ページ番号1009444 更新日 令和4年8月18日

メジャー企業各社の2022年第2四半期決算について

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レポートID 1009444
作成日 2022-08-17 00:00:00 +0900
更新日 2022-08-18 09:50:41 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 企業
著者 鑓田 真崇高木 路子
著者直接入力
年度 2022
Vol
No
ページ数 15
抽出データ
地域1 欧州
国1
地域2 北米
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 欧州北米
2022/08/17 鑓田 真崇 高木 路子
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概要

  1. 前期を上回る高油ガス価(Brentは期中平均で114ドル/バレル、前期比+12%)により、石油・天然ガス生産量はExxonMobilを除き前年同期より減少したものの、全社純利益で大幅な増益を確保。堅調な石油製品需要の伸びと在庫水準のひっ迫、ロシア産原油及び石油製品を巡る経済制裁により、精製利幅が大きく広がったことも高収益を支えた。
  2. 全社とも前期と同等水準またはこれを上回るフリーキャッシュフローを確保。株主に対する還元策として、増配や自社株買いを継続。ExxonMobilは、37億ドルの配当と39億ドルの自社株買いを実施。bp及びTotalEnergiesもそれぞれ23億ドル、20億ドルの自社株買いを実施。Shellも総額74億ドルの株主還元を実施したほか、2022年第3四半期に追加で60億ドルの自社株買いを行う旨、発表した。
  3. ウクライナ危機による対ロシア経済制裁等の影響により、前期において各社ロシア事業からの撤退または新規投資凍結を相次いで表明。TotalEnergiesは、ロシア企業Novatek社の19.4%株式保有を継続するものの、ロシアに対する国際制裁の影響を考慮し、35億ドルの評価損を計上した。
  4. 2022年第3四半期以降も、(1)ウクライナ危機がどの程度の期間において継続するか不透明なこと、(2)これを受けたロシアに対する経済制裁も継続すると見られるが、制裁の強化や緩和といった方向性が見いだせないこと、(3)OPECプラス産油国において、2021年8月以降実施している減産措置緩和(増産)が終了した後の生産枠に関する方向性が見いだせないことのほか、(4)余剰生産能力を有する生産国がサウジアラビア及びアラブ首長国連邦に限定され、需給バランスが引き続きひっ迫する懸念があること等から、現在の資源価格水準が継続する蓋然性は高く、潤沢なキャッシュフローを生み出すと考えられる。

(出所 EvaluateEnergy、各社資料、各種報道)

 

1. ExxonMobil

2022年第2四半期において、高油価を背景に200億ドルの営業キャッシュフローを創出し178億ドルの純利益を達成、うち上流部門は113億ドルで全体の6割を占めた。また、純利益178億ドルは、前期55億ドル及び前年同期の46億ドルと比較して3倍以上で、油ガス生産量の増加、販売価格の上昇、またコスト削減の取組が要因と説明した。全般的にはタイトな需給状況を反映して今期の業績は非常に良好なものであり、自社の戦略的な優先事項を推進しているとした。

2022年第2四半期は、米国メキシコ湾岸での精製能力の大幅な拡張、ガイアナにおける新規構造の発見のほか、2022年後半にはモザンビークのLNG事業からの生産開始が見込まれることなどを挙げ自社のポートフォリオを増強する一方で、ノンコアアセットとして、MontneyやDuvernayのシェール資産を有するカナダの子会社XTO Energy CanadaをWhitecap Resourcesに売却[1]、その他ルーマニアの上流資産及び米国Barnett Shaleのガス資産の売却について発表を行った。

同社の今期フリーキャッシュフローは192億ドルに達し、2019年以降の配当水準(今期0.88ドル/株、前年同期0.88ドル/株)を維持して配当に37億ドルを、自社株買いに前期21億ドルから増額の39億ドルを充てた。株主還元額は総額76億ドルに上る。

今期の石油換算生産量は日量373.2万バレルとなり、前期比1.5%増の微増となった。米国においては、引き続きPermian盆地からの生産拡大を継続。今期の同盆地からの生産量は石油換算で日量55万バレル超に達し、2022年平均で2021年比25%増の見通し。

