2020年12月
天然ガス・LNG価格動向
直近の値動き
- 北東アジアのアセスメントされたスポットLNG価格JKM(期近分)は、比較的穏やかな気温とCOVID-19の拡大防止措置にかかる需要減退懸念等により、11月中旬に一時100万Btu当たり6米ドル前半まで下落したが、頻発する供給障害懸念により価格は上昇に転じ、その後は北東アジアの気温低下、韓国の冬期石炭発電所休止による需要増に加え、船舶費用の高騰、パナマ運河の混雑も相まって、12月15日に12.4米ドルを付けた。1か月あまりで約2倍の価格となり、12米ドルを超えたのは2018年9月以来。その後、12月23日時点では、11.6米ドルとなっている。なお、11月のMETIスポットLNG価格は6.5米ドル(10月比 1.6米ドル上昇) であった。
- HHは2020年12月23日時点で2.6米ドルであった。冬期に向けた需要増加と比較的低いレベルの生産量、LNG輸出の増加により、10月下旬に3米ドルを上回り、11月も約3米ドルで推移していたが、米国では11月の気温が平年よりも高く、12月に入っても比較的安定した気候で推移しており、需要が伸び悩んだことで、12月上旬に価格は急落した。LNG価格との価格差が広がったことから、今後のLNG輸出の増加が期待される。また、12月の天然ガス生産量は11月に比べて減少する予測であり、冬期に向けての需要増と合わせてHH価格は上向くことが予想される。
- TTFは2020年10月下旬以降、約 5米ドルで推移したが、12月10日ごろから価格は上昇し、12月23日時点では6.2米ドルとなっている。6米ドルを超えたのは2019年2月以来。冬期に入り需要は増加、さらにアジア向けLNG価格高騰の影響も受けているものと考えられる。欧州地下貯蔵設備の利用率も減少に転じており、今後も冬期に向けた需要増加によって価格は堅調に推移するものと予想されるが、一部地域ではCOVID-19の再拡大が発生、行動規制を再導入した国もあり、需要見通しは依然として不透明な状況となっている。
- 財務省貿易統計速報に基づくと、2020年11月の日本平均LNG輸入価格は6.41米ドルであった。供給地域別では、アジア地域産が6.22米ドル、中東産が6.05米ドルと日本平均LNG輸入価格を下回った。一方、米国産LNGは6.93米ドルと、全体平均を上回った。11月の日本平均LNG輸入価格は、JKMの11月引き渡し分平均5.15米ドルに対して1.24倍と、一時約4倍であった差は縮小している。また、METIが公表するスポット価格が2018年11月ぶりに日本平均LNG輸入価格を上回った。なお、11月の日本のLNG輸入量は601.9万トンと前年同月比4.0%減、10月に引き続き、同月分として10年振りの低水準となった。
中長期の値動き
- 日本が長期契約で購入する米国産を除くLNGの大部分は、原油価格に連動した価格指標を採用している。日本平均LNG輸入価格は直近10年間では2012年の18米ドル台をピークに下落しており、2020年3月以降の原油価格急落の影響により8~10月は2005年1月以来の低水準となる5米ドル台まで下落したが、原油価格の回復に伴い、11月には6米ドル台に上昇した。その後、原油価格は上昇基調にあるため、今後は日本平均LNG輸入価格も上昇することが予想される。
- JKMは、2019年11月 - 2020年1月引き渡し分は6米ドル前後の水準にあったが、その後下落を続け、2020年6月引き渡し分については、2020年4月末に史上最安値の1.825米ドルを記録した。これは下落率、そして到達水準ともに歴史的に顕著なものとなった。JKMは、近年欧州スポットガス価格水準を下限、原油等価水準を上限とするレンジの中で変動しており、2019年からは終始その下端近くに留まり続けていたが、2020年10月中旬から欧州ガス価格との差が生じ始め、12月には12米ドルまで上昇し、原油等価水準を上回っている。
- 日本平均LNG輸入価格は、JKM当該月引き渡し分期近平均を大きく上回ってきた。その傾向が強まっていた理由として、米国を中心とした世界的な供給拡大に対し日本及び韓国等の需要がCOVID-19により減少し、在庫が積み上がってスポットLNGの引き取り意欲が弱く、長期契約による調達割合が高かったことにあるとみられる。
- 2020年1 - 11月の日本、韓国、台湾合計のLNG輸入量は、前年同期比で252万トン、2.1%減、2018年の同時期と比較しても、3カ国合計のLNG輸入量は1,118万トン、8.6%減となっており、低調に推移している。
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(出典)
米国HH(Henry Hub)価格: NYMEX Futures and Options, CME Group
英国NBP(National Balancing Point)価格: ICE Futures Europe, Intercontinental Exchange
蘭TTF(Title Transfer Facility)価格:ICE Futures Europe, Intercontinental Exchange
JKM: LNG Japan/Korea Marker© 2020 by S&P Global Platts, a division of S&P Global Inc.
