ページ番号1009583 更新日 令和4年12月28日

「グリーン水素ハブ」を目指すエジプト・オマーン―背景・事業動向・開発ビジョン―

レポート属性
レポートID 1009583
作成日 2022-12-28 00:00:00 +0900
更新日 2022-12-28 13:19:31 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 環境エネルギー一般
著者 豊田 耕平
著者直接入力
年度 2022
Vol
No
ページ数 15
抽出データ
地域1 アフリカ
国1 エジプト
地域2 中東
国2 オマーン
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 アフリカ,エジプト中東,オマーン
2022/12/28 豊田 耕平
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概要

  • 2022年11月のCOP27では、エジプトとオマーンのグリーン水素に関する取り組みが注目された。特にエジプトはアフリカ地域初のグリーン水素事業の試運転を開始し、オマーンは国営水素会社を設立した。
  • グリーン水素事業を推進する背景について。エジプトは国内ガスの不足、また余剰電力の輸出という観点から、グリーン水素が代替エネルギー源かつ新たな輸出収入となり得る。他方でオマーンは石油・天然ガスの減退に見舞われており、脱化石燃料依存のための収入源としてグリーン水素が重要となる。
  • グリーン水素事業の現状について。エジプトはCOP27を奇貨として、多数の外国企業とグリーン水素事業に関するMOU、枠組み合意を締結した。他方でCOP27が終了した今から、具体的な事業を進められるかが課題となる。オマーンは早期から官民連携を強め、組織の役割を明確化することに成功した。他方で、各事業は堅調に進んでいるものの、今後さらに外国企業を誘致しなければならないだろう。
  • グリーン水素開発ビジョンについて。エジプトはスエズ運河という世界の海上交通の要衝を押さえていることから、通過する船舶に燃料を供給する「グリーン燃料バンカリングハブ」としての性格を強めている。他方でオマーンは港湾にフリーゾーンを設置し、重化学工業等を誘致してきたことから、それら既存の産業にグリーン水素による環境価値を付与して輸出する、「グリーン産業ハブ」の可能性を見出しつつある。
  • 両国の取り組みは両国固有のものではない。それぞれの特徴を組み合わせつつ、自国をどのような「グリーン水素ハブ」に成長させるのか、今後注視する必要がある。

 

1. はじめに

2021年10月に英国グラスゴーで開催されたCOP26では、中東諸国が次々とカーボンニュートラル目標を掲げたことが注目を集めた。10月7日に2050年カーボンニュートラル目標を発表したUAEをはじめとして、サウジアラビア、バーレーン、イスラエルがカーボンニュートラル目標を宣言した。加えてサウジアラビア主導で中東グリーンイニシアティブサミットを開催する等、COP26は中東諸国が気候変動対応への目標を掲げる機会となった。

2021年のCOP26を中東でのカーボンニュートラル「第一の波」と形容するならば、2022年にエジプト・シャルムエルシェイクで開催されたCOP27は中東におけるカーボンニュートラル「第二の波」ということができる。COP27前後でオマーン(2050年目標)とクウェート(2060年目標[1])がそれぞれカーボンニュートラル目標を掲げたが、今回の「波」で特筆すべきはグリーン水素事業に関する動きだろう。エジプトとオマーンの二か国は低炭素水素に関する国家戦略概要を公表し、特に再生可能エネルギー電力由来のグリーン水素事業に関して具体的な取り組みを進めようとしている。エジプトはアフリカ地域初のグリーン水素事業の試運転を開始し、外国企業と20件以上にも及ぶMOUを締結した。またオマーンは国営水素会社ハイドロム(Hydrom)を設立するとともに、グリーン水素事業のための用地入札を開始している。両国は正にカーボンニュートラル「第二の波」の主役であり、将来的に中東でのグリーン水素事業をリードする存在と目されている。

本稿では、エジプトとオマーンのグリーン水素動向について、その背景・事業動向・開発ビジョンを明らかにする。まず両国がなぜこれほどグリーン水素事業に注力するのか(背景)を分析し、現時点での両国での主なグリーン水素事業の進捗(事業動向)を整理する。その上で、現在計画されている事業から、両国が今後どのようにグリーン水素事業を推進していくのか(開発ビジョン)を検討する。

なお、エジプトとオマーンで計画されているグリーン水素事業は多くが事業化可能性調査の段階にあり、具体的な事業内容に関する多くの情報は公開されていない。そのため本稿では、個別事業の経済性を検討するのではなく、両国がどのような背景から水素事業を検討し、今後どのように推進しようとしているのかを分析することを試みる。

