2025年1月
天然ガス・LNG価格動向
直近の値動き
アジア
- 北東アジアのアセスメントされたスポットLNG価格JKMは、年始には欧州ガス価格の上昇に伴い15米ドル前半であったが、供給面における問題は見られず上旬は下落基調であった。その後米国による対露制裁強化をはじめとした欧州における供給不確実性の高まりを受けて14米ドル前半まで上昇するも、ほどなく下落に転じる。その後も13-14米ドル台を推移するが、北東アジアの在庫水準は高く需要は低いままである。
- 財務省貿易統計速報に基づくと、2024年12月の日本平均LNG輸入価格は100万Btu当たり11.97米ドル、円建てでは1トン当たり94,607円となった。前者の米ドル建ての価格は、2024年9月の全日本平均原油輸入CIF価格が8月から低下したため、-11月比 0.1米ドル程低下した。供給地域別では、米国産は11.00米ドル、ASEAN地域産が11.68米ドル、中東産が12.88米ドル、ロシア産が11.95米ドルであった。また、12月の北東アジア各国の平均輸入価格は、中国11.39米ドル、韓国12.22米ドル、台湾11.62米ドルであった。全日本平均原油輸入CIF価格(JCC: Japan crude cocktail)は2024年12月には1バレル当たり76.50米ドル、円建てでは1キロリットル当たり73,360円となった。
- 12月の日本のLNG輸入量は、636万トンと前年同月比で2.1%減少した。2024年通年の日本のLNG輸入量は、6,589万トンと前年を0.4%下回った。12月の中国のLNG輸入量は714万トンと前年同月比で13.9%減少、2024年通年では7,665万トンと前年比7.7%増となり、2021年に次ぐ輸入量となった。12月の韓国は430万トンと前年同月比で13.5%減少、2024年通年では4,633万トンと前年比5.0%増となり、2022年に次ぐ輸入量となった。台湾は179万トンと前年同月比3.2%減少となり、2024年通年では2,151万トンと前年比7.1%増となり、過去最高の輸入量となった。
米国
- 米国スポットガス価格HHは、気温低下により地下ガス貯蔵からの引き出し量増加、また米国の主要液化ターミナルへのフィードガス供給量が過去最高水準を記録しており、中旬には4米ドル前半となった。下旬にはフリーポートLNGの一時停止によりフィードガス需要が落ちるも、寒波による暖房需要が価格を下支えした。
欧州
- 欧州ガススポット価格TTFは、ロシアとウクライナのガス輸送協定が延長されなかったことによる影響は限定的であり、1月上旬は下落が続いた。その後も供給面において問題は見られていないが、気温低下や風力発電出力の低下を受けて、下旬には2023年10月以来の高値を付けた。
中長期の値動き
- JKMは2023年6月、JKMは欧州ガス価格の影響等を受け12米ドル付近で推移したが、7月には高在庫と低需要を背景に若干軟化し11米ドル付近で推移した。8月には豪州の主要プロジェクトでのストライキ発生の可能性が生じ、価格はやや上昇基調に入り、9月にストライキが実施された後は15米ドルまで上昇した。10月には中東での紛争の勃発等を受け17米ドルまで上昇したが、11月には地政学的リスクがいくらか緩和され概ね14米ドルで推移した。12月には豊富な供給と軟調な需要によりJKMは11米ドルまで下げ、年が明けた1月においても傾向は変わらず概ね9米ドルで推移した。2月に入り北東アジア地域での旧正月後には下落基調は更に拍車がかかり8米ドルを割ったが、3月には短期的な需要が発生したことなどから一時10米ドルに近づいた。4月半ばには中東情勢激化への懸念等もあり中旬に11米ドル前半まで急騰するも、下旬には緊張緩和により10米ドル前半で推移。5月は夏季に向けた需要増を背景に、下旬には11米ドル後半から-12米ドル台前半を推移。6月も夏場の需要増等を背景に一時13米ドル半ばまで上昇。7月は需要が低調ながら価格下落による短期的な購入意欲の高まりもあり11米ドル後半から12米ドル前半を推移。8月中旬には地政学的な不透明さを背景に14米ドル半ばを付け2024年中の最高値を更新した。9・10月は低需要を背景に軟化し13米ドル付近を推移。11月には気温低下と地政学的緊張の高まりにより15米ドル台を付け、2024年中の最高値を更新している。その後上昇は一時一服するも翌年のロシア産ガスフローの不透明感を受け再び上昇基調に転じた。2025年1月は欧州ガス価格に連動する形で主に13-14米ドル台を推移。
