2024年11月
天然ガス・LNG価格動向
直近の値動き
アジア
- 北東アジアのアセスメントされたスポットLNG価格JKMは、北東アジアにおける高在庫に支えられて需要は強くないながらも、冬に向けて気温の低下もあり価格は上昇基調で、18日には14米ドル台を付けた。そこにロシアとウクライナ間の緊張の高まりも加わりさらに上昇、下旬には15米ドル台を記録している。
- 財務省貿易統計速報に基づくと、2024年10月の日本平均LNG輸入価格は100万Btu当たり12.06米ドル、円建てでは1トン当たり91,190円となった。前者の米ドル建ての価格は、2024年7 月の全日本平均原油輸入CIF価格が5 - 6月からほぼ横ばいであったため、8 - 9月とほぼ同水準となった。供給地域別では、米国産は10.93米ドル、ASEAN地域産が12.13米ドル、中東産が12.14米ドル、ロシア産が12.29米ドルであった。また、10月の北東アジア各国の平均輸入価格は、中国11.44米ドル、韓国12.42米ドル、台湾11.52米ドルであった。全日本平均原油輸入CIF価格(JCC: Japan crude cocktail)は2024年10月には1バレル当たり80.09米ドル、円建てでは1キロリットル当たり73,473円となった。
- 10月の日本のLNG輸入量は、529 万トンと前年同月比で2.2%減少した。10月の中国のLNG輸入量は655万トンと前年同月比で28.0%増加、韓国は446万トンと前年同月比で31.4%増加、台湾は184万トンと前年同月比13.6%増加となった。
米国
- 米国スポットガス価格HHは、11月初めには温暖な天候もあり2米ドル台半ばから後半を推移していた。しかし下旬には気温低下により暖房需要が高まり価格も上昇、3米ドル台を付けるに至っている。
欧州
- 欧州ガススポット価格TTFは、上旬には風力発電量の低下や気温低下を背景として上昇。半ばにはオーストリアOMVがロシアからのガス供給停止を公表したことを受けて14ドル台に上昇。しかしロシアからオーストリアへのパイプラインガス供給が続いており、この供給懸念は一時後退した。また、11月上旬からは欧州地下ガス貯蔵からの引き出しが続いている。
中長期の値動き
- JKMは2023年6月、JKMは欧州ガス価格の影響等を受け12米ドル付近で推移したが、7月には高在庫と低需要を背景に若干軟化し11米ドル付近で推移した。8月には豪州の主要プロジェクトでのストライキ発生の可能性が生じ、価格はやや上昇基調に入り、9月にストライキが実施された後は15米ドルまで上昇した。10月には中東での紛争の勃発等を受け17米ドルまで上昇したが、11月には地政学的リスクがいくらか緩和され概ね14米ドルで推移した。12月には豊富な供給と軟調な需要によりJKMは11米ドルまで下げ、年が明けた1月においても傾向は変わらず概ね9米ドルで推移した。2月に入り北東アジア地域での旧正月後には下落基調は更に拍車がかかり8米ドルを割ったが、3月には短期的な需要が発生したことなどから一時10米ドルに近づいた。4月半ばには中東情勢激化への懸念等もあり中旬に11米ドル前半まで急騰するも、下旬には緊張緩和により10米ドル前半で推移。5月は夏季に向けた需要増を背景に、下旬には11米ドル後半から-12米ドル台前半を推移。6月も夏場の需要増等を背景に一時13米ドル半ばまで上昇。7月は需要が低調ながら価格下落による短期的な購入意欲の高まりもあり11米ドル後半から12米ドル前半を推移。8月中旬には地政学的な不透明さを背景に14米ドル半ばを付け2024年中の最高値を更新した。9・10月は低需要を背景に軟化し13米ドル付近を推移。11月には気温低下と地政学的緊張の高まりにより15米ドル台を付け、2024年中の最高値を更新している。
- 日本平均LNG輸入価格は、2020年3月以降の原油価格急落の影響により、8月から10月にかけて2005年1月以来の低水準となる5米ドル台まで下落、その後原油価格上昇に伴い、12月には7米ドル台に上昇した。堅調な原油価格の値動きに応じて、2021年2月には9米ドル半ばまで上昇後、3月は7米ドル半ばまで下落した。その後は、2022年6月までの日本平均原油価格の上昇に伴って、続く18ヶ月間は概ね一貫して上昇し、2022年9月には過去最高の22.73米ドルを記録した。その後、原油価格の2022年7月以降の下降傾向も一因として、2023年4月以降は11から13米ドル台で推移している。
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(出典)
米国HH(Henry Hub)価格: NYMEX Futures and Options, CME Group
蘭TTF(Title Transfer Facility)価格:ICE Endex, Intercontinental Exchange
JKM: LNG Japan/Korea Marker© 2024 by S&P Global Platts, a division of S&P Global Inc.
