ページ番号1009411 更新日 令和4年7月15日

ウクライナ情勢とエネルギー・トランジションについて

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レポートID 1009411
作成日 2022-07-12 00:00:00 +0900
更新日 2022-07-15 12:13:36 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 環境
著者 中島 学
著者直接入力
年度 2022
Vol
No
ページ数 21
抽出データ
地域1 グローバル
国1
地域2 欧州
国2
地域3 アフリカ
国3 エジプト
地域4
国4
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地域6
国6
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地域8
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地域9
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国10
国・地域 グローバル欧州アフリカ,エジプト
2022/07/12 中島 学
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概要

  • ロシアによるウクライナ侵攻に端を発した世界規模でのエネルギー危機は現在のエネルギー・システム全体の見直しを迫る状況となっている。特に欧州においては輸入量の内天然ガスの45%、石油の27%をロシアからの供給に依存しており、エネルギー政策の見直しは喫急の課題となっていた。そのような中2022年5月18日に欧州委員会において承認された新エネルギー政策、REPowerEUはエネルギー安全保障に軸足を置いたエネルギー供給源の多様化とクリーン・エネルギーの更なる拡大を中心とする新たな欧州のエネルギーに対する考え方をまとめた指針と言えるであろう。
  • 一方パリ協定で名高い2015年の気候変動問題に関する第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)を契機とし、更に2021年に英国のグラスゴーで開催された第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)を経て、気候変動問題・脱炭素の流れは確実に政治・経済・社会に浸透し、不可逆的・加速度的にその歩を進めている。またエネルギー情勢に目を向ければ気候変動問題・脱炭素の流れが化石燃料を中心とした現代のエネルギー・システムから、より環境負荷の低いクリーン・エネルギーへの移行、即ちエネルギー・トランジションの動きが観察される。
  • これまでエネルギー・トランジションやクリーン・エネルギーへの転換は「気候変動問題に対する切り札」といった位置づけにあった。一方でウクライナ侵攻後のエネルギー危機に対する欧州委員会や欧州各国の新エネルギー政策にはクリーン・エネルギーこそが「エネルギー安全保障の柱」であり、「エネルギー供給源の多様化」の有力な手段としてうたわれている。
  • クリーン・エネルギーの中でもグリーン水素は本格導入に向け技術的・経済的に克服すべき課題があり、これまで実証試験レベルの段階にあったが、ここ1年の間に多くの事業化の計画が前に進んでいる。特に欧州と関係性の深いアフリカ諸国では多数の欧州企業がグリーン水素事業化に向けたアプローチを行っている。またアフリカ諸国においても石油・天然ガスの価格上昇は社会・経済にとって大きなマイナス要因であり、政権安定の面からも看過できない。グリーン水素をこれからの自国のエネルギーと位置づけるとともに将来の重要な輸出資源として捉え、国家戦力として「水素戦略」を定め、推進する動きにある。

 

1. はじめに

学術的に地球の気温上昇が指摘されるようになったのは1970年代まで遡り、1972年にはスウェーデンのストックホルムで開催された初めての環境に関する国際会議、「国連人間環境会議」において環境保全・自然と社会との共存が「人間環境宣言」[1]としてうたわれた。1988年には国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)が共同で国連気候変動に関する政府間組織「国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」を立ち上げ、気候変動に関する学術的研究が大きく進歩するとともに、1992年にブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催された環境と開発に関する国際会議(地球サミット)では気候変動問題を大きく取り上げ、気候変動枠組条約(UNFCCC)[2]を採択するとともに、気候変動枠組条約締約国会議(COP)の年一回の開催を規定した。このように気候変動問題に関する科学的・政治的アプローチは長い歴史を持つが、気候変動問題が多くの国々にリスクとして認識され社会的にも広く認知されたのは、2013年に公表された「国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」による第5次評価報告書やその報告書に大きく影響を受けた2015年の気候変動問題に関する第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21、以下COP21と表記)がきっかけである。パリ協定で名高いCOP21の第2条には「世界の平均気温上昇が産業革命以前と比較し2℃を遥かに下回るように保ち、1.5℃に抑える努力をする」との条文があり、締約国である197の国と機関がこの協定書に合意した。また同協定書には5年ごとに国の温室効果ガス排出量の削減目標(NDC、国が決定する貢献)を更新し定めることとなっており、この削減目標が各国の気候変動・脱炭素政策のよりどころとなっている。

他方金融セクターには異なる経路から気候変動問題に対する関心が集まるようになった。1999年の世界経済フォーラムにおいて国連から提唱されたグローバル・コンパクト(企業に対し、人権・環境・腐敗防止等10の原則を順守し、実践するよう要請)[3]やそのグローバル・コンパクト、国連環境計画および金融イニシアティブが共同で打ち出した投資に対する原則、責任投資原則(PRI、以下PRIと表記)[4]の系譜である。2006年に定められたPRIは投資に際し企業の分析や評価を行う上で、長期的な視点やESG(環境、社会、企業統治、以下ESGと表記)情報を考慮した投資行動を求めるものであり、2008年に発生した世界規模の金融危機、所謂「リーマンショック」において大きくその存在がクローズアップされた。また特に巨額の資金を運用・管理する機関投資家に対してはその経済や社会に対する影響度が高いことから、2010年英国でスチュワードシップ・コード(機関投資家の行動規範を定めたガイドライン)[5]が定められ、日本でも「日本版スチュワードシップ・コード」[6]が2014年に金融庁から公表されている。

それらの行動規範や投資原則は「事業を計画し推進するのは企業側であるが、その事業に投資する金融側にも責任がある」と金融セクターの責任を明確にした。また金融側にはエンゲージメント(「建設的な対話」を通じて企業の価値向上や持続的成長を促す)やインパクト投資(従来の経済的なリターンに加え、投資を通じて社会的課題の解決を目指す投資)といった企業に対する直接的・間接的な働きかけが生まれ、企業価値を従来の財務諸表の分析といった財務情報による評価だけではない、環境・気候変動関連といった非財務情報(ESG情報のように中長期的に経営に影響を与える情報)によっても評価する流れが出来上がった。更に非財務情報の開示については国際会計基準(IFRS)の策定・管理を担う英国のIFRS財団の下部組織として2021年に国際サスティナビリティ基準審議会(ISSB)[7]が発足した。企業が非財務情報開示を行う際の統一された国際基準策定に向け活動を行っており、2022年3月に草案が公表され、7月にはフランクフルトで第一回会合が開かれる。米国で非財務情報基準を作ってきたサスティナビリティ会計基準審議会(SASB)もISSBと一体的に活動している。欧州委員会(EU)は21年3月から金融機関にESG関連の情報開示を義務付けるサスティナブル・ファイナンス開示規則(SFDR)を適用、運用会社は会社全体と金融商品のそれぞれでESGの要素をどう取り入れているかを開示する必要がある。米証券取引委員会(SEC)は2022年3月に企業や金融機関に対し温室効果ガス排出量、気候関連リスクとそのリスク管理法を求める気候関連開示規則案を公表し、2022年5月にはESGに対する情報開示で統一基準を導入するための規制案を提案した。また2021年4月に結成された温室効果ガス排出実質ゼロ(カーボン・ニュートラル、以下カーボン・ニュートラルと表記)を目指す金融機関の有志連合「グラスゴー金融同盟(GFANZ)[8]」(金融機関による炭素集約型資産の段階的圧縮を支援するため、21年に設立。450の金融機関が参加し、管理・運用する総資産は130兆ドルを超える)は2022年6月15日、金融機関に対しカーボン・ニュートラル達成に向けた指針案を発表、指針案では資産に対して温室効果ガスの排出基準値を設定し、石炭や石油、天然ガスを中心に炭素削減の目標を置くよう求めた。