主要な事業の進捗としては、ガイアナにおけるLiza Phase 2事業からの能力増強によりプロジェクト全体の生産能力が石油換算で日量34万バレル[2]まで引き上げられた。現状、Liza Phase 1の生産量は処理能力以上の良好な状況であり、また2022年初めに生産を開始したLiza Phase 2は石油換算で日量22万バレルの生産能力にまで達した。また、7月26日には、同一鉱区(Stabroek)内において、新たにSeabob及びKiru-Kiruの2構造を発見したと発表[3]。同鉱区における新規構造の発見は今年で7件に達し、ガイアナ国内における発見は25件を超えている。

LNG事業については、ExxonMobilはカタールNorthfield East Expansion(NFE事業)の権益6.25%を取得してLNG引き取り量として年2百万トン分を取得[4]。カタールとの新たな契約は、世界のLNGリーダーとしてのレバレッジになるほか、将来におけるCCS(Carbon, Capture and Storage、二酸化炭素回収貯留)等の新規事業の可能性を広げたと説明した。このほか、低炭素事業として大規模なCCS事業に関して中国、オーストラリア、オランダ、インドネシアで相次いで基本合意(MOU)を締結し、今後も推進するとしている。

表1:2022年第2四半期決算概要(ExxonMobil)
表1:2022年第2四半期決算概要(ExxonMobil)
出所:決算資料及びEvaluateEnergyに基づきJOGMEC作成

2. Shell

2022年第2四半期は、主に高油ガス価と好調なトレーディングを背景に187億ドルの営業キャッシュフローを創出し、180億ドルの純利益を達成した。同社が参画する極東ロシアにおけるSakhalin-2事業からの撤退方針を受け、39億ドルの税引き後調整(減損)を計上した前期(2022年第1四半期)と比較して、純利益は109億ドルの大幅増加となった。今期のフリーキャッシュフローは159億ドルとなり、同社は前年同期を上回る水準(今期0.25ドル/株、前年同期の0.24ドル/株より4%上昇)で配当を行うとともに、2022年上半期中に総額85億ドルの自社株買いプログラムを完了し、株主への還元を行った。また、来期には追加で60億ドルの自社株買いを実施する旨、発表した[5]

ウクライナ危機を受け、3月8日にShellはGazpromとロシアにおいて実施するガスパイプライン事業Nord Stream2の事業体(Shellを含め5社)からの撤退のほか、ロシアにおけるサービスステーション事業・潤滑油製造事業、極東ロシアにおけるSakhalin-2事業を含むロシア事業からの撤退の意図を発表[6]。Shellは同社子会社を通じて、ロシアにおけるサービスステーション事業・潤滑油製造事業を行うShell Neft LLCをPJSC LUKOILに売却する合意書を5月12日に締結[7]、5月25日に売却を完了した[8]。なお、売却額については非公表となっている。

今期の石油換算生産量は日量289.9万バレルとなり、前期比2%程度の減少となった。主な要因としては、季節要因によるガス需要の低下と、米国メキシコ湾における定期点検によるものである。なお、2022年第3四半期においては、西シベリアでGazpromNeftとのジョイントベンチャー事業として推進していたSalym油田開発事業からの生産分が計上されなくなることから、生産量は減少する見込みである[9]

主要な事業の進捗としては、4月27日に同社のブラジル事業法人Shell Brasil Petróleo Ltda.が、ブラジル沖合Santos盆地におけるAtapu油田の生産物分与契約(PSC)をオペレーターのPetrobras(権益比率52.5%)及びパートナーのTotalEnergies(権益比率22.5%)とともに締結。Shell Brasil Petróleo Ltda.は、およそ11億ドルをPetrobrasに支払うことで、25%の権益を取得した[10]。Atapu油田は水深2,000メートルに位置し、P-70 FPSO(Floating Production, Storage and Offloading system、浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)を通じ2000年に生産を開始している。また、5月2日、同じくブラジル沖合Santos盆地Mero油田からの生産を開始した旨発表。生産はGuanabara FPSO(処理能力は天然ガス日量1,200万立方メートル、原油日量18万バレル)を通じて行われ、今後段階的な開発により2023年から2025年の間に追加で3隻のFPSOが投入される見通しである。Mero油田は、2013年12月に締結されたLibra PSCの一部であり、オペレーターはPetrobras(権益比率38.6%)、ShellはTotalEnergiesとともに19.3%の権益を有する。このほか、CNPC及びCNOOC Limited等が参画する[11]