JOGMECスポットLNG価格:JOGMEC「日本着スポットLNG月次価格」、2021年3月までは経済産業省「スポットLNG価格調査」を出典とする
日本平均LNG輸入価格: 財務省貿易統計をもとに作成
EUA(EU ETS): ICE Endex, Intercontinental Exchange
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天然ガス・LNG在庫動向
日本
- 2024年4月末の国内LNG在庫量は471万トンで、前月比19.3%、76.2万トンの増加、前年同月比では10.9%減少し、過去5年平均値を16.4万トン上回った。
- 2024年5月末の国内LNG在庫量は503万トンで、前月比6.9%、32.5万トンの増加、前年同月比では10.0%減少し、過去5年平均値を15.5万トン上回った。
- 2024年6月末の国内LNG在庫量は516万トンで、前月比2.6%、13.2万トンの増加、前年同月比では6.0%減少し、過去5年平均値を30.2万トン上回った。
- 8月末のガス事業用LNG在庫量は230万トンで、前月比4.4%減、前年同月比では5.8%増となった。8月の都市ガス用LNG消費量は前年同月比2.2%減の227万トン、都市ガス用LNG受入量は前年同月比3.2%増の213万トンだった。
- 4月末の発電燃料用LNG在庫量は260万トンで前月比45.7%増、前年同月比3.8%の減少となった。4月の発電燃料用LNG消費量は、前年同月比で0.7%減の239万トン、発電燃料用LNG受入量は、前年同月比で30.9%増の356万トンであった。
- 5月末の発電燃料用LNG在庫量は259万トンで前月比0.4%減、前年同月比10.3%の減少となった。5月の発電燃料用LNG消費量は、前年同月比で2.0%減の234万トン、発電燃料用LNG受入量は、前年同月比で5.7%減の264万トンであった。
- 6月末の発電燃料用LNG在庫量は257万トンで前月比0.9%減、前年同月比10.8%の減少となった。6月の発電燃料用LNG消費量は、前年同月比で0.4%増の255万トン、発電燃料用LNG受入量は、前年同月比で1.4%増の286万トンであった。
- 2024年11月20日に経済産業省が発表した「発電用LNGの在庫状況」によると、大手電力事業者の11月17日時点のLNG在庫は228万トンであった。2023年11月末比では12万トン上回り、過去5年間の11月末平均を15万トン上回っている。
(出典)
経済産業省「ガス事業主生産動態統計」及び「電力調査統計・火力発電燃料実績」をもとに作成したもので、これら月末在庫を合算した値を国内在庫としてみなしたもの。なお、利用可能なデータは2008年1月以降のものであるため、過去5年平均は2013年1月分から計算している。
米国
- 2024年11月15日の米国天然ガス地下貯蔵有効稼働ガス在庫(ワーキングガス)は、米国エネルギー情報局(EIA)のデータによると、3.97Tcfで前月比4.9%増となった。在庫量は2023年の同時期と比較すると3.7%高く、過去5年平均値を243.0Bcf上回っている。
(出典)
米国エネルギー情報局(U.S. Energy Information Administration, EIA)のデータをもとに作成
欧州
- 2024年11月23日現在のAggregated Gas Storage Inventory(AGSI+)加盟各社中、EU加盟国各社が有する欧州天然ガス地下貯蔵在庫は1008.9TWh(LNG換算6,674万トン相当)であった。これは前年同期より9.6%、107.3TWh(LNG換算710万トン相当)下回るものだった。貯蔵容量に対する充填率は87.9%であり、前年同期の98.2%を下回り、過去5年間平均値の90.1%を上回った。貯蔵容量の大きなドイツ、イタリア、オランダの充填率はそれぞれ92.5%、92.8%、76.7%であった。
(出典)
Aggregated Gas Storage Inventory(AGSI), Gas Infrastructure Europeのデータをもとに作成。なお、利用可能なデータは2011年1月以降のものであるため、過去5年平均は2016年1月分から計算している。
- 2024年11月23日現在のAggregated LNG Storage Inventory(ALSI)加盟各社が有する欧州LNG在庫量は388.6万m3で、前月比29.3%減少、前年同日比31.3%減少、過去5年平均値を25.7%下回っている。貯蔵容量に対する充填率は43.1%であり、前年同期の65.5%を下回っている。
(出典)
