2020年7月

天然ガス・LNG価格動向

直近の値動き

  • 北東アジアのアセスメントされたスポットLNG価格JKM(期近分)は、米国産LNGカーゴのキャンセル、ロックダウンの段階的緩和による需要回復への期待感も大きな価格上昇要因とはならず、6月から7月半ばにかけてはUSD 2前半を横ばいで推移した。9月引き渡し分に切り替わった7月16日にはUSD 2.47と上昇し、7月24日時点でもUSD 2.56とUSD2半ばを維持している。今後はアジア各国での経済活動再開の進展、さらに、夏季に向けた電力需要の増加が予測され、JKMは上向くと予想されるものの、COVID-19の第2波への懸念もあり、価格上昇への圧力は継続する可能性がある。なお、2020年6月のMETIスポットLNG価格はUSD 3.8 (5月比 USD 1.2上昇) となった。
  • HHは2020年7月24日時点でUSD 1.81と、7月はUSD 1.6-1.8のレンジを推移した。1月20日以降、5月2日のUSD 2.13を除き、USD 2を下回っている。6月26日にはLNGカーゴのキャンセルによる輸出量の減退に加え、米国のCOVID-19による企業活動再開への懸念もあり、過去10年で最低のUSD 1.48まで下落した。その後は、比較的抑えられた天然ガス生産量と夏期に向けた電力需要増加の予測により、USD 1.8程度まで戻している。TTFは、6月に欧州域内でもロックダウンの緩和が始まったことで一時的にUSD 2を上回ったが、7月半ばから再び下落し、2020年7月24日時点ではUSD 1.71であった。地下貯蔵レベルはすでに80%を超えているため、これは引き続き価格上昇を抑える要因となる。
  • 2020年6月の日本平均LNG輸入価格はUSD 8.40であった。財務省貿易統計によれば、供給地域別では、ASEAN地域産LNGがUSD 7.01、ロシア産LNGがUSD 7.93と、日本平均LNG輸入価格を下回った。一方、米国産LNGがUSD 8.69と1年振りに日本平均LNG輸入価格を上回った。また、6月の日本平均LNG輸入価格USD 8.40は、JKMの6月引き渡し分平均USD 2.11に対して3.98倍と、4月の3.37倍より格差はさらに広がった。日本が長期契約で購入する米国産を除くLNGの大部分は、原油価格に連動した価格指標を採用しているため、3月9日以降の原油価格の下落の影響が出始め、6月のLNG輸入価格は2018年1月以来のUSD 8台となった。6月分の日本平均原油輸入価格は、1バレル当たりUSD 25を下回っており、今後LNG輸入価格はさらなる下落が予想される。なお、5月の日本のLNG輸入量は526.1万トンと前年同月比1.2%増となった。しかしながら2020年暦年上半期の累計輸入量は、3,640万トンと10年振りの低水準となった。

天然ガス・LNG価格推移(直近1年)

中長期の値動き

  • 日本平均LNG輸入価格は、直近10年間では2012年のUSD 18台をピークに下落し、2020年6月にはUSD 8.40となった。これは基本的に長期契約のLNG価格が連動している原油価格の下落基調によるものとみられる。2019年4月以降、8月のUSD 10.13を除き、USD 10を下回っている状況にある。2020年3月以降の原油価格下落により、特に同年7月以降の日本平均LNG輸入価格はさらに下落する見通しである。
  • JKMは、2019年11月 - 2020年1月引き渡し分は、いずれも一時的にUSD 6前後の水準にあったが、その後下落を続け、2020年6月引き渡し分については、2020年4月末にUSD 2未満に下落した。これは下落率、そして到達水準ともに歴史的に顕著なものとなっている。JKMは、近年欧州スポットガス価格水準を下限、原油等価水準を上限とするレンジの中で変動してきたが、2019年から終始その下端近くに留まり続けている。
  • 2020年5 - 6月の日本平均LNG輸入価格は、JKM当該月引き渡し分期近平均の3倍を上回る価格となった。2011年以降、両者の価格差が最大となる傾向が継続している。これは現在進行中の米国を中心とした供給容量拡大に対して、北東アジアの伝統的市場、特に日本及び韓国を中心にLNG引き取り意欲が弱いことに加え、COVID-19による需要減退懸念が要因とみられるまた契約価格形成における原油価格変動反映の時間差も影響している。しかしながら多くのLNG買主は、需要減退によって安価なスポットカーゴを購入できていない状況にある。2020年1 - 6月の日本、韓国、台湾合計のLNG輸入量は、前年同期比で8万トン、0.1%増となったが、2018年の同時期と比較すると、3カ国合計のLNG輸入量は673万トン、9.2%減となっており、低調に推移している。一方、中国の6月のLNG輸入量は579万トンと2か月連続で日本を上回り、1-6月分では前年比+10.2%の3118万トンと堅調な成長を取り戻している。

