2023年12月

天然ガス・LNG価格動向

直近の値動き

アジア

  • 北東アジアのアセスメントされたスポットLNG価格JKMは、潤沢な供給と需要低迷を受け、12月1日の100万Btu当たり15米ドル後半から12月26日には11米ドル台まで下げている。スポット価格の低下は中国バイヤーなどの購買意欲を一時掻き立てた。
  • JOGMECは11月の日本着スポットLNG月次価格(速報)について、同月以降に契約がなされて日本に入着するスポットLNG取引の平均価格(契約ベース)を非公表とした。また、同月中に日本に入着したスポットLNG取引の平均価格(入着ベース)についても非発表とした。
  • 財務省貿易統計速報に基づくと、2023年11月の日本平均LNG輸入価格は100 万Btu当たり11.89米ドル、円建てでは1トン当たり92,649円となった。米ドル建てでは横ばいだったが、円安深化により円建てでは1.2%上昇となった。供給地域別では、米国産は10.97米ドル、ASEAN地域産が11.17米ドル、中東産が12.81米ドル、ロシア産が11.70米ドルであった。また、11月の北東アジア各国の平均輸入価格は、中国11.96米ドル、韓国12.40米ドル、台湾11.09米ドルであった。全日本平均原油輸入CIF価格(JCC: Japan crude cocktail)は2023年11月には1バレル当たり93.85米ドルとなった。円建てでは1キロリットル当たり88,744円となった。
  • 11月の日本のLNG輸入量は、533万トンと前年同月比で4%減少、1月から11月までのLNG輸入量合計は5,965万トンと前年同期比で10%減少した。なお、中国から5.6万トン(推定1カーゴ)のLNGを輸入しており、中国からの輸入は2か月連続となった。中国の11月のLNG輸入量は680万トンと前年同月比で7%増加した。中国の1月から11月までのLNG輸入量合計は、6,299万トンと前年同期比で11%増加した。11月の韓国のLNG輸入量は373万トンと前年同月比で1%減少、台湾は166万トンと前年同月比4%増加となった。これら4市場合計のLNG輸入量は、11月までの累計で1億8,042万トンと前年同期比2%減少となった。

米国

  • 米国スポットガス価格HHは、12月1日の2.8米ドルから12月26日時点では2.6米ドルまで下落した。ガス生産量は増加しており天然ガス在庫も過去5年平均を上回り底堅く推移している。
  • 米国エネルギー情報局(EIA)は、12月12日発表の短期エネルギー見通しにおいて、ヘンリーハブ・スポット価格を2023年平均で2.56米ドル、2024年平均を2.79米ドルと予想した。EIAはまた、今冬(11月から3月)におけるHHを平均して2.80米ドルと予想したが、11月の短期エネルギー見通しから60セント以上下落したとしている。これは冬の始まりが平均より暖かく、住宅や商業部門での暖房需要が減少したことや高い天然ガス生産量によるものと説明している。

欧州

  • 欧州ガススポット価格TTFは、潤沢な供給と比較的温暖な気候、需要も軟調であり、月初の12米ドル付近から11米ドルまで下げている。天然ガス地下貯蔵からの引き出しも行われているが、12月25日時点で貯蔵率は87%と堅調に推移している。

天然ガス・LNG価格推移(直近2年)