- 日本平均LNG輸入価格は、2020年3月以降の原油価格急落の影響により、8月から10月にかけて2005年1月以来の低水準となる5米ドル台まで下落、その後原油価格上昇に伴い、12月には7米ドル台に上昇した。堅調な原油価格の値動きに応じて、2021年2月には9米ドル半ばまで上昇後、3月は7米ドル半ばまで下落した。その後は、2022年6月までの日本平均原油価格の上昇に伴って、続く18ヶ月間は概ね一貫して上昇し、2022年9月には過去最高の22.73米ドルを記録した。その後、原油価格の2022年7月以降の下降傾向も一因として、2023年4月以降は11から13米ドル台で推移している。
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(出典)
米国HH(Henry Hub)価格: NYMEX Futures and Options, CME Group
蘭TTF(Title Transfer Facility)価格:ICE Endex, Intercontinental Exchange
JKM: LNG Japan/Korea Marker© 2025 by S&P Global Platts, a division of S&P Global Inc.
JOGMECスポットLNG価格:JOGMEC「日本着スポットLNG月次価格」、2021年3月までは経済産業省「スポットLNG価格調査」を出典とする
日本平均LNG輸入価格: 財務省貿易統計をもとに作成
EUA(EU ETS): ICE Endex, Intercontinental Exchange
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天然ガス・LNG在庫動向
日本
- 2024年8月末の国内LNG在庫量は452万トンで、前月比3.8%、17.8万トンの減少、前年同月比では3.1%増加し、過去5年平均値を14.2万トン下回った。
- 2024年9月末の国内LNG在庫量は462万トンで、前月比2.2%、9.7万トンの増加、前年同月比では5.9%増加し、過去5年平均値を17.3万トン下回った。
- 2024年10月末の国内LNG在庫量は487万トンで、前月比5.3%、24.6万トンの増加、前年同月比では9.2%減少し、過去5年平均値を15.2万トン下回った。
- 10月末のガス事業用LNG在庫量は252万トンで、前月比8.9%増、前年同月比では6.3%減となった。10月の都市ガス用LNG消費量は前年同月比2.5%増の200万トン、都市ガス用LNG受入量は前年同月比0.3%減の206万トンだった。
- 11月末のガス事業用LNG在庫量は279万トンで、前月比10.3%増、前年同月比では1.6%減となった。11月の都市ガス用LNG消費量は前年同月比5.3%減の218万トン、都市ガス用LNG受入量は前年同月比2.1%減の212万トンだった。
- 8月末の発電燃料用LNG在庫量は223万トンで前月比3.2%減、前年同月比0.4%の増加となった。8月の発電燃料用LNG消費量は、前年同月比で1.0%増の370万トン、発電燃料用LNG受入量は、前年同月比で0.3%減の400万トンであった。
- 9月末の発電燃料用LNG在庫量は230万トンで前月比3.3%増、前年同月比16.9%の増加となった。9月の発電燃料用LNG消費量は、前年同月比で3.9%減の333万トン、発電燃料用LNG受入量は、前年同月比で3.7%増の377万トンであった。
- 10月末の発電燃料用LNG在庫量は234万トンで前月比1.7%増、前年同月比12.1%の減少となった。10月の発電燃料用LNG消費量は、前年同月比で7.5%増の278万トン、発電燃料用LNG受入量は、前年同月比で13.1%減の316万トンであった。
- 2025年1月29日に経済産業省が発表した「発電用LNGの在庫状況」によると、大手電力事業者の1月26日時点のLNG在庫は215万トンであった。2024年1月と同量で、過去5年間の1月末平均を19万トン上回っている。
(出典)
経済産業省「ガス事業主生産動態統計」及び「電力調査統計・火力発電燃料実績」をもとに作成したもので、これら月末在庫を合算した値を国内在庫としてみなしたもの。なお、利用可能なデータは2008年1月以降のものであるため、過去5年平均は2013年1月分から計算している。