天然ガス・LNG価格推移(直近10年)

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(出典)
米国HH(Henry Hub)価格: NYMEX Futures and Options, CME Group
英国NBP(National Balancing Point)価格: ICE Futures Europe, Intercontinental Exchange
蘭TTF(Title Transfer Facility)価格:ICE Futures Europe, Intercontinental Exchange
JKM: LNG Japan/Korea Marker© 2020 by S&P Global Platts, a division of S&P Global Inc.
METIスポットLNG価格: 経済産業省「スポットLNG価格調査」
日本平均LNG輸入価格: 財務省貿易統計をもとに作成

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天然ガス・LNG在庫動向

日本

  • 2020年3月末の国内LNG在庫は473万トンで、前月比6.4%の増加、前年同月比1.1%の増加となった。これは過去5年平均値を80万トン上回り、3月の在庫量としては2008年の統計開始以来最大であった。このうち、ガス事業用在庫については、2020年3月のLNG消費量が前月比3.8%減の290万トンであり、都市ガス用LNG受け入れ量331万トンを41万トン下回ったため、3月の在庫は230万トンと、前月比21.7%の大幅増加となった。前年同月比でも5.5%増加した。また、発電燃料用在庫については、3月のガス火力発電所の発電量は前月比8.1%減少したが、在庫量は前月比4.9%減の243万トン、前年同月比で2.8%減少した。3月末の段階では、COVID-19による緊急事態宣言発令直前ということもあり、まだLNG在庫に大きな変動は見られなかった。ただし、経済活動の制限が本格的となった4月以降は都市ガス需要、発電用LNG需要の減少によって、LNG在庫にも影響が出ているものと思われる。
  • 都市ガス需要は11月から3月の冬期に最も大きくなる。これは気温、水温が低くなり、給湯負荷、暖房負荷が増加するためである。7月から8月の夏期には気温、水温とも高くなるが、商業用では都市ガスによる空調設備も普及しているため、都市ガス需要は冬期に次いで多くなり、冷暖房需要の少ない春、秋の中間期に都市ガス需要は最低になる。都市ガス用のLNG在庫は、大きな傾向としては冬期の需要に備えて4月から10月は在庫を増やし、11月から3月にかけて在庫を取り崩している。ただし日本の場合、米国や欧州のように天然ガス地下貯蔵設備を持たないことから、年により季節需要変動対応に伴うLNG在庫量の変動は大きい傾向にある。

国内LNG月末在庫量(直近1年)

国内LNG月末在庫(直近10年)

(出典)
経済産業省「ガス事業主生産動態統計」及び「電力調査統計・火力発電燃料実績」をもとに作成したもので、これら月末在庫を合算した値を国内在庫としてみなしたもの。なお、利用可能なデータは2008年1月以降のものであるため、過去5年平均は2013年1月分から計算している。


