ページ番号1009925 更新日 令和5年11月7日
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概要
- 本稿では、10月7日に発生したイスラエルとガザ地区を実効支配するハマースとの衝突を受けた石油・天然ガス情勢への影響について、(1)石油価格、(2)天然ガス価格、(3)石油供給、(4)天然ガス供給の4項目に分けて論じる。
- (1)石油価格について、市場は中東地域のエネルギーインフラや海運に与える地政学リスクを懸念し、衝突の推移に細かく反応しているが、現時点でWTI価格は80ドル台前半に落ち着いている。しかし今後、実現可能性は低いものの、イランの直接的な関与を引き金とする「中東戦争」への拡大や米国による対イラン制裁が強化された場合の影響に留意すべきである。
- (2)天然ガス価格については、今回の衝突のほかにフィンランド・エストニア間海底天然ガスパイプライン「バルチックコネクター」の停止や豪州LNG輸出施設でのストライキ等の複合的な要因によって、2023年1~2月以来の高水準に達している。紛争の長期化によってエジプトでのLNG輸出停止が長期化すれば、価格を下支えする一つの要因となる可能性がある。
- (3)石油供給については、国際的な原油フローへの影響は限定的だが、イスラエル地中海沿岸・アシュケロン港の操業停止、イランのイスラーム諸国への対イスラエル禁輸の呼びかけがイスラエルの石油輸入を妨げうる。しかしイスラエルは以前からアラブ諸国以外の輸入先と国内流通網を確立し、石油の安定供給体制を確保してきたことから、今後もイスラエルの石油輸入は安定的に推移するとみられる。
- (4)天然ガス供給については、イスラエルから欧州へのエジプト経由での天然ガス供給、及びイスラエルとその周辺諸国での探鉱開発に対する悪影響が生じうる。タマルガス田の生産停止と東地中海ガス(EMG)パイプラインの稼働停止によってイスラエル産ガスのエジプトへの輸出が不安定化したことで、エジプトからのLNG輸出停止につながっているほか、「脱ロシア天然ガス供給源」として期待されていた大規模ガス田の拡張・輸出事業も再考を迫られる可能性がある。また、有望な探鉱エリアとして注目されてきた東地中海諸国(イスラエル、レバノン等)では探鉱鉱区入札が進められており、ガザ地区でもガス田開発が進展の兆しを見せていたが、今回の地政学リスクの高まりによって国際石油企業らの探鉱・投資意欲を後退させてしまう恐れがある。
- 今回の衝突では特に、(1)石油価格と(4)天然ガス供給への深刻な影響が懸念される。とりわけ④については、中長期的に東地中海諸国の「脱ロシア天然ガス供給源」としての信頼性や有望な探鉱エリアとしての期待を毀損することも考えられる。つまり、イスラエルは今回の紛争において、政治的な孤立に陥るリスクと共に、自国や周辺国のエネルギー資産の価値を低減させるリスクをも有している。
1. はじめに
10月7日、パレスチナ・ガザ地区を実効支配するハマースはイスラエルへの軍事作戦「アクサーの洪水」を開始した。イスラエル南部に向けて約3,000発のロケット弾が発射されたほか、ハマースの戦闘員が陸・海・空を通じてイスラエル領内に侵入したと報じられている。この直後にイスラエル国防軍はガザ地区に対する大規模な空爆を開始し、アルジャジーラによると11月5日までにイスラエル側で1,400人以上、パレスチナ側で9,900人以上が死亡している[1]。現在、イスラエルが限定的な地上作戦を実施しているほか、パレスチナ自治区のヨルダン川西岸の住民やレバノンのヒズブッラーとの間でも衝突が生じており、予断を許さない状況が続いている。
イスラエルを中心とする中東情勢の動揺は、突発的なエネルギー価格の上昇とイスラエルによる天然ガス生産・輸出の不安定化をもたらした。エネルギー市場は中東における地政学リスクの高まりに即座に反応し、10月9日には原油価格が3.5ドル/バレル程度、北東アジアスポットLNG価格(JKM)と欧州天然ガス価格(TTF)は1.5ドル/MMBtu程度高騰した。加えて、ガザ地区近辺に位置するイスラエルの天然ガスインフラが立て続けに停止している。イスラエルエネルギー省は9日に治安上の懸念から、オペレーターのシェブロン(Chevron)に対して、イスラエルの主要ガス田の一つであるタマルガス田の操業を停止するよう指示し、10日にはイスラエル・エジプト間で2004年から稼働する東地中海ガス(EMG)パイプライン[2]も操業を停止した。
イスラエルとハマースの衝突は、今後の国際石油・天然ガス市場及びイスラエルを中心とする石油・天然ガスフローにどのような影響を及ぼすのだろうか。本稿では、今回の衝突が(1)石油価格、(2)天然ガス価格、(3)石油供給、(4)天然ガス供給に及ぼした影響と、今後及ぼしうる影響を検討する。
2. 衝突が原油・天然ガス価格に与える影響
本章では、今般のイスラエル・ハマース間の衝突が原油価格、天然ガス価格に及ぼした影響と、今後及ぼしうる影響について考察する。ハマースによる侵攻の翌営業日(10月9日)には原油価格が3.5ドル/バレル程度、天然ガス価格が1.5ドル/MMBtu程度高騰したが、その後、衝突の動向に細かく上下する原油価格と複合的な要因によって上昇基調にある天然ガスは異なる動きを見せている。さらに将来的な価格動向に関しては、産油国イランのガザ地区への直接的な関与とエジプトからのLNG輸出の長期停止という、原油・天然ガス市場双方における潜在的な懸念が残っている。
(1) 原油価格
まず、衝突発生からの原油価格の推移を概観する。図1のとおり、10月初頭までは80ドル/バレル台前半へと下降基調にあったWTI原油価格は、衝突開始によって再び80ドル台後半へと上昇した。現時点での衝突はイスラエルとその周辺国を中心に展開され、サウジアラビアやUAE等の湾岸産油国に対する直接的な影響は及んでいないものの、市場は中東地域のエネルギーインフラや海運に与える地政学リスクを懸念し、衝突の推移に細かく反応している。
