2024年10月

天然ガス・LNG価格動向

直近の値動き

アジア

  • 北東アジアのアセスメントされたスポットLNG価格JKMは、中東の地政学的緊張の高まりによる大幅な価格変動の可能性もあり、買い手が冬を前に在庫の補充を進めたことから10月半ばにかけて13ドル半ばまで上昇した。他方で高価格や堅調な供給を背景に概ね月を通じて小幅な値動きにとどまっている。
  • JOGMECは9月の日本着スポットLNG月次価格(速報)について、同月に契約がなされて同月以降に日本に入着するスポットLNG取引の平均価格(契約ベース)を13.7米ドルとした。また、同月中に日本に入着したスポットLNG取引の平均価格(入着ベース)を13.0米ドルとした。
  • 財務省貿易統計速報に基づくと、2024年9月の日本平均LNG輸入価格は100万Btu当たり12.06米ドル、円建てでは1トン当たり90,261円となった。前者の米ドル建ての価格は、2024年6月の全日本平均原油輸入CIF価格が前月比下落したため、前月比下落となった。供給地域別では、米国産は12.06米ドル、ASEAN地域産が11.93米ドル、中東産が11.09米ドル、ロシア産が12.41米ドルであった。また、9月の北東アジア各国の平均輸入価格は、中国11.23米ドル、韓国11.81米ドル、台湾10.91米ドルであった。全日本平均原油輸入CIF価格(JCC: Japan crude cocktail)は2024年9月には1バレル当たり82.77米ドル、円建てでは1キロリットル当たり75,138円となった。
  • 9月の日本のLNG輸入量は、543万トンと前年同月比で1.7%減少した。なお、日本の4-9月の年度上半期の総輸入量は3150万トンと前年同期比5.1%増となったが、2022年同期比では9.7%減となった。9月の中国のLNG輸入量は684万トンと前年同月比で21.7%増加、韓国は334万トンと前年同月比で14.5%増加、台湾は199万トンと前年同月比18.1%増加となった。

米国

  • 米国スポットガス価格HHは、10月初めには3米ドル台に迫ったものの、中旬にハリケーン・ミルトンの影響で停電が発生したことによりガス火力発電の需要が低下、テキサス州と中西部の大部分で10月末まで平均を上回る気温が予想されたこともあり、月を通じて概ね下落基調に推移している。

欧州

  • 欧州ガススポット価格TTFは、中東の地政学的リスクの高まりに加え、ノルウェー・ガス田での計画外メンテナンスによる供給量減少が散発的に発生する中で主に12米ドル後半を推移。しかしながら高在庫や需要の低さが上昇抑制の要因となり大きな変動は見られていない。

天然ガス・LNG価格推移(直近2年)

中長期の値動き

  • JKMは2023年6月、JKMは欧州ガス価格の影響等を受け12米ドル付近で推移したが、7月には高在庫と低需要を背景に若干軟化し11米ドル付近で推移した。8月には豪州の主要プロジェクトでのストライキ発生の可能性が生じ、価格はやや上昇基調に入り、9月にストライキが実施された後は15米ドルまで上昇した。10月には中東での紛争の勃発等を受け17米ドルまで上昇したが、11月には地政学的リスクがいくらか緩和され概ね14米ドルで推移した。12月には豊富な供給と軟調な需要によりJKMは11米ドルまで下げ、年が明けた1月においても傾向は変わらず概ね9米ドルで推移した。2月に入り北東アジア地域での旧正月後には下落基調は更に拍車がかかり8米ドルを割ったが、3月には短期的な需要が発生したことなどから一時10米ドルに近づいた。4月半ばには中東情勢激化への懸念等もあり中旬に11米ドル前半まで急騰するも、下旬には緊張緩和により10米ドル前半で推移。5月は夏季に向けた需要増を背景に、下旬には11米ドル後半から-12米ドル台前半を推移。6月も夏場の需要増等を背景に一時13米ドル半ばまで上昇。7月は需要が低調ながら価格下落による短期的な購入意欲の高まりもあり11米ドル後半から12米ドル前半を推移。8月中旬には地政学的な不透明さを背景に14米ドル半ばを付け2024年中の最高値を更新した。9・10月は低需要を背景に軟化し13米ドル付近を推移。
  • 日本平均LNG輸入価格は、2020年3月以降の原油価格急落の影響により、8月から10月にかけて2005年1月以来の低水準となる5米ドル台まで下落、その後原油価格上昇に伴い、12月には7米ドル台に上昇した。堅調な原油価格の値動きに応じて、2021年2月には9米ドル半ばまで上昇後、3月は7米ドル半ばまで下落した。その後は、2022年6月までの日本平均原油価格の上昇に伴って、続く18ヶ月間は概ね一貫して上昇し、2022年9月には過去最高の22.73米ドルを記録した。その後、原油価格の2022年7月以降の下降傾向も一因として、2023年4月以降は11から13米ドル台で推移している。

