ページ番号1009980 更新日 令和5年12月25日

OPEC生産枠引き下げに対する西アフリカOPEC産油国の反応と今後の展望

レポート属性
レポートID 1009980
作成日 2023-12-21 00:00:00 +0900
更新日 2023-12-25 09:27:53 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 市場
著者 野口 洋佑
著者直接入力
年度 2023
Vol
No
ページ数 7
抽出データ
地域1 アフリカ
国1 アンゴラ
地域2
国2 ナイジェリア
地域3
国3 コンゴ共和国
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 アフリカ,アンゴラ,ナイジェリア,コンゴ共和国
2023/12/21 野口 洋佑
Global Disclaimer(免責事項)

このウェブサイトに掲載されている情報はエネルギー・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、機構が作成した図表類等を引用・転載する場合は、機構資料である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。機構以外が作成した図表類等を引用・転載する場合は個別にお問い合わせください。

※Copyright (C) Japan Organization for Metals and Energy Security All Rights Reserved.

PDFダウンロード536.9KB ( 7ページ )

概要

2023年11月30日、OPEC及び一部非OPEC産油国(以下、OPECプラス)は閣僚級会合をオンライン形式で開催した。今年のOPECプラス閣僚級会合は専ら、原油価格安定を見据え、生産政策の有効性を高めるためにOPECプラス全体の生産枠を各国の実情に合った生産能力に合わせることを目的としていた。なお、同会合は当初11月26日にウィーンにて開催される予定であったが、ナイジェリア、アンゴラ、コンゴ共和国がさらなる原油生産目標引き下げに異議を唱えたことから開催時期が延期されかつオンラインで開催されることとなった。

今般の会合では独立専門機関3社による評価の結果、2024年に到達可能な原油生産量はアンゴラで111万b/dと6月時点より17万b/dの下方修正、ナイジェリアは150万b/dと12万b/dの上方修正、コンゴ共和国は0.1万b/dとほぼ現状維持、アンゴラのみが下方修正を求められた。なお、本評価は実質的に同国2024年の生産枠を示したものと考えられる。

アンゴラは主要油田の枯渇並びに大規模油田の発見がなされない中、小規模な深海油田・ニアフィールド開発に依存しており、2023年の平均生産量(109.7万b/d)と同水準での生産が続くとの見方から6月に提示された生産枠より大幅な下方修正になったものと思われる。一方でナイジェリアは6月時点で2024年の生産計画は157.8万b/dとしていたため今回提示された生産枠とは小幅な乖離はあるもののDangote製油所の稼働を見据える中、新大統領が進める安全保障政策やForcadosの全面的生産再開により2023年10月の生産量は同年6月比8.9%(17万b/d)増の135万b/dへ回復するなどの動きにより将来の増産の可能性を示すことができ、上方修正となった。また、コンゴ共和国においては、同国にとって比較的高水準な生産水準である28万b/dを3月以降5か月間継続したことにより現状維持となったものと考えられる。同生産水準を継続することができたのは2020年11月以来であったが、2023年10月時点の生産量は26万b/dへ減少している。

政府予算の大部分を石油に依存しているこの3か国がOPECプラスの枠組みから外れることは、石油市場への影響力を低下させるとともに原油価格の先行き不透明感を煽ることになる。その為、生産枠を巡る争いは自国経済の今後を左右する重要かつ感情的なテーマである一方で脱退することは考えにくいと思われたが、2023年12月21日にアンゴラが「自国の利益を守るために」OPECから脱退する意向を表明した。2020年1月にエクアドルも同様の理由でOPECを脱退しており、ガボン(その後再加盟)、インドネシア(加盟国資格停止)、カタール、エクアドルに続く5か国目の脱退となる。なお、報道によると21日時点でアンゴラは既にOPEC事務局に脱退の意向を伝えているものの正式な回答は得られていない。