またこのような金融セクター側の動きに呼応し、企業の側もCSR(企業の社会的責任、Corporate Social Responsibilityの略)報告書、サスティナビリティ・レポート、統合報告書といった形で外部に対して環境・気候変動関連の情報を含む非財務情報を開示し、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD[9]、組織のガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標の枠組みに基づき企業の気候変動関連情報を開示する仕組み)の開示方法に則った気候変動関連の情報を外部開示するなど積極的な動きを見せている。特に日本では東京証券取引所の区分見直しにより2022年4月より開設されたプライム市場において企業による気候変動関連情報の開示が求められ、TCFDに基づく情報開示が半ば標準化している。ESG関連ファンドの運用資産額は毎年著しい増加を示しており、企業にとって非財務情報の開示とその評価は企業経営に大きく直結する状況となっている。

気候変動問題に関する金融セクター側の影響はESGの枠組みや投資責任といった点だけに留まらない。2013年、英国のNGOであるカーボン・トラッカー・イニシアティブ(Carbon Tracker Initiative)が自身の報告書「アンバーナブル・カーボン(Unburnable Carbon)[10]」の中で仮に「世界の平均気温上昇が産業革命以前と比較し2℃以下に抑えられるのであれば、化石燃料の可採埋蔵量の1/3は回収できない」とする説を公表した。化石燃料自体だけでなく、それを原料とする火力発電所やLNGプラントといった設備も投資資金回収のできない不良資産、所謂座礁資産(stranded assets)となり、化石燃料に関連する事業には潜在的な「座礁資産化リスク」が包含されているという考え方である。

世界銀行は2017年12月に全ての石油・天然ガス開発に関する投融資を2019年に停止すると公表し、当時世界中に大きな衝撃を与えた。日本のメガバンク3行も一般炭の新規採掘への投資を中止するとしている(みずほファイナンシャルグループは2021年、三井住友ファイナンシャルグループと三菱UFJファイナンシャルグループは2022年4月公表)。

またインシュアランス・バナナ・スキン2021(Insurance Banana Skin 2021、出所:PwC)によると気候変動問題は第4位にランキングされ、損害保険・再保険にとって気候変動は差し迫ったリスクとして捉えられている。フランスのアクサ(AXA)保険の元会長Henri de Castriesは2015年、「世界の平均気温上昇が2℃に収まるならともかく、4℃になったらとても保険という事業は成立し得ない(a 4deg. world would not be)」(出所:Forbes)と発言したように、気候変動によってもたらされる暴風雨、洪水、山火事、農地の乾燥、高潮といった自然災害の激甚化・頻度の増加は損害保険・再保険業者に多大な負担を強い、保険料の高騰を招く。損害保険・再保険業に対する圧迫はそれらの事業者のみならず、金融システム全体にも大きな負の影響を及ぼすこととなる。

社会に目を向けると近年社会にサスティナビリティ(社会・経済・自然環境の持続可能な発展)やエシカル(倫理的・道徳的)といった概念が根付き始め、それらの考え方に基づいたインパクト投資やエシカル消費といった投資・消費行動様式が生まれ、年々その勢いを増している。社会全体がこれまでの大量生産・大量消費型のモデルから、循環型社会への移行を求め始めている。年金機構といった機関投資家は社会の「空気感」を代表する立場にあるため、投資先である企業の活動がESGや国連の持続可能な開発目標(SDGs)から逸脱するようなことがないか注意を払っている。また米国の主要企業で構成される財界ロビー団体である「ビジネス・ラウンドテーブル」は2019年8月にこれまでの「株主資本主義」から決別し、「ステークホルダー(消費者、従業員、株主、仕入先、得意先、地域社会、行政機関などの利害関係者)」重視の方針を宣言し、ますます企業にとって社会の持つ時代の「空気感」を察知し、経営に反映させることの重要性が高まっている。

市場にも電気自動車(EV)や再生可能エネルギーといった新たな商品が現れ、販売を拡大している。企業にとってもこれまで通りの商品やサービスのラインナップで市場のニーズに応えることが困難となり、環境負荷の高い、高炭素事業を維持することが企業のレピュテーション・リスクに直結する状況も生まれている。まさに気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)で規定される事業リスクと機会の特定のように、事業環境の大きな変化の中、生き残りをかけて事業リスク緩和・回避に努める企業や、逆に社会や市場の変化を事業機会と捉え、新たな商品やビジネスモデルの提供を行っている企業も出てきている。

一方国際政治や各国の政策にはこれまで気候変動対策の意識や関わり合いについてエリアや国ごとに大きな隔たりがあった。欧州や一部の国では高い脱炭素に向けた目標が掲げられ、具体的な計画や行動も進んでいた一方、多くの国では不十分な目標しか掲げられておらず、現行の削減目標(NDC、国が決定する貢献)を実行した場合、今世紀末の気温の上昇は2℃を遥かに超える結果となることが危惧された(出所:IEA World Energy Outlook 2017、現行政策シナリオ(CPS)並びに新政策シナリオ(NPS))。また国際政治の舞台でも、国内政治の場でも分断化が進み、国同士の協力やパリ協定・国連の下の団結といった協調枠組みを構築することが甚だ困難となった。しかしそのような状況の中2021年11月に英国のグラスゴー(Glasgow)で開催された第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)では多くの締約国が2030年の温室効果ガス排出量の削減目標(NDC、国が決定する貢献)に対し野心的な値を定め、国の排出する温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする、カーボン・ニュートラルを国の目標とすることを宣言した。その後の追加国も含め結局2021年時点でカーボン・ニュートラルを宣言した国は150か国以上を数え、これらの国の温室効果ガス排出量の合計は全世界の88%を占める。2021年はこれまで他のセクターの後塵を拝していた国際政治が気候変動問題に対して大きな存在感を発揮した年であったと言える。

図1は政治・金融・社会・市場そして企業が気候変動に関してどのように対応し、お互いどう関わっているかを俯瞰的に模式化したものである。このように気候変動に関わる動きは多くのセクターを複雑に巻き込み、多面的・重層的に展開されている。

(図1)気候変動問題に伴う現在の状況:政策・社会・市場・金融・企業の関係
(図1)気候変動問題に伴う現在の状況:政策・社会・市場・金融・企業の関係
(出所:各種情報に基づきJOGMEC作成)