米国

  • 2020年7月17日の米国天然ガス地下貯蔵有効稼働ガス在庫は、米国エネルギー情報局(U.S. Energy Information Administration, EIA)のデータによると、3,215 Bcf で前月比 9.9%の増加となった。在庫量は2019年の同時期と比較すると25.1 %、646 Bcf 高く、過去5年平均値の2,779Bcf を436 Bcf 上回っている。在庫量は過去5年レンジの範囲内には収まっているが、過去5年の最大値に近づきつつある。
  • 2020年7月16日のEIA天然ガス週間報告(Natural Gas Weekly Update)によると、7月10日までの週間の天然ガス在庫への純注入量は45 Bcfで、過去5年間(2015年から2019年)の純平均注入量63 Bcfや昨年の同じ週の純注入量67 Bcfと比較すると少なかった。ただし、夏季のガス注入期間の開始月にあたる4月の在庫量が例年以上に多く、4月から7月にかけての注入量も過去5年平均より15%程度高かったため、EIAは7月度の短期エネルギー展望(Short-Term Energy Outlook)において、これからの注入量が過去5年平均と同等であったとしても、10月末の在庫は過去最高の4.04 Tcfに達すると予想している。
  • 米国の過去10年間の天然ガス有効稼働ガス在庫の最大値はほぼ 4 Tcfで推移している。しかし、EIAのデータベースによると、2017年から2019年で米国の天然ガス生産量は20%以上、消費量は14%以上増加、また天然ガスの輸出量は45%以上も増加しており、天然ガスの需給にかかわる環境は大きく変わりつつある。EIAによれば、2019年8月に電力部門の天然ガスの単月消費量が最大値を更新し、2019年の電力部門の天然ガス消費量と天然ガス総消費量がともに年間で過去最高水準に達しており、天然ガス貯蔵容量のさらなる拡張が奨励されるとしている。またメキシコへのパイプラインガス輸出増加および湾岸地域からのLNG輸出増加に伴ってメキシコ湾岸地域で天然ガス貯蔵容量を増加する必要性が高まると見込まれる。

米国天然ガス地下貯蔵量(直近1年)

米国天然ガス地下貯蔵量(直近10年)

(出典)
米国エネルギー情報局(U.S. Energy Information Administration, EIA)のデータをもとに作成


欧州

  • 2020年7月25日現在のAggregated Gas Storage Inventory (AGSI)加盟各社(欧州連合(EU)加盟国各社、非EU (セルビア、ウクライナ) ) が有する欧州天然ガス地下貯蔵在庫は934 TWhであった。在庫量は前月比6.8 %増、前年同期比では52 TWh、5.9 %増加し、同時期の過去5年平均よりも218 TWh高い。さらに貯蔵容量に対する充填率は、2020年7月25日時点で84%と、過去5年間の同時期の充填率レンジ56% - 79%に比べて高い水準にある。国別では、欧州で最も在庫容量が大きいドイツの充填率が約89%と高い。また、ベルギー、オーストリア、ポルトガルでも充填率は88%を超えている。これらの国では、2019年も秋には充填率が上限に達しているが、2020年はその時期がさらに早まることが予想される。

欧州天然ガス貯蔵量(直近1年)

欧州天然ガス貯蔵量(直近10年)

(出典)
Aggregated Gas Storage Inventory(AGSI), Gas Infrastructure Europeのデータをもとに作成。なお、利用可能なデータは2011年1月以降のものであるため、過去5年平均は2016年1月分から計算している。


天然ガス・LNGプロジェクト動向

ハイライト

  • 2020年7月初旬のEIA月次短期見通しによると、2020年5月の米国LNG輸出量は2020年1-4月平均を17%下回った。6-7月積み出し分で70カーゴ以上、8月分40カーゴ以上がキャンセルされ、この結果、7-8月のLNG輸出容量の稼働率は25%まで減少するとしている。またCOVID-19の第二波への懸念、日本の例年より涼しい気候等によりガス需要回復への見通しは依然として厳しい状況にある。7月は豪州企業の減損計上や、Berkshire HathawayによるCove Point LNG 設備を含むDominion Energyのガス資産の買収、ChevronによるNoble Energy買収が報じられた。

 