Aggregated LNG Storage Inventory(ALSI), Gas Infrastructure Europeのデータをもとに作成。なお、利用可能なデータは2012年1月以降のものであるため、グラフ中の過去10年平均及び過去10年平均幅の値については、5年未満の値が含まれる。
天然ガス・LNGプロジェクト動向
ハイライト
- 米国では、建設中のLNG生産プロジェクト中、Corpus Christi Stage3およびVenture Global Plaqueminesが2024年内のLNG生産開始に前進している。Golden Pass LNGは2025年末頃の生産開始見込みとなっている。中東では、アブダビのRuwais LNGプロジェクトが最初の長期SPA締結を発表した。オマーンでは第4系列建設に向けたFEED契約締結が発表された。
アジア・オセアニア地域
- TotalEnergiesは2024年11月4日、2028年から15年間、LNG年間200万トン販売に関して中国SinopecとのHOA締結を発表した。
- 商船三井(MOL)は2024年10月23日、Singapore LNGと新造FSRU1隻の長期定期傭船契約に合意したことを発表した。本船は2027年の竣工を目指し、韓国Hanwha Ocean造船所で建造される。
- Wood Groupは2024年10月24日、Singapore LNGの2件目のLNG基地開発のFEED契約を受注したことを発表した。WoodはFSRU設計を検証し、陸側のインフラストラクチャーとの統合を調整することとなる。
- シンガポールのエネルギー市場監督庁(EMA)は2024年11月7日、PetroChina InternationalとLNG供給・管理に関してのシンガポールの能力強化のため協力するMOUを締結したことを発表した。相互のLNGサプライチェーンの強化、市場ダイナミクス・LNG需給ファンダメンタルズに関する知見共有の促進、共同調達機会検討のため協力可能性を検討し、アジアのLNGハブとしてシンガポールの発展を支える協力機会、相互の便益になるガス火力発電その他のソリューションを検討する。
- マレーシアPETRONASは2024年11月13日、CNPC(中国石油集団)とMoUを締結したことを発表した。この戦略パートナーシップMoUは、国際石油・ガス上流開発・生産、LNGバリューチェーンでの協力を強化する。
- マレーシアGentingは2024年10月28日、自社95%所有間接子会社PT Layar Nusantara Gas(PTLNG)がChina National Machinery Import & Export Corporation、Shandong Kerui Energy Development Co. Ltd.と、インドネシアの西パプア州Genting FLNGプロジェクトの陸上ガス処理設備、接続パイプライン、周辺設備の設計・エンジニアリング・調達に関して、同月23日に契約を締結したことを発表した。同28日、PTLNGは、中流インフラストラクチャーの建設・設置・コミッショニングに関する別建て契約をインドネシア企業PT China Construction Yangtze River Indonesiaと締結したことを発表した。この中流インフラストラクチャーは完成に25か月と推定される。完成後2008年5月にインドネシア石油・ガス規制機関BP MIGAS(その後SKK MIGASに引き継がれている)との生産分与契約で別の95%間接子会社 Genting Oil Kasuri Pte Ltdに認められた西パプア州Kasuri鉱区Asap、Merah、Kido構造から生ガスが供給されることとなる。FLNG船舶はWison New Energies Co., Ltd.により建造中であり、2024年9月26日時点で32.83%完成している。
- bpおよびTangguh LNGプロジェクトの参加各社は2024年11月21日、インドネシア西パプア州Tangguh LNG拡張開発計画(Tangguh Ubadari、CCUS、Compression (UCC)Project)のFIDを発表した。同計画は天然ガス生産量を約3tcf増加させることを目指す。Ubadariガス田の開発、CCUSおよびコンプレッサー設置によるガス送圧能力の増強で構成され、2028年以降順次生産・稼働を開始する予定。
- 東洋エンジニアリングは、2024年11月7日、インド子会社 Toyo Engineering India 社が Petronet LNG (PLL) 社より、グジャラート州ダヘジのLNG受入基地用の3つ目の桟橋のトップサイド設備建設プロジェクトを受注したことを発表した。Toyo-India はEPCを一括で受注し、2027年の完工を予定している。