中長期の値動き

  • JKMは、2020年1月以降、供給拡大と需要増加ペースの失速により下落基調となり、2020年4月末には史上最安値の1.83米ドルを記録した。5月以降2米ドル台が続いたが、8月に入り複数の生産設備での供給障害により上昇基調に転じ、12月には10米ドル台を超え、2021年1月には寒波の影響で需要が急増したことにより、32.5米ドルの史上最高値を付けた。その後、価格は急落して2月下旬にかけて5米ドル台まで下落、3月に入り上昇基調に転じて以降は、高値で推移する欧州ガス市場にも牽引され、10月に一時56米ドルまで上昇し、11月は30米ドル半ば、12月には40米ドルに達した。2022年1月と2月は20米ドル台で推移し、3月にはロシア産パイプラインガス供給中断の懸念に伴って一時急騰し80米ドルを上回ったが、その後30米ドル台で推移した。4月以降取引は低調であり、JKMは36米ドルから22米ドルまで減少し、5月から6月前半にかけて20米ドル前半で推移した。しかし6月後半以降天然ガス・LNGの供給不安の高まりを背景に40米ドルに到達、7月も同様の水準で推移し、8月には概ね50米ドルで推移しつつ、一時、60米ドル、70米ドルを超える状況となった。9月、JKMはTTFの下落に伴い下落傾向を示し30米ドル後半まで下落し、10月~11月にかけて概ね20米ドル後半で推移した。12月には市場は年末商戦で活況となり30米ドル台で推移した。2023年1月、取引が再開するも低調であり、20米ドル付近から下落基調にあり、5月は9米ドル台まで落ち込んだ。2023年6月、JKMは欧州ガス価格の影響等を受け12米ドル付近で推移したが、7月には高在庫と低需要を背景に若干軟化し11米ドル付近で推移した。8月には豪州の主要プロジェクトでのストライキ発生の可能性が生じ、価格はやや上昇基調に入り、9月にストライキが実施された後は15米ドルまで上昇した。10月には中東での紛争の勃発等を受け17米ドルまで上昇したが、11月には地政学的リスクがいくらか緩和され概ね14米ドルで推移した。12月には豊富な供給と軟調な需要によりJKMは11米ドルまで下げている。
  • 日本平均LNG輸入価格は、2020年3月以降の原油価格急落の影響により、8月から10月にかけて2005年1月以来の低水準となる5米ドル台まで下落、その後原油価格上昇に伴い、12月には7米ドル台に上昇した。堅調な原油価格の値動きに応じて、2021年2月には9米ドル半ばまで上昇後、3月は7米ドル半ばまで下落した。その後は、2022年6月までの日本平均原油価格の上昇に伴って、続く18カ月間は概ね一貫して上昇し、2022年9月には過去最高の22.73米ドルを記録した。その後、原油価格の2022年7月以降の下落傾向も一因として、2023年5月には12米ドル台まで下落し、8 - 11月は11米ドル台で推移している。

天然ガス・LNG価格推移(直近10年)

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(出典)
米国HH(Henry Hub)価格: NYMEX Futures and Options, CME Group
蘭TTF(Title Transfer Facility)価格:ICE Endex, Intercontinental Exchange
JKM: LNG Japan/Korea Marker© 2023 by S&P Global Platts, a division of S&P Global Inc.
JOGMECスポットLNG価格:JOGMEC「日本着スポットLNG月次価格」、2021年3月までは経済産業省「スポットLNG価格調査」を出典とする
日本平均LNG輸入価格: 財務省貿易統計をもとに作成
EUA(EU ETS): ICE Endex, Intercontinental Exchange

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天然ガス・LNG在庫動向

日本

  • 2023年8月末の国内LNG在庫量は439万トンで、前月比6.7%、31.5万トンの減少、前年同月比では25.6%減少し、過去5年平均値を15.2万トン下回った。
  • 9月末のガス事業用LNG在庫量は240万トンで、前月比10.4%増、前年同月比では6.5%減となった。9月の都市ガス用LNG消費量は前年同月比4.3%減の225万トン、都市ガス用LNG受入量は前年同月比3.1%増の246万トンだった。
  • 8月末の発電燃料用LNG在庫量は222万トンで前月比3.1%減、前年同月比34.0%の減少となった。8月の発電燃料用LNG消費量は、前年同月比で3.4%増の366万トン、発電燃料用LNG受入量は、前年同月比で11.6%減の401万トンであった。
  • 2023年12月20日に経済産業省が発表した「発電用LNGの在庫状況」によると、大手電力事業者の12月17日時点のLNG在庫は265万トンであった。2022年12月末比では12万トン上回り、過去5年間の12月末平均を59万トン上回っている。

国内LNG月末在庫量(直近2年)

国内LNG月末在庫(直近10年)

(出典)
経済産業省「ガス事業主生産動態統計」及び「電力調査統計・火力発電燃料実績」をもとに作成したもので、これら月末在庫を合算した値を国内在庫としてみなしたもの。なお、利用可能なデータは2008年1月以降のものであるため、過去5年平均は2013年1月分から計算している。


