2025年5月

天然ガス・LNG価格動向

直近の値動き

アジア

  • 北東アジアのアセスメントされたスポットLNG価格JKMは、4月25日には11ドル前半だった価格は、夏季シーズンに突入しつつも東アジアでの需要低迷が続いることから、5月2週目までに11ドル後半まで小幅に上昇。4週目の半ばまで11ドル後半台で推移。その後は、市場動向が夏季需要を見据え本格的にシフトしたことや、ウクライナ-ロシア間の和平交渉に進展がみられないことから、一時12ドル後半まで上昇したものの、中国やインドでの需要低迷を受け、4週目の終わりには12ドル半ばに下落した。
  • 財務省貿易統計速報に基づくと、2025年4月の日本平均LNG輸入価格は100万Btu当たり11.59米ドル、円建てでは1トン当たり88,789円となった。前者の米ドル建て価格は、2025年1月の全日本平均原油輸入CIF価格が2024年12月より低下したため、前月比0.14米ドル低下した。供給地域別では、米国産は11.66米ドル、ASEAN地域産が11.88米ドル、中東産が11.75米ドル、ロシア産が11.10米ドルであった。また、3月の北東アジア各国の平均輸入価格は、中国9.81米ドル、韓国11.41米ドル、台湾11.26米ドルであった。全日本平均原油輸入CIF価格(JCC: Japan crude cocktail)は2025年4月には1バレル当たり79.00米ドル、円建てでは1キロリットル当たり73,436円となった。
  • 4月の日本のLNG輸入量は、537万トンと前年同月比で1.7%増加した。4月の中国は464万トンと前年同月比で24.8%減少、韓国は404万トンと前年同月比で2.9%減少、台湾は198万トンと前年同月比46.7%増加となった。
  • 2、3、4月の日本のLNG輸入合計量は1,640万トン、中国は1,415万トンとなり、日本のLNG輸入量が中国を16%、225万トン上回った。

米国

  • 米国スポットガス価格HHは、4月25日は2.9ドルであったが、5月2週目の終わりには、気温上昇による電力需要増加の見通しから、3.8ドルまで上昇した。その後は各地で基本的に穏やかな天候が続いたことから、5月23日には3.3ドルまで下落した。

欧州

  • 欧州ガススポット価格TTFは、4月25日には10.8ドルであったが、ノルウェーのガス生産施設のメンテナンスや、EUが27年までにロシア産ガスの輸入を禁止する方策を公表したことにより、2週目の終わりには11ドル台半ばまで上昇。その後は11ドル半ば近辺で推移したものの、ウクライナ-ロシア間の和平交渉に進展がみられないことに市場が強気に反応し、23日には12.1ドルまで上昇した。

天然ガス・LNG価格推移(直近2年)