天然ガス・LNG価格推移(直近10年)

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(出典)
米国HH(Henry Hub)価格: NYMEX Futures and Options, CME Group
蘭TTF(Title Transfer Facility)価格:ICE Endex, Intercontinental Exchange
JKM: LNG Japan/Korea Marker© 2024 by S&P Global Platts, a division of S&P Global Inc.
JOGMECスポットLNG価格:JOGMEC「日本着スポットLNG月次価格」、2021年3月までは経済産業省「スポットLNG価格調査」を出典とする
日本平均LNG輸入価格: 財務省貿易統計をもとに作成
EUA(EU ETS): ICE Endex, Intercontinental Exchange

上記閲覧に際しては、以下について同意することとなります。

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天然ガス・LNG在庫動向

日本

  • 2024年3月末の国内LNG在庫量は395万トンで、前月比14.3%、65.7万トンの減少、前年同月比では27.8%減少し、過去5年平均値を66.2万トン下回った。(昨月公表分から更新なし)
  • 7月末のガス事業用LNG在庫量は240万トンで、前月比7.5%減、前年同月比では0.5%減となった。7月の都市ガス用LNG消費量は前年同月比10.3%増の245万トン、都市ガス用LNG受入量は前年同月比10.4%増の225万トンだった。
  • 3月末の発電燃料用LNG在庫量は178万トンで前月比27.6%減、前年同月比36.7%の減少となった。3月の発電燃料用LNG消費量は、前年同月比で19.9%増の358万トン、発電燃料用LNG受入量は、前年同月比で1.5%増の337万トンであった。(昨月公表分から更新なし)
  • 2024年10月23日に経済産業省が発表した「発電用LNGの在庫状況」によると、大手電力事業者の10月20日時点のLNG在庫は212万トンであった。2023年10月末比では7万トン下回り、過去5年間の10月末平均を10万トン上回っている。

国内LNG月末在庫量(直近2年)

国内LNG月末在庫(直近10年)

(出典)
経済産業省「ガス事業主生産動態統計」及び「電力調査統計・火力発電燃料実績」をもとに作成したもので、これら月末在庫を合算した値を国内在庫としてみなしたもの。なお、利用可能なデータは2008年1月以降のものであるため、過去5年平均は2013年1月分から計算している。


米国

  • 2024年10月11日の米国天然ガス地下貯蔵有効稼働ガス在庫(ワーキングガス)は、米国エネルギー情報局(EIA)のデータによると、3.71Tcfで前月比7.5%増となった。在庫量は2023年の同時期と比較すると2.2%高く、過去5年平均値を158.4Bcf上回っている。

米国天然ガス地下貯蔵量(直近2年)

米国天然ガス地下貯蔵量(直近10年)

(出典)
米国エネルギー情報局(U.S. Energy Information Administration, EIA)のデータをもとに作成


欧州

  • 2024年10月21日現在のAggregated Gas Storage Inventory(AGSI+)加盟各社中、EU加盟国各社が有する欧州天然ガス地下貯蔵在庫は1093.9TWh(LNG換算7,236万トン相当)であった。これは前年同期より2.5%、28.5TWh(LNG換算189万トン相当)下回るものだった。貯蔵容量に対する充填率は95.3%であり、前年同期の98.4%を下回り、過去5年間平均値の92.2%を上回った。貯蔵容量の大きなドイツ、イタリア、オランダの充填率はそれぞれ97.8%、98.1%、91.0%であった。

