ページ番号1010011 更新日 令和6年1月16日

2023年原油市場の動揺と2024年の展望

レポート属性
レポートID 1010011
作成日 2024-01-16 00:00:00 +0900
更新日 2024-01-16 17:00:34 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 市場
著者 鑓田 真崇
著者直接入力
年度 2023
Vol
No
ページ数 9
抽出データ
地域1 グローバル
国1
地域2
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地域3
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国10
国・地域 グローバル
2024/01/16 鑓田 真崇
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概要

  1. 2023年における原油価格は値動きの大きい展開となった。年初(2023年1月3日)には、82.10ドル/バレルであったブレント先物価格は、いくつかの価格下落・上昇局面を迎え、9月27日に96.55ドル/バレルに達する価格高騰を記録。2022年3月8日に記録した127.98ドル/バレルの高水準には及ばないものの、100ドル/バレルに迫る高値となった。2023年上半期は平均で79.88ドル/バレル(前年同期は平均で104.96ドル/バレル)、2023年下半期は平均で84.46ドル/バレル(前年同期は平均で93.49ドル/バレル)、12月29日の終値では77.04ドル/バレルとなった。
  2. 2023年の原油価格推移に影響を与えた主な要因として、(1)大規模な石油需要国である中国において2022年に実施された新型コロナウイルス感染症拡大防止を目的とした厳しい行動制限や渡航制限からの経済回復・その後の経済動向、(2)米国および欧州を中心にインフレが進行するなか、物価高の抑制を目的とした中央銀行等による政策金利の引き上げ動向とこれによる経済活動への影響、(3)ロシアによるウクライナ侵攻及びハマス・イスラエル間の武力衝突など、地政学リスクに起因するエネルギー供給に対する懸念、(4)OPECプラス産油国を中心とする主要産油国による自主減産などの生産調整による需給引き締めの4点を指摘することができる。
  3. 2024年の原油市場については、引き続き大きな不確実性により影響を受ける展開となるとみられる。(1)需要面においては、米国金融政策の緩和により、経済活動が活発化し石油需要を喚起することで価格を押し上げる要因となる一方、米国や不確実性が指摘される中国経済の伸びが想定を下回る展開となれば、原油価格に下方圧力を加える可能性がある。(2)供給面においては、OPECプラス産油国の一部が、2024年第1四半期において自主的な追加減産(およそ日量220万バレル規模)を実施することから、需給引き締まり感を市場で発生させ、価格の押上げ要因となるとみられる。他方、米国の原油生産は2024年も増加基調であることに加え、ガイアナなどの新興産油国からの生産も堅調に推移すれば、原油価格の上値を抑制する方向で作用する。また、(3)OPEC及びOPECプラス産油国が協調して生産調整に対処できないとの受け止めが市場で広まれば、原油価格の不安定化要因となる可能性がある。

 

1. はじめに

2023年の原油市場を振り返ると、2022年に引き続き値動きの大きい展開となった。

まず本稿では、1年間を通した原油市場の動きを概観する。地政学リスクの観点では、2022年2月24日から継続するウクライナに対するロシアの軍事侵攻が引き続き意識されているものの、当初想定された物理的なエネルギー供給途絶懸念は後退したと市場は受け止めている。これに加え、2023年10月7日以来、ガザ地区を支配するハマスがイスラエルに対し侵攻を開始。ガザ地区及びヨルダン川西岸、並びイスラエル・レバノン国境を中心に過去に類を見ない規模の衝突が発生し、これが中東地域に拡大すれば主要エネルギー産出国からの供給途絶懸念にも至る可能性が危惧されたものの、本稿執筆時点では衝突のエスカレーションを抑制する方向にあるとみられる[1]

需給ファンダメンタルズの観点からは、石油需要増加幅の大半を占める中国の経済動向及び同国石油需要の伸びが事前の予想ほど大きくないのではないかとの見方が広まったほか、石油輸出国機構(OPEC)及び一部産油国が参加するOPECプラスの枠組みにおいて、協調的な減産を決定したことに加え、一部産油国による自主的な減産及び輸出削減の継続が発表されたことを受け、需給は緩和する方向に作用した。