2. エネルギー・トランジションの現状

政治・金融・社会を大きく巻き込みながら世界規模で進展する脱炭素の流れは、現行の化石燃料を中心とするエネルギー・システムにも大きな変更を求め、エネルギーの転換が徐々に進行している(エネルギー・トランジション)。エネルギー・トランジションの流れは今後部分的・短期的な「揺り戻し・見直し」といった調整局面を経ることはあっても、大局的には不可逆的・加速度的に進展していく、というのが大方の見方ではないだろうか。

今後エネルギー・トランジションが進展していく上でポイントとなるものが(1)大量の資金供給と(2)技術革新である。ムーンショットと呼ばれるようなエネルギーや脱炭素に関わる革新的技術開発、一定の規模を持つ再生可能エネルギーやクリーン・エネルギー事業開発、系統線等インフラの拡充・拡大は数千億円から数兆円の建設・開発資金を要する。2022年5月に欧州委員会で承認された新たな欧州のエネルギー政策であるREPowerEU[11](以下、REPowerEUと表記)では2027年までに官民で2100億ユーロ(約30兆円)、日本のクリーン・エネルギー戦略では炭素社会と経済成長(「グリーントランスフォーメーション(GX)」)の実現に向け今後10年間に官民で150兆円超の投資が必要とする。エネルギー・トランジションにおいては単にクリーン・エネルギーに対する投資だけではなく、その事業実現性を支えるインフラや輸送システム、部品や人材の供給、市場や需要家といったサプライチェーン全体の整備が欠かせない。そういった事業基盤の整備やサプライチェーンの構築といった初期段階において「呼び水」としての国の支援は重要な意味を持つ。財政的に脆弱な国が多い発展途上国においては事業を軌道に乗せ、民間投資を呼び込むための十分な基盤づくりが困難である。2022年11月エジプトで開催される第27回気候変動枠組条約締約国会議(COP27、以下COP27と表記)の前哨戦として2022年5月にドイツのボンで国連の公式交渉が開催され、気候変動に伴う「損失と損害」を修復し、回避するための(先進国側から発展途上国側への)基金について多くの時間が割かれたが、議論はCOP27へと持ち越しになった。如何に発展途上国に対し技術や資金の支援を行い、気候変動対策を一部の国々で終わらせるのではなく、地球規模に拡大していくのか、そのための枠組みと具体的な計画の策定が求められる。

多くのクリーン・エネルギーは未だ価格と規模の拡大において発展途上にあり、中には商業段階のレベルに達していないものもある。一部には太陽光・風力発電のように一定の市場競争力を得たものもあるが、化石燃料のように「いつ、どのような場所においても安価で安定的に大量供給が可能」といった主要エネルギーとなるための条件を満たせる状態にはない。燃焼しても温室効果ガスを排出しない水素には次世代エネルギーとしての期待が込められているが、エネルギー効率や運搬・貯蔵の面で更なる技術の発展が求められ、同じ熱量換算で比べた時のコストも天然ガスと大きな開きがある。ただし2022年4月に公表された「国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」による第6次評価報告書第3作業部会報告では産業革命以来の気温上昇を1.5℃以内に抑えるためには、化石燃料使用のピークを遅くとも2025年とし、その後減少させていく必要があるとする。技術革新を待つのではなく、今できること、今取り組めることを優先的に行わなければ時間遅れになると説く。

 

3. ウクライナ情勢とエネルギー・トランジション

ウクライナ情勢とそれに伴うエネルギー危機は世界情勢に大きな変化をもたらしているが、エネルギー・トランジションの動勢についてはどうであろうか。2021年の全輸入量に占める割合が石油で27%、天然ガスで45%というように、これまでロシアのエネルギー供給体制に過度に依存し、今回一番大きな影響を受けている欧州を中心にウクライナ情勢がエネルギー・トランジションに及ぼす影響について見ていくこととする。

ウクライナ情勢に伴うエネルギー危機において真っ先に重要視された点はエネルギー安全保障である。REPowerEUはこれまでのエネルギー基本方針の大幅な見直しを図り、特にエネルギー安全保障に軸足を置いている。エネルギー安全保障の解決に向けたアプローチには2つの柱があり、一つは「調達先の多様化」、もう一方は「自給体制の確立」である。エネルギーに限らず90年代以降のグローバル化の流れ、更には2001年の中国のWTO参加を起点とした2000年代以降の高度なサプライチェーンの構築は、経済合理性の名の下に製造・生産拠点の一極集中を招いた。近年の新型コロナ感染症や自然災害等によるサプライチェーンの寸断や供給の途絶による経済のマヒはまさしくこの一極集中による「脆弱性」に起因する。経済合理性を尊重するあまり中国や一部のエリアに製造拠点が集中したように、欧州のエネルギー調達先はロシアに集中した。一方で「調達先の多様化」にはより大きなコスト負担が強いられる。しかしこれを「リスク・ヘッジ」(リスクの転嫁)に掛かるコストと捉え、リスク低減のため積極的に進めていこうとするのが欧州の新たなエネルギーに対する姿勢である。

もう一点は「自給体制の確立」である。欧州各国において既存の石炭火力の廃止時期の延期や休止発電所の運転再開が議論されている(2022年6月、ドイツは石炭火力の稼働を増やす緊急措置を決定)。またノルウェー、英国、オランダ、デンマークのように石油・天然ガス資源に恵まれた国は自国資源の開発や生産の延長に向け準備を進めている。更にフランスやイギリスは原子力発電の推進もエネルギー政策に付け加えている(表1、欧州各国の新たなエネルギー基本方針)。ただし一方で脱炭素化の流れから石油やガスの開発には前述した「座礁資産化リスク」(参照:「Unburnable Carbon10」)という大きな課題が付きまとい、投資に対する足かせとなっている。同様に火力発電やLNG基地といった設備も座礁資産化の対象となる。現在米国のLNGプラントでは次々にCCS化(生産過程で発生するCO2を分離・回収し、地下等に貯留)が図られているが(例、Calcasieu Pass、Plaquemines、CP2、Freeport、G2 Net-zero、Rio Grande)、座礁資産化を遅れさせるための動きとも捉えられる。この「座礁資産化リスク」が金融セクターの石油・天然ガス開発への積極的な投資を鈍らせていると言える。

(表1)欧州各国の新たなエネルギー基本方針
(表1)欧州各国の新たなエネルギー基本方針
(出所:各国HPを基にJOGMEC作成)

ウクライナ情勢は同時に石油や天然ガスの価格にも大きな影響を与えている。特にロシアから欧州へのパイプライン・ガスの代替にはLNGというように手段が限られるため、世界規模でのLNGスポット価格の高騰を招いている。燃料価格の高騰はそれだけでも需要の減少を招くが、高エネルギーコストの負担が現在の世界経済を更に冷え込ませ、燃料消費の一層の減退をもたらす。一方で更なるロシア産化石燃料の禁輸措置や輸出停止、資源獲得競争の激化は価格高騰に直結するため、今後の市場動向は予想しづらい。