欧州天然ガス地下貯蔵量(直近2年)

欧州天然ガス地下貯蔵量(直近10年)

(出典)
Aggregated Gas Storage Inventory(AGSI), Gas Infrastructure Europeのデータをもとに作成。なお、利用可能なデータは2011年1月以降のものであるため、過去5年平均は2016年1月分から計算している。

 

  • 2024年10月21日現在のAggregated LNG Storage Inventory(ALSI)加盟各社が有する欧州LNG在庫量は543.8万m3で、前月比14.6%増加、前年同日比5.4%減少、過去5年平均値を2.3%下回っている。貯蔵容量に対する充填率は61.2.%であり、前年同期の63.8%を下回っている。

欧州LNG在庫量(直近2年)

欧州LNG在庫量(直近10年)

(出典)
Aggregated LNG Storage Inventory(ALSI), Gas Infrastructure Europeのデータをもとに作成。なお、利用可能なデータは2012年1月以降のものであるため、グラフ中の過去10年平均及び過去10年平均幅の値については、5年未満の値が含まれる。


天然ガス・LNGプロジェクト動向

ハイライト

  • 世界各地でLNG売買取引、LNG生産プロジェクト開発、バリューチェーン向上(船舶設計改善・開発、メタン排出管理)などの動きが活発である。既にLNG輸入を開始しているアジアの新興市場は、スポットLNGカーゴの調達に動いている。米国、中東、アフリカのLNGプロジェクト関連でいくつかのエンジニアリング案件の進展が見られた。

 

アジア・オセアニア地域

  • TotalEnergiesは2024年9月24日、韓国HD Hyundai Chemicalとの間で2027年から7年間、年間20万トンのLNG引き渡し、価格はブレント・ヘンリーハブ両方に連動での売買HoA締結を発表した。
  • Vitolは2024年10月18日、China Gas Hongda Energy Tradingと長期スワップ合意を結んだことを発表した。Vitolは2029年から、China Gas Hongda Energy Tradingが米国で契約している50万トンのLNGをFOB条件で買い取り、50万トンをDES条件で後者に販売する。
  • 三菱商事株式会社とマレーシアPetronasは2024年9月27日、前者のMLNG Dua での10%権益延長、MLNG Tigaへの10%再参入につき、合意に至ったことを発表した。
  • マレーシアPetronasは2024年10月2日、ASEANエネルギー部門の主要プレイヤー、政府機関、国際機関と協力して、ASEAN Energy Sector Methane Leadership Programme 2.0(MLP 2.0)発足を発表した。"Turning Capacity into Action"と標題を掲げ、2023年6月から2024年10月まで実施したMLPの成果に積み上げる。Petronas・JOGMEC間のMETEC(Southeast Asia Methane Emissions Technology Evaluation Centre)設立協力も開始する。
  • 豪Santosは2024年10月17日、Moomba CCSプロジェクトがコミッショニングを完了、稼働開始し、CO2をCooper盆地枯渇貯留層にフルレートにて貯蔵している、と述べた。Santosは2024年、25万トンのCO2を注入することを見込んでいる。
  • 豪Santosは2024年10月2日、TotalEnergies Gas & Power Asiaと、3.25年で20カーゴ、最大約年間50万トンの中期LNG供給契約を締結したことを発表した。本契約は2025年第4四半期開始、LNGは SantosグローバルポートフォリオからDES条件、原油連動価格条件で供給されることとなる。
  • 豪Santosは2024年10月10日、Darwin LNGに関し新規の銀行協調融資総額8億米ドルのファイナンスクローズを実現したことを発表した。2023年末Bayu-Undanガス田からのLNG生産終了後、Darwin LNGはBarossaとの長期契約により設備の設計耐用年数を延ばしガスを処理し船舶へ積み込むため「延命」作業を実施している。
  • 豪Woodside Energyは2024年10月11日、Scarboroughプロジェクトのパイプライン敷設完了を発表した。全長433kmのパイプラインによりオフショアScarboroughガス田からのガスを陸上カラサPluto LNGに輸送することとなる。敷設に約12か月間を要した。ScarboroughによるLNGファーストカーゴは2026年を目標としている。Scarboroughプロジェクトは3分の2以上完成している。
  • 豪Woodside Energyは2024年10月7日、6日にJOGMECとメタン排出管理に向けたMOUを締結したことを発表した。METRIC(Methane Emissions Technology Reduction and Innovation Collaboration)というこのMOUにより、JOGMECは Woodsideをメタン排出検知・定量化技術開発協力に関心を持つ日本諸機関に紹介することとなる。MOUにより3年間でWoodsideはMETRIC目的達成に取り組み、メタン排出管理に関する知見を深め、将来のデジタルや技術の事業化協力における潜在的な選択肢を検討する、としている。
  • 豪WoodsideとシンガポールKeppelは2024年10月21日、早ければ2030年からKeppelのシンガポールのデータセンター向けの液化水素供給・購入に関する条件付きタームシートを締結したことを発表した。2023年4月の法的拘束力を持たないHOA締結に続くもの。液化水素供給源は、H2Perth等Woodsideが計画中の設備が含まれる。
  • Wison New Energiesは2024年10月18日、パプアニューギニアKumul Petroleum Holdingsと、FLNG Pre-FEED契約を締結したことを発表した。年間150万トンの生産能力を見込んでおり、同国最初のFLNGとしてパプア湾に配置する計画である。Pre-FEEDは2025年6月までに完了予定である。