天然ガス関連事業としては、5月30日に西豪州沖合のCruxガス田開発に係る最終投資決定をパートナーのSGH Energyとともに行った。Cruxガス田は、豪州連邦政府管轄のBrowse盆地北部、Shellが操業する年360万トンのPrelude FLNG(Floating LNG、浮体式天然ガス液化設備)までおよそ160キロメートルに位置し、同FLNGに天然ガスを供給する計画である。2022年に開発作業を開始し、2027年に天然ガス供給を開始する予定となっている[12]

再生可能エネルギー関連では、4月29日に子会社のShell Overseas Investment B.V.がActis Solenergi Limited(Actis)と、同社が保有するSolenergi Power Private Limitedの100%株式を15.5億ドルで取得する契約を締結し、これを通じてインドにおける再生可能エネルギー事業を推進するSprng Energy groupを買収した。Sprng Energy groupは、インドにおいて2.9ギガワット(稼働中2.1ギガワット、契約済0.8ギガワット)の太陽光及び風力発電設備を有し、今後7.5ギガワットの追加投資計画を有する。Sprng Energy groupの買収は、インドにおける統合的なエネルギートランジションを推進するとともに、Shellが現在保有する再生可能エネルギー発電容量を3倍に引き上げ、2050年までにエネルギー事業におけるネットゼロの収益化を図る同社の目標達成に寄与するものとされている[13]

表2:2022年第2四半期決算概要(Shell)
表2:2022年第2四半期決算概要(Shell)
出所:決算資料及びEvaluateEnergyに基づきJOGMEC作成

3. bp

bpは他社同様、高油ガス価及び好調なトレーディングを背景に、前期(82億ドル)及び前年同期(54億ドル)を大幅に上回る109億ドルの営業キャッシュフローを創出し、93億ドルの純利益を達成した。同社は前期を10%上回る水準にあたる6.006セント/株で配当を行うとともに、23億ドルの自社株買いを実施。さらに2022年第3四半期には、35億ドルの自社株買いを追加で行う意図を発表している。同社は2022年の余剰キャッシュフローのうち60%以上を自社株買いに向けることを約束しており、バランスシートの健全化に努めつつ、株主への還元を行う方針を明確に打ち出している[14]

今期の石油換算生産量は日量219.8万バレルとなり、前期比27%程度の減少となった。主にガス生産施設の定期メンテナンス及び需要の季節変動要因や、ロシアにおけるJV事業からの生産減少の影響等によるものである。

最近の石油天然ガス関連事業の進捗としては、6月13日に、カナダにおける資産入替の一環として、アルバータ州におけるSunriseオイルサンド事業の50%権益をカルガリーに拠点を有するCenovus Energyに売却することで合意したと発表。取引の対価は6億カナダドルの支払いと、Cenovus Energyがカナダ東部で保有するBay du Nord事業の35%権益の譲渡を組み合わせて行われた[15]

このほか、bpは2030年までに再生可能エネルギーによる発電設備容量を50ギガワットに引き上げる目標の下、英国のエネルギーセキュリティの向上とネットゼロ目標達成への同社の確固たるコミットメントを示すために、北海油ガス田・洋上風力・電気自動車充電設備・水素・CCSなどの分野に対して2030年までに総額180億ポンドを投資すると5月3日に発表[16]した。5月17日には、世界的な産業ガス・エンジニアリング会社であるLindeと共同で、米国テキサス州における低炭素水素製造のためのCCS事業の実施を発表した。2026年までの事業開始を目指し、複数の貯蔵サイトに年間1,500万トンの二酸化炭素を貯留する計画である[17]。また、アブダビ国営石油会社(ADNOC)及び同国で再生可能エネルギー事業を展開するMasdar(Abu Dhabi Future Energy Company)との戦略的パートナーシップの強化に資する事業提携を5月24日に発表した。ADNOCは、bpが英国イングランド北東部で進めるブルー水素製造事業であるH2TeessideのPre-FEED段階から25%の権益比率で参画し、2030年までに2基の500メガワット級水素製造装置の稼働を計画している。ADNOCの英国事業への参画は本件が初である。Masdarとの間では、bpが提案するグリーン水素製造事業であるHyGreen Teessideへの出資に向けた覚書を締結。本事業は2025年に60メガワット級の水電解装置の稼働を予定し、2030年までに500メガワット級までスケールアップを目指すものである。両事業が稼働すれば、英国政府が目指す2030年10ギガワット相当の水素製造目標の15%を供給する見込みである[18]。また、6月15日には、豪州西オーストラリア州における世界最大規模の再生可能エネルギー及びグリーン水素製造事業であるAREH(Asian Renewable Energy Hub(アジア再生可能エネルギーハブ))の権益40.5%を取得し、オペレーターとして参画することを発表した。同事業は、世界最大の鉱業地域である西オーストラリア州Pilbara地域への再生可能エネルギー供給のほか、グリーン水素及びグリーンアンモニアを製造し豪州国内及び国際市場への輸出を目指すものである。段階的に陸上風力及び太陽光発電設備を開発し、総発電容量は26ギガワット、フル生産に至れば年産160万トンのグリーン水素または900万トンのグリーンアンモニア製造を予定している[19]

