市場で増大したことから、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり0.56ドル上昇し、終値は110.33ドルとなった。また、4月にロシアが運航するタンカーが積載していたイラン産原油がギリシャ沖合付近で米国に押収され、他の船舶に積み替えられたうえで米国に向かった旨5月26日に伝えられたことにより、イラン核合意正常化を巡る米国とイランとの対立の高まりを通じた中東地域情勢の不安定化及び当該地域からの石油供給途絶懸念が市場で増大したことに加え、5月26日に発表された米国小売大手メーシーズの2022年2~4月期業績が市場の事前予想を上回って良好であったこともあり、米国株式相場が上昇するとともに、投資家のリスク許容度が拡大したことにより米ドルが下落したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり114.09ドルとは前日終値比で3.76ドル上昇した。さらに、5月27日も、5月28~30日の米国戦没将兵追悼記念日(メモリアル・デー)の休日(5月30日)に伴う連休を前にした持ち高調整が市場で発生したことに加え、ペルシャ湾を航行していたギリシャ船籍の石油タンカー2隻を拿捕した旨5月27日にイラン革命防衛隊が発表した(イラン産原油がギリシャ沖合付近で米国に押収されたことに対する報復措置であると5月27日にイラン報道機関が伝えている)ことにより、イラン核合意正常化を巡る米国とイランとの間での協議過程が複雑化することに伴う、中東情勢の不安定化による当該地域からの石油供給途絶懸念が市場で増大したこと、EUが、ロシアからの石油輸入禁止に反対するハンガリーとの妥協を図るべく、ハンガリーに対しては当面の間ロシアからのパイプライン経由での原油輸入を認める方向で調整を進めており、5月30~31日に開催される予定である特別欧州理事会での承認に間に合わせるよう5月29日には加盟国間で合意に至る可能性がある旨当局者が明らかにしたと5月27日に報じられたことにより、当該措置を講ずることによる、欧州地域等での石油需給引き締まり観測が市場で増大したことから、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり0.98ドル上昇し、終値は115.07ドルとなった。この結果原油価格は5月25~27日の3日間で1バレル当たり合計5.32ドル上昇した他、この日の原油価格の終値は2022年3月8日の終値(この時は同123.70ドルと、2008年8月1日の終値(この時は同125.10ドル)以来の高水準)以来の高水準に到達した。

5月30日は、米国戦没将兵追悼記念日(メモリアル・デー)の休日に伴いこの日の終値は計上されなかったが、5月31日には、これまでの原油価格上昇に対し利益確定の動きが市場で発生したことに加え、OPECプラス産油国が実施中である減産措置からロシアを除外する旨OPECプラス産油国が検討しており、現時点ではロシアの原油生産減少分を賄うべく他のOPECプラス産油国が増産を推進する動きは見られないものの、一部の中東湾岸産油国では今後数ヶ月間のある時点で産出量を引き上げることを計画し始めたとされることもあり、この先サウジアラビア等他の産油国による増産が加速する可能性がある旨5月31日にウォール・ストリート・ジャーナルが報じたことにより、将来の石油需給の相対的な緩和感を市場が意識したことから、この日の原油価格は前週末終値比で1バレル当たり0.40ドル下落し、終値は114.67ドルとなった。しかしながら、6月1日には、海上輸送を通じロシアから供給される原油につき今後6ヶ月間程度、及び石油製品につき今後8ヶ月間程度に渡り、段階的に購入を禁止する旨EU加盟国間で合意した(当該措置の発動に伴い直ちに3分の2、2022年末までに90%程度、それぞれEU加盟国のロシアからの石油輸入が停止するとされる)ことが5月30日夜(現地時間)に明らかになったことにより、欧州地域等での石油需給引き締まり観測が5月31日の市場で増大した流れを引き継いだことに加え、6月2日にEIAから発表される予定である米国石油統計(5月27日の週分)で原油在庫が前週比で減少している旨判明するとの見方が市場で発生したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり115.26ドルと前日終値比で0.59ドル上昇した。6月2日も、この日開催されたOPECプラス産油国閣僚級会合で、7月(及び8月)の減産措置縮小規模が前月比で日量64.8万バレルと6月の同43.2万バレルから拡大したものの、9月以降のOPECプラス産油国による減産措置縮小ペースが不透明であったうえ、西側諸国の制裁等により原油生産が減少しているロシアや原油生産引き上げに苦慮しているナイジェリア及びアンゴラ等の産油国に対しても、増産(減産措置縮小)幅の拡大が行われたことにより、拡大した減産措置の縮小が実際に目標通りに実施可能かどうかにつき疑問視する見方が発生したことに加え、6月2日にEIAから発表された米国石油統計で、原油在庫が前週比507万バレルの減少と市場の事前予想(同135万バレル程度の減少)を上回って減少している旨判明したことから、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり1.61ドル上昇し、終値は116.87ドルとなった。さらに、6月2日に開催されたOPECプラス産油国閣僚級会合で減産措置縮小規模を拡大する旨決定したことに対し、世界石油需給緩和には不十分との観測が6月3日の市場で増大したことに加え、6月3日に米国労働省から発表された5月の同国非農業部門雇用者数が前月比で39.0万人の増加と、市場の事前予想(同31.8~32.5万人の増加)を上回ったことにより、石油需要の増加期待が市場で増大したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり118.87ドルと前日終値比で2.00ドル上昇した。この結果原油価格は6月1~3日の3日間で1バレル当たり合計4.20ドルの上昇となった。

