ページ番号1010274 更新日 令和6年12月16日
原油市場他:OPECプラス産油国が2025年末まで実施予定であった公式減産措置等を2026年末まで延長するとともに、自主的な減産措置の段階的緩和期間を12ヶ月間から18ヶ月間へと拡大(速報)
このウェブサイトに掲載されている情報はエネルギー・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、機構が作成した図表類等を引用・転載する場合は、機構資料である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。機構以外が作成した図表類等を引用・転載する場合は個別にお問い合わせください。
※Copyright (C) Japan Organization for Metals and Energy Security All Rights Reserved.
概要
- OPEC及び一部非OPEC(OPECプラス)産油国は2024年12月5日に閣僚級会合等を開催し、2025年末まで実施する予定であった公式減産及び一部産油国による日量165万バレルの自主的な追加減産を2026年末まで延長した。
- 併せて、一部産油国が実施中である日量216万バレルの自主的な減産措置の段階的緩和開始時期を従来の2025年1月から4月へと延期したうえで、緩和期間を従来の12ヶ月間から18ヶ月間へと拡大し、2026年9月にかけより緩やかに緩和していく旨決定した。
- 次回のOPECプラス産油国閣僚級会合は2025年5月28日に開催される予定である。
- 従来通り2025年1月から12月にかけ減産措置の緩和を実施した場合、2025年は日量248万バレルの供給過剰となることから、原油相場に下方圧力が加わることが予想された。
- また、この先中国経済減速に伴う石油需要の伸びの鈍化観測が市場で強まること等により、原油価格がさらに下振れする可能性があることが懸念された。
- 他方、減産措置を実施するOPECプラス産油国の一部は世界各国及び地域による地球環境問題への対応等に伴う中長期的な世界石油需要を巡る不透明感から速やかな増産を実施することを希望していると見受けられる部分もあった。
- このようなことから、OPECプラス産油国は減産措置緩和開始を延期することにより、世界石油需給の相対的な引き締まり感を市場に意識させるとともに原油価格の下落抑制を図る一方、延期期間を3ヶ月と短期間にすることで近い将来の増産に含みを持たせることにより、増産を希望する一部産油国の要望をある程度満たす格好にしようとしたものと考えられる。
- ただ、4月への減産緩和開始延期は今回の会合開催前に市場関係者により予想されるところとなっていたこともあり、このような事前予想通りの驚きのない結果となるにより市場の失望を招かないよう、OPECプラス産油国は、従来2025年末まで実施予定であった公式減産措置等の2026年末への延長と段階的減産緩和期間の拡大といった、市場が事前に予想していなかった措置を決定することにより、原油価格の下落抑制を図ったものと考えられる。
- 当初一部OPECプラス産油国の日量216万バレルの自主的な減産の緩和開始時期の3ヶ月間延長が決定したとの情報が流れたことで、事前予想通りの結果となったことに伴い市場では失望が広がる格好となったこともあり、原油価格(WTI)は12月5日朝(米国東部時間)には一時1バレル当たり67.98ドルと前日終値(68.54ドル)比で0.56ドル下落する場面が見られた。
- ただ、その後市場で事前に予想されていなかった決定がなされていた旨明らかになったことにより、相対的な石油需給引き締まり感が意識された結果、原油相場に上方圧力が加わった一方、依然として2025年の石油供給過剰感が払拭しきれなかったこともあり、この日の原油価格の終値は1バレル当たり68.30ドルと前日終値比で0.24ドルの下落となった。
(OPEC、IEA、EIA他)
1. 協議内容等
- OPEC及び一部非OPEC(OPECプラス)産油国は2024年12月5日に閣僚級会合をテレビ会議形式で開催した(巻末参考1参照)。
- 当初同会合は12月1日に開催される予定であったが、一部OPECプラス産油国大臣が12月1日に開催される湾岸諸国首脳会議(於クウェート)に出席する必要が生じたため、12月5日に延期する旨11月28日にOPECが発表した(併せてOPECプラス産油国共同閣僚監視委員会(JMMC:Joint Ministerial Monitoring Committee)の開催も当初予定の12月1日から12月5日に延期する旨OPECは明らかにした)。
- 同会合においては、石油市場の安定を達成及び維持し、長期的な指針及び透明性を確保するとともに、石油市場に対し慎重、積極的かつ先制的に対応するという方針に従い、従来2025年末を期限としていた公式減産措置を2026年末まで延長する旨決定した(表1参照)。
- また、前回のOPECプラス産油国閣僚級会合において決定した、アラブ首長国連邦(UAE)の原油生産目標を2025年1月から9月にかけての9ヶ月間合計で段階的に日量30万バレル引き上げることにつき、引き上げ開始時期を2025年4月に延期したうえで2026年9月までの18ヶ月間に渡り段階的に日量30万バレル引き上げるとする旨併せて決定した。