表3:2022年第2四半期決算概要(bp)
表3:2022年第2四半期決算概要(bp)
出所:決算資料及びEvaluateEnergyに基づきJOGMEC作成

4. Chevron

2022年第2四半期は、他社同様、高油価を背景として138億ドルの営業キャッシュフローを創出し、116億ドルの好業績を維持した。今期純利益は、前期(2022年第1四半期)の純利益63億ドルの2倍、また前年同期31億ドルに比べ3倍超であった。主な増益要因は上流部門の原油・天然ガスの販売価格ならびに下流部門の精製マージンがともに良好であったことによる。今期のフリーキャッシュフローは、投資額を増やしていることから78億ドルと前期比横ばいで、負債引き下げに37億ドル、配当に28億ドル、自社株買いに25億ドル、さらにRenewable Energy Group(REG)買収[20]のために29億ドルを充てた。

石油・天然ガスの生産量は、Permianでの増産を中心とした米国における生産量が前年同期比で3%伸びたものの、タイErawanコンセッション及びインドネシアRokanコンセッションの契約期限終了、またカザフスタンのCPCパイプライン停止に伴うTengiz原油の販売制約、さらに価格高騰に伴うコストオイル分の減少を主な理由に前年同期比7%減少した。

主要な事業の進捗としては、豪州のGorgon LNG及びWheatstone LNGからの出荷カーゴ数が昨年前期から10%超増加したことが挙げられる。またGorgon LNGに新たなガスを供給するGorgon Stage 2のファーストガスが9月にも予定される。米国メキシコ湾の深海開発において同社は、2022年5月に、水深2,000メートルに位置するBallymore油ガス田(Chevronオペレーター60%, TotalEnergies 40%)の開発事業に最終投資決定を行った[21]。本事業は石油換算でピーク生産日量7.5万バレルを見込む16億ドル規模の開発事業で、近隣の自社オペレーターのBlind Faithプラットフォームにつなぎこむ事業である。2025年に生産開始を予定している。

また米国メキシコ湾岸でのLNG事業においても、Cheniere Energy及びVenture Globalと2026年から年間150万トンの引き取りを含む年間4百万トン/年間の長期引き取り契約を締結して、米国内の天然ガス供給力及び大西洋側でのLNG販売力を高めた。

低炭素事業においては、6月、低炭素燃料の製造を行う米国Renewable Energy Group(REG)の買収を完了[22]し、統合を順調に進めている。REGは、GHG排出量を減らす低炭素燃料を生産する国際的企業で、調達、ロジスティックス等ネットワークを有するほか欧州や米国に11のバイオリファイナリーを操業する。これにより、REGの低炭素燃料の製造能力をChevronが有する石油の販売ネットワークと有機させる。加えて、Chevronは、再生エネルギーの製造を行う米国Bunge社との50対50のジョイントベンチャーを設立。両社は、農場からの調達、大豆油の製造、販売までのサプライチェーンの構築を目指し、再生燃料である植物油の製造能力の増強を行う。CCS事業においても、ChevronはTalos社がオペレーターを担うBayou Bend offshore CCSハブ開発事業への50%の参加[23]を決め、テキサス州沿岸でのCCS事業として同社の脱炭素戦略の一角に加わった。

表4:2022年第2四半期決算概要(Chevron)
表4:2022年第2四半期決算概要(Chevron)
出所:決算資料及びEvaluateEnergyに基づきJOGMEC作成

