2022年8月

天然ガス・LNG価格動向

直近の値動き

  • 北東アジアのアセスメントされたスポットLNG価格JKM(期近分)は、8月上旬にかけて100万Btu当たり40米ドル台後半で推移した。日本や韓国による冬場に向けた取引が活発化し、8月11日に51米ドルに達して以降は、50米ドル台で徐々に上昇し、8月22日には61米ドルとなった。日本や中国における在庫には余裕も生じ商いが薄くなる一方、欧州ガス価格高騰の煽りを受け、8月25日と29日において71ドルに達した。JKMのTTFとの逆転現象は依然として継続しており、価格差は8月24日に最大で29米ドルとなった。
  • JOGMECは7月の日本着スポットLNG月次価格(速報)について、同月以降に契約がなされて日本に入着するスポットLNG取引の平均価格(契約ベース)を32.8米ドルと発表した。また、同月中に日本に入着したスポットLNG取引の平均価格(入着ベース)は、報告者が1社以下のため非公表であった。
  • 米国スポットガス価格HHは、8月前半において7米ドル後半から8米ドル前半で推移した。8月16日に9.3米ドルに達して以降は、9米ドル台で推移し、8月22日には9.7米ドルを記録した。8月23日のFreeport LNGの操業再開延期の発表は、若干の価格抑制をもたらしたかに見えたが、月末にかけてHHは引き続き9米ドル台の高価格帯で推移している。米国天然ガス地下貯蔵在庫は、8月19日時点で2,579Bcf、前年比9.4%減、過去5年平均比12%減と、依然として低水準が続いている。
  • 米国エネルギー情報局(EIA)の8月9日発表の短期エネルギー見通しによると2022年下半期の天然ガススポット価格の平均値の見通しは7.54米ドル、2023年の平均値の見通しは、天然ガス生産量の増加により5.10米ドルに下降するとしている。米国産LNG輸出については、同見通しによると、2022年第3四半期の平均が10.0bcf/d、2022年通年では11.2bcf/d、前年比14%増と予想している。2023年のLNG輸出は、平均12.7bcf/dと予想している。
  • 欧州ガススポット価格TTFは、50米ドル後半から60米ドル前半で推移していたが、8月中旬から上昇し、8月18日に71.9米ドル、8月22日に81.6米ドル、8月25日と26日にはそれぞれ92.6米ドル、94.4米ドルへと急騰した。この間、8月19日にGazpromが更なるNord Streamパイプラインの定期修理予定とその間のガス供給停止を発表したことが、かねてからの供給不安に拍車をかけ、また、ノルウェーのいくつかのガス田の補修による供給停止の見通しが追い打ちをかけた。TTFは8月29日、82.5米ドルとなりやや落ち着いた。
  • 6月半ば以来のNord Streamへのガス流量減少、8月末から予定されている更なる定期メンテナンス後の供給再開への懸念、そして冬季における供給への不安から、TTFには大幅なプレミアがつき、英国ガス価格NBPのTTFに対するディスカウントが一層拡大し、8月には最大で22.8米ドルとなった。
  • 財務省貿易統計速報に基づくと、2022年7月の日本平均LNG輸入価格は17.79米ドルとなった。また、円建てでは円安の影響もあって125,444円となり、史上最高値となった今年5月の価格を更に更新している。供給地域別では、米国産は21.07米ドル、ASEAN地域産が17.71米ドル、中東産が20.43米ドル、ロシア産が14.11米ドルであった。また、7月のアジア各国の平均輸入価格は、中国13.49米ドル、韓国19.96米ドル、台湾16.92米ドルであった。全日本平均原油輸入CIF価格(JCC: Japan crude cocktail)は2022年7月には1バレル当たり116.48米ドルとなった。また、円建てでは1キロリットル当たり99,663円となり、史上最高値となった前月の価格を更に上回っている。原油価格リンクの長期契約が7,8割を占める日本平均LNG輸入価格は、引き続き足元の原油価格の影響を受けることが想定される。
  • 7月の日本のLNG輸入量は、616万トンと前年同月比で0.4%減少、1月から7月までのLNG輸入量合計は4,370万トンと前年同期比で3%減少した。中国のLNG輸入量は474万トンと前年同月比で15%減少、1月から7月までのLNG輸入量合計は、3,593万トンと前年同期比で20%減少した。7月分では、韓国は326万トンと前年同月比で19%減少、台湾は187万トンと前年同月比17%増加となった。これら4市場合計のLNG輸入量は、7月までの累計で1億1,747万トンと前年同期比8%減少となった。