具体的に、原油価格はどのような展開に反応しているのだろうか。図1で示したとおり、10月13日、18~19日、25日、27日と原油価格が上昇する局面では、いずれもイスラエルのガザ地区への地上侵攻の可能性が高まる出来事が生じている。特に衝突開始から最も高い価格を記録した10月19日には、前日に中東諸国をはじめとする各国からの強い非難が生じたガザ地区のアル・アハリ病院の爆破事件が生じたことに加え、シリアやイラクで複数の米軍基地への攻撃が発生している[3]。このことから、これまでも多くのアナリストらが指摘してきたとおり[4]、原油市場はイスラエルのガザ地区への地上侵攻そのものというよりむしろ、紛争のエスカレーションによって米国や米国と協力関係にある湾岸諸国、敵対関係にあるイラン等の産油国を巻き込んだ「中東戦争」に発展することを強く懸念しているということができる。
他方で、今回の衝突では50年前のような「石油危機」と称するほどの影響が生じているとは言い難い。図2に示したこの2年間に限ってみても、2022年2月のロシアのウクライナ侵攻から半年程度の価格水準は、今回の衝突を受けた原油価格を大きく上回っている。前述したように、産油国ロシアが主体となったロシア・ウクライナ戦争に比べ、今回は現時点でイランや湾岸アラブ諸国等の主要な中東産油国が直接的に関与していないことから、原油価格も限定的な上昇に留まっていると評価することができる。
本節のまとめとして、今後の「中東戦争」による原油価格高騰のシナリオについて検討したい。市場関係者が恐れる今後の「中東戦争」は、現在のレバノンのヒズブッラー、イラクのシーア派民兵、イエメンのフーシ派などのイランの代理勢力のイスラエル・米軍権益への攻撃から、イランのガザ情勢への直接的な関与に発展し、米国や湾岸産油国を巻き込むことで生じると考えられている。具体的には、米国・イスラエルと敵対関係にあるイランがガザ地区への関与を強めることで、2019年のサウジアラビア・アブカイク石油施設への攻撃のような湾岸アラブ諸国のエネルギーインフラの破壊、また米国による対イラン制裁の強化といった余波が生じるというシナリオである。
しかし現時点では、このシナリオの実現可能性は低いと言えるだろう。なぜなら、米国とイランがともに紛争の拡大・エスカレーションを求めない姿勢を明確にしているからである。米国のブリンケン国務長官は8日にイランが今回のハマースによる攻撃の背後にいた証拠を確認できないと述べているほか[5]、イランのハーメネイー最高指導者や政府高官らは、今回のイスラエル攻撃はパレスチナ勢力の独自行動であり、自国が関与していないとの姿勢を一貫して示している[6]。これに加えて、米国とイランは互いに紛争のエスカレーションをもたらさないよう繰り返し警告し合っている。実際の行動を見ても、米国はエスカレーション抑止のために地中海沖に艦隊を展開し、イランは米国・イスラエルに対しては後述する対イスラエル禁輸の呼びかけ等の外交的圧力を加えるのみであり、親イラン民兵らによる米軍・イスラエルへの攻撃も同国への牽制や陽動の水準に留められている[7]。両者とも、今回の衝突が「中東戦争」へとエスカレートすることは望ましくないと考えていることが分かる。
上記にかかわらず、紛争には不測のエスカレーションの可能性が常に存在し、どのようにエネルギー価格に影響するかは予想できない。特にイスラエルがガザ地区への本格的な地上侵攻を開始したとき、イランやその代理勢力がどのような反応を見せるかは不透明である。すでにイエメンのフーシ派がイスラエルに対してミサイル攻撃を試みていることは、2019年のアブカイク石油施設への攻撃を想起させる。また、米国下院でも11月3日、イラン産原油取引への制裁を強化する法案が賛成多数で可決されており[8]、米国内にイランへの制裁強化を強く求める超党派勢力が存在していることが分かる。たとえ「中東戦争」の可能性は高くないとしても、イランの代理勢力による限定的な攻撃がエネルギー施設にも及ぶことや対イラン制裁が強化されること、さらにはそれらの出来事が紛争のエスカレーションにもつながる危険性があることは依然として留意しておくべきだろう。
(2) 天然ガス価格
次に、衝突発生以降の天然ガス価格の推移を概観する。図3に示したとおり、市場が中東情勢の動揺を受けてエネルギー価格全般の上昇を懸念したことから、衝突発生直後の10月9日には天然ガス価格も1.0~1.5ドル程度上昇した。しかし、その後の動きは原油価格とは異なり、必ずしも衝突の推移と連関しているとは言えない。この背景には、現在の天然ガス価格の上昇はイスラエルとハマースとの対立のみならず、複合的な要因によってもたらされていることがある。
欧州ガス価格(TTF)と北東アジアスポットLNG価格(JKM)は2023年春から10月初頭まで長く10ドル/MMBtu台前半を推移してきたが、10月中旬からは一貫して15ドル以上を記録している。この要因の一つにはイスラエルとハマースの衝突がスエズ運河やホルムズ海峡等の主要航路を含む中東全体のエネルギーインフラへのリスクが意識されたことがあるものの、それ以外の要因も同等以上の影響をもたらしている。一つは、10月8日に生じたフィンランド・エストニア間の海底天然ガスパイプライン・バルチックコネクター(Balticconnector)による送ガス停止である[9]。加えて、シェブロンが操業するゴーゴンLNG事業とウィートストーンLNG事業で9月上旬に生じていたストライキが再燃する恐れが生じたことも[10]、国際的なLNGの供給不安を煽る一因となった。これらの要因が10月上旬に重なった結果として、図4のとおり、現在のTTF価格とJKM価格は今年1~2月以来の高い価格水準を記録しているのである。