METIスポットLNG価格: 経済産業省「スポットLNG価格調査」
日本平均LNG輸入価格: 財務省貿易統計をもとに作成
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天然ガス・LNG在庫動向
日本
- 2020年8月末の国内LNG在庫は390万tで、前月比21.6%、108万tの減少、前年同月比5.4%の減少となった。前月比で100万t以上の減少になるのは2008年の統計開始以降初めて。先月の在庫量は7月としては2008年の統計開始以降過去最大であったが、8月には過去5年平均値とほぼ等しくなった。
- ガス事業用在庫は192万tで、前月比9.3%減、前年同月比では4.1%の減少となった。2020年8月の都市ガス用LNG消費量は前年同月比0.9%減の235万t、都市ガス用LNG受入量は前年同月比10.4%減の203万tだった。都市ガス消費量はCOVID-19の影響で4月以降前年を下回っていたが、8月には家庭需要等の増加によりほぼ前年並みに回復した。8月は消費量が受入量を大幅に上回ったため、ガス事業用在庫は前月から減少し、前年を下回った。
- 8月のガス発電燃料用LNG在庫量は198万tで前月比30.8%減、前年同月比6.6%の減少となった。ガス火力発電所の発電量が主に猛暑による冷房需要増加の影響により8月に今年度初めて対前年比で増加したこともあり、発電用LNG在庫量は7月から88万t減少した。
- 気象庁の予報では今後もラニーニャ現象が継続する可能性が高く、12月から2月にかけての平均気温は東北地方以南で平年並みか、やや低めとなっている。昨年は全国的に暖冬で都市ガス需要、発電用LNG需要とも低迷した結果、LNG在庫は高い水準が続いた。今後も予報が変わらなければ、今冬はガスの需要が増加し、LNG在庫は前年同期を下回る可能性がある。一方で国内のCOVID-19の感染が再び拡大していることを受けて、ガス需要が再び低迷することも懸念され、これにより在庫を押し上げる可能性も考えられる。
(出典)
経済産業省「ガス事業主生産動態統計」及び「電力調査統計・火力発電燃料実績」をもとに作成したもので、これら月末在庫を合算した値を国内在庫としてみなしたもの。なお、利用可能なデータは2008年1月以降のものであるため、過去5年平均は2013年1月分から計算している。
米国
- 2020年12月18日の米国天然ガス地下貯蔵有効稼働ガス在庫は、米国エネルギー情報局(EIA)のデータによると、3.6 Tcfで前月比 9.3%減となった。在庫量は2019年の同時期と比較すると10.0%高く、過去5年平均値の3.5 Tcf を上回っていが、11月以降は過去5年のレンジに入っている。
- EIAが2020年12月に発表した月例の短期エネルギー展望(Short-Term Energy Outlook)によると、10月の天然ガスの在庫はほぼ4.0 Tcfと、5年間の平均を5%上回り、10月末としては過去2番目に高いレベルであった。11月の在庫の送出は約20 Bcfで、11月の5年平均送出量よりも少なかった。これは11月の気温が通常よりも高く、暖房用のガスの使用量が減少したことが要因である。
- EIAによれば、2020/2021年の冬の天然ガス生産量は、2019/2020年の冬より少なくなると予想されるため、EIAは在庫の払い出しが5年平均を上回り、2021年3月末の在庫量は2016〜2020年の平均よりも15%減少し1.6 Tcfになると予測している。
(出典)
米国エネルギー情報局(U.S. Energy Information Administration, EIA)のデータをもとに作成
欧州
- 2020年12月22日現在のAggregated Gas Storage Inventory(AGSI+)加盟各社中の欧州連合(EU)各社が有する欧州天然ガス地下貯蔵在庫は863 TWh、前月比15.5%減、前年同期比では12.9 %減少し、同時期の過去5年平均よりも67TWh高い。2019年は過去最高の在庫量を記録し、2020年前半は昨年度の在庫量を上回っていたが、9月以降の在庫量は前年比でマイナスに転じ、特に11月下旬以降は在庫量の減少割合が早くなっている。貯蔵容量に対する充填率は、2020年12月22日時点で77 %と、過去5年間の同時期の充填率レンジ71% - 90%の範囲内に入っている。