 

2. 背景: 代替エネルギー源・収益源としての重要性

グリーン水素とは再生可能エネルギー電力によって水を電気分解することで生成されるクリーン燃料の一種である。天然ガスを改質することで生成し、プロセス中に排出された二酸化炭素をCCUS(二酸化炭素回収・利用・貯留)技術を用いて処理することで低炭素化するブルー水素と異なり、グリーン水素は生成プロセス中に二酸化炭素を排出しないことや、季節や時間帯により過不足が生じる再生可能エネルギーの高効率利用(間欠性の補完)といった観点から欧米や再生可能エネルギーのポテンシャルが高い国・地域で注目を集めている。再生可能エネルギー電力の拡大において、水素は電力の間欠性を補う重要な役割を担う。つまり、太陽光が十分に照射しない夜間や風量の少ない時間帯には、再生可能エネルギーは十分な電力を提供することができない。その際に、昼間や風量の多い時間帯に余剰の再生可能エネルギー電力から生産したグリーン水素を発電燃料として用いることで、それらの電源を補完することができる。つまり、水素は一種の再生可能エネルギー電力の蓄電手段として活用することができるのである。

中東地域は世界有数の産油・産ガス地域として知られており、これまで石油・天然ガスが国家経済で最大限に活用されてきた。しかし、グリーン水素の生産にはそれらの炭化水素資源ではなく、中東の新たなポテンシャル、つまり広大な遊休地や豊富な日射量・風量を活用することが求められる。

では、なぜエジプトとオマーンは、それらの新たなポテンシャルを活用することを試みているのか。以下ではエジプトとオマーンそれぞれについて、この新たな国内資源を活用する背景を分析する。

 

(1) エジプト

エジプトがグリーン水素事業を推進する背景には、第一に国内での天然ガス不足がある。天然ガスはエジプトの一次エネルギー消費の6割程度を占め、その需要はこれまで国内でのガス生産によって賄われてきた。さらに2005年以降は、国内需要を満たして余りある天然ガスを、国内に存在する2基のLNG輸出基地からLNGとして輸出してきた。しかし図1のとおり、人口増加によって国内エネルギー消費が拡大し、主要ガス田の生産量が急速に減少していったことで、エジプトは2014年に天然ガス純輸入国に転じている。その後、2017年に東地中海のゾール(Zohr)ガス田が生産を開始したことから、2019年には再度天然ガス輸出量が輸入量を上回ったが、依然としてエジプト国内の天然ガス需給に余裕はない[2]

天然ガスの国内需給が逼迫する一方、2021年後半からスポットLNG価格が高騰していることで、エジプトはLNG輸出量の増加に向けて天然ガスを節約することを試みている。具体的には、イスラエルからのパイプラインガスの輸入量増加、火力発電所での天然ガスから石油への燃料転換等を採用し、さらに2022年8月には国民に対して商業施設やスタジアム等でのガス消費量を削減する計画を策定している[3]。将来的にはさらに天然ガス需給が逼迫されると想定される中、これらの施策は中長期的には持続可能とは言えないだろう。

(図1)エジプトの天然ガス消費量・生産量(2000~2021、BCM)
(図1)エジプトの天然ガス消費量・生産量(2000~2021、BCM)
(出所:BP Statistical Review of World Energy 2022)

この状況で、より長期的な対応策として注目されているのが再生可能エネルギーである。エジプト政府は図2のとおり、2035年に再生可能エネルギーで電力需要の42%を賄うことを目指している。エジプトは2018年からエジプト南部アスワンで稼働を始めた1,465MWのベンバン・ソーラーパークをはじめとして、2021年には計3,316MWとアフリカ大陸においては南アフリカ共和国に次ぐ太陽光発電・風力発電容量を有する。しかし、再生可能エネルギーへの取り組みが進んでいるドイツと比較すると、僅か36分の1以下の容量しか有していない。今後は紅海沿岸において風力発電を、南部アスワン付近において太陽光発電容量を拡大させ、2026年には2021年比で再生可能エネルギー容量を倍増させる見通しである(図3)。それ以降にも、サウジアラビアのアクワパワー(ACWA Power)やUAEのマスダール(Masdar)が紅海沿岸で10GW規模の風力発電所を建設することを発表しており[4]、再生可能エネルギーのさらなる拡大が見込まれる。

(図2)エジプトの再生可能エネルギー目標
(図2)エジプトの再生可能エネルギー目標
(出所:エジプト新・再生可能エネルギー庁(NREA)を基にJOGMEC作成)

