2022年10月
天然ガス・LNG価格動向
直近の値動き
アジア
- 北東アジアのアセスメントされたスポットLNG価格JKM(期近分)は、北東アジア市場の活動が停滞する中、10月3日に100万Btu当たり36米ドルとなって以降は値を下げたが、パイプライン漏洩によりマレーシアLNGが不可抗力宣言を発し供給への懸念が生じると、10月6日、前日の29米ドルから33米ドルに上昇した。翌週、北東アジア市場の活動は引き続き停滞し、20米ドル後半から30米ドル付近で推移した。10月17日の週は、一時的な購買意欲の高まりを受け10月21日に33米ドルに達したが、同様の値動きを示した。10月24日の週には概ね30米ドルで推移した。日中韓は概ね冬場に向けたLNGの在庫確保を完了した模様。市場では散発的に商いの動きが見られるものの、全体的に買い意欲は低い。
- JOGMECは9月の日本着スポットLNG月次価格(速報)について、同月以降に契約がなされて日本に入着するスポットLNG取引の平均価格(契約ベース)は、報告者が1社以下のため非公表とした。また、同月中に日本に入着したスポットLNG取引の平均価格(入着ベース)は、同様の理由で非公表であった。
- 財務省貿易統計速報に基づくと、2022年9月の日本平均LNG輸入価格は100 万Btu当たり22.73米ドル、円建てでは円安の影響もあって1トン当たり164,915円となり、いずれも史上最高値を更新している。供給地域別では、米国産は15.72米ドル、ASEAN地域産が19.03米ドル、中東産が39.35米ドル、ロシア産が18.81米ドルであった。また、9月のアジア各国の平均輸入価格は、中国17.81米ドル、韓国28.26米ドル、台湾21.67米ドルであった。全日本平均原油輸入CIF価格(JCC: Japan crude cocktail)は2022年9月には1バレル当たり110.79米ドルとなった。また、円建てでは1キロリットル当たり97,513円となり、引き続き高価格を維持している。原油価格リンクの長期契約が7,8割を占める日本平均LNG輸入価格は、引き続き足元の原油価格の影響を受けることが想定される。
- 9月の日本のLNG輸入量は、533万トンと前年同月比で1.6%減少、1月から9月までのLNG輸入量合計は5,530万トンと前年同期比で3%減少した。中国のLNG輸入量は590万トンと前年同月比で12%減少、1月から9月までのLNG輸入量合計は、4,651万トンと前年同期比で20%減少した。9月分では、韓国は430万トンと前年同月比で16%増加、台湾は173万トンと前年同月比1%増加となった。これら4市場合計のLNG輸入量は、9月までの累計で1億5,110万トンと前年同期比8%減少となった。
米国
- 米国スポットガス価格HHは、10月3日に6.5米ドルとなって以降上昇し、10月6日に7.0米ドルに達した。翌週HHは6米ドル台で推移したが、翌々週には温暖な気候見通しによる需要減と強気の生産見通しを受け減少基調に転じ、10月17日の6.0米ドルから10月21日に5.0米ドルまで下落した。10月24日の週も引き続き5米ドル台で推移した。米国天然ガス地下貯蔵在庫は、10月21日時点で3,394 bcf、前年比4.0%減、過去5年平均比5.5%減と、依然として低水準が続いているが、改善に向かっている。
- 米国エネルギー情報局(EIA)の10月12日発表の短期エネルギー見通しによると2022年第4四半期の天然ガススポット価格の平均値の見通しは7.40米ドル、2023年の平均値の見通しは、天然ガス生産量の増加により6.00米ドルに下降するとしている。
欧州
