2024年2月

天然ガス・LNG価格動向

直近の値動き

アジア

  • 北東アジアのアセスメントされたスポットLNG価格JKMは、低調な需要と潤沢な供給に加え、北東アジアでの旧正月による市場の活動停滞も相まって下落基調を辿り、2月23日に100万Btu当たり8米ドルを割った。JKMは2月27日時点で8米ドルに戻した。
  • JOGMECは1月の日本着スポットLNG月次価格(速報)について、同月以降に契約がなされて日本に入着するスポットLNG取引の平均価格(契約ベース)を非公表とした。また、同月中に日本に入着したスポットLNG取引の平均価格(入着ベース)を非公表とした。
  • 財務省貿易統計速報に基づくと、2024年1月の日本平均LNG輸入価格は100 万Btu当たり13.64米ドル、円建てでは1トン当たり101,844円となった。1月着のスポット価格は若干下降したものの、10月の日本平均原油輸入価格の上昇などに伴い前月比0.4米ドル程の上昇となった。供給地域別では、米国産は14.25米ドル、ASEAN地域産が13.44米ドル、中東産が13.37米ドル、ロシア産が13.14米ドルであった。また、1月の北東アジア各国の平均輸入価格は、韓国13.63米ドル、台湾11.97米ドルであった(中国の1月分データは3月に公表見込みです)。全日本平均原油輸入CIF価格(JCC: Japan crude cocktail)は2024年1月には1バレル当たり85.70米ドルとなった。円建てでは1キロリットル当たり77,644円となった。
  • 1月の日本のLNG輸入量は、611万トンと前年同月比で11%減少した。1月の輸入量としては2010年以来の低水準となった。なお、1月には中国から6.8万トン(推定1カーゴ)のLNGを輸入しており、中国からの輸入は4か月連続となった。1月の韓国のLNG輸入量は491万トンと前年同月比で3%増加、台湾は174万トンと前年同月比5%減少となった(中国の1月分データは3月に公表見込みです)。

米国

  • 米国スポットガス価格HHは、2月1日の2.1米ドルから穏やかな気候とガス生産量の増加により下落基調を辿り、一時シェール開発企業の生産削減の発表に反応して反発したものの、2月27日には1.6米ドルとなった。
  • 米国エネルギー情報局(EIA)は、2月6日発表の短期エネルギー見通しにおいて、2024年第1四半期においても穏やかな気候が継続するとし、2024年2月から3月にかけてのHHスポット価格平均を2.40米ドルと予想している。しかし、一方で短期間でも厳しい寒波が到来すれば、ボラティリティが戻る可能性があると指摘している。

欧州

  • 欧州ガススポット価格TTFは、2月1日の9.2米ドルから、ノルウェーガス施設等の計画外停止にも関わらず、弱い需要と堅調な地下ガス貯蔵により下落基調となり、2月27日時点で7.8米ドルまで下げている。

天然ガス・LNG価格推移(直近2年)