(図3)エジプトの太陽光・風力発電容量推計(MW)

(図3)エジプトの太陽光・風力発電容量推計(MW)[5]
(出所:IRENA、各社・各機関公表資料を基にJOGMEC作成)

エジプトがグリーン水素に高い関心を持つもう一つの背景として、近年のエジプトによる電力輸出政策がある。エジプトは2014年以降、電力不足を解消するために積極的な発電所建設を進め、2020年には2万MWもの余剰電力を抱えるほどに電力供給量を増加させた。2020年代からは、これまでも電力を輸出してきたリビアやヨルダンへの供給量を増加させるほか、2020年にはスーダンへの電力輸出を開始し、2021年にはサウジアラビアと送電線の接続に関する契約に署名している。このような「中東・アフリカ地域の電力輸出ハブ」を目指す動きに加え、ギリシャ・キプロスと送電線を接続することに合意し、地中海を越えて欧州まで電力を輸出する可能性も高まっている[6]

アフリカから欧州への電力輸出構想としては、サハラ砂漠で太陽光発電を行い欧州に送電することを目指す「デザーテック(Desertec)」構想が10年以上前に設立されている。同構想は2009年の設立以来、中東・アフリカ地域から再生可能エネルギー電力を送電する「デザーテック1.0」から、中東・アフリカ地域市場で再生可能エネルギーの活用を促進しようとする「デザーテック2.0」に形を変え、2020年頃からの「デザーテック3.0」では、再生可能エネルギー電力をグリーン水素にして欧州に供給する構想を検討している[7]。次章で整理するエジプトでのグリーン水素事業計画に参加する多くの企業がデザーテックの共同パートナー、戦略パートナーに含まれることから、エジプトのグリーン水素事業が推進された背景に同計画が存在すると言っても過言ではないだろう。

以上のとおり、エジプトは天然ガスの代替エネルギーとしての再生可能エネルギー電力を国内で効率的に活用し、その上で余剰電力を新たな収入源とするために、グリーン水素事業を推進している。

 

(2) オマーン

オマーンがグリーン水素事業を進める背景には、切迫した脱石油依存の必要性が存在する。図4のとおり、オマーンの国家収入においては石油・ガス収入が一貫して70%程度以上を占めている。オマーンはサウジアラビアやUAE等と同様、天然資源から得た収入を社会保障等に充てることで国民の支持を獲得し、体制を維持する「レンティア国家」である。その意味で、石油・天然ガス収入はオマーンの政治・経済の根幹をなしているのである。

(図4)オマーンの国家収入(百万オマーンリヤル)
(図4)オマーンの国家収入(百万オマーンリヤル)
(出所:オマーン財務省を基にJOGMEC作成)

にもかかわらず、オマーンを支える石油・天然ガス収入は他の湾岸アラブ諸国と比較して脆弱であると言わざるを得ない。オマーンの主要な油ガス田はいずれも老朽化による生産減退が進んでおり、ガス等を圧入して生産量を増加させる原油増進回収法(EOR)によって生産を維持している状況である。そのため図5のとおり、他の湾岸アラブ諸国の原油・天然ガスの可採年数が少なくとも50年程度であるのに対し、オマーンの2020年時点での可採年数は原油が15年、天然ガスが18年と極めて短い。このため、サウジアラビアやUAE等が性急なエネルギートランジションに否定的であり、石油・天然ガスを最大限に活用しようとしているのに対して、オマーンには早急に脱石油・天然ガスの取り組みを進めなくてはならない事情が存在している。

(図5)湾岸アラブ諸国の石油・天然ガス可採年数
(図5)湾岸アラブ諸国の石油・天然ガス可採年数
(出所:BP Statistical Review of World Energy 2022)

オマーンは早期から脱化石燃料・経済多角化を志向し、1995年には「オマーン・ビジョン2020」を策定し、脱化石燃料依存に向けた経済・社会開発の取り組みを進めてきた。依然として石油・天然ガス収入が国家収入の大半を占める中、その後継として定められたのが2019年に公表された「オマーン・ビジョン2040」である。同ビジョンにおいて、グリーン水素事業は「環境及び天然資源」項目での優先事項として取り上げられており[8]、エジプト同様に再生可能エネルギーの間欠性を補完する役割を果たすことで、再生可能エネルギー電力の導入目標(2030年20%、2040年35~39%)に貢献することが期待される。その他にも、非石油部門でのGDP拡大や民間セクターでの雇用創出という観点でも、新たな産業としてのグリーン水素事業が貢献する余地が存在する。

