2022年9月
天然ガス・LNG価格動向
直近の値動き
- 北東アジアのアセスメントされたスポットLNG価格JKM(期近分)は、欧州での供給懸念を受け上昇し9月5日に100万Btu当たり63ドルに達したが、翌6日には需要減により下落し46ドルとなった。JKMは更に需要低迷と欧州でのガス価格高騰対策に係る協議の報を受け大幅に下落し9月8日に39ドルとなった。翌週のJKMは30ドル後半ないし40ドル前半で推移したが、9月15日に欧州ガス価格上昇を受け47ドルに上昇した後、16日に42ドルに下落した。その後スポット市場の動きは全体的に停滞する中JKMは30ドル後半で推移し、9月21日に45ドルに達するも需要低迷と豊富な在庫を背景に下落し23日には38ドルとなり、翌週26日には35ドルとなった。LNG価格高騰の慢性化により中国ではガスから石炭への切り替えやロックダウンの影響によりLNG需要回復は停滞し、8月のLNG輸入量は前年同月比28%減となった。一方、日本など過去水準を上回るLNG在庫量が報告されている。
- JKMのTTFとの逆転現象は依然として継続しており、価格差は9月最大で22米ドルとなった。一方、JKMは9月後半に入り期近カーゴが下落し12月引渡カーゴが割高となり、価格差が拡大している。
- JOGMECは8月の日本着スポットLNG月次価格(速報)について、同月以降に契約がなされて日本に入着するスポットLNG取引の平均価格(契約ベース)は、報告者が1社以下のため非公表であった。また、同月中に日本に入着したスポットLNG取引の平均価格(入着ベース)は、同様の理由で非公表であった。
- 米国スポットガス価格HHは、9月1日に9.3ドルとなって以降減少し、9月前半は7ドル後半ないし8ドル後半で推移した。9月14日に9.1ドルとなって以降は再び減少し、9月23日時点で6.8ドル、翌週26日には6.9ドルとなっている。米国天然ガス地下貯蔵在庫は、9月16日時点で2,874bcf、前年比6.4%減、過去5年平均比10.4%減と、依然として低水準が続いている。
- 米国エネルギー情報局(EIA)の9月7日発表の短期エネルギー見通しによると2022年第4四半期の天然ガススポット価格の平均値の見通しは9.00米ドル、2023年の平均値の見通しは、天然ガス生産量の増加により6.00米ドルに下降するとしている。米国産LNG輸出については、2022年第4四半期の平均が11.7bcf/dと第3四半期平均より1.7Bcf/d増加の見通しとなっている。2023年のLNG輸出は、平均12.3cf/dと予想している。
- 欧州ガススポット価格TTFは、欧州天然ガス地下貯蔵量が予定前倒しで目標の80%を達成したことを受け、9月1日の66.6ドルから翌日53.7まで大幅に下落した。Nord Streamの定修後の供給停止が確認され、また英国風力発電量低下もあり、翌週TTFは再び上昇し9月6日に65.6ドルに達した。9月7日、欧州委員会によるエネルギー価格高騰を受けての方策が提示され、TTFは60.3に下落し、9月9日には更に56.8ドルとなった。TTFは翌週50ドル後半で推移したが、9月14日に開催されたエネルギー閣僚会議において価格高騰対策案の中に価格上限設定が含まれないことが報じられると63.7ドルに上昇した。9月後半において、TTFは欧州天然ガス地下貯蔵の堅調な積み増しやLNGカーゴの供給過剰もあり、40ドル後半ないし50ドル前半で推移している。
- 6月半ば以来のNord Streamへのガス流量減少と9月初旬以降の供給停止、そして冬季における供給への不安から、TTFには大幅なプレミアがつき、英国ガス価格NBPのTTFに対するディスカウントは、9月最大で17.4ドルとなっている。