今後、イスラエルとハマースとの衝突は天然ガス価格にどのような影響を及ぼすのだろうか。焦点となるのは、冒頭で述べた10月9日のイスラエル・タマルガス田の生産停止と翌10日のイスラエル・エジプト間のEMGパイプラインの停止である[11]。タマルガス田は1.1bcfd(日量十億立方フィート)のガス生産能力を有し、リヴァイアサンガス田と並ぶイスラエルの大規模ガス田の一つである[12]。タマルガス田で生産された天然ガスは国内消費に供されるほか、一部はEMGパイプライン及びヨルダンを経由するアラブ・ガス・パイプライン(AGP)を通じてエジプトへと輸出されている(図5)。エジプトは2022年から自国のガス生産が低調であり、イスラエルから供給されるパイプラインガスはエジプトにとって地中海沖の2つのLNG輸出施設からLNGを輸出するための不可欠な供給源となっている。
エジプト内閣は10月29日、この重要なイスラエルからのガス輸出が、ガザ情勢の影響によって停止したと発表した[13]。これに先立ち、同月18日にはエジプトのイドク(Idku)LNG輸出施設に向かっていたLNGタンカーが航路を変更し、アルジェリアのアルズー(Arzew)LNG輸出施設に向かっていることが確認されている[14]。エジプトのモラ石油鉱物資源相は以前、国内ガス需要がピークに達する7~8月には一時的に停止していた同国のLNG輸出を10月から再開すると述べていたが、その見通しを実現することが困難になっている。GIIGNLによると、2022年にエジプトは678万トンのLNGを輸出しており、うちスポット輸出は73%(497万トン)にも及ぶ[15]。世界全体のスポットLNG取引における割合は3.7%に過ぎないものの、紛争の長期化によってエジプトのLNG輸出が長く滞ることとなれば、国際的なスポットLNG価格に上方圧力を加える一つの要因となるだろう。
3. イスラエルを中心とする石油・天然ガスフローへの影響
続いて、今回の衝突が実際の石油・天然ガス供給に及ぼした影響と、今後及ぼしうる影響について考察する。石油については、現時点で国際原油市場に影響するほどの事態は生じていないものの、今後の進展次第でイスラエルの石油輸入に影響を及ぼす可能性がある。また天然ガスについては、前述のとおりすでにエジプトからのLNG輸出に影響が生じているほか、中長期的には「脱ロシア天然ガス供給源」候補としての欧州へのLNG供給や、有望エリアとして注目されてきた東地中海諸国の探鉱開発が厳しい状況に陥る可能性がある。
(1) 石油フロー:イスラエルの原油輸入は妨げられないのか
今回の衝突では、イスラエルの石油輸入を妨げうる出来事が二つ生じている。一つがイスラエル地中海沿岸・アシュケロン(Ashkelon)港の操業停止、そしてもう一つがイランのイスラーム諸国への対イスラエル禁輸の呼びかけである。これらの出来事は、国内石油需要のほとんどを輸入に依存するイスラエルのエネルギー安全保障にどのような影響を及ぼすのだろうか。
第一に、アシュケロン港の操業停止による影響を考察する。アシュケロン港はイスラエル最大の石油ターミナルを備えており、これまでイスラエルの年間原油輸入(日量約28.5万バレル)のうち約86%を輸入してきた。10月9日、イスラエルとハマースの衝突が生じたことで、ガザ地区から10キロメートル程度の距離にある同ターミナルは操業停止を余儀なくされた[16]。同じく地中海沖のハイファ(Haifa)港とアシュドッド(Ashdod)港は通常通り操業していると報じられているが、そのうちアシュドッド港はここ5年間でほとんど原油輸入を行っていない。ハイファ港はアシュケロン港に次ぐ原油輸入を行ってきたものの、レバノンとの境界付近に位置しており、イスラエル国防軍とレバノンのヒズブッラーとの衝突が激化すれば、その影響を受ける可能性がある。
ここで注目されるのが紅海沿岸に位置し、アシュケロン港に次ぐ規模の石油ターミナルを有するエイラート(Eilat)港である。エイラート港は衝突の発生場所から遠くに位置しているものの、イスラエル国内の2つの製油所(アシュドッド製油所、ハイファ製油所)からも離れている。しかしこの難点は、イスラエルを横断する欧州・アジアパイプライン(Europe Asia Pipeline)によって克服される(図6)。このパイプラインは1970年代に革命前のイランから原油を輸入するために建設され、近年は主にイラク・クルディスタン地域からイスラエルに輸入された原油をアシュケロン港からエイラート港へと輸送し、アジア向けに再輸出するために活用されてきた[17]。それとは反対に、紅海で受け入れた原油をこのパイプラインを通じて地中海沿岸の2つの製油所に供給することで、イスラエルはガザ情勢の影響を回避して原油を輸入することができる。ブルームバーグは10月20日、アゼルバイジャンから原油を輸送するタンカーがエイラート港に向かっていると報じており[18]、すでにこのルート変更は顕在化し始めている。このように、アシュケロン港の閉鎖はイスラエルの石油供給を窮地に陥れるものではないことが分かる。
第二に、イランによる対イスラエル禁輸の呼びかけの影響について検討する。10月18日にサウジアラビアのジェッダで開催されたイスラーム協力機構(OIC)緊急会合において、イランのアブドラヒアン外相は各国に対してイスラエルへの「即時かつ完全」な石油禁輸を求めた[19]。11月1日にはハーメネイー最高指導者が、イスラーム諸国は「ガザ空爆の即時停止を推進」し、イスラエルへの「石油と食料の輸出を削減」する必要性を強調している[20]。OICには主要産油国の多くが加盟しており、世界エネルギー統計(旧BP統計)によると、2022年のOIC加盟国全体の石油生産量はOPEC(日量3,404万バレル)を超える日量3,955万バレル以上(世界全体の42%超)である[21]。イランは「パレスチナの大義」を共有し、世界の石油供給に大きな影響力を有する国が参集する場で石油禁輸を呼びかけることで、イスラエルに対して強い経済的圧力を加えることを試みているのである。