- Crown LNG Holdingsは2024年11月1日、KGLNG、Grangemouthに関する買収契約締結を発表した。KGLNGはインドのカキナダでのLNG輸入基地計画の操業ライセンスを持つ。Grangemouthの契約は、スコットランドのグレンジマスLNG輸入基地資産をGBTron Landsから買い取るものとなる。
- シンガポールAG&P LNGは2024年10月24日、豪州のサウスオーストラリア州アデレード港湾のOuter Harbor LNG輸入基地開発企業Venice Energyを買い取ることで合意したことを発表した。
- 豪Woodsideは2024年10月31日、Scarborough合弁事業の15.1%ノンオペレーション持分のJERAへの売却完了を発表した。
- パプアニューギニアKumul Petroleum Holdings Limited(KPHL)は、2024年11月4日、Chevron USA Inc(Singapore Branch)との間でKPHLのPNG LNGプロジェクトにおける追加出資持分買い取り目標に資する契約締結を発表した。2023年9月、豪Santosは、KumulにPNG LNGプロジェクトにおける2.6%参加持分を、6.02億米ドルとこれに伴うプロジェクトファイナンスにより譲渡する売却契約を発表した。2024年にKumulは3.52億米ドルをSantosに支払い、この取引の一部を完了した。Chevronは前払いをKumul Petroleum向けに行い、今後2年間のLNG・コンデンセートカーゴを引き取る。2024年初めにエクイティマーケティングを導入後、KPHLは4隻のLNGカーゴをスポット市場で販売しており、今回のターム販売でKPHLにはさらにセキュリティが確保できるとのこと。
- 豪Santosは2024年11月19日、パプアニューギニアHelaでのAngoreプロジェクトの完成を発表した。同プロジェクトはPNG LNG生産向けに最大日量0.350bcfのガスを供給する見込みである。今回の発表によるとKutubuからの随伴ガス供給は、中央処理設備の最適化により予想を上回っており、2024年にはこれまでに16bcfを追加供給している。参加企業は、Agogo・Moran開発に関して2026年までにFID準備完了に向け作業を進めており、それによりさらに随伴ガス日量0.125bcf以上が追加供給される可能性が高い。Hides Footwall探査井掘削も進めており、成功すればさらに日量0.160bcfの追加供給が可能となる。
北米地域
- EPA(米連邦環境保護庁)は2024年11月12日、石油・ガス部門からのメタン排出削減に向けた最終となる規則を発表した。議会は排出量が一定水準を超える大規模排出者に対する課金を決め、EPAに対して課金の徴収、メタン排出削減の行動に対する適切な適用除外を含めた同プログラムにおける諸策の実施を指示した。
- DOEは2024年11月13日、EUによるEU域内で生産もしくはEUに輸入される化石燃料メタン排出削減に関する広範な文書を義務付ける新規制にDOEとEPAが対応し、米国から欧州へのLNG輸出について「同等性」判断を求める欧州委員会宛の書簡を送付したと発表した。
- DOEは2024年内にLNG輸出に関するスタディを完了する計画であると11月15日にDOE長官は述べた。同長官はパブリックコメント期間に関して言及せず、スタディが完了後速やかに公開されるかに関しても言及しなかった。「スタディはそれそのものが説明となる」、「もとより我々はこのスタディに基づいて執行する役割になく、次政権がどのように判断するか注目される」とのこと。
- 複数の米連邦議会下院エネルギー・商業委員会議員は2024年11月15日、DOE長官宛に「次期政権を制約することを狙い反LNGスタディの時機尚早な形での公表に奔走すること」の停止を求める書簡を送付した。同書簡はLNG輸出許可の一時停止をDOEが解除することも求めている。「一時停止は急進的環境活動派を宥和するべくバイデン政権が行った政治的に動機付けられた決定」としている。
- Cheniere Energyは2024年10月31日、第3四半期業績報告の際にCCLステージ3プロジェクトのLNG生産開始を2024年末までに実現する見通し、と述べた。同プロジェクトは中規模7系列で構成され、総生産容量年間1,000万トンを見込む。9月30日時点で67.8%完成し、完成は2025年前半から2026年後半にかけて実現していく見込み。