- 財務省貿易統計速報に基づくと、2022年8月の日本平均LNG輸入価格は100 万Btu当たり19.88米ドル、円建てでは円安の影響もあって1トン当たり139,380円となり、いずれも史上最高値を更新している。供給地域別では、米国産は19.22米ドル、ASEAN地域産が18.26米ドル、中東産が25.50米ドル、ロシア産が14.97米ドルであった。また、8月のアジア各国の平均輸入価格は、中国17.00米ドル、韓国23.04米ドル、台湾24.60米ドルであった。全日本平均原油輸入CIF価格(JCC: Japan crude cocktail)は2022年8月には1バレル当たり112.41米ドルとなった。また、円建てでは1キロリットル当たり95,607円となり、引き続き高価格を維持している。原油価格リンクの長期契約が7,8割を占める日本平均LNG輸入価格は、引き続き足元の原油価格の影響を受けることが想定される。
- 8月の日本のLNG輸入量は、627万トンと前年同月比で0.4%減少、1月から8月までのLNG輸入量合計は4,998万トンと前年同期比で3%減少した。中国のLNG輸入量は472万トンと前年同月比で28%減少、1月から8月までのLNG輸入量合計は、4,064万トンと前年同期比で21%減少した。8月分では、韓国は383万トンと前年同月比で10%増加、台湾は165万トンと前年同月比2%減少となった。これら4市場合計のLNG輸入量は、8月までの累計で1億3,392万トンと前年同期比8%減少となった。
中長期の値動き
- JKMは、2020年1月以降、供給拡大と需要増加ペースの失速により下落基調となり、2020年4月末には史上最安値の1.83米ドルを記録した。5月以降2米ドル台が続いたが、8月に入り複数の生産設備での供給障害により上昇基調に転じ、12月には10米ドル台を超え、2021年1月には寒波の影響で需要が急増したことにより、32.5米ドルの史上最高値を付けた。その後、価格は急落して2月下旬にかけて5米ドル台まで下落、3月に入り上昇基調に転じて以降は、高値で推移する欧州ガス市場にも牽引され、10月に一時56米ドルまで上昇し、11月は30米ドル半ば、12月には40米ドルに達した。2022年1月と2月は20米ドル台で推移し、3月にはロシア産パイプラインガス供給中断の懸念に伴って一時急騰し80米ドルを上回ったが、その後30米ドル台で推移した。4月以降取引は低調であり、JKMは36米ドルから22米ドルまで減少し、5月から6月前半にかけて20米ドル前半で推移した。しかし6月後半以降天然ガス・LNGの供給不安の高まりを背景に40米ドルに到達、7月も同様の水準で推移し、8月には概ね50米ドルで推移しつつ、一時、60米ドル、70米ドルを超える状況となった。9月、JKMは60ドル後半で推移し始めたが、月の後半にかけて減少兆候を示し、50ドルを割り始めている。
- 欧州ガススポット価格TTFに対するJKMのディスカウントは、欧州におけるガス供給の不確実性の高まりや北東アジア、特に中国のLNG需要の減少を背景に3月末以降顕在化し始め、4月~6月には1米ドル~10米ドルの間に収まっていたが、7月には価格差は5米ドル~15米ドルにまで及び、8月には8米ドルから29米ドルへとなるなど、かなりの価格差を示すようになった。9月にはこの価格差は3ドル~24ドルとなり若干改善している。
- 日本平均LNG輸入価格は、2020年3月以降の原油価格急落の影響により、8月から10月にかけて2005年1月以来の低水準となる5米ドル台まで下落、その後原油価格上昇に伴い、12月には7米ドル台に上昇した。堅調な原油価格の値動きに応じて、2021年2月には9米ドル半ばまで上昇後、3月は7米ドル半ばまで下落した。その後は、原油価格の上昇に伴って、2022年2月には15米ドル後半に上昇したが、3月に14米ドル半ばに下落した。4、5月に15米ドル後半まで上昇し、6月に14米ドル後半に下落、7月に17ドル後半に上昇後、8月に19米ドル後半に更に上昇している。
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(出典)
米国HH(Henry Hub)価格: NYMEX Futures and Options, CME Group
蘭TTF(Title Transfer Facility)価格:ICE Endex, Intercontinental Exchange
JKM: LNG Japan/Korea Marker© 2022 by S&P Global Platts, a division of S&P Global Inc.