- 欧州ガススポット価格TTFは、10月3日の週は40米ドル台後半から50米ドル台で推移したが、欧州天然ガス地下貯蔵量が90%を超え、LNG供給量も過剰となるなか、翌週から徐々に値を下げ始め10月10日の45.2米ドルから10月14日の41.6米ドルまで下落した。翌週も状況は変わらず、TTFは更に値を下げ、10月17日の36.5米ドルから10月21日の32.4米ドルまで下落した。係る中、ナイジェリアNLNGは10月17日、洪水により一部のガス供給が減少し不可抗力を宣言する一方、20日にはLNG生産の継続を発表した。同じ週、欧州委員会はガス共同調達やTTFへの価格上限設定を含む緊急措置提案を発表した。TTFは、10月24日の週には更なる減少基調を示し、20米ドル後半から30米ドル台で推移した。
- TTFは、欧州天然ガス地下貯蔵量が90%を超えて推移するようになり、また、LNG供給過剰もあり下落基調を示し始めた。英国ガス価格NBPのTTFに対するディスカウントは、7~8米ドルと最近のトレンドに比べて減少している
中長期の値動き
- JKMは、2020年1月以降、供給拡大と需要増加ペースの失速により下落基調となり、2020年4月末には史上最安値の1.83米ドルを記録した。5月以降2米ドル台が続いたが、8月に入り複数の生産設備での供給障害により上昇基調に転じ、12月には10米ドル台を超え、2021年1月には寒波の影響で需要が急増したことにより、32.5米ドルの史上最高値を付けた。その後、価格は急落して2月下旬にかけて5米ドル台まで下落、3月に入り上昇基調に転じて以降は、高値で推移する欧州ガス市場にも牽引され、10月に一時56米ドルまで上昇し、11月は30米ドル半ば、12月には40米ドルに達した。2022年1月と2月は20米ドル台で推移し、3月にはロシア産パイプラインガス供給中断の懸念に伴って一時急騰し80米ドルを上回ったが、その後30米ドル台で推移した。4月以降取引は低調であり、JKMは36米ドルから22米ドルまで減少し、5月から6月前半にかけて20米ドル前半で推移した。しかし6月後半以降天然ガス・LNGの供給不安の高まりを背景に40米ドルに到達、7月も同様の水準で推移し、8月には概ね50米ドルで推移しつつ、一時、60米ドル、70米ドルを超える状況となった。9月、JKMは減少傾向を示し30米ドル後半まで下落し、10月には概ね20米ドル後半で推移している。
- 日本平均LNG輸入価格は、2020年3月以降の原油価格急落の影響により、8月から10月にかけて2005年1月以来の低水準となる5米ドル台まで下落、その後原油価格上昇に伴い、12月には7米ドル台に上昇した。堅調な原油価格の値動きに応じて、2021年2月には9米ドル半ばまで上昇後、3月は7米ドル半ばまで下落した。その後は、原油価格の上昇に伴って、2022年2月には15米ドル後半に上昇したが、3月に14米ドル半ばに下落した。4、5月に15米ドル後半まで上昇し、6月に14米ドル後半に下落、7月に17ドル後半に上昇し、8月には19米ドル後半、9月には22米ドル後半へと上昇している。
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(出典)
米国HH(Henry Hub)価格: NYMEX Futures and Options, CME Group
蘭TTF(Title Transfer Facility)価格:ICE Endex, Intercontinental Exchange
JKM: LNG Japan/Korea Marker© 2022 by S&P Global Platts, a division of S&P Global Inc.