6月6日には、これまでの原油価格上昇に対し利益確定の動きが市場で発生したことに加え、インドの石油精製会社各社がロシア産石油購入につきロシア国営石油会社ロスネフチと協議中である旨この日伝えられたことにより、世界石油供給が平準化に向かいつつあるとの観測が市場で増大したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり118.50ドルと前週末終値比で0.37ドル下落した。ただ、6月8日にEIAから発表される予定である米国石油統計(6月3日の週分)で原油在庫が減少している旨判明するとの見方が6月7日の市場で発生したことに加え、中国での石油需要回復及びロシアからの石油供給減少により、石油需給が均衡するためには原油価格が上昇するとともに世界石油需要が縮小する必要があるとして、2022年7月からの1年間の平均ブレント原油価格予想を1バレル当たり135ドルと、従来予想から10ドル引き上げた(また、2022年第三四半期のブレント原油価格予想を1バレル当たり140ドルと従来予想から同15ドル引き上げた)旨、米国大手金融機関ゴールドマン・サックスが明らかにしたと6月6日夜(米国東部時間)に報じられた他、大手国際石油商社トラフィギュラのワイアー(Weir)最高経営責任者(CEO)が、原油価格は間もなく1バレル当たり150ドル以上の水準に到達するかもしれないとの見解を6月7日に披露したことにより、原油価格の先高感が市場で増大したこと、生産を再開したと6月6日に伝えられたリビア南西部のシャララ(Sharara)油田(通常原油生産量日量30万バレル)が再び操業を停止したと6月7日に報じられたことにより、世界石油需給引き締まり感を市場が意識したことから、この日(6月7日)の原油価格は前日終値比で1バレル当たり0.91ドル上昇し、終値は119.41ドルとなった。6月8日も、核開発活動実施を申告していない施設でウランの痕跡が発見されたことに対し、イランが信用に足る説明をしていないとして、米国、英国、フランス及びドイツが、国際原子力機関(IAEA)理事会に対し対イラン非難決議案を提出した一方、当該非難決議案提出に対する報復措置としてイランは自国の核関連施設においてIAEAの査察のために設置した監視カメラ2台の稼働を停止した旨6月8日に明らかにしたことにより、米国を含む西側諸国とイランとの対立が高まる結果、イラン核合意正常化が遅延するとともに、同国からの石油供給回復がもたつくとの懸念が市場で拡大したことに加え、減産措置に参加するOPECプラス産油国の原油生産量が生産目標を日量260万バレル下回っていることもあり、OPECプラス産油国の増産実現性に確信が持てない旨アラブ首長国連邦(UAE)のマズルーイエネルギー相が6月8日明らかにしたことで、OPECプラス産油国の増産不振による石油需給引き締まり感を市場が意識したこと、6月8日にEIAから発表された米国石油統計で、ガソリン在庫が前週比81万バレルの減少と、市場の事前予想(同110万バレル程度の増加)に反し減少している旨判明し、全米ガソリン小売価格が統計史上最高水準(6月6日時点で1ガロン当たり4.977ドル)に到達しているにもかかわらず、同国ガソリン需要への影響が限定的であるとの観測が市場で増大したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり122.11ドルと前日終値比で2.70ドル上昇した。この結果原油価格は6月7~8日の2日間で1バレル当たり合計3.81ドルの上昇となった。ただ、6月9日には、これまでの原油価格上昇に対する利益確定の動きが市場で発生したことに加え、中国上海市で6月8日に4人の新型コロナウイルス新規感染者が確認されたこともあり、新型コロナウイルス感染抑制のため同市閔行区における2日間の外出禁止措置を含め上海市に都市封鎖を再導入する旨6月9日に同市当局が明らかにしたことにより、中国経済成長減速と石油需要の伸びの鈍化懸念が市場で増大したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり121.51ドルと前日終値比で0.60ドル下落した。6月10日も、中国上海市の16行政区のうち14行政区で6月11~12日に新型コロナウイルス感染の集団検査を実施する旨6月10日に報じられたことにより、再び同市で都市封鎖措置が実施される結果、中国の経済成長減速に伴う石油需要の伸びの鈍化懸念が市場で増大したことに加え、6月10日に米国労働省から発表された5月の同国消費者物価指数(CPI)が前年同月比8.6%の上昇と、4月の同8.3%の上昇から上昇率が拡大、1981年12月(この時は同8.9%上昇)以来の大幅な上昇率となった他、市場の事前予想(同8.3%上昇)を上回ったことにより、米国金融当局による金融引き締め方策拡大観測が市場で増大したこともあり、米国株式相場が下落するとともに米ドルが上昇したことから、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり0.84ドル下落し終値は120.67ドルとなった。この結果原油価格は6月9~10日の2日間で1バレル当たり合計1.44ドル下落した。