中長期の値動き

  • 2023年6月、JKMは欧州ガス価格の影響等を受け12米ドル付近で推移したが、7月には高在庫と低需要を背景に若干軟化し11米ドル付近で推移した。8月には豪州の主要プロジェクトでのストライキ発生の可能性が生じ、価格はやや上昇基調に入り、9月にストライキが実施された後は15米ドルまで上昇した。10月には中東での紛争の勃発等を受け17米ドルまで上昇したが、11月には地政学的リスクがいくらか緩和され概ね14米ドルで推移した。12月には豊富な供給と軟調な需要によりJKMは11米ドルまで下げ、年が明けた1月においても傾向は変わらず概ね9米ドルで推移した。2月に入り北東アジア地域での旧正月後には下落基調は更に拍車がかかり8米ドルを割ったが、3月には短期的な需要が発生したことなどから一時10米ドルに近づいた。4月半ばには中東情勢激化への懸念等もあり中旬に11米ドル前半まで急騰するも、下旬には緊張緩和により10米ドル前半で推移。5月は夏季に向けた需要増を背景に、下旬には11米ドル後半から-12米ドル台前半を推移。6月も夏場の需要増等を背景に一時13米ドル半ばまで上昇。7月は需要が低調ながら価格下落による短期的な購入意欲の高まりもあり11米ドル後半から12米ドル前半を推移。8月中旬には地政学的な不透明さを背景に14米ドル半ばを付け2024年中の最高値を更新した。9・10月は低需要を背景に軟化し13米ドル付近を推移。11月には気温低下と地政学的緊張の高まりにより15米ドル台を付け、2024年中の最高値を更新している。その後上昇は一時一服するも翌年のロシア産ガスフローの不透明感を受け再び上昇基調に転じた。2025年1月は欧州ガス価格に連動する形で主に13-14米ドル台を推移。2月には一時2023年11月以来の17米ドルを付けるもほどなく下落に転じた。3月は北東アジアでの低需要を背景に、一時12ドル前半まで下落したものの、その後地政学的リスクの高まりにより13ドル後半まで上昇した。4月は米国の関税政策発表による世界的な景気後退の懸念から11ドル前半まで急落したが、その後反発し12ドル前半で推移。5月は市場動向が夏季需要に本格的にシフトしたことや、ウクライナ-ロシア間の和平交渉に進展がみられなかったことから、中旬に12ドル後半まで上昇し、その後は12ドル半ばで推移した。
  • 日本平均LNG輸入価格は、2020年3月以降の原油価格急落の影響により、8月から10月にかけて2005年1月以来の低水準となる5米ドル台まで下落、その後原油価格上昇に伴い、12月には7米ドル台に上昇した。堅調な原油価格の値動きに応じて、2021年2月には9米ドル半ばまで上昇後、3月は7米ドル半ばまで下落した。その後は、2022年6月までの日本平均原油価格の上昇に伴って、続く18ヶ月間は概ね一貫して上昇し、2022年9月には過去最高の22.73米ドルを記録した。その後、原油価格の2022年7月以降の下降傾向も一因として、2023年4月以降は11から13米ドル台で推移している。

天然ガス・LNG価格推移(直近10年)

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(出典)
米国HH(Henry Hub)価格: NYMEX Futures and Options, CME Group
蘭TTF(Title Transfer Facility)価格:ICE Endex, Intercontinental Exchange
JKM: LNG Japan/Korea Marker© 2025 by S&P Global Platts, a division of S&P Global Inc.
JOGMECスポットLNG価格:JOGMEC「日本着スポットLNG月次価格」、2021年3月までは経済産業省「スポットLNG価格調査」を出典とする
日本平均LNG輸入価格: 財務省貿易統計をもとに作成
EUA(EU ETS): ICE Endex, Intercontinental Exchange

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天然ガス・LNG在庫動向

日本

  • 2024年12月末の国内LNG在庫量は499万トンで、前月比0.6%、3.12万トンの減少、前年同月比では13.4%減少し、過去5年平均値を15.9万トン上回った。
  • 2025年1月末の国内LNG在庫量は496万トンで、前月比0.6%、3.11万トンの減少、前年同月比では0.4%増加し、過去5年平均値を61.7万トン上回った。
  • 1月末のガス事業用LNG在庫量は225万トンで、前月比8.3%減、前年同月比では1.8%減となった。1月の都市ガス用LNG消費量は前年同月比4.7%減の269万トン、都市ガス用LNG受入量は前年同月比7.8%増の266万トンだった。
  • 2月末のガス事業用LNG在庫量は219万トンで、前月比2.7%減、前年同月比では2.4%増となった。2月の都市ガス用LNG消費量は前年同月比4.8%減の258万トン、都市ガス用LNG受入量は前年同月比5.4%増の271万トンだった。
  • 12月末の発電燃料用LNG在庫量は254万トンで前月比13.5%増、前年同月比18.8%の減少となった。12月の発電燃料用LNG消費量は、前年同月比で1.0%増の345万トン、発電燃料用LNG受入量は、前年同月比で6.2%減の417万トンであった。
  • 1月末の発電燃料用LNG在庫量は271万トンで前月比6.8%増、前年同月比2.4%の増加となった。1月の発電燃料用LNG消費量は、前年同月比で4.6%減の355万トン、発電燃料用LNG受入量は、前年同月比で12.6%増の424万トンであった。
  • 2025年5月21日に経済産業省が発表した「発電用LNGの在庫状況」によると、大手電力事業者の5月18日時点のLNG在庫は198万トンであった。2024年5月末比では9万トン下回り、過去5年間の5月末平均を20万トン下回っている。

国内LNG月末在庫量(直近2年)

国内LNG月末在庫(直近10年)