筆者は2023年3月に米国・ヒューストンで開催されたS&P Global主催のCERAWeek 2023、同年6月にマレーシア・クアラルンプールで開催されたPetronas主催のEnergy Asia 2023、同年7月にオーストリア・ウィーンで開催されたOPEC主催の第8回OPEC International Seminar、同年10月にアラブ首長国連邦・アブダビで開催されたAbu Dhabi International Petroleum Exhibition and Conference 2023(ADIPEC)及び同月に英国・ロンドンで開催されたEnergy Intelligence主催のEnergy Intelligence Forum 2023に参加する機会を得た。これらの国際会議における要人の発言や、出席者との意見交換などを通じて得られたエネルギー市場に対する見方を紹介し、2023年のエネルギー市場を総括するとともに、2024年における注目点を紹介することを本稿の目的としたい。なお、本稿では特段の記載がない限り、ブレント先物価格(期近物・取引日終値)を採用している。

 

2. 原油価格推移

2023年における原油価格は値動きの大きい展開となった。年初(2023年1月3日)には、82.10ドル/バレルであったブレント先物価格は、いくつかの価格下落・上昇局面を迎え、9月27日に96.55ドル/バレルに達する価格高騰を記録。2022年3月8日に記録した127.98ドル/バレルの高水準には及ばないものの、100ドル/バレルに迫る高値となった。2023年上半期は平均で79.88ドル/バレル(前年同期は平均で104.96ドル/バレル)、2023年下半期は平均で84.46ドル/バレル(前年同期は平均で93.49ドル/バレル)、12月29日の終値では77.04ドル/バレルとなった(図 1)。

図 1:原油価格の推移(2023年)
図 1:原油価格の推移(2023年)
出所:International Oil Dailyを基にJOGMEC作成

2023年の原油価格推移に影響を与えた主な要因として、(1)大規模な石油需要国である中国において2022年に実施された新型コロナウイルス感染症拡大防止を目的とした厳しい行動制限や渡航制限からの経済回復・その後の経済動向、(2)米国および欧州を中心にインフレが進行するなか、物価高の抑制を目的とした中央銀行等による政策金利の引き上げ動向とこれによる経済活動への影響、(3)ロシアによるウクライナ侵攻及びハマス・イスラエル間の武力衝突など、地政学リスクに起因するエネルギー供給に対する懸念、(4)OPECプラス産油国を中心とする主要産油国による自主減産などの生産調整による需給引き締めの4点を指摘することができる。

 

(1) 2023年上半期

2023年上半期の原油価格は、平均で79.88ドル/バレル(前年同期は平均で104.96ドル/バレル)となり、年初(2023年1月3日)の82.10ドル/バレルから、数度の上昇と下落を繰り返すも6月30日には74.90ドル/バレルとなり、下落傾向を示した。

2023年1月8日には、中国における入国者に対する隔離措置が完全に撤廃され、旧正月期間を前に同国内外の往来が活発化するほか、同国経済回復等による石油需要増加に対する期待が市場で拡大。また、1月31日~2月1日に開催された米国連邦公開市場委員会(FOMC)において政策金利の引き上げ幅を0.25%と前回のFOMC(2022年12月13~14日開催)において決定された0.50%から縮小し、米国経済回復期待が増大。さらに、2月5日からEUにより実施された海上輸送経由のロシア産石油製品購入の原則禁止や、G7及びEU等によるロシア産石油製品に対する販売価格上限設定等に伴うロシアからの石油製品供給を巡る懸念の拡大等が原油価格に上方圧力を加え、おおむね80~83ドル/バレルを中心とする範囲で変動した。

3月初頭から中旬以降は、スイス大手金融機関であるクレディ・スイスの経営不安が拡大。3月19日には、同じくスイス大手金融機関であるUBSが買収を発表した[2]ものの、欧州株式市場が下落したことなどから原油価格もこの影響を受け、3月17日には72.97ドル/バレルまで下落した。3月21~22日に開催されたFOMCにおいて、前回と同水準となる0.25%の政策金利の引き上げ幅を決定したことも、原油価格に下方圧力を加えた。

他方、4月2~3日には、一部OPECプラス産油国が5月1日から12月末にかけて、合計で日量116万バレルの自主的な追加減産を実施する旨発表したことのほか、ロシアも当初は3月のみに実施する予定であった日量50万バレルの自主的な調整を12月末まで実施することを発表[3]し、需給引き締まり感が市場で意識され、4月上旬には85ドル/バレルを超える水準で推移。およそ半月の間に10ドル/バレル以上の上昇を記録することとなった。

しかし、こうした自主的な追加減産により一時的に持ち直した原油価格であったが、依然としてインフレによる物価上昇は根強く、米国金融政策当局者が政策金利引き上げ局面の終了を示唆するような発言が見られなかったこと、米国連邦政府債務が31兆4,000億ドルの法定上限に達し、債務不履行の事態に陥る恐れが指摘されたこと、そして石油の大規模需要国である米国及び中国経済が減速しつつある各種経済指標が発表されたことなどから、5月上旬の原油価格は70ドル/バレル前半の水準で推移した(WTIについては5月4日に68.56ドル/バレルと、70ドル/バレルを割り込む水準に低下)。