しかしながら、6月13日には、地方部族等の抗議行動に伴い、国内の石油生産関連施設が封鎖等されたことにより、リビアの原油生産量が日量110万バレル減少(減少前は同120万バレル)した旨リビアのオウン(Oun)石油相が6月13日に明らかにしたこともあり、さらなる石油需給引き締まり感を市場が意識したことに加え、6月15日にEIAから発表される予定である米国石油統計(6月10日の週分)で原油在庫が減少している旨判明するとの観測が市場で発生したことから、この日の原油価格は前週末終値比で1バレル当たり0.26ドル上昇し、終値は120.93ドルとなった。それでも6月14日には、米国連邦議会上院民主党のワイデン(Wyden)議員が、10億ドル超の年間売上のある石油会社の超過利潤に対し21%の課税を行うことを計画している旨この日報じられたことにより、石油会社が利益幅を圧縮すべく石油製品価格を抑制する結果、原油価格もそれに引きずられて下落する可能性が高まるとの観測が市場で増大したことに加え、6月14日に米国労働省から発表された5月の同国生産者物価指数(PPI)上昇率が前年同月比10.8%と4月の同10.9%(改定値)とほぼ同水準であったことにより、6月14~15日の予定で開催されているFOMCで積極的な金融引き締め策が決定するとの見方が市場で増大したこともあり、米国株式相場が下落したこと、高水準の原油及び石油製品価格が物価を上昇させることを通じ、世界経済成長が減速することもあり、2023年の世界石油需要の前年比での伸びが日量200万バレル以下へと鈍化(2022年は前年比日量336万バレルの増加と予想)する旨OPECが認識していると6月14日に報じられたことにより、この先の世界石油需給引き締まり感が市場で後退したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり118.93ドルと前日終値比で2.00ドル下落した。さらに、6月15日には、この日EIAから発表された米国石油統計で、原油在庫が前週比196万バレルの増加と市場の事前予想(同130万バレル程度の減少)に反し増加している旨判明したことに加え、6月14~15日に開催された米国FOMCで政策金利を0.75%引き上げた(1994年11月15日開催のFOMC以来の大幅な引き上げとなった)ことにより、米ドルが一時上昇するとともに、この先の米国経済成長減速を通じた石油需要の伸びの鈍化懸念が市場で増大したことから、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり3.62ドル下落し、終値は115.31ドルとなった。この結果原油価格は6月14~15日の2日間で1バレル当たり合計5.62ドル下落した。ただ、6月16日には、これまでの価格下落に対し値頃感から原油を買い戻す動きが市場で発生したことに加え、米国の制裁に伴い禁止されているイランの石油化学製品輸出に関与した等の理由により、9組織(イラン3社、UAE4社及び香港2社)及び2個人(インド国籍1人、中国国籍1人)に対し、米国内資産凍結及び米国人との取引禁止を内容とする制裁を発動する旨6月16日に米国財務省が発表したことにより、米国とイランとの関係悪化に伴うイラン核合意正常化に向けた西側諸国等とイランとの妥結、そして米国の対イラン制裁緩和とイランからの石油輸出拡大の遅延に対する懸念が市場で増大したこと、6月13日まで日量1.67億立方メートル(同推定59億立方フィート)であった、ロシアからドイツ等へ天然ガスを輸送するノルド・ストリーム・パイプラインの天然ガス輸送量を最大日量1億立方メートル(同35億立方フィート)へと制限した旨ロシア国営ガス会社ガスプロムが6月14日に発表したうえ、6月16日からは日量6,700万立方メートル(同24億立方フィート)へとさらに削減する旨6月15日にガスプロムが発表した(カナダでメンテナンス作業中であるドイツのシーメンス社製ノルド・ストリーム・パイプライン用タービンがカナダの対ロシア制裁(ロシア石油・天然ガス産業への支援の禁止)に抵触したことにより、ロシアに返送することが困難になったことが一因である旨ガスプロムは6月14日に明らかにしている)他、6月15日にイタリア石油会社ENIがガスプロムからの天然ガス供給量が同日時点で15%削減された(ガスプロムは削減の理由を明らかにしていない)うえ、6月16日にはガスプロムからの天然ガス供給量がENIの要求量の65%となった旨同日ENIが明らかにしたこともあり、6月16日の欧州天然ガス価格が大幅に上昇(6月15日のオランダTTF天然ガス先物価格は100万Btu当たり推定36.61ドルと前日終値比で同6.98ドル上昇、さらに6月16日は同38.49ドルと前日終値比で同1.88ドル上昇)したことにより、相対的に割安な石油への代替需要が発生するとの観測が市場で増大したことから、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり2.28ドル上昇し、終値は117.59ドルとなった。しかしながら、米国金融当局は物価の大幅上昇の沈静化(年率2%の物価上昇率への回帰)を重要視する意向である旨6月17日にFRBのパウエル議長が明らかにしたことにより、同国政策金利の大幅引き上げが継続する結果、経済成長が減速することにより、石油需要の伸びが鈍化するとの観測が市場で増大したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり109.56ドルと前日終値比で8.03ドル下落した(なお、これは2022年3月9日(この時は前日終値比1バレル当たり15.00ドルの下落)以来の大幅な前日終値比での下落であった)。