JOGMECスポットLNG価格:JOGMEC「日本着スポットLNG月次価格」、2021年3月までは経済産業省「スポットLNG価格調査」を出典とする
日本平均LNG輸入価格: 財務省貿易統計をもとに作成
EUA(EU ETS): ICE Endex, Intercontinental Exchange
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天然ガス・LNG在庫動向
日本
- 2022年5月末の国内LNG在庫量は502万トンで、前月比17.4%、74.2万トンの増加、前年同月比では19.5%増加し、過去5年平均値を58.4万トン上回った。
- 5月末のガス事業用LNG在庫量は236万トンで、前月比20.6%増、前年同月比では38.2%増となった。5月の都市ガス用LNG消費量は前年同月比9.0%減の205万トン、都市ガス用LNG受入量は前年同月比5.7%増の246万トンだった。
- 5月末の発電燃料用LNG在庫量は266万トンで前月比14.6%増、前年同月比6.7%の増加となった。5月の発電燃料用LNG消費量は、前年同月比で2.7%増の287万トン、発電燃料用LNG受入量は、前年同月比で19.0%増の352万トンであった。
- 2022年9月21日に経済産業省が発表した「発電用LNGの在庫状況」によると、大手電力事業者の9月18日時点のLNG在庫は約262万トンであった。2021年9月末比では約16万トン、過去5年間の9月末平均を68万トン上回っている。
(出典)
経済産業省「ガス事業主生産動態統計」及び「電力調査統計・火力発電燃料実績」をもとに作成したもので、これら月末在庫を合算した値を国内在庫としてみなしたもの。なお、利用可能なデータは2008年1月以降のものであるため、過去5年平均は2013年1月分から計算している。
米国
- 2022年9月16日の米国天然ガス地下貯蔵有効稼働ガス在庫(ワーキングガス)は、米国エネルギー情報局(EIA)のデータによると、2.87Tcfで前月比11.4%増となった。在庫量は2021年の同時期と比較すると6.7%低く、過去5年平均値を332Bcf下回っているが、2020年11月以降は過去5年のレンジに入っている。
(出典)
米国エネルギー情報局(U.S. Energy Information Administration, EIA)のデータをもとに作成
欧州
- 2022年9月24日現在のAggregated Gas Storage Inventory(AGSI+)加盟各社中、EU加盟国各社が有する欧州天然ガス地下貯蔵在庫は973.3TWh(LNG換算6,438万トン相当)であった。これは前年同期より20.1%、162.8TWh (LNG換算1,077万トン相当)上回るものだった。貯蔵容量に対する充填率は87.4%であり、前年同期の72.8%を上回り、過去5年間平均値の86.5%を上回った。貯蔵容量の大きなドイツ、オランダの充填率はそれぞれ91.0%、89.0%であった。
(出典)
Aggregated Gas Storage Inventory(AGSI), Gas Infrastructure Europeのデータをもとに作成。なお、利用可能なデータは2011年1月以降のものであるため、過去5年平均は2016年1月分から計算している。
- 2022年9月24日現在のAggregated LNG Storage Inventory(ALSI)加盟各社(11か国、18社)が有する欧州LNG在庫量は493万m3で、前月比2.2%減少、前年同日比22.4%増加、過去5年平均値を2.5%下回っている。
(出典)
Aggregated LNG Storage Inventory(ALSI), Gas Infrastructure Europeのデータをもとに作成。なお、利用可能なデータは2012年1月以降のものであるため、グラフ中の過去10年平均及び過去10年平均幅の値については、5年未満の値が含まれる。
天然ガス・LNGプロジェクト動向
ハイライト
- ロシア産ガス供給をめぐる不確実性が、太平洋地域、欧州地域で続いている。Nord Streamパイプラインを通じてのガス供給は、8月末のメンテナンス停止後復帰していない。Sakhalin 2 LNG プロジェクトを引き継ぐ新法人に日本企業2社は参加したがShellは参加しなかった。
アジア・オセアニア地域
