2020年6月

天然ガス・LNG価格動向

直近の値動き

  • 原油価格の下落とCOVID-19の影響に伴い世界各地のガス価格が低い水準で推移している。2020年6月25日時点で米国ヘンリーハブガス価格(HH)、オランダガス価格(TTF)、英国ガス価格(NBP)は、100万Btu当たりUSD 1台の最安値水準を付けている。この数週間には、HHが欧州ガス価格を上回ることにより、いくつかのLNGカーゴが米国へ向かうケースが発生している。
  • 北東アジアのアセスメントされたスポットLNG価格JKM(期近分)は、2020年5月後半から6月にかけて、USD 2付近で推移した。米国産LNGカーゴのキャンセル、ロックダウンの段階的緩和による需要回復への期待感によって、5月にはUSD 2 以上に上昇したものの、6月25日時点でもUSD 2.1と依然として過去最低水準を維持している。今後アジア各国でロックダウンの緩和は進むものと考えられ、経済活動の再開によりJKMは上向くと予想される。なお、2020年5月のMETIスポットLNG価格はUSD 2.6 (4月比 USD 0.4下落) となった。
  • 2020年5月末時点のHHはUSD 1.70と、前月比でUSD 0.25下落した。1月20日以降、5月2日のUSD 2.13を除き、USD 2を下回っている。原油価格の低迷により、シェールオイル随伴ガス生産は減少するも、COVID-19の影響によるガスの需要減退に加え、LNGカーゴのキャンセルによる輸出量の減退もあり、5月初旬に比べて下落している。2020年5月末時点のTTFはUSD 1.43と、前月比でUSD 0.55下落した。4月下旬からUSD 2未満で推移しており、5月28日にはUSD 1.13と過去10年の最安値を更新した。その後、6月に入り欧州域内でもロックダウンの緩和が始まっており、ガス価格は急上昇し、TTFがHHを下回る現象は解消された。
  • 2020年5月の日本平均LNG輸入価格はUSD 9.45であった。財務省貿易統計によれば、供給地域別では、米国産LNGがUSD 8.52、ASEAN地域産LNGがUSD 8.92と、日本平均LNG輸入価格を下回った。また、5月の日本平均LNG輸入価格USD 9.45は、JKMの5月引き渡し分平均USD 2.80に対して3.4倍と、4月の3.0倍より格差は広がった。日本が長期契約で購入する米国産を除くLNGの大部分は、原油価格に連動した価格指標を採用しているため、3月9日以降の原油価格の急落により、今後LNG輸入価格も下落する可能性が高い。4、5月分の日本平均原油輸入価格は、1バレル当たりUSD42、USD 25と下落している。原油価格の長期契約LNG価格への反映には3ヶ月程度の時差があるため、7月以降のLNG輸入価格が下がることが見込まれる。なお、5月の日本のLNG輸入量は458.0万tと前年同月比17.7%減、月単位では2009年5月の423.3万t以来の低水準となった。

天然ガス・LNG価格推移(直近1年)

中長期の値動き

  • 日本平均LNG輸入価格は、直近10年間では2012年のUSD 18台をピークに下落している。これは基本的に長期契約のLNG価格が連動している原油価格の下落基調によるものとみられる。2019年4月以降、8月のUSD 10.13を除き、USD 10を下回っている状況にある。2020年3月の原油価格のさらなる下落により、平均輸入価格はさらに下落する見通しである。
  • JKMは、2019年11月 - 2020年1月引き渡し分は、いずれも一時的にUSD 6前後の水準にあったが、その後下落を続け、2020年6月引き渡し分については、2020年4月末、USD 2未満に下落した。これは下落率、そして到達水準ともに歴史的に顕著なものとなっている。JKMは、近年欧州スポットガス価格水準を下限、原油等価水準を上限とするレンジの中で変動してきたが、2019年から終始その下端近くに留まり続けている。また2019年6月以降は基本的に史上最低水準で推移している。
  • 日本平均LNG輸入価格は、2019年第2四半期以降平均でJKM当該月引き渡し分期近平均の1.6 倍を超え、同年7 - 10月、2020年3 - 4月は各月2倍を超え、2020年5月は3倍を超えた。2011年以降、両者の価格差が最大となる傾向が継続している。これは現在進行中の米国を中心とした供給容量拡大に対して、北東アジアの伝統的市場、特に日本及び韓国を中心にLNG引き取り意欲が弱いことに加え、COVID-19による需要減退懸念が要因とみられる。2020年1 - 5月の日本、韓国、台湾合計のLNG輸入量は、前年同期比で19万t、0.3%増となったが、2018年の同時期と比較すると、3カ国合計のLNG輸入量は559万t、9.0%減となっており、低調に推移している。対照的に、中国のLNG輸入が5月分で523万tと、2019年11月以来2度目となるが日本を上回った。1 - 5月分では、2548万トン、前年同期比7.0%増加となった。