この圧力はイスラエルに対してどれほどの効果を発揮するのだろうか。イスラエルは図7のとおり、主にトルコやロシアから原油輸入を行っている。このうちトルコからの輸入は、アゼルバイジャンとイラク・クルディスタン地域からジェイハン(Ceyhan)港へとパイプラインで輸送された原油であり、ロシアからの輸入の多くはカザフスタンからパイプラインで黒海沿岸にあるノヴォロシースク(Novorossiysk)港へと輸送された原油である。このうちアゼルバイジャンはイスラエルから先端兵器を購入し、最近ではナゴルノ・カラバフ紛争で軍事支援を受ける等、イスラエルと緊密な軍事的関係を築いている。加えて、原油輸出のみならず、アゼルバイジャン国営石油会社(SOCAR)が英BPらと共にイスラエルで2022年12月から実施された第4回探鉱入札ラウンドに応札する等[22]、エネルギー面での協力関係も新たな段階に進んでいる。さらに2019年からはガボンやブラジル、米国といった周辺地域外からの原油輸入を拡大しており、2023年3月からのイラク・クルディスタン地域からの原油輸出停止[23]にも対応することができている。イスラエルは以前から、アラブ諸国による石油禁輸が実行されてもエネルギー安全保障が脅かされない輸入体制を整えてきたと評価できる。
また現時点で、OICに属する主要産油国らはイランの呼びかけに応じる姿勢を見せていない。OIC加盟国も多く含んでいるOPEC関係者はイランの呼びかけに対し、臨時会合の開催などの行動を予定していないと発言したことが報じられている。またサウジアラビア、UAE等のペルシャ湾岸アラブ諸国で構成される湾岸協力会議(GCC)のブダイウィー事務局長はこの呼びかけが発される前日に、GCCはエネルギー安全保障にコミットしており、石油を武器として使うべきでないと主張している[24]。今回の衝突でイスラエルに対して厳しい批判を投げかけているトルコも、今のところイスラエルへの原油輸出を妨げようとする動きは見せていない[25]。イランの呼びかけはイスラエルと関係を強化してきた湾岸アラブ諸国やナゴルノ・カラバフ紛争でイランと対立するアゼルバイジャンに対して圧力を加えるものと考えられるが、今のところ実際の石油フローを変化させるには至っていない。
以上のように、今回の衝突で石油フローを変化させうる二つの出来事―アシュケロン港の操業停止とイランの禁輸呼びかけ―は、イスラエルの石油安定供給に対して危機を生じさせていない。これは、イスラエルが情勢悪化前から柔軟かつ堅固なエネルギー安全保障体制を確立してきた結果と言えよう。
(2) 天然ガスフロー 1:欧州へのLNG輸出に対する余波
石油価格の上昇と並んで最も懸念されているのが、イスラエルから欧州へのエジプト経由での天然ガス供給、及びイスラエルとその周辺諸国での探鉱開発に対する悪影響である。前章で指摘したとおり、今回の衝突発生の数日後にイスラエルの大規模ガス田であるタマルガス田とイスラエル・エジプト間のEMGパイプラインが予防的措置として稼働を停止し、10月29日にはイスラエルからエジプトへのガス輸出が停止されたと報じられている。この動きは天然ガス価格を下支えすることに留まらず、より広く地域内外へのエネルギー輸出に変化をもたらす可能性がある。
イスラエル、エジプト、キプロスを含む東地中海ガス田は、とりわけ2022年2月にロシアのウクライナ侵攻が開始されて以降、欧州にとっての「脱ロシア天然ガス供給源」の有力候補として注目されてきた[26]。イスラエルはLNG輸出施設を有するエジプトに対して2020年からパイプラインガスを輸出しており、これら三か国の中でも特に期待される産ガス国であった。イスラエルの大規模ガス田であるタマルガス田、リヴァイアサンガス田はそれぞれ2025年、2030年までに生産能力を拡大する計画を発表しており、2022年6月にはイスラエルから欧州へのLNG輸出を拡大することを意図したイスラエル・エジプト・EU間MOUが締結されている。このMOUに前後して、2021年後半には欧州での天然ガス不足が深刻化したことで、エジプトから欧州諸国へのLNG輸出は増加し、2022年全体ではエジプトのLNG輸出量の7割以上が欧州向けとなっている。
今回の衝突は東地中海から欧州への天然ガス輸出に大きな影響を及ぼしうる。イスラエルにはリヴァイアサンガス田、タマルガス田、カリシュガス田という3つの主要ガス田が存在し(表1)、そのうちカリシュガス田を除く2ガス田からエジプトとヨルダンに、EMGパイプラインとAGP(図5)とを通じてガスを供給している。図8のとおり、イスラエルは2022年にこれらのガス田から2.1bcfdの天然ガスを生産し、うち1.2bcfdを国内消費に、0.9bcfdをエジプト・ヨルダンへの輸出に回していた。特にエジプトは近年、国内ガス需要の増加に反してガス生産量が減退してきたことから、イスラエルからのパイプラインガスの輸入を2020年に開始し、2023年上半期には前年同期比46%増の0.8bcfdまで急速に増加させていた[27]。2023年末にはエジプトへの供給容量を拡大するためのパイプライン拡張事業[28]が完了すると予定されており、エジプト国内市場、さらには欧州諸国へのLNG供給を見据えたイスラエルからのガス輸出拡大が期待されていた。
ガス田 | 可採埋蔵量(天然ガス) | 生産能力 | 事業者 | 発見/生産年 |
---|---|---|---|---|
タマル | 10.5 Tcf | 1.1 bcfd | Chevron (25%)、Isramco Negev 2 (28.75%)、Tamar Petroleum (16.75%)、Mubadala Energy (11%)、他3社 | 2009/2013 |
リヴァイアサン | 22.7 Tcf | 1.2 bcfd | NewMed Energy (45.34%)、Chevron (39.66%)、Ratio Energy (15%) | 2010/2019 |
カリシュ | 1.4 Tcf(2P) | - | Energean (100%) | 2013/2022 |