- Shellは2022年9月5日、マレーシア子会社Shell Berhad(SSB)(80%, オペレーター)、PETRONAS Carigali Sdn Bhd(20%)がRosmari-Marjoramガスプロジェクト開発のFIDを行ったことを発表した。Rosmari-Marjoramガス田群はサラワク州ビントゥル沖220キロメートルに位置し、PETRONAS LNG設備に持続的なガス供給を確保することを意図し、沖合プラットフォームの動力は太陽光発電となる。同プロジェクトは、日量0.8 Bcf(年間600万トン)の生産で設計される。ガス生産は2026年開始見込み。
- マレーシアPETRONASは2022年8月23日、ビントゥルTanjung Kidurongにて、2023年よりSarawak Petchem Sdn Bhd(SPSB)、Sarawak Energy Berhad(SEB)に天然ガスを供給するBintulu Additional Gas Sales Facility(BAGSF-2)設備の開発を開始したことを発表した。BAGSF-2は、日量0.39Bcf(年間300万トン)を引き渡す容量で設計されている。
- bpは2022年8月3日、同年第2四半期業績説明会でインドネシアTangguh第3系列を2023年末までに稼働開始したいと述べた。
- Woodsideは2022年9月15日、豪州連邦気候変動・エネルギー・環境・水資源省(DCCEEW)指示により、Browse to North West Shelf(NWS)プロジェクトの最終環境影響評価(EIS)を発行した。同プロジェクトは、沖合Browse盆地ガス田群からの原料ガスを、NWSプロジェクトKarrathaガス設備で処理するもので、生産容量は年間1,140万トン(LNG、LPG、国内市場向けガス)である。
- Woodsideは2022年8月24日、Pluto Train 2プロジェクトの建設開始を発表した。 Pluto Train 2は、Scarborough開発のガスを処理する。Bechtel社がEPCを担当し、LNG生産容量は年間500万トンとなる。追加の国内向けのインフラストラクチャー容量日量225TJ(年間150万トン)も設置される。
- 豪Santosは2022年8月29日、Barossa合弁事業のオペレーターとして、北部準州沖のDarwinパイプライン複線化プロジェクト推進に関してFIDを行ったと発表した。Barossaガス搬出パイプラインをDarwin LNG(DLNG)設備まで延ばし、既存Bayu-Undan - DarwinパイプラインをCCSオプションに使えることとなる。ダーウィン北300キロメートルのBarossaガス田からのガスは、ティモールレステのBayu-Undan設備からの現行供給に代替することとなる。DLNGからBarossaガスを使ってのガス生産開始は、2025年前半を目標としている。
- Santosは2022年9月21日、Barossaガスプロジェクト関連掘削・仕上げ作業を対象とする環境計画の連邦洋上石油類安全環境管理局(NOPSEMA)承認を差し止めとする連邦法廷判断を受けた。この結果、掘削活動は上訴で覆るか、新たな環境計画が承認されるかのいずれかまで停止される。Santosは両プロセスを進めるとし、Barossaガスプロジェクトは46%完成している、と述べた。
- Technip Energiesは2022年8月22日、Cloughとの連合により、TotalEnergiesのパプアニューギニアPapua LNGプロジェクト上流生産諸設備に係る基本設計(FEED)受注に選定されたことを発表した。ElkとAntelope陸上ガス田群開発を対象とする。両ガス田のCO2を除去し、地層に再注入するCCSを織り込む。
北米地域
- Cheniereの「20/20 Vision」長期投資計画によると、Sabine Pass、Corpus Christi両方の大規模な拡張機会を通じ長期的なポテンシャルとして、年間9,000万トン容量に到達する可能性がある。同社は2022年8月、Corpus Christi中規模トレイン8 & 9 計画を、米連邦エネルギー規制委員会(FERC)にプレファイリング事前審査手続きを申請しており、短期的な目標を年間6,000万トン実現としている。
- 米連邦環境保護庁(EPA)は、2022年9月6日、ガスタービンから放出されるホルムアルデヒドを制限する連邦大気汚染規則に関して、Cheniere Energyによる自社メキシコ湾岸2設備に適用除外を求める申請を却下した。CheniereはEPA決定に賛同できないが、この排出規制に適合できるソリューションを見出すべく、州、連邦規制機関と作業を続ける、と述べた。
