2023年7月

天然ガス・LNG価格動向

直近の値動き

アジア

  • 北東アジアのアセスメントされたスポットLNG価格JKMは、7月3日に欧州ガス価格の上昇を受け100万Btu当たり12米ドル後半まで上昇したが、堅調な在庫と弱い需要のためその後11米ドル台で推移し、7月13日には11米ドルを割った。熱波の到来によりJKMは7月14日に11米ドル台まで上げたが、その後10米ドル台で推移した。アジア・太平洋地域でLNG輸出設備が定修に入るなかJKMは再び11米ドルまで上昇し、月末にかけて同水準で推移している。
  • JOGMECは6月の日本着スポットLNG月次価格(速報)について、同月以降に契約がなされて日本に入着するスポットLNG取引の平均価格(契約ベース)を、非公表とした。また、同月中に日本に入着したスポットLNG取引の平均価格(入着ベース)を非公表とした。
  • 財務省貿易統計速報に基づくと、2023年6月の日本平均LNG輸入価格は100 万Btu当たり12.05米ドル、円建てでは円安の影響もあって1トン当たり87,048円となり、いずれも前月より下がった。供給地域別では、米国産は9.28米ドル、ASEAN地域産が12.09米ドル、中東産が12.65米ドル、ロシア産が11.61米ドルであった。また、6月の北東アジア各国の平均輸入価格は、中国10.75米ドル、韓国13.25米ドル、台湾10.08米ドルであった。全日本平均原油輸入CIF価格(JCC: Japan crude cocktail)は2023年6月には1バレル当たり81.99米ドルとなった。円建てでは1キロリットル当たり71,828円となった。原油価格リンクの長期契約が8割を占める日本平均LNG輸入価格は、引き続き足元の原油価格及び最近の軟調なスポットLNG価格の影響を受けることが想定される。
  • 6月の日本のLNG輸入量は、453万トンと前年同月比で22%減少、上半期のLNG輸入量合計は3,262万トンと前年同期比で13%減少した。中国の6月のLNG輸入量は596万トンと前年同月比で26%増加した。中国の上半期のLNG輸入量合計は、3,344万トンと前年同期比で7%増加し、日本を上回った。日本の月間LNG輸入量は前年同月比では5か月連続の減少となった一方、中国は5か月連続で増加した。韓国は294万トンと前年同月比で17%増加、台湾は151万トンと前年同月比3%減少となった。これら4市場合計のLNG輸入量は、6月までの累計で9,906万トンと前年同期比2%減少となった。

米国

  • 米国スポットガス価格HHは、7月3日の2.7米ドルから7月7日の2.6米ドルまで連続して下落した。夏季冷房用需要が生じているもののガス生産及びガス在庫は堅調であり、その後HHは、僅かな値動きをしつつ2米ドル後半で推移し、月末にかけても同水準で推移している。
  • 米国エネルギー情報局(EIA)は、7月11日発表の短期エネルギー見通しにおいて、ヘンリーハブ・スポット価格は今後数カ月で上昇すると予想している。天然ガス生産量の減少により、現在過去5年平均値を上回っている天然ガス在庫が縮小するためであり、ヘンリーハブ価格は2023年上半期の平均2.40米ドルから2023年下半期に平均2.80ドルに上昇する。

欧州

  • 欧州ガススポット価格TTFは、ノルウェーのガス田の定修完了の見通しがついたこと等により、7月7日には10.7米ドルまで下落した。翌週にはノルウェー・ニーハムナガス処理施設の稼働再開の見通しが報じられ、TTFは7月10日の9.7米ドルから7月14日の8.6米ドルまで下落した。欧州での気温の高まりとともに、TTFは7月18日に8.9米ドルに上昇し、更に7月20日には仏原子力発電所において河川高温と定修計画による出力低下が懸念され9.2米ドルに上昇した。熱波によるガス火力燃料需要が増加するなかTTFは7月25日には、10.7米ドルを付けたが、翌日には下げ、7月27日には熱波の緩和もあり、9.3米ドルまで下落した。

天然ガス・LNG価格推移(直近2年)

