2024年1月

天然ガス・LNG価格動向

直近の値動き

アジア

  • 北東アジアのアセスメントされたスポットLNG価格JKMは、中東でのロジスティクス上のセキュリティリスクが生じているものの、潤沢な供給と需要低迷を受け、1月2日の100万Btu当たり11米ドルから1月26日には8米ドル後半まで下げ7が月ぶりの安値を付けた。
  • JOGMECは12月の日本着スポットLNG月次価格(速報)について、同月以降に契約がなされて日本に入着するスポットLNG取引の平均価格(契約ベース)を非公表とした。一方、同月中に日本に入着したスポットLNG取引の平均価格(入着ベース)を16.9米ドルと発表した。
  • 財務省貿易統計速報に基づくと、2023年12月の日本平均LNG輸入価格は100 万Btu当たり13.25米ドル、円建てでは1トン当たり101,066円となった。12月着のスポット価格の上昇、9月の日本平均原油輸入価格の上昇などに伴い前月比1.4米ドル程の上昇となった。供給地域別では、米国産は11.34米ドル、ASEAN地域産が12.87米ドル、中東産が14.26米ドル、ロシア産が12.96米ドルであった。また、12月の北東アジア各国の平均輸入価格は、中国13.44米ドル、韓国14.77米ドル、台湾12.24米ドルであった。全日本平均原油輸入CIF価格(JCC: Japan crude cocktail)は2023年12月には1バレル当たり90.22米ドルとなった。円建てでは1キロリットル当たり83,477円となった。
  • 12月の日本のLNG輸入量は、650万トンと前年同月比で7%増加、1月から12月までのLNG輸入量合計は6,615万トンと前年同期比で8%減少した。なお、中国から6.9万トン(推定1カーゴ)のLNGを輸入しており、中国からの輸入は3か月連続となった。中国の12月のLNG輸入量は840万トンと前年同月比で28%増加した。中国の1月から12月までのLNG輸入量合計は、7,184万トンと前年同期比で13%増加した。12月の韓国のLNG輸入量は501万トンと前年同月比で11%増加、台湾は186万トンと前年同月比17%増加となった。これら4市場合計のLNG輸入量は、12月までの累計で2億288万トンと前年同期比0.1%増加となった。

米国

  • 米国スポットガス価格HHは、1月2日の2.6米ドルから気温の低下とガス需要の増加により1月12日に3.3米ドルまで上昇した。その後気温の上昇に伴い価格は軟調に推移し1月26日時点で2.7米ドルとなっている。
  • 米国エネルギー情報局(EIA)は、1月9日発表の短期エネルギー見通しにおいて、ヘンリーハブ・スポット価格を2023年平均で2.54米ドルとし、2024年平均を2.66米ドル、2025年平均を2.95米ドルと予想した。EIAは天然ガス生産量の伸びが鈍化し、米国の液化天然ガス輸出が増加するため、特に2024年後半に新たな輸出能力が追加された後の2025年に価格が上昇すると分析している。しかし、電力部門における天然ガスの消費が比較的横ばいであることと、在庫が高水準で推移していることから、価格上昇圧力は限定的となると指摘している。

欧州

  • 欧州ガススポット価格TTFは、1月2日の9.8米ドルから1月26日時点で8.9米ドルまで下げている。寒波の到来を受けて1月5日に11.1米ドルに上昇したが、その後の比較的温暖な気候による需要の低下と堅調な供給が圧力となり価格は軟調に推移した。中東での紛争により欧州向けカーゴについて、航路の迂回が生じているが価格や供給への影響は生じていない。欧州地下ガス貯蔵量は月初の86%から72%まで下げている。

天然ガス・LNG価格推移(直近2年)

