2024年12月

天然ガス・LNG価格動向

直近の値動き

アジア

  • 北東アジアのアセスメントされたスポットLNG価格JKMは、月初に15米ドル台半ばであったところ、前月から北東アジアにおける高在庫及び需要の低迷という状況は変わらない中で下落を続け、12月半ばには12米ドル後半まで下落した。その後下旬にはロシア産ガスの欧州市場への流入が来年減少するとの見方が強まっていく中で、上昇基調に転じている。
  • 財務省貿易統計速報に基づくと、2024年11月の日本平均LNG輸入価格は100万Btu当たり12.07米ドル、円建てでは1トン当たり95,672円となった。前者の米ドル建ての価格は、2024年8 月の全日本平均原油輸入CIF価格が5 - 7月からほぼ横ばいであったため、8 - 10月とほぼ同水準となった。供給地域別では、米国産は10.80米ドル、ASEAN地域産が11.42米ドル、中東産が11.98米ドル、ロシア産が12.90米ドルであった。また、11月の北東アジア各国の平均輸入価格は、中国11.14米ドル、韓国12.48米ドル、台湾11.31米ドルであった。全日本平均原油輸入CIF価格(JCC: Japan crude cocktail)は2024年11月には1バレル当たり78.14米ドル、円建てでは1キロリットル当たり75,151円となった。
  • 11月の日本のLNG輸入量は、505 万トンと前年同月比で5.3%減少した。11月の中国のLNG輸入量は615万トンと前年同月比で8.7%減少、韓国は402万トンと前年同月比で8.0%増加、台湾は180万トンと前年同月比11.0%増加となった。

米国

  • 米国スポットガス価格HHは、フィードガス需要の上昇や気温低下による暖房需要の伸びにより月半ばから後半にかけて上昇基調となった。24日時点で3.95米ドルと4米ドルに迫っている。

欧州

  • 欧州ガススポット価格TTFは、ノルウェーからの供給は概ね安定的に推移するなかで半ばまでは比較的温暖な気候が予測されたこともあり下落が続いた。ウクライナ経由の流入も横ばいであるが、半ばにはプーチン大統領がウクライナとのガス輸送協定の延長の可能性はないと発言しており、月末にかけロシア産ガスの欧州市場への流入が来年減少するとの見方が強まり上昇した。

天然ガス・LNG価格推移(直近2年)

中長期の値動き

  • JKMは2023年6月、JKMは欧州ガス価格の影響等を受け12米ドル付近で推移したが、7月には高在庫と低需要を背景に若干軟化し11米ドル付近で推移した。8月には豪州の主要プロジェクトでのストライキ発生の可能性が生じ、価格はやや上昇基調に入り、9月にストライキが実施された後は15米ドルまで上昇した。10月には中東での紛争の勃発等を受け17米ドルまで上昇したが、11月には地政学的リスクがいくらか緩和され概ね14米ドルで推移した。12月には豊富な供給と軟調な需要によりJKMは11米ドルまで下げ、年が明けた1月においても傾向は変わらず概ね9米ドルで推移した。2月に入り北東アジア地域での旧正月後には下落基調は更に拍車がかかり8米ドルを割ったが、3月には短期的な需要が発生したことなどから一時10米ドルに近づいた。4月半ばには中東情勢激化への懸念等もあり中旬に11米ドル前半まで急騰するも、下旬には緊張緩和により10米ドル前半で推移。5月は夏季に向けた需要増を背景に、下旬には11米ドル後半から-12米ドル台前半を推移。6月も夏場の需要増等を背景に一時13米ドル半ばまで上昇。7月は需要が低調ながら価格下落による短期的な購入意欲の高まりもあり11米ドル後半から12米ドル前半を推移。8月中旬には地政学的な不透明さを背景に14米ドル半ばを付け2024年中の最高値を更新した。9・10月は低需要を背景に軟化し13米ドル付近を推移。11月には気温低下と地政学的緊張の高まりにより15米ドル台を付け、2024年中の最高値を更新している。その後上昇は一時一服するも翌年のロシア産ガスフローの不透明感を受け再び上昇基調に転じた。
  • 日本平均LNG輸入価格は、2020年3月以降の原油価格急落の影響により、8月から10月にかけて2005年1月以来の低水準となる5米ドル台まで下落、その後原油価格上昇に伴い、12月には7米ドル台に上昇した。堅調な原油価格の値動きに応じて、2021年2月には9米ドル半ばまで上昇後、3月は7米ドル半ばまで下落した。その後は、2022年6月までの日本平均原油価格の上昇に伴って、続く18ヶ月間は概ね一貫して上昇し、2022年9月には過去最高の22.73米ドルを記録した。その後、原油価格の2022年7月以降の下降傾向も一因として、2023年4月以降は11から13米ドル台で推移している。

