ページ番号1009834 更新日 令和5年7月12日

イラク・クルディスタン地域からのガス輸出可能性:「脱ロシア」ガス供給源か、イラクのエネルギー危機の処方箋か

レポート属性
レポートID 1009834
作成日 2023-07-12 00:00:00 +0900
更新日 2023-07-12 13:07:03 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 天然ガス・LNG基礎情報
著者 豊田 耕平
著者直接入力
年度 2023
Vol
No
ページ数 12
抽出データ
地域1 中東
国1 イラク
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 中東,イラク
2023/07/12 豊田 耕平
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概要

  • 本稿では、2022年2月から「脱ロシア」ガス供給源の一つとして注目されるイラク・クルディスタン地域のガス輸出ポテンシャルと、トルコ及びイラク連邦政府領への輸出に向けた課題を分析する。
  • 2023年3月以降、クルディスタン地域のバルザーニ首相はトルコ、英国、湾岸諸国に対してクルディスタン地域のガス輸入やガス開発への投資に関する協議を進めている。加えて、2023年5月にはホールモールガス田の拡張プロジェクトが再開され、クルディスタン地域のガス生産増加に向けた取り組みも進んでいる。
  • クルディスタン地域はイラク連邦政府領や他の「脱ロシア」ガス供給源と比べて面積・人口ごとの埋蔵量が大きい。現時点ではホールモール(Khor Mor)ガス田の非随伴ガス、フルマラ・ドームからの随伴ガスのみを生産しているが、今後は拡張プロジェクトや新たなガス田の生産開始によって、2030年前後から輸出可能なガスが確保されていく見通し。
  • ガス生産の拡大と並行して、トルコへのガス輸出計画も検討が進んでいる。他方、トルコへの輸出には(1)イラク国内での政治的対立、(2)トルコでの供給源の多様化によるクルド産ガスの必要性低下、(3)イランやロシアの関与が課題として存在。
  • イラク連邦政府領はクルド産ガスのもう一つの輸出先として考えられる。イラク連邦政府は随伴ガスの回収・非随伴ガスの開発を進めようとしているが、国内ガス不足を短期的に解消する術は存在しない。そのため、クルド産ガス・電力の供給がイラク連邦政府にとって短期的な処方箋になるかもしれない。
  • トルコへの輸出にはクルド産ガスがトルコのガス市場で競争力を持つことができるか、イラク連邦政府への輸出には2022年以降高まる連邦政府・クルディスタン地域政府間の法的・政治的対立が解決するかどうかが焦点となる。今後、これらの課題がどのように解決に向かうかが、クルディスタン地域のガスの行き先を決定していく。

 

1. はじめに

2022年3月28日、米国のシンクタンクであるアトランティック・カウンシルが主催したグローバル・エナジー・フォーラムにおいて、イラク・クルディスタン地域のバルザーニ首相は「私たちは近い将来、イラクの他地域、トルコ、欧州に向けたガスの純輸出者となる」と発言した[1]。イラク・クルディスタン地域はこれまで10年以上にわたって欧州への潜在的なガス供給源として見なされてきたが、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻を機に、その存在感を強めている。バルザーニ首相は英国のジョンソン首相(当時)やトルコのエルドアン大統領とエネルギー輸出の可能性について協議し、またUAEやカタールといった湾岸諸国に対してクルディスタン地域のガス開発への投資を呼び掛けている[2]

バルザーニ首相の「資源外交」に呼応して、クルディスタン地域の主要ガス田では拡張プロジェクトが着実に進展している。クルディスタン地域最大の非随伴ガス田であるホールモールガス田の拡張プロジェクトでは、ここ数年で二度の作業停止に陥りつつも、2023年5月になってようやく作業が再開された。さらに、ホールモールガス田のオペレーターであるカー・グループ(KAR Group)は、2021年12月に同ガス田と域内の発電所を接続しているガスパイプラインをトルコ国境付近まで延伸するためのEPC契約に署名しており、輸送部分の計画も着実に進もうとしている。

これに影を落としているのが、イラク連邦政府とクルディスタン地域政府との緊張関係である。2023年3月から継続しているイラク・トルコ間原油パイプラインの供給停止は、クルディスタン地域からトルコへのエネルギー輸出が容易ではないことを改めて示した。このような状況において、イラク連邦政府領へのガス・電力輸出というもう一つの選択肢が浮上する可能性がある。イラン産ガス輸入依存からの脱却を目指すイラク連邦政府にとって、クルディスタン地域からのガス輸入は短中期的な解決策になる可能性がある。