中長期の値動き

  • JKMは、2020年1月以降、供給拡大と需要増加ペースの失速により下落基調となり、2020年4月末には史上最安値の1.83米ドルを記録した。5月以降2米ドル台が続いたが、8月に入り複数の生産設備での供給障害により上昇基調に転じ、12月には10米ドル台を超え、2021年1月には寒波の影響で需要が急増したことにより、32.5米ドルの史上最高値を付けた。その後、価格は急落して2月下旬にかけて5米ドル台まで下落、3月に入り上昇基調に転じて以降は、高値で推移する欧州ガス市場にも牽引され、10月に一時56米ドルまで上昇し、11月は30米ドル半ば、12月には40米ドルに達した。2022年1月と2月は20米ドル台で推移し、3月にはロシア産パイプラインガス供給中断の懸念に伴って一時急騰し80米ドルを上回ったが、その後30米ドル台で推移した。4月以降取引は低調であり、JKMは36米ドルから22米ドルまで減少し、5月から6月前半にかけて20米ドル前半で推移した。しかし6月後半以降天然ガス・LNGの供給不安の高まりを背景に40米ドルに到達、7月も同様の水準で推移し、8月には概ね50米ドルで推移しつつ、一時、60米ドル、70米ドルを超える状況となった。9月、JKMはTTFの下落に伴い下落傾向を示し30米ドル後半まで下落し、10月~11月にかけて概ね20米ドル後半で推移した。12月には市場は年末商戦で活況となり30米ドル台で推移した。2023年1月、取引が再開するも低調であり、20米ドル付近から下落基調にあり、5月は9米ドル台まで落ち込んだ。2023年6月、JKMは欧州ガス価格の影響等を受け12米ドル付近で推移したが、7月には高在庫と低需要を背景に若干軟化し11米ドル付近で推移した。8月には豪州の主要プロジェクトでのストライキ発生の可能性が生じ、価格はやや上昇基調に入り、9月にストライキが実施された後は15米ドルまで上昇した。10月には中東での紛争の勃発等を受け17米ドルまで上昇したが、11月には地政学的リスクがいくらか緩和され概ね14米ドルで推移した。12月には豊富な供給と軟調な需要によりJKMは11米ドルまで下げ、年が明けた1月においても傾向は変わらず概ね9米ドルで推移した。
  • 日本平均LNG輸入価格は、2020年3月以降の原油価格急落の影響により、8月から10月にかけて2005年1月以来の低水準となる5米ドル台まで下落、その後原油価格上昇に伴い、12月には7米ドル台に上昇した。堅調な原油価格の値動きに応じて、2021年2月には9米ドル半ばまで上昇後、3月は7米ドル半ばまで下落した。その後は、2022年6月までの日本平均原油価格の上昇に伴って、続く18カ月間は概ね一貫して上昇し、2022年9月には過去最高の22.73米ドルを記録した。その後、原油価格の2022年7月以降の下落傾向も一因として、2023年4月以降は11から13米ドル台で推移している。

天然ガス・LNG価格推移(直近10年)

価格情報についてはファイルでのダウンロードサービスはありません。なお、上図については、S&P Global Plattsの情報が含まれることから、閲覧に際しては後述する内容にご同意いただくこととなります。
(出典)
米国HH(Henry Hub)価格: NYMEX Futures and Options, CME Group
蘭TTF(Title Transfer Facility)価格:ICE Endex, Intercontinental Exchange
JKM: LNG Japan/Korea Marker© 2024 by S&P Global Platts, a division of S&P Global Inc.
JOGMECスポットLNG価格:JOGMEC「日本着スポットLNG月次価格」、2021年3月までは経済産業省「スポットLNG価格調査」を出典とする
日本平均LNG輸入価格: 財務省貿易統計をもとに作成
EUA(EU ETS): ICE Endex, Intercontinental Exchange

上記閲覧に際しては、以下について同意することとなります。

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天然ガス・LNG在庫動向

日本

  • 2023年9月末の国内LNG在庫量は436万トンで、前月比0.5%、2.4万トンの減少、前年同月比では23.4%減少し、過去5年平均値を43.8万トン下回った。
  • 10月末のガス事業用LNG在庫量は270万トンで、前月比12.5%増、前年同月比では0.5%増となった。10月の都市ガス用LNG消費量は前年同月比7.0%減の196万トン、都市ガス用LNG受入量は前年同月比1.7%増の226万トンだった。
  • 9月末の発電燃料用LNG在庫量は197万トンで前月比11.3%減、前年同月比37.3%の減少となった。9月の発電燃料用LNG消費量は、前年同月比で17.7%増の346万トン、発電燃料用LNG受入量は、前年同月比で17.2%増の363万トンであった。

  • 10月末の発電燃料用LNG在庫量は266万トンで前月比35.2%増、前年同月比12.7%の減少となった。10月の発電燃料用LNG消費量は、前年同月比で9.4%減の259万トン、発電燃料用LNG受入量は、前年同月比で16.0%増の364万トンであった。
  • 2024年1月24日に経済産業省が発表した「発電用LNGの在庫状況」によると、大手電力事業者の1月21日時点のLNG在庫は249万トンであった。2023年1月末比では10万トン上回り、過去5年間の1月末平均を58万トン上回っている。

