ページ番号1009410 更新日 令和4年7月12日
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概要
- インド商工省貿易統計によるとロシアからの原油輸入は2021年の日量9万バレル(輸入の2%)から、2022年4月には日量39万バレル(同8%)に増加した。
- 原油油輸入量の増加および原油価格の上昇に伴い、輸入額は前年同月比5.7倍、10.5億ドル増加の12.8億ドル(バレルあたりの輸入単価は2021年4月の59.6ドルから49ドル上昇し108ドル)となった。
- データ会社KplerやVortexaの推計によると6月のロシアからの原油輸入はさらに増加し日量100万バレルに達した模様である。インドは原油輸入の7~8割がサウジアラビアやイラクなど中東各国とのターム契約であり、スポットを全量ロシアから調達する仮定のもと、ロシア原油の輸入を日量150万バレルまで増やすことができるという見方が出ている。国営石油企業数社がロシア企業と2022年下期のターム契約について交渉中と伝えられる。
- インド政府は割安なロシア原油の輸入拡大に前向きだが、民間の精製企業が製品の輸出を増やし、国内で製品不足が発生したことで7月から輸送燃料の輸出抑制措置を取った。7月以降はEUの海上輸送に対する保険への制裁や石油製品輸出抑制措置を受けて、インドのロシア原油を含む原油輸入の伸びは横ばい~鈍化する可能性がある。
- 中国のロシアからの原油輸入はインドとは状況が異なる。2021年のロシアからの原油輸入は日量159万バレル(原油輸入の16%)で輸入相手国首位のサウジアラビアと拮抗している。中国はサウジアラビアなど中東とのターム契約に加え、ロシアとも日量80万バレルは長期契約に基づき主に陸路のパイプラインから輸入している。中国にとりロシア原油は中東依存度を抑制する上で有効かつ地理的優位性の高い供給源である。
- 中国のロシアからの原油輸入は2022年5月には前年同月比55%(日量70万バレル)増加の198万バレルと史上最高水準に達した。海上輸送による輸入が増えている。山東省に主に位置する地方製油所がブラジルなどのスポット原油の輸入を減らし、割安なロシア原油の輸入を増やした他、国有石油企業もロシア原油の輸入を増やしている模様である。
- 原油輸入量の増加および原油価格の上昇に伴い、ロシアからの輸入額は前年同月比124%(31.8億ドル)増加の57.6億ドルとなった。
- データ会社KplerやVortexaの推計によると6月のロシアからの原油輸入は日量200万バレルに達した模様である。中国は中東とのターム契約や物流上のボトルネックや輸送リスクを考慮するとロシアからの原油輸入を日量240万バレルまで増やすことができるという見方が出ている。
- 中国政府はロシア原油の輸入増加についてインドほど積極的な発言はしていないが、抑制や禁止はしていない。海上輸送に対する保険への制裁について政府の指示があれば国有保険会社は対応可能という見方がある。中国の場合新型コロナウイルスの感染拡大による移動制限や政府の地方製油所に対する原油輸入割当方針がロシア原油を含む原油輸入拡大を左右する。
- IEAは2022年6月の石油月次報告によると、2022年5月のロシアの原油・石油製品の輸出は2021年平均(日量750万バレル)に比べ欧米日等が日量110万バレル減らしたが、トルコが日量10万バレル、中国が40万バレル、インドが80万バレル増やしたことで相殺されている。油価の上昇で輸出収入は50億ドル増加している。
- 中国とインドはロシアからの原油輸入を物理的に増やす余地が両国を合わせ最大で日量100万バレルある。イランの原油貿易に対する制裁と同様に両国の貿易企業を名指しで制裁するような措置を取らなければ両国のロシアからの原油輸入を止めることは難しいと思われる。
はじめに.インドの石油需給
IEAによるとインドの2021年の石油消費は日量470万バレルである(図1)。自家用車の増加や物流の進展とともに増加した。新型コロナウイルスにより2020年の消費は前年を割り込んだが、過去10年で日量120万バレル以上増加している。IEAは2022年のインドの石油需要は日量28万バレル増加の498万バレルに達すると見ているが、これは2019年のレベルをわずかに下回る水準である。
2021年の原油生産は日量73万バレルである。国内の原油生産は油田の成熟化で伸び悩んでいる。2015年に日本を上回り中国、米国に次ぐ世界3位の石油輸入国となった(図2)。
IEAはIndia Energy Outlook(2021年5月公表)において、2040年までにインドの原油輸入依存度は92%、LNGへの依存度は61%になると示している。
インドはエネルギーの輸入に巨費を投じており、エネルギー輸入依存抑制を図りたいと考えている。モディ首相は2021年8月15日の独立記念日のスピーチで2047年までのエネルギー自立を目指すと表明した。EVとE20(エタノール20%混合ガソリン)の導入、都市ガス供給網の拡大、水素生産ハブの整備などを組み合わせて、「自立したインド」の達成に向けてエネルギーを自給する体制を整えるとした。