米国
- 2024年1月17日の米国天然ガス地下貯蔵有効稼働ガス在庫(ワーキングガス)は、米国エネルギー情報局(EIA)のデータによると、2.89Tcfで前月比18.1%減となった。在庫量は2024年の同時期と比較すると1.3%高く、過去5年平均値を64.6Bcf上回っている。
(出典)
米国エネルギー情報局(U.S. Energy Information Administration, EIA)のデータをもとに作成
欧州
- 2025年1月28日現在のAggregated Gas Storage Inventory(AGSI+)加盟各社中、EU加盟国各社が有する欧州天然ガス地下貯蔵在庫は632.0TWh(LNG換算4,181万トン相当)であった。これは前年同期より21.9%、177.7TWh(LNG換算1,175万トン相当)下回るものだった。貯蔵容量に対する充填率は55.1%であり、前年同期の73%を下回り、過去5年間平均値の58.7%を下回った。貯蔵容量の大きなドイツ、イタリア、オランダの充填率はそれぞれ57.4%、64.7%、39.2%であった。
(出典)
Aggregated Gas Storage Inventory(AGSI), Gas Infrastructure Europeのデータをもとに作成。なお、利用可能なデータは2011年1月以降のものであるため、過去5年平均は2016年1月分から計算している。
- 2025年1月28日現在のAggregated LNG Storage Inventory(ALSI)加盟各社が有する欧州LNG在庫量は427万m3で、前月比3.6%増加、前年同日比12.1%減少、過去5年平均値を2.0%下回っている。貯蔵容量に対する充填率は46.4%であり、前年同期の36.9%を上回っている。
(出典)
Aggregated LNG Storage Inventory(ALSI), Gas Infrastructure Europeのデータをもとに作成。なお、利用可能なデータは2012年1月以降のものであるため、グラフ中の過去10年平均及び過去10年平均幅の値については、5年未満の値が含まれる。
天然ガス・LNGプロジェクト動向
ハイライト
- 米新政権は、非自由貿易相手国向けLNG輸出承認手続きの一時停止を公式に打ち切り、速やかに審査を再開すべきことをDOEに命じた。
- 同国で、2件の新規LNG生産プロジェクトが本格稼働開始に向けて前進している。Venture Globalは、Plaquemines LNG設備から最初のLNGカーゴをドイツに向けて出荷した。Cheniere Energyは、Corpus Christi Stage 3プロジェクトでLNG生産を開始した。また、西アフリカのモーリタニア・セネガル沖合FLNGプロジェクトも、原料ガスの生産を開始した。
アジア・オセアニア地域
- 北海道ガスは2025年1月7日、苫小牧東港でカーボンニュートラル拠点の整備検討を行うことを決定したと発表した。将来的な水素・e-メタン導入等を見据えた拠点となる新LNG基地の建設を検討するとしている。
- フィリピンFirst Genは2025年1月6日、子会社FGEN LNGがエネルギー省(DOE)から、バタンガス市First Gen Energyコンプレックス内・暫定沖合LNG基地操業・維持(POM)許可を受けたことを発表した。POMは25年間有効となり、操業会社側はコマーシャル稼働に進むことができる。
- フィリピン競争規制機関PCCは2024年12月23日、Meralco PowerGen(MGen)、Therma Natgas Power、San Miguel Global Power Holdings、が複数の発電設備・LNG基地を共同で買収することを承認した。MGen・Thermaは合弁事業Chromite Gas Holdings(MGen:60%、Therma:40%)を通じて、South Premiere Power(SPPC)、Excellent Energy Resources(EERI)、Ilijan Primeline Industrial Estateの67%出資持分を取得する。San Miguel PowerはSouth Premiere、Excellent Energy、Ilijan Primelineにおける33%持分を維持する。Chromite・San Miguel Powerは、バタンガスシティでLNG基地を操業するLinseed Field Corporation(LFC)の100%を67%・33%の配分で取得する。