米国

  • 2023年12月15日の米国天然ガス地下貯蔵有効稼働ガス在庫(ワーキングガス)は、米国エネルギー情報局(EIA)のデータによると、3.58Tcfで前月比6.5%減となった。在庫量は2022年の同時期と比較すると7.6%高く、過去5年平均値を246.6Bcf上回っており、2020年11月以降は過去5年のレンジに入っている。

米国天然ガス地下貯蔵量(直近2年)

米国天然ガス地下貯蔵量(直近10年)

(出典)
米国エネルギー情報局(U.S. Energy Information Administration, EIA)のデータをもとに作成


欧州

  • 2023年12月23日現在のAggregated Gas Storage Inventory(AGSI+)加盟各社中、EU加盟国各社が有する欧州天然ガス地下貯蔵在庫は992.3TWh(LNG換算6,564万トン相当)であった。これは前年同期より6.9%、64.4TWh(LNG換算426万トン相当)上回るものだった。貯蔵容量に対する充填率は87.1%であり、前年同期の82.9%、過去5年間平均値の75.6%を上回った。貯蔵容量の大きなドイツ、オランダの充填率はそれぞれ90.3%、83.4%であった。

欧州天然ガス地下貯蔵量(直近2年)

欧州天然ガス地下貯蔵量(直近10年)

(出典)
Aggregated Gas Storage Inventory(AGSI), Gas Infrastructure Europeのデータをもとに作成。なお、利用可能なデータは2011年1月以降のものであるため、過去5年平均は2016年1月分から計算している。

 

  • 2023年12月23日現在のAggregated LNG Storage Inventory(ALSI)加盟各社(11か国、18社)が有する欧州LNG在庫量は473.6万m3で、前月比13.8%減少、前年同日比9.3%減少、過去5年平均値を3.3%下回っている。

欧州LNG在庫量(直近2年)

欧州LNG在庫量(直近10年)

(出典)
Aggregated LNG Storage Inventory(ALSI), Gas Infrastructure Europeのデータをもとに作成。なお、利用可能なデータは2012年1月以降のものであるため、グラフ中の過去10年平均及び過去10年平均幅の値については、5年未満の値が含まれる。


天然ガス・LNGプロジェクト動向

ハイライト

  • 11月下旬から12月中旬にかけて世界のLNG市場では合計年間400万トン分程度のLNG長期SPAが発表された。これらにより2023年の世界で締結されたLNG SPA合計数量は年間7,500万トン程度となり、2022年の水準に並んだ。内訳として引き続き米国産LNGの販売が大きな部分を占めるものの、その量は2022年6,000万トン程度から2023年は3,200万トン程度に減った。カタール分は主として出資パートナー向けだが、年間1,700万トン分となっている。

 