国内LNG月末在庫量(直近2年)

国内LNG月末在庫(直近10年)

(出典)
経済産業省「ガス事業主生産動態統計」及び「電力調査統計・火力発電燃料実績」をもとに作成したもので、これら月末在庫を合算した値を国内在庫としてみなしたもの。なお、利用可能なデータは2008年1月以降のものであるため、過去5年平均は2013年1月分から計算している。


米国

  • 2024年1月19日の米国天然ガス地下貯蔵有効稼働ガス在庫(ワーキングガス)は、米国エネルギー情報局(EIA)のデータによると、2.86Tcfで前月比18.2%減となった。在庫量は2023年の同時期と比較すると4.5%高く、過去5年平均値を125.8Bcf上回っており、2020年11月以降は過去5年のレンジに入っている。

米国天然ガス地下貯蔵量(直近2年)

米国天然ガス地下貯蔵量(直近10年)

(出典)
米国エネルギー情報局(U.S. Energy Information Administration, EIA)のデータをもとに作成


欧州

  • 2024年1月24日現在のAggregated Gas Storage Inventory(AGSI+)加盟各社中、EU加盟国各社が有する欧州天然ガス地下貯蔵在庫は832.3TWh (LNG換算5,505万トン相当)であった。これは前年同期より2.5%、21.7TWh (LNG換算144万トン相当)下回るものだった。貯蔵容量に対する充填率は73.0%であり、前年同期の76.2%を下回り、過去5年間平均値の61.2%を上回った。貯蔵容量の大きなドイツ、オランダの充填率はそれぞれ76.8%、68.6%であった。

欧州天然ガス地下貯蔵量(直近2年)

欧州天然ガス地下貯蔵量(直近10年)

(出典)
Aggregated Gas Storage Inventory(AGSI), Gas Infrastructure Europeのデータをもとに作成。なお、利用可能なデータは2011年1月以降のものであるため、過去5年平均は2016年1月分から計算している。

 

  • 2024年1月24日現在のAggregated LNG Storage Inventory(ALSI)加盟各社(11か国、18社)が有する欧州LNG在庫量は441.2万m3で、前月比11.0%減少、前年同日比6.0%減少、過去5年平均値を0.7%下回っている。

欧州LNG在庫量(直近2年)

欧州LNG在庫量(直近10年)

(出典)
Aggregated LNG Storage Inventory(ALSI), Gas Infrastructure Europeのデータをもとに作成。なお、利用可能なデータは2012年1月以降のものであるため、グラフ中の過去10年平均及び過去10年平均幅の値については、5年未満の値が含まれる。


天然ガス・LNGプロジェクト動向

ハイライト

  • 速報値によると2023年、世界の海上輸送によるLNG貿易量は約4億トン弱、前年比2%程度の増加となった。米国が8,400万程度を輸出し、年間ベースで初めて世界最大のLNG輸出国となった。輸入では中国が日本を抜き、再度世界最大のLNG輸入国となった。欧州連合・英国は前年とほぼ同じ1.11億トンのLNGを輸入した。年末年始にかけてアフリカ、北米で新規のFLNGプロジェクトが本格稼働に向けて前進している。

 

