2022年7月

天然ガス・LNG価格動向

直近の値動き

  • 北東アジアのアセスメントされたスポットLNG価格JKM(期近分)は、TTF上昇の煽りを受け、7月前半は100万Btu当たりおおむね40米ドル台前半を推移した。7月半ば以降は、欧州におけるガス供給への不安の若干の緩和とTTFの下降に伴いJKMも下降し、一時30ドル台後半で推移したが、供給不安が再び高まるなか、JKMも再び上昇し40ドル台で推移している。TTFとの逆転現象は依然として継続している。
  • JOGMECは6月の日本着スポットLNG月次価格(速報)について、同月以降に契約がなされて日本に入着するスポットLNG取引の平均価格(契約ベース)を23.3米ドルと発表した。また、同月中に日本に入着したスポットLNG取引の平均価格(入着ベース)は、報告者が1社以下のため非公表であった。
  • 米国スポットガス価格HHは、7月前半において5米ドル後半ないし6米ドル前半で推移したが、7月15日に7.0米ドルに達して以降は、猛暑の影響により7米ドル後半ないし8米ドル後半での高価格帯で推移している。米国エネルギー情報局(EIA)の7月12日発表の短期エネルギー見通しによると2022年上半期の天然ガススポット価格の平均値は6.07米ドル、同下半期の平均値の見通しは5.97米ドル、2023年の平均値の見通しは4.76米ドルとなっている。
  • 米国産LNG輸出については、同見通しによると、2022年上半期の平均が11.2bcf/d、2021年の同期間の平均は9.5bcf/dであったという。米国産LNG輸出の見通しについては、2022年が10.9bcf/d、2023年を12.7bcf/dとしている。
  • 欧州ガススポット価格TTFは、7月4日にノルウェーのオフショア開発でのストへの懸念により50.0米ドルに達して以降は、ロシアパイプラインガス停止をはじめとする供給への不安に下支えされ月半ばまで50米ドル前半で推移した。月半ばにNord Streamパイプラインの定期補修終了に伴うロシアガス供給再開への楽観的見方から7月15日に46.0米ドルに下落以降は、ロシアガス供給も再開され、40米ドル台後半で推移した。しかし、7月25日にGazpromがNord Streamへのガス供給の更なる削減を発表するとTTFは53.7米ドルに達し、翌26日には63.5米ドルとなった。
  • 6月半ば以来のNord Streamへのガス流量減少と定期メンテナンスに伴う10日間の供給停止、更には定期メンテナンス後の供給への不安から、TTFには大幅なプレミアがつき、英国ガス価格NBPのTTFに対するディスカウントが一層拡大し、7月には最大で23.4米ドルとなった。
  • 財務省貿易統計速報に基づくと、2022年6月の日本平均LNG輸入価格は14.96米ドルとなった。また、円建てでは円安の影響もあって101,105円となり、前月に引き続きトン当たり価格が10万円を上回っている。供給地域別では、米国産は17.48米ドル、ASEAN地域産が12.96米ドル、中東産が19.16米ドル、ロシア産が13.27米ドルであった。また、6月のアジア各国の平均輸入価格は、中国13.68米ドル、韓国14.67米ドル、台湾16.29米ドルであった。全日本平均原油輸入CIF価格(JCC: Japan crude cocktail)は2022年6月には1バレル当たり116.92米ドルとなり、2012年5月以来の高値を付けている。また、円建てでは1キロリットル当たり95,880円となり、史上最高値を記録している。原油価格リンクの長期契約が7,8割を占める日本平均LNG輸入価格は、引き続き足元の原油価格の影響を受けることが想定される。
  • 6月の日本のLNG輸入量は、580万トンと前年同月比で2%増加、上半期のLNG輸入量合計は3,754万トンと前年同期比で4%減少した。特に米国産LNGの輸入量が、半年間で210万トンと、前年同期比で半減となった。中国のLNG輸入量は482万トンと前年同月比で26%減少、上半期のLNG輸入量合計は、3,126万トンと前年同期比で21%減少した。韓国は253万トンと前年同月比で19%減少、台湾は159万トンと前年同月比1%減少となった。これら4市場合計のLNG輸入量は、上半期の累計で1億154万トンと前年同期比8%減少となった。

天然ガス・LNG価格推移(直近2年)