カリシュ・ノース | 1.1 Tcf(2P) | - | Energean (100%) | 2019/2023(予定) |
タニン | 0.9 Tcf(2P) | - | Energean (100%) | 2011/未定 |
(出所:各社公表資料からJOGMEC作成)
(出所:MEES[29]からJOGMEC作成)
上記のような状況を考えると、今回の衝突によってイスラエルからエジプトへのガス輸出が不安定化し、エジプトからのLNG輸出に影響を及ぼしているのも当然の帰結だろう。エジプト内閣は10月29日にイスラエルからの天然ガス輸入がゼロになったと発表しているが、エナジー・インテリジェンスはイスラエルの上流事業関係者がガス輸出は中断していないと述べたと報じている[30]。MEESは11月1日、イスラエルのリヴァイアサンガス田からエジプトへのガス輸出は継続されているものの、輸出量はこれまでの0.8bcfd程度から0.15~0.2bcfdまで急減していると指摘している[31]。いずれにせよ、イスラエルからエジプトへのパイプラインガス輸出が今回の衝突によって不安定化し、それがエジプトのLNG輸出にも影響を及ぼしていることは確かである。
今後、紛争のエスカレーションによって、イスラエルの残り2つのガス田であるカリシュガス田とリヴァイアサンガス田も地政学リスクにさらされる可能性がある。カリシュガス田は2022年6月にイスラエル・レバノン間の海洋境界が確定されないまま生産準備が進められた際、ヒズブッラーによる軍事行動の威嚇を受けている。実際に同ガス田付近には無人偵察機3機が派遣され、海上生産施設の治安リスクが強く懸念される事態となった[32]。イスラエルとヒズブッラーの衝突が激化した場合、カリシュガス田が再度攻撃対象となる可能性は高い。同様のリスクはイスラエルのリヴァイアサンガス田にも存在する。リヴァイアサンガス田では、2030年までの生産能力の拡大を目指すフェーズ1B開発計画において、年間460万トン規模の浮体式LNG輸出施設(FLNG)をイスラエル北部ドール(Dor)から10キロメートル沖合に係留することが検討されてきた[33]。今回の衝突によってイスラエルの海上生産施設の治安リスクが再認識されることで、開発計画の進展に影響を及ぼす可能性がある。
以上のように、今回の衝突は短期的にはタマルガス田の生産停止によってイスラエルからエジプトへのガス輸出量が急減し、エジプトからのLNG輸出停止が長期化しうる事態を招いている。のみならず、中長期的な紛争の展開によっては、イスラエルの他の主要ガス田の治安リスクも高まることによって、「脱ロシア天然ガス供給源」たる東地中海諸国の筆頭であるイスラエルからの天然ガス輸出の信頼性が大きく損なわれることになりかねない。
(3) 天然ガスフロー 2:イスラエル・レバノン・ガザ地区の探鉱開発
ガザ情勢の悪化は既存のガス田開発・生産以外に、新たなガス田の発見に向けた探鉱活動にも支障を及ぼしうる。東地中海では2010年代初頭からリヴァイアサンガス田やエジプトのゾールガス田をはじめとする大規模ガス田が立て続けに発見されたことで、国際石油会社(IOC)にとっての注目地域の一つとなってきた。2020年のUAE・イスラエル間の「アブラハム合意」によってイスラエル参画のリスクが減少し、2021年後半からの欧州でのガス不足によって近隣地域からのガス供給の期待が高まることによって、東地中海への期待はますます加速してきた。この流れを決定づけたのが2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻である。以降、東地中海各国が実施する探鉱鉱区入札には主要なIOCが参加している。
イスラエルにおいては、2022年には英国のエナジーン(Energean)が3度の沖合探鉱掘削をいずれも成功させ、同年12月にはイスラエルエネルギー省が新たな沖合鉱区入札ラウンドを発表する等、さらなるガス田探鉱の活発化を図っているところであった。新たな入札ラウンドの結果は衝突開始後の10月30日に発表され、メジャーズの一角であるBPとアゼルバイジャンのSOCAR、イスラエルのニューメッド・エナジー(NewMed Energy)によるコンソーシアム等が新たに探鉱エリアを落札した(図9)。BPによるイスラエル参画の背景には、同社がUAEのアブダビ国営石油会社(ADNOC)とともにイスラエルのエネルギー事業への参画を図ってきたことがある。両社は2023年3月にイスラエルの二大ガス田の権益を有するニューメッド・エナジーの株式50%を共同取得するオファーを提示した[34]。この試みには、エジプトのガス田やLNG輸出施設の権益を持つBPにとっては東地中海でのガス事業の地歩を固めるという意義があり、ADNOCにとってはイスラエル・UAE間の「アブラハム合意」を具体的な事業に結びつけるというメリットが存在する。イスラエルにおいてはまさに、東地中海ガス開発への期待と外交的成果である「アブラハム合意」とが結びつこうとしていたのである[35]。
この他、レバノンにおいても探鉱開発が活発化する兆しが見え始めていた。レバノンでは2022年10月のイスラエルとの海洋境界の画定後、境界付近に位置する第9鉱区で発見されていたカナ・プロスペクトの探鉱掘削がトタルエナジーズ(TotalEnergies)を中心に進められてきた。この動きを受けて、レバノン政府は2019年4月に開始されていた第2回探鉱入札ラウンドの期限を2023年10月まで引き延ばし続け、より多くのIOCがレバノンでの探鉱活動に参画することを期待してきた。現に、カナ・プロスペクトでの探鉱を実施しているトタルエナジーズとENI、カタールエナジーのコンソーシアムが隣接する第8鉱区、第10鉱区に応札したと報じられており[36]、探鉱活発化の機運が高まっていた。