天然ガス・LNG価格推移(直近10年)

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(出典)
米国HH(Henry Hub)価格: NYMEX Futures and Options, CME Group
英国NBP(National Balancing Point)価格: ICE Futures Europe, Intercontinental Exchange
蘭TTF(Title Transfer Facility)価格:ICE Futures Europe, Intercontinental Exchange
JKM: LNG Japan/Korea Marker© 2020 by S&P Global Platts, a division of S&P Global Inc.
METIスポットLNG価格: 経済産業省「スポットLNG価格調査」
日本平均LNG輸入価格: 財務省貿易統計をもとに作成

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天然ガス・LNG在庫動向

日本

  • 2020年2月末の国内LNG在庫は445万tで、前月比0.5%の減少、前年同月比2.5%の増加となった。これは過去5年平均値を88万t上回り、2月としては2008年の統計開始以来最大であった。このうち、ガス事業用在庫については、2020年2月のLNG消費量が前月比7.8%減の301万tであったが、都市ガス用LNG受け入れ量292万tを9万t上回ったため、2月の在庫は189万tと、前月比7.6%減となった。前年同月比では8.6%減少した。また、発電燃料用在庫については、2月のガス火力発電所の発電量は前月比9.8%減少したこともあり、在庫は256万tで、前月比5.5%増、前年同月比で12.5%増加した。2月末の段階では、COVID-19による外出自粛や工場等の生産調整がLNG消費に与える影響は限定的であると考えられるが、気象庁によると東京や大阪などの大都市圏の2月の平均気温が過去10年で最高を記録しており、暖房需要の減少が影響しているものと考えられる。
  • 過去10年の国内LNG在庫は増加の傾向がみられる。原子力発電所の再稼働や再生エネルギーの増加などで、2014年度をピークにLNGの輸入量、消費量が減少するのに呼応してLNG在庫量も一時減少したが、2018年度から再び増加に転じ、統計開始以来、過去最高水準の在庫量を維持している。原子力発電所の再稼働や冷暖房需要の減少が在庫量増加の主な要因と思われるが、米国その他から仕向地制限のないLNGが徐々に増えており、エネルギー事業者も供給安定性のためのLNG自主備蓄に加え、LNGトレーディングのクッションとしての利用を徐々に行いつつあるものと推測される。
  • 日本のLNG在庫は、LNG消費と比較すれば全般的に高い水準にある。これは天然ガス供給について殆ど全て輸入LNGに頼っていることが要因である。欧州、米国は天然ガスの形での地下貯蔵量が多いため、LNG在庫水準は日本と比して低い。なお、日本に向かっているLNG船の積荷LNGを在庫として想定する場合、約150万t相当が常に洋上にあるとみなすこともできる。日本ではLNGの備蓄義務がなく、LNGタンクでの長期保管はコスト的にも技術的にも現実的ではないものの、調達先や調達経路の多様化により、供給セキュリティ向上を図っている。
  • LNGの6割以上が電力会社により消費されている。これら電力会社は、LNG以外にも発電源を持っており、LNGを全発電の不足分、あるいは余剰分を調整するための発電源として用いていることも在庫水準が高い要因として挙げられる。近年、原子力発電所の再稼働状況や再生可能エネルギー電源の電力供給の増加が、LNG在庫のパターンを大きく変化させている。2018年や2019年の11月末時点には総在庫量が約500万tまで上昇したがこれら大きな要因の一つとみられる。