中長期の値動き

  • JKMは、2020年1月以降、供給拡大と需要増加ペースの失速により下落基調となり、2020年4月末には史上最安値の1.83米ドルを記録した。5月以降2米ドル台が続いたが、8月に入り複数の生産設備での供給障害により上昇基調に転じ、12月には10米ドル台を超え、2021年1月には寒波の影響で需要が急増したことにより、32.5米ドルの史上最高値を付けた。その後、価格は急落して2月下旬にかけて5米ドル台まで下落、3月に入り上昇基調に転じて以降は、高値で推移する欧州ガス市場にも牽引され、10月に一時56米ドルまで上昇し、11月は30米ドル半ば、12月には40米ドルに達した。2022年1月と2月は20米ドル台で推移し、3月にはロシア産パイプラインガス供給中断の懸念に伴って一時急騰し80米ドルを上回ったが、その後30米ドル台で推移した。4月以降取引は低調であり、JKMは36米ドルから22米ドルまで減少し、5月から6月前半にかけて20米ドル前半で推移した。しかし6月後半以降天然ガス・LNGの供給不安の高まりを背景に40米ドルに到達、7月も同様の高水準で推移している。
  • 欧州ガススポット価格TTFに対するJKMのディスカウントは、欧州におけるガス供給の不確実性の高まりや北東アジア、特に中国のLNG需要の減少を背景に3月末以降顕在化し始め、4月、5月中は1米ドル~10米、6月は一時逆転したが、1米ドル~5米ドルの価格差を示し、7月は更に拡大し価格差は5米ドル~15米ドルとなった。
  • 日本平均LNG輸入価格は、2020年3月以降の原油価格急落の影響により、8月から10月にかけて2005年1月以来の低水準となる5米ドル台まで下落、その後原油価格上昇に伴い、12月には7米ドル台に上昇した。堅調な原油価格の値動きに応じて、2021年2月には9米ドル半ばまで上昇後、3月は7米ドル半ばまで下落した。その後は、原油価格の上昇に伴って、2022年2月には15米ドル後半に上昇、3月に14米ドル半ばに下落、4、5月に15米ドル後半に再び上昇し、6月に14米ドル後半に下落している。

天然ガス・LNG価格推移(直近10年)

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(出典)
米国HH(Henry Hub)価格: NYMEX Futures and Options, CME Group
蘭TTF(Title Transfer Facility)価格:ICE Endex, Intercontinental Exchange
JKM: LNG Japan/Korea Marker© 2022 by S&P Global Platts, a division of S&P Global Inc.
JOGMECスポットLNG価格:JOGMEC「日本着スポットLNG月次価格」、2021年3月までは経済産業省「スポットLNG価格調査」を出典とする
日本平均LNG輸入価格: 財務省貿易統計をもとに作成
EUA(EU ETS): ICE Endex, Intercontinental Exchange

上記閲覧に際しては、以下について同意することとなります。

  • Platts情報はS&P Global Plattsによって作成されています(出典:© 2022 by S&P Global Platts, a division of S&P Global Inc. All rights reserved)。
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天然ガス・LNG在庫動向

日本

  • 2022年3月末の国内LNG在庫量は375万トンで、前月比6.0%、21.1万トンの増加、前年同月比では15.2%減少し、過去5年平均値を34.1万トン下回った。
  • 3月末のガス事業用LNG在庫量は157万トンで、前月比5.6%増、前年同月比では10.1%増となった。3月の都市ガス用LNG消費量は前年同月比4.7%増の295万トン、都市ガス用LNG受入量は前年同月比9.4%増の298万トンだった。
  • 3月末の発電燃料用LNG在庫量は219万トンで前月比6.2%増、前年同月比27.2%の減少となった。3月の発電燃料用LNG消費量は、前年同月比で6.5%減の347万トン、発電燃料用LNG受入量は、前年同月比で6.0%減の429万トンであった。
  • 2022年7月20日に経済産業省が発表した「発電用LNGの在庫状況」によると、大手電力事業者の7月17日時点のLNG在庫は約194万トンであった。2021年7月末比では約32万トン、過去5年間の7月末平均を9万トン下回っている。

国内LNG月末在庫量(直近2年)

国内LNG月末在庫(直近10年)

(出典)
経済産業省「ガス事業主生産動態統計」及び「電力調査統計・火力発電燃料実績」をもとに作成したもので、これら月末在庫を合算した値を国内在庫としてみなしたもの。なお、利用可能なデータは2008年1月以降のものであるため、過去5年平均は2013年1月分から計算している。


米国

  • 2022年7月15日の米国天然ガス地下貯蔵有効稼働ガス在庫(ワーキングガス)は、米国エネルギー情報局(EIA)のデータによると、2.40 Tcfで前月比10.7%増となった。在庫量は2021年の同時期と比較すると10.3%低く、過去5年平均値を328 Bcf下回っているが、2020年11月以降は過去5年のレンジに入っている。