(出所:IEAを基にJOGMEC作成、2022、23年は予測)

(出所:BP統計を基にJOGMEC作成)
1. インドのロシアからの原油輸入
BP統計によるとインドの2021年の原油輸入は日量427万バレルである。最大の輸入相手先はイラクで日量104万バレル(原油輸入全体の24%)、次いでサウジアラビアが69万バレル(同16%)、UAEが46万バレル(同11%)であり、OPEC中東3か国からの輸入が5割を占める。現在注目を集めているロシアからの原油輸入は日量9万バレルで原油輸入全体の2%に過ぎない。ロシアからの原油輸入が少なかった理由は地理的な問題(輸送距離)と経済性である。インドにとり中東から大型の原油タンカーで輸入することが最も経済的な選択肢であった。

(出所:BP Statistical Review of World Energyに基づきJOGMEC作成)
1-1. ロシアからの原油輸入は4月に前年同月比3倍の日量39万バレルに増加
インド商工省の貿易統計によると2022年4月のインドの原油輸入量は前年同月比14%(63万バレル)増加の日量436万バレルである。首位イラクからの輸入は2%(2.5万バレル)減の日量127万バレルである。ロシアからの輸入が前年同月比3倍、27万バレル増加の日量39.4万バレルに急増した(表1)。輸入量全体に占めるロシアの比率は前年同月の3%から8%に増加した。4月単月だけで判断することは早計だが、4月時点ではロシアからの原油輸入が増加した一方で、その他スポットの輸入が日量24万バレル減少している。ターム契約相手先のうちサウジアラビアからの輸入は日量26万バレル、UAEからは同44万バレル増加しているが、クウェートからの輸入は同12万バレル減少している状況である(図4)。
原油輸入量の増加および原油価格の上昇に伴い、2022年4月のインドの原油輸入額は前年同月比94%(77.5億ドル)増加の160億ドルとなった。イラクからの輸入額は前年同月比70%(16.5億ドル)増加の39.9億ドル(バレルあたりの輸入単価は2021年4月の60.2ドルから44ドル上昇し105ドル)であった。ロシアからの輸入額は2021年4月に比べ5.7倍、10.5億ドル増加の12.8億ドル(バレルあたりの輸入単価は2021年4月の59.6ドルから49ドル上昇し108ドル)となった(表2)。
2022年1月から4月にかけてインドの主要国からの原油輸入単価はバレルあたり70ドル後半から120ドル前後で推移した。3月のロシアからの原油輸入単価はサウジアラビアなどの主要国に比べ10ドル前後高かったが、4月には他の主要国の原油輸入単価が上昇傾向にある中、ロシアのみ約10ドル低下しており、制裁の影響が生じていることがうかがえる(図5)。仮にロシアの輸入単価が10ドル低下していなければ輸入金額は1億ドル増加するが、輸入単価を引き上げている一端はロシアにあり、同国のウクライナ侵攻が無ければ原油価格はここまで上昇してはいないはずである。