 

4. 原油市場における主な注目点等

石油市場における地政学的リスク要因面での注目点としては、まず、ロシアのウクライナに対する事実上の侵攻実施等を巡る動向が挙げられよう。ロシア軍に包囲されていたウクライナ南東部の都市マリウポリのアゾフスターリ製鉄所で防戦中であったウクライナ軍部隊兵士は、5月16日夜(現地時間)に事実上の投降を開始する(5月17日にはウクライナ軍参謀本部も同軍部隊の当該製鉄所防衛任務を終了した旨表明した)とともに、ロシア軍が当該製鉄所を事実上制圧した。他方、ウクライナとロシアとの間での停戦協議は事実上中断状態となっている旨5月17日にロシア外務省のルデンコ(Rudenko)次官が明らかにした。6月2日には、ウクライナのゼレンスキー大統領が、同国の20%をロシアが占領した旨発言した。

他方、海上輸送を通じたロシアから供給される原油につき今後6ヶ月間程度、及び石油製品につき今後8ヶ月間程度で以て、段階的に購入を禁止する旨欧州連合(EU)特別欧州理事会(首脳会議)において加盟国間で合意したと5月30日夜(現地時間)に明らかになった(当該措置の発動に伴い直ちに3分の2、2022年末までに90%程度、それぞれロシアからの石油輸入が停止するとされる)。その後6月3日には、前述の措置を含む第6次対ロシア制裁の事実上の発動(採択)をEUが発表した(同日発効)。パイプライン経由でのロシア産原油輸入依存度の高いEU加盟国は、当該石油輸入禁止に対し猶予が与えられる(猶予期間の終了は別途決定されるとされるが、ロシア産原油を入手した加盟国は入手した原油もしくはその原油を精製等することにより製造される石油製品を他の加盟国や第三国に転売してはいけないこととなっている)。なお、ブルガリアは2024年末まで海上輸送経由のロシア産原油輸入が可能であり、クロアチアは2023年末までロシア産減圧軽油(VGO: Vacuum Gas Oil)の輸入が可能である。また、チェコについてもロシア産石油製品輸入につき2023年12月5日までの制裁発動猶予期間が定められている。さらに、制裁の発動により、6ヶ月間の猶予期間後EU加盟国の石油会社は海上を経由した原油及び石油製品の第三国への輸送に付保する保険や輸送に対する資金供給が禁止される。そして、ロシア最大手銀行であるズベルバンク(Sberbank)、モスクワ信用銀行(Credit Bank of Moscow)、ロシア農業銀行(Russia Agricultural Bank)の金融機関3行、及びベラルーシ金融機関1行がSWIFT(国際銀行間通信協会)から排除される(この結果、SWIFTから排除されていないロシア大手金融機関はガスプロムバンク(Gazprombank)のみとなる)。このように、欧州は、石油供給関連分野において対ロシア制裁を強化しつつある。ただ、ロシアは代替の供給先を開拓しつつあり、その量も増加しつつあるとされる。中国やインドは西側諸国等が購入を敬遠したことにより他の原油に比べ価格が割安になったロシア産原油の購入を進めつつある。例えば、インドの大手石油精製会社インディアン・オイル(IOC)はロシア最大手石油会社ロスネフチから月間600万バレルの原油購入に加え同300万バレルの追加購入の権利を有する売買契約を締結したと6月8日に伝えられる。また、例えば極東ロシア大陸沿岸港であるコズミノ(Kozmino)で小型タンカーに積載されたESPO(East Siberia Pacific Ocean:東シベリア太平洋)原油が韓国麗水沖で大型タンカーに積み替られたうえで中国に向かっている旨5月26日に伝えられるなど、中国もロシア産原油購入を活発化させつつあることが示唆される。他方、サウジアラビアは、7月のアジア向け原油販売につき日本、韓国、タイ及びインドへの供給を拡大する代わりに中国への原油供給を削減する旨6月10日に伝えられるなど、ロシアを巡り西側諸国等が発動した、もしくは今後発動が想定される制裁への抵触可能性や企業の評判リスクを不安視してのロシア産石油購入敬遠に伴い、世界の石油供給体制の再編及び平準化に向けた動きの兆候が見られる。しかしながら、EU加盟国によるロシア産石油輸入禁止措置が発動したばかりであることもあり、依然として相当程度欧州ではロシア産石油が輸入されている状態であることから、IOC以外のインド石油精製会社に対しロスネフチは石油供給拡大を保留している状況であるとされ、この先もロシアを巡るEUの石油輸入禁止の動きに伴う世界石油供給の再編はなお紆余曲折を経るものと見られ、その過程では、一時的にせよ一部地域で石油需給が引き締まったり、ないしは引き締まるとの懸念が市場で高まったりすることにより、原油相場に上方圧力が加わるといった展開となることもありうる。