(出典)
経済産業省「ガス事業主生産動態統計」及び「電力調査統計・火力発電燃料実績」をもとに作成したもので、これら月末在庫を合算した値を国内在庫としてみなしたもの。なお、利用可能なデータは2008年1月以降のものであるため、過去5年平均は2013年1月分から計算している。


米国

  • 2025年5月9日の米国天然ガス地下貯蔵有効稼働ガス在庫(ワーキングガス)は、米国エネルギー情報局(EIA)のデータによると、2.3Tcfで前月比22.2%増となった。在庫量は2024年の同時期と比較すると14.6%低く、過去5年平均値を57Bcf下回っている。

米国天然ガス地下貯蔵量(直近2年)

米国天然ガス地下貯蔵量(直近10年)

(出典)
米国エネルギー情報局(U.S. Energy Information Administration, EIA)のデータをもとに作成


欧州

  • 2025年5月19日現在のAggregated Gas Storage Inventory(AGSI+)加盟各社中、EU加盟国各社が有する欧州天然ガス地下貯蔵在庫は508.2TWh(LNG換算3,362万トン相当)であった。これは前年同期より33.2%、252.55TWh(LNG換算1,671万トン相当)下回るものだった。貯蔵容量に対する充填率は52.9%であり、前年同期の67.14%を下回り、過去5年間平均値の55.48%を下回った。貯蔵容量の大きなドイツ、イタリア、オランダの充填率はそれぞれ37.58%、54.87%、31.59%であった。

欧州天然ガス地下貯蔵量(直近2年)

欧州天然ガス地下貯蔵量(直近10年)

(出典)
Aggregated Gas Storage Inventory(AGSI), Gas Infrastructure Europeのデータをもとに作成。なお、利用可能なデータは2011年1月以降のものであるため、過去5年平均は2016年1月分から計算している。

 

  • 2025年5月19日現在のAggregated LNG Storage Inventory(ALSI)加盟各社が有する欧州LNG在庫量は487万m3で、前月比2.9%増加、前年同日比14.3%増加、過去5年平均値を2.2%下回っている。貯蔵容量に対する充填率は52.9%であり、前年同期の48.8%を下回っている。

欧州LNG在庫量(直近2年)

欧州LNG在庫量(直近10年)

(出典)
Aggregated LNG Storage Inventory(ALSI), Gas Infrastructure Europeのデータをもとに作成。なお、利用可能なデータは2012年1月以降のものであるため、グラフ中の過去10年平均及び過去10年平均幅の値については、5年未満の値が含まれる。


天然ガス・LNGプロジェクト動向

ハイライト

豪Woodsideが、4月末にLouisiana LNGプロジェクト最初の3系列・年間1650万トン分についてFIDを発表、2029年LNG生産開始を目指している。米国の大型LNG生産プロジェクトとしては、2023年7月以来のFIDとなった。アルゼンチンでは、5月初旬、Southern Energy FLNGプロジェクトのFIDが発表された。2隻のFLNGにより、LNG年間600万トンの輸出容量を見込んでおり1隻目2027年末、2隻目2028年末の生産開始を目標としている。

 