アジア・オセアニア地域

  • 中国税関当局の2024年1月18日付発表によると、中国は2023年12月840万トン、通年7,132万トンのLNGを輸入した。通年数量は2022年より12.6%増加したが、2021年を11.65%下回った。一方、中国は2023年、4,865万トンのパイプラインガスを輸入し2022年を6.2%上回った。合計で中国は2023年に1.1997億トンの天然ガスを輸入し2022年を9.9%上回ったが、2021年を1.14%下回った。
  • JERAは2023年12月25日、一般財団法人海外産業人材育成協会(AOTS)との間で、フィリピン共和国におけるLNG導入に向けた制度設計等の支援に関する契約を締結したことを発表した。
  • 東京ガス株式会社、株式会社キューデン・インターナショナル(KIC)は、2024年1月24日、ベトナム企業チュオン・タン・ベトナム・グループ(Tập đoàn Trường Thành Việt Nam = TTVN)と合弁会社Thai Binh LNG Power Joint Stock Company (TBLP)を設立したことを発表した。TBLPはベトナム タイビン省での浮体式LNG受入基地およびガス火力発電所(発電容量150万kW)の開発・建設・運営・LNG調達およびベトナム電力公社への売電を行うLNG to Powerプロジェクトの事業性評価を実施する。2029年までの商業運転開始を目指すとしている。
  • インドPetronet LNG社(PLL)は2023年12月28日、Gopalpur Portsとの間で、同社としてはインド東海岸では初となるLNG基地設置のための取引文書を締結したことを発表した。PLLはオリッサ州ゴパルプル港で第1段階容量年間400万トンのFSRU型LNG基地を計画しており、将来年間500万トンの陸上型基地への転換を準備している。
  • インドGAIL社とVitol Asia社は、2024年1月5日、2026年から10年間、インド向け年間100万トンの長期LNG取引を発表した。Vitol は自社グローバルLNGポートフォリオよりインド全国ベースでGAILにLNGを引き渡すこととなる。
  • 豪Australia Pacific LNG社(APLNG)は2024年1月8日、鉱業・インフラストラクチャーソリューション企業のOrica社向けガス供給を延長する契約を締結したことを発表した。APLNGは2025年に追加2.92PJ (53,655トン) のガスを供給する。23年度末(2023年6月末)時点でAPLNGは国内市場向けに142 PJ以上を供給し、2024年は151 PJを供給する見込みである。
  • 豪Woodside社とSantos社は、それぞれ2024年1月24日と25日に合併可能性の話し合いの初期的段階にあると述べた。
  • 豪Woodside社は2024年1月24日、2023年第4四半期業績報告にてScarboroughプロジェクトは2023年12月に連邦領海内の二次的環境承認を受け、海洋上での重要作業全てを開始したと述べた。同プロジェクトは同四半期末時点で55%完成となった。翌期に入り最初の生産井が開坑され、1月22日現在、パイプライン敷設433 km中57 kmが完了した。Pluto第2系列51モジュール中6本の組立が完了し、さらに38本の作業が進行中であり、同プロジェクトは2026年最初のLNGカーゴ目標へと予定通り進行していると同社は述べた。
  • 豪Santos社は、Barossaガス田からの海底パイプライン敷設差止仮処分を覆す、2024年1月15日付の連邦法廷判断を歓迎し、敷設作業を再開することを明らかにした。同社は1月25日にBarossaプロジェクトのコストおよび日程を修正したと述べた。追加の資本的支出2 - 3億米ドルと2025年第3四半期のガス生産開始が見込まれると述べた。同プロジェクトへの総資本的支出はDarwin パイプライン複線化を含めて45 - 46億米ドルと見込まれる。
  • 株式会社INPEXは2024年1月11日、東京ガス株式会社との間で、東京ガスが子会社を通じて保有する豪Ichthys LNGプロジェクト等の参加権益等(1.575%)を取得することに関する契約を発表した。INPEX豪州プロジェクト子会社が保有するIchthys LNGプロジェクトへの参加権益等の比率が66.245%から67.82%に増加する。
  • 豪Santos社は2023年12月29日、2023年8月31日発表のパプアニューギニアPNG LNGの2.6%持分のKumul Petroleum Holdings Limitedへの売却について、この取引に関する資金調達がKumulにより確保されたことを確認した。

 