中長期の値動き

  • JKMは、2020年1月以降、供給拡大と需要増加ペースの失速により下落基調となり、2020年4月末には史上最安値の1.83米ドルを記録した。5月以降2米ドル台が続いたが、8月に入り複数の生産設備での供給障害により上昇基調に転じ、12月には10米ドル台を超え、2021年1月には寒波の影響で需要が急増したことにより、32.5米ドルの史上最高値を付けた。その後、価格は急落して2月下旬にかけて5米ドル台まで下落、3月に入り上昇基調に転じて以降は、高値で推移する欧州ガス市場にも牽引され、10月に一時56米ドルまで上昇し、11月は30米ドル半ば、12月には40米ドルに達した。2022年1月と2月は20米ドル台で推移し、3月にはロシア産パイプラインガス供給中断の懸念に伴って一時急騰し80米ドルを上回ったが、その後30米ドル台で推移した。4月以降取引は低調であり、JKMは36米ドルから22米ドルまで減少し、5月から6月前半にかけて20米ドル前半で推移した。しかし6月後半以降天然ガス・LNGの供給不安の高まりを背景に40米ドルに到達、7月も同様の水準で推移し、8月には概ね50米ドルで推移しつつ、一時、60米ドル、70米ドルを超える状況となった。9月、JKMはTTFの下落に伴い下落傾向を示し30米ドル後半まで下落し、10月~11月にかけて概ね20米ドル後半で推移した。12月には市場は年末商戦で活況となり30米ドル台で推移した。2023年1月、取引が再開するも低調であり、20米ドル付近から下落基調にあり、5月は9米ドル台まで落ち込んだ。2023年6月、JKMは欧州ガス価格の影響等を受け12米ドル付近で推移したが、7月には高在庫と低需要を背景に若干軟化し11米ドル付近で推移している。
  • 日本平均LNG輸入価格は、2020年3月以降の原油価格急落の影響により、8月から10月にかけて2005年1月以来の低水準となる5米ドル台まで下落、その後原油価格上昇に伴い、12月には7米ドル台に上昇した。堅調な原油価格の値動きに応じて、2021年2月には9米ドル半ばまで上昇後、3月は7米ドル半ばまで下落した。その後は、2022年6月までの日本平均原油価格の上昇に伴って、続く18カ月間は概ね一貫して上昇し、2022年9月には過去最高の22.73米ドルを記録した。その後、原油価格の2022年7月以降の下落傾向も一因として、2023年6月に12.05米ドルに下落している。

天然ガス・LNG価格推移(直近10年)

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(出典)
米国HH(Henry Hub)価格: NYMEX Futures and Options, CME Group
蘭TTF(Title Transfer Facility)価格:ICE Endex, Intercontinental Exchange
JKM: LNG Japan/Korea Marker© 2023 by S&P Global Platts, a division of S&P Global Inc.
JOGMECスポットLNG価格:JOGMEC「日本着スポットLNG月次価格」、2021年3月までは経済産業省「スポットLNG価格調査」を出典とする
日本平均LNG輸入価格: 財務省貿易統計をもとに作成
EUA(EU ETS): ICE Endex, Intercontinental Exchange

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天然ガス・LNG在庫動向

日本

  • 2023年3月末の国内LNG在庫量は547万トンで、前月比1.8%、9.5万トンの増加、前年同月比では45.6%増加し、過去5年平均値を121.0万トン上回った。
  • 3月末のガス事業用LNG在庫量は265万トンで、前月比6.4%増、前年同月比では69.0%増となった。3月の都市ガス用LNG消費量は前年同月比13.3%減の256万トン、都市ガス用LNG受入量は前年同月比9.2%減の270万トンだった。
  • 3月末の発電燃料用LNG在庫量は282万トンで前月比2.2%減、前年同月比28.9%の増加となった。3月の発電燃料用LNG消費量は、前年同月比で13.8%減の299万トン、発電燃料用LNG受入量は、前年同月比で22.5%減の332万トンであった。
  • 2023年7月26日に経済産業省が発表した「発電用LNGの在庫状況」によると、大手電力事業者の7月23日時点のLNG在庫は198万トンであった。2022年7月末比では30万トン、過去5年間の7月末平均を10万トン下回っている。

国内LNG月末在庫量(直近2年)

国内LNG月末在庫(直近10年)

(出典)
経済産業省「ガス事業主生産動態統計」及び「電力調査統計・火力発電燃料実績」をもとに作成したもので、これら月末在庫を合算した値を国内在庫としてみなしたもの。なお、利用可能なデータは2008年1月以降のものであるため、過去5年平均は2013年1月分から計算している。