アジア・オセアニア地域

  • 大阪ガスは2025年4月21日、Shore to Ship方式による船舶向けLNG燃料の供給事業を開始したことを発表した。大阪ガス泉北製造所第二工場にて、第1隻目として、商船三井が運航するJFEスチール向けのLNG燃料鉄鋼原料船「VERDE HERALDO(ヴェルデ エラルド)」にLNG燃料の供給を実施した。
  • JERAと西部ガスは2025年4月22日、LNG基地の戦略的活用などに関する提携について合意したことを発表した。西部ガスが2024年11月に国内の天然ガス需要への対応や安定供給の向上などを目的に3号タンクの増設を含むひびきLNG基地の能力増強を決定したことを契機に、両社のLNG安定確保の強化などを具体的に実現するために合意したもの。
  • マレーシアPETRONASは2025年4月22日、PETRONAS LNGがベトナムPetroVietnam Gas(PV Gas)向けの初のLNGカーゴ引き渡しを完了した、と発表した。サラワク州ビントゥルPETRONAS LNG設備から、バリア-ブンタウ省Thị Vải LNG基地に、PETRONAS子会社MISCから傭船されたLNG輸送船Seri Ayuで輸送された。
  • インドHPCL(Hindustan Petroleum Corporation Limited)は2025年4月30日、LNG SPAをアブダビADNOC LNGと締結したことを明らかにした。HPCLはグジャラート州ChharaにLNG基地を稼働開始している。
  • ブルネイBrunei LNGは2025年5月2日、長期LNG SPAをPetroChina International Singaporeと締結したことを発表した。
  • BK LNG Solution(BKLS)は、2025年5月7日、Bosowa Energy GroupとMOUを締結して戦略パートナーシップを発表、LNGおよびさらに広範囲のエネルギーインフラストラクチャ部門での包括的な協力を進める。両社はLNG供給チェーン統合整備、FSU(浮体貯蔵設備)、天然ガス発電、下流のエネルギー事業、ISOタンクコンテナによる小規模LNG配給等の分野で協力する。主要要素のひとつとして、離島の既存ディーゼル火力発電設備を、LNGを用いるガス火力発電設備へ転換することが挙げられる。また、このパートナーシップは、モジュラー型LNG気化設備、地域分散型マイクログリッドシステムの開発も対象としている。初期のパイロットプロジェクトは、2025年内にインドネシア東部で開始予定である。
  • シンガポールのエネルギー規制機関EMAは2025年5月7日、発電部門天然ガスの調達・供給を集中化するために、完全政府所有機関となるSingapore GasCoが設立された、と述べた。
  • 豪Santosは2025年5月7日、Barossaプロジェクトは95.4%完了し、ガス生産開始は同年第3四半期を予定している、と述べた。FPSO(浮体生産・貯蔵・積み出し)船舶とSURF(海底生産システム)はほぼ完成、Darwin LNGパイプラインの複線化は85%以上完了している。LNG・国内諸市場向けの長期ガス供給確保に重要な役割を果たすMoomba Central最適化プロジェクトは、2025年中にFID準備の完了を目標としている。Santosは諸設備の電化・集中化、老朽化コンプレッサーの入れ替えにより、陸上Cooper盆地の単位当たりガス生産コストの引き下げを期待している。
  • 豪Santosは2025年5月7日、パプアニューギニアPapua LNGプロジェクトは2026年のFID準備の完了を見込んでおり、P'nyangプロジェクトは処理コンセプトの選定フェーズにある、と述べた。
  • 豪Woodside Energyは2025年5月8日の年次総会で、Scarboroughプロジェクトは80%以上完成しており、2026年後半に最初のLNGカーゴ出荷の予定、と発表した。Scarboroughは、貯留層からのCO₂排出がほぼゼロで、効率的な処理設備を備えていることから、低炭素のオプションとして販売されている、と述べた。Louisiana LNGプロジェクトと合わせると、Woodsideは2030年代に年間2400万トンのLNGを供給、世界供給の5%以上を担うことになる見込み。過去2ヶ月間に、中国のChina Resources、ドイツUniperと締結した契約により、WoodsideのLNGは、中国、欧州に向けて2040年代も供給されることになる。
  • Eniは2025年5月13日、インドネシア沖Kutei盆地Merakes Eastガス田の生産開始を発表した。East Sepinggan鉱区(Eni 85%)にあり、同社のガス生産量に日量0.1 bcfが加わる見込み。Jangkrik浮体生産設備(FPU)に海底接続され、ガスは国内市場、Bontang液化設備向けに供給される。
  • 中国Guangdong Pearl River Investment Management Groupは2025年5月20日、ConocoPhillipsとの間で、15年間のLNG SPAを締結したことを発表した。
  • Mercuria Energyは2025年5月21日、Mercuria Energy Tradingが、Guangzhou Gasとの間で、長期LNG SPAを締結したことを発表した。
  • bpは2025年5月21日、Zhejiang Energyと長期LNG SPAを締結したことを発表した。bpは最大年間100万トンのLNGをDES条件で10年間、bpのグローバルポートフォリオより供給する。

 