北米地域

  • Cheniere Energy社は、2023年11月17日付のFERCへの提出文書の中で、PF23-2 (プレファイリング事前審査中)のSabine Pass Liquefaction Stage 5拡張プロジェクトは、年間650万トンの液化設備3系列ではなく、ConocoPhillips (CoP) 液化技術を用いる公称設計容量年間700万トンの液化設備2系列、ボイルオフガス(BOG)再液化装置1基、フルコンテインメント地上式220,000 m3 LNG貯蔵タンク2基、積込設備、関連インフラストラクチャー設備を含むこととなる計画であることを明らかにした。詳細エンジニアリングは2025年第3四半期に開始が見込まれている。
  • Shell NA LNG LLCは、2024年1月2日、BP Gas Marketing LimitedによるVenture Global Calcasieu Pass, LLC (VGCP)を相手取った不服申し立てを支持するコメントをFERCに提出した。コメントには「Shell LNGは現況に必要な解決策に関しての見解が異なる。当該申し立ては、VGCP側の特権扱い文書と同社による文書の一方的な編集に関しての全面開示を要求した。Shell LNGは行政法判事による公表に向けての秩序立ったプロセスを確立するための手続き設定を提案する」としている。
  • Venture Global社(VG)は、2024年1月2日、BP Gas Marketing Limited(bp)が2023年12月11日付で提出した不服申し立てに対する回答をFERCに提出し、bpとの SPA契約条件を公表した。今回の提出でVGは、契約にしたためられている形での商業稼働の諸条件を満たしていないと主張している。bpは、1月17日付の再回答の中で、VGは正当化できることを示す情報をFERC向けに公表する義務があるとした。
  • Venture Global Delta LNG, LLCは、2024年1月12日、FERCへのプレファイリングステータス報告にて、Delta LNGはCCS設備を織り込むよう設計・配置計画を更新していると報告した。Delta LNGはまた、プロジェクトの電力需要に対応し、汚染物質排出を下げるために、新規の現場型発電機器のオプションを検討していると述べた。Delta LNGはさらに、エンジニアリング請負企業とともに液化設備設計容量の拡張も検討していると述べた。
  • NextDecade社は、2024年1月4日、MUFG Bank, Ltd.を融資者・エージェントとして、優先担保型貸付契約5,000万米ドル分、長期融資1,250万米ドルの融資契約を締結したことを発表した。Rio Grande LNG設備第4系列関連の開発コスト含む会社目的に活用できる。NextDecade社は同系列に関してBechtel Energy社との間でFEED・EPC契約に関するプロセスを開始しており、EPC 契約を2024年前半に固めたい意向である。
  • 米EQT Corporationは、2024年1月11日、テキサス州ブラウンズヴィルTexas LNG設備から年間50万トンのLNGを15年間の液化委託契約により生産する液化業務HoAを発表した。Texas LNG社はGlenfarne Energy Transition, LLCの子会社で、 FID 2024年、カーゴ引渡を2028年と見込んでいる。
  • Chesapeake Energy CorporationとSouthwestern Energy Companyは、2024年1月11日、総額74億米ドルの全株式取引による合併契約を発表した。
  • 米最大級の天然ガスインフラストラクチャー企業の1つWilliams社は、2023年12月27日、Hartree Partners LP子会社より、一群の天然ガス貯蔵資産を買い取ることに合意したことを発表した。この取引には、ルイジアナ州とミシシッピー州の合計容量115bcf(240万トン)の地下天然ガス貯蔵設備6件、200マイル(379㎞)のガス輸送パイプライン、LNG 市場を含む魅力的な市場への接続点30件、米国最大の天然ガス輸送パイプラインTranscoへの複数の接続点、が含まれる。
  • カナダCedar LNGプロジェクトのパートナーThe Haisla Nation、Pembina Pipeline Corporationは、2024年1月4日、サムスン重工業 (SHI)とBlack & Veatch社が、同プロジェクトのFLNGの設計・組立・引渡に関して、2024年第1四半期末までに見込まれているFIDを条件として、EPCに選定されたことを発表した。FLNG引渡・完成は2028年に見込まれている。
  • カナダのNisga'a Nation、Rockies LNG Limited Partnership、Western LNG LLC 間の共同開発事業Ksi Lisims LNG Limited PartnershipとShell Eastern Trading Pte Ltd(Shell)は、2024年1月8日、20年間のLNG SPAを締結したことを発表した。Shellは年間200万トンのLNGをFOB 条件で購入する。Ksi Lisims LNGが締結する最初のLNG引取契約となる。Ksi Lisims LNGは、サムスン重工業 (SHI) が建造するFLNG設備、Black & Veatch社によるオール電化プロセス技術、再生可能水力発電を利用することで、世界で最も排出の少ないLNG液化設備となり、2030年までにネットセロ対応が準備完了となると主張している。2件の浮体LNG生産・貯蔵設備にて年間1,200万トンのLNGを生産することとなる。Ksi Lisims LNG は、2023年10月16日、ブリティッシュコロンビア州政府に環境許可申請を提出した。
  • カナダTourmaline Oil Corporation(Tourmaline)とコモディティトレーダー企業Trafiguraは、それぞれ2024年1月15と16日に長期LNG取引を発表した。Tourmalineは、Trafigura との2027年1月からの7年間、日量 62,500 百万btu (最大年間50万トン)、2039年12月までの延長込みのネットバック方式の契約により、JKMへのエクスポージャーを拡大する。Tourmaline はまた、Trafigura Canada LimitedとのオランダTTF指標価格を受け取る実物ネットバック契約を含む国際エクスポージャーを拡大している。Tourmalineは2024年3月から2026年12月まで、日量50,000百万btuの天然ガスをAB-NITにて引き渡し、オランダTTF指標価格 (取引に伴う控除後) を受け取る。
  • メキシコMexico Pacific社は、2024年1月16日、ExxonMobil LNG Asia Pacific (EMLAP)と、Mexico Pacific社のメキシコ西海岸Saguaro Energíaプロジェクトの第3系列から、追加年間120万トンについての3件目の長期SPAを締結したことを発表した。この数量は2023年1月に締結された第1 - 2系列からの別のLNG SPAsのオプションに起因する。今回の第3系列LNG SPAにより、EMLAPはLNGをFOBで20年間引き取る。第4系列についても年間100万トンのオプションがある。