天然ガス・LNG価格推移(直近2年)

中長期の値動き

  • JKMは、2020年1月以降、供給拡大と需要増加ペースの失速により下落基調となり、2020年4月末には史上最安値の1.83米ドルを記録した。5月以降2米ドル台が続いたが、8月に入り複数の生産設備での供給障害により上昇基調に転じ、12月には10米ドル台を超え、2021年1月には寒波の影響で需要が急増したことにより、32.5米ドルの史上最高値を付けた。その後、価格は急落して2月下旬にかけて5米ドル台まで下落、3月に入り上昇基調に転じて以降は、高値で推移する欧州ガス市場にも牽引され、10月に一時56米ドルまで上昇し、11月は30米ドル半ば、12月には40米ドルに達した。2022年1月と2月は20米ドル台で推移し、3月にはロシア産パイプラインガス供給中断の懸念に伴って一時急騰し80米ドルを上回ったが、その後30米ドル台で推移した。4月以降取引は低調であり、JKMは36米ドルから22米ドルまで減少し、5月から6月前半にかけて20米ドル前半で推移した。しかし6月後半以降天然ガス・LNGの供給不安の高まりを背景に40米ドルに到達、7月も同様の水準で推移し、8月には概ね50米ドルで推移しつつ、一時、60米ドル、70米ドルを超える状況となった。
  • 欧州ガススポット価格TTFに対するJKMのディスカウントは、欧州におけるガス供給の不確実性の高まりや北東アジア、特に中国のLNG需要の減少を背景に3月末以降顕在化し始め、4月~6月には1米ドル~10米ドルの間に収まっていたが、7月には価格差は5米ドル~15米ドルにまで及び、8月には8米ドルから29米ドルへとなるなど、かなりの価格差を示すようになった。
  • 日本平均LNG輸入価格は、2020年3月以降の原油価格急落の影響により、8月から10月にかけて2005年1月以来の低水準となる5米ドル台まで下落、その後原油価格上昇に伴い、12月には7米ドル台に上昇した。堅調な原油価格の値動きに応じて、2021年2月には9米ドル半ばまで上昇後、3月は7米ドル半ばまで下落した。その後は、原油価格の上昇に伴って、2022年2月には15米ドル後半に上昇、3月に14米ドル半ばに下落、4、5月に15米ドル後半に再び上昇し、6月に14米ドル後半に下落、7月に17ドル後半に上昇している。

天然ガス・LNG価格推移(直近10年)

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(出典)
米国HH(Henry Hub)価格: NYMEX Futures and Options, CME Group
蘭TTF(Title Transfer Facility)価格:ICE Endex, Intercontinental Exchange
JKM: LNG Japan/Korea Marker© 2022 by S&P Global Platts, a division of S&P Global Inc.
JOGMECスポットLNG価格:JOGMEC「日本着スポットLNG月次価格」、2021年3月までは経済産業省「スポットLNG価格調査」を出典とする
日本平均LNG輸入価格: 財務省貿易統計をもとに作成
EUA(EU ETS): ICE Endex, Intercontinental Exchange

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天然ガス・LNG在庫動向

日本

  • 2022年4月末の国内LNG在庫量は427万トンで、前月比13.8%、52.0万トンの増加、前年同月比では0.6%増加し、過去5年平均値を14.7万トン上回った。
  • 4月末のガス事業用LNG在庫量は195万トンで、前月比24.6%増、前年同月比では19.5%増となった。4月の都市ガス用LNG消費量は前年同月比0.4%増の236万トン、都市ガス用LNG受入量は前年同月比5.1%増の269万トンだった。
  • 4月末の発電燃料用LNG在庫量は232万トンで前月比6.1%増、前年同月比11.3%の減少となった。4月の発電燃料用LNG消費量は、前年同月比で7.2%減の277万トン、発電燃料用LNG受入量は、前年同月比で12.8%増の327万トンであった。
  • 2022年8月24日に経済産業省が発表した「発電用LNGの在庫状況」によると、大手電力事業者の8月21日時点のLNG在庫は約246万トンであった。2021年8月末比では約3万トン、過去5年間の8月末平均を61万トン上回っている。