米国天然ガス地下貯蔵量(直近2年)

米国天然ガス地下貯蔵量(直近10年)

(出典)
米国エネルギー情報局(U.S. Energy Information Administration, EIA)のデータをもとに作成


欧州

  • 2022年7月24日現在のAggregated Gas Storage Inventory(AGSI+)加盟各社中、EU加盟国各社が有する欧州天然ガス地下貯蔵在庫は741.2TWh (LNG換算4,903万トン相当)であった。これは前年同期より22.1%、134.1 TWh (LNG換算887万トン相当)上回るものだった。貯蔵容量に対する充填率は66.7%であり、前年同期の54.4%を上回り、過去5年間平均値の65.8%を回った。貯蔵容量の大きなドイツ、オランダの充填率はそれぞれ66.4%、62.8%であった。

欧州天然ガス地下貯蔵量(直近2年)

欧州天然ガス地下貯蔵量(直近10年)

(出典)
Aggregated Gas Storage Inventory(AGSI), Gas Infrastructure Europeのデータをもとに作成。なお、利用可能なデータは2011年1月以降のものであるため、過去5年平均は2016年1月分から計算している。

 

  • 2022年7月24日現在のAggregated LNG Storage Inventory(ALSI)加盟各社(11か国、18社)が有する欧州LNG在庫量は472万m3(液体ベース)で、前月比3.2%減少、前年同期比53.2%増加、過去5年平均値を6.4%上回っている。

欧州LNG在庫量(直近2年)

欧州LNG在庫量(直近10年)

(出典)
Aggregated LNG Storage Inventory(ALSI), Gas Infrastructure Europeのデータをもとに作成。なお、利用可能なデータは2012年1月以降のものであるため、グラフ中の過去10年平均及び過去10年平均幅の値については、5年未満の値が含まれる。


天然ガス・LNGプロジェクト動向

ハイライト

  • 2022年上半期、世界では前年同期4%増の2億トン弱のLNGが海上輸送により貿易された。特に2月末以降の5ヶ月間で、主として米国産LNG供給による年間3,800万トンの長期のSPA締結が発表され、同国でのLNG生産プロジェクトに進展に期待が高まっている。またこの期間中に2件、年間2,300万トン分の投資決定が発表された。

 

アジア・オセアニア地域

  • イタリアSaipem は、台湾CTCIと共同で実施しているタイ Nong Fab LNG 気化基地が2022年6月18日に、初のLNG荷揚を開始したことを発表した。
  • Gunvor は2022年6月30日、インドネシア Pertamina 子会社 PT Perusahaan Gas Negaraとの間で、LNG供給のためのマスター売買契約(MSPA)、確認通知(CN)を締結した。
  • パキスタン Pakistan LNG (PLL)は2022年7月1日、7 - 9月の引き渡しで10件のスポットLNGカーゴを求める入札を行ったが、結果は不調に終わった。
  • 西豪州環境保護部(EPA)は2022年6月末、North West Shelf LNG 設備に関して、2050年までにネットゼロ排出実現を条件に50年間延命計画を支持した。
  • 豪州連邦産業・科学・資源省は2022年7月5日、国内ガス供給セキュリティ制度(ADGSM、東部市場の供給不足予見時に、東部LNG輸出企業に国内供給確保を求める)の2030年までの延長を提案した。
  • 豪 Venice Energy は2022年7月1日、南オーストラリア州のLNG輸入基地プロジェクトに関して合弁事業を形成するため丸紅とMOUを締結したことを発表した。
  • TotalEnergies は2022年7月20日、Papua LNG 合弁事業による、上流生産諸設備の基本設計(FEED)第1段階開始決定を発表した。発表によれば液化諸設備の検討は進行中で、統合型FEEDを2022年第4四半期に開始することを目標としている。同プロジェクトは2023年末頃にFID、稼働開始は2027年末頃を目指している。同プロジェクトは、ガス田固有のCO2のためにCCSを織り込む。

 