国内LNG月末在庫(直近10年)

国内LNG月末在庫量(直近1年)

(出典)
経済産業省「ガス事業主生産動態統計」及び「電力調査統計・火力発電燃料実績」をもとに作成したもので、これら月末在庫を合算した値を国内在庫としてみなしたもの。なお、利用可能なデータは2008年1月以降のものであるため、過去5年平均は2013年1月分から計算している。


米国

  • 2020年6月19日の米国天然ガス地下貯蔵有効稼働ガス在庫は、米国エネルギー情報局(U.S. Energy Information Administration, EIA)のデータによると、3,012 Bcf で前月比 15.3 %の増加となった。在庫量は2019年の同時期と比較すると30.9 %増、711 Bcf 高く、過去5年平均値の2,473 Bcf を466 Bcf 上回っているが、在庫量は過去5年レンジの範囲内には収まっている。しかし、過去5年平均値と比較すると約2か月早いペースで増加しており、この傾向が続くと在庫限界の時期が例年より大幅に早まる可能性がある。
  • EIAが2020年6月上旬に発表した短期エネルギー展望(Short-Term Energy Outlook)の報告では、天然ガスの有効稼働在庫は補充シーズン(4月 - 10月末)に約2.1 Tcf 増加し、2020年10月末には約 4.1 Tcf に達すると予測している。この数値は先月の予測値からは減少しているが、依然として記録的な数字である。
  • EIAは、天然ガス貯蔵容量を設計容量と実証された最大稼働容量の二つの手法により測定している。2019年の米国の天然ガス貯蔵の設計容量は前年より0.4%減の190 Bcf減少し、4,693 Bcfとなった。一方、実証された最大稼働容量は、東部及び太平洋岸地域で増加し、前回の報告期間(2013年12月-2018年11月)より0.1 %増加して 4,261 Bcf となった。最大稼働容量の合計値は各保管フィールドの合計値のため、必ずしも最大の時期は同じではない。
  • 米国の過去10年間の天然ガス有効稼働ガス在庫の最大値はほぼ 4 Tcfで推移している。しかし、EIAのデータベースによると、2017年から2019年で米国の天然ガス生産量は20%以上、消費量は14%以上増加、また天然ガスの輸出量は45%以上も増加しており、天然ガスの需給にかかわる環境は大きく変わりつつある。EIAによれば、2019年8月に電力部門の天然ガスの単月消費量が最大値を更新し、2019年の電力部門の天然ガス消費量と天然ガス総消費量がともに年間で過去最高水準に達しており、天然ガス貯蔵容量のさらなる拡張が奨励されるとしている。またメキシコへのパイプラインガス輸出増加および湾岸地域からのLNG輸出増加がメキシコ湾岸地域での天然ガス貯蔵容量の拡張の必要性を生み出す可能性がある。
  • 米国の貯蔵設備は通常、4月からの夏季にガスをより多く注入し、11月からの冬季にガスをより多く送出する。このような運転パターンは、冬季の暖房向けにガスが必要なこと、および4月から10月にかけて需 要が減少する期間に安価にガスを購入し、需要がピークを迎える期間に高価格で販売したいという商業上の動機により生じてきたものである。この傾向は近年、夏季についても発電用の天然ガス需要が増加したこと、LNG輸出が増加していること、パイプラインによるメキシコ向け輸出が増加していることにより、2017 - 2018年の在庫量ピークが対前年比下がるなど、ある程度緩和され、冬季においても在庫水準は下がる傾向がみられていた。しかし2019年は天然ガス生産量の増産により、冬季の在庫水準を押し上げた。

米国天然ガス地下貯蔵量(直近10年)

米国天然ガス地下貯蔵量(直近1年)