(出所:インド商工省貿易統計に基づきJOGMEC作成)

(出所:インド商工省貿易統計に基づきJOGMEC作成)

(出所:インド商工省貿易統計に基づきJOGMEC作成)

(出所:インド商工省貿易統計に基づきJOGMEC作成)
1-2. ロシアからの原油輸入は6月に日量100万バレルに拡大、最大日量150万バレルまで増やすことが可能という見方
データ会社KplerやVortexaの推計によるとインドの5月のロシアからの原油輸入は日量65万5000バレル、6月はさらに増加し、日量100万バレルに達した模様である。
インドの精製処理能力は日量約500万バレル(24製油所)でIndian Oil、Hindustan Petroleum (HPCL)、Bharat Petroleum(BPCL)などの国営の他、民間のReliance IndustriesやRosneftが出資するNaraya Energyなどが操業している(表3)。
国営製油所は通常、原油の7割から8割をターム契約に基づき輸入している。残りのスポットは主に中東とアフリカから調達していた。スポットを全量ロシアから調達する仮定のもとロシア原油の輸入を輸入の3割、日量150万バレルまで増やすことができるという見方が出ている。
インド政府はロシアのウクライナ侵攻後にロシア原油の購入に積極的な姿勢を示している。2022年3月、プリ石油相は国会でインドがロシアからの原油輸入を増やす可能性を検討していると明らかにした。
同月、国営Indian Oil(IOC)はトレーダーのVitolを通じ、ウラル原油300万バレルを購入したと報じられた。IOCはロシアとのターム契約により2022年にロシアから2,200万バレル(日量6万バレル)を輸入する予定であると報じられた。IOCの他、国営BPCL、HPCLやロシアRosneftが出資するNaraya Energyなどがロシア原油を輸入している模様である。またBharat Petroleum(BPCL)などインド国営石油企業数社がロシア企業と2022年下期のターム契約について交渉中と伝えられる。
2022年4月1日にはインドのジャイシャンカル外相とロシアのラブロフ外相が、ニューデリーで会談しロシアのウクライナ侵攻を巡る事情や、ロシア産原油の取引などについて協議した。同月11日に米国はインドとウェブ会議を行いロシア産原油からの多様化を促したが、特定の削減や期限を強く要求してはいない。6月28日には主要7カ国(G7)がロシアから輸入する石油価格に上限を設ける計画についてインドと中国と協議を行ったと報じられているが、この提案はロシアと中国の輸入量を抑制する方向には働かないだろう。

(出所:EIAに基づきJOGMEC作成)
1-3. 輸出抑制措置によりロシア原油の輸入は7月以降横ばい~鈍化の可能性も
インドは燃料価格高騰に対する経済への影響や国民の不満への対応に苦慮している。
連邦政府は地方選挙(2022年3月、5州)のため、2021年11月4日から2022年3月22日まで国営石油会社によるガソリン、軽油の小売価格を凍結した。価格の据え置きと新型コロナウイルス感染拡大に伴う移動制限の緩和で2022年2月にガソリンや軽油の需要は上向いたが、地方選挙終了後の3月22日にガソリンと軽油を値上げ(首都ニューデリーではガソリン10.5%、軽油11.5%値上げ)した後に、値上げ前の買いだめも影響し、4月は需要が鈍化した。
連邦政府は国民の不満や経済への影響に配慮し、4月7日以降再び国営石油企業の小売価格を据え置き、国営石油企業は国内で売れば売るほど赤字という状態が続いている。
世界の石油製品市場はコロナからの回復で需要が増加しているが、ウクライナ情勢に加え、中国政府の石油製品輸出抑制もあり需給が引き締まっており、クラック・スプレッド(原油と石油製品の価格差)が拡大している。インドの精製企業は石油製品の輸出を増加させてマージンの好転を図ろうとした。
インド石油天然ガス省(MoPNG)傘下の石油計画・分析室(PPAC)のデータによると、インドの2022年1-5月のガソリン(MS)輸出は前年同期比21%増、軽油(HSD)輸出は14%増加した(図6)。特に民間のReliance IndustriesやNaraya Energyが国内への販売を減らし、石油製品の輸出を増やし利益を得た。しかし石油製品輸出の増加により国内の販売縮小を招き、一部地方で燃料が不足した。そこでインド政府はディーゼル、ガソリン、ジェット燃料の輸出に課税する輸出抑制策を7月1日に発表した。連邦財務省発表によると、ディーゼルの輸出には1リットルあたり13ルピー(16円)、ガソリンとジェット燃料の輸出には1リットルあたり6ルピー(8円)の課税が行われる予定である。
7月以降はEUの海上輸送に対する保険への制裁や石油製品輸出抑制措置を受けて、インドのロシア原油を含む原油輸入の伸びは横ばい~鈍化する可能性がある。