本稿では、今後のクルディスタン地域からのガス輸出の可能性について、クルディスタン地域のガスポテンシャルとトルコ・イラク連邦政府へのそれぞれの輸出に向けた政治的・技術的課題という二つの側面から検討する。

 

2. クルディスタン地域のガスポテンシャル

本章では、クルディスタン地域のこれまでのガス生産と今後の生産見通しについて概観することで、同地域の将来的なガス輸出余力を検討する。

世界有数の石油大国として知られるイラクに対し、クルディスタン地域ではそのガス生産・輸出のポテンシャルに注目されることが多い。それは、第一にクルディスタン地域がその面積・人口に比して大きなガス埋蔵量を有しているからである。クルディスタン地域天然資源省の発表によると、同地域のガス確認埋蔵量は25兆立方フィート(tcf)であり、イスラエルのリヴァイアサンガス田の確認埋蔵量とおおむね同程度の規模である[3]。表1のとおり、イラク全体や他の「脱ロシア」ガス供給源候補のアルジェリア、イスラエルと比べ、クルディスタン地域は人口・面積当たりのガス埋蔵量が大きいことが分かる。

(表1)イラク・アルジェリア・イスラエルの人口・面積当たりガス埋蔵量
  ガス埋蔵量
(十億cf)
面積
(万km)
面積当たり埋蔵量
(十億cf/km)
人口
(万人)
人口当たり埋蔵量
(十億cf/人)
クルディスタン地域 25,000 4 6,250 617 41
イラク(全体) 131,156 44 2,981 4,450 29
アルジェリア 159,054 238 668 4,490 35
イスラエル 6,216 2 3,108 955 7

(出所)世界銀行、Oil and Gas Journal、KRG天然資源省などからJOGMEC作成

クルディスタン地域が産ガス地域として知られるもう一つの理由は、イラク連邦政府の管轄地域とガスの賦存形態が異なっていることがある。イラク南部に賦存するガスは主に石油生産に伴って生産される随伴ガスである。イラク連邦政府が各社と締結する技術サービス契約(TSC)では油田開発のオペレーターに対してガスの利用権が認められておらず、オペレーター各社には随伴ガスを回収するインセンティブが存在しない。一部の随伴ガスは石油開発とは別に推進されている随伴ガス回収事業によって回収・処理されているが、依然としてほとんどの随伴ガスは大気中にフレアされている。他方でクルディスタン地域では、主に前述したホールモールガス田からの非随伴ガス、つまり石油に伴わない気体のみの形として生産されている。イラク連邦政府管轄下ではガスが単なる副産物であるのに対し、クルディスタン地域ではガスこそが主要な生産物であり、オペレーターはガス販売契約を通じて収益を確保することができる[4]

クルディスタン地域のガスポテンシャルに期待が集まる一方で、現時点での同地域のガス生産量はそれほど多くない。クルディスタン地域では、2022年にはホールモールガス田から425mmcfd(日量百万立方フィート)の非随伴ガス、キルクーク油田の一部であるフルマラ・ドーム(Khurmala Dome)から125mmcfdの随伴ガスをそれぞれ生産している[5]。クルディスタン地域のガス需要は年間11bcm(十億立方メートル)程度であり、上述した域内生産量はちょうど需要の半分程度を賄っているという計算になる。つまり、クルディスタン地域でもイラクの他の地域と同様、現時点では域内の発電用ガス不足をディーゼル燃料などによって補っているのが現状である。この背景には、複数の非随伴ガス田の開発が2010年代から停滞し、未だ生産に至っていないことがある。トプハナ(Topkhana)ガス田とクルダミール(Kurdamir)ガス田では2016年5月に開発計画が提出されたが、開発は遅々として進まず、オペレーターであるスペインのレプソル(Repsol)が権益売却の意向を示すこととなった[6]。またミラン(Miran)及びビナバウィ(Bina Bawi)ガス田は、トルコへの輸出を念頭に英国のジェネル・エナジー(Genel Energy)[7]が開発を検討してきたが、後述するとおりトルコへのガス輸出計画が停滞したことでこれらのガス田開発も進まず、2021年12月にジェネル・エナジーが締結していた生産物分与契約は期限を迎え終了した[8]