JOGMECスポットLNG価格:JOGMEC「日本着スポットLNG月次価格」、2021年3月までは経済産業省「スポットLNG価格調査」を出典とする
日本平均LNG輸入価格: 財務省貿易統計をもとに作成
EUA(EU ETS): ICE Endex, Intercontinental Exchange
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天然ガス・LNG在庫動向
日本
- 2022年6月末の国内LNG在庫量は527万トンで、前月比2.4%、12.3万トンの増加、前年同月比では16.0%増加し、過去5年平均値を86.1万トン上回った。
- 6月末のガス事業用LNG在庫量は248万トンで、前月比5.2%増、前年同月比では31.6%増となった。6月の都市ガス用LNG消費量は前年同月比8.4%増の223万トン、都市ガス用LNG受入量は前年同月比1.9%減の236万トンだった。
- 6月末の発電燃料用LNG在庫量は279万トンで前月比4.9%増、前年同月比4.9%の増加となった。6月の発電燃料用LNG消費量は、前年同月比で3.7%増の345万トン、発電燃料用LNG受入量は、前年同月比で7.4%増の392万トンであった。
- 2022年10月26日に経済産業省が発表した「発電用LNGの在庫状況」によると、大手電力事業者の10月23日時点のLNG在庫は約256万トンであった。2021年10月末比では約49万トン、過去5年間の10月末平均を72万トン上回っている。
(出典)
経済産業省「ガス事業主生産動態統計」及び「電力調査統計・火力発電燃料実績」をもとに作成したもので、これら月末在庫を合算した値を国内在庫としてみなしたもの。なお、利用可能なデータは2008年1月以降のものであるため、過去5年平均は2013年1月分から計算している。
米国
- 2022年10月14日の米国天然ガス地下貯蔵有効稼働ガス在庫(ワーキングガス)は、米国エネルギー情報局(EIA)のデータによると、3.34 Tcfで前月比16.3%増となった。在庫量は2021年の同時期と比較すると3.4%低く、過去5年平均値を183 Bcf下回っているが、2020年11月以降は過去5年のレンジに入っている。
(出典)
米国エネルギー情報局(U.S. Energy Information Administration, EIA)のデータをもとに作成
欧州
- 2022年10月24日現在のAggregated Gas Storage Inventory(AGSI+)加盟各社中、EU加盟国各社が有する欧州天然ガス地下貯蔵在庫は1044.8 TWh (LNG換算6,911万トン相当)であった。これは前年同期より21.8%、187.3 TWh (LNG換算1,239万トン相当)上回るものだった。貯蔵容量に対する充填率は93.8%であり、前年同期の77.2%、過去5年間平均値の90.9%を上回った。貯蔵容量の大きなドイツ、オランダの充填率はそれぞれ97.7%、92.0%であった。
(出典)
Aggregated Gas Storage Inventory(AGSI), Gas Infrastructure Europeのデータをもとに作成。なお、利用可能なデータは2011年1月以降のものであるため、過去5年平均は2016年1月分から計算している。
- 2022年10月24日現在のAggregated LNG Storage Inventory(ALSI)加盟各社(11か国、18社)が有する欧州LNG在庫量は503万m3で、前月比3.5%増加、前年同日比8.9%減少、過去5年平均値を15.1%下回っている。
(出典)
Aggregated LNG Storage Inventory(ALSI), Gas Infrastructure Europeのデータをもとに作成。なお、利用可能なデータは2012年1月以降のものであるため、グラフ中の過去10年平均及び過去10年平均幅の値については、5年未満の値が含まれる。
天然ガス・LNGプロジェクト動向
ハイライト
- 北半球の冬季が近付くなか、世界LNG市場では、ナイジェリア、マレーシアで供給面の問題が発生している。短期的なLNG供給増としては、モザンビークの浮体式LNG液化設備からの新規LNG生産、米国LNGプロジェクト1件で見込まれている輸出再開が期待される。北米とカタールではLNG生産容量を増加するプロジェクト開発活動が続いている。
アジア・オセアニア地域
- 国際協力銀行(JBIC)は2022年10月6日、JERAとの間でLNG調達のための融資金額1300億円の貸付契約を締結したことを発表した。民間金融機関との協調融資により実施する。
- パキスタン Pakistan LNG Limitedが2022年10月3日に公表した入札結果によると、2023年から2028年に月1カーゴ、合計72カーゴの調達入札に応札はなかった。
- シンガポール Sembcorp は2022年10月11日、TotalEnergies との間で2025年から5年間のLNG供給に関して契約を締結したことを明らかにした。