このようにオマーンには一足早いエネルギートランジション・脱化石燃料依存を達成し、経済多角化と石油・天然ガスにかわる新たな収入を確保するために、早期からグリーン水素事業を推進する動機が存在した。そのため、オマーンは他の湾岸アラブ諸国と比べて早期から輸出向けのグリーン水素事業開発を検討し始めている。2018年10月には官民共同でグリーン水素技術の検討を進める「オマーン水素イニシアティブ」が設立され、2020年3月にはグリーン水素事業「ハイポート・ドゥクム(Hyport Duqm)」の実施が事業者間で合意されている。これは湾岸アラブ諸国がグリーン水素事業で注目されるきっかけとなった2020年7月のサウジアラビアのNEOMにおけるグリーンアンモニア事業の公表よりも早く、このことからもオマーンが早期から着実に検討を進めてきたことが窺える。

 

3. グリーン水素事業動向:COP27を利用するエジプト、堅実に足場を固めるオマーン

中東・アフリカ地域の中では早期からグリーン水素事業の検討を進めてきたエジプトとオマーンにとって、COP27はその成果を披露する恰好の舞台であった。

オマーンはCOP27開催前月にグリーン水素戦略を発表し、併せて国営水素企業ハイドロムの設立と水素事業用地の入札開始を打ち出した。また開催後の12月初頭には、自国で第2回グリーン水素サミットを開催し、グリーン水素事業に関心のある多くの外国企業から注目の的となった。

他方でエジプトはCOP27の議長国として外国企業とグリーン水素事業に関するMOUを多数締結するとともに、会期中にはEUとの「EU・エジプト再生可能水素パートナーシップ」を設立し、米国のバイデン大統領からEU・ドイツと共同でエジプトのクリーンエネルギー移行への5億ドルの資金提供を約束される等、COP27議長国のプレゼンスを利用して具体的な事業に向けた枠組み・資金を集める機会を得た。

以下ではCOP27にてそれぞれ取り組みを進めてきたエジプトとオマーンの戦略や個別事業に着目し、グリーン水素事業における両国の現状を確認する。

 

(1) エジプト

エジプトは2021年7月にエルシーシ大統領がシェイカー電力・再生可能エネルギー大臣に対してグリーン水素生産のための統合国家戦略の策定を指示し、COP27の会期中に戦略が公表されると噂されていた。しかし、COP27では「2040年までに世界の水素市場の8%を占めることを目指す[9]」という概要のみが紹介され、2022年内に正式に発表することとなっている。水素事業のための法制度の整備に関して政府からの言及はなく、水素事業に関する政策・規制は現時点で公表されていない。

具体的な事業は表1のとおり、スエズ運河経済特区(SC Zone)に位置するアイン・ソクナ(Ain Sokhna)において複数のグリーン水素事業が計画されている。エジプトではエジプト送電会社(EEHC)、エジプト新・再生可能エネルギー庁(NREA)、エジプト政府ファンド(TSFE)、スエズ運河局(SC Zone)と外国企業とのMOUが2022年4~5月、8月、12月に集中的に発表された。

 

(表1)アイン・ソクナで計画・開発中のグリーン水素事業
(表1)アイン・ソクナで計画・開発中のグリーン水素事業
(出所:各社資料等を基にJOGMEC作成)

中でも、ノルウェーのスカテック(Scatec)、UAE国営石油会社ADNOCの子会社であるファーティグローブ(Fertiglobe)らが参画する通称「エジプト・グリーン」事業は、COP27中にアフリカ地域初のグリーン水素事業の試運転に至っている[10]。またこの他、12月初頭には外国企業と新たに7つのMOUを締結している。その中ではその他の中東・アフリカ諸国でも水素事業に参画を試みているBPやアクワパワーとのMOU、7つのうち唯一具体的な容量が公表されているフランスのボルタリア(Voltalia)及びエジプトのタカ・アラビア(Taqa Arabia)と締結したMOUが注目を集めている。

エジプトでは外国企業とのMOUが既に20件以上締結されているが、実際に稼働に至っているのは「エジプト・グリーン」事業だけであり、それ以外に進展のある計画はCOP27の会期中にMOUから枠組み合意に発展した程度の進捗に留まる。COP27で高まったグリーン水素事業の機運を、今後具体的な事業に結び付けられるかが課題となるだろう。

 