 

北米地域

  • DOE/FECM(米連邦エネルギー省化石エネルギー・カーボンマネジメント局)は2024年10月3日、グローバル市場での排出削減を推進すべく、天然ガスサプライチェーンの温室効果ガス(GHG)に関する信頼性の高い情報推進のための国際ワーキンググループ実現に向けた進捗状況を発表した。MMRV(測定、監視、報告、認証)に関する合意された枠組がないことにより、GHG排出削減を促すための購買の決定を買主が行うことが制限されている。国際MMRVワーキンググループは、2025年から国際市場で様々な供給者からの天然ガスサプライチェーンにおけるGHG排出を比較するため、この枠組を構築・提供する上でのいくつかのマイルストーンに到達したとしている。
  • FERCは2024年10月17日、Corpus Christi Liquefactionに対して、ステージ3プロジェクトの供給配管ラインにおける業務開始について、8月12日付の申請を許可する書簡を発行した。
  • Venture Global Calcasieu Passのルイジアナ州キャメロンCalcasieu Pass LNGプロジェクトに関してFERCは2024年9月26日、建設・試運転検査報告書において検査期間中の建設・試運転活動はFERCに提出され承認された設計・計画に準拠したものだった、と述べた。環境上の問題や違反行為は検査期間中に特定されることはなかったという。同報告書は、Venture Globalのチームが機器パフォーマンスの検査・修繕に関して問題を正しく特定し、機器パフォーマンスを解決する恒久的なソリューションを確立するため、ベンダーや業界専門家等と協力し、慎重かつ技術的に健全な方法で取り組んでいる、とした。
  • Venture Global Plaquemines LNG社は、2024年10月1日、DOE/FECMに半期現状報告を提出した。これによるとPlaquemines LNGは現在最初のLNG輸出の目標を2024年末までとし、プロジェクト初期段階の商業生産開始を2026年半ば、第2段階の商業生産開始を2027年半ばと見込んでいる。
  • Tellurianは2024年10月4日、株主が(豪Woodside Energyとの)合併契約案を承認したことを発表した。Woodside Energyは9日、Tellurianおよびルイジアナ州メキシコ湾岸Driftwood LNG開発事業買収を完了したことを発表した。Woodsideは同開発事業名をWoodside Louisiana LNGと改称したことも発表した。同プロジェクトは、建設中でFID前、LNG設備の総生産能力は年間2,760万トンとなる。Woodsideは2025年第1四半期のFIDを目標としている、と述べた。
  • 米テキサス州選出の連邦議会上院議員2名は2024年9月27日、LNG保護法案を提出したことを発表した。同法案は法廷が既に承認されたLNG許可を取り消すことはできないこと、連邦裁判所におけるLNG訴訟の管轄を明確化し、重要なケースについて迅速な結論を出すべきことを義務付けるとしている。
  • KBR、Technip Energiesは2024年9月19日、両社のKTJV合弁事業体が米Energy Transfer子会社 Lake Charles LNG Export Companyから、 Lake Charles LNG改造プロジェクトに選定されたことをそれぞれ発表した。KTJVはEPC業務をLake Charles LNGによる同プロジェクト推進通知発行決定を条件として遂行することとなる。同プロジェクトは、Energy Transfer既存輸入設備をLNG輸出設備に改造する。