その後も、OPECの盟主であるサウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー大臣が、原油先物市場において空売りを行う投機筋に対して警告を発したと5月23日に報じられた[4]ことのほか、サウジアラビアは既存の日量50万バレルの自主的な追加減産を7月につき日量100万バレル拡大し同150万バレルとする(必要に応じて2023年末とする減産期間を延長する)旨明らかにした[5]等が原油価格を下支えしたが、おおむね75ドル/バレル程度(WTIについては70ドル/バレル程度)の水準で推移した。

 

(2) 2023年下半期

2023年下半期の原油価格は、平均で84.46ドル/バレル(前年同期は平均で104.96ドル/バレル)を記録。期初(2023年7月3日)の74.65ドル/バレルから上昇傾向となり、9月27日に2023年中の最高価格となる96.55ドル/バレルに達する場面も見られた。その後は基本的に下落傾向となり、12月29日の終値では77.04ドル/バレルとなった。

サウジアラビアが、7月1日より規模を拡大して実施している日量150万バレルの自主的な追加減産を8月についても継続して実施するほか、ロシアについても8月の石油輸出量を自主的に日量50万バレル削減する旨7月3日に報じられた[6]。また、これらの自主的な追加減産及び輸出量の削減を9月も継続して実施すると8月3日に発表した[7]ことにより、需給引き締まり感が市場で意識されたほか、ロシアとウクライナにおける地政学リスクの高まりを受け、黒海を通じてロシア産やカザフスタン産の原油を輸送するタンカーの航行に支障が発生することを巡る懸念が市場で増大し、原油価格は上昇基調となった。

他方で、7月25日~26日に開催されたFOMCにおいて政策金利を0.25%引き上げる旨決定したことにより、同国経済減速懸念と石油需要の伸びの鈍化懸念が市場で増大し、原油価格を押し下げる場面も見られた。また、8月25日に開催されたジャクソンホール会議において、パウエルFRB議長が依然として米国の物価上昇率は高く、この沈静化を確信できるまで、必要があれば政策金利を引き上げるとの見解を示したこと等が原油価格の上値を抑制した。

9月5日には、サウジアラビアが行う自主的な追加減産について、市場の事前予想(自主的な追加減産の10月末までの延長)を上回り2023年末まで延長する旨報じられたほか、ロシアが日量30万バレルの石油輸出削減を12月末まで実施する意向である旨表明された[8]ことにより需給ひっ迫懸念を市場で生じ、原油価格は再び上昇基調に転じた。また、9月13日にIEAが発表した石油市場月報において、中国等の石油需要が堅調である一方、サウジアラビアによる原油供給削減等により2023年第4四半期は相当程度の世界石油供給不足に陥る旨の見解を披露したことも、原油価格に上方圧力を加えた。さらに、9月27日に米国エネルギー省エネルギー情報局が発表した米国石油統計(9月22日の週分)で原油在庫が前週比217万バレル減少と市場の事前予想を大幅上回って減少している旨判明したこと等が原油価格を押し上げ、同日の終値はおよそ13か月ぶりの高水準となる96.55ドル/バレル(WTIは93.68ドル/バレル)に達した。

10月7日に発生したイスラエス・ハマス間の軍事衝突により、中東情勢の混乱に対する懸念が市場で発生し原油価格は3.5ドル/バレル程度上昇(10月6日終値と10月9日終値の比較による)。今回の軍事衝突に対し、長年ハマスを支援してきたとされるイランの関与があれば、米国による制裁がさらに強化されることが懸念されていたが、この観測が後退したことのほか、サウジアラビアが情勢の悪化防止に注力する旨の声明を発出したこと等から、原油価格への影響は小幅なものにとどまった。これが中東地域に拡大すれば主要エネルギー産出国からの供給途絶懸念にも至る可能性が危惧されたものの、その後は、戦闘状態の継続によっても中東地域における供給に支障が発生していないことから、11月には80ドル/バレルを割り込む水準にまで低下した。