北米地域

  • Honeywellは2025年4月22日、Argent LNGとの間で、ルイジアナ州Port Fourchonに建設すべきLNG輸出設備でのHoneywell原料ガス処理ソリューションの利用について検討する契約を締結したことを発表した。
  • 豪Woodside Energyは2025年4月23日、米Louisiana LNGプロジェクトに関して、第1・2系列の主要資機材の発注が完了、第3系列に関しても購入発注に着手したと述べた。4月初旬、WoodsideはStonepeakとの間で、Louisiana LNG Infrastructure社の株式40%の売却契約を締結したが、Woodsideはさらに少数持分売却の話し合いを進めているとしている。「Louisiana LNGは保税地域を有し、各LNG系列の完成まで、関税支払いを延期することができ、追加関税の影響の分析と対策を検討している。Louisiana LNGの推定設備投資額の25%が資機材で、現時点でこの半分が米国から調達される見込み」としている。
  • PHMSA(米連邦パイプライン・危険物安全管理局)は、2025年4月29日、LNG設備規制の更新、新規LNGインフラストラクチャプロジェクトの迅速な推進、輸出設備の拡張、小規模LNG市場の拡大を目指す規則改正案に関して、コメントを求めていることを発表した。この発表によると「これらの規則改正は、米国のエネルギー生産・輸送者に、技術進展やエンジニアリング上のベストプラクティスを活用できるようにし、時代遅れな規制を廃することで、負担を減らすもの。これら新規則が、米消費者にとってのコスト低下に貢献、海外同盟国を支援する」とのこと。
  • 豪Woodside Energyは2025年4月29日、3系列・年間1650万トンLouisiana LNG開発のFIDを行ったことを発表した。2029年LNG生産開始を目指している。本開発には、追加2系列の拡張容量があり、合計年間2760万トン分まで許可を受けている。決定分のLNGプロジェクト、パイプラインの資本的支出は、175億米ドルと見込まれる。
  • シンガポールに本拠を置くLNG Allianceは2025年4月30日、オマーンOQ Tradingが15年間のLNG SPAをLNG Allianceメキシコ子会社Amigo LNGと締結したことを発表した。OQTは、年間60万トンのLNGを、FOB条件で、Amigo LNGのメキシコ ソノラ州グアイマスの輸出設備から購入する。LNG引き渡しは2028年第2四半期開始を見込んでいる。
  • 豪Woodside Energyは2025年4月30日、bpとの間で、Louisiana LNGプロジェクト向けの天然ガス供給について契約を締結したと発表した。この発表によると、多様な原料ガスポートフォリオの第一弾となる。「bpによるMiQ認証の経験に立脚して、Louisiana LNGプロジェクト向けに認証可能な低メタン排出原単位のガスにアクセスできる。これはWoodsideの、国連環境計画(UNEP)OGMP 2.0イニシアチブメンバーとしての目標を支援するものとなる」。Louisiana LNG完全子会社Louisiana LNG Gas Management(GasCo)は、長期ベースで最大640 bcf(486万トン)のガスをbpから購入することにコミットしたもので、Line 200での引き渡しは2029年開始となる。
  • ExxonMobilは2025年5月2日、Golden Pass LNGプロジェクトは予想通りのペースで進展し続けている、と述べた。LNG生産開始は2025年末までと見込みだが、2026年初にずれ込む可能性もある。カタールQatarEnergyは2025年5月20日、同年末にGolden Passが稼働すれば、米国からのLNG輸出業者になる、と述べた。
  • Commonwealth LNGは2025年5月5日、アジアの大手エネルギー企業とSPAを締結したことを発表した。買主はルイジアナ州キャメロン郡で開発中のCommonwealthの年間950万トンのLNG設備から、年間100万トンのLNGを20年間購入することとなる。Commonwealthはまた、2025年4月28日に、Woodside Energy Trading Singaporeとの間で2022年9月2日に締結した2本のSPAsを、契約条件に基づき打ち切りとしたことも明らかにした。
  • Energy Transferは2025年5月6日、Lake Charles LNGとMid Ocean Energyが4月に同LNGプロジェクトの共同開発に関して拘束力のない枠組を提供するHoAを締結した、と述べた。Mid Oceanは建設コストの30%を負担し、LNG生産の30%の権利を持つこととなる。Energy Transferは、4月にLake Charles LNGが日本のユーティリティ企業と、年間最大100万トンの拘束の力あるSPAを締結した、と述べた。同契約は、5月までに同社の取締役会承認が条件となる。またEnergy Transferは、4月にLake Charles LNGがドイツのエネルギー企業と年間最大100万トンのHOAを締結した、と述べた。Lake Charles LNGは2025年末までのFIDを目標としている。Lake Charles LNG Exportは4月17日、DOE化石燃料・カーボンマネジメント局に非FTA輸出指令の輸出操業開始期限を2031年12月31日まで延長する変更申請を提出、2025年6月16日までの延長承認を要請している。