- 複数のLNG液化設備のトラブルでLNG供給量が減少したこと、中国の景気回復に伴いLNG輸入量が増加していることから、12月に入り、日本を含む東アジア地域の気温が例年を下回ったことなどからアジアのLNGスポット価格が高騰している。これらのことから、欧州の天然ガス在庫充填率は昨年よりも低い水準で推移することが予想される。
(出典)
Aggregated Gas Storage Inventory(AGSI), Gas Infrastructure Europeのデータをもとに作成。なお、利用可能なデータは2011年1月以降のものであるため、過去5年平均は2016年1月分から計算している。
天然ガス・LNGプロジェクト動向
ハイライト
- 世界各地でLNG売買契約や出資参画に関する基本合意が発表され、新規のLNGプロジェクトの開発においてはポートフォリオ型の取引や既存インフラを活用することが重要になってきている。
アジア・オセアニア地域
- ロシア NOVATEK は2020年12月1日、子会社 Novatek Gas & Power Asiaと西部ガスが、中国の Tiger Gas 向けに中国でのLNG販売に向けてISOコンテナでのトライアルLNG出荷を実施したことを発表した。 Tiger Gas 所有のISOコンテナにより、日本のひびきコンテナターミナルから上海に向けて輸送された。
- ロシア Gazprom は2020年12月2日、Power of Siberia パイプラインを通じて中国向けガス輸出を拡大し、2ヶ月連続で計画を上回るガスを供給したと発表した。11月のガス供給量は計画の113.6%で、11月の1日当たり平均供給量は10月を16.2%上回った。 Power of Siberia の初年は中国向けに38.4億立方メートルが供給された。なお、Gazpromとの供給契約に基づく最低数量の引き取りはまだ達成されておらず、契約上の義務履行を目的とした動きの可能性がある。
- 国際石油開発帝石は2020年12月4日、 Abadi LNG プロジェクトから、インドネシア国営ガス会社 PT Perusahaan Gas Negara Tbk (PGN)との間で、同社向けへのLNGの供給に関する覚書(MOU)を締結したと発表した。これにより、ガス需要の伸びが見込まれるインドネシアにおいて国産資源の活用に資するとともに、同国東部の経済にも大きく貢献することが期待されるとしている。
- 東京ガスは2020年11月26日、100%子会社の東京ガスアジア社が、インドネシアでガス配給事業を行う PT Super Energy (SE)の株式33.4%を親会社のPT Super Capital Indonesia 社から取得し、またSE社傘下でガス流通事業も展開している PT Energy Mina Abadi 社の株式約18%を取得したと発表した。SE社グループは、ジャワ島を中心に従来は利用できていなかった石油随伴ガスや小規模ガス田由来の天然ガスを精製・圧縮し、圧縮天然ガス(CNG)の形で産業用需要家に供給している。
- ベトナムへの民間投資のプラットフォームとなるべく2015年に設立された米国を拠点とするプロジェクト所有・開発企業 Energy Capital Vietnam (ECV)は2020年12月8日、Gunvor International BV (Gunvor)との合弁事業の設立を発表した。ECVが主導するコンソーシアムは、ベトナム南東部ビントゥアン省 Mũi Kê Gà でLNG火力発電プロジェクトを開発している。Gunvor はこのJVに対してLNGを長期的に供給する。この発電プロジェクトは、海底パイプラインを介して洋上の浮体式LNG貯蔵気化設備(FSRU)に接続しLNG を輸入する。プロジェクトの第1段階は、2021年下期に最終投資決定(FID)、2025年までに本格稼働開始(COD)を目標としている。本プロジェクトでは、年間150万トンのLNGを消費する予定。
- インド H-Energy は2020年12月2日、 Höegh LNG との間で、インド・マハラシュトラ州ラトナギリ地区Jaigarh 港のLNG気化基地プロジェクトに向けて、浮体式LNG貯蔵気化設備(FSRU) Höegh Giant を10年契約に基づき配置するための拘束力ある契約を締結したことを発表した。FSRUは2021年第1四半期に引き渡される予定で、国内パイプライン網向けにJaigarh-Dabholパイプラインに接続するとともに、LNGトラック積込設備向けにもLNGを供給する。本FSRUは他LNG船へのバンカリングサービスも提供する。インド初のFSRU型LNG気化基地となる。