イラン核合意正常化を巡る西側諸国等とイランとの間の協議に関しては、イランは革命防衛隊に対する制裁の全面的解除を米国に要求しているのに対し、米国は革命防衛隊の制裁解除はイラン核合意正常化とは関係ない旨主張、議論は平行線を辿っている。そのような中、イラン革命防衛隊のホダイ(Khodaei)大佐が5月22日に暗殺され、同国のライシ大統領は報復措置を実行する意向である旨5月23日に主張した。これについては、イスラエルが関与している可能性がある旨5月25日に報じられている。また、5月26日には、イランの首都テヘランの南東にあるパルチン(Parchin)の同国軍事関連研究施設で爆発が発生したが、これについは、国内から発射された無人攻撃機によるものであると5月27日に伝えられる。他方、イラン革命防衛隊が実施した石油密輸及び資金洗浄に関与したとするロシア人、そしてロシア及び中国企業等に対し、米国内資産凍結と米国人との取引禁止を内容とする制裁を発動した旨米国財務省が5月25日に発表した。加えて、米国の制裁に伴い禁止されているイランの石油化学製品輸出に関与した等の理由により、9組織(イラン3社、UAE4社及び香港2社)及び2個人(インド国籍1人、中国国籍1人)に対し、米国内資産凍結及び米国人との取引禁止を内容とする制裁を発動する旨6月16日に米国財務省が発表した(これに対しイランのライシ大統領は反発した旨6月18日に伝えられる)。また、ロシアが運航するイラン船籍タンカー「ラナ(Lana)」が4月にギリシャ沖合付近でギリシャ当局により拿捕されるとともに、積載されたイラン産原油が米国によって押収され、他の船舶に積み替えられて米国に向かい始めた旨5月26日に伝えられた。これに対しペルシャ湾を航行していたギリシャ船籍の石油タンカー2隻を拿捕した旨5月27日にイラン革命防衛隊が発表、ギリシャが同様の行為を継続するようであれば、拿捕が継続される可能性がある旨イラン革命防衛隊系報道機関が5月27日に伝えている。ただ、ギリシャ当局により拿捕された石油タンカーは解放された旨6月14日にイランが明らかにした旨同日報じられる。他方、イラン国内3ヶ所の施設でウランが存在していた可能性が検出されたことにつき、イラン側が信用できる説明をしていない状態が続いている他、イランにおける60%の濃縮度の濃縮ウラン貯蔵量が9.9キログラム増加し43.1キログラムに到達した旨の四半期報告書をIAEAが取り纏めた旨5月30日に伝えられる。これを受け、6月6~10日の日程で開催されていたIAEA理事会に向けイランを非難する決議案が米国、英国、フランス及びドイツから提出された旨6月7日に報じられる(6月8日に賛成多数で採択された)。これに対しイラン原子力庁はIAEAの要請により設置された同国核開発関連施設での活動を監視するためのカメラ2台の稼働を停止させた旨6月8日に伝えられた(イラン非難決議案提出に対する報復措置である旨同日示唆される)。また、イランはテヘランの南方にあるナタンズ(Natanz)で核開発を実施している地下施設において、2015年7月14日に合意されたイラン核合意では認められていない高度な性能を持つウラン濃縮用遠心分離機の設置を開始した旨6月8日に報じられる。さらに、イランは核合意の下で設置された同国核開発関連施設の監視カメラのほぼ全てに当たる27台を6月9日以降撤去する方針である旨6月9日にIAEAに通告したと同日IAEAのグロッシ事務局長が明らかにした。このように、イラン核合意正常化を巡る西側諸国等とイランとの関係は複雑化する様相を呈しており、イラン核合意正常化のための協議を巡っては、妥結する方向に向かっているとは言えず(米国国務省のイラン担当特使であるマレー氏も、妥結する可能性は高くない旨5月25日に米国連邦議会上院外交委員会で明らかにしている)、イラン核合意正常化に伴う米国の対イラン制裁緩和及びイランからの原油供給拡大時期が繰り下げられる方向に向かう結果、この面では短期的には原油相場に対し下方圧力が加わりにくくなる他、中東情勢の不安定化に伴う当該地域からの石油供給途絶懸念が市場で増大することを通じ、原油相場に上方圧力が加わる場面が見られることもありうる。