アジア・オセアニア地域

  • 韓国ガス公社(KOGAS)と5社(釜山港湾公社、 POSCOインターナショナル、 Sオイル、大宇ロジスティックス、現代グロービス)は、LNGバンカリング事業会社を2020年10月までに設立することで合意した、とKOGASが2020年7月14日に発表した。同社は2030年までに船舶用にLNGを年間136万トン供給する計画としている。
  • 中国の貿易統計によれば、中国のLNG輸入は2020年6月、579万トンと、2ヶ月連続で日本を上回り世界最大となった。上半期のLNG輸入量は3118万トンと前年同期比10.2%増となった。一方、パイプラインガス輸入が7.4%減少したため、天然ガス輸入量全体では前年同期比3.3%増の4,836万トンだった。
  • CNOOC Gas & Power Groupは2020年6月中旬、 Shell Eastern Trading と中国大陸で初となるカーボンニュートラルLNGカーゴ2隻の引き渡しに関する契約を締結した。天然ガスの採掘・生産から最終消費者の利用に至るまでの二酸化炭素排出は青海省、新疆ウイグル自治区等での Shell が支援する植林プロジェクトを含む自然保護プロジェクトのクレジットにより相殺される。CNOOCはまた、上海石油天然ガス取引所(Shanghai Petroleum and Gas Exchange)でこれら2カーゴの入札を計画している。
  • bpは2020年7月9日、ENN (新奥集団)と2021年1月より2年間、Guangdong Dapeng LNG基地経由で年間30万トンのLNGをパイプラインガスとして供給する契約を締結した。
  • Guangdong Energy Groupと三菱商事子会社 Diamond Gas International (DGI)は、2020年7月9日、LNG販売契約調印式をオンラインで開催した。Guangdong Energy Groupにとり初の海外のLNG購入にかかるターム契約であり、DGIにとり初の中国向けLNG販売のターム契約となる。
  • シンガポールのエネルギー規制機関EMAは2020年7月9日、自国向けに最大2社の長期輸入企業を新たに指名するため、提案要請(RFP)を発行した。EMAはLNG長期輸入者を増やすことで競争を促進し、ガス購入者により多くの選択肢を提供できるとしている。提案書は2020年11月9日までに提出する必要がある。現在のLNG輸入企業は2017年RFPで選定された Pavilion Energy、 Shell Eastern Trading である。
  • VPower Group は、自社とCNTIC (China National Technical Import and Export Corporation)との折半出資によるCNTIC VPower 合弁事業が建設したミャンマーのヤンゴンThaketa 町のLNGを燃料とする発電設備が2020年6月上旬に発電を開始したことを明らかにした。この477.1 MWの発電設備は、同国政府が2020年夏の電力供給強化のため重要プロジェクトとして建設された案件の1件だった。LNGの受入設備はヤンゴンの Thanlyin に位置している。
  • 丸紅、住友商事、三井物産および Eden Group は、ミャンマー・ヤンゴン管区ティラワ LNG To Power プロジェクトの独占開発権を付与する通知書(NTP)をミャンマー電力エネルギー省(MOEE)より受領したことを2020年7月27日に明らかにした。1,250 MW ガス焚き火力発電所および陸上 LNG 貯蔵・気化設備を建設・保有・運転し、長期売電契約に基づき商業運転開始後25 年間MOEE傘下の国営電力発電公社(EPGE)に売電する。LNG調達、輸送および貯蔵・気化も事業範囲に含まれる見込み。NTPに基づき、4社は実現可能性調査を実施する。
  • インド政府石油類天然ガス省PPACのガス・石油データ速報によると、同国のLNG輸入は2020年5月2.383 Bcm、前年同月比0.5%増だった。1 - 5月累計では13.429 Bcm、前年同期比13.9%増となっている。
  • Vopak LNG Holding B.V.及びEngro Corporation 間の合弁事業 Elengy Terminal Pakistan Limited (ETPL)は、パキスタン初の陸上型LNG基地をカラチ Port Qasim に設計・建設・操業を計画している。2020年6月下旬より、気化・貯蔵・その他のサービスを希望する各社の関心表明を求めている。同基地はオープンアクセス型で計画され、2023年に稼働開始予定、送出容量日量1.2 Bcf (LNG 換算年間911万トン)、貯蔵容量48万立方メートルとされている。
  • 豪Santos は、 Cooper 地域での将来の水素計画に関して、コンセプトスタディをGHDに委託したことを2020年7月14日明らかにした。 Santos は、天然ガスについて、「ゼロエミッション」、「ブルー」水素により、脱炭素化が可能と述べた。 Santos が計画する南オーストラリア州での Moomba CCS プロジェクトは、 Moomba ガス処理設備で天然ガスから分離される二酸化炭素年間170万トンを回収、元の地質構造に再注入する。 Santos、GHDは、このスタディを2020年末までに完了することを目指す。
  • 豪 Woodside は、2020年上半期について石油・ガス資産USD 27.6億、探査資産USD 11.6億、合計税引後USD 39.2億の減損計上を行う見通しであることを2020年7月14日に明らかにした。財務諸表には、 Corpus Christi LNG 売買契約での税引後引当金USD 4.47億も含まれ、合計の損金計上はUSD 43.7億になる見込み。
  • 豪 Origin Energy は、2020年度AUD 11.6-12.4億の減損計上を行う見通しであることを2020年7月15日に明らかにした。 Australia Pacific LNG 減損分AUD 7.20 - 7.70億、米 Cameron LNG からの購入契約の引当金AUD 4.40-4.60億(USD 3.00 - 3.15億)が含まれる。 Origin はCameron LNGから年間25万トン(3-4カーゴ)のLNGをFOB条件で20年間購入することに2013年に合意、最初のカーゴが2020年6月に引き渡された。 Origin はHH連動価格プラス固定手数料でLNGを購入しており、JKM連動価格で販売することを想定している。