石油市場の観点からは今回の自主減産のみでは価格を押し上げることはできず、むしろ11月30日以降、原油価格は下落基調にある。同3か国においても、需要が低迷する中、価格を押し上げるためにはさらなる減産の必要性があるとの認識は共有するが、経済や石油産業の持続性の観点から原油生産目標引き下げに同調することは出来なかったものと思われる。

アンゴラがOPEC脱退の意向を示したことで、次回のOPECプラス閣僚級会合では生産枠を巡り緊迫した議論が行われるものと思われる。同3か国のOPECプラスに対する抵抗は投資不足、資産売却、操業上の問題により開発生産がコロナ前に比べ困難になっているアフリカ産油国の傾向を反映している。

また、2024年の生産枠が実質的に定められ、アンゴラがOPEC脱退の意向を示した今、西アフリカは2025年の生産枠拡大に向けた足元の開発、OPECプラスは求心力維持と市場安定化に向けて難しいかじ取りを迫られている。これまでモハメド・バルキンド前事務総長の下で一定の発言力を持っていたアフリカ諸国は、生産量の減少と2016年のOPECプラス結成により、近年その影響力が衰えている印象がある。IOCが投資の選択と集中を進める中、ウガンダやナミビアなどの新興産油国の追随を受け、アンゴラやナイジェリアなどアフリカの伝統的な産油国の今後の動向に注目したい。

 

1. はじめに

2023年11月30日、OPEC及び一部非OPEC産油国(以下、OPECプラス)は閣僚級会合をオンライン形式で開催した。報道によると、本会合の結果に当たりアンゴラを中心に西アフリカのOPEC産油国(アンゴラ・ナイジェリア・コンゴ共和国)が難色を示しており、特にアンゴラは提示された生産目標に縛られず生産を続ける構えを見せている。本稿ではこれらのアフリカOPEC産油国が生産量引き下げに難色を示した背景並びに今後の展望について報告する。

 

2. OPEC閣僚級会合の概要

2023年11月30日、OPEC及び一部非OPEC産油国は閣僚級会合をオンライン形式で開催した。これまでは地政学リスクやサウジアラビア及びロシアによる自主減産(ロシアの場合は輸出削減)により原油価格は比較的高水準にとどまっていたものの、米中をはじめとした国々の低調な経済指標による石油需要鈍化懸念が地政学リスク並びにサウジアラビア及びロシアの自主減産による需給バランス調整を凌駕する中での開催となった。今回のOPECプラス閣僚級会合は専ら、原油価格安定を見据え、生産政策の有効性を高めるためにOPECプラス全体の生産枠を各国の実情に合った生産能力に合わせることを目的としていた。なお、同会合は当初11月26日にウィーンにて開催される予定であったが、ナイジェリア、アンゴラ、コンゴ共和国がさらなる原油生産目標引き下げに異議を唱えたことから開催時期が延期され、かつオンラインで開催されることとなった。

 

3. アンゴラ・ナイジェリア・アンゴラによる原油生産枠引き下げへの抵抗の背景

アンゴラ、ナイジェリア、コンゴ共和国の原油生産目標引き下げに対する抵抗の経緯は2023年6月4日の前回会合に遡る。同会合ではこれらの国々の原油生産目標が表1の通り引き下げられた。3か国は前回会合に際し、サウジアラビア等からあらかじめ原油生産目標の引き下げを持ちかけられていたと報じられている。3か国はこれを今後の原油生産能力拡大のための石油開発投資促進の障害となること(原油生産目標を理由に生産を制限される可能性があることから国際石油企業(IOC)がこれらの国で石油開発投資を敬遠するようになる)等を理由に難色を示していた。しかし、独立専門機関3社(IHS (S&Pグローバル)、Wood Mackenzie、Rystad Energy)が次回の同会合までに2024年の生産量を精査し、妥当と判断される場合アンゴラにおいては維持、ナイジェリアとコンゴ共和国においては修正される可能性があるとの条件を付した[1]ことで関係国間の交渉は妥結に至ったものと考えられる。なお、6月時点でナイジェリアの2024年の生産計画は157.8万b/dとしており、次回の閣僚級会合までの精査対象となっていた。