  • NextDecadeは2025年5月6日、4月に自社がAramcoおよびTotalEnergiesとそれぞれ20年間のLNG SPAを締結、ADNOCに続く第4系列を支える長期顧客としたことにより、FIDに向けた十分な商業的コミットメントを確保した、と述べた。NextDecadeは、Bechtelとの間で第4系列EPC契約更新を話し合っており、直ちに第4系列資金調達手続きを開始する見込みとしている。
  • Sempraは2025年5月8日、Port Arthur建設現場で安全上の事故があり、3人が死亡したことを認めた。Port Arthur LNGは2月にコスト上昇を回避する予防措置として、全ての資材を外国通商ゾーンに受け入れるように変更した。Port Arthur LNGフェーズ2のFID目標は2025年末を維持しているが、不確実性やマクロ経済上状況によりタイミングは影響を受ける可能性があるとしている。Sempraの資本計画に反映されている優先事項は、被規制公益事業分野に焦点を置くとしている。
  • タイのエネルギー省は2025年5月8日、米アラスカ州Alaska LNGからのガス輸入について適切な量を検討、年間300 - 500万トン程度となる可能性がある、と述べた。同省は、PTT、EGAT、Electricity Generating Public Companyに、同プロジェクトの詳細交渉を委託した、と述べた。
  • FERCは2025年5月9日、Venture Global CP2 LNG ・ CP Expressパイプラインプロジェクトに、最終追加環境影響評価書を発行した。
  • Louisiana LNGとDriftwood Pipelineは、2025年5月13日、FERCへの提出書類にて、豪Woodside EnergyによるTellurian買収後のプロジェクト建設状況を正確に反映するため修正されたLouisiana LNGのBechtel EnergyとのEPC契約における修正後の日程に沿った形で、プロジェクト稼働開始日程を2029年12月31日まで8ヶ月間追加延長することを申請した。Woodside Energyが進めている追加の出資持分売却、引き取りの契約、その他開発進展のための第三者との取引手配を支えるため、前記の延長が必要としている。これらは全て、Louisiana LNG・Driftwood Pipelineの規制承認が建設期間中を通じて法的に有効であることを必要とする、としている。Louisiana LNG・Driftwood Pipelineは、6月13日までに承認することを求めている。
  • Kimmeridgeは2025年5月13日、傘下のKimmeridge Texas Gas・Commonwealth LNGが、Glencore社と戦略的な天然ガス・LNGパートナーシップ契約を締結したことを発表した。GlencoreはCommonwealthから20年間・年間200万トンのLNG、KTGから国際価格からのネットバック価格で等量の天然ガスを購入する。Glencoreとの契約を含め、Commonwealthは長期契約での年間300万トン分の引き取りを確保し、2025年第3四半期FID、LNG生産は2029年を見込んでいる。
  • 豪Woodside Energyは2025年5月14日、サウディアラビアAramcoとの間で、Louisiana LNGプロジェクトにおける後者の出資参加を含むグローバルレベルでの機会の探求に関して、非拘束の協力協定を締結したことを発表した。
  • FERC事務局は2025年5月16日、Commonwealth LNGプロジェクトへのFERC環境審査に関する2024年7月16日付コロンビア特別区連邦控訴審による意見に対応して、最終追加環境影響評価書(EIS)を発行した。
  • DOEは2025年5月19日、「2024年LNG輸出スタディ」へのコメントに対する応答を公表した。「米国産LNG輸出は米国民にも、世界にも、望ましい」と述べた。これにより、米国産天然ガスをLNGとして非自由貿易協定諸国に輸出する審査中の申請に最終指令の発行に進む、としている。
  • TotalEnergiesは2025年5月19日、カナダKsi Lisims LNGとの間で、当該プロジェクトのFIDを条件として、年間200万トンのLNGを20年間購入するSPAを締結したことを発表した。TotalEnergiesは同プロジェクトの開発者、株主、将来のオペレーターとなるWestern LNGの5%株式を取得する。この買い取りにより、FIDがなされる際に、TotalEnergiesにはWestern LNGにおける持株を増加するか、10%程度まで設備の直接所有権、またはその両方を得るオプション権が認められる。