3月1日にリビア東部のトブルクを拠点とする代表議会(HoR: House of Representatives)はバシャガ(Bashagha)元内務相を首相として承認した。しかしながら、リビアには既に首都トリポリを拠点とする暫定政府のドベイバ(Dbaibha)首相がおり(国連はドベイバ氏が同国の首相であるとの見解を明らかにした旨2月11日に伝えられる他、ドベイバ氏は大統領選挙(現在未実施)が実施されるまで首相の職を続ける意向である旨2月8日に明らかにしているが、代表議会は2021年12月24日(当初の大統領選挙投票日)を以て同国の暫定統一政府が有効期限を迎える旨主張したと12月22日に報じられた)。このように、リビアでは、当初2021年12月24日に実施される予定であった大統領選挙が実施できないまま、1国に2人の首相が存在する事態となり、トリポリを拠点とする国民合意政府(GNA: Government of National Accord)及び暫定政府と、HoRとの対立が再び高まる兆候が見られている。そのような中、4月18日には同国最大の油田であるシャララ(Sharara)油田(原油生産量日量30万バレル)が、リビア全域に渡り石油収入を均等に配分するよう要求する抗議者により占拠された結果操業が不可能になったことにより、同日リビア国営石油会社NOCは同油田の原油の出荷に関し不可抗力条項の適用を宣言した。同油田は6月4日に操業を再開したものの、6月6日夜(現地時間)に再び操業を停止した。加えて、6月10日にリビア東部の武装勢力が同国のラス・ラヌフ(Ras Lanuf)(原油出荷能力日量22万バレル)及びエス・シデル(Es Sider)(同32万バレル)両石油ターミナルの操業を停止させた他、6月10日にはハリガ(Hariga)石油ターミナル(同11万バレル)の操業停止も要求した旨6月10日に伝えられており、石油生産関連施設封鎖等により、リビアの原油生産量が日量110万バレル減少(減少前は同120万バレル)した旨リビアのオウン石油相が明らかにしたと6月13日に伝えられる。このように、既にリビアでは原油生産が相当程度減少していることもあり、この面では他の地政学的リスク要因とともに、原油相場を支持するものと見られる。また、現在操業を停止している石油生産関連施設が操業を再開したとしても、同国の政治的な情勢が不安定なままとなっていることにより、いつまた再び操業が脅かされるかにつき市場の懸念が持続することにより、原油相場への下方圧力は限定的なものとなりやすいものと考えられる。

イエメンでは、ハディ暫定大統領派勢力(及び同暫定大統領派勢力を支援する有志連合軍を主導するサウジアラビア等)とフーシ派武装勢力(イランが支援しているとされる)との間で、4月2日夜(現地時間)から2ヶ月間停戦を実施することで両者が合意した旨4月1日に国連が発表した。両者間での停戦は6月2日に期限を迎えたが、さらに2ヶ月間延長される旨同日国連イエメン担当特使のグランドバーグ氏が発表した。今後、恒久的停戦に向けた協議が両者間で実施されるようであれば、中東情勢の不安定化による当該地域からの石油供給途絶懸念が市場で後退する結果、原油相場に下方圧力が加わりやすくなると見られるものの、今後両者からの攻撃が再開されるようであれば、中東情勢の不安定化による当該地域からの石油供給途絶懸念が市場で再燃する結果、原油相場に上方圧力が加わるといった展開となる可能性もある。

経済要因としては、まず中国の新型コロナウイルス感染抑制のための個人の外出規制及び経済活動制限を巡る動向等が注目点として挙げられよう。同国上海市が3月28日に新型コロナウイルス感染抑制のための都市封鎖措置を実施して以降部分的な緩和措置は行われたものの当該措置は5月31日まで継続した他、6月1日には大幅な規制緩和が実施されたものの、6月8日に同市内で4人の新規感染者が確認されたこともあり、新型コロナウイルス感染抑制のため上海市の閔行区では2日間の外出禁止措置を含む都市封鎖を再導入する旨6月9日に同市当局が明らかにした。また、中国上海市の16行政区のうち14行政区で6月11~12日に新型コロナウイルス感染の集団検査を実施する方針である旨6月10日に報じられるなどしている。さらに、上海市は、7月末まで週末毎に集合住宅に対し新型コロナウイルス感染の集団検査を実施する方針である旨6月15日に同市当局が発表、感染者が発生した集合住宅に対しては封鎖措置を講ずる意向である旨明らかにした。他方、中国の北京市では、市内の飲食店で287人の新型コロナウイルスの集団感染が発生した旨6月14日に伝えられる他、感染者数は増減を繰り替えしており、必ずしも当該感染が沈静化に向かっている兆候が見られるわけではない。このように、今後も中国の諸都市で、より大規模な都市封鎖措置が導入されることにより、同国の経済成長減速と個人の外出制限に伴う往来の低迷を通じた石油需要の伸びの鈍化懸念が市場で発生するようであれば、原油価格の上昇が抑制される可能性がある。

他方、6月10日に米国労働省から発表された5月の同国消費者物価指数(CPI)は前年同月比8.6%の上昇と、4月の同8.3%の上昇から上昇率が拡大、1981年12月(この時は同8.9%の上昇)以来の大幅な上昇率となった他、市場の事前予想(同8.3%上昇)を上回った。このようなことから、当該CPI発表以前は4%未満であった、6月14~15日に開催が予定されていたFOMCにおける、0.75%の政策金利引き上げ決定確率は、6月10日には23%へと上昇。さらに、6月14日に発表された5月の同国生産者物価指数(PPI)が前年同月比で10.8%の上昇と、4月の同10.9%の上昇とほぼ同水準の上昇率であったこともあり、FOMCでの0.75%の政策金利引き上げ決定確率は同日には97%へと跳ね上がった。果たして実際FOMCでは0.75%の政策金利引き上げが決定された。米国金融当局は物価上昇の沈静化(年率2%の物価上昇率への回帰)を重要視する意向である旨6月17日に米国連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が明らかにしたところからすると、今後開催される予定のFOMCでも0.75%程度の政策金利引き上げが決定される可能性があり、そのような大幅な政策金利引き上げの観測が市場で増大する(実際6月18日現在次回FOMC(7月26~27日開催予定)で0.75%の政策金利の引き上げが決定される確率は86%程度となっている)ことにより、米ドルが上昇するとともに原油相場に下方圧力が加わる場面が見られる可能性がある。また、7月に入ると米国主要企業等の2022年4~6月等の業績が発表される予定であるので、それら業績もしくは2022年以降の業績見通し(もしくは見通しの修正)等の内容によっては米国株式相場が変動する結果、原油相場に影響を及ぼすこともありうる。