- また、外部の専門機関(IHSマークイット(IHS Markit)、ウッド・マッケンジー(Wood Mackenzie)及びライスタッド・エナジー(Rystad Energy))によるOPECプラス産油各国の原油生産能力評価を2026年11月初頭にかけ実施するとともに、2027年のOPECプラス産油各国の原油生産目標設定のための参考とするとした。
- さらに、7機関(米国エネルギー省エネルギー情報局(EIA)、S&Pグローバル・プラッツ(S&P Global Platts)、アーガス・メディア(Argus Media)、エナジー・インテリジェンス(Energy Intelligence)、IHSマークイット、ウッド・マッケンジー及びライスタッド・エナジー)のデータを使用しつつ、OPECプラス産油各国の原油生産及び遵守状況を監視していくことを再確認した。
- 加えて、OPECプラス産油国閣僚級会合を6ヶ月毎に開催、OPECプラス産油国JMMCを2ヶ月毎に開催するとともに、JMMCはOPECプラス産油国共同技術委員会(JTC: Joint Technical Committee)及びOPEC事務局の支援を受け、世界石油市場の状況、(OPECプラス産油各国の)原油生産水準及び減産遵守状況を検討する他、必要と判断される如何なる時において追加会合を招集したりOPECプラス産油国閣僚級会合を開催したりする権限をJMMCに付与する旨改めて表明した。
- また、減産の完全遵守と(原油生産目標を超過して生産した場合には追ってその超過生産分を追加して減産することにより)減産を補償する措置に固執することが極めて重要であることが改めて強調された。
- なお、次回のOPECプラス産油国閣僚級会合は2025年5月28日に開催される予定である。
- また、今回のOPECプラス産油国閣僚級会合開催に際し、自主的な減産措置を実施している一部OPECプラス産油国8ヶ国(アルジェリア、イラク、クウェート、サウジアラビア、UAE、カザフスタン、オマーン及びロシア)による会合も併せて開催された(巻末参考2参照)。
- 当該会合においては、従来2025年末を期限としていたサウジアラビア、アルジェリア、イラク、クウェート、UAE、ロシア、カザフスタン及びオマーンによる日量165万バレルの自主的な追加減産措置を2026年末まで延長することを決定した。
- また、石油市場の安定を図るべく、2024年1月以降実施している日量216万バレル(OPECプラス側は日量220万バレルとしている)の自主的な追加減産につき、従来2025年1月から12月にかけ段階的に実施する予定であった緩和の開始時期(2024年6月2日に開催された前回のOPECプラス産油国閣僚級会合において2024年9月の緩和開始を決定していたが、その後2回延期された)を同年4月へと3ヶ月間延期したうえ、段階的な緩和期間を当初の12ヶ月間から18ヶ月間へと拡大する結果、2026年9月にかけより緩やかに緩和していくことを決定した(表2及び3参照)。
- また、この自主的な追加減産の段階的な緩和は、市場の状況次第では、一時的に緩和を停止したり減産を拡大したりすることもありうるとした。
- また、目標を超過して原油を生産していた産油国が、目標を完全遵守するとともに、2024年1月以降の目標を超過した生産量につき、今後2026年末にかけ目標を超過して減産することを内容とした減産遵守のための補償計画の更新版をOPEC事務局に提出する旨誓約したことを、会議では歓迎した。
2. 今回の会合の結果に至る経緯及び背景等
- 2023年11月30日に開催された前々回のOPECプラス産油国閣僚級会合に際しては、2024年1月1日から2024年3月31日にかけての自主的な追加減産の実施方針を一部の産油国から個別に発表する形となった。
- その後、2024年3月3日夜(現地時間)には、世界石油市場安定化のため、サウジアラビアが2024年1~3月に実施中の日量100万バレルの自主的な減産を6月末まで延長(それ以降は市場の状況によっては漸進的に減産を縮小)する旨国営サウジ通信が報じた他、他のOPECプラス産油国も2024年第1四半期に実施中の自主的な減産を概ね同水準の規模で第2四半期末まで延長したうえ、ロシアが2023年12月比で4月につき日量35万バレル、5月につき同40万バレル、6月につき同47.1万バレルの、それぞれ自主的な減産を実施(それ以降は市場の状況によって漸進的に減産を縮小)する旨、3月4日夜半過ぎ(同)に国営サウジ通信が報じた。
- また、2024年6月2日に開催された前回のOPECプラス産油国閣僚級会合開催においては、OPECプラス産油国がより長期に渡り減産を実施することを通じ世界石油需給引き締めの意志を市場に示すとともに、市場における原油価格の先高感の醸成と直近の原油価格の下支えを図ろうとしたものと見られ、市場関係者間では殆ど予想されていなかった、従来2024年末まで実施予定であった公式減産及びサウジアラビア、アルジェリア、イラク、クウェート、UAE、ロシア、カザフスタン及びオマーンによる日量165万バレル程度の自主的な減産の2025年末への延長を決定した。