- Cheniere Energyは2024年10月30日、自社液化設備について自主的・実測情報に基づくスコープ1年間メタン排出原単位目標を設定したことを発表した。この目標はOGMP 2.0(石油・ガスメタンパートナーシップ2.0)のメンバーシップにおいてゴールドスタンダードを達成する基準に合致したものであるとしている。
- Cheniere Energyは2024年11月12日、自社LNGのGHG排出原単位の更新版ライフサイクルアセスメント(LCA)研究の発行を発表した。自社の複数年での数量化・監視・報告・認証(QMRV)プログラムを活用し、自社設備実測データを統合、天然ガス生産企業・中流輸送企業・荷主企業・学界専門家達から得た協力を活用している。
- FERCは2024年10月24日付でGolden Pass LNG Terminalに建設完了期限を2029年11月30日まで延長する2024年8月28日付申請を承認する書簡を発行した。同プロジェクトは、DOEにもLNG輸出開始期限を2027年に延期することを申請していた。
- FERCは2024年11月21日、Venture Global Plaquemines LNGによる液化設備ブロック1の試運転・危険物液体導入について許可書簡を発行した。
- Texas LNG Brownsvilleは2024年11月4日、Kiewitを同社傘下のKiewit Engineering Group、Kiewit Energy Groupを通じて、一括請負引渡方式(LSTK)でTexas LNGプロジェクトのEPCコントラクターに選定したことを発表した。
- Kimmeridge傘下のCommonwealth LNG、Kimmeridge Texas Gas(KTG)は2024 年11月1日、MiQが構築したプロトコルに基づき天然ガス事業に関する独立認証を確保するコミットメントを発表した。これにより、KimmeridgeがCommonwealth設備からのLNG引き取り確保によって、スコープ1-2 GHG排出について「井戸元から海上出荷まで」ネットゼロのカーゴを引き渡すKimmeridgeの取り組みが支えられるとしている。
- Sapphire Gas Solutionsは2024年10月28日、DOEから2050年までのLNG輸出承認を受けたことを発表した。年間51.75 Bcf(100万トン相当)までのLNGをFTA・非FTA諸国向けに輸出できることとなる。
- Vitolは2024年10月30日、米Coterra Energyとの天然ガスSPAを発表した。Coterraは、2027年から11年間、JKM連動の購入価格で、日量100,000百万Btu(LNG換算年間70万トン)の天然ガスをVitolに供給することとなる。
- Centrica LNGは2024年10月30日、米Coterra Energyとの2本の天然ガスSPAを発表した。Coterraは2028年から10年間TTF、NBP等の欧州ガス価格連動で日量100,000百万Btuの天然ガスを供給することとなる。
- カナダTC Energyは2024年11月19日、Coastal GasLinkがLNG Canadaおよび複数のCGL顧客と、CGLパイプラインのコマーシャル稼働開始を宣言する合意を執行し、10月1日まで遡及して料金の徴収が可能となった。今回の発表によるとLNG Canadaは2025年半ばまでに最初のカーゴを引き渡すべく、予定通り進展している。
- Trafiguraは2024年11月8日、カナダのアルバータ州Montney構造でのコンデンセート含有の高い天然ガスの生産企業NuVista Energyとの間で長期のガス契約を締結したことを発表した。NuVistaは、天然ガス日量21,000百万btu(年間149千トン相当)をTrafigura向けに、JKMを価格指標に用いて2027年1月から最大13年間供給する。
欧州および周辺地域
- ConocoPhillipsは2024年10月25日、EDF Tradingとの10年間の天然ガス契約の締結を発表した。
- ドイツSEFE(Securing Energy for Europe)は2024年10月23日、ConocoPhillipsとの間で長期天然ガス契約を締結し、最初の受け渡しは完了していることを発表した。今後10年間で最大9bcmをConocoPhillipsのポートフォリオから欧州全域のトレーディングハブにてSEFEに引き渡す。ConocoPhillipsはノルウェー天然ガス生産やLNG輸入を含む供給ポートフォリオを有する。