クルディスタン地域では2030年にかけて、これらの非随伴ガス田の生産開始と、既存ガス田からの生産拡大により、ガス輸出余力を確保していくことが期待されている。この生産拡大の主力となるのがホールモールガス田の拡張プロジェクトである。ホールモールガス田は数度の設備増強(デボトルネッキング)を経て、その生産能力を当初の305mmcfd から500mmcfdまで拡大してきた。このガス田では今後、2基のガス処理プラント(各250mmcfd)を建設することで、2030年までに1bcfd(日量十億立方フィート)の生産能力に到達することが期待されている(表2)。中東地域を専門とするエネルギー・コンサルタントのロビン・ミルズ(Robin Mills)氏による報告書では、ホールモールガス田の生産拡大に加え、他の非随伴ガス田が2030年ごろまでに生産を開始すると想定したうえで、クルディスタン地域におけるガス輸出能力が2030年に7.3bcm、2040年に21.3bcmに達すると推計している(図1・表3)。これはつまり、2040年にはクルディスタン地域が2022年のアゼルバイジャンから欧州へのパイプラインガス輸出量(22.4bcm)に匹敵するガスを輸出する可能性があるということである。

(表2)ホールモールガス田の拡張プロジェクト
拡張プロジェクト 生産能力
2018年10月 デボトルネッキング事業 305mmcfd → 400mmcfd
2020年8月 プラントバイパス事業 400mmcfd → 440mmcfd
2022年末 デボトルネッキング事業 440mmcfd → 500mmcfd
2024年前半
(予定)
国内供給向けガス処理プラントの増設
(KM250事業)
500mmcfd → 750mmcfd
未定 輸出向けガス処理プラントの増設 750mmcfd → 1bcfd

(出所:各種報道からJOGMEC作成)

図1・表3 クルディスタン地域のガス生産量・消費量予測(bcm/年)
(図1・表3)クルディスタン地域のガス生産量・消費量予測(bcm/年)

(出所:Qamar Energy(2021)[9]からJOGMEC作成)

 

3. トルコ向け輸出に関する三つの課題

これまで、クルディスタン地域で生産されたガスは主にトルコやその先の欧州に向けて輸出されることが想定されてきた。生産能力の拡大によって生まれた余剰ガスを輸出するためには、クルディスタン地域からトルコに向けたガスパイプラインが整備され、トルコ側とのガス売買契約が締結される必要がある。しかし、2000年代後半から現在にわたって検討されてきた開発・輸出計画は、パイプラインの建設とガス引取先の確保という点で常に課題を抱え、頓挫してきた。以下では、クルディスタン地域がガス輸出に向けて解決すべき三つの課題を検討する。

 

(1) イラク国内の政治的混乱

第一に、イラク国内の政治的混乱によって、クルディスタン地域のガス田及び将来的に建設されるパイプラインの法的・政治的なコントロールが不安定化していることが挙げられる。政治的混乱はクルディスタン地域内の二大政党間のライバル関係、イラク連邦政府とクルディスタン地域政府(KRG)との争いという二つのレベルで生じている。

クルディスタン地域の二大政党間の争いは、両政党の実質的な支配領域が分かれていることから、領域をまたぐガスパイプラインの建設にあたって障害となる。クルディスタン地域に存在するクルディスタン民主党(KDP)とクルディスタン愛国同盟(PUK)との間には長らくライバル関係が存在し、1994年には両者間の内戦が勃発している。その内戦の結果として、KDPは中央部のエルビル、PUKは東部のスレイマニヤをそれぞれ拠点として支配地域が二分されることとなった。イラク戦争以降には統一政府の形成が図られ、206年にKRGが発足しているものの、それぞれの領域での二大政党を中心としたメディア・企業・NGOを含む経済ネットワークは根強く存在している[10]

この支配領域の二分化は、トルコへのガスパイプライン建設計画が進展しようとしている現在、障壁として顕在化している。はじめに述べたとおり、2021年12月にホールモールガス田のオペレーターであるカー・グループは同ガス田と域内の発電所を接続しているガスパイプラインをトルコ国境に近い西部ドホーク(Dohuk)まで延伸するためのEPC契約に署名した。KRGの第一党としてガス輸出計画を主導しようとするKDPに対して、PUKのタラバーニ党首は2022年4月、ガス輸出計画が透明性をもって進められるべきであり、そうでなければパイプラインは自身の「死体」の上に通されると述べ、強い反感を示した[11]。その後、PUKはカー・グループによるドホークへのパイプライン拡張プロジェクトへの認可を保留している[12]。この発言は、PUKの支配領域であるスレイマニヤ県に位置するホールモールガス田からKDP主導のガス輸出が推進されることで、PUKの経済的利権がKDPによって搾取されることを危惧した結果であるといえよう。