米国

  • 2023年7月14日の米国天然ガス地下貯蔵有効稼働ガス在庫(ワーキングガス)は、米国エネルギー情報局(EIA)のデータによると、2.97Tcfで前月比8.9%増となった。在庫量は2022年の同時期と比較すると23.7%高く、過去5年平均値を373.2Bcf上回っており、2020年11月以降は過去5年のレンジに入っている。

米国天然ガス地下貯蔵量(直近2年)

米国天然ガス地下貯蔵量(直近10年)

(出典)
米国エネルギー情報局(U.S. Energy Information Administration, EIA)のデータをもとに作成


欧州

  • 2023年7月24日現在のAggregated Gas Storage Inventory(AGSI+)加盟各社中、EU加盟国各社が有する欧州天然ガス地下貯蔵在庫は948.2TWh(LNG換算6,273万トン相当)であった。これは前年同期より27.9%、206.9TWh (LNG換算1,369万トン相当)上回るものだった。貯蔵容量に対する充填率は84.0%であり、前年同期の66.7%、過去5年間平均値の68.8%を上回った。貯蔵容量の大きなドイツ、オランダの充填率はそれぞれ86.0%、86.7%であった。

欧州天然ガス地下貯蔵量(直近2年)

欧州天然ガス地下貯蔵量(直近10年)

(出典)
Aggregated Gas Storage Inventory(AGSI), Gas Infrastructure Europeのデータをもとに作成。なお、利用可能なデータは2011年1月以降のものであるため、過去5年平均は2016年1月分から計算している。

 

  • 2023年7月24日現在のAggregated LNG Storage Inventory(ALSI)加盟各社(11か国、18社)が有する欧州LNG在庫量は430.4万m3で、前月比6.5%増加、前年同日比7.4%減少、過去5年平均値を3.7%下回っている。

欧州LNG在庫量(直近2年)

欧州LNG在庫量(直近10年)

(出典)
Aggregated LNG Storage Inventory(ALSI), Gas Infrastructure Europeのデータをもとに作成。なお、利用可能なデータは2012年1月以降のものであるため、グラフ中の過去10年平均及び過去10年平均幅の値については、5年未満の値が含まれる。


天然ガス・LNGプロジェクト動向

ハイライト

  • 2023年7月は下期で初となる容量年間1,760万トンの大型LNGプロジェクトへのFIDが発表された。
  • 2023年上期の世界のLNG海上輸送貿易量は2億トンを超えた(前年同期比2%増)。LNG輸出国は前年同期同様に米国、豪州、カタールの順で上期輸出量は拮抗し、4番手のロシアが前年同期比で9%減少した。

 

アジア・オセアニア地域

  • Pakistan LNG 社は2023年6月20日、自社の調達入札に応じた社がなく、10 - 12月分のカーゴ確保がならなかったことを明らかにした。7月14日に結果を公表した2024年1月と2月分については、Trafigura 社が唯一の応札企業で、2024年1月3 - 4日、100万Btu当たり23.4711米ドル、2024年2月23 - 24日22.4722米ドルで引き渡しをオファーした。2024年1月28 - 29日のオファーはなかった。
  • Tamboran Resources 社は2023年6月23日、BP Singapore社、Shell Eastern Trading社と、Middle ArmでのNTLNGプロジェクトからのLNG購入可能性につき、2本の拘束力のないMOUを締結したことを発表した。この両MOUは、bpとShell各々、20年間、年間最大220万トンのLNG購入が含まれる。
  • Vitol は2023年6月29日、Vitol Asia Pte Ltd と Merakes LNG SellersがSPAを締結したことを発表した。このSPAはMerakes LNG Sellersが、2023年2月に実施した公開入札プロセスの結実となる。VitolへのLNG供給は2024年に開始され、FOB条件で3年にわたり年間約55万トン、期間は1年延長される可能性がある。このLNGはインドネシアのMerakes ガス田からBontang LNG設備で生産する。
  • ベトナムガス公社 PV GASは2023年7月10日、Thị Vải LNG 輸入基地にて、最初のカーゴを Shell から受け入れたことを発表した。
  • AES Vietnam社は2023年7月12日、Son Mỹ LNG 基地プロジェクトに関してビントゥアン省人民委員会より、投資政策承認を受けたことを発表した。設備容量は450 TBtu (872万トン)で、2027年に商業運転を開始する予定。
  • KOGASとJERAは2023年7月18日、メタン排出削減に向けたイニシアティブである『Coalition for LNG Emission Abatement toward Net-zero(「CLEAN」)』を立ち上げた。CLEANは、LNG購入者がLNG生産事業者とともにLNGバリューチェーンにおけるメタン排出削減に取り組むイニシアティブで、JOGMECの支援のもと、LNG生産者との対話を通じてメタン排出量の可視性を高めるとともに、メタン排出削減に向けたベストプラクティスの展開および発信に向けた取り組みを進める。
  • 東京ガスは2023年7月21日、千葉県袖ケ浦市のLNG火力発電所の事業化の投資決定を発表した。水素混焼が可能な最新鋭の高効率ガスタービンコンバインドサイクル発電195万kWを導入し、2029年度より順次運転開始を予定。