エネルギー危機はエネルギー安全保障を再びエネルギー政策の中心テーマに据えたが、ここで新しい流れとして生まれて来たのがクリーン・エネルギーと呼ばれる再生可能エネルギーや低炭素水素を単に脱炭素の手段としてだけではなく、エネルギー安全保障の切り札として位置づける考え方である。まさしくエネルギー安全保障を構成する、「調達先の多様化」や「自給体制の確立」はクリーン・エネルギーの真骨頂とも言える。クリーン・エネルギーを推進・拡大することで脱炭素と同時にエネルギー安全保障の問題も解決していく、という考え方である。また新型コロナ感染症回復局面で上昇した化石燃料の調達コストはエネルギー危機によりさらに上昇、あるいは高値で推移する状況が続いており、クリーン・エネルギーの相対的な価格競争力は上がってきている。

本稿の後半では石油・天然ガス開発、需要そしてクリーン・エネルギーの動向を整理し、エネルギー・トランジションの現状と今後の展開について観察していくこととする。

 

4. 石油・天然ガス開発

Exxon、Chevron、BP、Shell、TotalEnergies、Equinor、Conoco、Eniといった大手IOC企業の2006年から2021年までの15年間の石油・天然ガス開発への投資額を見ると2014年、15年の油価の下落で大きく投資額を減らして以降、2016年からも徐々に下降傾向にあることが見て取れる(図2、大手IOC企業による石油・天然ガス開発事業に対する投資実績)。2016年以降はどのIOC企業も財務規律や株主還元に力を注いできた。ビッグ5と呼ばれるExxon、Chevron、BP、Shell、TotalEnergiesの5社の営業キャッシュフローの7~8割は自社株買い・配当といった株主還元や借入金返済に充てられている。また欧州系の開発企業では投資の多くをクリーン・エネルギーや低炭素関連事業に費やしている。BPは2030年までに40%の石油・天然ガス生産を削減する一方、クリーン・エネルギーや低炭素関連事業の投資比率を2025年までに40%、2030年までには50%に拡大する。TotalEnergiesは再生可能エネルギー由来の発電設備容量を2021年に10GW、2025年に35GW、2030年に100GW(グロス)に拡大する(出所:各社PR)。

図3は全世界と北米における石油・天然ガス開発への事業投資の2013年から現在までの推移と2022年以降2030年までの見通しをグラフで表したものであるが、やはり2014年をピークに全世界・北米ともに急激にその額を減らしている。新型コロナ感染症の回復局面で2024年までは上昇傾向をたどるが、2020年までの過去10年間の平均事業投資額である5500億ドルには到達できず、北米では投資額が一定で推移するものの、全世界では2025年以降下降局面に入ると予想されている。

(図2)大手IOC企業による石油・天然ガス開発事業に対する投資実績
(図2)大手IOC企業による石油・天然ガス開発事業に対する投資実績(2006年~2021年、単位:10億ドル)
(出所:Lambert Energy Advisory Analysis)
(図3)石油・天然ガス開発事業に対する投資実績と予測
(図3)石油・天然ガス開発事業に対する投資実績と予測(2013年~2030年、単位:10億ドル)
(出所:Energy Intelligence)

今後漸減すると予想されるロシア産石油の代替供給先として短時間でかつ大規模な増産が期待できる地域は多くはない。代表的な候補は中東の一部の産油国と米国の非在来型石油資源(シェール・オイルがその中心、以降シェール・オイルと表記)であろう。一方で中東のケースではOPECの総会における生産量の機関決定(例、2022年6月、OPEC、7月及び8月の生産量については日量43.2万bblsから64.8万bblsへの引き上げを決定)があり、更に参加国の割当て量(quota)もあるため、市場の要求に臨機応変に応えることは難しい。従ってここでは米国産シェール・オイルの生産量増加の可能性について見ていくこととする。

図4は2009年から現在までの世界の石油需給に対する米国産シェール・オイルの生産量を示しているが、新型コロナ渦の時期を除けば世界の石油の生産量がほぼ一定であるのに対し、米国がシェール・オイルの生産量を伸ばし、世界の石油需要量増加に応じているというのが現在の石油供給体制の構図と読み取れる。ただし2012年頃から現在に至るまで米国のシェール・オイルは順調に生産量を伸ばしてきているが、2014年頃まで見られていたような投資ブームに伴う爆発的な伸びは見られない。むしろ近年の油価低迷局面では更なる投資拡大よりも堅実に投資のリターンを求める動きが主であったと考える。一方で新型コロナ感染症回復局面やウクライナ危機に伴う油価の高騰は再びシェール・オイル事業に対する関心を喚起させている。そのような状況下、これまでにはなかった事業の評価を大きく左右する2つの要素が表面化してきたため、ここで紹介する。

一点目は資金調達に関して、である。前述したように化石燃料への投資は「座礁資産化リスク」を包含する。2021年に英国のグラスゴーで開催された第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)で多くの国が野心的な温室効果ガス排出量の削減目標(NDC、国が決定する貢献)を定めた2030年まで残すところ10年を切った。一方で石油・天然ガス開発の投資回収には15年、20年といった長いスパンが必要であり、回収が間に合わなくなるのでは、といった懸念を招く。また金融セクターには前述したように金融機関の有志連合「グラスゴー金融同盟(GFANZ)」、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI、2021年9月時点で432機関が参加)主導のもと立ち上げられた「ネット・ゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」や「ネット・ゼロ・アセット・オーナー・アライアンス(NZBA)」といったイニシアティブや団体がある。「ネット・ゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」では自らの温室効果ガス排出量を2030年に実質ゼロにすることに加え、2050年までに投融資ポートフォリオ全体でも温室効果ガス排出量の実質ゼロ実現をコミットしている。このような状況の中金融機関の化石燃料事業への投融資に対する自由度はますます狭まっている。米国シェール・オイル産業にはプライベート・エクイティー・ファンド(private equity fund、PE)が実質のオーナーとなり、非上場のポジションをとっている企業もあるため、それらの企業では投資に関する自由度も高いものと考えられる。しかしながらある程度の割合で資金調達に支障が出るケースが生じることは否定できない。

(図4)世界の石油需給に対する米国産非在来型資源の生産量
(図4)世界の石油需給に対する米国産非在来型資源の生産量(2009~2022年、単位:100万バーレル/日)
(出所:Lambert Energy Advisory Analysis)