(出所:インドPPACに基づきJOGMEC作成)
2. 中国のロシアからの原油輸入
中国の石油関連統計サイト百川のデータによると、中国の2021年の原油輸入量はインドの2.4倍の日量1,026万バレルである。最大の輸入相手先はサウジアラビアで日量175万バレル(原油輸入全体の17%)、次いでロシアが159万バレル(同16%)である(図7)。中国にとりロシア原油は中東依存度を抑制する上で有効であり、地理的優位性の高い供給源である。
中国はロシアから陸路(パイプライン)と海上輸送(タンカーによる輸入)による輸入を行っており、陸路のパイプラインによる供給は5割(日量約80万バレル)である。内訳は東シベリアの原油を中国東北部黒竜江省に供給するESPOパイプライン大慶支線が日量60万バレル、ロシアとカザフスタンがスワップ契約を結びロシアの原油をカザフスタンから中国向けの原油パイプライン経由で中国西部新疆に供給するものが日量20万バレルである。陸路の供給はいずれも長期契約に基づく供給である。残りの80万バレルは海上輸送で、主にコジミノ港からタンカーで出荷されるESPO原油を輸入している。

(出所:中国の石油関連統計サイト百川のデータに基づきJOGMEC作成)
2-1. ロシアからの原油輸入は5月に史上最高水準の日量198万バレルに増加
中国の2022年5月の原油輸入量は日量1,079万バレルで前年同月比12%(日量114万バレル)増加した。ロシアからの原油輸入量は前年同月比55%(日量70万バレル)増加の198万バレルと史上最高水準に達した。輸入量全体に占めるロシアの比率は前年同月の13%から18%に増加した。サウジアラビアからの輸入は同9%(14.6万バレル)増加の184万バレルと高水準にある(表4)。
輸入量増加および原油価格上昇に伴い中国の2022年5月の原油輸入額は前年同月比77%(153.6億ドル)増加の352億ドルとなった。ロシアからの輸入額は同124%(31.8億ドル)増加の57.6億ドルであった。サウジアラビアからの輸入額は同81%(28.3億ドル)増加の63億ドルとなった(表5)。

(出所:中国の石油関連統計サイト百川のデータに基づきJOGMEC作成)

(出所:中国の石油関連統計サイト百川のデータに基づきJOGMEC作成)
2022年1月から5月にかけて中国の主要国からの原油輸入はバレルあたり70ドルから110ドル前後で推移していた。ロシアからの原油輸入単価は3月までサウジアラビアと同等か上回っていたが、4月には他の主要国の原油輸入単価が15ドル前後上昇する中、ロシアの上昇は2ドルにとどまり、5月には他の主要国の価格低下が3ドル前後の中、ロシアは6ドル以上低下しており、制裁の影響が生じていることがうかがえる(図8)。2022年4月のインドにおけるロシア原油輸入単価の低下はバレルあたり10ドル程度であったが、5月の中国におけるロシア原油の輸入単価の低下は15ドル程度に拡大しており、制裁の影響がより強く反映されているとみることができる。なお、図8においてマレーシアの原油輸入単価がロシアと同様の傾向を示しているのは制裁対象のイランやベネズエラの原油を沖合でブレンド、中国の通関上マレーシアと計上していることが理由と思われる。
中国は2022年2月から4月にかけて冬季五輪による操業規制と季節の定期修繕入り、さらに移動制限(ロックダウン)により石油需要が低迷した。原油・石油製品の在庫が積み上がり、原油輸入は減少し、製油所の稼働率は低下した。国有石油企業はターム契約の原油輸入を中心に行いスポットの輸入を抑制した。ブラジル、米国など非ターム契約原油の輸入が減少した(図9)。山東省に主に位置する地方製油所(ティーポット)はブラジルなどから割安なロシア原油に乗りかえたと報じられている。