- タイGulf Energyは2025年1月14日、子会社Gulf LNG向けの最初のLNGカーゴを同6日に受け入れたことを発表した。Gulf LNGが規制機関ERCから受けた天然ガス調達・取り扱いライセンスは、年間最大640万トンのLNG輸入を認めるものである。Gulfは天然ガスビジネス拡大を計画している。この拡張戦略にはMap Ta Phut工業港湾開発第3段階が含まれる。埋め立ては既に95%超完了しており、LNG基地プロジェクトは2027年完成を予定している。
- マレーシアのサラワク州政府は2025年1月15日、Petrosが同州での専任ガスアグリゲーターとして消費者へのガス供給を中断することなく役割を遂行するべく、同州政府とPetrosはマレーシア政府・Petronasと緊密に連携していく、と述べた。
- Summit Groupは2025年1月22日、バングラデシュ3件目のFSRUプロジェクトの打ち切り通知を見直すことをPetrobanglaに求めている、と述べた。Summitは、打ち切りは無効、さらに同プロジェクトの遅延は同国のエネルギーの一層の不安定につながる、と述べた。
- ACCC(豪州競争・消費者関係規制機関)は2025年1月10日、最新のガス市場調査報告を公表した。この中で、天然ガスがエネルギートランジションに重要な役割を担うにも関わらず、新規ガス生産・支えるインフラストラクチャがそれに見合ったスピードで稼働開始されていない、と述べた。「現在の見通しでは、供給が増加するか需要が減少しない限り、2027年から東部に構造的なガス不足の可能性がある」とACCCは述べた。同報告は、エネルギートランジションへの政府計画においてガスの役割を明示し、エネルギーセキュリティ実現に市場主導のソリューションを支え、トランジションにおけるガス市場を支えることを提言している。
- 豪Woodside Energyは2025年1月22日、North West Shelf(NWS)プロジェクトのトレイン2は恒久停止に向け2024年10月28日に停止された、と述べた。Woodsideは、NWS JVガス田の資源・第三者資源をKarrathaガス設備にて長期的に処理できるようNWSプロジェクト延長に関して西オーストラリア州政府より環境承認を受けた、と述べた。
- 豪Woodside Energyは2025年1月22日、Scarborough Energyプロジェクトの最新状況を報告した。Scarborough・Pluto Train 2プロジェクトとして2024年末時点で(Pluto Train 1改修を除き)78%完了となった。
- 豪Santosは2025年1月23日、2024年末時点でBarossaガスプロジェクトは88.3%完了となり、2025年第3四半期に現状のコストガイダンスの範囲で生産を実現する見通しと述べた。Darwinパイプライン複線化は71.4%完了し、Darwin LNG設備への陸揚げは完了、パイプラインの30 km超が敷設されたとしている。
- 豪Tamboran Resourcesは2025年1月22日、SantosとDarwin LNGトレイン2拡張可能性と、Beetaloo盆地にて共有するEP161鉱区(Santos:75%・オペレーター、Tamboran:25%)における作業協力に関連して実務検討を行うMOUを締結したことを発表した。Tamboranは引き続き、NTLNGプロジェクト開発にもコミットしており、BechtelとPre-FEED検討を進めている。
北米地域
- 米新政権は2025年1月20日の大統領令で「エネルギー長官は適用法令に準拠し、速やかにLNG輸出承認のための審査を再開すること。個別具体申請における『公共利益』促進の評価に当たり、エネルギー長官は申請承認により生じる合衆国への経済・雇用影響ならびに同盟諸国・パートナー諸国へのセキュリティ影響を勘案すべきこと」と命じた。DOEは同月21日、2024年12月に発行したLNG輸出に関するスタディに関するパブリックコメントの期限を、2025年2月18日から同3月20日まで延長した。