(出典)
米国エネルギー情報局(U.S. Energy Information Administration, EIA)のデータをもとに作成


欧州

  • 2020年6月24日現在のAggregated Gas Storage Inventory (AGSI)加盟各社(欧州連合(EU)加盟国各社、非EU (セルビア、ウクライナ) ) が有する欧州天然ガス地下貯蔵在庫は866 TWhであった。在庫量は前月比10.2%増、前年同期比では99TWh、12.9 %増加し、同時期の過去5年平均よりも278TWh高い。さらに貯蔵容量に対する充填率は、2020年6月24日時点で78%と、依然として過去5年間の同時期の充填率レンジ約44% - 約70%に比べて高い水準にある。在庫増加のペースは例年より在庫量が多かった2019年より約1か月、2018年からは約3ヶ月早く、通常より相当早く在庫が上限に達する可能性がある。
  • 過去10年間の欧州天然ガスの貯蔵容量は600 TWh から1,100 TWhと約1.8倍に増加、在庫量の最大値ピークもそれに伴って増加傾向にある。2016年から2018過去3年の貯蔵在庫量の最大値ピークは約1,000 TWh で推移していたが、2019年2019年度は欧州での天然ガス輸入量の急激な増加と欧州での暖冬が重なり、在庫量は過去最大の1,084 TWhを記録した。2020年3月末の冬期暖房期間の終了時(ボトム時)の在庫量は年間最小値に当たるが約600 TWh で、2011年11月の年間最大値に当たる冬期暖房期間開始前(ピーク時)の在庫量に匹敵する。
  • これら貯蔵設備は通常の場合、4月からの夏季にガスをより多く注入し、充填率は、注入シーズンの終わりに80%から90%台まで上がる。11月からの冬季にガスをより多く送出し、払い出し期間終期には容量の20%から30%に下がる。しかし最近数年間は、充填率の変動が大きくなっている。これは極端な気象変動の影響と、貯蔵設備を使う事業者の商業上の動機によるものである。2018年初めには、厳しい寒波により、在庫水準は2018年3月末時点で18%に低下した。一方前記の通り、2018年後半からの欧州地域のLNG輸入増加により、2019年の夏季・秋季はガス貯蔵が容量上限に近い水準まで増加し、冬季に入っても高い充填率が続いた。

欧州天然ガス貯蔵量(直近10年)

欧州天然ガス貯蔵量(直近1年)

(出典)
Aggregated Gas Storage Inventory(AGSI), Gas Infrastructure Europeのデータをもとに作成。なお、利用可能なデータは2011年1月以降のものであるため、過去5年平均は2016年1月分から計算している。


天然ガス・LNGプロジェクト動向

サマリー

  • 米国を中心にLNG輸出拡大が続く一方で、北東アジア市場の2020年1 - 4月のLNG輸入量は6,800万tと前年同期比3%増に留まった。ミャンマーがLNG輸入を開始したとの情報もあるが、現在のLNG市場を刺激するほどのインパクトはない。EIAによれば、市況低迷の中で、米国産LNGについて6月引き渡し分20カーゴ、7月引き渡し分45カーゴ程度がキャンセルされた可能性がある。またLNGプロジェクトのFIDの延期が引き続き報じられており、5月の 米NextDecade による Rio Grande LNG、カナダ Pieridae による Goldboro LNG のFID延期に続き、6月は米 Tellurian が Driftwood LNG プロジェクトのFIDを2021年に延期することを明らかにした。

 