その後11月22日には、同独立専門機関からの精査結果が提示されたものの、3ヶ国は当該結果の受入を拒否した旨報じられた[2]。これら3ヶ国が妥協できる水準での提案がなされなかったことが背景であり、JOGMECの野神隆之氏は当該理由に加えて、『2024年初頭からは一層の原油生産目標が引き下げられる可能性が高まったことに不満を持ったため、当初開催予定であった11月26日の閣僚級会合においての2024年における減産のさらなる強化(つまり、原油生産目標のさらなる引き下げ)を巡る合意が困難になった結果、同会合の開催が延期されたものと見られる。』[3]と述べる。以降も協議が続けられ、11月28日時点において関係筋は同会合の開催がさらに延期される可能性があると発言したが、翌11月29日には、「当該協議は概ね終了した」と発言したことが報じられた[4]。11月30日にはOPECプラス閣僚級会合が開催されたものの、当該発言とは裏腹に妥結に至らず、一部産油国による自主的な追加減産等の延長及び拡大という形を採用することとなり、OPECプラスとしての公式な減産拡大は見送られることとなった。

アンゴラのアゼベド石油相は11月30日の会合に出席しなかったと報じられている。この評価を不服とし、11月30日に同国のOPEC理事であるペドロ氏は「今回の決定は全会一致ではなく、アンゴラの立場に反するものであるため、我々は2024年の原油割当量を111.8万b/dとすることを改めて提案する」と表明するとともに、日量111万バレルの原油生産目標に固執することなく、足元の水準である日量118万バレルで原油を生産する意向を明らかにしている。一方でナイジェリアはアンゴラとは異なり、大々的な発表は行わないものの暫定水準から微増の158万b/dの割り当てを求めていると報じられており[5]、コンゴ共和国は沈黙を貫いている。

表1:アンゴラ・ナイジェリア・コンゴ共和国の生産枠と生産量実績
表1:アンゴラ・ナイジェリア・コンゴ共和国の生産枠と生産量実績
出所:各種資料によりJOGMEC作成

4. アフリカ産油国における生産枠の意義

今般の会合では独立専門機関3社による評価の結果、2024年に到達可能な原油生産量はアンゴラで111万b/dと6月時点より17万b/dの下方修正、ナイジェリアは150万b/dと12万b/dの上方修正、コンゴ共和国は0.1万b/dの上方修正[6]と、アンゴラのみが下方修正を宣告される形となった。なお、本評価は実質的に同国2024年の生産枠を示したものであると考えられる。

アンゴラは主要油田の枯渇並びに大規模油田の発見がなされない中、小規模な深海油田・ニアフィールド開発に依存しており、2023年の平均生産量(109.7万b/d)と同水準での生産が続くだろうとの見方から6月に提示された生産枠より大幅な下方修正になったものと思われる。一方でナイジェリア自身は6月時点で2024年の生産計画は157.8万b/dとしていたため今回提示された生産枠とは小幅な乖離はあるもののDangote製油所の稼働を見据える中、新大統領が進める安全保障政策やForcadosの全面的生産再開により2023年10月の生産量は同年6月比8.9%(17万b/d)増の135万b/dへ回復するなどの動きにより将来の増産の余地を示すことができ、大幅な上方修正となった。また、コンゴ共和国においては、同国にとって比較的高水準な生産水準である28万b/dを3月以降5か月間継続したことにより小幅な上方修正にとどまったものと考えられる。同生産水準を継続することができたのは2020年11月以来であったが、2023年10月時点の生産量は26万b/dへ減少している。なお、2023年の生産枠と比較するとアンゴラは35万b/dの減少、ナイジェリアで24万b/d、コンゴ共和国で3.3万b/dといずれも大きく減少している。