国内LNG月末在庫量(直近2年)

国内LNG月末在庫(直近10年)

(出典)
経済産業省「ガス事業主生産動態統計」及び「電力調査統計・火力発電燃料実績」をもとに作成したもので、これら月末在庫を合算した値を国内在庫としてみなしたもの。なお、利用可能なデータは2008年1月以降のものであるため、過去5年平均は2013年1月分から計算している。


米国

  • 2022年8月19日の米国天然ガス地下貯蔵有効稼働ガス在庫(ワーキングガス)は、米国エネルギー情報局(EIA)のデータによると、2.58 Tcfで前月比6.7%増となった。在庫量は2021年の同時期と比較すると9.5%低く、過去5年平均値を353 Bcf下回っているが、2020年11月以降は過去5年のレンジに入っている。

米国天然ガス地下貯蔵量(直近2年)

米国天然ガス地下貯蔵量(直近10年)

(出典)
米国エネルギー情報局(U.S. Energy Information Administration, EIA)のデータをもとに作成


欧州

  • 2022年8月27日現在のAggregated Gas Storage Inventory(AGSI+)加盟各社中、EU加盟国各社が有する欧州天然ガス地下貯蔵在庫は883.0TWh (LNG換算5,841万トン相当)であった。これは前年同期より20.0%、147.2 TWh (LNG換算974万トン相当)上回るものだった。貯蔵容量に対する充填率は79.4%であり、前年同期の66.1%を上回り、過去5年間平均値の79.1%を回った。貯蔵容量の大きなドイツ、オランダの充填率はそれぞれ82.7%、74.9%であった。

欧州天然ガス地下貯蔵量(直近2年)

欧州天然ガス地下貯蔵量(直近10年)

(出典)
Aggregated Gas Storage Inventory(AGSI), Gas Infrastructure Europeのデータをもとに作成。なお、利用可能なデータは2011年1月以降のものであるため、過去5年平均は2016年1月分から計算している。

 

  • 2022年8月27日現在のAggregated LNG Storage Inventory(ALSI)加盟各社(11か国、18社)が有する欧州LNG在庫量は483万m3(液体ベース)で、前月比9.8%増加、前年同期比51.5%増加、過去5年平均値を2.3%上回っている。

欧州LNG在庫量(直近2年)

欧州LNG在庫量(直近10年)

(出典)
Aggregated LNG Storage Inventory(ALSI), Gas Infrastructure Europeのデータをもとに作成。なお、利用可能なデータは2012年1月以降のものであるため、グラフ中の過去10年平均及び過去10年平均幅の値については、5年未満の値が含まれる。


天然ガス・LNGプロジェクト動向

ハイライト

  • ロシア政府指令に基づき設立された新ロシア法人サハリンエナジー社は、2022年8月19日付で Sakhalin Energy Investment 社の権利義務を引き継ぎ、既存のLNG買主に向けてLNG供給を継続すると発表した。 また事故により操業停止中の米国 Freeport LNG プロジェクトは復旧計画を発表し、11月に生産を再開、同月末までに生産容量85%以上を達成するとしており、フル稼働は2023年3月を予定している。

 

アジア・オセアニア地域

  • パキスタン Pakistan LNG は2022年8月6日、LNG調達入札を公告し、DES条件で毎月1カーゴ、6年間で合計72カーゴの応札を招請した。
  • Engro Corporation 子会社 Engro Eximp FZE は2022年8月3日、 Excelerate Energy, Inc. と、パキスタンでの民間ガス販売会社設立に向けMOUを締結したことを発表した。 両社はLNG気化ガス販売会社の設立可能性を検討する。
  • 豪州競争規制当局ACCCは2022年7月の暫定ガス市場中間報告において自国東部が2023年に56 PJ (LNG 120万トン相当)の不足に直面する可能性が高いと予測した。
  • 豪 Beach Energy は2022年8月8日、 BP Singapore Pte. Limited とSPAを締結したと発表した。bpは Beach の Waitsia ガス田Stage 2 プロジェクトの原料ガスからNorth West Shelf液化設備で生産されたLNG 375万トンを全量購入する。供給開始は2023年下期、期間は5年程度を予定しており、価格はブレント原油、JKM指標と連動するハイブリッド価格方式を採用し、価格下落保護メカニズムも含む。

 