5. TotalEnergies

TotalEnergiesの2022年第2四半期決算は、主に高油ガス価格と好調なトレーディングを背景に163億ドルの事業キャッシュフローを創出し、57億ドルの純利益を達成した。ロシアによるウクライナ侵攻を受け、前期において各社がロシア事業からの撤退または新規投資凍結を相次いで表明したなか、TotalEnergiesはロシア企業Novatek社の19.4%の株式保有を継続するものの、ロシアに対する国際的な制裁の影響を考慮し、35億ドルの評価損を計上した。今期のフリーキャッシュフローは68億ドルとなり、同社は前年同期を上回る水準(今期0.69ユーロ/株、前年同期より5%増)で配当を行うとともに、20億ドルの自社株買いを実施した。また、2022年第3四半期に20億ドルを上限とする追加の自社株買いを実施し株主への還元を行う方針を決定した[24]

今期の石油換算生産量は日量273.8万バレルとなり、前期比ほぼ横ばい(2021年第2四半期は274.7万バレル)となった。ブラジル沖合Santos盆地Mero油田からの生産開始のほか、OPECプラス産油国の生産枠引き上げにより、生産量が伸びた一方、リビア及びナイジェリアにおけるセキュリティ問題に起因する生産停止や資産入替、自然減退による減少がこれを相殺した。なお、前期(2022年第1四半期)と比較して、計画されたメンテナンス作業による生産停止等により、石油換算生産量はおよそ4%低下した[25]

主要な石油・天然ガス上流事業の進捗としては、4月11日にSempra Infrastructure他が参画する米国ルイジアナ州のCameron LNG事業拡張計画について、Heads of Agreement(HoA)を締結。年675万トンのLNG生産能力を有する第4トレインを建設するほか、既存の第1~3トレイン(年間生産能力1,350万トン)のボトルネック解消を行い、既存生産能力を5%引き上げることを目指す。今後2社のコントラクターを選定し競争的にFEEDを実施し、EPCコントラクターを選定、2023年の最終投資決定を予定している。HoAにおいて、TotalEnergiesは、第4トレインの16.6%、ボトルネック解消後の第1~3トレインの25%にあたるLNGの引き取り権を有する[26]。Cameron LNG事業については、操業時に排出される二酸化炭素の回収・輸送・貯蔵を目的としたHackberry Carbon Sequestration(HCS)の開始を5月23日に発表している[27]。また、Shellも参画するブラジル沖合Santos盆地におけるMero油田からの生産を開始した旨、5月2日に発表[28]したほか、5月17日には米国メキシコ湾におけるBallymore油田の開発を決定したと発表した。Ballymore油田はChevronが60%権益を保有しオペレーターを務め、TotalEnergiesが40%権益を保有、既存のインフラを活用し2025年に日量75,000バレルで生産を開始する予定である[29]。6月12日には、カタールNorthfield East Expansion事業(NFE)にQatarEnergy75%、TotalEnergies25%の出資比率でJVに参画すると発表。TotalEnergiesは、年産3,200万トンのLNG生産を予定するNFE事業の権益25%を保有し、引き取り量年800万トンを確保した[30]。NFE事業により、カタールのLNG生産能力は現在の年産7,700万トンから、2027年には1.1億トン程度に増加する見通しである。

再生可能エネルギー事業においては、4月12日にポーランドの鉱山開発企業であるKGHMと共同で、ポーランドのバルト海沖合洋上風力発電開発事業への入札を発表[31]したほか、4月27日には米国の再生可能エネルギー事業者であるCore Solar LLCの買収により、4ギガワットの追加発電容量を自社ポートフォリオに追加した[32]。また、5月10日には、フランス国内初となる浮体式洋上風力発電設備の建設を開始したと発表。南西フランスのオクシタニー地域圏の沖合18キロメートルに10メガワットの浮体式洋上風力発電設備3基を設営するEolmed事業に、TotalEnergiesは20%の権益比率で参画しており、発電開始は2024年を予定している[33]。米国においては、ノースキャロライナ州沖合に1ギガワットの洋上風力発電設備を建設するためのリース権を取得した旨、5月13日に発表した[34]。5月25日には、米国第5位の再生可能エネルギー事業者Clearway Energy Groupの50%株式を買収する合意書をGlobal Infrastructure Partnersと締結している[35]。インドにおけるグリーン水素製造事業に関する取組も進めており、6月14日にインドのAdani Enterprises Limited(AEL)との間に、AEL子会社であるAdani New Industries Limited(ANIL)の25%株式を取得する合意書を締結。ANILは2030年までに30ギガワットの再生可能エネルギー発電設備を用いて年間100万トンのグリーン水素製造を目標としており、欧州における水素需要に応えるほか、2050年までにTotalEnergiesが製造・販売するエネルギーの25%を脱炭素化する事業目標の達成を目指している[36]