- 他方、別途2024年1月以降6月までの予定で実施中であったサウジアラビア、アルジェリア、イラク、クウェート、UAE、ロシア、カザフスタン及びオマーンによる日量216万バレルの自主的な減産については、当初予定通り2024年6月で終了した場合、2024年後半及び2024年全体において石油市場が相当程度供給過剰となることが予想された。
- ただ、足元で一部OPECプラス産油国が減産措置の継続に対し消極的な姿勢を示し始めている旨示唆された(後述)。
- このため、2024年後半においても、世界石油需給バランスの均衡を図るべく、2024年6月2日に開催されたOPECプラス産油国閣僚級会合においては、当該減産措置を2024年9月まで同規模で延長したうえ、以降は段階的に規模を縮小、2025年9月を以て終了する旨決定するとともに、今後の市場の状況によっては、減産規模の縮小を停止したり、減産規模を拡大したりすることもありうるとしたものと考えられる。
- それでも、前回のOPECプラス産油国閣僚級会合開催後の2024年7月15日に中国国家統計局から発表された2024年4~6月期の同国国内総生産(GDP)が前年同期比4.7%の増加と同年1~3月期(同5.3%の増加)から大幅低下、2023年1~3月期(この時は同4.5%の増加)以来の低水準に到達した他市場の事前予想(同5.1%の増加)を下回った旨判明して以降、中国経済回復に伴う石油需要の伸びの加速に対し疑問視する見方が市場で発生した。
- 加えて、2024年7~9月期の同国GDPも同4.6%の増加と市場の事前予想(同4.5%の増加)は上回ったものの、前期からはさらに伸びが鈍化した他、同国の購買担当者指数(PMI)、鉱工業生産、小売売上高、輸出入及び不動産等の関連指標類も、一時的に状況が改善していることを示唆する場面は見られるものの、全体としては同国の持続的な経済回復に対する市場関係者の確信をもたらすには至らなかった他、同国の原油輸入や製油所における原油精製処理量も軒並み前年を下回る状況となっている旨判明した。
- そのような中、例えば、中国全国人民代表大会(全人代)常務委員会終了後の11月8日夕方(現地時間)には、同国の藍仏安財政相が、簿外債務処理のため、今後3年間同国地方政府の特別地方債発行上限を年間2兆元、合計6兆元(12兆円)引き上げることを含め10兆元(210兆円)の対策を講じる方針である他、この先さらなる景気刺激策を発表する予定である旨示唆するなど、中国政府等はしばしば経済支援策の実施方針を表明した。
- それでも、地方政府の債券発行上限引き上げ(因みに、2023年末の同国地方政府の簿外債務は14兆元である旨同日同財政相は説明したが、国際通貨基金(IMF)は、当該債務は最大60兆元に達する可能性がある旨推定していたる)では同国の消費は喚起されないとの観測が市場関係者間で発生した他、さらなる景気刺激策については同国財政相からは具体的な説明が行なわれなかった。
- このようなことを含め同国政府等による景気刺激策の大半は市場の期待を下回る状態となっており不動産部門の不振を初めとして同国経済減速観測が払拭しきれない中、中国石油需要の伸びの鈍化懸念が市場で広がった。
- このようなことと併せ、OPECは、8月12日に発表した月刊オイル・マーケット・レポートにおいて2024年の世界石油需要を前月から日量13万バレル、2025年の世界石油需要を同20万バレル、9月10日に発表した同レポートにおいて、2024年を同8万バレル、2025年を同12万バレル、10月14日に発表した同レポートにおいて2024年を同11万バレル、2025年を同21万バレル、さらに11月12日に発表した同レポートにおいても2024年を同11万バレル、2025年を同21万バレル、それぞれ下方修正した。
- また、2023年10月7日に開始されたイスラエルとイスラム武装勢力ハマスとの間での戦闘は、その後イスラエルとイスラム武装勢力ヒズボラとの戦闘へと拡大したうえ、ハマス及びヒズボラを支援するイランとイスラエルとの対立の先鋭化に繋がり、両国の間でミサイル等の発射の応酬となる場面も見られたが、両国等の石油を含むエネルギー関連施設に大きな被害が発生する場面は見られなかったこともあり、中東情勢の不安定化に伴う同地域からの石油供給途絶懸念は市場で後退する格好となった。
- 以上のような要因もあり、2023年10月19日には1バレル当たり89.37ドルの終値に到達した原油価格は2024年9月10日には65.75ドルと、2021年12月1日(この日の終値は65.57ドル)以来の低水準に到達するなど下落傾向を示した他、その後も概ね67~77ドルを中心とする領域で推移するなど、低迷気味となった(図1参照)。
- このような中、OPECプラス産油国は日量216万バレルの自主的な減産措置の緩和開始時期を当初の10月から12月へと延期する旨決定したと9月5日に国営サウジ通信が報じた他、OPEC事務局も同日同趣の発表を行なったうえ、11月3日には当該減産措置の緩和開始をさらに1ヶ月延期して2025年1月とする旨OPECが発表した。
- しかしながら、2025年1月より減産措置の緩和を開始した場合でも、2025年は日量248万バレルの供給過剰となることから、原油相場に下方圧力が加わることが予想された(表4参照)。