アジア・オセアニア地域

  • JERAは2023年11月29日、冬季重負荷期(2023年12月 - 2024年3月)における需給対策を明らかにした。この中で11月24日付で経済産業省より戦略的余剰LNG(SBL)の認定供給確保事業者として通知を受け、2023年12月から2024年2月にかけて月1カーゴのSBLを確保しており、同省からの要請に応じてSBLを供給していくことを明らかにした。
  • 関西電力とHartree Partners LPは2023年12月14日、豪州のカーボンクレジット創出事業の参画に向けた共同検討についての合意とともに、関西電力の100%子会社の関電トレーディングシンガポール社を通してLNGの複数年SPAを締結したことを発表した。
  • INPEXは2023年11月29日、OGMP2.0(The Oil & Gas Methane Partnership 2.0)に加盟したことを発表した。タイPTTEP(PTT Exploration and Production Public Company Limited)の11月16日の発表に続くもの。INPEXは本邦企業として初めてOGMP2.0に加盟した。
  • 日本郵船は2023年12月12日、名村造船所、佐世保重工業とともに蒸気タービン機関搭載のモス型LNG運搬船の主機換装実現に向けて協業しており、日本郵船が2023年10月に日本海事協会より初のLNG運搬船の主機換装に関するAiP(Approval in Principle: 基本設計承認)を取得したことを発表した。3社は蒸気タービン機関LNG運搬船の主機を最新鋭の2元燃料低速ディーゼル機関「X-DFエンジン」への換装を目指すとしている。
  • JERAは2023年12月15日、インドネシアPertamina社との間でLNGおよび水素・アンモニアのバリューチェーン等に関して協業することを定めたMOUを締結したことを発表した。本MOUは同国の燃料バリューチェーン価値向上、そしてLNG及び水素・アンモニアへのインフラ投資機会の創出に向けた情報共有および協議を進めることを定めたものとしている。
  • 千代田化工建設は2023年12月11日、インドネシアDonggi-Senoro LNG向け技術サービス提供に係る契約を受注したことを発表した。
  • INPEXは2023年12月5日、インドネシア共和国アラフラ海Masela鉱区Abadi LNGプロジェクトの現行の開発計画にCCS(Carbon Capture and Storage)を追加する改定開発計画(改定POD)について、同国政府当局より承認文書を受領したことを発表した。同国での生産分与契約(PSC)に基づきCCSが初めてコスト回収の対象となるプロジェクトとなる。
  • インドネシアAKR Corporindo Tbk社は、2023年12月6日、BP GAS & POWER INVESTMENTS LIMITED(bp)と同国東ジャワGresikのジャワ統合工業・港湾地区(JIIPE)にLNG輸入プロジェクトを開発すべく、共同開発契約を締結したことを発表した。同地区における大口ガス消費プロジェクト稼働開始時期に合わせて2027年頃稼働開始見込みとしている。
  • パキスタンPakistan LNGは、2023年11月24日、2024年1月8 - 9日引き渡し分の1カーゴDES購入入札に、オマーンOQ Trading、Vitol、カタールQatarEnergy、 Trafiguraより応札があったことを明らかにした。OQTが最低価格の100万Btu当たり18.46米ドル、Vitolが18.58米ドル、QatarEnergyが19.43米ドル、Trafiguraが19.64米ドルを提示した。
  • 豪州気候変動・エネルギー相と資源相は、2023年11月27日、連邦政府が2030年までの東部市場向けに追加ガス供給最大300PJ(7.5bcm)を確保したことを発表した。豪州ガス生産企業Senex Energy、Australia Pacific LNG(APLNG)プロジェクトと合意された供給の実効性ある2件のコミットメント合計で、東部工業用ガス2年分に相当すると両相は述べた。140PJは2027年よりも前にもたらされる。今回の発表によれば、両社は豪州ガス規範に基づく価格上限に大臣命による適用除外を受け、「両社の投資・開発計画に規制上の確実性をもたらし、追加供給が価格を抑制することに役立つ」とのこと。今回の300 PJは、7月の規範発行以前になされた2027年までの260PJの基本国内供給コミットメントに上乗せされることとなり、政府はこの規範に基づきさらに申請がなされるものと予想している。
  • 豪Origin Energyは2023年11月28日、Curtis Island の APLNG 設備においてLNG輸送船舶の電力供給停止によりカーゴ積み込みを停止したことを豪州證券取引所に通知した。同社は12月1日、当該船舶が出港したことを明らかにした。船主による修繕のために港湾、州海洋安全局、連邦海洋安全局の協力により安全な停錨地に移動された。この間3隻のLNGカーゴが積み込みを行うことができなかった。
  • 豪Santos社と東京ガスは、2023年11月21日、豪州でe-メタンを生産し日本向けに出荷することで協力することを発表した。2030年に年間約6万トンのe-メタンを日本に輸出することを目指すとしている。
  • 東邦ガス、豪Santos社は、2023年12月13日と19日にそれぞれ、豪州での e-メタンの製造と日本への輸出に向けた事業性検討に関する共同スタディ MOU を締結したことを発表した。2030年に年間約3万トンのe-メタンを輸入することを目指すとしている。
  • ENEOSおよびJX石油開発、豪Santos社は、2023年12月15日と18日にそれぞれ、日豪間のCCSバリューチェーン構築に向けた共同検討に関するMOUを締結したことを発表した。
  • 豪Santos社は2023年12月6日、Bayu-Undanガス田の原料ガスから生産された最後のLNGカーゴがノーザンテリトリー(北部準州)Darwin LNG設備から出港したことを明らかにした。
  • 豪Santos社は2023年12月18日、Barossaガス田開発掘削・仕上げに関わる環境計画(EP)が、連邦海洋石油類事業安全・環境規制機関NOPSEMAにより同15日に承認されたことを発表した。
  • 豪Woodside Energy社は2023年12月21日、Pilbara Minerals子会社Pilgangoora Operations Pty Ltdとの間で、Plutoトラック積み込み設備からの国内向けLNG供給についてSPAを締結したことを発表した。供給は2024年第4四半期から5年間となる。供給される平均数量は日量3.4 TJ(テラジュール)(年間23,000トン相当)となる。
  • 豪Woodside Energy社は2023年12月19日、住友商事、JFEスチール、住友大阪セメント、川崎汽船との間で日豪間のCCSバリューチェーン検討のための非拘束MOUを締結したことを発表した。5社は瀬戸内・四国地域からCO2排出を回収・貯蔵・輸送し、豪州の貯蔵地点で注入・貯蔵する事業を検討する。
  • 豪Woodside Energy社は2023年11月22日、ティモールレステ政府がSunrise 合弁事業に対してGreater Sunriseガス田群開発に関するコンセプトスタディ作業開始を許可したと述べた。
  • Greenpeace Australia Pacificは2023年12月14日、Woodside Energy社を豪州連邦裁判所に提訴し、同社が気候変動上の実績や計画に関して偽りを述べていると主張した。
  • 豪Woodside Energy社と豪Santos社は、2023年12月7日、合併可能性を話し合っていることを確認した。