 

北米地域

  • 米連邦エネルギー省化石燃料局のLNG月報2020年7月号によると、同年5月米国から57隻のLNGカーゴが出荷され、内訳は Sabine Pass (25)、 Cameron (10)、 Corpus Christi (8)、 Freeport (8)、 Cove Point (6)、 Elba Island (0)となった。2020年4月は62カーゴ、3月は75カーゴ、2019年5月は46カーゴ、4月は42カーゴであった。数量では2020年5月は182.2 Bcf (LNG 換算379万トン)が輸出され、前月比13.4%減、前年同月比25.9%増となった。輸出先の上位5カ国は全体の49.1%を占め、スペイン(29.3 Bcf)、韓国(20.9 Bcf)、中国(14.5 Bcf)、日本(13.7 Bcf)、チリ(11.1 Bcf)となった。
  • EIAの月次短期見通しによると、LNG輸出は2020年1-4月平均日量7.7 Bcfであったが、5月はこの水準を17%下回った。6-7月分で70カーゴ以上、8月分で40カーゴ以上がキャンセルされている。この結果、輸出量は6月平均日量3.6 Bcf、7-8月分同2.2 Bcfで、輸出容量の稼働率は25%となる。
  • ペンシルベニア州の司法長官は2020年6月下旬、シェールガス業界に関する報告書を発表し、「破壊的な」フラッキング業界を規制するための「政府機関による組織的な失敗」を明らかにした。報告書によると、シェールガス掘削現場の近くの住民は「深刻な健康被害」を受けていたとしている。
  • Chevron は、 Noble Energy との間で、Noble Energyの発行済み株式を全て取得することに合意したことを明らかにした。取引総額はUSD 130億で、ChevronはNoble Energy のイスラエルにおける低コストでキャッシュ収入を生む沖合資産を取得することになる。 Noble Energy買収はまた米国でのDJ地域のリスク軽減された資産、 Permian 鉱区含む米国での Chevron の非在来型ガスにおけるポジションを強化することにもつながる。
  • New Fortress Energy (NFE)は、2020年7月6日、 Centrica LNG との間で、NFFがCentricaへUSD 1.05億を支払うことで2020年残りの期間Centricaから追加でLNGを購入する義務を解消したことを明らかにした。NFEはこれまでに Centrica と合意していたよりも大幅に低い価格で、オープン市場でLNGを購入できることとなるとしている。
  • Dominion Energy は2020年7月5日、自社ガス輸送・貯蔵部門の資産の大半を Berkshire Hathaway 関連会社に売却する契約を締結したことを明らかにした。売却契約には、メリーランド州の双方向型LNG設備 Cove Point の25%操業持分を含み、同設備の50%・受動的・借入金なしの持分はDominion Energyが維持する。今回の取引は2020年第4四半期に完了する見込み。
  • 米連邦エネルギー規制委員会(FERC)は2020年7月24日、Cameron LNG 第3系列の輸出業務開始許可申請を承認した。
  • NextDecade は、 Rio Grande LNG プロジェクトについて、複数の最適化手段を講じることにより、基本設計(FEED)段階の6系列でなく、5系列でLNGを年間2,700万トン生産できると2020年7月14日に公表した。これにより (i) CO2e 換算での排出21%削減 (ii) 建設期間短縮 (iii) 設備の必要範囲の縮小 (iv) 道路交通の縮小期待等のメリットにつながるとしている。
  • 米連邦エネルギー省(DOE)は、7月6日、オレゴン州 Jordan Cove LNG 設備から国産LNGを輸出することを承認する最終長期指令を発行した。米連邦エネルギー規制委員会(FERC)は、 Jordan Cove LNG 設備・ Pacific Connector Pipeline の建設・操業を2020年3月に承認した。カナダ Pembina Pipeline Corporation が所有する Jordan Cove Energy Project L.P. は、最大日量1.08Bcf(LNG換算年間820万トン相当)のLNGを輸出できることとなる。原料ガスはカナダ、米国から調達される。
  • 米 Pilot LNG は、ペリカン島に位置するテキサス州地域初のLNG専用バンカーターミナル「Galveston LNGバンカーポート」の開発に向けて規制当局へ申請したことを2020年7月16日発表した。2021年後半に最終投資決定(FID)、2024年に稼働開始を見込む。惠生海洋工程有限公司(Wison Offshore & Marine)により浮体式液化(FLNG)技術に基づき設計・建造される。
  • 米アラスカ州公社AGDCは、2020年6月下旬にAlaska LNG プロジェクトの最新コスト試算額をUSD 387億と公表した。この試算額は、同プロジェクトの従前の合弁事業参加者 BP Alaska、 ExxonMobil Alaska、 ConocoPhillips、AGDCが2015年に作成したUSD 442億から、USD 55億(12.4%)のコスト削減を反映したもので、今回AGDCとともにBP、ExxonMobil、Fluor が参加した。