ガザ地区においては、1999年に英国BGによって発見されてから開発が頓挫し続けていたガザマリーンガス田(推定埋蔵量1.4兆立方フィート)の開発がようやく進展すると見られていた。同ガス田については、BGや同社を買収したシェルによってガザ火力発電所への燃料供給やエジプトのLNG輸出施設等の開発計画が検討されてきたが、ハマースに収益の一部が渡ることを危惧したイスラエル政府の反発によって頓挫してきた。しかしシェルの撤退後、2021年にはエジプト政府とパレスチナ自治政府が同ガス田開発に関するMOUを締結し、2022年にはモラ石油鉱物資源相がエジプト国営ガス会社(EGAS)を中心とするコンソーシアムが開発を進めることを発表した[37]。生産されたガスはエジプトのLNG輸出施設に供給され、ガス販売収益はイスラエルの承認の下でパレスチナ自治政府に引き渡されることが協議されていたという。そして2023年6月、イスラエル政府はパレスチナ自治政府との治安上の連携とエジプトとの直接対話を条件としながらも、ガス田開発計画を暫定的に承認した[38]。つまり2021年以降、ガザマリーンガス田はエジプトによるイスラエル・パレスチナ間の仲介の下、開発に向けて動き出していたのである。
しかしガザ地区情勢の悪化を受けて、イスラエル・レバノン・ガザ地区での探鉱開発に向けた動きは大きく動揺するだろう。UAEのゼイユーディ貿易担当相は「UAEは政治と貿易とを混同しない[39]」と主張しているものの、UAE国内外からの反発を受ける可能性がある現在、イスラエルへのBPとADNOCとの参画を積極的に進めていくことは難しいだろう。その他に参画を試みているENIや韓国石油公社(KNOC)子会社のダナ・ペトロリアム等も、イスラエル沖合の治安リスクを改めて再考するかもしれない。レバノンでは衝突開始後、トタルエナジーズによる第9鉱区の探鉱が失敗に終わったことが発表された[40]。イスラエルとヒズブッラーの衝突激化が懸念されている中で、追い打ちのように探鉱への機運を削ぐ出来事である。さらに、ガザマリーンガス田の開発はイスラエル・パレスチナ紛争の再燃によってまたも大きく遠ざかってしまったと言うことができる。このように、今回の衝突はイスラエルの「脱ロシア天然ガス供給源」としての期待を損なうのみならず、有望な探鉱エリアとしての関心をも遠ざけてしまう可能性を孕んでいるのである。
4. おわりに
今回の衝突は、イスラエルが2020年頃から築いてきたアラブ諸国との関係を巻き戻し、再び地域での孤立に導くほどのインパクトを有している。本稿では、この衝突がエネルギー分野に与える影響を石油・天然ガスの両側面から検討してきた。
石油については、現時点で国際石油市場やイスラエルを中心とする石油フローへの影響はそれほど大きくない。原油価格は、市場が紛争のエスカレーションの可能性を低く見積もるにつれて10月後半には80ドル台で安定している。また、イスラエルはイスラーム諸国との関係悪化にもかかわらず、石油を安定的に供給する体制を確立してきた。しかし、イランがガザ地区に直接介入することで、湾岸アラブ諸国のエネルギーインフラがリスクにさらされ、米国の対イラン制裁が強化されることで、国際石油市場に大きな動揺をもたらす可能性があることは留意しておかなければならないだろう。
この衝突でより大きな影響を受けつつあるのは天然ガス分野である。短期的にはイスラエルやエジプトの天然ガス供給に影響が及んでおり、紛争が継続することで天然ガス価格に上方圧力を加え続ける可能性がある。さらに、今回の衝突は中長期的に東地中海諸国の「脱ロシア天然ガス供給源」としての信頼性や有望な探鉱エリアとしての期待を毀損する可能性がある。その結果、既存ガス田の生産拡張や新たなガス田発見に向けた探鉱開発から、IOCを遠ざけてしまうリスクが存在している。
つまり、イスラエルは今回、政治的な孤立に陥るリスクと共に、自国や周辺国のエネルギー資産の価値を低減させるリスクをも抱えることとなった。2021年後半からエネルギー業界の注目を集めてきた東地中海ガス田の浮沈は、紛争がいつ、どのような形で収束するかに委ねられている。
[1] “Israel-Gaza war in maps and charts: Live Tracker,” Al Jazeera, accessed November 5, 2023, https://www.aljazeera.com/news/longform/2023/10/9/israel-hamas-war-in-maps-and-charts-live-tracker.(外部リンク)
[2] イスラエル・エジプト間のパイプラインの他、イスラエルからキプロス経由でギリシャ、その他欧州諸国へ天然ガスを供給する「東地中海ガスパイプライン」計画が別途検討されている。本稿では前者を「EMGパイプライン」と記載する。
[3] “US forces repel Middle East attacks as Israel-Hamas war threatens spillover,” Al Jazeera, October 20, 2023, https://www.aljazeera.com/news/2023/10/20/us-troops-hit-in-iraq-syria-as-regional-tensions-soar-amid-israel-gaza-war.(外部リンク)
[4] 例えば、Oliver Klaus, Chase Winter and Yousra Samaha, “Israel-Hamas Conflict Could Upend Mideast Geopolitics,” International Oil Daily, October 9, 2023, https://www.energyintel.com/0000018b-14ab-dba2-adef-76eb5b310000.(外部リンク)