(2) オマーン

オマーンはCOP27前の2022年10月23日、2050年カーボンニュートラル目標を宣言するとともにグリーン水素戦略を公表した。グリーン水素戦略では2030年までにグリーン水素を100~125万トン生産し、そのために推定1,400億ドルのグリーン水素事業への投資を目指すことが表明された。その後2040年には325~375万トン、2050年には750~850万トンと急速にグリーン水素の生産量を増加させる構えである[11]。グリーン水素への外国投資を促進するため、2022年11月から2023年3月にかけてドゥクムのグリーン水素事業用地2鉱区を対象とした第1回入札を実施しており、その後2023年4月から12月にかけて、南部ドファールのグリーン水素事業用地4鉱区を対象とした第2回入札を控えている[12]

この背景には、前述したとおり脱石油依存へのプレッシャーから、グリーン水素事業の検討を早期に進めていたことがある。特に同国は2021年8月にエネルギー・鉱物省が13の官民組織から構成される国家水素同盟「ハイ・フライ(Hy-Fly)」を設立する等、官民連携の体制を着実に整備してきた。最終的に国営水素会社ハイドロムが設立されることで、エネルギー・鉱物省が水素分野の法規制の整備を、ハイドロムがグリーン水素事業実施の監督を所掌し、OQは実際に事業に参画し、アシャド・シッピング(Asyad Shipping)が生産物の輸送を行うという政府組織・国営企業間の明確な役割分担がなされることとなった[13]。結果として戦略公表後、迅速に生産量目標達成に向けた事業用地の入札を開始することが可能となっている。

具体的な事業は表2のとおり、中部ドゥクム、南部サラーラ、北部ソハールで事業が計画されているが、最も進展しているのはドゥクム港での事業である。オマーンではOQを中心に、早期から個別企業との協議を進めてきたことで、エジプトに比べて計画数は限られているものの、着実に進んでいる事業がいくつか存在している。

(表2)オマーンで計画・開発中のグリーン水素事業
(表2)オマーンで計画・開発中のグリーン水素事業
(出所:各社資料等を基にJOGMEC作成)

特に進展しているのが、2020年3月にMOUを締結し、オマーン政府が最も戦略的に重視していると言われるハイポート・ドゥクム事業である。同事業は2022年6月に用地取得を完了し、既にFEED段階に進むことを決定している。またドイツのユニパー(Uniper)と生産物の引き取りに関して合意していると報じられている[14]。またエジプトでグリーン水素事業の試運転を開始したスカテックとインドのアクメ・グループ(ACME Group)が参画する事業も同様の進捗を見せ、ノルウェーの肥料企業ヤラ(Yara)と生産物の引き取りについて合意している[15]。早期から検討がなされてきたこれらの2事業は2026年の稼働に向け、事業体制が固まりつつある。

また、上記2事業と同様にドゥクムで計画されているグリーン・エナジー・オマーン(Green Energy Oman)は、最大1,000万トンのグリーンアンモニアを製造する世界的にも規模の大きい事業である。この事業は2040年時点でオマーンのグリーン水素の全生産量の20%を占める見込みであると言われている。参画企業の一つである香港のインターコンチネンタル・エナジーは豪州でも同等規模の2事業を計画しており、本事業も同社のグローバルな大規模事業展開の一環と考えられる[16]

以上のとおり、オマーンではエジプトより事業数が限られている一方で、政府組織・国営企業の役割分担や各事業での体制・進捗等を見ると、着実に事業体制が固まりつつある。今後、2回の事業用地入札や第2回グリーン水素サミットを経て、さらなる外国企業を誘致することができるかが焦点となるだろう。

 

4. 開発ビジョン:「グリーン水素ハブ」とは何か?

グリーン水素に関する取り組みが進んでいる両国はいずれも、両国の政府・事業関係者から「地域的な・グローバルなグリーン水素ハブ(を目指す)」と言及されることが多い。これは語義通り捉えると、両国が将来的にグリーン水素の輸出拠点となり、欧州を中心にグリーン水素等を輸出していくことを指していると考えられる。しかし前章で見てきた事業動向を踏まえると、そのような一般的な意味に加えて両国固有の特徴を活用した「グリーン水素ハブ」の姿を見出すことができる。

本章では、ここまで整理してきたエジプト・オマーンの水素事業の背景と事業動向を踏まえ、両国が今後どのようにグリーン水素事業を推進しようとしているか、どのような「グリーン水素ハブ」となり得るかを検討する。

 