- Energy Transfer LPは、2022年8月24日、子会社Energy Transfer LNG Export, LLCがShell NA LNG LLCとの間で、Lake Charles LNGプロジェクトに関して、20年間のSPAを締結したことを発表した。Energy Transfer LNGはShellに年間210万トンを供給する。FOB条件、購入価格はヘンリーハブ連動、プラス固定の液化手数料となる。引き渡しは、早ければ2026年開始見込みとなる。
- Tellurianは2022年9月19日、計画していた2027年満期の11.25%優先保証債券、同社普通株式購入権ワラント債で構成する証券売却を中止したことを発表した。自社LNGプロジェクトの資金調達には出資者に支援を求めることとなる。同社会長はこれによりDriftwood LNG設備の計画されていた2026年の稼働開始は難しくなると翌日YouTubeに掲載されたビデオで述べた。
- 米 Commonwealth LNGと豪Woodside Energy子会社Woodside Energy Trading Singapore Pte Ltdは、2022年9月5日、非拘束のHOAを同月2日に2本の拘束力あるSPAに転換し締結したことを発表した。Commonwealthのルイジアナ州キャメロン郡で開発中のLNG輸出設備より、20年間にわたり年間250万トンのLNG供給を対象とし引き渡し開始は2026年半ばを見込む。
- Delfin Midstream Inc.とDevon Energy Corporationは2022年9月5日、液化容量およびFID前のDevonによるDelfinへの投資に係るHOAを含むLNG輸出パートナーシップに合意したことを発表した。本HOAは、Delfinの最初の浮体LNG生産船舶の液化容量年間100万トン分の長期液化加工契約、さらに今後年間100万トン分を追加する可能性も含めて枠組を提供する。
- 米連邦海事局(MARAD)は2022年9月13日公表の文書で、New Fortress Energy (NFE)のFast LNGプロジェクト審査を8月13日付同社宛書簡で一時停止したことを確認した。MARADは7月にNFEからの追加情報を要請した。しかしMARADは同社に、応答は不十分でありMARADは必要な情報を受け取るまで、手続きの一時停止が必要と通知した。
欧州・ロシア地域
- VopakとGasunie合弁事業オランダGate terminal B.Vは2022年9月5日、追加容量年間4Bcmの市場関心を測るべくオープンシーズンを開始、市場参加企業に非拘束での関心表明を求めることを発表した。
- オランダのEemsEnergyTerminalは2022年9月7日、2隻のFSRUがエームスハーフェンに到着したと発表した。最初の天然ガス送出は、早ければ9月中旬にも Gasunieガス輸送網に流れ込む。同LNG基地は11月末または12月初にも全容量稼働し、12月31日までの期間に18カーゴ程度受け入れることができる見込みである。
- 豪Woodside、ドイツUniperは2022年9月5日、Woodsideが自社グローバルポートフォリオよりドイツを含む欧州に、2023年1月より2039年までLNGを供給するSPAを締結したことを発表した。年間12カーゴ(年間80万トン以上)を引き渡す。2031年9月からの供給は、Uniperが北西欧州で長期の容量予約を確定することが条件となる。
- ドイツDeutsche ReGasは、2022年8月23日、Lubmin港湾でのFSRU基地計画に関して、規制適用除外を連邦規制機関BNetzAに申請した、と述べた。Deutsche ReGasは2022年12月の稼働開始を計画している。
- スロバキアのガス供給企業SPPは2022年9月8日、ExxonMobilとの間でLNG購入の契約を締結したことを発表した。
- フィンランドGasum社によると、グリンピース活動家が、ロシア産LNG輸入に抗議して、2022年9月8日、輸送船Coral EnergyのスウェーデンNynäshamn LNG基地への入港を阻んだ。地元警察が活動家達を現場から除外して、9日にCoral Energyは同基地でカーゴを荷卸しした。