[5] Jesse Pound, “Blinken says U.S. has ‘not yet seen’ evidence of Iran involvement in Hamas attack on Israel,” CNBC, October 8, 2023, https://www.cnbc.com/2023/10/08/blinken-says-us-has-not-yet-seen-evidence-of-iran-involvement-in-hamas-attack-on-israel.html.(外部リンク)
[6] “Exclusive: ‘We are not involved’, Iran insists after Hamas attack on Israel,” Amwaj.media, October 9, 2023, https://amwaj.media/article/exclusive-we-are-not-involved-iran-insists-after-hamas-attack-on-israel;(外部リンク)
“Khamenei cheers Hamas' 'epic' attacks on Israel, but denies Iran role,” Al Monitor, October 10, 2023, https://www.al-monitor.com/originals/2023/10/khamenei-cheers-hamas-epic-attacks-israel-denies-iran-role#ixzz8IBq0Bz5B.(外部リンク)
[7] 高岡豊「レバノン:「アクサーの大洪水」攻勢をめぐるレバノン方面の動き」『中東調査会 中東かわら版 』2023年10月17日 https://www.meij.or.jp/kawara/2023_103.html(外部リンク)
[8] “US House Easily Passes Bill to Harden Sanctions on Iranian Oil,” Reuters, November 3, 2023, https://www.reuters.com/world/us-house-easily-passes-bill-harden-sanctions-iranian-oil-2023-11-03/.(外部リンク)
[9] 原田大輔「フィンランドとエストニアを結ぶ天然ガスパイプラインBalticconnectorが損傷・送ガス停止」『JOGMEC石油・天然ガス資源情報』、2023年10月19日 https://oilgas-info.jogmec.go.jp/info_reports/1009585/1009909.html
[10] Lewis Jackson, “Chevron Australia LNG Workers Threaten to Resume Strikes after Talks Break Down,” Reuters, October 5, 2023, https://www.reuters.com/business/energy/chevron-reneged-commitment-given-australias-industrial-tribunal-union-says-2023-10-05/.
[11] Ron Bousso and Ari Rabinovitch, “Israel shuts down major offshore gas field amid violence,” Reuters, October 9, 2023, https://www.reuters.com/markets/commodities/israel-shuts-down-offshore-tamar-gas-field-output-2023-10-09/;(外部リンク)
Ari Rabinovitch and Ron Bousso, “Chevron halts gas exports via EMG pipeline from Israel to Egypt,” Reuters, October 10, 2023, https://www.reuters.com/business/energy/chevron-halts-gas-exports-via-emg-pipeline-israel-egypt-2023-10-10/.(外部リンク)
[12] 豊田耕平「東地中海ガス田の行方―欧州向けガス輸出ルートの可能性と課題―」『JOGMEC石油・天然ガス資源情報』、2022年9月2日 https://oilgas-info.jogmec.go.jp/info_reports/1009226/1009453.html
[13] Tarek El-Tablawy and Abdel Latif Wahba, “Egypt Gas Imports Stop, Govt Says, After Israeli Field Shut,” Bloomberg, October 29, 2023, https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-10-29/egypt-says-halt-in-gas-imports-linked-to-prolonged-power-cuts.(外部リンク)
[14] “LNG Tanker Diverts from Egypt Terminal As Gas Flows from Israel Ebb,” Reuters, October 19, 2023, https://www.reuters.com/business/energy/lng-tanker-diverts-egypt-terminal-gas-flows-israel-ebb-2023-10-19/.
[15] “GIIGNL Annual Report 2023 Edition,” GIIGNL, July 13, 2023, https://giignl.org/giignl-releases-2023-annual-report/.