- マレーシア PETRONAS は2022年10月8日、MLNG Dua 向けガス供給に関して、9月21日に起きたサバ・サラワクガスパイプライン近くで起きた地滑りにより生じたパイプライン漏洩により、フォースマジュールを宣言したことを発表した。PETRONASによればMLNG Dua 生産設備へのガス供給のみに影響するもので、PETRONAS LNG Complexの他生産設備は計画通り操業を続けている。
- PETRONAS は2022年10月13日、TotalEnergies EP Malaysia (TE)、 PETRONAS Carigali Sdn Bhd (PCSB)、 Sabah Shell Petroleum Company Limited (SSPC)、 Shell Sabah Selatan Sdn Bhd (SSS)とサバ州沖超大水深2K鉱区に関して、生産物分与契約(PSC)を締結したことを発表した。TEはオペレーターとして34.9%、PCSB 40%、残り25.1%をSSPC・SSS間で均等割りに持つ。
- 東京ガスは2022年10月7日、豪州子会社 Tokyo Gas Australia Pty Ltdの子会社5社(Darwin LNG を除く4件のLNGプロジェクト)を米国 EIG Global Energy Partners, LLC子会社 MidOcean Energy Holdings Pty Ltdに譲渡する契約の締結を発表した。
- Chevron Corporation は2022年9月29日、Chevron U.S.A. Inc.が、自社初のオフセットペアリングされたLNGカーゴを引き渡したことを発表した。豪 Gorgon プロジェクトから台湾CPCに引き渡されたこのカーゴのGHG排出は、カンボジア、インドネシア、ネパールの高品質の自然に基づくプロジェクト、またエネルギー効率オフセットにより完全に相殺されるとしている。
- 豪州連邦政府は2022年9月29日、東部LNG輸出3社と、国内市場へのガス供給不足を回避し競争力ある価格のガスを確保する新基本協定(HoA)を締結したことを発表した。連邦競争・消費者委員会(ACCC)は、2023年国内市場56PJ(LNG102.9万トン)のガス不足を予測したが、今回の発表で、LNG輸出者からの新たなコミットメントにより2023年の国内市場に157 PJ(288.4万トン)が追加供給されるとしている。HoAには、LNG輸出者が、輸出前に未契約数量を合理的な通知期間を置いて競争力ある条件で国内市場に示すこと、また未契約数量について国内ガス買主が海外買主よりも高く支払わないという原則を含む。
- 豪 Santos は2022年9月27日、パプアニューギニア Kumul Petroleum より、 PNG LNG プロジェクト5%持分の買い取りに関して、拘束力のあるファーを受けたことを発表した。
北米地域
- Cheniere Energy, Inc は2022年10月19日、国連環境計画(UNEP)管轄下の石油・ガスメタン排出報告・削減の取り組みである OGMP 2.0 に参加したことを発表した。
- Kinder Morgan, Inc.は2022年9月27日、Elba Liquefaction Company, L.L.C. (ELC)における25.5%出資参加権を未詳の金融買主に5.65億米ドルで売却し、2022年7月1日付での発効期日における譲渡価格調整を織り込み無条件で譲渡が完了したことを発表した。KMIとこの買主が各25.5%、Blackstone Credit が49%を持つことになる。 Elba 液化設備はELCが所有しており、ELCはこのLNGを Southern LNG Company, L.L.C. (SLNG)に輸出用に引き渡す。KMIはSLNGの100%を所有しており、SLNGは Elba Island LNG 基地を所有している。同設備は、液化容量100%を予約しており、Shell LNG NA, L.L.C. との20年契約を裏付けとしている。
- Venture Global LNGとEnBW は2022年10月6日、LNG取引関係を年間200万トンに拡張することを発表した。2022年6月に締結した20年間のSPAに基づき、EnBW は Venture Global の PlaqueminesとCP2 LNG からのLNG引き取り量を年間50万トン増加したこととなる。
- Sempra Infrastructure は2022年10月20日、Port Arthur LNG とエンジニアリング企業 Bechtel Energy が第1段階液化プロジェクトのEPC契約を修正合意したことを発表した。発表によると、修正契約で価格は105億米ドルに改訂された。
- Sembcorp Marine は2022年10月20日、子会社 Sembcorp Marine Rigs & Floaters Pte Ltd が、米 New Fortress Energyの円筒型掘削船舶2隻をFLNG設備に転換に関する包括契約を締結したことを発表した。1件目の FLNG 液化設備への船殻改造・上部構造の組み立ては、2024年上半期の引き渡しを予定している。