(1) 「グリーン燃料バンカリングハブ」としてのエジプト

エジプトはグリーン水素等の輸出に加え、その地理的特徴を活用し、船舶用燃料を供給する「グリーン燃料バンカリングハブ」としての機能を備えようとしている。

言うまでもなく、エジプトのスエズ運河は世界で最も重要な海上交通の要衝の一つである。IEAによると2021年時点で世界の原油貿易の約5%、石油製品貿易の約10%、LNG貿易の約8%がスエズ運河を経由している[17]。2021年にはコンテナ船「エバーギブン」号の座礁によって、3月23日から29日にかけて運河が通行不可となる事故が発生したことは記憶に新しい。そのとき海上に100隻以上の船舶の混雑を生み、コンテナ船運賃が世界的に1割超上昇したことも、スエズ運河の海上交通における重要性が現代も変わらず存在することを裏付けている。

上記表1で見たとおり、エジプトはこのスエズ運河沿岸に位置するアイン・ソクナにグリーン水素事業を集中的に誘致している。加えて、既存市場が存在し、一定の需要が保証されている肥料用アンモニアを除けば、いずれの事業も生産物をバンカー(船舶用)燃料として用いることを想定している。特にEDF等が参加するMOUとマスダール等が参加するMOU において生産するeメタノールは、既に20隻程度の船舶燃料として用いられており、未だ専用エンジンを開発中のグリーンアンモニアと異なり、短中期的に船舶燃料として利用可能だろう[18]。さらに表には含まれていないが、エジプト政府は2022年3月にデンマークの海運企業マースク(Maersk)と船舶用のグリーン燃料の供給に向けた協力についてパートナーシップ協定を締結し、10月には両者にドイツのシーメンス・エナジーを加えてグリーン水素事業の可能性を協議している。

このようにエジプトでは、バンカー燃料用のグリーン水素事業を推進し、エジプト政府と海運企業と提携する等、グリーン水素を船舶用燃料として活用する機運が高まっている。スエズ運河の地理的な重要性を活用し、航行する船舶にグリーン燃料を供給することで、エジプトは「グリーン燃料バンカリングハブ」を目指していると評価することができる。2018年4月に国際海事機関(IMO)が発表した船舶の温室効果ガス(GHG)排出量削減に関する戦略では、今世紀中に国際海運からのGHG排出ゼロを達成することを目指し、2030年から炭素排出量に関する規制を導入することが定められている[19]。船舶用燃料の低炭素化を迫られる中で、海上交通の要衝であるスエズ運河でのグリーン燃料バンカリングの推進は、国際海運業界への強力な後押しとなり得るだろう。

 

(2) 「グリーン産業ハブ」としてのオマーン

オマーンもエジプトと同様に、自国の特徴を生かした独自の「グリーン水素ハブ」の可能性を有している。具体的には、単なるグリーン水素・グリーンアンモニアの輸出のみならず、石油化学製品や鉄鋼等の脱炭素化を通じた「グリーン産業ハブ」の機能を獲得しつつある。

オマーン政府は同国がホルムズ海峡外に位置し、他の湾岸アラブ諸国と比べて安全保障上のリスクが低いことを利点として、ドバイ等の湾岸アラブ諸国・首長国に伍する物流ハブを目指してきた。現在グリーン水素事業の中心となっている北部ソハール、中部ドゥクム、南部サラーラにはいずれもフリーゾーンが設置されている。これらの港湾は外国企業に対して免税や自国民雇用に関する規制緩和等のインセンティブを付与することで投資を誘致し、経済多角化を目的とした港湾開発が進められてきた。いずれの港湾も1990年代後半以降、脱化石燃料依存を目指し、鉄鉱業や石油精製業、石油化学工業を中心とした投資が進んでいる。

グリーン水素事業は、オマーンの港湾における鉄鉱業・石油化学工業に対して脱炭素化の機会を提供する。一般的に、鉄鋼業や石油化学工業といった重化学工業は化石燃料を原材料として利用しており、脱炭素化が困難な(hard to abate)産業分野であると言われる。これらの分野で有効な低炭素化の方法として注目されているのが水素の活用である。例えば鉄鋼業では鉄鉱石の還元を石炭コークスでなく水素を用いて行うことで、また石油化学工業ではナフサ分解時に水素を活用することで、二酸化炭素の排出を削減することが可能と言われている。つまり、オマーンで投資が進んでいる重化学工業において水素を利用することで、単に水素・アンモニアを輸出するほかに、既存産業に環境価値を付加して輸出することが可能になる。