中長期の値動き

  • JKMは、2020年1月以降、供給拡大と需要増加ペースの失速により下落基調となり、2020年4月末には史上最安値の1.83米ドルを記録した。5月以降2米ドル台が続いたが、8月に入り複数の生産設備での供給障害により上昇基調に転じ、12月には10米ドル台を超え、2021年1月には寒波の影響で需要が急増したことにより、32.5米ドルの史上最高値を付けた。その後、価格は急落して2月下旬にかけて5米ドル台まで下落、3月に入り上昇基調に転じて以降は、高値で推移する欧州ガス市場にも牽引され、10月に一時56米ドルまで上昇し、11月は30米ドル半ば、12月には40米ドルに達した。2022年1月と2月は20米ドル台で推移し、3月にはロシア産パイプラインガス供給中断の懸念に伴って一時急騰し80米ドルを上回ったが、その後30米ドル台で推移した。4月以降取引は低調であり、JKMは36米ドルから22米ドルまで減少し、5月から6月前半にかけて20米ドル前半で推移した。しかし6月後半以降天然ガス・LNGの供給不安の高まりを背景に40米ドルに到達、7月も同様の水準で推移し、8月には概ね50米ドルで推移しつつ、一時、60米ドル、70米ドルを超える状況となった。9月、JKMはTTFの下落に伴い下落傾向を示し30米ドル後半まで下落し、10月~11月にかけて概ね20米ドル後半で推移した。12月には市場は年末商戦で活況となり30米ドル台で推移した。2023年1月、取引が再開するも低調であり、20米ドル付近から下落基調にあり、5月は9米ドル台まで落ち込んだ。2023年6月、JKMは欧州ガス価格の影響等を受け12米ドル付近で推移したが、7月には高在庫と低需要を背景に若干軟化し11米ドル付近で推移した。8月には豪州の主要プロジェクトでのストライキ発生の可能性が生じ、価格はやや上昇基調に入り、9月にストライキが実施された後は15米ドルまで上昇した。10月には中東での紛争の勃発等を受け17米ドルまで上昇したが、11月には地政学的リスクがいくらか緩和され概ね14米ドルで推移した。12月には豊富な供給と軟調な需要によりJKMは11米ドルまで下げ、年が明けた1月においても傾向は変わらず概ね9米ドルで推移した。2月に入り北東アジア地域での旧正月後には下落基調は更に拍車がかかり8米ドルを割った。
  • 日本平均LNG輸入価格は、2020年3月以降の原油価格急落の影響により、8月から10月にかけて2005年1月以来の低水準となる5米ドル台まで下落、その後原油価格上昇に伴い、12月には7米ドル台に上昇した。堅調な原油価格の値動きに応じて、2021年2月には9米ドル半ばまで上昇後、3月は7米ドル半ばまで下落した。その後は、2022年6月までの日本平均原油価格の上昇に伴って、続く18カ月間は概ね一貫して上昇し、2022年9月には過去最高の22.73米ドルを記録した。その後、原油価格の2022年7月以降の下落傾向も一因として、2023年4月以降は11から13米ドル台で推移している。

天然ガス・LNG価格推移(直近10年)

価格情報についてはファイルでのダウンロードサービスはありません。なお、上図については、S&P Global Plattsの情報が含まれることから、閲覧に際しては後述する内容にご同意いただくこととなります。
(出典)
米国HH(Henry Hub)価格: NYMEX Futures and Options, CME Group
蘭TTF(Title Transfer Facility)価格:ICE Endex, Intercontinental Exchange
JKM: LNG Japan/Korea Marker© 2024 by S&P Global Platts, a division of S&P Global Inc.
JOGMECスポットLNG価格:JOGMEC「日本着スポットLNG月次価格」、2021年3月までは経済産業省「スポットLNG価格調査」を出典とする
日本平均LNG輸入価格: 財務省貿易統計をもとに作成
EUA(EU ETS): ICE Endex, Intercontinental Exchange

上記閲覧に際しては、以下について同意することとなります。

  • Platts情報はS&P Global Plattsによって作成されています(出典:© 2024 by S&P Global Platts, a division of S&P Global Inc. All rights reserved)。
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天然ガス・LNG在庫動向

日本

  • 2023年11月末の国内LNG在庫量は546万トンで、前月比2.0%、10.7万トンの増加、前年同月比では10.1%減少し、過去5年平均値を42.1万トン上回った。
  • 11月末のガス事業用LNG在庫量は283万トンで、前月比5.1%増、前年同月比では0.7%増となった。11月の都市ガス用LNG消費量は前年同月比5.5%減の230万トン、都市ガス用LNG受入量は前年同月比5.0%減の243万トンだった。
  • 11月末の発電燃料用LNG在庫量は263万トンで前月比1.1%減、前年同月比19.4%の減少となった。11月の発電燃料用LNG消費量は、前年同月比で1.6%減の296万トン、発電燃料用LNG受入量は、前年同月比で6.3%減の340万トンであった。
  • 2024年2月21日に経済産業省が発表した「発電用LNGの在庫状況」によると、大手電力事業者の2月18日時点のLNG在庫は213万トンであった。2023年2月末比では35万トン下回り、過去5年間の2月末平均と同値である。