- このため、原油価格の下落もしくはもたつきに伴う石油収入減少及び低迷を回避することを目的として、世界石油需給緩和を抑制すべく、減産措置緩和の開始時期のさらなる延期をOPECプラス産油国は迫られた。
- しかしながら、世界各国及び地域による地球環境問題への対応に伴う、中長期的な世界石油需要を巡る不安感から、自主的な減産措置を実施するOPECプラス産油国の一部から、自国の原油生産量拡大の要望が示されていたものと見られる。
- 従来からUAEはOPEC加盟が自国の長期的利害(地球環境問題への対応もあり、将来の世界石油需要を巡る不透明感が強まる中、早期に原油生産を進めることにより自国で埋蔵される石油資源を使い切るとともに石油生産収入を確保しておく必要性があるかもしれないと同国が認識していることが背景にあると見る向きもある)に合致しているかどうか検討していた(その際OPEC脱退といった選択肢も含まれていたとされる)旨2020年11月17日に伝えられていた。
- さらに、UAEは引き続きOPEC脱退につき内部で検討している旨2023年3月3日朝(米国東部時間)にウォールストリート・ジャーナルが報じるなどした(しかし、ウォールストリート・ジャーナルの報道は真実から大きく乖離している旨UAE関係筋が明らかにしたと、ウォールストリート・ジャーナルによる報道の1時間程度後にロイター通信が報じるなど、情報が錯綜した)
- 加えて、既に自国は十分な減産を実施しており、2024年6月2日に開催されるOPECプラス産油国会合閣僚級会合においては、さらなる減産には合意しない旨5月11日にイラクのアブドルガニ石油相が表明する場面が見られた(同国が減産幅の拡大に反対しているのか、もしくは自主的なものを含め既存の減産の延長に反対しているのかは明らかにしなかった)。
- さらに、カザフスタンにおいては、シェブロンが主導しているテンギス油田の拡張プロジェクトが2025年第2四半期に完了する予定であり、これにより、同油田の原油生産能力は日量26万バレル拡大するとされた他、クウェート及びアルジェリアも2025年に増産する可能性がある旨6月2日のOPECプラス産油国閣僚級会合開催前に示唆されていた。
- このようなこともあり、OPECプラス産油国は減産措置緩和開始を延期することにより、原油価格の下落抑制を図る一方、延期期間を3ヶ月と短期間にすることを通じ、近い将来の増産に含みを持たせることにより、増産を希望する一部産油国を説得する格好としたものと考えられる。
- そして、2024年3月上旬頃時点までに入手できた中国経済及び石油需要を含む世界石油需給バランス等を考慮に入れたうえで、2025年4月の一部OPECプラス産油国による減産措置の緩和開始の是非を改めて判断することにしたものと思われる。
- ただ、石油市場関係者間33者中26者は、今回のOPECプラス産油国閣僚級会合における一部産油国による自主的な減産措置の緩和開始を2025年1月から延期する旨予想しているとの認識を示していたうえ、そのような認識を持つ関係者の半数は少なくとも3ヶ月は減産措置の緩和開始を延期するものと見込んでいる旨、今回の閣僚級会合開催前の11月25日に報じられていた。
- また、OPECプラス産油国は2025年4月まで減産緩和を延期する可能性が高い旨関係筋が明らかにしたと12月2日夕方(米国東部時間)にロイター通信が報じていた。
- このため、今回の会合において3ヶ月間の減産措置の緩和開始延期のみが決定されても、市場関係者の事前予想通りの驚きのない展開となってしまい、かえって会合後の原油市場では利益確定が発生するとともに原油相場に下方圧力が加わることが予想された。
- このようなことから、OPECプラス産油国閣僚級会合開催に際しては、市場関係者から事前に予想されていなかった、従来2025年末を期限としていた公式減産措置及び一部産油国が実施中であった日量165万バレルの自主的な減産措置を1年間延長することで、より長期的な世界石油供給の調整を行なう意志を示すことに加え、UAEの日量30万バレルの段階的増産の開始時期を当初予定の2025年1月から4月へと延期するとともに、従来9ヶ月間に渡り実施する予定であったUAEによる日量30万バレルの段階的増産、及び12ヶ月間に渡って実施する予定であった一部産油国による日量216万バレルの減産措置の緩和に要する、それぞれの期間を18ヶ月間に拡大することにより、より緩やかな供給拡大を実施することを通じて、世界石油需給緩和感の市場における醸成を抑制することにより、原油価格の先高感の醸成とともに原油価格の下支えを図ろうとしたものと考えられる。
3. 原油価格の動きと石油市場における今後の注目点等
- 今回のOPECプラス産油国閣僚級会合開催に際しては、当初一部OPECプラス産油国が実施中である日量216万バレルの自主的な減産措置の緩和開始時期の3ヶ月間の延長が決定したとの情報が流れたことで、市場関係者による事前予想と一致することにより驚きがないとの認識と失望が市場で広がる格好となったこともあり、当該情報が流れた後の12月5日朝(米国東部時間)には原油価格は一時1バレル当たり67.98ドルと前日終値(68.54ドル)比で0.56ドル下落する場面が見られた。