 

欧州・ロシア地域

  • Equinor は、2020年7月1日、世界初のCCSを組み合わせた天然ガスから水素を製造する商業規模のプロジェクト開発を主導することを明らかにした。本プロジェクトは、イングランド北東部ハル市近くの Saltend 化学工業地区に設置され、第1段階では天然ガスを水素転換する600 MW規模の炭素回収付きの自動熱改質器(ATR)で構成される。同地区の工業用需要家は完全に水素に切り替え、発電設備は天然ガスの水素の混合比率を30%にすることが可能となる。その結果、同地区のCO2排出量は年間90万トン相当が削減されることとなる。
  • Totalとアルジェリア Sonatrach は、2020年6月下旬、LNG分野でのパートナーシップを更新する協定を締結した。この契約では、既存の供給契約を3年間延長し、主にFos Cavaou 基地を通じてアルジェリア産LNG年間200万トンをフランスに供給する。 Total のLNGタンカー1隻を Sonatrach 向けにサブチャーターすることも含まれる。
  • RWEとドイツ初となるLNG基地をブルンスビュッテルで開発する合弁事業 のGerman LNG Terminal は、2020年6月中旬、再生可能エネルギー源から製造された水素利用を促進する覚書(MOU)を締結した。
  • ポーランド GAZ-SYSTEM 子会社 Polskie LNGと Szczecin、シフノウィスチェ港湾当局は、 PORR S.A. とTGE Gas Engineering GmbH のコンソーシアムとの間で、2020年6月下旬にLech Kaczyński LNG 基地拡張に関する契約を締結した。プロジェクトには、容量18万立方メートル新規LNGタンク1基とLNG払い出し・バンカリング用の新規桟橋1本を含む。プロジェクトが完了する2023年末までに気化容量は年間8.3 Bcmに達する見込み。
  • ポーランド精製企業 PKN ORLEN は、ガス・石油開発・生産企業PGNiGを買収する基本合意(LOI)を締結したと2020年7月14日に発表した。
  • GTTは、2020年6月末、ロシア企業GTLK向け浮体LNG貯蔵機器(FSUs)2隻のタンク設計を、韓国の大宇造船海洋(DSME)より受注した。各FSU容量は361,600立方メートルで、NO96 GWメンブレン超低温コンテインメントシステムに組み込まれる。引き渡しは2022年末を予定している。ムルマンスク地方、カムチャッカ湾に設置予定である。これらは NOVATEK の Arctic LNG 2 プロジェクト向けに利用されることとなる。
  • GTTは、2020年6月末時点で、ロシアの Zvezda 造船会社より、同国の船主向けのARC7砕氷級LNG輸送船舶5隻のタンク設計を受注した。GTT開発のメンブレン技術により Zvezda が造船を行うことができる技術支援・ライセンス協定(TALA)締結後、最初の受注となる。これらARC7船舶は、 NOVATEK の北極圏プロジェクト向けとなる。これらの船舶の引き渡しは、2023年第1四半期から最終四半期で計画されている。
  • ロシア NOVATEK は2020年7月24日、子会社 NOVATEK Gas & Power Asia が Yamal LNG プロジェクトから日本向けに北極海航路(NSR)経由東方向け日本に輸送する最初のカーゴを出荷したことを明らかにした。スポット取引で、扇島LNG基地で荷揚された。
  • ロシア Gazprom は2020年第1四半期の欧州その他諸国向けガス販売収入が前年同期比で3,780億ルーブル、45%減少して4,590億ルーブルとなったことを、2020年7月14日に明らかにした。平均価格がルーブル建で36%減少し、数量が62.4 Bcmから51.6 Bcmに17%減少したことを主因としている。