 

欧州および周辺地域

  • ドイツDET(Deutsche Energy Terminal GmbH)は2025年4月28日、FSRU Excelsiorがヴィルヘルムスハーフェン近くの桟橋に到達したことを発表した。同FSRUはExcelerate Energyが所有している。Wilhelmshaven02はDETにとりヴィルヘルムスハーフェン第2基地、ブルンスビュッテルも含めると自社第3基地となる。
  • INEOSおよびCovestroは2025年4月30日、INEOSのグローバルのLNGポートフォリオから調達する天然ガス供給について、2027年から8年間の長期契約を締結したことを発表した。INEOSはLNG部門に、2022年6月にSempra Infrastructureと米ガルフ地域より年間140万トンの供給について20年契約を締結して参入した。
  • ドイツBMWK(経済・気候アクション省)は2025年4月30日、ガス貯蔵設備在庫充填水準既定の調整に関するBMWK案を連邦政府内閣が承認したことを発表した。同規制案は、ガス貯蔵水準に関する法的義務付けを若干下方修正しつつ、高水準のガス供給セキュリティを持続する。従って、同規制案は、高速で応答性の高い洞窟型貯蔵設備と、注入・払い出し速度の遅い細孔型貯蔵設備を区別する。洞窟型貯蔵設備の貯蔵充填義務は、毎年11月1日時点で、90%から80%へと下げられる。この要件は、オーストリア、スイスの供給セキュリティにも重要なドイツ南部の4つの多孔質貯蔵設備にも適用されることとなる。それ以外の多孔質貯蔵設備には、義務水準は45%に下げられる。この規制手続きは、省令であり、議会承認を必要としない。公布により即、発効する。
  • VTTIおよびHöegh Eviは2025年5月2日、オランダZeeland Energy Terminal(ZET)基地プロジェクトの承認手続きを開始したことを発表した。気候・グリーン成長省(KGG)は参加に向けた意思・提案通知を発行、オランダ政府の戦略的プロジェクトとして承認手続きが開始された。ZETはFSRUを活用し、2028/2029年の稼働開始を目指す。
  • 欧州委員会は、2025年5月6日、従来の目標期日3月26日より数週間遅れて「ロシア産エネルギー輸入停止に向けたロードマップ」(REPowerEU Roadmap)を発表した。ECによる今後の具体案は、EU市場全体を通じてロシア産ガスの透明性、監視、トレーサビリティの向上を目指す。ロシア産(パイプライン・LNGとも)供給者との新規契約を禁止、既存スポット契約は2025年末までに停止される。委員会はこの策が2025年末までにロシア産ガスの残り供給を3分の1削減できるとしている。委員会はさらにロシア産ガスの残り輸入を全て2027年末までに停止することを提案する予定である。

 