天然ガス・LNG価格推移(直近10年)

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(出典)
米国HH(Henry Hub)価格: NYMEX Futures and Options, CME Group
蘭TTF(Title Transfer Facility)価格:ICE Endex, Intercontinental Exchange
JKM: LNG Japan/Korea Marker© 2024 by S&P Global Platts, a division of S&P Global Inc.
JOGMECスポットLNG価格:JOGMEC「日本着スポットLNG月次価格」、2021年3月までは経済産業省「スポットLNG価格調査」を出典とする
日本平均LNG輸入価格: 財務省貿易統計をもとに作成
EUA(EU ETS): ICE Endex, Intercontinental Exchange

上記閲覧に際しては、以下について同意することとなります。

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天然ガス・LNG在庫動向

日本

  • 2024年7月末の国内LNG在庫量は470万トンで、前月比9.0%、46.4万トンの減少、前年同月比では変化がなく、過去5年平均値を14.7万トン下回った。
  • 2024年8月末の国内LNG在庫量は452万トンで、前月比3.8%、17.8万トンの減少、前年同月比では3.1%増加し、過去5年平均値を14.2万トン下回った。
  • 2024年9月末の国内LNG在庫量は462万トンで、前月比2.2%、9.7万トンの増加、前年同月比では5.9%増加し、過去5年平均値を17.3万トン下回った。
  • 9月末のガス事業用LNG在庫量は232万トンで、前月比1.0%増、前年同月比では3.2%減となった。9月の都市ガス用LNG消費量は前年同月比1.0%増の227万トン、都市ガス用LNG受入量は前年同月比5.8%減の232万トンだった。
  • 7月末の発電燃料用LNG在庫量は230万トンで前月比10.5%減、前年同月比0.5%の増加となった。7月の発電燃料用LNG消費量は、前年同月比で4.9%増の351万トン、発電燃料用LNG受入量は、前年同月比で4.3%増の365万トンであった。
  • 8月末の発電燃料用LNG在庫量は223万トンで前月比3.2%減、前年同月比0.4%の増加となった。8月の発電燃料用LNG消費量は、前年同月比で1.0%増の370万トン、発電燃料用LNG受入量は、前年同月比で0.3%減の400万トンであった。
  • 9月末の発電燃料用LNG在庫量は230万トンで前月比3.3%増、前年同月比16.9%の増加となった。9月の発電燃料用LNG消費量は、前年同月比で3.9%減の333万トン、発電燃料用LNG受入量は、前年同月比で3.7%増の377万トンであった。
  • 2024年12月25日に経済産業省が発表した「発電用LNGの在庫状況」によると、大手電力事業者の12月22日時点のLNG在庫は207万トンであった。2023年12月末比では63万トン下回り、過去5年間の12月末平均を9万トン下回っている。

国内LNG月末在庫量(直近2年)

国内LNG月末在庫(直近10年)

(出典)
経済産業省「ガス事業主生産動態統計」及び「電力調査統計・火力発電燃料実績」をもとに作成したもので、これら月末在庫を合算した値を国内在庫としてみなしたもの。なお、利用可能なデータは2008年1月以降のものであるため、過去5年平均は2013年1月分から計算している。