- しかしながら、その後は、従来2025年末を期限としていたOPECプラス産油国の公式減産措置や一部OPECプラス産油国による日量165万バレルの自主的な減産措置を2026年末まで延長したことに加え、UAEの原油生産目標の日量30万バレルの段階的引き上げ開始時期を従来予定されていた2025年1月から4月へと延期したうえ、一部OPECプラス産油国が実施中であった日量216万バレルの減産緩和やUAEの原油生産目標の引き上げにつき、実施期間を従来の12ヶ月間から18ヶ月間に拡大するといった、市場関係者間で事前に予想されていなかった決定がなされた旨明らかになったことにより、相対的な世界石油需給引き締まり感を市場が意識した結果、原油価格は反発、この日の午前9時前(同)には原油価格は1バレル当たり69.16ドル(同0.62ドルの上昇)にまで上昇する場面が見られた。
- しかしながら、今回のOPECプラス産油国閣僚級会合等での決定を以てしても、2025年全体としては供給過剰となる可能性があるとの市場の見方を払拭しきれなかった(後述)こともあり、その後原油相場に再び下方圧力が加わった結果、この日の原油価格の終値は1バレル当たり68.30ドルと、前日終値比で0.24ドルの下落となった。
- 他方、この先の世界石油市場を巡っては不透明感が強まりつつある。
- 不透明感を増大させる要因としては、まず、2024年11月5日に実施された米国次期大統領選挙においてトランプ前大統領が当選し、2025年1月20日に同国の次期大統領に就任することが挙げられる。
- トランプ氏が大統領に返り咲くことにより、同氏が前大統領時代に実施していた対イラン強硬策が復活することが想定される。
- 2015年7月14日に合意したイランと西側諸国等との間での核合意を、2018年5月8日にトランプ氏は一方的に離脱、2021年1月20日にバイデン大統領が就任した後、イラン核合意の正常化に向けた交渉が開始されたものの、紆余曲折を経つつ現時点においても正常化はなされていない。
- そのような中、トランプ氏が次期大統領に就任した場合には、イラン核合意の正常化をめぐるイランと西側諸国等との協議から米国が再び一方的に離脱する他、イランに対する制裁強化、もしくは制裁運用の強化を行なう可能性があるものと考えられる。
- 特に最近では、バイデン政権の制裁運用が事実上緩やかになっているように見受けられていたこともあり、イランの原油生産量は2022年9月の日量248万バレルから2024年10月には同335万バレルと同87万バレル程度増加しているが、トランプ氏の次期大統領就任後は、同氏がイラン制裁運用を強化等する結果イランの原油生産が比較的早期に相当程度減少するとともに、その分だけ石油需給引き締まり感が市場で強まることにより、原油相場に上方圧力が加わりやすくなる。
- また、トランプ氏によるイラン核合意正常化交渉離脱と対イラン制裁の実質的な強化等に反発することにより、イランがウラン濃縮活動の拡大等を通じ、イスラエルや米国に対する挑発行為を強める結果、イランと、イスラエル及び米国との間での対立が高まるとともに、イランとイスラエルとの軍事攻撃、ペルシャ湾等における米国やイスラエル関連企業等の運航するタンカーを含む船舶のイラン等による拿捕、もしくはイランによるホルムズ海峡封鎖等の可能性に対し、市場の懸念が増大することにより、原油価格が上振れする展開となることもありうる。
- さらに、トランプ氏はイスラエルとハマス及びヒズボラとの戦闘の停止を呼びかけているものの、一方でイスラエルを支援する姿勢を示しているため、イスラエルと、ハマス及びヒズボラ(11月27日以降イスラエルとヒズボラは停戦状態となっているが、両者による攻撃が散発的に発生している)との戦闘が激化する他、イスラエルとイラン等との対立がさらに先鋭化する結果、中東情勢の不安定化に伴う同地域からの石油供給途絶懸念が市場で強まることを通じ、原油相場が下支えされたり展開次第では原油価格が上振れしたりする場面が見られる可能性があろう。
- また、米国では金融当局による政策金利引き下げが続いているが、物価上昇沈静化がもたつき気味となっている反面、足元の米国経済情勢が必ずしも悪化し続けている状態ではないこともあり、政策金利引き下げは、今後明らかになる経済指標予測等を考慮しつつ慎重に進めるべきであるというのが現在の同国金融当局関係者の考え方の主流であるように見受けられる。
- しかしながら、トランプ氏の次期大統領就任後は、米国が外国製品に対し関税賦課を強化する等する結果、輸入製品を中心として物価上昇が加速する可能性が増大するため、米国金融当局は物価上昇を促進させやすくするような政策金利引き下げを継続しにくくなるどころか、物価上昇抑制のため、政策金利引き上げの実施を迫られる可能性が生じる。
- そして米国金融当局による政策金利の引き下げ停止、もしくは引き上げを巡る観測が市場で広がるようであれば、米ドルが上昇するとともに、原油相場に下方圧力が加わりやすくなる。
- ただ、トランプ氏が米国経済発展のため財政出動等を通じ景気刺激策を講じたり(この結果米国経済成長が加速するとともに石油需要の伸びが拡大するとの期待が市場で増大する)、米国産品輸出促進のために米ドル安誘導を試みようとしたりする(米ドル高は懸念材料である旨トランプ氏が明らかにしたと7月16日夕方(米国東部時間)に報じられていた)ことにより、米ドル高是正観測が市場で強まるとともに米ドルが下落することを通じ、原油相場に上方圧力が加わる可能性もある。