アジア・オセアニア地域

  • 韓国の産業通商資源部(MOTIE)は2020年6月10日、国内のLNG燃料船の普及拡大とLNG燃料バンカリングの円滑化のため、LNGバンカリング船舶の建造にかかる支援事業を発表した。LNGタンク容量7,500 m3以上のLNGバンカリング船舶建造を支援する。
  • 中国のNDRC(国家発展和改革委員会)データによると、2020年1 - 4月の天然ガス生産量は63.27 Bcm、前年同期比9.3%増、輸入量は44.62 Bcmで同1.5%増、消費量は104.45 Bcmで同3.3%増に留まっている。
  • 中国石油天然气(PetroChina)、深圳盐田港集团、深圳燃气集团は、国内初となる国際船舶向けLNGバンカリング拠点を建設する協定を締結した。当該拠点は年間23万tを供給する能力を有し、将来的に年間200万tに拡張する計画としている。
  • 中国石油化工(Sinopec)は、浙江省舟山六横LNG基地建設に係る協定を舟山市政府と締結した。2024年完成を目指す。
  • インド石油類天然ガス省のPPAC速報データによると、2020年4月の天然ガス消費量は4.013 Bcmで前年同月比25%減、生産量は2.161 Bcmで同18.6%減となった。LNG輸入量は1.947 Bcm相当と同29.4%減となった。2020年第1四半期の天然ガス生産量は前年同期比で10.5%減少したが、天然ガス消費量は同3.5%増、LNG輸入量は同37%増であった。
  • インドのエネルギー取引所(Indian Gas Exchange, IEX)は、2020年6月15日、国内初のオンライン・ガストレーディングプラットフォーム、インドガス取引所(IGX)を発足した。IGXは、グジャラート州 Dahej・Hazira、アンドーラプラデシュ州Odoru の3つの拠点での受け渡しによる先物・現物取引を提供する。
  • PETRONAS は2020年5月20日、同社のサラワク州ビントゥルの LNG ISO タンク充填設備へのLNG供給について、中国Tiger Clean Energy Limited (TCEL)との間で売買契約(SPA)を締結したことを明らかにした。このLNGの中国向け引き渡しはTCELが担当する。
  • PETRONAS は、2020年6月4日に、ミャンマーのヤンゴン向けに初のLNGカーゴ2隻を引き渡したと公表した。この引き渡しは年初に同社と CNTIC VPower 社間で締結したマスター売買契約(SPA)に基づくもので、FOB条件で合計19万m3が販売された。いずれもマレーシア・サラワク州ビントゥル PETRONAS LNG 設備において輸送船舶 CNTIC VPower Global に5月7日、 Golar Kelvin に6月3日に引き渡された。 PETRONAS はCNTIC VPower Globalに条件付きで自社積み込み設備への受け入れを許可した。同船は2つの円筒形タンクからなる初のマルチローブタンク(ビローブ型)で、クーリングダウンサービスも提供することで引渡しを容易にしたとしている。  
  • Keppel Offshore & Marine ・ Shell Eastern Petroleum 間の合弁事業シンガポール FueLNG は、国内初のLNGバンカリング船舶が中国の Keppel Nantong Shipyard 造船所で2020年5月28日に進水したことを明らかにした。この 7,500 m3 LNG バンカリング船舶の建造は2020年第4四半期完成に向けて予定通りに進んでいる。
  • ChevronのGorgon LNGプロジェクトはガス田から排出されるCO2の少なくとも80%を回収・貯蔵(CCS)することを前提として承認されたが、技術的な問題によりCCSの稼働開始が2019年8月に遅れていた件について、西オーストラリア州環境省は2020年5月末、 CCS部分の5年間の検証期間の起点を、第1系列輸出開始した2016年7月に遡る環境保護庁(EPA)を支持した。
  • 2020年5月末、 豪Santos は、 ConocoPhillips の豪州北部・東ティモール資産の取得を完了したことを明らかにした。 これにより、Santos の Bayu-Undan ・ Darwin LNGの権益比率は68.4%に、Darwin LNG に原料ガスを補完供給する Barossa プロジェクトの権益比率は62.5%にそれぞれ増加する。 Santos はこれまでに Darwin LNG ・ Bayu-Undan の権益25%をSK E&Sに売却する合意、 Barossa の権益12.5%をJERAに売却する覚書(LOI)締結を発表していた。これらの売却は、他関係者の合意、規制機関の承認、 Barossa FIDが条件となる。 なお、最近の市況とBarossa FID遅延の状況を踏まえ、完工時前払額をUSD 13.9億からUSD 12.65億に減額し、Barossa FIDの一時支払額をUSD 7,500万からUSD 2億に増額することに両者は合意した。
  • 豪Santos は、クィーンズランド州 Surat 地域で4件の新規探査鉱区を獲得したことを明らかにした。2件は国内供給専用、2件は国内・LNG市場双方に供給し得るものとなるとしている。
  • 豪 Jemena は、 シドニー近傍のPort Kembla で計画されているLNG輸入基地をEastern Gas Pipeline (EGP)ガスパイプラインに接続する計画をニューサウスウェールズ州政府に提出した。また、EGPを双方向化して、シドニー、メルボルン間で柔軟にガスを輸送できるように改造する計画である。