[16] Julia Payne and Robert Harvey, “Israel's Port of Ashkelon, Oil Terminal Shut in Wake of Conflict – Sources,” Reuters, October 9, 2023, https://www.reuters.com/markets/commodities/israels-port-ashkelon-oil-terminal-shut-wake-conflict-sources-2023-10-09/.(外部リンク)
[17] Peter Stevenson, “Israel Turns to Kazakh Crude as KRG Flows Dry Up,” MEES, June 2, 2023, https://www.mees.com/2023/6/2/geopolitical-risk/israel-turns-to-kazakh-crude-as-krg-flows-dry-up/ce23c910-0135-11ee-ba19-edf0fee48998.(外部リンク)
[18] Sherry Su, “Oil Tanker Sails to Israeli Red Sea Port to Avoid Conflict,” Bloomberg, October 20, 2023, https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-10-19/oil-tanker-sails-to-israeli-red-sea-port-to-avoid-conflict.(外部リンク)
[19] Patrick Sykes, “Iran Calls for Oil Embargo Against Israel Over Gaza Strikes,” Bloomberg, October 18, 2023, https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-10-18/iran-calls-for-oil-embargo-against-israel-over-gaza-strikes.(外部リンク)
[20] “Iran Doubles down on Muslim Embargo on Israel amid Dual Messaging on Gaza War,” Amwaj.media, November 2, 2023, https://amwaj.media/media-monitor/iran-doubles-down-on-muslim-embargo-on-israel-amid-dual-messaging-on-gaza-war.(外部リンク)
[21] “Statistical Review of World Energy 2023,” The Energy Institute, June 26, 2023, https://www.bp.com/en/global/corporate/energy-economics/statistical-review-of-world-energy.html.(外部リンク)
[22] Ron Bousso, “Exclusive: BP, Azerbaijan's Socar Make Maiden Bid for Israeli Offshore Gas – Sources,” Reuters, July 17, 2023, https://www.reuters.com/markets/commodities/bp-azerbaijans-socar-make-maiden-bid-israeli-offshore-gas-sources-2023-07-17/.(外部リンク)
[23] 豊田耕平「原油輸出停止で隘路に陥るイラク・クルディスタン地域の石油・ガス部門:イラク石油・ガス産業集権化への機運?」『JOGMEC石油・天然ガス資源情報』、2023年6月6日 https://oilgas-info.jogmec.go.jp/info_reports/1009585/1009800.html
[24] Elwely Elwelly and Ahmad Ghaddar, “OPEC Plans No Immediate Action after Iran Urges Israel Oil Embargo, Sources Say,” Reuters, October 18, 2023, https://www.reuters.com/world/middle-east/iran-calls-islamic-countries-sanction-israel-2023-10-18/.(外部リンク)
[25] “Israel’s Oil Imports Continue to Pass through Turkey despite Erdoğan’s Pro-Palestinian Rhetoric,” Turkish Minute, October 30, 2023, https://www.turkishminute.com/2023/10/30/israel-oil-import-continue-pass-through-turkey-despite-erdogan-palestinian-rhetoric/.(外部リンク)
[26] 豊田耕平「東地中海ガス田の行方」
[27] “The JODI Gas World Database,” accessed November 5, 2023, https://www.jodidata.org/gas/.(外部リンク)
[28] Yaacov Benmeleh, “Chevron to Invest in Pipelines to Send Israeli Gas to Egypt,” Bloomberg, January 19, 2021, https://www.bloomberg.com/news/articles/2021-01-19/chevron-to-invest-in-pipelines-to-export-israeli-gas-to-egypt.(外部リンク)
[29] James Cockayne, “Israel’s Leviathan: Output Capped by Export Capacity Constraints,” MEES, August 25, 2023, https://www.mees.com/2023/8/25/oil-gas/israels-leviathan-output-capped-by-export-capacity-constraints/76e7be80-4343-11ee-8eda-19070a7ac53d.(外部リンク)
[30] Tom Pepper, “Israeli Sources Contradict Egypt on Gas Supplies,” International Oil Daily, October 30, 2023, https://www.energyintel.com/0000018b-816e-dc0c-a3cf-8dfe48d10000.(外部リンク)
[31] Peter Stevenson, “Israel-Egypt Gas Flows Collapse as Conflict Continues,” MEES, October 20, 2023, https://www.mees.com/2023/10/20/geopolitical-risk/israel-egypt-gas-flows-collapse-as-conflict-continues/3fee2420-6f50-11ee-bc31-ffbd781e71c9.(外部リンク)
[32] 豊田耕平「東地中海への期待と不安(1):イスラエル・レバノン海上境界合意とイスラエル・エジプト探鉱ブーム、そして新規入札ラウンドへ」『JOGMEC石油・天然ガス資源情報』2023年1月31日 https://oilgas-info.jogmec.go.jp/info_reports/1009585/1009613.html
[33] Peter Stevenson, “Israel Halts Tamar & EMG Flows As Fight with Hamas Continues,” MEES, October 13, 2023, https://www.mees.com/2023/10/13/geopolitical-risk/israel-halts-tamar-emg-flows-as-fight-with-hamas-continues/eab28b10-69c3-11ee-804d-5f4ab6044b53.(外部リンク)
[34] “Statement regarding bp and ADNOC Bid for Interest in NewMed Energy,” BP, March 28, 2023, https://www.bp.com/en/global/corporate/news-and-insights/press-releases/statement-regarding-bp-and-adnoc-bid-for-interest-in-newmed-energy.html.(外部リンク)
[35] 豊田耕平「イスラエル「対中東・東地中海外交」のカギ「リヴァイアサンガス田」の現在地」『新潮社フォーサイト』2023年5月8日 https://www.fsight.jp/articles/-/49746(外部リンク)
[36] Yousra Samaha, “Total Said to Submit Bids for Two Lebanon Blocks,” International Oil Daily, September 25, 2023, https://www.energyintel.com/0000018a-cc14-db69-a1ae-eeb597bc0000.(外部リンク)
[37] Rasha Abou Jalal, “Egypt persuades Israel to extract Gaza’s natural gas,” Al Monitor, October 6, 2022, https://www.al-monitor.com/originals/2022/10/egypt-persuades-israel-extract-gazas-natural-gas#ixzz8ICG3f9X9.(外部リンク)
[38] Tom Pepper, “Israel Advances Gaza Marine Development,” International Oil Daily, June 19, 2023, https://www.energyintel.com/00000188-d49e-db89-a5ed-dfdfd0550001.(外部リンク)
[39] Rachna Uppal, “UAE, after Israel-Gaza Conflict, Says It Does Not Mix Trade with Politics,” Reuters, October 10, 2023, https://www.reuters.com/world/middle-east/uae-after-israel-gaza-conflict-says-it-does-not-mix-trade-with-politics-2023-10-10/.(外部リンク)
[40] “No gas finds after drilling at Lebanon's offshore Block 9, source says,” Reuters, October 13, 2023, https://www.reuters.com/world/middle-east/no-gas-finds-after-drilling-lebanons-offshore-block-9-source-2023-10-13/.(外部リンク)
以上
(この報告は2023年11月7日時点のものです)