- また、トランプ氏の米国次期大統領就任後、中国に対し最大関税(60%)の関税を課する可能性が取り沙汰されており、実際にそのような政策をトランプ氏が実施するようであれば、輸出に依存する中国経済にはさらなる打撃となるとともに、同国経済が減速することを通じ、石油需要の伸びが鈍化するとの観測が市場で発生するとともに、原油相場に下方圧力が加わりやすくなるものと考えられる。
- 他方、トランプ氏は、同国のエネルギーの独立を達成すべく、シェールオイル及びシェールガス、もしくは米国メキシコ湾沖合深海油・ガス田等を含む石油・天然ガス開発・生産を促進しようとする姿勢を示している。
- 従って、トランプ氏の大統領就任後、同氏が米国の石油・天然ガス開発・生産支援策を実施するか、少なくとも環境規制等といった米国の石油・天然ガス開発・生産を制限するような規制や手続きの緩和もしくは撤廃を実施することにより、米国の石油・天然ガス開発・生産を促進させようとするであろう。
- このようなことから、将来的に米国の石油・天然ガス生産が拡大するとの観測が市場で広がるとともに、世界石油需給緩和感が市場で強まる結果、原油価格が下振れしやすくなるものと考えられる。
- ただ、トランプ氏が次期大統領に就任した場合、まずイラン制裁強化に伴う石油供給減少の影響が石油市場に及び、その後米国のシェールオイルを含む石油生産拡大の影響が石油市場に及ぶものと見られる(シェールオイルの生産拡大は比較的速やかに行なわれるとはいえ、それが実現するまでには半年から1年を要するため、それよりも早期に減少する恐れのあるイラン石油供給を相殺することは困難である可能性がある)ことから、まずはイラン要因で世界石油需給引き締まり観測が強まるとともに原油相場が上昇した後、米国シェールオイル増産に伴う世界石油需給の緩和観測が醸成されるとともに原油相場が沈静化する方向に向かうといった展開になることも想定される。
- なお、トランプ氏が次期大統領に就任した際には、同氏は税制等を通じクリーンエネルギーや電気自動車(EV)等の普及促進を事実上阻止する一方ガソリン車等石油で駆動する内燃機関の自動車の普及を推進するものと指摘する向きもあり、米国でガソリン等の石油需要が増加するとの観測が市場で強まる結果、ガソリン等の石油製品及び原油価格が支持されやすいものと考えられる。
- このようにトランプ氏の次期米国大統領就任後は、自国の石油開発・生産の推進、イランへの対応を含む中東情勢の複雑化等を含め、事態が複雑化する(さらに、トランプ氏が突然予期せぬ発言を行うことにより、政治、経済、外交及び軍事面等で情勢が混乱することもありうる)結果、原油相場が乱高下する可能性がある。
- また、今後2025年1月20日に予定される米国の次期大統領就任までの間においても、次期大統領に当選したトランプ氏による、政権移行に向けた閣僚候補選定等を巡る動き及び同氏もしくは関係者による米国の経済及び外交方針等に関する発言等によって、原油相場が変動するといった展開も想定される。
- 他方、2022年2月24日にロシアがウクライナに侵攻を開始して、11月19日で1,000日となったが、この間、ロシアに対する欧米諸国等による制裁の発動等により、ロシアからの石油や天然ガスの供給が混乱する場面が見られた他、2024年に入ってからは、ウクライナが発射した無人機等により、ロシアの製油所等の石油関連施設がしばしば攻撃された結果、石油製品供給に対する懸念が市場で増大するとともに、原油相場に上方圧力が加わる場面が見られた。
- そして、北朝鮮がロシアに対し軍事面での人材協力を行いつつある旨10月13日にウクライナのゼレンスキー大統領が示唆した他、北朝鮮兵士がロシアに派遣されている証拠がある旨10月23日に米国のオースティン国防省長官が明らかにした。
- 11月5日にはウクライナのウメロフ国防相が、同国が初めて北朝鮮兵士との間で交戦した旨発表したが、同日に実施された米国次期大統領選挙ではトランプ氏が当選した。
- トランプ氏は2025年1月20日に予定される次期米国大統領就任後24時間以内にウクライナとロシアとの停戦を達成する旨主張しており、従来の自国の領土をロシアに占領されたまま停戦するといった不利な条件を受け入れさせられる懸念がウクライナ側で強まっている。
- そのような中、米国バイデン政権はウクライナに対し米国製長距離兵器を使用したロシアへの攻撃を承認した(ウクライナ軍と戦闘しているロシア軍に北朝鮮軍が派遣されていることを理由としている)旨11月17日に伝えられた。
- そして、米国製の長距離地対地ミサイル「エイタクムス(ATACMS)」を使用してロシア西部ブリャンスク州の弾薬庫を攻撃した旨11月19日にウクライナが公式に認めた一方、ロシアのプーチン大統領は同国の核原則を改定し核兵器の使用可能性を事実上拡大した旨11月19日に発表した。
- 11月20日にはウクライナが英国から供与された長距離ミサイル「ストームシャドー」をロシアに向け初めて発射した他、ウクライナに対し対人地雷を供与するとともにその使用を承認する旨11月20日に米国のオースティン国防省長官が明らかにした。