国内LNG月末在庫量(直近2年)

国内LNG月末在庫(直近10年)

(出典)
経済産業省「ガス事業主生産動態統計」及び「電力調査統計・火力発電燃料実績」をもとに作成したもので、これら月末在庫を合算した値を国内在庫としてみなしたもの。なお、利用可能なデータは2008年1月以降のものであるため、過去5年平均は2013年1月分から計算している。


米国

  • 2024年2月16日の米国天然ガス地下貯蔵有効稼働ガス在庫(ワーキングガス)は、米国エネルギー情報局(EIA)のデータによると、2.47Tcfで前月比13.5%減となった。在庫量は2023年の同時期と比較すると12.5%高く、過去5年平均値を408.8Bcf上回っている。

米国天然ガス地下貯蔵量(直近2年)

米国天然ガス地下貯蔵量(直近10年)

(出典)
米国エネルギー情報局(U.S. Energy Information Administration, EIA)のデータをもとに作成


欧州

  • 2024年2月24日現在のAggregated Gas Storage Inventory(AGSI+)加盟各社中、EU加盟国各社が有する欧州天然ガス地下貯蔵在庫は730.2TWh(LNG換算4,830万トン相当)であった。これは前年同期より3.7%、26.3TWh(LNG換算174万トン相当)上回るものだった。貯蔵容量に対する充填率は64.1%であり、前年同期の62.7%を上回り、過去5年間平均値の47.2%を上回った。貯蔵容量の大きなドイツ、イタリア、オランダの充填率はそれぞれ70.6%、58.8%、57.7%であった。

欧州天然ガス地下貯蔵量(直近2年)

欧州天然ガス地下貯蔵量(直近10年)

(出典)
Aggregated Gas Storage Inventory(AGSI), Gas Infrastructure Europeのデータをもとに作成。なお、利用可能なデータは2011年1月以降のものであるため、過去5年平均は2016年1月分から計算している。

 

  • 2024年2月24日現在のAggregated LNG Storage Inventory(ALSI)加盟各社が有する欧州LNG在庫量は435.8万m3で、前月比1.7%減少、前年同日比4.2%増加、過去5年平均値を11.8%上回っている。

欧州LNG在庫量(直近2年)

欧州LNG在庫量(直近10年)

(出典)
Aggregated LNG Storage Inventory(ALSI), Gas Infrastructure Europeのデータをもとに作成。なお、利用可能なデータは2012年1月以降のものであるため、グラフ中の過去10年平均及び過去10年平均幅の値については、5年未満の値が含まれる。


天然ガス・LNGプロジェクト動向

ハイライト

  • 豪Woodside Energy社、Santos社は、両社の合併可能性に関する協議中にあることを明らかにした2週間後の2024年2月7日、この協議を打ち切ったことを発表した。両社ともにそれぞれ豪州で建設中のLNG輸出関連プロジェクトについて着実に進展していることを明らかにしている。
  • 1月末、米国政府は今後のLNG輸出許可申請に関してLNG輸出の経済・環境影響のスタディを実施する間、米国と自由貿易協定を有していない諸国向けの輸出ライセンス審査を一時停止することを明らかにした。
  • カタールQatarEnergy社は、2024年2月25日、自国LNG生産容量を2030年までに年間1.42億トンに引き上げる"North Field West"プロジェクト計画を発表した。

 