表5:2022年第2四半期決算概要(TotalEnergies)
表5:2022年第2四半期決算概要(TotalEnergies)
出所:決算資料及びEvaluateEnergyに基づきJOGMEC作成

6. まとめ

2022年第2四半期における石油・天然ガス生産量は、ロシアにおける事業からの撤退とこれに伴う持ち分生産量としての計上終了や、設備の定期点検による生産停止等の影響から、米国Permian盆地での生産増加が堅調なExxonMobilを除き前年同期より減少したものの、前期を上回る高油ガス価(Brentは期中平均で114ドル/バレル、前期比+12%)により、全社純利益で大幅な増益を確保した。これに加え、堅調な石油製品需要の伸びと在庫水準のひっ迫、ロシア産原油及び石油製品を巡る経済制裁により、精製利幅が大きく広がったことも高収益を支えた。

また、全社とも前期と同等水準またはこれを上回るフリーキャッシュフローを確保し、株主に対する還元策として、増配や自社株買いを継続する動きが顕著に見られた。ExxonMobilは、37億ドルの配当と39億ドルの自社株買いを実施。bp及びTotalEnergiesもそれぞれ23億ドル、20億ドルの自社株買いを実施。Shellも総額74億ドルの株主還元を実施したほか、2022年第3四半期に追加で60億ドルの自社株買いを行う旨、発表した。

2022年第3四半期以降も、(1)ウクライナ危機がどの程度の期間において継続するか不透明なこと、(2)これを受けたロシアに対する経済制裁も継続すると見られるが、制裁の強化や緩和といった方向性が見いだせないこと、(3)OPECプラス産油国において、2021年8月以降実施している減産措置緩和(増産)が終了した後の生産枠に関する方向性が見いだせないことのほか、(4)余剰生産能力を有する生産国がサウジアラビア及びアラブ首長国連邦に限定され、需給バランスが引き続きひっ迫する懸念があること等から、現在の資源価格水準が継続する蓋然性は高く、潤沢なキャッシュフローを生み出すと考えられる。

こうした不確実性が高い状況において、各社ともに、投資家や金融機関等からの要請により、財務規律を重視した経営を求められていることに加え、地政学リスクや石油天然ガスの需給ひっ迫懸念等による高まっている資源価格のボラティリティの高さに対応するために、健全な財務基盤確保を意識した経営方針を継続している。また、高資源価格を背景とした高水準の利益に対する株主からの還元要請にも、増配や自社株買いなどを通じて応えていく必要がある。

他方、新型コロナウイルス感染症の世界規模での拡大以降、経済活動の停滞やこれに伴うエネルギー需要の低下を背景に、長期のリードタイムが必要な上流資源開発への十分な投資が行われていなかった状況が続いていた。今決算期や、2022年第3四半期においては、新規石油・ガス事業からの生産開始や、最終投資決定に関する発表も増加傾向にあることから、2022年下期の投資目標とその達成状況を引き続き注視したい。

表6:各社生産量・純利益・設備投資額の比較(2022年第2四半期決算)
表6:各社生産量・純利益・設備投資額の比較(2022年第2四半期決算)
出所:決算資料及びEvaluateEnergyに基づきJOGMEC作成

 


[1] ExxonMobil, ExxonMobil announces sale of interests in Montney and Duvernay Canadian assets, https://corporate.exxonmobil.com/News/Newsroom/News-releases/2022/0628_ExxonMobil-announces-sale-of-interests-in-Montney-and-Duvernay-Canadian-assets(外部リンク)新しいウィンドウで開きます 2022年8月10日閲覧

[2] ExxonMobil, ExxonMobil starts production at Guyana's second offshore development, https://corporate.exxonmobil.com/News/Newsroom/News-releases/2022/0211_ExxonMobil-starts-production-at-Guyanas-second-offshore-development(外部リンク)新しいウィンドウで開きます 2022年8月10日閲覧