米国では5月28~30日の連休を以て夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期に突入しており、製油所の稼働が上昇、原油精製処理が進むとともに製油所等による原油購入が活発化、季節的に石油需給が引き締まりやすい時期となっている。そして7月半ば頃までは同国でのガソリン需要の盛り上がり感が市場で継続するとともに(米国のガソリン需要のピークは7月4日の独立記念日(インディペンデンス・デー)とされる)、季節的な石油需給の引き締まり感が持続する結果、少なくとも原油価格はこの面では下支えされやすいものと考えられる。

また、大西洋圏ではハリケーン等の暴風雨シーズンに突入した(暴風雨シーズンは例年6月1日~11月30日である)。ハリケーン等の暴風雨は、進路やその勢力によっては、米国メキシコ湾沖合の石油等生産関連施設に影響を与えたり、湾岸地域の石油受入及び積出港湾関連施設や製油所の活動に支障を発生させたり(実際に製油所が冠水し操業が停止することもあるが、そうでなくても周辺の送電網が暴風で切断されることにより、製油所への電力供給が遮断されることを通じて操業が停止するといった事態が想定される)、さらには、メキシコの沖合油田や原油輸出港の操業を停止させたりすること等により米国のメキシコからの原油輸入に影響を与えたりする(2021年には米国メキシコ湾岸地域はメキシコから日量52万バレル程度の原油を輸入した)。5月24日に発表された米国海洋大気庁(NOAA)及び6月2日時点のコロラド州立大学の予想によると、2022年の大西洋圏でのハリケーンシーズンは平年よりも活発な暴風雨の発生が予想されている(表2参照)。最近では米国の原油生産に占める陸上の割合が大きくなってきているものの、それでも米国メキシコ湾沖合でもそれなりの量の原油が生産されている(2021年は当該地域で日量170万バレルの原油を生産しており、同年の米国の原油生産量全体の約15%を占めた)他、米国メキシコ湾岸は引き続き同国の精製活動の中心地域である(2021年の当該地域の原油精製処理能力は日量817万バレルと米国原油精製処理能力全体の約47%を占めた)こともあり、今後のハリケーン等の実際の発生状況やその進路、そしてその予報等によっては石油市場関係者間で石油供給に対する懸念が強まるとともに、その影響が原油価格に織り込まれる場面が見られることもありうる。

表2 2022年の大西洋圏でのハリケーン等発生個数予想

また、4月に前月比で日量100万バレル程度減少したとされるロシアの原油生産量が今後回復するかどうかも注目点であろう。5月のロシア原油生産量は前月比で日量20~30万バレル増加する他、6月も増産が継続する旨5月19日にロシアのノバク副首相が説明した他、2022年のロシア原油生産量は推定日量969~1,009万バレルになると見込んでいる旨5月26日にノバク副首相は明らかにした。この数値にコンデンセートが含まれているかどうかは不明確であるが、含まれていると仮定すると、IEAによる2021年のロシア原油生産量(コンデンセートを含む)が日量1,052万バレルであることに基づけば、ロシアの原油生産量は前年比で日量43~83万バレル程度の減少(前年比4.1~7.9%程度の減少)となる(2022年のロシア原油生産量が2021年比で8%程度減少する旨5月26日にノバク副首相が明らかにしているところからすると、ノバク副首相が説明するロシア原油生産量にはコンデンセートが含まれているものと考えられる)他、2022年2月11日(つまりロシアによる事実上のウクライナ侵攻直前)発表時点のIEAによる2022年のロシア原油生産量(コンデンセートを含む)見通しである日量1,121万バレルからは同111~151万バレルの下振れとなる。他方、2022年3月16日に、IEAは、2022年のロシア原油生産量(コンデンセートを含む)見通しを日量897万バレルと2021年の原油生産量から日量155万バレル減少する他2022年2月11日時点の2022年の同国原油生産見通しに比べ日量224万バレル下振れするとの展望を明らかにしていたが、2022年6月15日に発表されたオイル・マーケット・レポートによれば、IEAは2022年のロシア原油生産量見通しを日量1,002万バレルと3月の発表時点の見通しから日量105万バレル上方修正する(つまり2021年比で日量50万バレルの減少となる他、2022年2月11日時点のIEA見通しからは同119万バレルの下振れとなる)などしており、2022年のロシア原油生産展望は不安定であることが窺われる。