アジア・オセアニア地域

  • AG&P LNG (AG&P Terminals & Logistics Pte Ltd)社は、2024年1月31日、同社多数株式をNebula Energy LLC社が買い取ったことを発表した。AG&P LNG社は6件のLNG 基地を開発中である。AG&P LNG社はフィリピン最初のLNG 輸入・気化基地のオペレーターである。
  • フィリピンFirst Gen Corporation (FGEN)社は、2024年2月19日、バタンガスのガス火力発電設備で利用すべく、DES条件で1カーゴの入札を発表した。落札者は3月15 - 31日の間にFSRU ”BW Batangas”向けにこのカーゴを引き渡すこととなる。
  • シンガポールSeatrium社は、2024年2月14日、GasLog LNG Services社とShell International Trading and Shipping Company (STASCO)社との間で、2024年から2029年まで両社のLNG輸送船舶を修繕・刷新・改造を行う長期優先顧客契約 (ECC) を更新したことを発表した。東南アジアで両社の合計43隻のLNG輸送船舶にSeatrium Repairs and Upgradesでのドックでサービスを行う。
  • Seatrium社は、2024年1月29日、シンガポールで建造されたものとしては初となるメンブレン型LNGバンカー船“Brassavola”の引渡を、商船三井 (MOL) 子会社で船主のIndah Singa Maritime社に対して行ったことを発表した。Brassavolaは、Pavilion Energyにより傭船され、シンガポール港でLNGバンカー燃料を供給する。
  • TotalEnergies社は、2024年1月31日、OMV社との間で、マレーシア独立系ガス生産企業SapuraOMV Upstream Sdn社 (SapuraOMV)の50%持ち分を買い取る契約を締結したことを発表した。SapuraOMVの主たる資産は同国サラワク州沖SK408鉱区の40%操業権、SK310鉱区の30%操業権となっている。
  • 海洋機器製造企業Straatman社は、2024年2月8日、マレーシアPetronas社のZFLNGプロジェクトに向けたサムスン重工業 (SHI)との協力を発表した。Straatmanは、ZFLNG設備とLNG輸送船舶間の切れ目ないコミュニケーションを支える船陸間連携システムを供給する。ZFLNGプロジェクトはマレーシアのサバ州沖に立地し、 Pertronasの3件目のFLNGプロジェクトとなる。
  • インドPetronet LNG (PLL)社とカタールQatarEnergy社は、2024年2月6日、年間750万トンの長期LNG SPAの締結を発表した。これは1999年に締結されFOB条件で2028年までの供給する既存のLNG SPAを延長するものとなる。新契約ではDES条件で2028年5月から2048年までの引渡となる。LNGは1999年の契約と同様に基本的にDahej基地で気化後、GAIL (India)社 (60%)、Indian Oil Corporation社 (30%)、Bharat Petroleum Corporation社 (10%) が引き取ることになる。
  • インドPetronet LNG社は、2024年2月9日、スリランカ向けに2025年から5年間、LNGの供給を行うと述べた。Petronetは各17トンのコンテナ50基により、日量850トンを供給することとなる。本件は2件のガス火力発電設備に対して供給を行うこととなる。
  • インドGAIL社は、2024年1月29日、アブダビADNOC Gas社から年間50万トンのLNGを購入する長期契約を締結したことを発表した。2022年10月30日付のGAILとAbu Dhabi National Oil Company (ADNOC)社間のMOUを受けてのものとなる。引渡は2026年に開始され、10年間、インド各所向けになされる。
  • TotalEnergies社、インドOil and Natural Gas Corporation (ONGC)社は、2024年2月6日、TotalEnergiesのAUSEA (Airborne Ultralight Spectrometer for Environmental Applications)技術を用いたメタン排出検知・測定に関する取組を実施する協力協定を締結した。TotalEnergiesはAUSEA利用協力協定をブラジルPetrobras社、アゼルバイジャンSOCAR社、アンゴラSonangol社、ナイジェリアNNPCL社とも締結している。