[3] ExxonMobil, ExxonMobil makes two more discoveries offshore Guyana, https://corporate.exxonmobil.com/News/Newsroom/News-releases/2022/0726_ExxonMobil-makes-two-more-discoveries-offshore-Guyana(外部リンク)新しいウィンドウで開きます 2022年8月10日閲覧

[4] ExxonMobil, ExxonMobil and QatarEnergy to expand LNG production with North Field East agreement, https://corporate.exxonmobil.com/News/Newsroom/News-releases/2022/0621_ExxonMobil-and-QatarEnergy-to-expand-LNG-production-with-North-Field-East-agreement(外部リンク)新しいウィンドウで開きます 2022年8月10日閲覧

[6] Shell, Shell announces intent to withdraw from Russian oil and gas,
https://www.shell.com/media/news-and-media-releases/2022/shell-announces-intent-to-withdraw-from-russian-oil-and-gas.html(外部リンク)新しいウィンドウで開きます 2022年7月27日閲覧

[7] Shell, Shell signs agreement to sell retail and lubricants businesses in Russia,
https://www.shell.com/media/news-and-media-releases/2022/shell-signs-agreement-to-sell-retail-and-lubricants-businesses-in-russia.html(外部リンク)新しいウィンドウで開きます 2022年7月27日閲覧

[8] Shell, Shell completes sale of retail and lubricants businesses in Russia,
https://www.shell.com/media/news-and-media-releases/2022/shell-completes-sale-of-retail-and-lubricants-businesses-in-russia.html(外部リンク)新しいウィンドウで開きます 2022年7月27日閲覧

[10] Shell, Shell Signs Production Sharing Contract for Atapu Field in Brazil,
https://www.shell.com/media/news-and-media-releases/2022/shell-signs-production-sharing-contract-for-atapu-field-in-brazil.html 2022年7月27日閲覧

[11] Shell, Libra Consortium announces first production at Mero field’s FPSO Guanabara in Brazilian pre-salt https://www.shell.com/media/news-and-media-releases/2022/libra-consortium-announces-first-production-at-mero-fields.html(外部リンク)新しいウィンドウで開きます 2022年7月27日閲覧

[12] Shell, Shell to develop Crux project in Western Australia,
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[13] Shell, Shell to acquire Sprng Energy group, one of India’s leading renewable power platforms, https://www.shell.com/media/news-and-media-releases/2022/shell-to-acquire-sprng-energy-group-one-of-indias-leading-renewable-power-platforms.html(外部リンク)新しいウィンドウで開きます 2022年7月27日閲覧

[15] bp, bp reshapes Canada portfolio for strong future growth
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[16] bp, bp to invest up to £18 billion in UK energy system by 2030,
https://www.bp.com/en_gb/united-kingdom/home/news/press-releases/bp-to-invest-up-to-p18-billion-in-uk-energy-system-by-2030.html(外部リンク)新しいウィンドウで開きます 2022年7月28日閲覧

[17] bp, bp and Linde plan major CCS project to advance decarbonization efforts across Texas Gulf Coast https://www.bp.com/en/global/corporate/news-and-insights/press-releases/bp-and-linde-plan-major-ccs-project-to-advance-decarbonization-efforts-across-texas-gulf-coast.html(外部リンク)新しいウィンドウで開きます 2022年7月28日閲覧

[18] bp, Abu Dhabi’s ADNOC and Masdar to join bp’s UK hydrogen projects,
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[19] bp, bp to lead and operate one of the world's largest renewables and green hydrogen energy hubs based in western Australia, https://www.bp.com/en/global/corporate/news-and-insights/press-releases/bp-to-lead-and-operate-one-of-the-worlds-largest-renewables-and-green-hydrogen-energy-hubs-based-in-western-australia.html(外部リンク)新しいウィンドウで開きます 2022年7月29日閲覧

[20] Chevron, chevron announces agreement to acquire renewable energy group https://www.chevron.com/newsroom/2022/q1/chevron-announces-agreement-to-acquire-renewable-energy-group(外部リンク)新しいウィンドウで開きます 2022年5月13日閲覧

[21] Chevron, chevron sanctions ballymore project in deepwater U.S. gulf of Mexico, https://www.chevron.com/newsroom/2022/q2/chevron-sanctions-ballymore-project-in-deepwater-us-gulf-of-mexico(外部リンク)新しいウィンドウで開きます 2022年8月10日閲覧