 

北米地域

  • 米Cheniere Energy, Inc.、Cheniere Energy Partners, LP、カナダ ARC Resources Ltd.は2023年11月29日、前者のSabine Pass Liquefaction Stage V, LLC(SPL Stage 5)、後者のARC Resources U.S. Corporationが、長期IPM(統合生産マーケティング)ガス供給契約を締結したことを発表した。ARC ResourcesはSPL Stage 5向けに、Sabine Pass Liquefaction拡張プロジェクト最初の系列(第7系列)商業稼働開始から15年間、日量140,000百万Btuの天然ガスを販売することに合意した。SPL Stage 5は、ARC Resourcesに対して、そのガスにオランダTTF価格に基づくLNG連動価格を、固定気化手数料・固定LNG海上輸送コスト、固定液化手数料を控除して支払うこととなる。今回のIPM契約は第7系列FIDが条件となる。このガス供給に関わるLNG年間85万トン程度はCheniere Marketing International LLPが販売することとなる。今回のIPMはCheniereとARC Resources間の2件目の長期IPM契約となる。Cheniereはまた、Cheniere MarketingがOMV Gas Marketing and Trading GMBHとの間でLNG SPAを締結したことを発表した。Cheniere MarketingはOMV向けに年間最大12カーゴ、年間85万トン程度のLNGをTTF連動価格で2029年末から販売する。このLNGはOMV向けにオランダGate基地DES条件で販売することとなる。SPL拡張プロジェクトは推定されるデボトルネッキング機会を含め、生産容量最大年間2,000万トン程度で開発されている。2023年5月、Cheniere Partnersの一部関係会社が、SPL拡張プロジェクトに関してFERCに連邦環境政策法(NEPA)に基づくプレファイリング(本申請前審査)手続きを開始している。
  • 米Venture Global LNGは2023年11月28日、Calcasieu Pass LNG設備でのユーティリティ関連設備の稼働開始許可をFERCに申請した。本件は、12月12日承認された。
  • bpは2023年12月11日、米Venture Global Calcasieu Pass, LLCを相手取り FERCに苦情を申し立てた。Venture Global社がCalcasieu Pass LNG 設備からのLNG引き渡しに関して契約違反、LNG設備に関するFERC透明性規則に違反、「LNG供給者に対する信頼性を揺るがしている」と非難した。
  • 米Venture Globalは2023年12月12日、Calcasieu Passの残余作業進展状況に関して、顧客・規制機関に関して完全に透明性を有していると述べた。
  • INPEXは2023年12月7日、JERAは同8日、FERCに書簡で米Venture Global社のルイジアナ州CP2 LNGプロジェクト承認を急ぐことを求めた。ドイツSEFE (Securing Energy for Europe GmbH)は同11日、FERCに同様の要請を行った。
  • ExxonMobilは2023年12月6日、自社LNG供給は2027年までに年間2,700万トンまで増加することを見込んでいると述べた。Golden Pass設備第1系列は2024年末までに機械工事完成、2025年上半期LNG出荷開始を見込んでいるとのこと。
  • Magnolia LNGは2023年12月5日、DOEに非FTA諸国向けの輸出許可承認を求める申請手続きを開始し、従来の輸出許可の5年間の延長申請を取り下げた。