  • ノルウェーEquinor社は、2024年2月19日、インドの肥料・石化企業Deepak Fertilisers社と、2026年引渡開始となる15年間のLNG供給契約を締結したことを発表した。Deepak社はこのガスを主としてアンモニア製造原料として用いる。本契約は年間65万トン程度の供給を対象としている。
  • カタールQatarEnergy社とExcelerate Energy社は、2024年1月29日、カタールからバングラデシュ向けLNG供給について、長期 SPAを締結したことを発表した。 Excelerateは、2026年1月から15年間、最大年間100万トンのLNGをQatarEnergyから購入し、バングラデシュのFSRUs向けに引き渡す。Excelerateは、2026年と2027年はいずれも85万トン、2028年から2040年までは年間100万トンを購入することとなる。
  • 豪上流生産企業団体Australian Energy Producers (AEP)は、2024年2月5日、豪州政府は、「短期的」構造的ガス不足に対応するために直ちに新規ガス供給を求め、新規LNGプロジェクトを承認しなくてはならない、と述べた。
  • 豪Venice Energy社は、2024年2月15日、GasLog社が2023年に「大幅なリストラクチャを経て多数の船舶を他社に売却することを決め」た後、Venice社のプロジェクトに配分された船舶の買主として「AG&P社が浮上し」、Venice は「自社プロジェクトが転換改造済みFSRUをさらに有利なコストでタイムリーに受け取ることを保証する新たなコマーシャル協定を確保した」と述べた。
  • 豪Woodside Energy社、Santos社は、2024年2月7日、合併可能性に関する協議を打ち切ったことを発表した。
  • 豪Woodside Energy社は、2024年1月31日、OGMP2.0 (United Nations Environment Programme (UNEP) Oil & Gas Methane Partnership 2.0) に加盟したことを発表した。 Woodsideは、自社の2022年メタン排出は生産量に対して0.1%と試算されると述べた。
  • 商船三井(MOL)は、2024年02月14日、豪Woodside Energy社、韓国造船・エンジニアリング会社HD Korea Shipbuilding and Offshore Engineering (HD KSOE)社、韓国船会社Hyundai Glovis社と覚書を締結し、3社が2022年より進めている液化水素輸送共同検討に参画したことを発表した。
  • 豪Woodside Energy社は、2024年2月21日、Scarboroughプロジェクトにおける Pluto第2系列モジュール最初の3基が西豪州カラサに到着したことを発表した。このモジュールはBechtel社のインドネシア拠点で組み立てられ、当該モジュールヤードから持ち込まれる51基中の3基とされる。Scarboroughプロジェクトは55%以上が完成し、初LNGカーゴは2026年を目標としている。
  • JERA、豪Woodside Energy社は、2024年2月23日、Scarborough合弁事業の 15.1%持分 (LNG最大年間120万トン相当) をWoodsideからJERAに移管するSPAを発効期日2022年1月1日として締結したことを発表した。取引完了は2024年後半を見込んでいる。WoodsideとJERAは、2026年から10年間、WoodsideグローバルポートフォリオからのDES条件、年間6カーゴ (最大40万トン) の売買についてのHOAも締結した。
  • 豪Santos社は、2024年2月21日、Barossaガス開発1本目の生産井が仕上がり、2本目が作業中であり、同プロジェクトは2023年末時点で66.4%完了、Darwin LNG へのバックフィル供給は2025年第3四半期に期待されると述べた。BarossaプロジェクトはBayu-Undan CCSの潜在CO2源の1つで、同CCSプロジェクトは2025年のFIDを目標としている。
  • 豪Santos社は、2024年2月1日、パプアニューギニアKumul Petroleum Holdings社が、3.52億米ドル (PNG LNG の1.6%相当)をSantosに支払ったことを発表した。Kumulは2.6%分を所有するSantos子会社の持ち分を取得している。