OPECプラス産油国が11月26日に開催を予定していた閣僚級会合を延期し、11月30日にオンライン形式に変更したことを受け、減産措置に関する協議が難航しているとの見方が市場で拡大。11月30日に開催された会合において、OPECプラス全体としての公式な原油生産目標引き下げは見送られ、一部産油国による2024年第1四半期における自主的な追加減産実施(およそ日量220万バレル規模)を段階的に発表[9]するにとどまったことから、OPECプラス産油国の結束と減産順守に関し懐疑的な見方が市場で発生した。

米国FOMCは、9月から12月に開催された3回連続の会合において政策金利の据え置きを決定。同国の政策金利引き下げが視野に入りつつある旨、12月13日の同委員会開催後に行われた記者会見でパウエルFRB議長が明らかにした。また、同委員会開催の際に明らかになった2024年末の政策金利見通しが4.6%と、2024年に3回の政策金利引き下げが実施される旨示唆されたことで、米国の経済成長が加速するとの期待が市場で発生し、米国株式相場が上昇し原油価格も80ドル/バレルの水準に回復した。これに加え、紅海を航行する船舶がイエメンのフーシ派による攻撃を受けたり拿捕されたりする事案が発生し、同海域の航行を取りやめ喜望峰経由とするなど、原油や石油製品の輸送及び供給に支障が生じる可能性を市場が意識したこともあったが、2023年末の原油価格は12月29日の終値では77.04ドル/バレルとなった。年初の水準を下回ったものの、これまで前述したように様々な要因により上下動を繰り返しボラティリティの高い値動きとなったほか、2003年以降の原油価格水準に比べて、2023年の原油価格は平均で81.19ドル/バレル(WTIは77.61ドル/バレル)と、比較的高位で推移した(図 2)。

図 2:原油価格の推移(2003~2023年)
図 2:原油価格の推移(2003~2023年)
出所:International Oil Dailyを基にJOGMEC作成

3. まとめに代えて ―2024年における注目点―

2023年に参加した国際会議等におけるエネルギーに関する議論を総括すれば、「気候変動対策への希求とエネルギー業界の関与」であろう。

2023年3月に米国・ヒューストンで開催されたCERAWeek 2023においては、ロシアによるウクライナ侵攻をふまえた「Energy Security」や地政学的論点を取り扱ったセッションが多かったことに加え、今後人口増加が見込まれる新興国を中心に、手ごろな価格でエネルギーを供給するという「Energy Affordability」への関心の高かった。そうした中、気候変動への対処から「Decarbonization」を追求するのは世界共通の認識であるが、それに至る道筋や時間軸は国・地域の経済状況やエネルギー賦存状況などにより大きく異なり、目標達成に向けた方法は一つではないことが示された。この考えは、2023年6月にマレーシア・クアラルンプールで開催されたEnergy Asia 2023においても、今後も著しい経済成長が見込まれるアジア新興国におけるエネルギートランジションを議論する際の基本認識として強調されていた。また、2023年のG7議長国を務めた日本政府が取りまとめたコミュニケ[10]において、「我々は、各国のエネルギー事情、産業・社会構造、地理的条件に応じた様々な道筋(various pathways)を認識しつつ、1.5℃(注:21世紀末における世界平均気温の上昇を産業革命前に比べて1.5℃以内に抑えるという目標)を達成可能な範囲に保つために、遅くとも2050年までにネットゼロという共通の目標につなげる」ために、クリーンエネルギーへの移行とエネルギーセキュリティの確保を両立すべきであるというメッセージにつながっている。

伝統的なエネルギー供給国から構成されるOPECによる第8回OPEC International Seminar(2023年7月、オーストリア・ウィーン)においては、エネルギーを安定的に、かつ気候変動問題への対応に配慮しつつ、さらに手ごろな価格で供給を継続することで社会経済を支えるエネルギー供給者としての立場から、特にエネルギー需要が増加していく新興国・途上国に対するエネルギー供給の責任、エネルギーアクセスの重要性について、強調されていた[11]。また、国営石油会社CEOであるスルタン・ジャーベル氏が議長を務めた第28回気候変動枠組条約締約国会議(COP28)において、初めて「化石燃料からの移行(transitioning away from fossil fuels)」に関する文言を合意文書に盛り込んだことは、エネルギー業界の気候変動問題に対する関与を示すという点において、画期的な成果であると見る向きが多い[12]