米国

  • 2024年12月13日の米国天然ガス地下貯蔵有効稼働ガス在庫(ワーキングガス)は、米国エネルギー情報局(EIA)のデータによると、3.62Tcfで前月比8.7%減となった。在庫量は2023年の同時期と比較すると1.3%高く、過去5年平均値を130.8Bcf上回っている。

米国天然ガス地下貯蔵量(直近2年)

米国天然ガス地下貯蔵量(直近10年)

(出典)
米国エネルギー情報局(U.S. Energy Information Administration, EIA)のデータをもとに作成


欧州

  • 2024年12月21日現在のAggregated Gas Storage Inventory(AGSI+)加盟各社中、EU加盟国各社が有する欧州天然ガス地下貯蔵在庫は871.0TWh(LNG換算5,761万トン相当)であった。これは前年同期より12.4%、122.9TWh(LNG換算813万トン相当)下回るものだった。貯蔵容量に対する充填率は75.9%であり、前年同期の87.4%を下回り、過去5年間平均値の78.9%を下回った。貯蔵容量の大きなドイツ、イタリア、オランダの充填率はそれぞれ82.7%、81.8%、61.9%であった。

欧州天然ガス地下貯蔵量(直近2年)

欧州天然ガス地下貯蔵量(直近10年)

(出典)
Aggregated Gas Storage Inventory(AGSI), Gas Infrastructure Europeのデータをもとに作成。なお、利用可能なデータは2011年1月以降のものであるため、過去5年平均は2016年1月分から計算している。

 

  • 2024年12月21日現在のAggregated LNG Storage Inventory(ALSI)加盟各社が有する欧州LNG在庫量は332.5万m3で、前月比25.7%減少、前年同日比36.2%減少、過去5年平均値を31.0%下回っている。貯蔵容量に対する充填率は36.9%であり、前年同期の60.1%を下回っている。

欧州LNG在庫量(直近2年)

欧州LNG在庫量(直近10年)

(出典)
Aggregated LNG Storage Inventory(ALSI), Gas Infrastructure Europeのデータをもとに作成。なお、利用可能なデータは2012年1月以降のものであるため、グラフ中の過去10年平均及び過去10年平均幅の値については、5年未満の値が含まれる。


天然ガス・LNGプロジェクト動向

ハイライト

  • 豪WoodsideとChevronは、両社が関わる西オーストラリア州での既存LNGプロジェクトにおける資産をスワップした。DOEは12月中旬、LNG輸出に関するスタディ更新版を公表した。60日間のコメント期間が始まる。一方次期政権は、2025年1月の発足後直ちに、非FTA諸国向けLNG輸出承認の一時停止措置を撤回する見込み。

 