 

北米地域

  • 米政府は、2024年1月26日、非FTA (非自由貿易協定) 諸国向けLNG輸出に関する判断を、DOEが承認に向けた根拠となる分析を更新するまで一時的に停止することを発表した。今回の一時停止は、予想外・切迫する国家安全保障上の緊急事態を例外とする。短期的に同盟諸国に対するLNGを供給する能力には影響を及ぼさないと指摘している。「停止」がいつ解除されるか、時期は示されていない。
  • 米商工会議所、BusinessEurope、経団連は、2024年1月26日、DOEによる非FTA諸国へのLNG輸出ライセンス申請の審査・承認一時停止の発表に関して、重大懸念を表明する書簡をホワイトハウスに送った。
  • 米連邦議会上院エネルギー・天然資源委員会にて、2024年2月8日、LNG輸出承認・LNG輸出申請のDOEによる審査手続の現政権による一時停止措置に関する公聴会が行われた。米連邦議会下院は、15日、DOEからLNG設備承認権限を剥奪し、現政権が導入した承認手続一時停止を覆すことを採択した。同法案 (2024年米国産LNGポテンシャル発揮法案) は、輸出プロジェクト承認権限をFERCのみに認めるものとしている。
  • Cheniere Energy社、Cheniere Energy Partners社は、2024年1月31日、いずれもニューヨーク證券取引 (NYSE) より、NYSE Americanからの格上げ上場を承認されたことを発表した。
  • Cheniere Energy社は、2024年2月22日、CCL Stage 3プロジェクト第1系列からの最初のLNG生産が2024年末に実現されるとの見通しを述べた。CCL Stage 3プロジェクトはミッドスケール7系列で構成され、総生産容量年間1,000万トン超を見込む。
  • Cheniere Energy社は、2024年2月22日、DOEによる非FTA諸国向けLNG輸出承認判断停止の決定が、自社Sabine Pass、Corpus Christi拡張プロジェクトやそのFERC手続には影響していないが、米LNG産業全体として規制・許可手続上の不確実性を生み出していると述べた。Cheniereは、両プロジェクトのFID目標をそれぞれ2025年、2026年としている。
  • 国際協力銀行(JBIC)、Sempra Infrastructure Partners社は、2024年2月2日、エネルギートランジッションにおける協力推進等を目的としたMOUを締結したことを発表した。
  • Venture Global LNG社は、2024年2月15日付FERCへの提出文書によると、 Calcasieu Pass LNG輸出設備の営業開始条件を、同委員会が必要とみなす限りにおいて、2025年2月21日まで1年間延長することをFERCに申請した。Venture Global社は、Calcasieu Passの発電設備が2024年第4四半期に修復作業が完了するまではコミッショニング段階にあり、営業開始できないと述べた。Calcasieu Passは2019年2月19日に承認指令を受けた。この指令では液化設備を5年間以内に建設または営業開始することが規定されている。bp、Shell、Repsol、Edisonはそれぞれ、2024年2月21日と22日にFERCに対し、Venture Globalの同申請への対応を要請した。
  • Venture Global LNG社は、Venture Global CP2 LNG社、Venture Global CP Express社を通じて、2024年2月15日付書簡により、FERCに対し、2024年3月21日の同委員会公開会合までにCP2 LNGプロジェクトを承認する指令を発行することを求めた。同書簡によれば、同プロジェクトは、JERA、SEFE Securing Energy for Europe、EnBW、ExxonMobil、Chevron、Inpex、China Gas、New Fortress Energyとの間で、LNG輸出容量合計年間925万トン分の拘束力ある20年間の引取契約を確保している。同プロジェクトは、同委員会承認を待つメキシコ湾岸の他のどのプロジェクトよりもコマーシャル面・資金調達面で進展しているとしている。
  • Tellurian社による2024年1月29日付株主向け書簡によると、同社によるコマーシャル面での諸活動が良好、順調に進んでいる。Tellurianは、非FTA諸国向けライセンスを2050年まで有効に所持している。同書簡によれば、Tellurianが建設完成に近付くにつれ、同社はこの建設スケジュールに対応するためにライセンスに基づく操業開始日の条件を調整する意向である。Tellurianは自社資産の価値を実現するための助言を求め、考え方を拡張するため、フィナンシャルアドバイザーとしてLazard氏を指名したと述べた。
  • FERCは、2024年2月15日、Tellurian社に対しDriftwood LNG設備稼働開始期限を2029年4月までとする3年間の延長を承認した。FERCはDriftwood LNGが「正当な理由を示した」と述べた。Tellurianは、2023年10月、パンデミック関連の「全く予測不能な状況」を理由に建設期間延長をFERCに申請していた。同委員会は、LNGプロジェクトに関してDOEと調整することなく迅速な手続きを続けるとFERC委員長は述べた。
  • Tellurian社は、2024年2月23日、2023年業績報告にて、Driftwood LNGプロジェクトを推進し、現場で杭14,000本以上を打ち込み、重要機器のコンクリート基盤製造を進めたことを明らかにした。
  • Glenfarne Energy Transition社は、2024年1月25日、テキサス州のLNG輸出プロジェクトで自社子会社のTexas LNGが、陸軍工兵隊 (USACE)許可、テキサス州鐵道委員会より州レベルの許可を受け、FIDに必要な許可手続を完了したことを発表した。Texas LNGは最近、EQT Corporationとの間で、LNG年間50万トン分の天然ガス液化業務のHOAを締結した。Texas LNGは、2月16日、自社設備に到着するLNG輸送船舶を支援するため、Gulf LNG Tugs of Texas社を長期契約で曳船を建造・引渡・運航する業務に選定したことを発表した。
  • Chesapeake Energy社、Delfin LNG社、Gunvor Group社はGunvor Singapore社を通じて、2024年2月13日、長期液化引取SPAsを含むLNG輸出取引を発表した。Chesapeakeは、Delfinから2028年開始目標で、ヘンリーハブ価格で20年間、年間50万トンのLNGを購入し、Gunvorに対してFOB条件で20年間、JKM連動の販売価格にて引き渡す。この分の数量は、既に (2023年3月) 発表済みのGunvor社との最大年間200万トンのHOAの一部となる。
  • カナダCedar LNGとそのパートナーHaisla Nation、Pembina Pipeline社は、2024年2月23日、プロジェクト最新状況を明らかにした。FIDは2024年半ばに見込まれている。
  • New Fortress Energy (NFE)社は、2024年1月29日、米国税関・国境警備局が、同社メキシコのアルタミラFLNG設備で生産されたLNGを非米国船籍の船舶で輸送してもジョーンズ法に違反しないことを確認する裁定を下したことを発表した。NFEは、メキシコ沖アルタミラのFLNG設備で生産されるLNGを、プエルトリコを含む米国の各所に引き渡すことが可能になったと述べている。
  • FERCは、2024年2月15日、メキシコのソノラ州にあるMexico Pacific社のSaguaro LNGプロジェクトへの接続幹線となるSaguaro Connectorパイプラインを承認した。 Saguaro LNGはメキシコ国内で開発されることになるSierra Madreパイプラインも必要としている。Saguaro LNGは既にDOEからメキシコへの天然ガス輸出、そして LNGを米国と自由貿易協定を有していない諸国に輸出する承認を得ている。