最後に、2024年の原油市場については、引き続き大きな不確実性により影響を受ける展開となるとみられる。需要面においては、米国金融政策の緩和により、経済活動が活発化し石油需要を喚起することで価格を押し上げる要因となる。他方、米国や不確実性が指摘される中国経済の伸びが想定を下回る展開となれば、原油価格に下方圧力を加える可能性がある。供給面においては、OPECプラス産油国の一部が、2024年第1四半期において自主的な追加減産(およそ日量220万バレル規模)を実施することから、需給引き締まり感を市場で発生させ、価格の押上げ要因となるとみられる。他方、米国の原油生産は2024年も増加基調であることに加え、ガイアナなどの新興産油国からの生産も堅調に推移すれば、原油価格の上値を抑制する方向で作用する。また、OPECプラス産油国が2023年11月30日に開催した閣僚級会合において、OPECプラス全体としての公式な原油生産目標引き下げは見送られたほか、12月21日にアンゴラがOPECからの脱退を発表[13]するなど、OPEC及びOPECプラス産油国が協調して生産調整に対処できないとの受け止めが市場で広まれば、原油価格の不安定化要因となる可能性がある。

 

 

[1] 豊田 耕平, 混迷の東地中海ガス開発 ―イスラエル・ハマス戦争の衝撃(12/21), https://oilgas-info.jogmec.go.jp/seminar_docs/1009601/1009981.html 2024年1月9日閲覧

[2] UBS, UBS to acquire Credit Suisse, https://www.ubs.com/global/en/media/display-page-ndp/en-20230319-tree.html?caasID=CAAS-ActivityStream(外部リンク)新しいウィンドウで開きます 2024年1月11日閲覧

[3] OPEC, 48th Meeting of the Joint Ministerial Monitoring Committee, https://www.opec.org/opec_web/en/press_room/7120.htm(外部リンク)新しいウィンドウで開きます 2024年1月11日閲覧

[4] Reuters, Saudi warns speculators of more pain as OPEC+ meeting looms, https://www.reuters.com/business/energy/saudi-arabias-energy-minister-warns-speculators-ahead-opec-meeting-2023-05-23/(外部リンク)新しいウィンドウで開きます 2024年1月11日閲覧

[5] Reuters, Oil rises on Saudi plan to deepen output cuts from July, https://www.reuters.com/business/energy/oil-prices-jump-more-than-2bbl-after-saudi-pledges-cut-more-output-2023-06-04/(外部リンク)新しいウィンドウで開きます 2024年1月11日閲覧

[6] Reuters, Saudi Arabia, Russia deepen oil cuts, sending prices higher, https://www.reuters.com/business/energy/saudi-arabia-will-extend-voluntary-cut-1-million-bpd-august-spa-2023-07-03/(外部リンク)新しいウィンドウで開きます 2024年1月11日閲覧

[7] Reuters, Saudi Arabia extends 1 million barrel-per-day oil cut, may deepen it in future, https://www.reuters.com/business/energy/saudi-arabia-will-extend-voluntary-1-mln-bpd-oil-cut-through-sept-spa-2023-08-03/(外部リンク)新しいウィンドウで開きます 2024年1月11日閲覧

[8] Reuters, Saudi Arabia, Russia extend voluntary oil cuts to year-end, markets jump, https://www.reuters.com/business/energy/saudi-arabia-extends-voluntary-oil-output-cut-1-mln-bpd-end-2023-2023-09-05/(外部リンク)新しいウィンドウで開きます 2024年1月11日閲覧

[9] OPEC, Several OPEC+ countries announce additional voluntary cuts to the total of 2.2 million barrels per day, https://www.opec.org/opec_web/en/press_room/7267.htm(外部リンク)新しいウィンドウで開きます 2024年1月11日閲覧

[10] 外務省, G7 Hiroshima Summit, G7 Hiroshima Leaders’ Communiqué, https://www.mofa.go.jp/files/100506878.pdf(外部リンク)新しいウィンドウで開きます 2024年1月11日閲覧 注:ご使用のブラウザによっては直ぐにPDFファイルがダウンロードされます。

[11] 鑓田 真崇, 第8回OPEC International Seminar ―エネルギー生産者から見たトランジション―, https://oilgas-info.jogmec.go.jp/info_reports/1009585/1009854.html 2024年1月11日閲覧

[12] 鑓田 真崇, COP28閉幕 ―岐路に立つ気候変動対策とエネルギー業界の関与―, https://oilgas-info.jogmec.go.jp/info_reports/1009992/1009993.html 2024年1月11日閲覧

[13] Reuters, Angola to quit OPEC, reducing membership to 12 countries, https://www.reuters.com/business/energy/angola-quit-opec-reducing-membership-12-countries-2023-12-22/(外部リンク)新しいウィンドウで開きます 2024年1月11日閲覧

 

以上

(この報告は2024年1月11日時点のものです)

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