アジア・オセアニア地域

  • 静岡ガスは2024年12月13日、豪Santos子会社Santos SG Trading Pte. Ltd.との間で、LNG SPAをその前日に締結したことを発表した。2030年代前半から年間約35万トンを引き取るものとしている。Santosは12月12日、同SPAを発表、LNG年間35-40万トンを供給することとなり、契約期間は2032年から12年間としていた。
  • 台湾CPCは2024年12月11日、環境省が南部の高雄港湾でのLNG受入基地の環境影響評価を承認したことを発表した。同社は同基地建設に伴う大気汚染増加に関して「現地相殺」を約束した。CPCは、Dalin発電設備の石炭からガスへの転換に役立ち、同基地が年間600万トンのLNGを取り扱うことができる、と述べた。
  • TotalEnergiesは2024年12月10日、マレーシア独立系ガス生産企業SapuraOMV UpstreamにおけるOMV(50%)・Sapura Upstream Assets(50%)持分の買い取りを完了した旨、発表した。SapuraOMVの主たる資産は、同国サラワク州沖SK408鉱区の40%操業持分、SK310鉱区の30%操業持分である。
  • INPEXは2024年12月2日、Seascape Energy Asia plcとの間で、マレーシア・サラワク沖に位置する探鉱鉱区2A鉱区の生産分与契約(Production Sharing Contract:PSC)に係る権益42.5%を保有するSeascapeの子会社Longboat Energy(2A)Limitedの株式100%を取得することに合意したことを発表した。INPEXは今後、同鉱区のオペレーターとなり、Seascape子会社Topaz Number One Limited、PETRONAS Carigali Sdn. Bhd.(PCSB)及びPetroleum Sarawak Exploration & Production Sdn. Bhd.(PSEP)と共に、同鉱区において探鉱活動を推進する。
  • 日揮ホールディングスは2024年11月25日、インドネシア西パプア州Tangguh LNG EGR/CCUSプロジェクトについて、 BP Berau, Ltd.から同社グループの現地法人JGCインドネシアとして、陸上での天然ガスの昇圧設備、酸性ガス(CO2)の収集・圧縮設備等に係る設計、調達、建設および据付(EPCI)契約を受注したことを発表した。Saipemは11月26日、Meindo Elang Indahと共同で沖合作業EPCI契約をBP Berauから受注したことを発表した。Saipem作業範囲は、井戸元生産プラットフォーム2本、CO2再注入用プラットフォーム1本、附帯パイプライン90kmのEPCIとなる。
  • シンガポールSembcorp Industriesは2024年12月5日、Sembcorp Fuels(Singapore)がChevron U.S.A.(シンガポール支社)との間で、最大年間60万トンのLNG輸入に関してのSPAを締結したことを発表した。引き渡しは2028年から10年間の見込みである。
  • シンガポール海洋・港湾当局MPAは2024年12月12日、シンガポール港湾で既存の陸上LNGバンカリング・桟橋型を補完する海洋型LNG再積み込み、海洋燃料としてのe/バイオメタン供給に関してソリューションを検討するためのEOI(関心表明)プロセスを開始したことを発表した。今回の発表によると、シンガポールのLNGバンカリングは、2022年の16,000トンから、2024年1-10月は385,000トン超に増加した。今回のEOIは3分野の提案募集を目指す。船舶からバンカーバージへのLNG積み込み含め海洋型の再積み込みオペレーションの拡張、液化バイオメタン等のLNG代替供給の促進、バンカリング安全・効率促進のための浮体プラットフォームコンセプトの開発である。EOI提案にはメタンスリップ対応の削減策を含まなくてはならない。提出期限は2025年2月28日となる。
  • シンガポールSeatriumは2024年12月17日、Golar LNGが1977年建造のGolar Gandriaを2023年解体配船のため売却したことを受け、Seatrium・Golar LNGは3件目のLNG輸送船・浮体液化改造契約を2024年12月16日付で解消することを決めたことを発表した。SeatriumはGolar Gandria改造契約を2015年7月22日に発表していた。SeatriumがGolar LNG向けに引き渡した2隻の浮体液化船舶は、カメルーン沖合Kribiガス田に配置されたHilli Episeyo、モーリタニア・セネガル沖Greater Tortue Ahmeyimガス田に配置されたGolar Gimi FLNGである。
  • 豪Squadron Energyは2024年12月12日、豪州初のLNG輸入基地となるPort Kembla Energy Terminal(PKET)が建設を完了したことを発表した。陸上受入設備のコミッショニング活動が進行中で、制御システム、荷役アーム、防火システム含め輸入基地側機器の機能を確認する。同基地は日量500TJ(年間335万トン)供給容量を持つ。
  • 豪Woodside Energyは2024年12月12日、North West Shelf JVがプロジェクト期間延長に関して西オーストラリア州政府の環境承認を受けたことを発表した。同州の判断により連邦政府環境承認手続きが再開する。今回の承認の一環として、North West Shelfは、窒素酸化物、VOCs(揮発性有機化合物)等の大気排出削減、温室効果ガス排出管理対策等、様々な環境対策にコミットした。
  • 豪Woodside EnergyとChevron Australiaは2024年12月19日、WoodsideがChevronのNorth West Shelf(NWS)LNGプロジェクト(16.67%)、Angel CCSプロジェクト(20%)持分を取得、Wheatstone(13%)・Julimar-Brunello(65%)プロジェクトのWoodside持分をChevronが取得することを発表した。Chevronは最大4億米ドルをWoodsideにキャッシュ支払いを行うと両社は述べた。Chevron AustraliaはWoodside分のWheatstoneにおける13%ノンオペレーター持分、Julimar-Brunelloプロジェクトにおける65%・オペレーター持分を取得すると述べた。
  • INPEXは2024年12月6日、100%子会社INPEX Cash Mapleを通じて74%の権益を保有し、オペレーターとして事業を実施している豪州AC/RL7鉱区について、本鉱区の2.625%をOPIC Australia Pty Ltd(CPC子会社)に、1.20%を Osaka Gas Ichthys Pty Ltd(大阪ガス子会社)に、0.42%をToho Gas Ichthys Development Pty Ltd(東邦ガス子会社)に譲渡する契約を締結したことを発表した。本鉱区は、Ichthysガス・コンデンセート田の北東約250kmの場所にある。