- 商船三井(MOL)は2024年10月31日、自社グループのロシア関連の事業のうち砕氷機能を有するLNG船3隻及びコンデンセートタンカー1隻の貸船契約について、同社は欧米の制裁強化に伴い契約スキームの変更を行わざるを得ない状況にあり、このため関係者と協議を開始したことを明らかにした。
- OFAC(米連邦財務省外国資産管理局)は、2024年11月21日、ロシアGazprombankおよび他の金融機関・個人を標的とする制裁を発表した。Sakhalin-2からの原油の海上輸送に関する取引はこの随伴物が日本に輸入される場合のみ、2025年6月まで承認される。サハリンエナジーを含めSakhalin-2プロジェクトに関わる取引に関し2025年6月まで承認される。
その他地域
- アブダビADNOCとドイツSEFEは2024年11月6日、アブダビRuwais LNGプロジェクトから最初の長期SPA締結を発表した。本SPAは3月発表されたHoAを確定させ契約に転換する。この15年間・年間100万トンのSPA下のLNGは、主としてRuwais LNGプロジェクトから手当てされ、引き渡しは2028年、商業稼働開始とともに開始される見込み。
- アブダビADNOC Gasは2024年11月11日、Ruwais LNG設備におけるADNOC本社持分60%を2028年後半、原価推定約50億米ドルで取得すると発表した。ADNOCグループを代表してADNOC GasはRuwais LNGの建設・設計を監督しており、LNGの販売活動を主導している。同設備2系列中1本目は2028年前半、2本目は2029年初稼働開始見込み。
- インドGAILとアブダビADNOC Gasは2024年11月14日、2026年から10年間、年間52万トンのLNG引き渡しに関しSPAを締結したことを発表した。ADNOC Gasのインド買主との初のSPAである。このLNGは、ADNOC GasのDas Island設備から、年間6カーゴで引き渡されることとなる。
- KBRは2024年11月7日、オマーンQalhat LNG設備拡張へのFEED契約を受注したことを発表した。KBRは容量年間380万トンとなる同設備第4系列のエンジニアリング業務を担当する。同プロジェクトは、ユーティリティー、LNGタンク1基、桟橋、随伴インフラストラクチャー追加・拡張が含まれる。
- GTTは2024年10月21日、Coral FLNGとの間でEniのCoral Sul FLNGバージ向けのサービス契約を受注したことを発表した。当該FLNGはモザンビーク沖に配置され、生産容量はLNG年間340万トン、貯蔵容量は238,700m3・MarkIIIメンブレンコンテインメントシステムを備えている。
- Golar LNGは2024年11月12日、FLNG GimiのCOD(商業稼働開始日)が2025年上半期となる見込み、と述べた。2024年10月、LNG輸送船舶British SponsorがFLNG Gimiへのガス導入を開始した。FLNGコミッショニングはbp FPSOからFLNG Gimiへのガス送出準備が整うまで、コミッショニングを促進させるカーゴからのガスを活用し続けることとなる。
- EIG傘下のMidOcean Energyは2024年10月24日、Peru LNG(PLNG)におけるHunt Oilから追加15%持分の買い取りに関して既に公表済みだった契約の完了を発表した、MidOceanのPLNGにおける合計持分は35%となる。HuntはPLNGのオペレーターを継続する。
- イタリアEniは2024年11月15日、自社の排出量を最高水準のデータ品質で報告することへのコミットメントに関して、OGMP 2.0の「ゴールドスタンダード報告」格付を受けたことを発表した。
(注: bcm: 10億m3、CCS: 炭素回収・貯蔵、DES: 持ち届け ex-ship、DOE: 米連邦エネルギー省、EPC: エンジニアリング・調達・建設、EPCI: エンジニアリング・調達・建設・設置、 EPCm: エンジニアリング・調達・建設管理、FEED: 基本設計、FERC: 米連邦エネルギー規制委員会、FID: 最終投資決定、FLNG: 浮体液化設備、FOB: 本船渡し、FSRU: 浮体貯蔵・気化設備、FSU: 浮体貯蔵化設備、HOA: 基本合意、MOU: 覚書、SPA: LNG売買契約)
作成協力 一般財団法人日本エネルギー経済研究所
添付ファイル
- 日本のLNG在庫量(28.7KB) (2024/11/25更新)
- 米国天然ガス地下貯蔵量(61.0KB) (2024/11/25更新)
- 欧州天然ガス地下貯蔵量(447.2KB) (2024/11/25更新)
- 欧州LNG在庫量(266.7KB) (2024/11/25更新)