- Cheniere Energyは2024年12月30日、Corpus Christi Stage 3 Liquefaction(CCLステージ3)プロジェクトのトレイン1でLNG生産を開始したことを発表した。Cheniereはトレイン1の実質完成について完成保証期限を6か月以上先行した2025年第1四半期末までに見込んでいる。
- Venture Global LNGは2024年12月26日、Plaquemines LNGから最初のLNGカーゴの積み込み・出荷を発表した。同社9隻の新造LNG船団の1隻に積み込まれ、ドイツ向けに出荷された。
- Baker Hughesは2024年12月30日、Bechtel EnergyからWoodside EnergyのLouisiana LNGプロジェクトフェーズ1向けに、総容量年間1,100万トン・2本の液化系列向けのガス技術機器供給の受注を発表した。Chart Industriesは同月31日、自社IPSMR®液化技術・コールドボックス供給を、同案件向けにBechtelから受注したことを発表した。
- 豪Woodside Energyは2025年1月22日、Louisiana LNG開発の最新状況を説明した。同社は同プロジェクト持分の一部売却の検討を進めており、潜在的なプロジェクトパートナー企業から強い関心が寄せられているという。Woodsideは2025年第1四半期にFID準備完了となることを目標としている。
- バングラデシュの投資開発庁BIDAは2025年1月25日、同国政府として米ルイジアナ州に本拠を置くArgent LNGとの間で、最大年間500万トンのLNG購入に関するHOAを締結したことを発表した。
- 米アラスカ州AGDC(Alaska Gasline Development Corporation)は2025年1月6日、Alaska LNGプロジェクト開発の主導・資金調達に関して民間企業1社と枠組協定を締結したことを発表した。ALASKA PUBLIC MEDIAによるとAGDCは1月9日、GlenfarneをAlaska LNGプロジェクトの引き継ぎに関して話し合っている会社として明らかにした。GlenfarneはENSTAR Natural Gasとの間に、ニキスキの輸出インフラストラクチャ計画と同じ用地に天然ガス輸入インフラストラクチャを推進するための第2の契約がある、と述べた。
- 米大統領は2025年1月20日、「Alaska LNG プロジェクト関連の必要なパイプライン、輸出インフラストラクチャへの許可を含め、アラスカ州のLNGポテンシャルの開発を優先する」大統領令を発した。
欧州および周辺地域
- ウクライナ最大の民間エネルギー企業DTEKは2024年12月27日、米国から最初のLNGカーゴの引き渡しをギリシャRevithoussa LNG基地にて受けたことを発表した。
- ロシアGazpromは2025年1月1日モスクワ時間8:00から、ロシア産ガスのウクライナ領を通しての輸送に向けて供給が行われない、と述べた。Gazpromは「契約延長に関してウクライナ側が繰り返し拒絶し、Gazpromはウクライナ領を通じた輸送によるガス供給能力を奪われた」と述べた。
- 米財務省は2025年1月10日、ロシアに対する追加制裁を発行した。Sovcomflot所有のLNGタンカー4隻が含まれる。Arctic LNG 2プロジェクトに関係する企業としてAvision Shipping Services、Hongkong Yaqing Shipping Co、Skyhart Management Services、ZHOUSHAN WISON OFFSHORE AND MARINE CO LTDが含まれる。Portovaya LNG設備、Cryogas Vysotsk LNG設備のオペレーターも制裁リストに加えられた。
その他地域
- アブダビADNOCは2024年12月24日、ADNOC TradingがタイGulf LNGとの間で同国向けLNG供給契約を締結したことを明らかにした。この契約における最初のカーゴはADNOC Gasから調達され、ADNOC Tradingによるタイ向け直接では初のLNGとなる。なお、過去アブダビからタイへのLNG供給実績はある。