 

欧州および周辺地域

  • ドイツRWE社による2023年12月22日付発表によると、2024年1月1日付でRWE はBrunsbüttelに建設されたLNGインフラストラクチャーを従来からの計画通り、連邦政府所有のDeutsche Energy Terminal GmbH (DET)に引き渡す。DETは同FSRU基地の承認された操業企業であり、容量販売を担当している。RWEは2022年、ドイツ政府に代行して“Hoegh Gannet”FSRUを傭船し、対応するインフラストラクチャーを建設した。このElbehafenプロジェクトは2023年、RWEにより稼働開始された。2023年初よりLNGはBrunsbüttel経由でドイツに直接輸入されている。DETはBrunsbüttelでLNGインフラストラクチャーと操業管理を引き継ぐ。
  • リトアニアKN(2024年1月10日よりKN Energies AB)は、2024年1月8日、ドイツ北海岸4LNG基地のコマーシャル管理を落札したことを発表した。KNはドイツ政府管轄下のLNG基地を操業する国有企業Deutsche Energy Terminal GmbH (DET)と契約を締結した。DETは同国北海岸の同国最初のLNG基地Wilhelmshaven 1 LNG Terminalと、Brunsbüttel LNG Terminalを操業している。さらにDETはWilhelmshaven第2基地、エルベ川下流Stade基地を操業することとなる。KN・DET間の2年契約は、前記4基地全てのコマーシャル管理を含めることとなる。従来KNは既にWilhelmshaven 1とBrunsbüttel LNG基地についてこの業務を提供してきた。DETがこれら基地管理を引き継ぎ後、4基地統合でのコマーシャル管理の新たな入札が実施された。
  • Apollo傘下ファンドが多数、New Fortress Energy Inc.(NFE)が少数を支配する海洋LNGインフラストラクチャー企業Energos Infrastructureは、2024年1月8日、2隻のFSRUsをDynagas関係会社から買取完了したことを発表した。両船は2021年に建造され、それぞれEnergos Force、Energos Powerと改称される。両船は2023年にドイツ連邦経済・気候変動省との間で長期傭船契約が開始されている。Energos ForceはDeutsche Energy Terminals監督下でStade港湾にて操業する計画である。Energos PowerはMukran港湾で操業する計画で、Deutsche Regasに孫傭船されている。
  • フィンランドGasum社は、2024年1月9日、Nordic Ren-Gas社との間で長期SPAを締結したことを発表した。Gasumは、2026年からNordic Ren-GasがTampere プラントで生産するeメタン全量を購入することとなる。Nordic Ren-Gasの同地のパワートゥーガス設備は、年間160 GWh (10,584トン)の再生可能eメタンを生産することとなる。同設備は風力発電と既存発電設備で回収する二酸化炭素を用いて eメタンを生産する。
  • ロシアGazpromは、2024年1月3日、Power of Siberiaパイプラインによる中国向けの1日当たりのガス供給が、1月2日に過去最高を記録したと述べた。同パイプラインによる中国向け輸出量は、2022年15.4 bcmから2023年22.7bcm に増加したと述べた。さらに2025年には輸出容量の38 bcmに達すると述べた。

 