 

北米地域

  • DOEは2024年12月17日、LNG輸出に関するスタディ更新版を公表した。連邦官報に掲載後60日間のコメント期間が始まる。これらのコメントは今後輸出申請の公共利益分析においてスタディ結果をどのように適用すべきか情報を提供することとなるとしている。
  • 米国議会下院エネルギー・商務委員会委員長は2024年12月17日、DOEが公表したLNGスタディを受けて、「このスタディとは、バイデンのグリーンアジェンダを急ぐ試みである。現政権による事実上のLNG輸出禁止、気候動機で拙速に進められたスタディは、急進的環境活動家の宥和を狙った政治的に動機付けられた決定である。これは容認できない。米国LNG遮断を試みることで、DOEは雇用、経済開発を脅かし、同盟諸国のエネルギーセキュリティを弱体化し、敵を強化している。下院の共和党側は、この禁止を解除し、コストを下げるため豊富な天然ガス資源を解放することに向けて努力する」とのステートメントを公表した。
  • FERCは2024年12月13日、Corpus Christi Liquefactionステージ3プロジェクト第1系列の各セクションに炭化水素導入について、申請を許可する書簡を発行した。
  • Venture Global LNGは2024年12月14日、自社2件目の設備・ルイジアナ州Plaquemines LNGにて、最初のLNG生産に到達したことを発表した。FIDから30か月間で実現したと述べた。今回の発表によると、Plaqueminesは残り36系列および関連諸設備の建設・コミッショニングを続けながら、LNGを生産し輸出する。
  • FERCは2024年11月27日、Venture Globalのルイジアナ州CP2 LNGプロジェクトの既存許可の一部を除外した。修正された審査日程でEISが2025年5月9日公表、最終指令は同7月24日予定となる。
  • 千代田化工建設は2024年11月25日、Chiyoda International Corporation(CIC)がジョイントベンチャーを組成し共同遂行してきた米国テキサス州Golden Pass LNGプロジェクトについて、JVパートナーであるCB&I LLCとともに、Golden Pass LNG Terminal LLC(GPX)と、第1系列の完工に向けEPC契約の改定について11月21日付で合意に達したことを発表した。引き続き、CB&I/CICはGPXと第2/3系列のEPC契約の改定のための協議を継続するとしている。
  • ExxonMobilの2024年12月11日の発表によると、4件の世界クラスのLNGプロジェクトを開発中で、2030年までにLNG販売年間4,000万トンを突破する目論見である。2025年末頃に米Golden Pass、カタールNorth Field East拡張プロジェクトからLNG販売を開始する見込みとしている。パプアニューギニアPapuaプロジェクトは2025年、モザンビークRovumaプロジェクトは2026年のFIDを目指している。
  • 豪Woodsideは2024年12月5日、米Louisiana LNGプロジェクトの3系列・年間1,650万トン分基本開発に関して、修正EPC契約(一括請負引き渡し方式)をBechtelとの間で締結したことを発表した。Bechtelは同プロジェクトのWoodsideによる買い取り後も現場で作業を続けており、修正後のEPC契約の下で限定的着工指示(LNTP)に基づき作業を継続する。Woodsideは引き続き2025年第1四半期からのFID準備完了を目標としている。
  • Energy Transferは2024年12月19日、Energy Transfer LNG ExportがChevron U.S.A.との間で、Lake Charles LNGプロジェクトから20年間のLNG SPAを締結したことを発表した。Energy Transfer LNGは年間200万トンのLNGをChevronにFOB条件で供給し、販売価格は固定液化手数料とヘンリーハブ指標連動のガス供給部分で構成されることとなる。