- CB&Iは2025年1月8日、アブダビRuwais LNGプロジェクトに向け超低温タンク2基、随伴土木・構造・機械・配管の作業のEPC一括請負契約をTJN Ruwais JVから受注したと発表した。TJN Ruwais JVは、Technip Energies France-Abu Dhabi、日揮、NMDC Energy間の合弁事業である。CB&Iは180,000m3のフルコンテインメントコンクリートLNGタンク2基を供給する。CB&Iによる建設作業は2025年11月開始見込み、プロジェクト完成目標は2028年1月となる。
- アブダビADNOC Gasは2025年1月9日、Ruwais LNGプロジェクト向けLNG前処理設備(LPP)、圧送設備、原料ガス輸送パイプラインに関する総額21億米ドルの3件の支援契約発注先選定を発表した。この内最大の12.4億米ドル相当のLPP向け契約は、Engineering for the Petroleum and Process Industries(ENPPI)・Petrojet連合に決定した。輸送パイプラインについて5.14億米ドル契約はChina Petroleum Pipeline Engineering Companyに決定、Petrofac Emiratesが3.35億米ドル契約に基づき新規圧送設備を開発する。
- bpは2025年1月2日、モーリタニア・セネガル沖Greater Tortue Ahmeyim(GTA)第1段階LNGプロジェクトのガス生産井からFPSO(浮体生産・貯蔵・払い出し)船舶に向けてガス送出を開始したと発表した。パートナー企業Kosmos Energyは最初のLNGカーゴが2025年第1四半期に見込まれると述べた。
- Golar LNGは2025年1月21日、FLNG Gimiがモーリタニア・セネガル沖GTAプロジェクトのbpが操業するFPSOから原料ガスを同18日に受け入れたことを発表した。それ以前はLNG輸送船舶British Sponsorからのガスが早期のコミッショニング作業に使われていた。最初のLNG輸出カーゴは2025年第1四半期、商業上の操業開始は同第2四半期に見込まれている。
- アルゼンチンYPFは2025年1月21日、インドOIL(Oil India Limited)、GAIL(Gas Authority of India Limited)、OVL(Oil and Natural Gas Corporation Videsh Limited)との間で、最大年間1,000万トンのLNG輸出に向けMOUを締結したと発表した。
- Chart Industriesは2025年1月8日、グローバル包括資器材・業務提供契約(「実現契約」)をExxonMobilと締結したと発表した。この実現契約はChartがLNG機器、技術、業務をExxonMobilの諸プロジェクトのグローバルポートフォリオに提供するため、諸条件・コマーシャル枠組を設定する。ExxonMobil・Chartは統一設計で多数建設のコンセプトを採用して、LNGプロジェクトのコスト、スケジュール、品質の最適化を図るとしている。
- Shellは2025年1月8日、2024年第4四半期の自社LNG液化数量に関して、従来見通し690-750万トンから推定680-720万トンに引き下げた。要因としては原料ガスの減少、引き取りタイミングによるカーゴ数減少を指摘した。2024年第4四半期トレーディング・最適化の業績が同年第3四半期比ではヘッジング契約の満了の影響で大きく下回ったと見ている。
(注: bcm: 10億m3、CCS: 炭素回収・貯蔵、DES: 持ち届け ex-ship、DOE: 米連邦エネルギー省、EPC: エンジニアリング・調達・建設、EPCI: エンジニアリング・調達・建設・設置、 EPCm: エンジニアリング・調達・建設管理、FEED: 基本設計、FERC: 米連邦エネルギー規制委員会、FID: 最終投資決定、FLNG: 浮体液化設備、FOB: 本船渡し、FSRU: 浮体貯蔵・気化設備、FSU: 浮体貯蔵化設備、HOA: 基本合意、MOU: 覚書、SPA: LNG売買契約)
作成協力 一般財団法人日本エネルギー経済研究所
添付ファイル
- 日本のLNG在庫量(29.2KB) (2025/1/30更新)
- 米国天然ガス地下貯蔵量(60.9KB) (2025/1/30更新)
- 欧州天然ガス地下貯蔵量(455.7KB) (2025/1/30更新)
- 欧州LNG在庫量(273.7KB) (2025/1/30更新)