その他地域

  • エンジニアリング企業Chart Industries, Inc.は、2023年12月28日、タンクや欧州における燃料充填ステーション、モロッコ初のLNG気化設備等のLNGインフラストラクチャーを含めたLNG関連の受注が複数あったことを発表した。
  • ナイジェリアUTM Offshore Ltd(UTM)は、2023年12月22日、デルタ州政府、Nigerian National Petroleum Company Limited(NNPC)、UTMが、同19日、同国初のFLNG開発に向けた株主間協定を締結したことを発表した。デルタ州政府が8%, NNPCが20%, UTMが72%を所有することとなる。同州知事は2024年からの建設開始の期待を述べ、300,000トンを超える LPG (調理用ガス)が生産され、国内市場に向けられることとなると述べた。同知事はさらに、同プロジェクトはガスフレアリングを削減することにつながる見込みであると述べた。UTMは同プロジェクトのFIDを2024年第1四半期末までに見込んでいる。
  • 中国Wison New Energies社は、2024年1月22日、ナイジェリアで2件のFLNGプロジェクトに取り組むことを発表した。Ace Gas & FLNG、Transoceanic Gas & Powerの2件の年間300万トンのFLNGプロジェクトの設計検証とプレFEEDフェーズが正式に開始された。
  • Golar LNG社は、2024年1月10日、FLNG ”Gimi”がモーリタニア・セネガル沖 GTAガス田に到着したことを発表した。
  • イタリアEniは、2023年12月28日、コンゴ領海内に繋留しているTango FLNGについて、FIDより12ヶ月後、ガスを導入したことを発表した。今回の発表によるとTango FLNGは、2024年第1四半期中に最初のLNG カーゴを生産することとなる。同FLNG設備は、年間1bcmの液化容量を持ち、Excalibur FSUに並べて「分離繋留」方式で繋留されている。Congo LNGは段階的開発を通じて定常的フレアリングゼロ目標の下、平常時生産容量年間4.5bcmを達成する見通しとされる。2基目のFLNG設備は、容量年間3.5bcmとして建造中であり、2025年に生産開始見込みである。LNG全生産量はEniが販売することとなる。
  • 南アフリカTransnet National Ports Authority(TNPA)は、2024年1月10日、Vopak Terminal Durban社とTransnet Pipelines (TPL)社の連合をRichards Bay港湾のLNG受入基地設計・開発・建設・資金調達・操業・メンテナンスの25年間の業務に最適候補として指定したことを発表した。同基地は民間部門および公的部門のパートナーシップで、民間部門が主導投資家になっている。TNPAは共用港湾インフラストラクチャーに投資し、基地操業企業が基地インフラストラクチャーを提供する。TPLは1965年創設の南アフリカの上場企業である。LNG受入基地の稼働開始は2027年に見込まれている。
  • シンガポールSeatrium Limitedは、2023年12月22日、FSRU “Energos Celsius” をNew Fortress Energy (NFE)に引き渡したことを発表した。Energos Celsiusは、 Apolloファンド群とNFEとが株主である海洋インフラストラクチャー企業Energos Infrastructureにより所有され、NFEのブラジル事業向けに長期傭船される。同FSRUは、Seatriumシップヤードからブラジルに向かった。NFEによりブラジル・パラー州バルカレナでの完成済の基地に配置されることとなる。このLNG輸入基地はパラー州およびブラジル北部地域初のLNG輸入設備となる。
  • New Fortress Energy(NFE)は、2023年12月27日、Denham Capital傘下の Ceiba Energy社から、15年間の1.6 GW容量予約契約(PPA)を引き取ることに合意したことを発表した。NFEはこのPPAを自社のブラジルにおけるBarcarenaとTerminal Gas Sul (TGS)という既存LNG基地と接続している新規の発電資産に配分する計画である。

 

(注: bcm: 10億m3、CCS: 炭素回収・貯蔵、DES: 持ち届け ex-ship、DOE: 米連邦エネルギー省、EPC: エンジニアリング・調達・建設、EPCI: エンジニアリング・調達・建設・設置、 EPCm: エンジニアリング・調達・建設管理、FEED: 基本設計、FERC: 米連邦エネルギー規制委員会、FID: 最終投資決定、FLNG: 浮体液化設備、FOB: 本船渡し、FSRU: 浮体貯蔵・気化設備、FSU: 浮体貯蔵化設備、HOA: 基本合意、MOU: 覚書、SPA: LNG売買契約)

 

 

作成協力 一般財団法人日本エネルギー経済研究所

 

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