図1:原油生産量と2024年生産枠
図1:原油生産量と2024年生産枠
出所:IEA統計資料によりJOGMEC作成

OPECに加盟する西アフリカ産油国の政府予算は石油収入に大きく依存しており、特にコロナ禍以降は新規プロジェクトの遅延や主要油田の減退、インフラの問題に加えて、世界的なエネルギー転換の中で投資の確保に苦労している。加えて、ロシアによるウクライナ侵攻以来は、生産量の減少によりエネルギー価格高騰の利益を享受できず、従来アフリカ産原油の顧客であった中国やインドなどアジアの買い手がロシアの割安な原油に転換するなどの困難に直面してきた。なお、ロシア産原油の割引率が縮小する中で同3か国は過去の原油価格上昇で受けることのできなかった恩恵を享受しようと躍起になっている。

このような背景の中、OPECプラスの生産枠引き下げは同国の石油開発投資先としての魅力が低下することにつながり、原油生産目標を理由に生産を制限される可能性があることから国際石油企業(IOCs)がこれら産油国における石油開発投資を敬遠するようになる可能性がある。近年同地域では、深海油田・ニアフィールド開発において、IOCsが精力的に活動を行ってきた。特に、アンゴラにおいては2022年8月にBPとEniが同国最大の独立系石油・天然ガス会社であるAzule Energyを設立し、長期的なコミットを見据える中、IOCの今後の意向に配慮したものと考えらえる。特に2023年9月の原油生産量は93万b/dと過去最低水準を記録するも、ガバナンスと投資動向のいずれも改善の傾向を見せていた。これらの事情からも、コロナによる負の遺産から脱却する兆しを見せていた同地域において、石油開発投資先としての魅力の低下は生産量の低迷ひいては減少を招くものとして強い抵抗を示したものと思われる。

西アフリカのOPEC産油国3か国は今後も石油天然ガス産業を国の主要産業として見据えているとともに、今後自国の石油生産量は増加すると考えており、同国の2024年の生産見通しにつき厳しい評価を示す独立専門機関の見立てに感情的になっているものと思われる。これは、各国の政府予算において顕著に表れている。アンゴラでは2024年度の予算は原油価格USD65ドル/bbl、生産量160万b/dを前提に作成されたと報じられている[7]。この160万b/dという生産量は2017年11月以降達成できていない。なお、アンゴラはOPECプラスに対し、石油資源の最適な生産・開発・収益化を背景に、エネルギー安全保障の達成と国内総生産の成長を目指すため、118万b/d以上の生産枠を目指し、これを堅持する旨表明しているが、2022年7月以降達成できていない上、ナイジェリアでは11月29日、不振にあえぐインフラ整備と経済強化のためにより多くの石油収入を求める中、2024年度予算を原油価格77.96ドル/bbl、生産目標を178万b/dと設定した旨発表した。この原油生産量の目標は、現在の2023年度の169万b/dに比べ、大幅な増産となる上、OPECプラス生産枠を28万b/d上回る数値となっている。コンゴ共和国国営石油会社SNPC CEOオミンガ氏並びに炭化水素大臣イトゥア氏は7上S&P Globalに対して、同国が生産と新規開発のバランスをとるために理想とする原油価格は75ドル/bblだとし、2024年の原油生産量は30万b/d弱にとどまると述べた[8]。なお、この数値は現在のOPECプラス生産枠が同国炭化水素大臣の予測と大きく乖離していないことが見て取れる。

11月30日のOPECプラス閣僚級会合終了後はアンゴラ、ナイジェリア、コンゴ共和国の対応が大きく異なっている。アンゴラが大々的に不満を表明する一方でナイジェリアはアンゴラと比較するとやや穏便な形で不満を表明し、コンゴ共和国は沈黙を貫いている。アンゴラのみが前回提示された生産枠から下方修正され、かつ、現状の生産量を下回る生産枠が提示されたことに加えて、各国の事情が背景にあると考えられる。