(出所:中国の石油関連統計サイト百川のデータに基づきJOGMEC作成)

(出所:中国の石油関連統計サイト百川のデータに基づきJOGMEC作成)
2-2. ロシアからの原油輸入は6月に日量200万バレルに拡大、最大日量150万バレルまで増やすことが可能という見方
データ会社KplerやVortexaの推計によると6月のロシアからの原油輸入は日量200万バレルに達した模様である。中国は中東各国とのターム契約や物流上のボトルネックや輸送リスクを考慮するとロシアからの原油輸入を日量240万バレルまで増やすことができるという見方が出ている。
2-3. 新型コロナウイルスによる移動制限や政府の地方製油所への原油輸入割当方針がロシア原油輸入の拡大を左右
中国政府はロシア原油の輸入増加についてインドほど積極的な発言はしていないが、抑制や禁止はしていない。海上輸送に対する保険への制裁について政府の指示があれば国有保険会社は対応可能という見方がある。中国の場合新型コロナウイルスの感染拡大による移動制限や政府の地方製油所に対する原油輸入割当方針がロシア原油を含む原油輸入拡大を左右する。新型コロナウイルスの感染拡大による移動制限が景気減速や輸送燃料需要の鈍化につながることや、地方製油所の原油輸入割当が上限に達し、政府が追加発給を行わなければロシア原油を含む原油輸入の伸びが横ばい~減少することになる。
3. ロシアの輸出から見た中国とインド
ロシアの原油・石油製品の貿易統計は現在確認できない。IEAは2022年6月の石油月次報告において、ロシアの原油・石油製品の輸出について示した。それによると2021年の原油・石油製品の輸出平均は日量750万バレルであり、EU向けの原油輸出が28%(日量210万バレル)、EU向けの石油製品輸出が17%(日量130万バレル)、英国・米国向けの輸出が10%(日量70万バレル)、トルコ向けの輸出が3%(日量20万バレル)、中国向けの輸出が21%(日量160万バレル)、日本を含むOECDアジアが5%(日量40万バレル)となっている(図10)。
IEAはロシアの原油・石油製品の2022年5月の輸出について、原油輸出は日量540万バレルで安定的に推移したが、石油製品の輸出は4月に比べ日量15.5万バレル減少し240万バレルと示した。
2022年5月のロシアの原油・石油製品の輸出を2021年平均(日量750万バレル)と比べると、図11の通り英国・米国が日量60万バレル、日本を含むOECDアジアが40万バレル、その他が10万バレル、合計110万バレル減らしたが、トルコが日量10万バレル、中国が40万バレル、インドが80万バレル増やしたことで相殺されていることがわかる。
また、2022年5月のロシアの原油・石油製品の輸出収入は油価の上昇に伴い2021年平均(150億ドル)と比べ50億ドル増加し200億ドルとなっている。前述の通り中国とインドは2022年5月に比べロシアからの原油輸入を物理的に増やす余地が両国を合わせ最大で日量100万バレルある。イランの原油貿易に対する制裁と同様に中国やインドの貿易企業を名指しで制裁するような措置を取らなければ中国とインドのロシアからの原油輸入を止めることは難しいと思われる。

(出所:IEA石油月次報告(2022年6月)に基づきJOGMEC作成)

(出所:IEA石油月次報告に基づきJOGMEC作成)
以上
(この報告は2022年7月11日時点のものです)