もう一つの要素はシェール・オイル開発コストの大幅な増大である。シェール・オイル開発に使用される燃料、セメント、油井用鋼管、仕上げ用機器、泥水添加剤といった資機材の価格や掘削リグやポンピングといった作業に掛かるサービス料が2022年では2021年と比較して大幅に上昇している(図5、米国上流開発に関連する資機材・サービス費用の2021年と2022年の比較)。石油・天然ガス開発業界は過去にも度々開発コストの上昇は経験しているが、それらは油・ガス価高騰に伴う開発作業の増加によるものであり、油・ガス価上昇→石油・天然ガス開発事業の増加→石油・天然ガス開発作業に使用される資機材・サービス料の値上がりというサイクルをたどるため、予想や対応も比較的容易であった。今回はセメント、鋼管類や運送費といった一般市場とリンクしているコモディティーやサービスを含む全ての資機材・サービスにおいて価格が上昇しており、このような状況はこれまで経験したことのない現象と言える。これらの値上がりは新型コロナの回復局面による人件費の増大やサプライチェーンの分断に起因するものが多く、油・ガス価高騰とは必ずしもリンクしていない。過去のように油・ガス価高騰と相関性のある値上がりであれば、上昇した油・ガス価によってコストは吸収できるが、今回の値上がりが油・ガス価の上昇とリンクしていない場合、今後油・ガス価が下降局面に入った状況でも資機材価格・サービス料の値下がりはあまり期待できない。コストの上昇によりシェール・オイルのマージンが縮小した場合2015年以降のトレンドとなっている、投資家が投資リターンの確保や株主還元を優先させ、再投資が冷え込む可能性も捨てきれない。シェール事業にとってコストの圧縮は生命線であり、コスト削減によって収益を改善させ、事業として成立できるようになったという歴史を持つ。シェール事業にとってコストの増大は今後の事業展開を占う上で大きなリスク要因となる。

(図5)米国上流開発に関連する資機材・サービス費用の2021年と2022年の比較(%)
(図5)米国上流開発に関連する資機材・サービス費用の2021年と2022年の比較(%)
(出所:Wood Mackenzie)

5. 原油・天然ガス需要

図6と図7は2021年に作成された原油・天然ガス需要の将来見通しと2022年ウクライナ危機を受けた将来見通し(更新)を比較したグラフである。図6が原油、図7が天然ガスにおける比較である。原油のグラフでは需要が短期的に上昇する予想となっているが、これは新型コロナ感染症回復局面での石油製品の消費拡大が主な要因と想像される。一方で原油、天然ガスともにウクライナ危機による影響を織り込んだ2022年見通しでは、2021年見通しに比べて中長期的には需要の一層の減退が予想されており、ウクライナ危機を経て化石燃料離れがより鮮明になることを想定している。ただし今後の需要や価格の推移については不透明な部分が多い。現在の高油・ガス価は多くの消費者にとって多大な負担となり、買い控えや省エネの推進につながる。また中国での新型コロナ対策による経済停滞やインフレ対策としての各国の政策金利の引き上げ、新型コロナ回復局面における人手不足や物流の停滞といった要因によって景気の低迷が深刻化すると、当然原油・天然ガス需要にも影響が及び、価格の低下を招く。一方でロシア産化石燃料の禁輸やロシア側からの輸出停止(4月のポーランド、ブルガリアへの送ガス停止、6月のドイツ、イタリアへの送ガス量削減)に伴うエネルギー資源の不足からエネルギー、特にLNGの獲得競争が激化すれば、エネルギー全体の価格にも大きく影響する。このように原油・天然ガス需要や価格についてはエネルギー安全保障の問題やマクロ経済といった市場のファンダメンタルズの影響を強く受けながら、今後も暫くは先行き不透明な状況が続く。

(図6)世界の原油需要見通し:2021年見通しと2022年見通し(ウクライナ危機後)の比較
(図6)世界の原油需要見通し:2021年見通しと2022年見通し(ウクライナ危機後)の比較
(2010~2050年、単位:100万バーレル/日)
(出所:S&P Global Commodity Insight)
(図7)世界の天然ガス需要見通し:2021年見通しと2022年見通し(ウクライナ危機後)の比較
(図7)世界の天然ガス需要見通し:2021年見通しと2022年見通し(ウクライナ危機後)の比較
(2022~2050年、単位:bcm)
(出所:Wood Mackenzie)

6. 欧州におけるエネルギー動向

これまで見てきたように欧州における脱ロシア産石油・天然ガスの動きは欧州に深刻なエネルギー危機をもたらし、エネルギー政策の大幅な見直しが進展している。その中で脱炭素の目的だけでなく、エネルギー安全保障の見地からもクリーン・エネルギーの存在は大きくクローズアップされ、中・長期的にはクリーン・エネルギーの普及の加速化と脱炭素の更なる進展が見込まれている(前出表1、欧州各国の新たなエネルギー基本方針)。

前述した欧州の新エネルギー政策であるREPowerEUは「クリーン・エネルギーの普及、省エネの強化、エネルギー供給の多様化、環境投資の拡大の4つの柱に2027年までに官民で2100億ユーロ(約30兆円)を投じ、ロシア産エネルギーからの脱却と温室効果ガス排出量削減の目標達成を図る」とし、今後クリーン・エネルギーの普及、省エネの強化によってエネルギー危機を回避する方針を明確にしている。またその中で特に関心を引くのは「30年までにグリーン水素を域内生産で年1000万トン、輸入で1000万トン調達する(従来は域内で560万トン)」という点である(参考:第6次エネルギー基本計画の中で日本の水素の調達量は2030年に最大年300万トン)。また現在世界中で同時多発的に多くの低炭素水素、特にグリーン水素事業が立ち上がっている。これまで実証試験レベルで本格的な商業生産までには時間を要すると思われていたグリーン水素技術が魔の川(研究と開発ステージ間の障壁)どころか死の谷(開発と事業化ステージ間の障壁)もあっさり飛び超え、一気に産業化を伺うようなところまで来た、といっても過言ではない。新型コロナ回復局面におけるエネルギー価格の高騰がグリーン水素と石油・天然ガスとの価格の距離をつめ、更にウクライナ情勢によるエネルギー安全保障のリスクが企業の背中を大きく推した、ということではないだろうか。ここから本稿ではグリーン水素に注目し、その現状と位置づけについて見ていくこととする。

 

7. グリーン水素の現状

水素にはその原料や生産工程によって9つのカラーコードがあるとされているが、一般的にはグレー、ブルー、グリーン水素であり、グレー水素は化石燃料(一般に天然ガス)を蒸気メタン改質等で水素と(一酸化炭素を経由した)二酸化炭素に分解し、そのまま水素を分離して回収したもので、更に二酸化炭素を大気放散ではなく、分離・回収し、地下等に貯留(CCS化)するプロセスを加えたものがブルー水素と定義される。グリーン水素は再生可能エネルギー由来の電気を使って水を電気分解し、水素と酸素に分離した後回収された水素のことである。一般的に価格はグレー、ブルー、グリーン水素の順に大きくなり、グレー・ブルー水素とグリーン水素との比較では地域によって大きな違いはあるものの、通常でグリーン水素はグレー・ブルー水素の2から3倍、場合によっては5倍程度の価格の開きがある。

図8は米国テキサス州におけるグレー、ブルー、グリーン水素のケーススタディーであるが、1キログラム当たりの価格はグレー、ブルー、グリーン水素の順に1.2ドル、1.5ドル、4.1ドルとなり、グリーン水素の価格はグレー、ブルー水素の価格と比べて3倍前後の差があることが見て取れる。一方で図9は欧州における2022年2月8日から3月6日までのグレー、ブルー、グリーン水素の価格推移をグラフで表したものであるが、既に2月8日の時点でグレー、ブルー水素の価格はグリーン水素価格を大きく逆転し、更に2月24日のロシアのウクライナ侵攻を挟んでその差はますます拡大している。多くの場合グレー・ブルー水素の原材料は天然ガスであり、天然ガス価格はそのままグレー・ブルー水素の価格に反映される。現在のグレー・ブルー水素の著しい価格上昇は欧州の天然ガス価格高騰に大きく影響されたためである。一方で再生可能エネルギーをフィードストックとするグリーン水素は石油・天然ガス価格から直接的な影響は受けないため、その意味からも今回のようなエネルギー危機に対する耐性(レジリエンス)があるといえる。