北米地域

  • Cheniere Energy は2022年7月20日、Cheniere Marketing, LLC が PetroChina 子会社とFOB条件の最大年180万トンについて長期SPAを締結したことを発表した。引き渡しは2026年から開始され2050年まで。総量の半分は、Cheniere がCorpus Christi Stage 3 プロジェクト7系列 を超えての追加液化容量建設にFIDを行うことが条件となる。
  • Sempra InfrastructureとConocoPhillips は2022年7月14日、両社が Sempra Infrastructure の Port Arthur LNG プロジェクト開発に関して、基本合意(HOA)を締結したことを発表した。同プロジェクト第1段階で年間500万トンの20年間LNG液化加工契約を交渉することが想定されている。また ConocoPhillips による第1段階への30%出資と追加の天然ガス供給可能性を織り込んでいる。さらに今回のHOAは、Sempra InfrastructureのメキシコECA LNG 輸出第2段階プロジェクトに関して、輸出LNG量の最大3分の1も含め、LNG引き取り・天然ガス供給・出資参加に関しての両社協力の基本条件を含む。
  • Freeport LNG Developmentは2022年6月30日、パイプライン・危険物安全局(PHMSA)から安全指令案通知を受けたことを確認した。同社によると、部分的な液化設備の操業再開は2022年10月初旬を見込む。完全生産復帰は引き続き年末を目標としている。
  • 米 NextDecade Corporation は2022年7月5日、Rio Grande LNG 輸出プロジェクトについて、China Gas Hongda Energy Tradingとの間でFOB条件で年間100万トン、20年間のSPA締結を発表した。翌6日には、Guangdong Energy Groupとの間でDES条件で年間100万トン、20年間のSPAを発表した。Guangdong Energy Groupは同プロジェクトから追加で年間50万トンを購入する権利を持つ。
  • 米 Delfin Midstreamは2022年7月13日、Vitol との間でSPAを締結したことを発表し、Vitol は同社への戦略的投資も決めた。 Delfin はFOB条件で15年間にわたりLNG年間50万トンをVitol に供給する。
  • 米Fluorは2022年7月11日、米 New Fortress Energy (NFE)より、NFE Fast LNG 2 プロジェクトのエンジニアリング・調達・組み立て管理業務(FNTP)契約を受注したことを発表した。同プロジェクトは、公称年間140万トンLNGガス処理・液化設備を固定洋上プラットフォームに設置する。最初の NFE Fast LNG 1 プロジェクトは第1四半期に受注した。
  • NFEは2022年7月5日、メキシコ電力公社(CFE)との間で契約を締結したことを発表した。これには(i)NFEによるCFEのバハカリフォルニアスル州の複数の発電設備への天然ガス供給の拡大・延長、(ii)NFEの135 MW La Paz 発電設備のCFEへの売却、(iii)タマウリパス州アルタミラ沖新規LNGハブ創設・CFEの既存パイプライン容量を利用してCFEがNFEのFLNG設備2件に原料ガスを供給することが含まれる。
  • NFEは同7月5日、メキシコPemexと、長期戦略パートナーシップ形成に向け協定を締結したことを発表した。 Lakach 大水深天然ガス田を Pemex による国内市場向け天然ガス供給とNFEによる輸出LNG生産用に共同開発する。
  • Shell Eastern TradingとMexico Pacific は2022年7月12日、Shell が Mexico Pacific LNG輸出設備の最初の2系列からFOB条件で20年間にわたりLNG年間260万トンを引き取るSPAを締結したことを発表した。2026年に稼働開始が予定されており、完全稼働すれば同設備は3系列合計で年間1,410万トン容量を持つ。
  • Sempra Infrastructureとメキシコ電力公社(CFE)は2022年7月21日、メキシコにおける共同開発案件に係る複数の協定を締結したことを発表した。これには、ソノラ州 Guaymas-El Oro パイプライン、シナオラ州トポロバンポのVista Pacífico LNG プロジェクト、オアハカ州サリーナクルスのLNGプロジェクトが含まれる。
  • Siemens Energy は2022年7月12日、カナダの全電化 Woodfibre LNG プロジェクトへの単独ソリューション供給者として選定されたことを発表した。同LNG設備は、旧製紙工場跡地に立地し、規模は年間210万トン、再生可能水力発電を活用し、温室効果ガス排出を80%以上削減する。 Siemens Energyの担当範囲は、主冷凍系列に伴う全機器を含む。2027年に実質完成、同年9月までに稼働開始が見込まれている。
  • Marathon Petroleum Corporation 子会社 Trans-Foreland Pipeline Companyは2022年7月7日、閉鎖したアラスカ州 Kenai LNG 輸出設備を、輸入設備として稼働復帰する期限の3年延長を米連邦エネルギー規制委員会(FERC)に要請した。FERCは、2020年12月17日に、同LNG輸入設備を2年後に稼働開始することをTrans-Foreland 社に承認していた。

 