- ロシア政府は、自国法人Sakhalin Energy LLCの外国株主割り当て分を、三井物産子会社、三菱商事子会社に移管することを承認した。Shellは、ロシア連邦政府、およびSakhalin Energy Investment Company Ltd(SEIC)のパートナー企業に対して、 Shellは新LLCに出資せず、法的権利を全て留保していると伝えたことを確認している。ロシア連邦政府の2022年9月6日付指令によると、Sakhalin 2プロジェクトで従来Shellが有していた27.5%を引き継ぐ基準は、容量年間400万トン分以上のLNG生産プロジェクトを操業する経験を持ち累計生産が4,000万トンを超えていなくてはならない。
その他地域
- TotalEnergiesは2022年9月24日、カタールの年間1,600万トンNorth Field South (NFS)LNGプロジェクトの最初の国際パートナーとして選定されたことを発表した。 NFSプロジェクトに、国際パートナーに配分される25%中、TotalEnergiesは9.375%出資参加する。QatarEnergyは残り75%を持つ。
- Air Productsは、2022年8月25日、カタールNFE LNGプロジェクト向けに、熱交換器4基を供給する契約を受注したことを発表した。LNG処理系列4件は、Air Productsが千代田化工建設とTechnip Energies向けに建設中である。
- ENIとbpは2022年9月7日、ENIがbpのアルジェリア事業を買い取ることを発表した。In AmenasとIn Salah(各45.89%、33.15%)のガス生産鉱区を含む。両資産は Sonatrach、Equinorと共同で操業され、サハラ南部にあり、それぞれ2006年、2004年にガス、随伴液体製品を生産開始した。2021年両鉱区はガス11Bcm、コンデンセート、LPG 1200万バレルを生産した。
- Bechtelは2022年9月8日、Shell Egypt、EGAS、Petronasが、Bechtelを中心とするEnppi、Petrojetを含む連合体に、地中海West Delta Deep Marine(WDDM)ガス田群の陸上ガス処理設備、アレクサンドリアの東IdkuのEgyptian LNG(ELNG)輸出設備を統合しての電力システム構想を検討する作業の基本設計(FEED)契約を発注したことを発表した。発表によると、このIdku Energy HubプロジェクトのFEEDは、WDDM・ELNGの電力システムを統合するOne Power Hub方式の便益を検討することとなる。陸上設備間の電力システムを統合することにより、節電、温室効果ガス抑制の便益増加を図る。Bechtel、Enppi、Petrojetは迅速にこのFEEDを実施し、2022年内に作業範囲の完了を目指す。
- 中国Cosco Shipping Heavy Industryは2022年9月13日、自社Qidongヤードが、bpのモーリタニア・セネガル沖Greater Tortue Ahmeyim FLNG開発用の浮体生産・貯蔵・積み出し(FPSO)設備の建造を完成したことを発表した。Kosmos Energyは、参加企業は引き続き、ガス生産開始2023年第3四半期、LNG出荷開始2023年末を目標としている、と述べている。
- マレーシアPETRONASとアルゼンチンYPFは、2022年9月1日、アルゼンチン同国で統合型LNGプロジェクトとその他分野について協力する覚書(MOU)を締結したことを発表した。YPFとPETRONAS E&P Argentina S.A.は上流ガス生産とパイプライン・インフラストラクチャー開発、LNG生産・マーケティング・海上輸送出荷を含む Argentina Integrated LNGプロジェクトの検討・開発に関わる共同検討開発協定(JSDA)を締結した。
(注: SPA: LNG売買契約、FID: 最終投資決定、HOA: 基本合意、FSRU: 浮体貯蔵・気化設備、CCS: 炭素回収・貯蔵、EPC: エンジニアリング・調達・建設)
作成協力 一般財団法人日本エネルギー経済研究所
添付ファイル
- 日本のLNG在庫量(18.7KB) (2022/9/26更新)
- 米国天然ガス地下貯蔵量(52.5KB) (2022/9/26更新)
- 欧州天然ガス地下貯蔵量(362.5KB) (2022/9/26更新)
- 欧州LNG在庫量(210.8KB) (2022/9/26更新)