状況をさらに複雑にしているのが、イラク連邦政府とKRGとの対立である。イラク連邦政府とKRGは、2007年にKRGが独自の石油・ガス法を成立させてから、クルディスタン地域の石油・ガス開発の主導権をめぐって度々衝突してきた。最新の衝突は、2022年2月にイラク連邦最高裁判所がKRGの石油・ガス法が違憲であると判決し、イラク連邦政府がKRGとクルディスタン地域の石油開発・輸出に関わる外国企業に対して法的圧力を加えたことに始まる[13]。2023年3月にはクルディスタン地域からトルコへの原油輸出に関するイラク・トルコ間の国際仲裁裁判が決着し、イラク側の一部の権利が認められたことにより、2023年7月現在に至るまでイラクからトルコへのパイプラインを通じた原油輸出が停止している。このように、イラク連邦政府とKRGとの法的紛争は二者間にとどまらず、トルコを巻き込みエネルギー貿易に影響を与えるほどに拡大している。そのため、クルディスタン地域からトルコに向けたガス輸出は、イラク連邦政府・KRG・トルコの三者間の法的問題が解決し、ガス輸出に関係する外国企業がクルディスタン地域の法的安定性を信頼できるまでは、実行に移される可能性が低いだろう。

 

(2) トルコのガス需給動向

第二に、トルコ市場での供給源の多様化によって、クルディスタン地域からのガス供給の必要性が減少していることが挙げられる。この点は、2000年代に検討されたクルディスタン地域とトルコとの間を接続するナブッコ・パイプライン計画においても課題となってきた。

ナブッコ・パイプラインは、欧州ガス市場での過度なロシア産ガス依存を改めるべく、アゼルバイジャン領のシャーデニス(Shah Deniz)ガス田などから中欧諸国に至るパイプライン計画として2002年2月から検討され始めた[14]。2008年に生産が開始されたクルディスタン地域のホールモールガス田はこのパイプラインの供給源の一つとなることが見込まれていた。実際に、2009年5月にはナブッコ・パイプライン計画のコンソーシアムの主要企業であるオーストリアのOMVとハンガリーのMOLがホールモールガス田の権益を獲得していることからも、当時クルディスタン地域のガスに対する期待が高まっていたことが分かる[15]。しかし、ナブッコ・パイプラインはTAPやTANAP、サウスストリームといったトルコを経由する複数のパイプライン計画と競合することとなり、2013年6月にシャーデニスガス田を操業するBP及びアゼルバイジャン国営石油会社(SOCAR)は、距離が短く採算性に優れるTAPを供給ルートとして採用した[16]。クルディスタン地域からガス供給を含むナブッコ・パイプライン計画は、供給源の多様化を目指すトルコ・欧州市場へ向かうパイプライン間の競争に敗れたのである。

欧州に接続するガスパイプラインの中継点となるトルコのガス市場では、今後、ナブッコ・パイプライン計画が直面したガス供給源間の競争が生じる可能性がある。2022年10月にロシアのプーチン大統領が欧州向けの供給していたパイプラインガスを黒海方面に振り向け、トルコを「天然ガスハブ」として活用する意向を示した[17]。トルコへの最大のガス供給国であるロシアからの注目がさらに高まるとともに、トルコは新たなガス供給源も模索している。2022年8月に外交関係を再開したイスラエルとの間で、ガスパイプラインの建設に関する協議を始めたほか、2023年2月にはオマーンとの間で初めて、2025年から10年間・年間100万トンのLNG売買契約を締結した[18]。さらに今後、2023年末までにトルコ領黒海のサカリヤガス田の生産が本格化することが見込まれており、最終的にはトルコ国内のガス需要の15~25%を満たすことが期待されている[19]

クルディスタン地域のガスは、トルコにおけるこれらの既存及び新規のガス供給源との競争に直面することとなる。クルディスタン地域はトルコに地理的に近いという利点を有するものの、その他の国と比べて政治的に不安定な立場にある。加えて、同地域のガスは硫黄分の多いサワーガスであり、その処理プロセスに通常より多くの設備投資費を要するため、コスト競争力にも難がある[20]。今後の輸出に向けて、トルコ市場での競争がどの程度激しいものとなるのか、またその競争の中でクルディスタン地域のガスがどのように勝ち抜いていくのかが一つの焦点となっていくだろう。

 

(3) イランとロシアの関与

最後に、イランやロシアといった外部アクターがイラクのガス輸出計画に関与することで、計画の実現性を不確実にすることが挙げられる。イランやその代理勢力はイラクからのガス輸出計画を頓挫させようと試みており、ロシアはイラクからのガスフローをコントロールしようとしていると考えられる。