輸出品としての石油・天然ガス産業への依存度はアンゴラ、ナイジェリアともに7割以上を占めるが、GDP構造ではアンゴラの依存度は約3割、ナイジェリアは約1割と国民経済における石油の位置づけは大きく異なる。また、ナイジェリアは石油製品のほとんどを輸入していたが、2023年5月にはDangote製油所が落成式を行い、稼働に向けた動きが着々と進む中、同国の経済状況は改善に向かうものと見られる。また、将来的には石油精製品の輸出を見据える中、原油価格の上昇の影響を享受できる立場に変動しつつある。加えて、Dangote製油所の権益売却においてサウジアラビア財務省(PIF理事)、Aramco取締役と交渉中との報道がなされている。このほかAramco Tradingが過去1年ほどにわたり、ナイジェリア産原油のスポットカーゴのトレーディングを行っており、ナイジェリア政府はサウジアラビアとの緊密な関係を望む中、強気な態度を見せられないものと思われる。コンゴ共和国においては過去の最高生産量は36万b/d(2019年4月)で生産枠と比較して77%であり、ナイジェリアは214万b/d(2012年5月)で生産枠と比較して70%、アンゴラは185万b/d(2012年8月)で生産枠と比較して60%であり、他の2国と比較して増産の余地は低い他、2023年の平均生産水準(27.3万b/d)を若干上回る生産枠を確保した。また、同国ではEniとLukoilが開発するMarine XIIプロジェクトが年内操業開始を見通す中、そこまで石油に固執していない。なお、同プロジェクトの第二段階を2025年に見据えている。

 

5. 今後の見通し

政府予算の大部分を石油収入に依存している同3か国がOPECプラスの枠組みから外れることは、石油市場への影響力を低下させるとともに原油価格の先行き不透明感を煽ることになる。その為、生産枠を巡る争いは自国経済の今後を左右する重要かつ感情的なテーマである一方で当該選択を取ることは考えにくいと思われたが、2023年12月21日にアンゴラが「自国の利益を守るために」OPECから脱退する意向を表明した。2020年1月にエクアドルも同様の理由でOPECを脱退しており、ガボン(その後再加盟)、インドネシア(加盟国資格停止)、カタール、エクアドルに続く5か国目の脱退となる。なお、報道によると21日時点でアンゴラは既にOPEC事務局に脱退の意向を伝えているものの正式な回答は得られていない。

市場の観点からは今回の自主減産のみでは価格を押し上げることはできず、反対に11月30日以降、原油価格は下落基調にある。同3か国においても、需要が低迷する中、価格を押し上げるためにはさらなる減産の必要性があるとの認識は共有するが、長期的な石油産業の継続性や投資環境の観点から意見が対立していた。独立機関による精査は引き続き行われており、アンゴラがOPEC脱退の意向を示したことで、次回のOPECプラス閣僚級会合では生産枠を巡り緊迫した議論が行われるものと思われる。特に、アンゴラにおいては2020年に協調減産が行われた際にもOPECプラスと対立していた。この時には協調減産枠を超えた生産を行っていたことでOPECプラスと対立しており、現在と反対の事態が起こっている。この時はサウジアラビアが減産順守に出遅れたアンゴラ、ナイジェリア、イラク、カザフスタン等に対し過剰生産分の埋め合わせをするよう圧力をかけ、妥結された。同様に、メキシコは2020年にOPECプラスによる40万b/dの減産目標の受け入れ要請につき、2020年3月の原油生産量である178万b/dに対し168万b/dと10万b/dの減産目標を設定したい旨、異を唱えたことがある。その際は、米国のトランプ大統領(当時)が仲介に乗り出し、メキシコの減産を日量10万バレルに限定することを認める一方で、米国が日量25万バレルの減産を肩代わりするとともに将来米国の肩代わり部分につきメキシコが負担し直すという妥協案で合意された。上記の経緯や現在の需給バランスを勘案しても、生産枠の引上げを許す地合いではなく、OPECプラスは今後厳しいかじ取りを迫られる。