[22] Chevron, chevron completes acquisition of renewable energy group,
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[23] Chevron, chevron, talos and carbonvert announce closing of previously announced joint venture expansion of the bayou bend CCS project offshore jefferson county, texas, https://www.chevron.com/newsroom/2022/q2/chevron-talos-and-carbonvert-announce-closing-of-joint-venture-expansion(外部リンク)新しいウィンドウで開きます 2022年8月10日閲覧

[24] TotalEnergies, Second Quarter and First Half 2022 Results,
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[25] 同上

[26] TotalEnergies, United States: Launch of Cameron LNG Expansion to Increase Liquefied Natural Gas Production, https://totalenergies.com/media/news/press-releases/united-states-launch-cameron-lng-expansion-increase-liquefied-natural-gas(外部リンク)新しいウィンドウで開きます 2022年7月27日閲覧

[27] TotalEnergies, United States: Launch of Carbon Capture Project to Decarbonize Liquefied Natural Gas Production at Cameron LNG, https://totalenergies.com/media/news/press-releases/united-states-launch-carbon-capture-project-decarbonize-liquefied-natural(外部リンク)新しいウィンドウで開きます 2022年7月27日閲覧

[28] TotalEnergies, Brazil: start of production from the first development phase of the giant Mero field, https://totalenergies.com/media/news/press-releases/brazil-start-production-first-development-phase-giant-mero-field(外部リンク)新しいウィンドウで開きます 2022年7月27日閲覧

[29] TotalEnergies, USA: TotalEnergies announces the sanction of the Ballymore development in the U.S. Gulf of Mexico https://totalenergies.com/media/news/press-releases/usa-totalenergies-announces-sanction-ballymore-development-us-gulf-mexico(外部リンク)新しいウィンドウで開きます 2022年7月28日閲覧

[30] TotalEnergies, Qatar: TotalEnergies the First Company Selected to Partner with QatarEnergy on the Giant North Field East LNG Project, https://totalenergies.com/media/news/qatar-totalenergies-first-company-selected-partner-qatarenergy-giant-north-field-east(外部リンク)新しいウィンドウで開きます 2022年7月28日閲覧

[31] TotalEnergies, Poland: TotalEnergies and KGHM Join Forces to Develop Offshore Wind Power, https://totalenergies.com/media/news/press-releases/poland-totalenergies-and-kghm-join-forces-develop-offshore-wind-power(外部リンク)新しいウィンドウで開きます 2022年7月27日閲覧

[32] TotalEnergies, United States: TotalEnergies adds 4 GW to its Renewable Energy Portfolio with the Acquisition of Core Solar, https://totalenergies.com/media/news/press-releases/united-states-totalenergies-adds-4-gw-its-renewable-energy-portfolio(外部リンク)新しいウィンドウで開きます 2022年7月27日閲覧

[33] TotalEnergies, TotalEnergies pursues its development in floating offshore wind with the start of construction of a first farm in France, https://totalenergies.com/media/news/press-releases/totalenergies-pursues-its-development-floating-offshore-wind-start(外部リンク)新しいウィンドウで開きます 2022年7月27日閲覧

[34] TotalEnergies, United States: TotalEnergies Wins Maritime Lease to Develop a 1 GW Offshore Wind farm off North Carolina’s Coast, https://totalenergies.com/media/news/press-releases/TotalEnergies-Wins-Maritime-Lease-to-Develop-a-1GW-Offshore-Wind-farm-in-the-US.(外部リンク)新しいウィンドウで開きます 2022年7月27日閲覧

[35] TotalEnergies, United States: TotalEnergies acquires 50% of Clearway, the 5th largest U.S. renewable energy player, https://totalenergies.com/media/news/press-releases/united-states-totalenergies-acquires-50-clearway-5th-largest-us-renewable(外部リンク)新しいウィンドウで開きます 2022年7月28日閲覧

[36] TotalEnergies, India: TotalEnergies and Adani Join Forces to Create a World-Class Green Hydrogen Company, https://totalenergies.com/media/news/press-releases/india-totalenergies-and-adani-join-forces-create-world-class-green(外部リンク)新しいウィンドウで開きます 2022年7月28日閲覧

 

以上

(この報告は2022年8月15日時点のものです)

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