(図8)米国テキサス州におけるケーススタディー:グレー・ブルー・グリーン水素の生産コスト比較(単位:米ドル/kg)
(図8)米国テキサス州におけるケーススタディー:
グレー・ブルー・グリーン水素の生産コスト比較(単位:米ドル/kg)
(出所:S&P Global Commodity Insight)
(図9)欧州におけるグレー・ブルー・グリーン水素の価格比較
(図9)欧州におけるグレー・ブルー・グリーン水素の価格比較
(2022年2月8日~3月6日、単位:米ドル/kg)
(出所:Rystad Energy)

図10は再生可能エネルギーの電力価格見通しを示したグラフであるが、今後も再生可能エネルギーの価格は低下する。また図11は米国テキサス州におけるケーススタディーの例でグリーン水素の今後の価格見通しを示している。グリーン水素のコストを構成する最大要因は再生可能エネルギーの電力価格(グラフの灰色の部分)であるが、2015-5MWケースから2020-20MWケースで47.6%、更に2020-20MWケースから2025-100MWケースの間に48.1%のコスト削減が想定されている(米国テキサス州における電力供給は陸上風力をベース)。

グリーン水素のコスト構成要素の2番目である水電気分解装置のコストであるが、水電気分解装置のコストを決定づける大きな要因は水電気分解装置の処理能力と「規模の経済(EoS、エコノミー・オブ・スケール:規模が拡大することによって単位当たりのコストが圧縮できるとする考え方)」である。水電気分解装置の調達コストは2015-5MWケースから2020-20MWケースで25.1%、更に2020-20MWケースから2025-100MWケースの間に16.6%のコスト削減が想定されている。国際エネルギー再生機関(IRENA)の報告書、「IRENA Green Hydrogen Cost 2020」[12]によれば、水電気分解装置の処理能力を1MWから20MWに拡大するとプラント・コストが1/3になる。また固体高分子膜(Polymer Electrolyte MembraneあるいはPEM) 電解装置の場合、1MW規模で年間1000基の製造が可能になれば、5割のコスト削減が可能であるとしている。いずれ再生可能エネルギーの電力価格低下、水電気分解装置の処理能力の向上、全体設計の改良や設備の最適化、規格大量生産方式により今後大きな価格低減が期待されている。

(図10)再生可能エネルギーのコスト実績・見通し
(図10)再生可能エネルギーのコスト実績・見通し(2015年~2050年、単位:米ドル/MWh)
(出所:S&P Global Commodity Insight)
(図11)米国テキサス州におけるケーススタディー:グリーン水素のコスト実績・見通し
(図11)米国テキサス州におけるケーススタディー:グリーン水素のコスト実績・見通し
(2015年:5MW、2020年:20MW、2025年:100MW、単位:米ドル/kg)
(出所:S&P Global Commodity Insight)

図12は2022年第一四半期までの公表済み低炭素水素(グリーン+ブルー水素)事業における生産能力の合計を表したグラフである。棒グラフは各期に公表された事業の生産能力の合計、折れ線グラフはこれまでの累積生産能力を示している。期ごとの生産能力、累積生産能力いずれもが2021年に入って大きく伸長していることが見て取れる。また2022年第一四半期に限って言えば、低炭素水素の内95%がグリーン水素で占められていることも特徴的である。図12の図中にある円グラフは、左がこれまでの累積生産能力を国ごとに示したもので、右が2022年第一四半期に限定した生産能力の国別の割合を示す。右の円グラフでは1位の米国がほぼ半分を占める。左の過去実績の円グラフでは米国の割合が12%程度であったことから、米国内で急激に、しかも大型のグリーン水素事業が立ち上がってきたことが伺える。また右の円グラフでは二位と三位にスペインとポルトガルがランクインしているが、これはスペイン、ポルトガルは欧州でも再生可能エネルギー価格が低い地域となっており、グリーン水素の競争力が高いことが事業化につながっていると考えられる。またエジプトが4位に入っているが、エジプトに関しては他所には見られないユニークな特徴を有しており、後段で詳しく見ていくこととする。

ここで注意しなくてはならないことはこのグラフの範囲が2022年第一四半期までであり、ウクライナ危機後の状況の変化はこのグラフに織り込まれていないということである。しかしそれでも尚これらのグラフから読み取れる点はここ1年足らずの間に一気に低炭素水素事業に対する取り組みが増えたこと、更に多くが大規模事業であり、様々な大陸、国、エリアに拡大していっている様子が伺える。またこのことは即ち多くの国々が自国のエネルギー需要を満たすため、あるいは輸出を念頭に積極的にエネルギー国の仲間入りを果たそうとしている姿にも映る。次の章では各国が取り入れている水素戦力やユニークな特徴を紹介し、今後のエネルギー・マップがどう形作られていくのか見ていきたいと考える。

(図12)公表済み低炭素水素(グリーンおよびブルー水素)事業
(図12)公表済み低炭素水素(グリーンおよびブルー水素)事業
(~2022年第1四半期、単位:100万トン/年)
(出所:Wood Mackenzie社データに基づきJOGMEC作成)

8. 各国の水素戦略と特徴

多くの国が低炭素水素をレバレッジとしたエネルギー戦略を構築し、自国の「強みや特徴」を最大限生かしたエネルギー基本計画の立案を行っている。またこのことは石油・天然ガスの偏在によって独占されてきた、あるいは政治的に利用されてきたエネルギー資源が、少なくとも今よりは遥かに多様化し、政治的な要素に縛られない、「地政学リスクからの解放」に向かうことを期待させる。再生可能エネルギー自体は地球上のほとんどのエリアにポテンシャルがあり、国内に十分な需要が期待できれば、水素による一定の規模の「エネルギー自給」を叶えることができるかもしれない。水素は運搬・貯蔵に課題があり、自国内での「地産地消」はまさに理想的なサプライチェーン・マネージメントといえる。水素がその時代のエネルギーの太宗を占めるようになっても「経済合理性」の原理に従い一部の国が供給の中心となる可能性も捨てきれないが、少なくとも現在の産油・産ガス国が政治的意図により世界のエネルギー・システムを翻弄するような状況には二度と戻らないであろう。