- さらに、欧米から供与された長距離兵器を使用してウクライナがロシアを攻撃したことへの報復として、11月21日にはロシアが超音速中距離弾道ミサイル「オレシュニク」を試験的に使用しウクライナを攻撃した旨11月21日に同国のプーチン大統領が発表した他、ロシアは同ミサイルを継続的に生産するとともに、直ちに使用可能な在庫を利用する等して、今後もウクライナに対し同ミサイルを発射し続ける旨11月22日に同大統領が示唆した。
- このように、欧米諸国から供与された長距離兵器を使用してウクライナがロシアに対する攻撃を拡大しつつあるとともに、ウクライナとロシアとの間での戦闘が激化する兆候が見られる。
- 今後さらに戦闘が激化するようであれば、例えばロシアにおける製油所やパイプラインを含むエネルギーインフラがウクライナ等により攻撃される結果、ロシアからの原油や石油製品等の国内外の供給に支障が発生することにより、石油市場が混乱を来すとともに、石油需給引き締まり感が市場で意識されることにより、原油相場に上方圧力が加わる場面が見られることもありうる。
- また、このようにウクライナとロシアとの戦闘が激化しつつあるため、トランプ氏の次期米国大統領就任後の両国の停戦を巡る交渉が複雑化する結果、戦闘が長引くとともに、ロシアからの石油供給途絶懸念が市場で増大することにより、その影響を石油市場が被ることを通じ、原油価格にそれが織り込まれるといった事態が発生することも想定されることもありうる。
- 他方、一部OPECプラス産油国8ヶ国により実施されている自主的な減産措置緩和を2025年4月開始に延期したうえで18ヶ月間に渡りより緩やかに実施しても、現時点の世界石油需給シナリオに基づけば、2025年全体ではなお日量162万バレルの供給過剰となることが見込まれる(表5参照)。
- このため、OPECプラス産油国はそのような供給過剰に伴う世界石油需給緩和感の醸成による原油価格の下落を抑制する必要に早晩迫られる可能性もある。
- ただ、減産緩和のさらなる延期等の措置の実施に際しては、一部OPECプラス産油国が増産の意向を示すなど原油生産制限に関し足並みが乱れつつある側面もあることから、原油販売収入の極大化を図るべく原油価格を維持するには減産を継続することが重要である旨、増産意向を示している一部産油国を説得する必要がある。
- このようなことから、サウジアラビアを含むOPECプラス産油国は、今後もトランプ氏が次期大統領に就任する米国の政策を含む世界経済や地政学的リスクといった、現時点では不透明であるとされる要因の展開を考慮しながら、足元及びこの先の世界石油需給状況と原油価格動向や見通し等を見極めつつ、減産措置緩和の延期、取り止め、もしくは状況によっては減産拡大等を含めた減産措置緩和の取り扱いにつき漸進的に判断していく可能性があるものと考えられる。
- また、2ヶ月毎に実施される予定であるOPECプラス産油国JMMCは、次回は2月初頭前後に開催されるものと見られるが、その際に現時点で4月に開始される予定である減産措置緩和の開始の再延期等につき議論することは、世界政治・経済情勢、及び石油需給や原油価格の見通し等が不透明であることからすると、時期尚早であるものと見られる一方、次々回のJMMC(4月初頭前後に開催されるものと思われる)において4月からの減産措置緩和開始の延期等を協議しても、減産参加各産油国の原油生産調整に対する準備が間に合わないものと見られることから、遅くとも3月上旬末頃までには世界石油市場の現状及び今後の見通し等に基づき、臨時協議を実施すること等を通じ、減産措置緩和開始の再延期を含めた調整を行なうと言った展開となりうるものと考えられる。
(参考1:2024年12月5日開催OPECプラス産油国閣僚級会合時声明)
38th OPEC and non-OPEC Ministerial Meeting
No21/2024
Vienna, Austria
05 December 2024
In light of the continued commitment of the OPEC and non-OPEC Participating Countries in the Declaration of Cooperation (DoC) to achieve and sustain a stable oil market, and to provide long-term guidance and transparency for the market, and in line with the approach of being precautious, proactive, and pre-emptive, which has been consistently adopted by OPEC and non-OPEC Participating Countries in the Declaration of Cooperation, the Participating Countries decided to:
- Reaffirm the Framework of the Declaration of Cooperation, signed on 10 December 2016 and further endorsed in subsequent meetings; as well as the Charter of Cooperation, signed on 2 July 2019.