 

北米地域

  • EIAは、2020年6月発行の短期見通しにおいて、米国のLNG輸出について、2020年第2四半期平均日量5.6 Bcf (LNG 換算1,100万t)、第3四半期同3.7 Bcf (LNG換算700万t)と予測し、前月の予測から下方修正した。
  • 米連邦エネルギー規制委員会(FERC)は、2020年6月12日、 Elba Liquefaction ・ Southern LNG 社に、可動型モジュラー液化システム(MMLS) 第9系列に原料ガスを導入することを承認する通知を発行した。
  • FERC は、2020年6月15日、 Venture Global Plaquemines LNG、 Gator Express Pipeline に、作業着手・限定範囲用地準備を承認する通知を発行した。
  • Qatar Petroleum及びExxonMobilとの合弁事業 Golden Pass LNG は、2020年5月21日、LNG生産容量を年間250万t拡張することをFERCに申請した。総容量は1,810万tに増加する。
  • 2020年5月下旬、 Liquefied Natural Gas Limited (LNGL)は、 Magnolia LNG プロジェクト所有する子会社の持分権益を売却したことを明らかにした。6月初旬には、Glenfarne Group が、新たに設立した子会社 Magnolia LNG Holdingsを通じてMagnolia LNGプロジェクトの買収を完了したことを発表した。この買収により、 Glenfarne のLNG輸出容量は年間1,200万tに増加する。このうち400万tは、テキサス州ブラウンズビルのLNG輸出開発プロジェクトTexas LNG Brownsvilleからのもので、Glenfarneの2つの事業子会社の1つであるAlder Midstreamが過半数の所有権を有している。
  • FERCは、5月21日、アラスカ州 North Slope のガス液化事業及びLNG輸出を同州ガス導管公社(AGDC)に対して承認した。当該プロジェクトには年間最大2,000万tのLNG生産を可能とするケナイ半島のLNG設備を含む。

 