  • Delfin Midstream社とGunvor Group社は2023年11月27日、Gunvor Singapore 社がDelfin LNGとSPAを締結したことを発表した。Delfin LNGは年間50 - 100万トンのLNGをGunvor向けにFOB条件で、ルイジアナ州沖40海里(74 km)にて15年間以上引き渡すものとなる。DelfinはDelfin LNG Deepwater Portプロジェクトを開発しており、総容量年間1,330万トン、合計4隻のFLNG船舶を組み込むものである。同社は最初の3隻のFLNG船舶分についてLNG販売・液化業務についてコマーシャル面の契約を確保しており、FIDに向けた最終段階にある。Delfin LNGはMARADから前向きな決定を受けており、DOEより米国と自由貿易を持たない諸国への長期LNG輸出許可を受けている。
  • Glenfarne Energy Transition社は2023年12月8日、子会社Texas LNGがABBとTexas LNG設備の中核自動化・電子機器に関する協力のMOUを締結したことを発表した。Texas LNGとABB は、後者が同プロジェクトに投資する枠組に関しても合意した。
  • Commonwealth LNG社は2023年11月28日、Carbonvert Inc.とCastex Carbon Solutions, LLCとの間の合弁事業OnStream CO2 LLCとの間で、Commonwealth のルイジアナ州キャメロン郡で開発中の年間930万トンLNG設備におけるCCS対応設備に向けたMOUを締結したことを発表した。OnStream CO2は Commonwealth LNG 近くのCO2回収設備の設計・建設・所有・操業を担当する。回収されたCO2は、キャメロン郡CO2ハブに恒久的に貯留される。 Commonwealthは自社LNG設備から排出されるCO2を20年間向けることとなる。 Carbonvert-Castex合弁事業は最近、キャメロン郡沖合の容量2.50億トン以上のCO2を恒久貯蔵する24,000エーカー(97 km2)区画の開発に関して、ルイジアナ州との間での操業協定を発表した。Commonwealth LNGは2024年上半期にFIDを見込んでいる。
  • 東京ガスは2023年12月16日、子会社の東京ガスアメリカ社が出資するTGナチュラル・リソーシズ社(TGNR)を通じて、Quantum Energy Partners社傘下の米国テキサス州およびルイジアナ州における天然ガス開発・生産事業会社Rockcliff Energy II LLC(RC)社の全株式を取得することを決定したことを発表した。TGNR社が保有する天然ガスおよび天然ガス液(NGL)生産量は、天然ガス換算日量0.33 bcf(930万m3)から約4倍の約1.3 bcf(3,700万m3、年間987万トン)相当となる。
  • ExxonMobilは2023年11月29日、 OGMP 2.0に参加することを決めたことを明らかにした。
  • カナダPembina Pipeline社は2023年12月11日、Cedar LNGプロジェクトのFID は2024年第1四半期末までに見込まれていると述べた。
  • New Fortress Energy社は2023年12月1日、メキシコ・アルタミラのFast LNG 1 機器について最初のガス生産を実現したことを発表した。
  • 米DOEは2023年12月12日、NFE Altamira FLNG社による既存越境パイプラインにより天然ガスを最大年間158 bcf輸出し、この内13 Bcfを液化処理燃料および前処理段階ロスとして消費し、残り145Bcf(年間300万トン)をメキシコ・アルタミラのNFE Altamira FLNG設備で輸出用に液化することとする審査中の申請に関連して、米連邦環境政策法(NEPA)に基づく最終環境影響評価書(EA)を発行した。
  • 豪Woodside Energy社は2023年12月6日、メキシコMexico Pacific社との間で年間130万トン、18カーゴ相当のLNGを20年間購入するSPAを締結したことを発表した。Woodsideはメキシコのソノラ州プエルトリベルタッドのSaguaro Energía LNG プロジェクトからFOB条件、米国ガス指標連動価格で購入する。本SPAはMexico Pacific社が同プロジェクト第3系列にFIDを行うことが条件となる。FIDは2024年前半見込み、商業稼働は2029年開始目標となっている。