- Siemens Energy は2022年10月20日、Northeast Energy Center (NEC)とChart Energy & Chemicals から、NECがマサチューセッツ州チャールトンで建設中の小規模LNG生産設備向けにガス・電気ハイブリッドの動力装置を供給することが決定したと発表した。この種のシステムを導入する世界初のLNG設備となる。
欧州および周辺地域
- 欧州委員会は2022年10月11日、EU合併規制に基づき、ドイツ German LNG Terminal GmbH (GLNG)について、ドイツKfW、オランダ Nederlandse Gasunie による共同管理取得を承認したことを発表した。 GLNGは、 Brunsbüttel でLNG気化基地を建設・所有・操業することとなり、2026年稼働開始を見込む。
- ドイツ・ルブミン港でFSRU型基地を開発する Deutsche ReGas は2022年9月27日、第1期の容量割当のための拘束力あるオープンシーズンを10月10日に開始することを発表した。さらに1隻FSRUを追加する第2期についても同日からオープンシーズンを開始し、2023年12月から容量が利用可能となる。
- Tree Energy Solutions (TES)は、2022年10月5日、Fortescue Future Industries (FFI)と、大規模グリーン水素統合型プロジェクトを開発することに合意したことを発表した。第1段階は、グリーン水素年間300,000トン供給を開発・投資するものである。両社はFFIがTESの戦略株主となるべく3000万ユーロを出資し、ドイツのヴィルヘルムスハーフェンでのTES輸入基地建設における大株主として1億ユーロを投資する諸条件に合意した。同基地へのグリーン水素引き渡し開始は、2026年に期待される。FFIはTESへの戦略投資家として、E.ON、HSBC、UniCredit、Zodiac Maritime に続くこととなる。
- ENIは2022年10月11日、冬季を控え、リグリアの Panigaglia (La Spezia)気化基地への追加的LNG数量の引き渡しを開始したことを発表した。最初のカーゴはアンゴラからの供給で、スペインの基地で小規模船に再積み込みされて、9日にイタリアの基地に引き渡された。
- Enagás によると2022年8月以降の工業用ガス需要の減少と高い在庫水準により、受入余地が殆どなく、11月第1週まで自社LNGシステムで扱うカーゴ数を制限する可能性がある。
- フィンランド Hamina LNG Oyは2022年10月6日、 Hamina LNG 受入基地がコミッショニングを完了し、操業を開始したことを発表した。同基地はフィンランド発の受入基地で30,000 m3 の貯蔵容量を有する。
- Höegh LNG Holdings Ltd. は2022年10月5日、リトアニア AB Klaipėdos Nafta が Höegh LNG に対し、FSRU Independence を買い取るオプション権を行使すると通知したことを発表した。所有権の移転は2024年12月となる予定。
- ブルガリア Bulgargaz は2022年10月10日、入札により11月分の十分なLNGを確保したと発表した。ギリシャ Revitusa 受入基地に気化・貯蔵枠を確保したMytilineos SAとDEPA Commercial SAという2社が選ばれた。
- 商船三井は2022年10月5日、60%出資する子会社を通じてSakhalin 2 プロジェクトの旧運営会社 Sakhalin Energy Investment Company Limited とのLNG船 Grand Mereya に関する長期傭船契約を解約し、新運営会社 Sakhalin Energy LLC と長期傭船契約を締結したことを発表した。これにより従来通りLNG輸送サービスを継続する。
その他地域
- QatarEnergy は10月23日、 Shell を合計年間1,600万トン容量の2メガトレインで構成されるNFS拡張プロジェクトの2社目の国際パートナーとして選定したことを発表した。QatarEnergyは75%を有し、国際パートナーに配分される25%のうち、Shellは9.375%を持つこととなる。
(注: SPA: LNG売買契約、FID: 最終投資決定、HOA: 基本合意、FSRU: 浮体貯蔵・気化設備、CCS: 炭素回収・貯蔵、EPC: エンジニアリング・調達・建設)
作成協力 一般財団法人日本エネルギー経済研究所
添付ファイル
- 日本のLNG在庫量(18.8KB) (2022/10/27更新)
- 米国天然ガス地下貯蔵量(52.7KB) (2022/10/27更新)
- 欧州天然ガス地下貯蔵量(365.4KB) (2022/10/27更新)
- 欧州LNG在庫量(212.7KB) (2022/10/27更新)