欧州・ロシア地域

  • 英 Grain LNG は、2022年7月4日、2029年からの容量に関して、関心表明を市場参加者に招請したことを発表した。
  • オランダ Gasunie 子会社 EemsEnergyTerminal 社は2022年7月7日、エームスハーフェン港にLNGを供給する最初の供給者として、ČEZ a.s. とShell Western LNG B.V.と契約したことを発表した。 両社は共同で容量7 Bcmを供給する。同港LNG基地は、2基のFSRUのExmar S188とGolar Igloo で構成され、合計処理容量は年間8 Bcmで両FSRUとも8月末にエームスハーフェン到着見込みとされる。 Golar Igloo が先ずオランダ国内天然ガス網に接続されることとなる。
  • ドイツ Hanseatic Energy Hub は2022年6月30日、ドイツ連邦ネットワーク庁(BNetzA)が、Stade の Hanseatic Energy Hub LNG 基地を、料金・ネットワークアクセス規制から25年間適用除外としたことを発表した。
  • ドイツ Uniper は2022年7月4日、連邦通商監視当局がWilhelmshaven LNG 基地および陸上・港湾インフラストラクチャー建設早期開始を承認したことを発表した。 Uniper は、2022/2023年冬季のコミッショニングを目指している。
  • ドイツ連邦経済省は2022年7月19日、連邦政府が貸借を計画しているFSRU4隻のうち3件目と4件目をStadeとLubminに繋留すると発表した。最初の2件は、Wilhelmshaven、Brunsbüttelで2023年初頃までに利用開始予定である。Stade地点は2023年末から利用可能となる見込みでLubmin 沖は早くても2023年末以降となる。
  • ドイツのルプミン港湾でLNG輸入基地を開発する Deutsche ReGas 社は2022年7月13日、TotalEnergiesとの間でFSRU 1隻を用意する基本合意を締結したことを発表した。 Deutsche ReGasによれば、FSRU "Deutsche Ostsee" は2022年12月1日に年間4.5 Bcmの送出を開始する予定である。
  • イタリア Snam は2022年7月6日、BW LNG 間で Snam Group が FSRU I Limited 株式100%を取得し、FSRU "BW Singapore" を所有すると発表した。同FSRUは、2023年11月まで第三者の傭船契約に拘束されているが、アドリア海北部ラベンナ近くに設置される見込み。2024年第3四半期に稼働開始予定である。
  • エストニア Eesti Gaas は2022年7月12日、ノルウェー Equinor と、LNG 2 TWh (13.2万トン)の契約を締結したことを発表した。LNGはリトアニア Klaipėda LNG 基地に10月と11月に到着する。 Eesti Gaas はこれまでにポーランド PGNiG よりLNGカーゴ3件を調達しており、5月初旬及び6月初旬に米国から、6月末にノルウェーからKlaipėda 基地に到着した。
  • フィンランド Hamina LNG Oy は2022年7月1日、ハミナ港湾でのLNG輸入基地の10月の稼働開始に向け、基地容量・関連サービスを提供するオープンシーズンを発表した。
  • Excelerate Energyとブルガリア Overgas は2022年7月18日、Excelerate が計画するアルバニア Vlora LNG 基地でのLNG気化ガス販売に関して、14日にMOUを締結したことを発表した。 Vlora 基地と欧州南部ガス回廊の既存天然ガスインフラと接続する見込みの Vlora-Fier パイプラインを通じて、Overgas が最大年間1 Bcmを10年間にわたりExcelerate から購入する交渉を両社は開始する予定である。
  • ロシアの2022年6月30日の大統領令によると、Sakhalin 2 プロジェクト資産は全て連邦所有下に移管され、オペレーター権は Sakhalin Energy から、新たに創設するロシア企業に移管される。外国参加企業は新条件下でのプロジェクト残留意思を1ヶ月以内に表明しない限り株式は売却されるとしている。

 

その他地域

  • QatarEnergy は2022年6月27日、業界主導の取り組みとして自ら操業する石油・ガス資産からのメタン排出を2030年までにほぼゼロとすることを目指す Aiming for Zero Methane Emissions Initiative に参加したことを発表した。
  • QatarEnergyとShell は2022年7月5日、North Field East (NFE)拡張プロジェクトに、Shell がパートナーの1社として選定されたことを発表した。NFEプロジェクトの25%を有する合弁事業体(JV)についてQatarEnergyが75%、Shell が25%を保有する。
  • Fluxys は2022年7月21日、自社および機関投資家EIGが、EnagásとOMERS Infrastructure それぞれから、チリ基地企業 GNL Quintero 株式の合計80%分の買い取りを完了したことを発表した。

 

 

作成協力 一般財団法人日本エネルギー経済研究所

 

添付ファイル