  • Honeywellは2024年9月30日、Air ProductsのLNGプロセス技術と機器ビジネス買い取りが完了したことを発表した。Honeywellは、自社の全サービスソリューションにより天然ガス前処理、最新型液化・デジタル自動化技術をHoneywell Forge and Experionプラットフォームに織り込みAir Productsコイル巻型熱交換器(CWHE)技術を加え、顧客に総合サービスを提供できると述べている。
  • 米天然ガス生産大手Chesapeake EnergyとSouthwestern Energyは2024年9月26日、1976年Hart-Scott-Rodino反トラスト改善法(HSR法)による合併計画待機期間が満了になったことを発表した。合併とともに米国最大の天然ガス生産企業となり、 Expand Energyという新名称となる。
  • Sempra Infrastructureは2024年10月1日、ECA Liquefaction, S. de R.L. de C.V. を代表しDOEに半年毎の報告を提出した。これによるとECA Liquefactionは商業運転開始目標を2026年春とし、前回報告の2025年夏から先送りした。Sempraの2024年8月6日の同年第2四半期報告では、ECAプロジェクトに関してフェーズ1の進捗は85%完成、鉄骨建設完成・地上配管工事進展(65%完成)、COD(商業稼働開始)は2026年春。この新たなスケジュールは、コントラクター側の労働力確保や生産性の諸問題が影響している、というアップデートを含んでいた。

 

欧州および周辺地域

  • 英National Gridが操業するGrain LNG基地は2024年10月9日、自社操業に関するメタン排出のパフォーマンスに関してMiQ認証を受けた(verified)ことを発表した。MiQにより'B'グレードとされ、Grain LNGはLNG港湾として世界初、また北米外の設備として初めてMiQ認証受けた。この認証により、LNG買主はGrain LNGにおける排出に関して第三者監査による認証によって、メタン排出プロファイルに基づきカーゴを選択することができる。MiQは米国の天然ガス生産の20%についてメタン排出の認証(certified)を行っており、その先端を行くSupply Chain Protocolにより、天然ガス買主に対してLNGからの排出について信頼できる推計を初めて提供することができる、とのこと。
  • ギリシャ Gastradeは2024年10月1日、Alexandroupolis LNG基地が商業稼働を開始したことを発表した。同発表によれば、自国及び国際企業14社が同プロジェクトに商業参加しており、少なくとも2030年分まで同基地容量のほとんどをコミットしているとのこと。
  • 英国政府(外務省)は2024年9月26日、Arctic LNG 2プロジェクトなどのロシア産LNG出荷に関わる5隻と2社を制裁対象としたことを発表した。英国はこれによりロシアLNG部門の15の船舶や機関を制裁対象としたこととなる。

 