 

欧州および周辺地域

  • ノルウェーEquinor ASAと英 Shell plcは2024年12月5日、Equinor UKとShell UKが英国洋上石油・ガス資産を統合して新会社を設立することを発表した。この独立系生産企業はEquinor(50%)、Shell(50%)が所有することとなる。発表によると、かつて生産量豊富だったエリアが成熟して生産は自然減退となり、ポートフォリオと専門的知見の統合により、資源の経済的な回収が持続できることとなる。この統合は経済的には2025年1月1日付で発効する。取引完了には諸承認が必要となり、2025年末までに完了見込み。
  • オーストリアOMVは2024年12月11日、Gazprom Exportとの長期天然ガス供給契約について、同社側の契約義務の複数の根本的違反を理由に打ち切りを発表した、この打ち切りは即時となる。該当の契約は2006年から2040年までと規定される。2024年11月16日以降、Gazprom ExportはOMV向けガス引き渡しを停止しているという。それより先、OMVは時間当たり7,400MWh、月当たり5TWh(0.45bcm)をオーストリア・スロバキア国境で受けていたとのこと。
  • ロシア政府は2024年12月5日、輸出される天然ガスに対する支払いでGazprombank経由ロシアルーブルのみ、とする制限を撤廃することを明らかにした。
  • 欧州連合理事会は2024年12月16日、Yamal LNGプロジェクトに関わる輸送船1隻を初めて制裁に加えた、同プロジェクトの砕氷級Arc-7船舶15隻の中の1隻”Christophe De Margerie”である。今回パッケージで制裁されたLNG輸送船は、Arctic LNG 2プロジェクトに関わるNorth Way、North Sky、North Air、North Mountainである。
  • ロシアのカムチャッカ地方当局は2024年11月25日、ラコバヤ湾にてLNG気化設備建設が開始されたことを発表した。同プロジェクトは地域のガス化プログラムに基づき、地元ガス田生産減少分を補うべく、最大年間446,000トンのLNG供給確保を目指すものである。LNG供給はSakhalin-2プロジェクトの枠組み内で実施されるとしている。
  • ロシアGazprom社は2024年12月2日、Power of Siberiaパイプラインを通じての中国向けガスの日量供給が、同月1日現在で「最大契約水準」に到達し、2024年は供給が契約義務量を超える見通し、と述べた。

 