 

欧州および周辺地域

  • 英National Grid社のGrain LNGは、2024年1月31日、アルジェリアSonatrach社のGrain LNG基地での長期貯蔵・払出容量を2029年1月から延長する10年契約を締結したことを発表した。Grain LNGによると、2023年9月に開始した同基地競争入札での輸入容量日量125 GWh (年間300万トン相当) における最初の契約である。
  • 英Grain LNG社と米Venture Global LNG社は、2024年2月5日、Venture Global のCP2 LNGを含むルイジアナ州設備からのLNGの気化・販売を可能とする長期基地利用契約 (TUA) の締結を発表した。Venture Globalは、Isle of Grain LNG受入基地で2029年から16年間、年間300万トンの貯蔵・気化容量にアクセスを得ることとなる。
  • ポーランド国営ガスパイプライン操業企業GAZ-SYSTEM社と商船三井(MOL)は、2024年2月2日、GAZ-SYSTEMがグダニスク湾LNG輸入基地計画向け新造FSRU 1隻の定期傭船契約に関する優先交渉相手先としてMOLを選定したことを発表した。
  • ロシア首相は、2024年2月9日、2024年12月を期限としていた2023年6月10日付指令を修正し、Yamal LNG設備からSEFE Marketing & Trading Singapore 社へのLNG供給を2040年12月まで承認する指令を発行した。

 