北米地域

  • Cheniere Energy は2022年7月26日、 Corpus Christi Liquefaction, LLC (CCL) がタイPTT子会社 PTT Global LNG Company Limited (PTTGL)との間で長期SPAを締結したと発表した。 PTTGLは年間100万トンのLNGをCCLから、2026年以降20年間購入する。 引き渡しはFOBとDES条件の混合で価格はヘンリーハブ連動プラス固定液化手数料としている。
  • Freeport LNG Development, L.P. は2022年8月23日、6月8日の事故後の液化設備稼働再開に向け詳細アセスメントを完了し、部分稼働に向けた復旧計画を定めたことを発表した。 11月初旬から中旬にかけて生産を開始し、11月末までに輸出容量の85%超の日量2Bcfでの定常稼働を予定しており、2023年3月に第2桟橋積み込み能力の回復をもってフル稼働が可能となるとしている。
  • Chesapeake Energy Corporation は2022年8月2日、 Golden Pass LNG Terminal LLC との間で、Haynesville からGolden Pass LNG 設備向けにガス日量0.3 Bcf引き渡しのタームガス供給契約(GSA)を締結したと発表した。契約条件は2024年から36ヶ月間、NYMEXに基づく価格から固定差額を差し引くとしている。
  • NextDecade Corporation は2022年7月27日、 ExxonMobil LNG Asia Pacificとの間で、 NextDecade のテキサス州ブラウンズヴィルの Rio Grande LNG 輸出プロジェクトからのLNG 100万トンについて20年間のSPA締結を発表した。 Rio Grande LNG 最初の2系列から供給されるもので、第1系列は、早ければ2026年稼働開始見込み。
  • CentricaとDelfin Midstream Inc. は2022年8月9日、米国初の浮体LNG輸出設備となるルイジアナ州沖Delfin Deepwater Port についてFOB条件で15年間にわたり年間100万トンのLNG購入に関わる基本合意(HOA)を締結したことを発表した。 2022年末までにFID、2026年稼働開始を見込む。
  • Energy Transfer LP は2022年8月24日、Shell NA LNG LLC との間で Lake Charles LNGプロジェクトからShell に年間210万トンを20年にわたり供給するSPAを締結したと発表した。 引き渡しは早ければ2026年の開始を予定しており、FOB条件で価格はヘンリーハブ連動と固定の液化手数料としている。
  • TC Energy は2022年7月28日、 Coastal GasLink LPがLNG Canadaとの間で、修正されたプロジェクト契約を締結し、LNG Canada輸出設備と接続するガスパイプラインプロジェクトのコスト見積りを従来の66億カナダドルから112億カナダドルへ変更したと発表した。 全長670 kmのガスパイプラインプロジェクトの進捗率は70%で、8区間のうち2区間が完成し、2023年末までに稼働開始を予定している。
  • 中国Pacific Energy Corporation Limitedとカナダ Enbridge Inc. は2022年7月29日、 Woodfibre LNG プロジェクト建設・操業に共同で投資する契約を発表した。  Woodfibre LNG は年間210万トンのLNG輸出設備で、容量の70%に相当する BP Gas Marketing Limited との15年間の長期引き取り契約2本を裏付けとしており、さらに最大90%までの追加コミットメントが交渉中である。 Woodfibre LNG は4月に2027年稼働開始見込みであると発表した。

 