 

6. さいごに

同3か国は6月の会合以降、11月の会合までに生産能力の増加を示すよう5ヶ月間の猶予が与えられていた。特に、当該期間で増産の期待を示すことができなかったアンゴラが、今後大幅に増産に転じることは考えにくい。アフリカの産油国は政府予算の多くを石油収入に依存しており、原油価格並びに原油生産量の減少による影響が大きい。また、同3か国のOPECプラスに対する抵抗は投資不足、外国企業の権益売却(撤退)、操業上の問題により生産がコロナ前より困難になっているという、アフリカ全域の傾向を反映している。

2025年の生産枠検討に向け、独立機関による精査は現在も行われるとみられ、2024年の生産枠が実質的に定められた今、2025年の生産枠拡大に向け、足元の生産のバランスにつき難しい舵取りを迫られている。これまでOPECプラス内で特にモハメド・バルキンド前事務総長の下で重要な発言力を持っていたアフリカ諸国は、生産量の減少と2016年のOPECプラス結成により、近年その影響力が衰えている。IOCが投資を最適化する中、ウガンダやナミビアなどの新興産油国の追随を受け、現在OPECプラスに加盟しているアンゴラやナイジェリアなどの成熟した産油国の今後の動向に注目したい。

 

 

[1] “Production table - 35th ONOMM”, OPEC, 30 November, 2023, 
https://www.opec.org/opec_web/static_files_project/media/downloads/Production%20table%20-%2035th%20ONOMM.pdf(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[2] “OPECプラス、30日に延期した会合をオンラインで開催へ”, 24 November, 2023, 
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-11-23/S4KY39T1UM0W01(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[3] 野神隆之 “原油市場他:一部のOPECプラス産油国が2024年第1四半期において自主的な追加減産を拡大(速報)”, JOGMEC資源情報ウェブサイト, 2023年12月1日, 6頁(21)
https://oilgas-info.jogmec.go.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/009/954/2312_d_opec_r1.pdf

[4] “OPEC+ talks focusing on deeper oil cut, sources say”, Reuters, 30 November, 
https://www.reuters.com/markets/commodities/opec-talks-continue-no-meeting-delay-currently-expected-sources-say-2023-11-29/(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[5] “OPEC’s resolution puts Nigeria’s projected 2024 oil revenue in doubt”, ICIR, 2 December, 2023, 
https://www.icirnigeria.org/opecs-resolution-puts-nigerias-projected-2024-oil-revenue-in-doubt/(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[6] “36th OPEC and non-OPEC Ministerial Meeting”, OPEC, 30 November, 2023, 
https://www.opec.org/opec_web/en/press_room/7265.htm(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[7] “Angola: Government Submits 2024 State Budget Bill of €27.6B to Parliament”, 360 Mozambique, October 31, 2023, 
https://360mozambique.com/world/angola/angola-government-submits-2024-state-budget-bill-of-e27-6b-to-parliament/(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

[8] “INTERVIEW: Republic of Congo joins race to boost oil output ahead of Nov OPEC+ baseline revision”, S&P Global Commodity Insights, 11 July, 2023,
https://www.spglobal.com/commodityinsights/en/market-insights/latest-news/oil/071123-interview-republic-of-congo-joins-race-to-boost-oil-output-ahead-of-nov-opec-baseline-revision(外部リンク)新しいウィンドウで開きます

以上

(この報告は2023年12月15日時点のものです)

アンケートにご協力ください
1.このレポートをどのような目的でご覧になりましたか?
2.このレポートは参考になりましたか?
3.ご意見・ご感想をお書きください。 (200文字程度)
下記にご同意ください
{{ message }}
  • {{ error.name }} {{ error.value }}
ご質問などはこちらから

アンケートの送信

送信しますか?
送信しています。
送信完了しました。
送信できませんでした、入力したデータを確認の上再度お試しください。