イランやイラクに存在する親イラン民兵勢力は、しばしばクルディスタン地域のガス開発・輸出事業に対して物理的な損害を加えている。表4に示しているとおり、2022年から2023年にかけて、イラン革命防衛隊(IRGC)や親イラン民兵によるものと思われるクルディスタン地域のエネルギー施設への攻撃が相次いで生じている。これらの攻撃は2021年12月からカー・グループが主導して進めるホールモールガス田からトルコへのガス輸出計画への反発を示したものとされる。このガス輸出計画にはイスラエルが関与しているとも噂されており、IRGCは3月の攻撃でイスラエルのインテリジェンス機関を攻撃したと主張している[21]。クルド原油がこれまで最終的にイスラエルへと供給されていたことを考慮しても、この噂は事実無根とは言い難い。また、イラク北部で拡大するトルコの軍事的影響力の牽制や、2022年10月に政権を形成した親イランシーア派連合の「調整枠組み」へのKRGの支持を確保するための圧力などの目的があったとも指摘される。いずれにせよ、イランやその代理勢力によるエネルギー施設への攻撃は2023年にも継続しており、外国企業がガス輸出計画を進めるうえでの懸念点となる。

(表4)クルディスタン地域のエネルギー施設への攻撃
攻撃対象(括弧内は攻撃主体)
2021年 9月 イラン系クルド人組織(イランIRGC)
2022年 3月 カー・グループCEO自宅(イランIRGC)
4月 カー・グループが所有するKawirgosk製油所(不明 
5月 カー・グループが所有するKalak製油所・Nineveh製油所(不明 
6月 ホールモールガス田(3回、不明 
7月 ホールモールガス田(不明 
10月 ホールモールガス田(不明 
2023年 1月 ホールモールガス田(不明 

注:イラクの親イラン民兵組織が攻撃主体であると推測されているもの。
(出所)各種報道からJOGMEC作成

ロシア国営企業はクルディスタン地域の上流権益、パイプライン権益を確保し、欧州に向かうガスフローを極力自身のコントロール下に置くことを試みていると考えられる。ロスネフチやガスプロムなどのロシアの国営エネルギー企業は、例えばイランでは2006年のイラン・アルメニア間ガスパイプラインの買収や近年のLNGプロジェクト検討への関与など[22]、ロシアの主要エネルギー市場である欧州への他国からのエネルギー供給をコントロールすることを試みる傾向にある。イラクにおいても、2013年以降に計画されてきたクルディスタン地域・トルコ間ガスパイプラインについて、ロスネフチがカー・グループとコンソーシアム(ロスネフチの権益60%、カー・グループの権益40%)を形成し、年間輸出能力30bcmのパイプラインに関するEPC契約を受注している[23]。たとえロシア政府やロスネフチにイラクからのガスフローをコントロールする意図がなかったとしても、現在「脱ロシア」天然ガス供給源を模索している欧州にとって、ガス輸出計画にロシア企業が深く関与することは好ましくない。ロスネフチの関与は欧州諸国にとってクルディスタン地域の「脱ロシア」天然ガス供給源としての魅力を失わせる可能性がある。

 

4. イラク連邦政府へのガス供給?

トルコへの輸出計画に困難な課題が立ちはだかる中、クルディスタン地域のガスのもう一つの供給先候補として見られているのがイラク連邦政府領である。イラク連邦政府領では2015年ごろから急増するガス需要に随伴ガス回収事業のペースが追いつかず、慢性的なガス不足に陥っている。図2のとおり、2022年時点でも随伴ガスの大半はフレアされ、大きく開いた需給ギャップをイラン産ガス輸入に依存することで辛うじて埋めている状況である。イランからのガス輸入は米国の対イラン制裁の期限付き適用除外の下でなされているほか、イラン自身も夏季・冬季の需要ピーク時には需給が逼迫するため、安定的なガスフローが確保できているとは言えない[24]

(図2)イラクのガス生産・消費・フレアリング量
(図2)イラクのガス生産・消費・フレアリング量
(出所)BP統計、世界銀行からJOGMEC作成

不安定かつ不十分なガス供給状況を改善するため、イラク連邦政府は随伴ガス・非随伴ガスの双方で生産拡大に向けた取り組みを推進している。随伴ガス回収事業に関しては、2023年4月にトタルエナジーズ(TotalEnergies)との間で2021年9月に合意された大規模エネルギー事業の一部である統合ガス事業(GGIP)の事業権益をトタルエナジーズが45%、イラク国営バスラ石油会社が30%、そして残りの25%をカタールエナジーが保有するという構成で合意している。そして2023年7月11日には、この大規模エネルギー事業に関する契約がようやく締結に至った[25]。このほか、シェルが操業している随伴ガス回収事業のバスラガスカンパニーでは、2023年5月に新規ガス処理プラント(200mmcfd)の増築が間もなく完了し、ガス処理能力が1.2bcfdまで増強される見込みであると発表された[26]。メジャーズ主導の大規模な随伴ガス回収事業が、2022年10月に成立した新政権の下で、新規稼働や拡張に向けて着実に進んでいるのである。