その他地域

  • アブダビADNOCは2024年12月5日、Ruwais LNGプロジェクトの2件目のSPAをマレーシアPETRONASとの間で締結したことを発表した。15年間・年間100万トンのLNGを供給するSPAである。ADNOC、ドイツEnBWは12月16日、同プロジェクトからSPAを締結したことを発表した。15年間・年間60万トンのSPAである。引き渡しは2028年、同プロジェクトの商業稼働とともに開始される。これまでに同プロジェクト年間960万トンの生産容量中、800万トン以上が長期合意を通じて国際顧客向けにコミットされている。
  • QatarEnergyは2024年12月2日、Shellとの間で中国向け年間300万トンのLNG供給に関する新規長期SPAを締結したことを発表した。引き渡しは2025年1月に開始する。発表によると本件は両社間で11件目のLNG供給契約となる。
  • QatarEnergyは2024年12月11日、QC-Max型LNG輸送船舶6隻の所有・運航に関して商船三井(MOL)・中国 COSCO Shipping LNG Investment(Shanghai)Co. Ltd.(CSLNG)の合弁事業体を選定したと発表した。この6隻は、China State Shipbuilding Corporation (CSSC)傘下のHudong-Zhonghua Shipbuilding Groupにより建造されることとなる。これら船舶は、QatarEnergyの在来型104隻、QC-Max型超現代的船舶24隻合計128隻の船団建造プログラムの最後となる。MOL-CSLNG合弁事業は既にQatarEnergyとの長期TCP枠組に在来型7隻で既に2022年に参加している。これにより同連合は合計13隻の長期TCPをQatarEnergyのLNG船団拡張プログラムで持つこととなる。
  • カタールのエネルギー相・QatarEnergy CEOは2024年12月7日、EUのコーポレート・サステナビリティ・デューデリジェンス指令(CS3D)を批判した。QatarEnergyは一企業としてネットゼロは達成できない、と述べた。
  • ヨルダンのエネルギー省は2024年12月2日、自国がエジプトのLNG輸入インフラを2026年まで利用できる合意を締結したことを明らかにした。発表によると、今後2年間ヨルダンはエジプトのFSRUを利用する。2026年末までに見込まれるアカバ港の新規LNG輸入プロジェクト完成まで、ヨルダンへの緊急時のLNG供給確保を目的としている。
  • エジプト政府は2024年12月6日、EGASが2隻目のFSRUに関してNew Fortress Energy(NFE)との取引を締結したことを明らかにした。これによれば2隻目のFSRUは2025年後半に稼働開始見込みとのこと。
  • 中国Wison New Energiesは2024年12月19日、Ace Gas & FLNGとナイジェリアのFLNG・発電バージプロジェクトのFEED契約締結を発表した。同プロジェクトは液化容量年間300万トンのFLNG設備を沖合10km、水深20m地点に設置すべく開発することを目指す。同FLNG設備からは、230MW発電バージにも天然ガスを供給することとなる。
  • ドイツSEFE(Securing Energy for Europe)は2024年12月6日、Angola LNGと2026年分50万トン、6カーゴ相当のLNG供給に関して合意したことを発表した。アンゴラから調達されるこのLNGはSEFE側裁量で様々な地点に向けることができる。
  • アルゼンチンYPFは2024年11月24日、Pan American Energy(PAE)、Golar LNGが年間245万トンのLNG生産容量を有するFLNG船舶"Hilli Episeyo"をリオ・ネグロ州に設置するプロジェクトについて2027年後半LNG供給開始見込みで進めている、と述べた。YPFは同プロジェクトに参加する。アルゼンチンPampa Energíaは、同月27日、同FLNGプロジェクトへの参加を発表した。Pampaは操業主体としてPAE・Golarが設立したSouthern Energy S.A.(SESA)社の当初20%の株式を所有し、第2株主となる。英Harbour Energy社は12月2日、SESAの15%の株式取得で参加契約を締結したことを確認した。
  • アルゼンチンYPFは2024年12月19日、Argentina LNGプロジェクト第1段階でのShellとのPDA(プロジェクト開発契約)を発表した。両社は同段階の開発をFEEDステージに向けて進めることに合意している。第1段階は液化容量年間1,000万トンを有することとなる。発表によればPetronasによるパートナーとしての参加は終了とのこと。Argentina LNGプロジェクトは、Vaca Muerta地域の複数の鉱区からのガスを生産、全長580kmパイプラインによるリオ・ネグロ州大西洋岸シエラグランデでの処理・液化設備への輸送が含まれることとなる。

 

(注: bcm: 10億m3、CCS: 炭素回収・貯蔵、DES: 持ち届け ex-ship、DOE: 米連邦エネルギー省、EPC: エンジニアリング・調達・建設、EPCI: エンジニアリング・調達・建設・設置、 EPCm: エンジニアリング・調達・建設管理、FEED: 基本設計、FERC: 米連邦エネルギー規制委員会、FID: 最終投資決定、FLNG: 浮体液化設備、FOB: 本船渡し、FSRU: 浮体貯蔵・気化設備、FSU: 浮体貯蔵化設備、HOA: 基本合意、MOU: 覚書、SPA: LNG売買契約)

 

 

作成協力 一般財団法人日本エネルギー経済研究所

 

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