 

欧州および周辺地域

  • オランダGasunieは2023年12月1日、VopakがEemsEnergy Terminal B.V.の50%株主となったことを発表した。エームスエナジーターミナルはエームスハーフェンに所在するLNG基地である。
  • オランダの貯蔵・脱炭素関連のインフラストラクチャー企業VTTIは、2023年12月7日、Höegh LNGとの間でオランダ南部Vlissingen港湾地域のZeeland Energy Terminal基地における開発・操業オプションを検討する契約を締結したことを発表した。同基地はFSRUに基づき、やがてはLNGから水素輸入にトランジッションする計画である。2027年後半の稼働を見込む。最大年間7.5bcm処理容量を計画している。
  • ノルウェーEquinorとドイツSEFEは、2023年12月19日、天然ガス年間111TWh(10 bcm)を2024年1月1日から2034年まで、さらに5年間のオプション権付とするSPAsを締結したことを発表した。5年間のオプションはその期間の合計で319TWh (29bcm)となる。
  • ドイツUniper社は2023年11月26日、2021年初に始まった国際商工会議所規則下での仲裁手続きにより2023年11月24日、自社子会社が敗訴通知を受けたことを発表した。このUniper子会社と欧州のあるエネルギー会社間の仲裁手続きは、LNG供給長期契約の価格条項に関するもので、2016年Uniper分離前に締結され、その後満了している。当該長期契約の遡及価格変更に関わる推定5.50億ユーロの相手方企業への支払いが今回仲裁の条件下でなされることとなる。
  • ドイツ国有Deutsche Energy Terminal(DET)社は、2023年12月15日、計画中の Stade基地気化容量の競売を完了したことを明らかにした。2024年4月から12月分での合計11枠が、全て100万Btu当たり0.55ユーロ(0.6米ドル)で予約された。Stade 基地は建設中であり、Transgas Power FSRUが2024年2月に現地到着予定である。
  • ドイツHanseatic Energy Hub(HEH)社は2023年12月14日、 Stadeにて2027年開業予定の陸上型LNG輸入基地計画の許可手続き・マーケティング段階を完了したことを発表した。FIDは数週間中に見込まれるとHEHは述べた。同基地は遅くとも2043年12月までに水素からのエネルギー源としてのアンモニア用に転換される予定としている。
  • チェコČEZ Groupは2023年11月23日、ドイツStade LNG基地で長期容量年間2bcmを契約したことを発表した。同基地はハンブルグ近くで建設中であり、オペレーターのHanseatic Energy Hub社は2027年稼働開始予定としている。
  • スペインの電力会社Endesa社は2023年11月20日、長期供給をめぐる紛争仲裁の結果、国際商工会議所(ICC)仲裁法廷より、あるLNG生産者に対して5.70億米ドルの支払いを命じられたことを発表した。Endesaはこの支払について「遡及価格精算」となると述べた。
  • イタリアSnam 社は2023年12月4日、 FSRU "BW Singapore" の船主である FSRU I Limited の100%株式を、BW LNG から取得完了したことを発表した。同 FSRU はラベンナ沖に設置され、2025年に稼働開始見込みである。
  • ギリシャ Gastrade社 は2023年12月17日、FSRU ALEXANDROUPOLIS が自国のトラキア海に到着したことを発表した。同FSRUはシンガポールSeatriumシップヤードにて10ヶ月間近くの転換改造を経て、11月26日に同国を出航していた。
  • 2023年12月8日、欧州議会議員(MEPs)と欧州理事会(首脳級)議長は、再生可能エネルギーおよびEUガス市場での水素を含む低カーボンガスの促進計画に非公式合意した。MEPsは加盟国がロシア、ベラルーシからのパイプラインおよびLNGを含むガス輸入を制限できる可能性を確保した。同法案は発効するために議会、理事会の承認が必要である。産業・調査・エネルギー委員会は、2024年1月に採決を行う予定である。

 