また、イラク連邦政府は新たなライセンスラウンドの実施によって非随伴ガス開発の後押しも試みている。5年ほど前に実施された、主にガス田を対象とする第5次ライセンスラウンドの上流開発契約が2023年2月にようやく批准されたのち、イラク連邦政府は立て続けに二回のライセンスラウンドの実施を発表した。一つが第5次ライセンスラウンドで落札されなかった4鉱区に新たな9鉱区を加えて実施される第5次ライセンスラウンドプラス(図3)、もう一つがサウジアラビア・ヨルダン・シリアとの西部国境付近の鉱区を対象とする第6次ライセンスラウンドである。これらのライセンスラウンドには、既発見の非随伴ガス田であるアッカス(Akkas)ガス田やマンスーリヤ(Mansuriyah)ガス田は含まれないが、主にガスリッチとみられる鉱区を対象にしている。

(図3)第5次ライセンスラウンドの対象ガス田
(図3)第5次ライセンスラウンドの対象ガス田
注:青字が新規鉱区、茶字が再入札鉱区
(出所:MEESなどからJOGMEC作成)

イラク連邦政府は2018年の第5次ライセンスラウンドから、欧米企業を中心に極めて不評であった技術サービス契約(TSC)のうち一部の契約条件を改善した探鉱・開発・生産契約(EDPC)を採用することで、メジャーズらの関心を喚起しようとしている。MEESによると、1バレル当たりの固定報酬から原油価格に連動したロイヤリティとコスト回収の後に残る収益の一定割合が各社に分配され、またこれまで契約対象外だったガスの価格が原油価格の50%に設定されるなど、財政条件やガスの取り扱いという点でTSCからの条件の改善がみられる[27]

しかし、これらの取り組みによってイラクのガス不足が即座に解決されるわけではない。非随伴ガス田開発には今のところメジャーズが参画する兆しはなく、トタルエナジーズのGGIP事業は2027年の生産開始を予定している。2023~2024年に生産開始が計画されている随伴ガス回収事業[28]がすべて予定通りにフル稼働に至ったとしても、2022年時点のガス需要を基準とすると1bcm程度の需要超過となる。また、今後OPECプラス減産に伴って随伴ガスの回収可能量が減少すること、その反面イラクのガス需要は増加の一途を辿っていることを考えると、上述した取り組み以上のガス供給量が必要となる。

このとき短期的なガス不足の解決策として考えられるのが、クルディスタン地域からのガス・電力供給である。イラク連邦政府とKRGは2020年4月、クルディスタン地域のガス田を共同開発し、生産されたガスをイラク連邦政府領のガス火力発電所に供給する計画について協議したと報じられた[29]。また、当時からKRGからイラク北部への電力供給が行われ、2020年7月にはイラク連邦政府がKRGと450メガワット(MW)の電力購入契約を締結したことから、クルディスタン地域のガスを域内発電所に供給し、生産された電力をイラク連邦政府領へ供給することも想定されたと考えられる。さらに、米国エネルギー省のメネゼス次官は2020年11月、クルディスタン地域のガスはイラク連邦政府がイラン産ガス依存を軽減させることに役立つと発言し[30]、クルディスタン地域からイラク連邦政府領へのガス供給に賛意を示した。米国は国際開発金融公社を通じてホールモールガス田の拡張プロジェクトに2.5億ドルの融資を約束しているが、対イラン関係で重要なイラク連邦政府領へのガス供給計画についても米国からの資金提供が期待できる。このようにクルディスタン地域からのガス供給は、火力発電所や送電網といった既存インフラを活用でき、今後の米国からのファイナンスが期待できることから、イラクのガス不足に対する短期的な処方箋になりうるのである。

 

5. おわりに

クルディスタン地域にはイラク連邦領や他の「脱ロシア」天然ガス供給源に匹敵するガス輸出ポテンシャルが存在し、トルコへのガスパイプラインの敷設計画が現在に至るまで検討されてきた。しかしこれまで20年近くにわたる検討の末、クルディスタン地域からのガス輸出は実現していない。その背景には、イラク国内の政治状況、トルコのガス市場の変化、そしてイランやロシアといった外部アクターによる関与という課題が存在する。その中でイラク国内での、連邦政府領へのガス・電力供給というもう一つの選択肢が浮上する。この選択肢はイラク連邦政府がガス不足を軽減することができ、クルディスタン地域はガス輸出ポテンシャルを活用できることから、両者に利のあるものとなる。