このような取り組みは鉄鋼業では既に見られ始めている。表2に示したとおり、ソハールではドイツのハイドロジェン・ライズ(Hydrogen Rise)とオマーンの鉄鋼大手ジンダル・シャディード(Jindal Shadeed)が提携し、鉄鋼業の脱炭素化を目的としたグリーン水素事業のFSを行っている。またドゥクムでは12月初頭、ジンダル・シャディードが2026年までに年間500万トンのグリーンスチールを生産するプラントを建設することを発表した[20]。加えて韓国の製鉄業最大手ポスコ(POSCO)も、ドゥクムの製鉄所付近で開発される大規模水素事業に参画することを表明している[21]

このようにオマーンは、港湾に設置したフリーゾーンにおける重化学工業を脱炭素化し、環境価値が付与された製品をグローバルに供給する「グリーン産業ハブ」としての能力を向上させつつあるということができる。欧州委員会が2020年に発表した『欧州水素戦略』では、特に鉄鋼業や化学産業、輸送業等の炭素集約的で電化・脱炭素化が困難な部門において、クリーン水素技術を適用することを目指している[22]。そのため、これまでの石油・天然ガス貿易に比べて、グリーン水素の需要は電化が困難な部分のみに限定される可能性がある。その場合、オマーンのような産油ガス国は水素輸出が国家経済を支えるに足る収入源となりえず、2章で述べた「石油・天然ガス収入の減少」が解消されないかもしれない。したがって、単なる水素輸出以外にグリーン水素を用いて既存産業に付加価値を与え、需要を創出していくことが水素生産国にとって重要となるだろう。

 

5. おわりに

本稿では、エジプトとオマーンが中東・アフリカ地域のグリーン水素事業をリードする存在であることを事業の背景・事業動向・開発ビジョンの観点から明らかにしてきた。エジプトは外国企業とのMOU、協力枠組みを多数構築しており、オマーンは規制やインセンティブの前提となる政府組織の機能分担においてそれぞれ進んでいる。しかし、グリーン水素事業をリードしているというのは、単に水素事業そのものの進捗や水素事業の数が勝っているという意味に留まらない。両国は、自国の利点を活用することで、他国に対して競争力を有する独自の「水素ハブ」となりつつあるのである。

他方でエジプト、オマーンそれぞれの利点は、他国にも少なからず当てはまるものである。エジプトもスエズ運河に経済特区を設置しており、オマーンもグリーン水素サミットにおいてOQ、アシャド、住友商事、マースクがグリーン燃料バンカリングの可能性調査を実施すると発表している[23]。今後両国を含む水素生産国が、どのように自国の強みを見出し、どのように利用方法を多様化していくのか。また今後サウジアラビアやUAE、その他中東・アフリカ諸国がどのような強みを持ってグリーン水素事業を展開しようとするのか。その変化を注視していく必要がある。

 

[1] クウェートは国家全体のカーボンニュートラル目標を2060年に定めたが、石油・天然ガス部門においては2050年のカーボンニュートラル達成を目指すことを宣言している。

[2] エジプトの天然ガス動向については、以下拙稿を参照されたい。
豊田耕平「東地中海ガス田の行方―欧州向けガス輸出ルートの可能性と課題―」『JOGMEC石油・天然ガス資源情報』2022年9月
https://oilgas-info.jogmec.go.jp/info_reports/1009226/1009453.html

[3] “Egypt Creates Plan to Reduce Electricity Consumption,” Al Monitor, August 19, 2022,
https://www.al-monitor.com/originals/2022/08/egypt-creates-plan-reduce-electricity-consumption.(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[4] Peter Stevenson, “Acwa Signs Mega 1.1 GW Egypt Wind Farm Deal,” MEES, June 24, 2022, https://www.mees.com/2022/6/24/power-water/acwa-signs-mega-11gw-egypt-wind-farm-deal/efb1bbe0-f3b8-11ec-af99-cb6ba6f00c2d;(外部リンク)新しいウィンドウで開きます
“Egypt, UAE Agree on Wind Farm Project to Generate 10 GW of Electricity,” Ahram Online, July 5, 2022, https://english.ahram.org.eg/News/471144.aspx.(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[5] 現在計画中の太陽光発電・風力発電事業が予定通りに稼働すると想定したもの。