その他地域

  • McDermottは2024年10月3日、QatarEnergy LNGからNorth Field South(NFS)海底パイプライン・ケーブルプロジェクトのEPCI契約を受注したことを発表した。McDermottにとって、NFSパイプラインFEED、NFSジャケットEPCI、NFS上部構造を含むNFXP上部構造・パイプラインに続く受注となる。NFSインフラストラクチャーは、追加の2系列のLNGに原料ガスを供給するもので、North Field拡張プロジェクト(NFXP)の一環である。契約範囲として、5基の新規洋上井戸元プラットフォームを陸上LNGの2系列に接続するパイプライン約250kmと海底電力・制御ケーブルのEPCIとなる。
  • Oman LNGは2024年10月9日、関西電力と2026年から4年契約のLNG SPAを締結した、と述べた。年間40万トンを確保するもの。
  • オランダ Dixstoneは2024年9月下旬、西アフリカのガボンCap LopezでのLNGプロジェクトEPC契約を受注したことを明らかにした。同プロジェクトは沿岸LNG設備で、LNGを年間70万トン、LPGを年間2.5万トン生産する(フェーズ1)。Dixstoneはドバイで液化バージを建造する計画である。
  • TotalEnergiesは2024年10月2日、「2024 Strategy and Outlook」プレゼンテーションでMozambique LNGプロジェクトに関して、2029年LNG出荷開始のスケジュールを示した。
  • 日揮ホールディングス、Technip Energiesは2024年9月25日、日揮グローバルとTechnip Energiesが共同でExxonMobil、ENI、CNPCで構成される事業会社 Mozambique Rovuma Ventureからモザンビーク北東部におけるRovuma LNGプロジェクトのFEED契約を受注したことを発表した。プロジェクトは、総生産能力年間1,800万トンであり、プラント設計は電気駆動のLNGトレインを特徴とする。また、標準化されたモジュールの建設やプロジェクト現場での組み立ても含まれる。
  • McDermottは2024年9月30日、Saipemと中国CPECCのコンソーシアムを通じ、モザンビークでの、ExxonMobil Development Africa B.V.、Eni S.p.A.、CNODC Dutch Cooperatief U.A.の合弁事業であるRovuma LNG Phase 1プロジェクト向けのFEED契約を受注したと発表した。同プロジェクトは、モザンビークのアフンギ半島沖 Offshore Area 4ガス田群から生産された天然ガスを液化・輸出するもの。FEED契約の範囲は、Afungiでの新規LNG生産設備のモジュール設計、随伴ガス前処理設備、オフサイトのLNG生産を支える設備・システムを対象とする。設備全体の生産能力は年間1,800万トンとなる。なお、役務の範囲にはEPC提案も含まれる。
  • Eniは2024年10月6日、Eni・JOGMECが、供給源多角化に向けLNG分野で協力するMOCを締結したことを発表した。エネルギートランジッションにおけるLNGの役割を強化し、経済成長・エネルギーセキュリティを確保しながらのカーボンニュートラリティ実現の重要性を強調し、EniによるLNG供給、モザンビークCoral Northプロジェクトへの日本金融機関の支援可能性を含めている。EniはCLEANも支持する。
  • KBRは、2024年10月14日、トリニダード・トバゴManateeガス田プロジェクトの陸上部分Beachfield Manatee増強向けのエンジニアリング・調達業務を受注したと発表した。Manateeガス田はAtlantic LNGに原料ガスを供給することとなる。今回の受注はKBRがManateeプロジェクト全体のFEED業務を実施した最近の契約の完了に続くもの。

 

(注: bcm: 10億m3、CCS: 炭素回収・貯蔵、DES: 持ち届け ex-ship、DOE: 米連邦エネルギー省、EPC: エンジニアリング・調達・建設、EPCI: エンジニアリング・調達・建設・設置、 EPCm: エンジニアリング・調達・建設管理、FEED: 基本設計、FERC: 米連邦エネルギー規制委員会、FID: 最終投資決定、FLNG: 浮体液化設備、FOB: 本船渡し、FSRU: 浮体貯蔵・気化設備、FSU: 浮体貯蔵化設備、HOA: 基本合意、MOU: 覚書、SPA: LNG売買契約)

 

 

作成協力 一般財団法人日本エネルギー経済研究所

 

添付ファイル