KRGは今後、トルコ・イラク連邦政府領の双方へのガス輸出計画を追求しつつ、自地域のガスポテンシャルを最大限に活用する方法を引き続き模索していくこととなる。トルコへの輸出については、KRGとトルコ政府の両者が輸出を進めていく意向があるものの、クルド産ガスがトルコのガス市場で競争力を有することができるかに疑問が残る。他方でイラク連邦政府領への輸出は、イラク全体のガス不足、イラン産ガス輸入への依存を軽減することが期待されるものの、2023年3月以降のクルディスタン地域からの原油輸出停止を含む連邦政府・KRG間の法的・政治的対立が障壁となる。今後、これらの政治的課題・ガス市場における課題がどのように解決に向かうかどうかが、クルディスタン地域のガスの行き先を決定していくだろう。

 

 

[1] Maha El Dahan and Riham Alkousaa, “Iraqi Kurdistan has energy capacity to help Europe, says Iraqi Kurdish PM,” Reuters, March 28, 2022, https://www.reuters.com/world/middle-east/iraqi-kurdistan-has-energy-capacity-help-europe-says-iraqi-kurdish-pm-2022-03-28/(外部リンク)新しいウィンドウで開きます.

[2] Yerevan Saeed, “Kurdistan’s Gas Exports: Reality or Mirage?” The Arab Gulf States Institute in Washington, October 17, 2022, https://agsiw.org/kurdistans-gas-exports-reality-or-mirage/(外部リンク)新しいウィンドウで開きます.

[3] “Leviathan,” NewMed Energy, accessed July 9, 2023, https://newmedenergy.com/operations/leviathan/(外部リンク)新しいウィンドウで開きます.

[4] ホールモールガス田では、当初生産量の305mmcfdについては域内発電所に無償で供給している。他方、その後の追加生産量についてはガス販売契約を締結し、操業各社は販売収益を得ることが可能。“Asset Report: Pearl Petroleum,” Wood Mackenzie, June 8, 2023.

[5] “Asset Report: Khurmala Dome,” Wood Mackenzie, November 21, 2022; “Integrated Report 2022,” Dana Gas, accessed July 9, 2023,  https://www.danagas.com/investors/reports/(外部リンク)新しいウィンドウで開きます.

[6] James Cockayne, “KRG: Repsol Exits Kurdamir,” MEES, February 28, 2020, https://www.mees.com/2020/2/28/corporate/krg-repsol-exits-kurdamir/59941e20-5a2f-11ea-a35c-2b49d057161a(外部リンク)新しいウィンドウで開きます.

[7] 豊田耕平「原油輸出停止で隘路に陥るイラク・クルディスタン地域の石油・ガス部門:イラク石油・ガス産業集権化への機運?」『JOGMEC石油・天然ガス資源情報』2023年6月6日。 https://oilgas-info.jogmec.go.jp/info_reports/1009585/1009800.html.

[8] “Update on Bina Bawi and Miran PSCs,” Genel Energy, December 10, 2021, https://genelenergy.com/media/press-releases/(外部リンク)新しいウィンドウで開きます.

[9] “The Natural Gas Sector in the Iraq Kurdistan Region (IKR),” Qamar Energy, September 2021, https://www.qamarenergy.com/?q=node/32(外部リンク)新しいウィンドウで開きます.

[10] 吉岡明子「イラク・クルディスタン地域の二大政党が抱えるリスク」『中東動向分析』2021年5月21日。

[11] Chenar Chalak, “PUK will obstruct KRG plans to export natural gas if process is not transparent: co-chair,” Rudaw, April 28, 2022, https://www.rudaw.net/english/kurdistan/280420224(外部リンク)新しいウィンドウで開きます.

[12] Kate Dourian, “Internal Squabbles, Legal Challenges, and Muddled Policy Impede Kurdish Gas Exports,” The Arab Gulf States Institute in Washington, May 18, 2022, https://agsiw.org/internal-squabbles-legal-challenges-and-muddled-policy-impede-kurdish-gas-exports/(外部リンク)新しいウィンドウで開きます.

[13] 豊田耕平「原油輸出停止で隘路に陥るイラク・クルディスタン地域の石油・ガス部門」。

[14] 本村眞澄「TANAP-TAPパイプラインがカスピ海のガスを欧州に運ぶ―アンバンドリング政策に翻弄された「Nabucco」パイプライン計画―」『JOGMEC石油・天然ガスレビュー』2014年3月。 https://oilgas-info.jogmec.go.jp/review_reports/1006521/1006531.html.

[15] “MOL and OMV join Dana Gas and Crescent in Kurdistan Region of Iraq,” Dana Gas, May 17, 2009, https://www.danagas.com/media/press-releases/?cat=2009#sec-1437(外部リンク)新しいウィンドウで開きます.