- 小規模LNGサプライチェーンの運営と小売販売を行うシンガポールを拠点とするLNG Easy は2020年11月27日、パキスタンのカラチ港湾当局、 Pakistan Railways、国際石油会社1社との間で覚書(MOU)を締結したと発表した。カラチ港湾当局は、ISOタンク配送システムの「バーチャルパイプラインプロジェクト」に向け複数の桟橋を割り当てるとともに、Pakistan Railways のインフラを使いISOタンクによるLNG輸送の手配も行う。 LNG Easy は顧客サイトでのLNG気化、貯蔵設備の提供を担当する。
- 豪 Viva Energy は2020年12月7日、同社のGeelong製油所敷地内にLNG気化基地を開発するプロジェクトの最新状況を報告した。プロジェクト開発と基地容量に関して2社のパートナーを選定して覚書を締結しており、パートナーはENGIE Australia & New Zealandと三井物産連合、VitolとVTTI連合のコンソーシアムで構成される。FIDは2022年半ば、2024年にはガス供給を開始する見込み。
- 豪 Santos は2020年12月7日、三菱商事子会社 Diamond Gas International(DGI)との間で、 Barossa から Santos 出資持分のLNG年間150万トンをJKM価格で10年間供給・購入する拘束力ある長期LNG売買契約(SPA)を締結したと明らかにした。 Barossa のFIDは、2021年上期を目標としている。
北米地域
- 米連邦エネルギー省(DOE)が2020年12月4日に連邦官報に公表した規則「連邦環境政策法実施手続き」によると、DOEは2021年1月4日以降、LNG輸出入プロジェクトの環境審査を停止する。LNGプロジェクトは引き続き、連邦環境政策法(NEPA)に基づき、連邦エネルギー規制委員会(FERC)が実施する建設・操業許可のための環境審査が必要となる。
- DOEは2020年12月10日、7件の長期LNG輸出承認期間を2050年まで延長した。7月に最終決定した輸出期間方針に従って10月に行った10件に続くものである。現在テキサス州サビンパスで建設中の Golden Pass、同州ブラウンズヴィルで計画中の Texas LNG、ルイジアナ州で計画中の Magnolia、 Driftwood、同州沖合で計画中の Delfin LNG、 Sempra Energy のメキシコ Costa Azulの期間が延長された。
- 米 Cheniere Energy は2020年12月8日、Corpus Christi 液化設備の第3系列から最初のコミッショニングカーゴ、CCL全体としては200件目のカーゴが La Mancha Knutsen に積み込まれたと発表した。
- Venture Global LNG は2020年11月23日、ルイジアナ州Plaquemines LNG 輸出プロジェクト第1段階の筆頭請負会社として、エンジニアリング・調達・建設(EPC)契約をKBRに決定したことを発表した。
- FERCは2020年12月17日、Marathon Petroleum子会社のTrans-Foreland Pipelineがアラスカ州のKenai LNG輸出設備を受入設備に転換する計画を承認した。Trans-Foreland社によると、この設備は年間最大4カーゴを輸入し、隣接するKenai製油所に輸入ガスを供給する。Kenai LNG輸出設備は1969年に操業を開始したが、2015年以降LNGを輸出していない。
- カナダ LNG Canada は2020年11月27日、地元の保健当局が、同社従業員の中に COVID-19 感染が複数発生したことを確認したと明らかにした。
- Sempra LNGとInfraestructura Energética Nova, S.A.B. de C.V. (IEnova)は2020年12月9日、両社の合弁事業 ECA LNGが、メキシコのバハカリフォルニア州 ECA LNG 第1段階LNG輸出プロジェクトへのTotalの参画を確定する出資契約を締結したと発表した。 Total はECA LNG 第1段の16.6%持分を取得しており、Sempra LNGと IEnova はそれぞれ41.7%持分を保有する。Total は2020年に同設備から年間170万トンのLNGを購入する20年間のSPAを締結している。
欧州・ロシア地域