現時点で明確な水素マップは出来上がっていないが、数年後、10年後には今ではとても考えつかないようなエネルギー・マップが形作られているかもしれない。そこには自国の「強みや特徴」を最大限生かした戦略や戦術が十分反映されているに違いない。例えばスペインは欧州でも有数の再生可能エネルギーのポテンシャルを持ち、風力・太陽光発電両方に大きな競争力を持つ。また欧州連合(EU)の一員であり、他の欧州連合メンバー国へも陸続きで接続可能なことから、既存のガスパイプライン等のインフラを活用し、欧州の主要な市場へアクセスが可能である。一方で豪州や南米のチリも国を挙げて低炭素水素事業の推進を図っているが、自国での消費は限られており、輸出に的を絞っているものの、主要な消費地からは遠い。また電解装置や部品等の供給地からも距離があり、その点は市場競争力に対するマイナス要因ともいえる。ただしチリであれば南のパタゴニア地方の風力(ドイツのポルシェやシーメンス・エナジーなどが参画し、合成燃料、e-fuelを2022年半ばから製造する予定)や中部の太陽光といったように両国とも非常に恵まれた再生可能エネルギーのポテンシャルを有し、事業の大規模化によってマイナス面を大きく補完する圧倒的な価格競争力を得ることができるかもしれない。

またそれぞれの国の市場・資金状況によって低炭素水素戦略もいくつかの形態に色分けできるであろう。米国・中国であれば国内の市場も大きく、資金の調達も国内中心で対応が可能なので「内部投資・内需型」、豪州・中東産油国であれば国内の市場は限定的で資金の調達は国内と国外のハイブリットとなる可能性が高く「内外部投資・輸出型」に、アフリカ・南米であれば国内の市場は限定的で、資金の供給は主に国外に依存することになるため「外部投資・輸出型」といった形に分類できる。

ただし低炭素水素の導入においては価格や大量生産以外にも様々な解決すべき課題がある。液化温度が-253℃となる水素(メタン: -162℃、プロパン: -42℃、ブタン: -1℃)では運搬・貯蔵技術が普及へのカギを握り、液体水素や有機ハイドライド化、アンモニアといった運搬・貯蔵方法が試されているが、いずれのプロセスでも熱量比20~30%のロスが生まれる。また水の電解プロセスも60~70%の効率であり、電源を再生可能エネルギーに依拠するため投入電力の変動(特に太陽光発電の場合)により生産の安定性に影響が及ぶ。また現時点では十分な市場や需要家もなく、サプライチェーンも整っていないため、政策の支援や誘導が不可欠となる。

 

9. アフリカの水素戦略

元々再生可能エネルギーは規模も小さく、系統線といった大規模な送電能力も限定的であったため、「地産地消」的な使用方法が主であり、そういう意味では「ローカルなエネルギー」と定義できる。一方以前は天然ガスの流通も限定されたエリアでのサプライチェーンに限られ、価格設定のメカニズムもそのエリアに留まる「ローカルなエネルギー」であった。それがLNG化されることで流動性と大陸間同士での価格連動が形成されるようになったように、今の状況は再生可能エネルギーが水素・アンモニアといった媒体を通して「コモディティー化」していく過程とも解釈される。

この水素を介した再生可能エネルギーの「コモディティー化」はまさに世界的規模で同時多発的に進行している状況にあるが、欧州のエネルギー危機と直接リンクして胎動してきているのがアフリカにおける低炭素水素戦略である。欧州政府・企業はアフリカにおける低炭素水素生産・輸出ポテンシャルに大きく着目しており、多くのアフリカの国々も自国のエネルギー政策・事業戦略として低炭素水素、特にグリーン水素の推進を図っている。図13に2021年まで(エジプトに関しては2022年3~6月の間にMOUの対象となったもの)の主要な低炭素水素(グリーン水素・アンモニア、クリーン燃料等を含む)事業を示すが、これ以降も着々と事業化の検討が行われている。22年5月にはケニア、南アフリカ、ナミビア、エジプト、モロッコ、モーリタニアの6か国によりアフリカがグリーン水素のリーダーとなるべくアフリカ・グリーン水素連盟が結成され、今後規制方針、規模の確保、資金調達、認証に取り組んでいくとの方針が示されている。アフリカ諸国には再生可能エネルギーのポテンシャルが高い国が多い。その高いポテンシャルをレバレッジとし、今後の経済発展、エネルギー自給、有力な外貨獲得手段としてグリーン水素を位置づけ、政府が中心となり、国内の投資環境の整備と積極的な誘致活動を行っている。

(図13)アフリカにおけるグリーン水素事業
(図13)アフリカにおけるグリーン水素事業
(出所:S&P Global Commodity Insight、各社PR資料を基にJOGMEC作成)

その中でアフリカのグリーン水素事業推進活動の中心となっているエジプトにスポットライトを当て、見ていくこととする。

エジプトの再生可能エネルギーの設備容量は2016年度の900MWから2020年度の3.02GWまで順調に拡大しており、中東・北アフリカ地域ではトップクラスの設備容量を誇る。アスワンハイダム(2.1GW)に代表される水力発電の設備容量2.8GWを除けば、風力発電の設備容量が1.59GW、太陽光発電の設備容量が1.52GWとほぼ2分され(出所:2022年5月27日、Middle East Economic Survey)、エジプトが風力・太陽光発電両方のポテンシャルを有していることが分かる。

豊富な再生可能エネルギーのリソースを有していることはグリーン水素やそこから合成されるクリーン燃料製造に最も重要な要素であるが、それ以外でも以下の点でグリーン水素・クリーン燃料の拠点として発展できる可能性を秘めている。

  • 欧州と中東に近く、北部で地中海、東部で紅海に面しており、エジプトのスエズ運河は欧州と中東・アジア・アフリカを結ぶ大動脈である。スエズ運河は世界のコンテナ船の20%、海上貨物の12%が通過する(出所: Rystad Energy)
  • 天然ガス液化設備やパイプライン等のインフラが整備されている。
  • 大規模プロジェクト用の十分な土地の確保が可能であり、国内に大型建設工事の経験・ノウハウの蓄積がある。
  • 1億人を超える人口を有し、エネルギーの国内需要の他、国内産業界とのコラボレーションにも期待。

海の交通の要衝であるスエズ運河はシンガポール、ロッテルダムと並ぶ世界3大バンカリング(船舶への燃料補給)拠点のひとつである。2018年に国際海事機関(IMO)は船舶による温室効果ガス排出量の規制を2030年から導入し、2008年比40%以上の削減、2050年では50%以上の削減で合意した。2021年の各国による温室効果ガス排出量のカーボン・ニュートラル宣言で、おそらく2023年の次期総会では更なる厳しい目標が設定されることは想像に難くない。従って船主はこれまでの天然ガスやLNGといった化石燃料をベースにするのではなく、バイオ燃料やアンモニアといったクリーン燃料をベースにしたものを燃料として採用するか、船舶にCO2分離回収装置を備えるかの対応を迫られており、スエズ運河にはクリーン燃料のバンカリングの拠点としての役割が期待されている。

Rystad Energyによれば現在エジプトには世界一位の豪州に次ぐ全部で11.62 GW、200億ドル相当のグリーン水素事業計画があるという。エジプト政府が現在取りまとめている400億ドルのグリーンエネルギー構想は政府の本気度の表れであり、外資を引き寄せる重要な要素となる。

