ページ番号1009585 更新日 令和5年1月4日

(短報)欧米によるロシア産石油価格上限設定に対して、ロシアが大統領令を発出

レポート属性
レポートID 1009585
作成日 2023-01-04 00:00:00 +0900
更新日 2023-01-04 13:23:41 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 市場基礎情報
著者 原田 大輔
著者直接入力
年度 2022
Vol
No
ページ数 3
抽出データ
地域1 旧ソ連
国1 ロシア
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 旧ソ連,ロシア
2023/01/04 原田 大輔
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概要

  • 6月にG7首脳会合(ドイツ・エルマウ)で検討が開始されたロシア産石油の取引価格に上限を設定する新たな制裁については、9月のG7財務相会合(同ベルリン)にて制度化及び実装することで合意に至った。
  • 12月2日、EUは価格上限をバレル当たり60ドルに設定することに全加盟国の同意を取り付け、G7も同様に60ドルを価格上限として設定する措置を相次いで発表。12月5日から発動された[1]
  • この動きに対して、ロシア政府は発動前後から複数の政府高官が、価格上限に参加する国に石油ガスを販売しないことや対抗措置として複数の選択肢を検討しており、できるだけ早く大統領令を発出することを明らかにしていた[2]。その内容は、大まかに(1)上限設定を支持した全ての国への石油輸出の禁止。(2)どこが受取国であろうと、価格上限の条件を含む契約下での輸出を禁止。(3)ロシアのウラル原油の国際指標に対する最大割引額を設定して販売を許可する。(4)2023年1月1日から原油輸出量を5~7%削減する、という4つの点に分けられる。
  • 大統領令は最終的に欧米制裁発動から三週間余り経った12月27日に発令された。大統領令発出に3週間もかかったのは上記の選択肢では欧米に対する効果的な対抗措置にならず、議論が続いていたことを示すものと考えられる。最終的に出てきたものは上記(1)(2)を併せたものであり、発効日も2023年2月1日から5カ月間と時限設定が為され、欧米によって発動された石油禁輸措置を追認する内容に近く、世界の石油市場に即刻大きな影響を与えるものではなかった。
  • 重要な点として、制裁下での抜け道となり、ディスカウントされたロシア産原油を購入してきた中印トルコ等に対して、「踏み絵」を用意し、ロシアか欧米(上限価格設定)かを選ばせる効果を狙ったものとも見ることができる。他方、これらの国はロシア産石油を購入しているのは政治的判断というよりも経済的利益(安価)から購入しているのが実際である。足元の取引では、ロシア産原油(ウラルブレンド)は国際価格(80ドル前後)から25ドル程度値引きさせられているため、事実上上限価格(60ドル)の範囲内にある。また、これからの取引に契約上「上限価格」を盛り込む場合には今次大統領令に違反することになるが、これらの国はそのような条件を盛り込まないよう要望するロシアに従うことに対して、当然見返りを求めてくるだろう。つまり、ロシアはいずれにしても価格を下げる又は輸送コスト負担等を強いられることになると考えられる。
  • 日本に対する影響では、欧米制裁の例外となったサハリン2への影響が注目されるが、サハリン2については欧米制裁上、上限価格設定措置の例外であり、大統領令に規定された「そのような供給に関する契約において直接又は間接的に制限価格設定メカニズムが利用されている旨の規定がある場合」には、既存の契約(生産者であるサハリンスカヤ・エネルギヤ社とその生産原油であるサハリンブレンドの各国のバイヤー間で結ばれた購入契約)には抵触しないと考えられる。
  • 他方、大統領令の実行(適用方法)は今後明らかになる複数の政府決定、エネルギー省・財務省による運用の説明を待つ必要があり、今後の各担当省庁による追加情報に注目が集まる。

 

<参考>大統領令(第961号)[3]抄訳

「特定の外国政府によるロシア産石油及び石油製品に対する制限価格の設定による燃料エネルギー分野における特別経済措置の適用について」

(注)太線は筆者加筆。

ロシア産石油(нефть=oil)及び石油製品(нефтепродукты=oil product)の制限価格の設定を目的としたアメリカ合衆国及びそれに加わる外国政府並びに国際機関の非友好的かつ国際法に反する行動に関し、ロシア連邦の国益保護を目的とし、また、2006年12月30日付連邦法第281号「特別経済措置及び強制措置について」、2010年12月28日付連邦法第390号「安全保障について」及び2018年6月4日付連邦法第127号「米国及びその他の外国政府による非友好的行為に対する措置(対抗措置)について」に従い、以下を決定する。

  1. アメリカ合衆国及びこれに加わる外国により導入され、ロシア産石油及び石油製品が上記の外国政府の定める制限価格(制限価格設定メカニズム)を超える価格で販売される場合に適用されるロシア産石油及び石油製品の海上輸送及びその輸送に関連する役務の提供の禁止に関連し、外国法人及び自然人に対するロシア産石油及び石油製品の供給について、そのような供給に関する契約において直接又は間接的に制限価格設定メカニズムが利用されている旨の規定がある場合、これを禁ずる。当該禁止事項は、最終購入者に至る全ての供給段階において適用される。
  2. 本大統領令により定められたロシア産石油の供給禁止は、本大統領令の発効日(注:2023年2月1日)から適用される。
  3. 本大統領令により定められたロシア産石油製品の供給禁止は、ロシア連邦政府の定める日から適用されるが、本大統領令の発効日よりも以前の場合は適用されない。
  4. 本大統領令により禁止されているロシア産石油及び石油製品の供給は、ロシア連邦大統領の特別決定に基づいて実施することができる。
  5. ロシア連邦政府は、

(ア)本大統領令の規定が適用される、ユーラシア経済同盟の対外経済活動の単一商品命名法における商品コードのリストを決定する。

(イ)本大統領令で定められたロシア製石油製品の供給禁止が適用される日を決定する。

(ウ)本大統領令で定められた禁止事項を実施することを目的とした決定(複数)を採択すること。

(エ)本大統領令の第1項の実施状況を監視するための手順を決定する。

  1. ロシア連邦エネルギー省は、定期的に、ロシア連邦政府の定める手続きに従って、本大統領令第1項の実施状況を監視する。
  2. ロシア連邦エネルギー省に対し、ロシア連邦財務省との合意に基づいて、本大統領令の適用の問題に関する公式説明を提供する権限を付与する。
  3. 燃料・エネルギー分野の活動に関する問題についての省庁間ワーキング・グループに、本大統領令の実施状況の監視を委任する。
  4. 本大統領令は、2023年2月1日から発効し、2023年7月1日まで有効。

ロシア連邦大統領 V.プーチン

モスクワ、クレムリン
2022年12月27日
第961号

 

[1] 拙稿「G7、EU及び豪州がロシア産石油禁輸に併行して60ドルの価格上限設定を発動」(2022年12月12日)も参照されたい。
https://oilgas-info.jogmec.go.jp/info_reports/1009226/1009566.html

[2] ヴェーモスチ及びロイター(2022年12月7日)

[3] ロシア大統領府HP:http://kremlin.ru/acts/news/70196(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

 

以上

(この報告は2023年1月4日時点のものです)

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