その他地域

  • カタールQatarEnergy社は、2024年2月4日、Mitsui & Co. Energy Trading Singapore 社との間で長期コンデンセート供給契約を締結したことを発表した。10年間の供給契約で、2024年4月から年間最大1,100万バレルを供給することを規定している。 North Field East (NFE) 、North Field South (NFS) 拡張プロジェクトが稼働開始すれば増量するオプションを含んでいる。
  • GTT社は、2024年2月13日、中国の造船会社より8隻の新造LNG輸送船舶のタンク設計を受注したことを発表した。各船は総容量271,000 m3となる5基のタンクを有することとなる。タンクはGTT社が開発したNO96 Super+メンブレン積載方式となる。引渡は2028年第2四半期から2029年第4四半期を予定している。
  • アブダビADNOC社とbp社は、2024年2月14日、エジプトでの新規合弁事業 (JV) 設立に合意したことを発表した。当該JV (51% bp ・ 49% ADNOC) は両社の技術力を統合し、ガスポートフォリオを拡大する。bpは同国での3つの開発鉱区と探鉱契約の持ち分を新JVに提供する。ADNOCは出資比率に応じてキャッシュ拠出を行い、それは将来の成長機会に用いられることとなる。
  • bp社は、2024年2月15日、Greater Tortue Ahmeyim (GTA) LNGプロジェクトのFLNG船舶が、モーリタニア・セネガル海洋境界上の目的地に到着したことを発表した。GTA第1段階開発用FLNG “Gimi”はパートナーであるKosmos Energy社、 PETROSEN社、SMH社とともにbpによって操業されることになる。GTA第1段階はLNG年間230万トンを生産予定である。Golar LNG社が所有・運航するGimi FLNGは、2023年11月、シンガポールから出航した。Allseas社は、2024年2月20日、Pioneering Spirit社が同プロジェクトのガス田領域内の配管敷設を完了したことを発表した。
  • ENI社は、2024年2月16日、コンゴ沖Marine XII鉱区のTango FLNG船舶コミッショニングに言及し、2024年第1四半期に最初のLNGカーゴの引渡を見込むと説明した。
  • New Fortress Energy (NFE) 社は、2024年2月15日、Energos Infrastructure社の同社20%出資分をApollo 社傘下のファンドに売却完了したことを発表した。 Energosは、NFEとApollo Fundsが2022年8月に設立したLNG引渡・貯蔵・気化業務を提供するグローバルな海洋インフラストラクチャ企業である。Energosは13隻のLNGインフラストラクチャ船舶を所有・運航しており、内訳は9隻のFSRUs、2隻のFSUs、2隻のLNG輸送船舶となっている。NFEは6隻をEnergosから傭船している。
  • カタールQatarEnergy社は、2024年2月25日、自国LNG生産容量を2030年までに年間1.42億トンに引き上げる"North Field West"プロジェクト計画を発表した。評価掘削・試験によりNorth Fieldガス田の生産層が西方に延長していることが確認できたとされている。同ガス田の追加ガス量として推定240tcf を加え、同国ガス埋蔵量を1,760 tcfから2,000 tcfに増加、さらにコンデンセート埋蔵量を700億バレルから800億バレル超、加えてLPG、エタン、ヘリウム埋蔵量を増加するという。 QatarEnergyは、North Field Westプロジェクトの承認された日程通りに実現するため、直ちに基本エンジニアリング作業を開始するとしている。

 

(注: bcm: 10億m3、CCS: 炭素回収・貯蔵、DES: 持ち届け ex-ship、DOE: 米連邦エネルギー省、EPC: エンジニアリング・調達・建設、EPCI: エンジニアリング・調達・建設・設置、 EPCm: エンジニアリング・調達・建設管理、FEED: 基本設計、FERC: 米連邦エネルギー規制委員会、FID: 最終投資決定、FLNG: 浮体液化設備、FOB: 本船渡し、FSRU: 浮体貯蔵・気化設備、FSU: 浮体貯蔵化設備、HOA: 基本合意、MOU: 覚書、SPA: LNG売買契約)

 

 

作成協力 一般財団法人日本エネルギー経済研究所

 

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