その他地域

  • カタールQatarEnergyは2023年12月3日、従来QatarEnergy LNGが管理していたマーケティングおよびその関連諸活動を全て統合したことを発表した。
  • アブダビADNOC社は2023年12月20日、中国ENN Natural Gas Co. Ltd.(新奥天然气股份有限公司)のシンガポール子会社ENN LNG (Singapore) Pte. Ltd.との間に、LNG年間100万トン以上、15年間のHOA締結を発表した。このLNGは基本的にADNOC社のアブダビAl Ruwais工業都市で開発中のRuwais LNG プロジェクトより調達される。引き渡しは2028年、同設備の商業稼働開始とともに開始される見込み。
  • オマーンOman LNGは2023年11月20日、bpとの間に年間100万トン、2026年から9年間のSPA締結を発表した。
  • アルジェリアSONATRACHは2023年11月22日、自社とトルコ BOTAŞがLNG売買契約を締結したことを発表した。特に両社は協力関係を3年間延長することに合意した。
  • ナイジェリア大統領府は2023年11月21日、ナイジェリアとドイツの企業間でナイジェリアにおいてガスフレアリングを削減し、回収したガスをLNG化して最大年間120万トンをドイツに供給する計画を声明文で述べた。声明によれば、ナイジェリアRiverside LNG社とドイツJohannes Schuetze Energy Import社 が同プロジェクトに関するMOUに合意し、早ければ2026年よりドイツに年間85万トンを供給する可能性がある。
  • Golar LNG 社は、2023年11月19日、FLNG GimiがシンガポールSeatrium造船所から、bpのモーリタニア・セネガル沖 Greater Tortue Ahmeyim(GTA)ハブへと出発したことを発表した。航海は喜望峰経由前のモーリシャス、さらにその後ナミビアでの燃料充填後、60日間を要する見込み。
  • Shellは2023年11月21日、エジプト地中海North East El-Amriya鉱区での資源発見を発表した。Shell Egypt社は同鉱区Mina Westでの3探査井計画中、1本目の掘削を完了した。
  • TotalEnergiesは2023年12月14日、インドネシアPertamina社がモザンビークでの年間100万トン、20年間の購入に関して諸手配を完了するプロセスにあったと述べた。Pertaminaがこれら諸手配を完結するため必要な事項を実施しなかったため、この数量が他用途に利用できることとなった。TotalEnergiesを含む Mozambique LNGの既存パートナー中、数社がこの数量の獲得に関心を示しているという。
  • トリニダードトバゴNGCは2023年12月5日、Atlantic LNGの新たな統一コマーシャル構造への契約が締結されたことを発表した。株主は2024年10月1日から2027年5月1日まで、Shell(47.15 %)、bp(47.15%)、NGC Trinidad(5.7%) となり、2027年5月2日からはShell(45%)、bp (45%)、NGC(10%)となる。Shellは現時点で第2・3系列の57.5%を所有し、bpは42.5%を有する。第4系列ではShell 51.1%、bp 37.8%、NGC Trinidad 11.1%を所有している。廃止予定の第1系列では Shell (46%)、bp (34%)、CIC (10%)、NGC Trinidad (10%) となっている。
  • McDermott社は2023年11月28日、Shell Trinidad and Tobago Limitedからトリニダードトバゴ東側沖Manateeガス田開発プロジェクトに関するEPCI契約に関して、限定推進通知を受けたことを発表した。ShellがFIDを行うことを条件として、プロジェクト範囲は井戸元プラットフォーム、沖合・陸上パイプラインの設計・調達・組み立て・輸送・設置・コミッショニング作業となる。Manateeガス田は在来型ガス開発であり、稼働開始後にはガスはトリニダードトバゴ国内および輸出市場用として供給されることとなる。

 

(注: bcm: 10億m3、CCS: 炭素回収・貯蔵、DES: 持ち届け ex-ship、DOE: 米連邦エネルギー省、EPC: エンジニアリング・調達・建設、EPCI: エンジニアリング・調達・建設・設置、 EPCm: エンジニアリング・調達・建設管理、FEED: 基本設計、FERC: 米連邦エネルギー規制委員会、FID: 最終投資決定、FLNG: 浮体液化設備、FOB: 本船渡し、FSRU: 浮体貯蔵・気化設備、FSU: 浮体貯蔵化設備、HOA: 基本合意、MOU: 覚書、SPA: LNG売買契約)

 

 

作成協力 一般財団法人日本エネルギー経済研究所

 

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