- Extend the level of overall crude oil production for OPEC and non-OPEC Participating Countries in the DoC as agreed in the 35th OPEC and non-OPEC Ministerial Meeting, as per the attached table until 31 December 2026.
- Reaffirm the mandate of the Joint Ministerial Monitoring Committee (JMMC) to closely review global oil market conditions, oil production levels, and the level of conformity with the DoC, assisted by the Joint Technical Committee (JTC) and the OPEC Secretariat. The JMMC meeting is to be held every two months.
- Hold the OPEC and non-OPEC Ministerial Meeting (ONOMM) every six months in accordance with the ordinary OPEC scheduled conference.
- Grant the JMMC the authority to hold additional meetings, or to request an OPEC and non-OPEC Ministerial Meeting at any time to address market developments, whenever deemed necessary.
- Reaffirm that the DoC conformity is to be monitored considering crude oil production, using the average of the approved seven secondary sources, and according to the methodology applied for OPEC Member Countries.
- Reiterate the critical importance of adhering to full conformity and compensation mechanism.
- Extend the assessment period by the three independent sources to the beginning of November 2026, to be used as guidance for 2027 reference production levels.
- The countries participating in the Declaration of Cooperation (DoC) express their deepest gratitude to the Kingdom of Saudi Arabia for its exceptional leadership and unwavering commitment to global oil market stability. Under the chairmanship of HRH Prince Abdulaziz bin Salman Al Saud, the DoC countries have navigated challenges with strategic vision, fostering cohesion through consensus building efforts and ensuring balance and transparency in the oil market.
- Hold the 39th OPEC and non-OPEC Ministerial Meeting on 28 May 2025.
――――――
(参考2:2024年12月5日開催一部OPECプラス産油国会合時声明)
Saudi Arabia, Russia, Iraq, United Arab Emirates, Kuwait, Kazakhstan, Algeria, and Oman held a virtual meeting on the sidelines of the 38th OPEC and non-OPEC Ministerial Meeting (ONOMM) Meeting
No22/2024
Vienna, Austria
05 December 2024
OPEC plus countries Saudi Arabia, Russia, Iraq, United Arab Emirates, Kuwait, Kazakhstan, Algeria, and Oman, which previously announced additional voluntary adjustments in April 2023 and November 2023 held a virtual meeting on the sideline of the 38th OPEC and non-OPEC Ministerial Meeting (ONOMM).
The meeting was conducted to reinforce the precautionary efforts of OPEC+ countries, aiming to support the stability and balance of oil markets. The aforementioned countries decided, in addition to the latest decisions from the 38th ONOMM, to extend the additional voluntary adjustments of 1.65 million barrels per day that were announced in April 2023, until the end of December 2026.
Moreover, these countries will extend their additional voluntary adjustments of 2.2 million barrels per day, that were announced in November 2023, until the end of March 2025 and then the 2.2 million barrels per day adjustments will be gradually phased out on a monthly basis until the end of September 2026 to support market stability as per the attached table. This monthly increase can be paused or reversed subject to market conditions.
In the spirit of transparency and collaboration, the meeting welcomed the pledges made by the overproducing countries to achieve full conformity and resubmit their updated compensation schedule to the OPEC Secretariat for the overproduced volumes since Jan 2024 before the end of December 2024 as agreed in the 52nd Meeting of the Joint Ministerial Monitoring Committee (JMMC). The compensation period will be extended until the end of June 2026.
以上
(この報告は2024年12月6日時点のものです)