[6] 久門武史「エジプト、欧州に電力輸出へ 再生エネを活用」『日本経済新聞』2021年10月21日https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR13DR00T11C21A0000000/(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[7] Desertec Industrial Initiative, accessed on December 27, 2022, https://dii-desertenergy.org/.(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[8] “Vision Document,” Oman Vision 2040 Implementation Follow-Up Unit, accessed on December 27, 2022, https://www.oman2040.om/oman2040-en.html.(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[9] “Egypt to launch low-carbon hydrogen strategy by year end: Electricity minister,” Ahram Online, November 26, 2022, https://english.ahram.org.eg/NewsContent/3/16/480543/Business/Energy/Egypt-to-launch-lowcarbon-hydrogen-strategy-by-yea.aspx.(外部リンク)新しいウィンドウで開きます
なお、ロイターの報道では5%を目指すこととなっている。Aidan Lewis, “Egypt Signs Framework Deals in Bid to Launch Hydrogen Industry,” Reuters, November 16, 2022, https://www.reuters.com/world/middle-east/egypt-signs-framework-deals-bid-launch-hydrogen-industry-2022-11-15/.(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[10] “Scatec and partners start commissioning of “Egypt Green”, Africa’s first integrated green hydrogen plant, during UN Climate summit,” Scatec, November 8, 2022, https://scatec.com/2022/11/08/fertiglobe-scatec-orascom-construction-and-the-sovereign-fund-of-egypt-start-commissioning-of-egypt-green-africas-first-integrated-green-hydrogen-plant-during-un-climate/.(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[11] Megan Byrne, “Oman Sets Out Stall for 8.5mn T/Y Green Hydrogen by 2050,” MEES, October 28, 2022, https://www.mees.com/2022/10/28/refining-petrochemicals/oman-sets-out-stall-for-85mn-ty-green-hydrogen-by-2050/f7704010-56a4-11ed-95d2-fd5ed6fded64.(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[12] 入札の詳細については国営水素会社Hydromの以下HPに詳しい。“Green H2 Auctions,” Hydrom, accessed on December 27, 2022, https://hydrom.om/auction.html.(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[13] Conrad Prabhu, “State Entities to Play Key Roles in Oman's Hydrogen Economy,” Oman Observer, October 30, 2022, https://www.omanobserver.om/article/1127608/business/economy/state-entities-to-play-key-roles-in-omans-hydrogen-economy.(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[14] Jamie Ingram, “Uniper Joins Oman Green Ammonia Project,” MEES, July 23, 2022, https://www.mees.com/2021/7/23/refining-petrochemicals/uniper-joins-oman-green-ammonia-project/cc6966b0-ebb9-11eb-8688-375500872116.(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[15] Magan Byrne, “Oman Green Ammonia Offtake Deal,” MEES, July 15, 2022, https://www.mees.com/2022/7/15/news-in-brief/oman-green-ammonia-offtake-deal/46188030-0435-11ed-96e6-cf46b1f7f349.(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[16] “Our Projects,” InterContinental Energy, accessed on December 27, 2022,
https://intercontinentalenergy.com/our-projects.(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[17] Kristine Petrosyan, “Suez Canal Closure Highlights Asia’s Growing Dependence on Eastward Oil Flows,” IEA, March 27, 2021, https://www.iea.org/commentaries/suez-canal-closure-highlights-asia-s-growing-dependence-on-eastward-oil-flows.(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[18] Kerry Preston, “Bunker Market Set to Fragment in Green Push,” Petroleum Intelligence Weekly, October 25, 2022, https://www.energyintel.com/00000184-092e-d82d-a3fe-3d7f1d670000.(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[19] “Initial IMO GHG Strategy,” IMO, accessed on December 27, 2022,  https://www.imo.org/en/MediaCentre/HotTopics/Pages/Reducing-greenhouse-gas-emissions-from-ships.aspx.(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[20] Megan Byrne, “Oman Explores Industrial Uses Of Green Hydrogen With ‘Green Steel’ Plant,” MEES, December 9, 2022, https://www.mees.com/2022/12/9/power-water/oman-explores-industrial-uses-of-green-hydrogen-with-green-steel-plant/f1a37510-77be-11ed-8a4f-459972f4e4d4.(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[21] Conrad Prabhu, “South Korea Steelmaker Mulls Hydrogen, Green Steel Venture in Oman,” Oman Observer, December 5, 2022, https://www.omanobserver.om/article/1129318/business/energy/south-korea-steelmaker-mulls-hydrogen-green-steel-venture-in-oman.(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[22] European Commission, “Communication from the Commission to the European Parliament, the Council, the European Economic and Social Committee and the Committee of the Regions: A hydrogen strategy for a climate-neutral Europe,” European Union, July 8, 2020, https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:52020DC0301.(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[23] Byrne, op. cit.

 

以上

(この報告は2022年12月28日時点のものです)

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