 

北米地域

  • Cheniere Energyは2023年6月21日、Cheniere Marketings社が Equinor とSPAを締結したことを発表した。 Equinor は、ヘンリーハブ価格連動の購入価格プラス固定液化料金で年間175万トンのLNGをFOB条件で購入する。数量の半分の引き渡しは2027年に開始される。残りの半分の引き渡しは、Sabine Pass Expansion プロジェクト(SPL拡張プロジェクト)第1系列の最終投資決定(FID)が条件となり、2020年代の終わりに開始される。SPA期間は、年間175万トンのLNGの引き渡し開始から15年間である。
  • Venture Global LNGとドイツSEFE(Securing Energy for Europe GmbH) 社は2023年6月22日、SPA締結を発表した。SEFE子会社 WINGAS GmbH は Venture GlobalのCP2 LNGプロジェクトから、20年間にわたり年間225万トンのLNGを購入する。
  • Cheniere Energy は2023年6月26日、Cheniere Marketings社がENN Natural Gas子会社 ENN LNG (Singapore) とSPAを締結したこと発表した。ENNは、ヘンリーハブ価格指標連動価格プラス固定液化料金で Cheniere Marketing 社から年間180万トンのLNGを、FOB条件で購入する。引き渡しは2026年半ばに開始され、2027年に年間90万トンに増加する。
  • 米連邦エネルギー省は2023年6月26日、Gulfstream LNG社に対してルイジアナ州で計画する中規模の新規液化設備からFTA諸国へのLNG輸出長期ライセンスを承認した。
  • Berkshire Hathaway Energyは2023年7月10日、Dominion Energy のCove Point LNG, LP事業の50%のリミテッドパートナーシップ株式を購入する契約を締結したことを発表した。
  • CentricaとDelfin Midstreamは2023年7月11日、後者のルイジアナ州沖 Delfin Deepwater Port からFOB条件で15年間にわたり年間100万トンのLNGを引き取るSPAを発表した。
  • NextDecadeは2023年7月12日、Rio Grande LNG (RGLNG)輸出設備フェーズ1(最初の3液化系列)のFIDを発表した。
  • Energy Transferは2023年7月12日、Lake Charles LNG プロジェクトから総計年間360万トン分のLNG引き取りに関する3件の非拘束HOA締結を発表した。この内1本は日本企業コンソーシアムが20年間にわたり年間160万トンを購入するもので、同量のLNGを引き取る権利につながる出資参加オプション権対象となる。
  • カナダ Ksi Lisims LNG は2023年7月13日、ブリティッシュコロンビア州環境影響評価部(BCEAO)より手続き通知を受領し、環境影響評価証明書公式申請に進むことが可能となったと発表した。
  • メキシコ Mexico Pacific は2023年7月5日、中国Zhejiang Energy International との間でSaguaro Energía LNG 輸出設備から20年間にわたり年間100万トンのLNGをFOB条件で引き渡すSPAを締結したことを発表した。
  • メキシコ Mexico Pacificは2023年7月18日、メキシコ電力公社CFEとの間でSaguaro Energía LNG 輸出プロジェクト建設への協力関係強化を発表した。この20年契約に基づき、CFEは Mexico Pacific 向けにPermian盆地から米国内は Mexico Pacific パイプライン、メキシコ内はCFEパイプラインにより天然ガスを供給する。またMexico Pacific 社は7月20日、メキシコのソノラ州政府との間でSaguaro Energia プロジェクトを支援する協力協定を締結した。

 