- 2020年11月23日付の欧州委員会(EC)ウェブサイトによると、石油・ガス業界の主要企業は、OGMP2.0 枠組によりメタン排出量をより透明性の高い新たなレベルで報告することに合意した。 Oil and Gas Methane Partnership (OGMP)は、国連環境計画(UNEP)、EC、環境防衛基金 (EDF)が主導する気象・大気清浄化(CCAC)取り組みで、世界の石油・ガス生産の30%を占める62社が参加している。OGMP 2.0 は石油・ガス産業のメタン排出を2025年までに45%削減、2030年までに60%-75%削減することを目標としている。 OGMP 2.0 は加盟企業自身がオペレーターとなる案件だけでなく、合弁事業参加している案件も報告に含めるとしている。今回の発表によれば、 OGMP 2.0 枠組は石油・ガスのバリューチェーン全体に適用され、上流生産だけでなく、中流の輸送、下流の処理・精製などの排出可能性のあるものの現在の報告範囲から漏れている分野にも適用される。
- Fluxys は2020年11月30日、ベルギー Zeebrugge LNG 基地の気化容量追加のためのオープンシーズンは成功したと述べた。 Fluxys は遅くとも2021年2月までにFIDを行う予定。
- ロシア NOVATEK は2020年12月1日、 Novatek Green Energy がドイツのロストックに自社初のカーボンニュートラルLNG燃料充填ステーションを開設したと発表した。発展途上国の風力発電プロジェクトを含む排出削減プロジェクトの組み合わせからのカーボンニュートラルなオフセットが、LNGのカーボンフットプリントを相殺するため使われることとなる。排出削減プロジェクトの認証は、国際標準VCSに従って行われる。
- スペイン Endesa は2020年11月18日、アルヘシラス Los Barrios 港湾基地について船舶向けLNG燃料を供給できるよう改造する計画を明らかにした。同国最大のLNGバンカリング基地となる見込み。
- クロアチア LNG Croatia は2020年12月1日、FSRU船舶 LNG CROATIAが基地予定地に到着したと発表した。同基地は2021年1月1日に商業稼働開始を予定している。
- ロシアGazpromは2020年11月30日、2020年の9ヶ月間について欧州などへの天然ガスの純販売量が前年同期に比べて7,488億5,000万ルーブル(約40%)減少し、1兆1,351億3,000万ルーブルとなったと発表した。同社によると、欧州及びその他へのガス販売量は170億立方メートル(1,714億立方メートルから1,544億立方メートルへ)と10%減少した。米ドル建ての平均価格は40%減少した。
- ロシア NOVATEK は2020年11月25日、 Arctic LNG 2 プロジェクトの進捗率が全体で29%、最初のGBS(コンクリート製着床型構造物)プラットフォームが67%完成したとの進捗状況を発表した。最初のGBSのモジュール組み立てにかかる進捗は46%となっている。 Utrenneye ガス田では既に生産井17本が掘削され、掘削リグは3本が稼働している。2020年末までにさらに2本が動員される見込み。
その他地域
- イタリアEniは2020年12月1日、エジプト政府、 Egyptian General Petroleum Corporation (EGPC)、 Egyptian Natural Gas Holding Company (EGAS)、スペインNaturgy との間で、エジプト Damietta 液化設備を2021年第1四半期までに再稼働すること、 Unión Fenosa Gas (UFG)、SEGAS とEGAS・エジプト政府間の紛争の和解、UFG自体の再編につながる一連の合意を締結したことを明らかにした。液化設備所有者はSEGASで、40%をEniがUFG (50% Eni ・50% Naturgy)を通じて所有してきた。同設備は年間75.6 億立方メートルの容量を持つが、2012年11月以降停止している。UFGによる Damietta 液化設備参加(80%)は、50% Eni、30% EGASに移管される。この結果SEGAS出資配分はEni 50%、EGAS 40%、EGPC 10%となる。Eniは同設備向け天然ガス購入契約とこれに応じた液化権も受け取り、FOB条件・仕向地制限なしで引き継ぐこととなる。
添付ファイル
- 日本のLNG在庫量(16.6KB) (2020/12/24更新)
- 米国天然ガス地下貯蔵量(47.2KB) (2020/12/24更新)
- 欧州天然ガス貯蔵量(276.6KB) (2020/12/24更新)