[16] Paul Sampson, “TAP Confirmed as Caspian Gas Pipeline Route,” International Oil Daily, June 27, 2013, https://www.energyintel.com/0000017b-a7c6-de4c-a17b-e7c628b00000(外部リンク)新しいウィンドウで開きます.

[17] Valerie Hopkins, Safak Timur and Stanly Reed, “Putin Offers to Make Turkey a Gas Hub to Preserve E.U. Energy Hold,” The New York Times, October 13, 2022, https://www.nytimes.com/2022/10/13/world/europe/putin-russia-turkey-gas-eu-energy.html(外部リンク)新しいウィンドウで開きます.

[18] Can Sezer, “Turkey signs 10-yr gas deal with Oman -Turkish energy minister,” Reuters, January 30, 2023, https://www.reuters.com/business/energy/turkey-signs-10-yr-gas-deal-with-oman-turkish-energy-minister-2023-01-30/(外部リンク)新しいウィンドウで開きます.

[19] Simon Martelli, “Turkey Holds Gas Field Ceremony as Election Nears,” International Oil Daily, April 17, 2023, https://www.energyintel.com/00000187-90d5-df2d-ad9f-d4f7ce4a0000(外部リンク)新しいウィンドウで開きます.

[20] Ahmed Tabaqchali, “The Kurdistan Region of Iraq’s Gas-Export Potential: Déjà Vu All over Again,” Atlantic Council Middle East Programs, November 2022, https://www.atlanticcouncil.org/in-depth-research-reports/report/kurdistan-positioned-in-prominent-role-in-global-gas-markets/(外部リンク)新しいウィンドウで開きます.

[21] Yesar Al-Maleki, “Iraqi Kurdistan’s Energy Sector Under Attack,” MEES, May 6, 2022, https://www.mees.com/2022/5/6/refining-petrochemicals/iraqi-kurdistans-energy-sector-under-attack/8d9a7400-cd3a-11ec-80a3-5bfeb774a01e(外部リンク)新しいウィンドウで開きます.

[22] 豊田耕平「ウクライナ侵攻で一変するイラン・中国・ロシアのエネルギー協力」『JOGMEC石油・天然ガス資源情報』2022年8月2日。 https://oilgas-info.jogmec.go.jp/info_reports/1009226/1009431.html.

[23] Simon Martelli and Nelli Sharushkina, “Rosneft Strikes KRG Gas Pipeline Deal,” International Oil Daily, September 17, 2017, https://www.energyintel.com/0000017b-a7d2-de4c-a17b-e7d2db320000(外部リンク)新しいウィンドウで開きます.

[24] 豊田耕平「戦後イラクの随伴ガス回収事業:資源大国イラクは天然ガス不足から脱却できるのか」『JOGMEC石油・天然ガス資源情報』2022年10月26日。 https://oilgas-info.jogmec.go.jp/info_reports/1009226/1009516.html#_edn4.

[25] Maher Nazeh and Nadine Awadalla, “Iraq, TotalEnergies sign massive oil, gas, renewables deal,” Reuters, July 11, 2023, https://www.reuters.com/business/energy/iraq-totalenergies-sign-27-bln-deal-energy-projects-2023-07-10/(外部リンク)新しいウィンドウで開きます.

[26] Simon Martelli, “Shell Starts Up Long-Delayed Iraq Gas Capture Project,” International Oil Daily, May 24, 2023, https://www.energyintel.com/00000188-4ef7-ddc5-ab9e-eff7a39a0000(外部リンク)新しいウィンドウで開きます.

[27] Yesar Al-Maleki, “Baghdad’s New Contract Model: Can It Reverse IOC Exodus?” MEES, March 10, 2023, https://www.mees.com/2023/3/10/oil-gas/baghdads-new-contract-model-can-it-reverse-ioc-exodus/e4fce230-bf42-11ed-ab6b-97988fabc6bd(外部リンク)新しいウィンドウで開きます.

[28] 豊田耕平「戦後イラクの随伴ガス回収事業」、9頁(表1)。

[29] Jamie Ingram, “Baghdad-KRG Talks Raise Prospect Of Gas Development Deal,” MEES, April 24, 2020, https://www.mees.com/2020/4/24/oil-gas/baghdad-krg-talks-raise-prospect-of-gas-development-deal/5c247830-8619-11ea-808a-657c37fcd38c(外部リンク)新しいウィンドウで開きます.

[30] Dania Saadi, “US urges Iraqi use of Kurdistan gas to limit Iran dependence,” S&P Platts News & Insights, November 24, 2020.

 

以上

(この報告は2023年7月11日時点のものです)

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