欧州および周辺地域

  • ドイツ Deutsche ReGas は2023年6月21日、ドイツ・ムクランで計画されるLNG基地の FSRU TRANSGAS POWER に関する契約をドイツ政府と締結したと発表した。
  • ルーマニアOMV Petrom と Romgazは2023年6月21日、黒海にある年間8 bcmの Neptun Deep ガスプロジェクトのFIDを行ったと発表した。両社は最大40億ユーロを投資し、2027年にガス生産開始を予定している。
  • オランダ政府は2023年6月23日、Groningen ガス田からのガス採取を2023年10月1日付で停止すると発表した。内閣は2018年以来ガス採取の段階的廃止に取り組んでいる。
  • Eniは2023年6月23日、Vår Energi 社とともに西欧、北アフリカ、インドネシア、豪州でガス関連資産と事業ポートフォリオを持つ大手独立系探鉱・生産企業のNeptune Energy 社を買収することで合意に達したことを発表した。
  • Enagásは2023年7月1日、スペインのヒホン El Musel LNG基地において最初の船舶を受け入れたことを発表し、7月11日にはEndesa が同基地でのロジスティックスサービスを獲得したことを発表した。
  • Fluxys Belgiumは2023年7月13日、2023年10月から単一指標ZTPをベルギーの基準価格に使用すると発表した。既存のガス取引サービス「ZTPノーショナル」と「ZTPフィジカル」を統合する決定であり、卸売市場のダイナミクスの変化を反映し、簡素化、流動性増加を目指す。
  • 欧州委員会は2023年7月18日、EUと日本がグローバルLNG市場に関するエネルギー対話協力強化に合意したことを発表した。世界の供給セキュリティ、市場透明性、LNG供給チェーンでのメタン排出削減の3本柱に焦点を置き、戦略的エネルギーパートナーシップを強化する。

 

その他地域

  • QatarEnergy は2023年6月20日、CNPCとの間で、中国へのLNG長期供給と North Field East LNG拡張プロジェクト(NFE)でのパートナーシップ契約を締結したと発表した。両社は、NFEプロジェクトからCNPCの複数の受入基地に、業界最長となる27年間にわたり年間400万トンのLNGを引き渡すSPAを締結した。またQatarEnergy が年間800万トンの容量を持つNFE 1 系列の5%相当持分をCNPCに譲渡する株式売買契約を締結した。
  • カタールエネルギー相でQatarEnergy CEO は2023年7月12日、「当社の全プロジェクトが稼働する2029年までに市場に供給されるLNGの40%が QatarEnergy からとなる」と述べた。また同氏はよりクリーンなエネルギーを世界に供給する自社の取り組みについて「カタールはMENA地域で最大の隔離サイトを持ち、現在年間200万トン以上のCO2を隔離している。数年後に年間1100万トンに達する。新規LNG生産の一部に電力を供給するため太陽光発電を使用する。カタールのLNG炭素原単位は恐らく世界で最も低い」と説明した。
  • オマーン国営報道機関は2023年6月20日、OQ Trading社(OQT)がバングラデシュ Petrobangla 社とSPAを締結したと報じた。OQTは2018年5月に締結した当初SPAの契約分年間100万トンに加え、年間25 - 150万トンを自社グローバルポートフォリオより引き渡す。今回のSPAは2035年まで続く予定。
  • TotalEnergiesは2023年7月10日、アルジェリア SONATRACH 社と、同国での天然ガス生産、欧州向けLNG引き渡し、アルジェリアでの再生可能エネルギー開発での関係強化に関わる複数の契約を締結したことを発表した。この中で両社は、 SONATRACH によるLNG年間200万トンの TotalEnergies 向けフランスFos-Cavaou 港向け引き渡しを2024年に延長する。
  • McDermott は2023年7月12日、Qatargas Operating 社からNorth Field ガス田生産サステナビリティ (NFPS)海底燃料ガスパイプライン・海底ケーブルプロジェクト COMP1 EPCI業務を請け負う大型契約を受注したことを発表した。

 

(注: bcm: 10億m3、CCS: 炭素回収・貯蔵、DES: 持ち届け ex-ship、EPC: エンジニアリング・調達・建設、EPCI: エンジニアリング・調達・建設・設置、FEED: 基本設計、FID: 最終投資決定、FLNG: 浮体液化設備、FOB: 本船渡し、FSRU: 浮体貯蔵・気化設備、FSU: 浮体貯蔵化設備、HOA: 基本合意、MOU: 覚書、SPA: LNG売買契約)

 

 

作成協力 一般財団法人日本エネルギー経済研究所

 

添付ファイル