 

その他地域

  • イスラエル政府は2020年7月19日、同年1月にギリシャ、キプロス政府と締結した東地中海ガスパイプラインプロジェクト協定を承認した。同パイプラインは全長1,900キロメートルでイスラエルからギリシャ、イタリアに延伸している。
  • 国際協力銀行(JBIC)は、2020年7月15日、アラブ首長国連邦アブダビ首長国法人MOZ LNG1 FINANCING COMPANY LTDとの間で、モザンビークLNGプロジェクトにかかる融資金額USD 30億限度(JBIC分)のプロジェクトファイナンス契約を締結した。アフリカ開発銀行(AfDB)、米国輸出入銀行(US-Exim)、英国輸出信用保証局(UKEF)、タイ輸出入銀行(Exim Thailand)及び民間金融機関21行との協調融資により実施するもので、協調融資総額はUSD 144億米。民間金融機関の融資の一部には、日本貿易保険(NEXI)、UKEF、伊外国貿易保険株式会社(SACE)、南アフリカ輸出信用保険公社(ECIC)及び蘭アトラディウス信用保険会社(Atradius)の保険又は保証が付される。NEXIは、民間金融機関の融資総額USD 20億に対して保険を引き受ける。JOGMECは、当該プロジェクトについて、完工保証契約を締結したことを明らかにした。
  • EXMAR は、アルゼンチンYPFより、 TANGO FLNG の傭船・役務契約に関して、2020年6月下旬、不可抗力の通知を受けた。YPFは世界・アルゼンチンの COVID-19 の影響により、2020年3月後半以降の役務提供分の請求書の支払いに関する履行に支障をきたしていると主張している。 EXMAR はこの通知を正当でないとみなしている。
  • Golar LNG ・ Stonepeak Infrastructure Partners 間の合弁事業 Golar Power は、 Norsk Hydro との間で、ブラジル北部のLNG基地開発に向け基本合意(MOU)を締結したことを明らかにした。同プロジェクトは、Golar Power が2022年上半期に稼働開始を計画しているFSRUを経由して、同国パラ州 Barcarena 市 Vila do Conde 港湾近くの、 Norsk Hydro 所有 Alunorte 精製設備にLNGを供給することが提案されている。同基地はまた、Golar Power 子会社で既に25年間の電力販売契約を持つ Centrais Elétricas Barcarena 605 MW 火力発電所にもガスを供給することを目指す。同基地が稼働すれば、 Golar Power はパラ州および周辺地域に包括的なLNG流通ネットワークを運営することになる。同プロジェクトは、世界最大級のアルミニウム精製設備向けに、天然ガスに基づくエネルギー供給ソリューションを追求するという Norsk Hydro が2017年パラ州政府に対して約束したコミットメントを満たすものとなる。
  • 石油・ガス気候変動イニシアチブOGCIは、2020年7月15日、加盟企業の石油・ガス上流事業のCO2排出量を2017年23 キログラム CO2e/boeから2025年までに20 キログラム - 21 キログラム CO2e/boeに削減する目標を発表した。この目標は加盟企業の操業する上流の石油・ガス探鉱・生産活動からのCO2とメタン排出、これに伴う電気・蒸気からの排出分も対象としている。OGCIはLNG、GTLからの排出に関しても具体的な策を検討している。OGCIには、BP, Chevron, CNPC, Eni, Equinor, ExxonMobil, Occidental, Petrobras, Repsol, Saudi Aramco, Shell, Totalが参加している。

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