他方、5月19日には、ロシア産原油を購入し続ける消費国等に対し当該行為を抑制することを目的として米国バイデン政権は制裁を発動することを否定しない旨同国エネルギー省のグランホルム長官が表明した。ロシア産の石油を購入し続ける消費国に対する米国等の制裁発動の動きが明確になる様であれば、ロシア産石油購入が一層敬遠されるようになることから、ロシアからの石油供給が実質的に世界石油市場から排除されることにより、世界石油需給の引き締まり感が市場で意識されるとともに、原油相場に上方圧力が加わると言った展開が想定される。しかしながら、夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期に突入した米国では6月13日時点の全米平均ガソリン小売価格が1ガロン当たり5.107ドルと、1993年4月以降のEIAによる週間全米平均ガソリン小売価格統計上史上最高水準を更新し続けており、ロシア産原油等の世界市場からの排除は、原油価格及びガソリン小売価格の一層の高騰を招く可能性を高めることもあり、ロシアから供給される石油を引き取る消費国等に対する制裁の発動を巡っては不透明感が漂う。従って、ロシアから供給される石油を引き取る消費国等に対し、そのような引き取りを抑制するための制裁(いわゆる二次制裁)発動に向け米国等が動くかどうか、ということが原油市場における注目点となろうが、もし、そのような二次制裁の発動に向けた米国等の動きが今後明確にならないようであれば、中国やインド等は、世界的に石油及び天然ガス(LNG)価格が高騰する中、割安感のある、ロシア産石油購入を促進し続けるものと見られ、いずれロシアからの石油供給はそれなりに回復していくとの見方が市場で増大する結果、それが原油相場に織り込まれるといった展開も想定される。

また、原油価格が高水準となっていることもあり、時間の経過とともに、自動車の燃費効率の改善等を通じ、石油需要が抑制される可能性もある。このように、中長期的には、石油供給がそれほど落ち込まない反面、石油需要が抑制される結果、石油需給の引き締まりも緩やかなものにとどまるとの展望が市場で広がる可能性もあり、そのような事態を想定してOPECプラス産油国は無闇に減産措置の縮小を加速するような判断を回避する結果、6月30日に開催される予定であるOPECプラス産油国閣僚級会合においても、慎重な原油生産方針を決定するといった展開となることもありうる。他方、米国のバイデン大統領は7月15~16日にサウジアラビアを訪問する予定であると6月14日にバイデン政権が発表しており、同大統領のサウジアラビアを含む中東諸国訪問の際の協議内容によっては、以降のOPECプラス産油国間での減産措置縮小を巡る協議内容が変化する結果、原油相場に圧力が加わるといった展開となることも否定できない。

また、6月8日午前11時40分(現地時間)に米国テキサス州フリーポート(Freeport)の天然ガス液化施設(天然ガス液化能力年間1,500万トン)で火災が発生し同施設の操業が停止した。操業停止期間は当初3週間程度とされていたが、6月14日には、9月に部分操業再開、2022年末までに全面操業再開を見込む旨の見通しに修正された。他方、6月13日まで日量1.67億立方メートル(同推定59億立方フィート)であった、ロシアからドイツ等へ天然ガスを輸送するノルド・ストリーム1・パイプラインの天然ガス輸送量を最大日量1億立方メートル(同35億立方フィート)へと制限した旨ロシア国営ガス会社ガスプロムが6月14日に発表したうえ、6月16日からは日量6,700万立方メートル(同24億立方フィート)へと削減する旨6月15日にガスプロムが発表した(カナダでメンテナンス作業中である当該パイプラインに用いられているドイツのシーメンス社製タービンがカナダの対ロシア制裁(ロシア石油・天然ガス産業への支援の禁止)に抵触したことにより、ロシアに返送することが困難になっていることが一因である旨ガスプロムは6月14日に明らかにしている)他、6月15日にイタリア石油会社ENIが、ガスプロムからの天然ガス供給量が同日時点で15%削減されたうえ、6月16日にはガスプロムからの天然ガス供給量が要求した量の65%となった他、6月17日にはガスプロムから供給された天然ガスが要求した量の半分となった旨明らかにした。このような供給面での要因により、欧州を中心として天然ガス価格が大幅に上昇した(6月8日に100万Btu当たり推定24.938ドルの終値であったオランダTTF天然ガス先物価格は6月17日には同36.227ドルの終値と約45%上昇している)。このため、今後燃料転換に伴い石油需要が増加するとともに石油需給が相対的に引き締まるとの観測が市場で強まるとともに、原油価格に上方圧力を加えるといった展開となることも想定されうる。

全体としては、米国等での夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要の盛り上がりに対する季節的な需給の引き締まり感が市場に継続することに加え、ロシアによる石油及び天然ガス供給を巡る不透明感が原油相場を下支えする可能性がある。他方、米国金融当局による物価上昇沈静化に向けた金融引き締め方針が明確になりつつあることが、原油相場の上昇を抑制する形で作用するものと見られる。そのような中、OPECプラス産油国の減産措置縮小加速に向けた米国の働きかけとOPECプラス産油国の原油生産方針を巡る動向、中国での新型コロナウイルス感染及びその対応状況、米国メキシコ湾沖合周辺での暴風雨発生等の状況、イラン核合意正常化を巡る関係国の動向等が原油価格に影響を及ぼすものと見られる。

 

以上

(この報告は2022年6月20日時点のものです)

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