欧州・ロシア地域

  • 英InfraStrata は、 加West Face Capitalが運営するヘッジファンドWest Face Long Term Opportunities Global Master L.P. との間で、英 Meridian Holdingsの取得について最終投資決定(FID)を条件として、2020年5月28日に基本合意(タームシート)を締結した。 Meridian はイングランド北西バローインファーネスに浮体貯蔵・気化機器(FSRU)プロジェクトを計画中である。
  • Fluxys LNG は、ベルギー Zeebrugge LNG 受入基地の気化容量について、2023年末までに年間600万t分の拡張を検討している。また同基地では2020年夏から年間170万t分を追加で提供する計画である。
  • Fluxys LNG は、フランス Dunkirk LNG 受入基地において、LNGトラックへの積み込み設備が2020年6月1日から稼働を開始したと公表した。LNGトラックへの積み込み能力は年間3,000枠となる。
  • 商船三井は、2020年5月20日、 Uniper がドイツ北西部ウィルヘルムスハーフェン港で推進する洋上LNG 受入基地プロジェクトの事業化に向けて、FSRU 1隻の20年間の発効条件付き長期傭船契約を LNG Terminal Wilhelmshaven (LTW)と締結し、大宇造船海洋(DSME)と新造FSRU 1隻の発効条件付き造船契約を締結した。商船三井はLNG貯蔵容量26.3万 m3、年間気化能力10 Bcmを持つ大型FSRUを保有・操業して参画する予定。仏GTTは本FSRU設計を、DSMEより受注した。
  • ポーランドPGNiGは、 Świnoujście LNG 基地が拡張されることから、同基地の容量を、2022 - 2023年は年間6.2 Bcm、2024年以降年間8.3 Bcm相当に増加し、17年間分予約した。現時点では年間5 Bcmの気化容量を予約している。
  • アルジェリア SONATRACHは2020年5月末、スペインCEPSAとの取引を完了し、 アルジェリアとスペインを直接結ぶ沖合パイプラインを操業するSociété Medgaz SA における持分を、42.96%から51%に増やした。Naturgy が残り49%を所有している。同パイプライン輸送容量は年間8.2 Bcmだが、2021年第1四半期にアルジェリア側 Beni-Saf コンプレッサーステーション増強により、10.2 Bcmに拡張する。
  • クロアチア LNG Hrvatska は、2020年6月15日、 Krk Island 基地容量について今後3ガス年度分(10月から翌年9月まで)が全て予約されたことを明らかにした。また同社はPOWERGLOBE QATAR が同基地容量を2021年から2035年まで予約したことを公表した。
  • ロシア Gazprom、 RusKhimAlyans (天然ガス処理・液化統合型設備の操業企業として、 Gazprom ・ RusGazDobycha 均等出資で設立)は、エタン含有量の多いガスを処理するレニングラード地方での設備(天然ガス処理・液化統合型設備、ガス化学設備含む)創設プロジェクトに向け、原料ガス、販売ガスについて20年契約を締結した。エタン含有天然ガス年間45 bcmが Gazprom ガス田群から RusKhimAlyans に供給される。処理(エタンその他高価値成分抽出)、LNG生産後、残り年間18 bcmのガスが Gazprom ガス輸送網に向かう。 RusKhimAlyans ・ Baltic Chemical Complex (RusGazDobycha 完全子会社)間で、抽出後の処理のためのエタン供給契約が締結された。 RusKhimAlyans は NIPIGAZ (SIBUR Group 傘下)と、ガス処理設備その他のEPC契約を締結した。
  • ロシア NOVATEKは、 Sovcomflot 所有 Arc7 砕氷型LNG輸送船舶 "Christophe de Margerie" が北周航路(NSR)東方向けにより、僅か12日間でベーリング海峡に達したことを明らかにした。今回の航海は、平均的氷条件下での夏季航海期間が始まる前になされ、航路沿いの氷の厚さは最大1.3 mに達していた。NSRでの東方航海は、通常5月は実施されない。
  • 大宇造船海洋(DSME)はロシア Novatek より36万 m3 LNGバージ2隻を、追加2隻オプション付きで受注したと2020年6月初旬に発表した。 Novatek が商船三井と計画するムルマンスクとカムチャッカでのプロジェクトに用いるとして、Yamal LNG、Arctic 2 LNGからのLNGを砕氷級LNG輸送船舶から在来型輸送船舶に積み替える。2022年末までに2隻を引き渡す見込み。

 

その他地域

  • Qatar Petroleumは、自社の関わるカタールNorth Field プロジェクト及び米国の拡張プロジェクト分のLNG輸送船団需要に対応するべく、韓国の造船枠を予約する契約を同国造船3社と締結した。Qatar Petroleumは2027年までの世界のLNG輸送船舶造船枠の60%、最大100隻超分を確保したと述べた。
  • パナマ Colon LNG Marketing、 Tropigas Natural は2020年6月上旬、パナマ Colon でのAESが操業するLNG輸入基地からパナマ、コスタリカへのLNGトラック供給に関する契約を締結した。
  • BP、 Siemens及びPrumo Logistica 間の合弁事業 Gas Natural Açu (GNA)は、2020年6月12日、自社が進めるガス発電事業に向けてブラジルのAçu LNG 基地にFSRU BW Magna が係留されたことを明らかにした。

添付ファイル