欧州・ロシア地域

  • ドイツ連邦経済・気候保護省(BMWK)は2022年8月16日、 Uniper、RWE、EnBW/VNGとの間で、 Brunsbüttel、 Wilhelmshaven の浮体LNG基地向け供給に係るMoUを締結したことを発表した。FSRUは2022/23年の冬季に稼働を開始し、各社は必要な引き渡し数量を保証している。両基地は  Uniper、 RWE が暫定的に操業するが、その後特別目的機関が操業を引き継ぐ。
  • オランダGasunie は2022年8月1日、子会社 EemsEnergyTerminal がEemshaven  LNG基地残りの年間1 Bcm容量を ENGIE SA に販売したことを発表した。これより先にチェコČEZ、 Shell Western LNG B.V. との間で契約が締結されており、利用可能な8 Bcm容量は完売となった。引き渡し開始は早ければ9月半ばを見込む。
  • イタリア SnamとEdison は2022年7月25日、自国の小規模LNG市場開発で協力するMOUを締結したと発表した。自国貨物輸送用LNG市場は、既にトラック4,000台、充填ステーション130件、年間消費量20万トン規模となっている。同市場は2025年までに2倍増以上、2030年までに最大150万トンへの拡大を見込む。
  • 英国Avenir LNG Limited は2022年8月11日、 Oxelösunds Hamn AB との間で、スウェーデン Oxelösund 港湾での LNG/BioLNG 基地の開発と建設に向けたMOUを締結したと発表した。両社は LNG/BioLNG から再生可能エネルギー源への移管のための将来のエネルギーハブ開発可能性も検討することにも合意している。
  • フィンランド Gasgrid Finland は2022年8月17日、 Fortum との間でFSRUを Inkoo の同社港湾に設置する契約を締結したと発表した。 Gasgrid は同FSRUを2022年12月に配備する計画である。
  • 新しいロシア法人 «Сахалинская Энергия» (サハリンエナジー社) は2022年8月19日、生産物分与契約(PSA)に基づく Sakhalin Energy Investment Company 社の権利義務が新社に移管されたことを発表した。新社は、最優先事項は引き続き従業員の安全・健康・福祉により既存義務を全て満足する基本原則にあると述べている。同社は、買主各社に向けた炭化水素の生産・出荷は、中断することなく、2022年の承認された日程に従って実施されていると述べている。

 

その他地域

  • 日本郵船株式会社と川崎汽船株式会社は2022年8月10日、両社およびマレーシア MISC Berhad、中国China LNG Shipping (Holding) Limitedが均等出資する合弁会社が、カタール QatarEnergy との間でLNG 輸送船7隻の長期定期傭船契約を8月9日に締結、同時に韓国の現代重工業と本船の造船契約を締結したと発表した。
  • McDermott International は2022年8月10日、 QatarEnergy より、 North Field South (NFS) Offshore Pipelines and Power/FO cables プロジェクトの基本設計(FEED)契約を受注したことを発表した。これより先に NFS Jackets and Topsides and Pipelines for the North Field Expansion Project (NFXP)を受注している。NFSインフラストラクチャーはNFXP開発の一環であり、追加2系列に原料ガスを供給し、カタールのLNG生産を年間7,700万トンから1.26億トンに拡大することを計画するものである。
  • Eniおよびアンゴラ New Gas ConsortiumのChevron 関連会社 Angola Cabinda Gulf Oil Company Limited、 Sonangol P&P、bp、TotalEnergiesとアンゴラの石油・ガス・バイオ燃料機関ANPGは2022年7月27日、 QuilumaとMaboqueiroのガス田群開発のFIDを発表した。本件はアンゴラ初の非随伴ガス開発プロジェクトで、沖合井戸元プラットフォーム2件、陸上ガス処理設備、コンデンセート・LNG販売のためのAngola LNG 設備への接続が含まれる。プロジェクト建設は2022年に開始し、2026年にガス生産を開始、年間4 Bcmの生産が見込まれる。
  • Kosmos Energy は、2022年8月8日、モーリタニア・セネガルの Greater Tortue Ahmeyim LNG プロジェクト第1段階は2022年6月末時点で80%超完成、FLNG・FPSOともコミッショニング作業進行中であると発表した。中国のFPSOヤードでの感染関連制限での遅延により、FPSO引き渡しは第4四半期を見込む。ガス生産開始目標は2023年第3四半期、LNG開始は同年末としている。
  • ENIは2022年8月5日、 Tango FLNG所有企業 Export LNG Limited を Exmar Group から取得したと発表した。Tango FLNG は2017年に建造され、年間60万トンのLNG生産容量を持つ。同設備はコンゴ共和国の Marine XII 鉱区において2023年下期に活動を開始し、2023年にLNG生産を開始する見込。
  • ENI経営陣は2022年7月29日、モザンビークでの合弁事業パートナーとコンゴで開発中のものと同様の”fast LNG”開発案を話し合っていると述べた。規模は年間250 - 300万トンとなる。
  • フランスLNG積載タンク専門企業GTTは2022年7月28日、同年上期にLNG輸送船タンク設計88件を受注、LNG燃料船舶向け38件を受注したと発表した。LNG輸送船向け受注件数を7月にさらに38件追加した。

 

 

作成協力 一般財団法人日本エネルギー経済研究所

 

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