エジプトのグリーン水素事業はスエズ運河を中心としたスエズ運河経済特区(SC Zone)に集中している。スエズ運河の地中海側への出入り口であるPort Said工業地区、スエズ運河から紅海に入ったAin Sokhna工業地区がそれに該当する(図13、アフリカにおけるグリーン水素事業)。いずれも港湾や淡水化設備等のインフラが整っており、クリーン燃料のバンカリングや輸出拠点としての役割も期待できる。この3か月の間に7つの水素関連プロジェクトに対するMOUが締結され、現在事業実現性の調査が行われている(表2、エジプト(スエズ運河経済特区)におけるMOU締結済みグリーン水素事業)。他にも(1)2021年7月、イタリアのENIとエジプト電力ホールディング・カンパニー(EEHC)およびエジプト天然ガスホールディング・カンパニー(EGAS)との間でグリーン水素並びにブルー水素の事業化、市場やビジネスモデルに関するスタディー契約を締結、(2)2021年8月、ドイツのSiemens Energyとエジプト電力ホールディング・カンパニー(EEHC)との間で100~200MWの水電解パイロット事業に関するMOUを締結、(3)2022年1月、ドイツのThyssenKruppがグリーン水素・アンモニア・エタノールプラントに関してエジプトの電力省とMOU合意に向け議論を重ねていることを公表するなど、エジプトのグリーン水素・燃料生産ポテンシャルに関しては熱い視線が注がれてきた。海外のインフラ・エネルギー企業が事業共同体を先導するが、同国のインフラ・エネルギー組織である新・再生可能エネルギー、エジプト送電・電力会社、エジプト政府系投資ファンド(SFE)、スエズ運河経済特区等も事業に参加している。エジプト政府系投資ファンド(SFE)の出資比率は10~20%を予定しているとされる。

(表2)エジプト(スエズ運河経済特区)におけるMOU締結済みグリーン水素事業
(表2)エジプト(スエズ運河経済特区)におけるMOU締結済みグリーン水素事業
(2022年3月~6月)
(出所:各社PR資料を基にJOGMEC作成)

2022年のCOP27はエジプトのSharm el-Sheikhで11月に開催される。エジプトは2030年の電力構成の内42%を再生可能エネルギーから得るよう目標を立てている。COP27はまさにエジプトにとってクリーン・エネルギーへの転換を内外に喧伝する絶好の場ともいえる。過去においてもCOPの場は新たなイニシアティブの立ち上げや多くの商談や契約の機会となってきた。まさしくCOP27がグリーン水素戦略に対するエジプトにとっての新たな飛躍の場となることは想像に難くない。来年のCOP28の開催地はUAEである。UAEもエジプトのグリーン水素事業の主体となるなど、多くの国々とクリーン・エネルギー事業の協力体制を築き、国内だけでなく国外においてもクリーン・エネルギーの拡大・推進に積極的に取り組んでいる[13]。これまで石油・天然ガスの主役であったMENA(中東・北アフリカ地域)がポスト化石燃料においてもエネルギー・システムの主役の座を堅持するとの意図の表れとも見て取れる。

 

10. おわりに

ロシアによるウクライナ侵攻に端を発した世界規模のエネルギー危機は1973年、1979年の中東を震源としたオイル・ショック以来の深刻さを世界のエネルギー・システム全体に及ぼしており、前回のエネルギー危機がそうであったように、エネルギー・システム自体にも大きな変化がもたらされようとしている。短期的には石炭への回帰は避けられないが、クリーン・エネルギーはエネルギー安全保障の観点からも政策上の後押しを受け、中・長期的にはエネルギー・トランジションの流れは加速されるであろう。再生可能エネルギーの輸送・貯蔵媒体としてのグリーン水素は研究・開発の段階を飛び越え、事業化に向け大きく舵を切る。

一方でこれまで石油・天然ガス開発事業の推進役であったIOCや金融セクターは石油・天然ガス開発事業の座礁資産化のリスクとステークホルダー(利害関係者)・マネージメントという逆風とバランスを取りながら、石油・天然ガス開発事業と向き合わなければならない。これまでの技術や経済性といった制約以外の新たなチャレンジの中石油・天然ガス開発への投資が進み、市場の安定化が図れるのか、という疑問が残る。

如何にエネルギー危機を追い風にクリーン・エネルギーが急激に発展しても十分な拡大・普及までには10年、20年という長い時間が必要で、これまで化石燃料が担ってきた「いつ、どのような場所においても安価で安定的に大量供給が可能」という役割をすぐに果たすことはできない。残された道は高いエネルギー価格を許容するのか、あるいは徹底した省エネにより生活スタイルを大幅に変えていくのか、現在のエネルギー・システムから次のエネルギー・システム安定までのトランジション・タイムをどう乗り切るのか、現実に向き合ったエネルギー方針が求められる。

 


[1] “United Nations Environmental Programme, Environmental Low Guideline and Principles, Stockholm Declaration”, UNEP, June 16, 1972
https://wedocs.unep.org/bitstream/handle/20.500.11822/29567/ELGP1StockD.pdf(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[2] “United Nations Climate Change”
https://unfccc.int/(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[3] “United Nations Global Compact, The Ten Principles of the UN Global Compact”, 1999
https://www.unglobalcompact.org/what-is-gc/mission/principles(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[4] “Principles for Responsible Investment, an investment initiative in partnership with UNEP Finance Initiative and UN Global Compact”
https://www.unpri.org/download?ac=10948(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[6] 「責任ある機関投資家」の諸原則:日本版スチュワードシップ・コード、投資と対話を通じて企業の持続的成長を促すために
https://www.fsa.go.jp/news/r1/singi/20200324/01.pdf(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[7] “The IFRS Foundation Trustees announced the creation of a new standard-setting board—the International Sustainability Standards Board (ISSB)”, November 3rd., 2021
https://www.ifrs.org/groups/international-sustainability-standards-board/(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[8] “The Glasgow Financial Alliance for Net Zero (GFANZ)” launched in April 2021
https://www.gfanzero.com/about/(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[9] “The Task Force on Climate-related Financial Disclosures (TCFD) created by the Financial Stability Board to improve and increase reporting of climate-related financial information”
https://www.fsb-tcfd.org/about/(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[10] “Unburnable Carbon 2013: Wasted capital and stranded assets”
https://www.lse.ac.uk/granthaminstitute/wp-content/uploads/2014/02/PB-unburnable-carbon-2013-wasted-capital-stranded-assets.pdf(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[11] 11“REPowerEU: Joint European action for more affordable, secure and sustainable energy,” European Commission, March 8, 2022.
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_22_1511(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[12] “Cost Reduction Scaling Up Electrolysers to meet the 1.5°C Climate Goal, IRENA”
https://irena.org/-/media/Files/IRENA/Agency/Publication/2020/Dec/IRENA_Green_hydrogen_cost_2020.pdf(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[13] “As part of comprehensive ‘Partnership for the Future’ framework UAE to Invest £10 Billion In Priority UK Industries”
https://www.mubadala.com/en/news/uae-invest-10-billion-priority-uk-industries(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

 

以上

(この報告は2022年7月12日時点のものです)

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