その他地域

  • アブダビADNOC、中国ENNは、それぞれ2025年4月18日・21日、15年間のLNG SPAを締結したことを明らかにした。ENNによると、ADNOCは年間100万トンのLNGをENNに供給する。このLNGは主としてADNOCのRuwais LNGプロジェクトから調達されることとなる。
  • モロッコのエネルギートランジッション・サステナブル開発省は、2025年4月23日、ナドール・ウェスト・メッド港湾でのLNG受入・貯蔵・気化・輸送インフラストラクチャ、ガス火力発電設備の開発について関心募集を発表した。プログラムには、インフラストラクチャの設計・建設・機器操業メンテナンスが含まれる。基地はFSRUあるいはFSU(気化設備は桟橋側に設置)方式としている。
  • Wison New Energiesは、2025年4月25日、スリナム沖第52鉱区新規建設のFLNG設備の詳細事業化調査(DFS)契約を締結したことを発表した。同国沖120 kmに位置する水深450 mのSloaneaガス田を活用する。
  • TotalEnergiesは2025年4月30日、モザンビークMozambique LNGプロジェクトに関して、資金調達は全て軌道に戻りつつある、と述べた。同社によると「1、2件の回答」を見込んでいる。同社によると、当該工業地域のセキュリティは完全に確保されており、モザンビーク当局に同プロジェクトの人権問題に関する調査を要請、今年半ばのプロジェクト再開を目標としている。
  • TotalEnergiesは2025年5月1日、オマーンOQ Exploration and Production(OQEP)とともに、同国北部ソハール港湾のMarsa LNG設備について、FIDから1年、その起工式を実施したことを発表した。この年間100万トンの液化設備は、Marsa LNGにより建設される。同社はTotalEnergies 80%・OQEP 20%の合弁事業である。LNG生産は2028年第1四半期開始が見込まれ、ガルフ地域における海洋燃料市場(LNGバンカリング)用途を意図している。
  • Harbour Energyは2025年5月2日、自社とパートナーPan American Energy、YPF、Pampa Energía、Golar LNGがアルゼンチンSouthern Energy FLNG輸出プロジェクトのFIDを行ったことを発表した。同プロジェクトは、Golar LNGのFLNG船舶中Hilli Episeyo、MK IIの2隻をリオネグロ地方沖に配備することを想定している。同プロジェクトはLNG年間600万トンの処理・輸出容量を持つことを見込む。Southern EnergyはHili Episeyoからの生産開始目標を2027年末としており、MK IIは2028年末の稼働開始を見込んでいる。Southern Energy S.A.は、ガス生産企業Pan American Energy (30%)、YPF (25%)、Pampa Energia (20%)、Harbour Energy (15%)の企業連合、および Golar LNG (10%)が所有している。
  • Golar LNGは2025年5月2日、FLNG Hilli Episeyoについての、2024年7月5日に発表した20年間の再配置傭船契約について、FIDと全ての前提条件の履行を発表した。同船はSouthern Energy S.A.(SESA)向け、アルゼンチン沖合に傭船・配置される。さらにGolar・SESAはMKII FLNGの20年間傭船の正式契約を締結した。同船は中国のCIMC Raffles shipyard in Yantaiにおいて建造中で、MKII FLNG傭船は引き続き、FLNG Hilli同様に、2025年内に見込まれるFIDおよび規制承認が条件となる。
  • ノルウェーHöegh Eviは2025年5月12日、エジプトにHoegh GandriaをFSRUとして配船するEgyptian Natural Gas Holding (EGAS)との10年間の傭船契約を発表した。FSRU Hoegh Gandriaは2026年第4四半期、Sumed港湾に配備される。Höegh EviはHoegh GandriaをFSRUに改造する。Hoegh Gandriaは2023年2月、改造を織り込み買い取られたもので、Hoegh Galleonに入れ替わる。後者は2024年7月にエジプトに配備されたが、AIE・Höegh Eviからの暫定傭船だった。Galleonは2027年豪州Port KemblaのLNG基地への配備まで、あと1年エジプトに留まる。
  • New Fortress Energyは2025年5月13日、自社子会社が125,000 m3 FSRU  Energos Freeze についてドミニカ共和国Energía 2000向けの3年間の傭船契約を締結したことを発表した。Energos FreezeはEnergía 2000のPepillo Salcedo (Manzanillo) 港LNG輸入基地に配置され、2025年9月に稼働開始見込み。
  • LNG海運業界団体SEA-LNGは、2025年5月14日、MEPC 83 (IMO (国際海事機関)海洋環境保護委員会第83回会合)を受けて、IMOネットゼロフレームワークの初期的分析を完了したことを明らかにした。その計算結果によれば、同フレームワーク下でLNGデュアルフューエル船舶への投資が、船主にとりメタノール、アンモニア、VLSFO(低硫黄燃料油)よりも回収期間が大幅に短くなるとのこと。
  • オマーンOman LNGは2025年5月19日、VitolとのSPA締結を発表した。Oman LNGはVitol向けに、DESフレキシブル条件で、LNGの引き渡し(年間80万トン)を2026年1月に開始する。
  • カタールのエネルギー相は、2025年5月21日、「North Field East開発の最初のLNG系列は2026年半ばに稼働開始させる。North Field Westはエンジニアリング段階にあり、2027年中に建設段階に入る。LNG生産量は現在の7700万トンから、2025年稼働開始のテキサス州Golden Passプロジェクトを含めて、1.60億トンまで倍増する」と述べた。「QatarEnergyは1社として最大のLNG輸出者となる。国としてのカタールは、長期間米国に次ぐ第2のLNG輸出者となる」。また、同大臣は、QatarEnergyは米国で世界最大のエタンクラッカーを建設しており2027年第1四半期生産開始見込み、MENA地域最大のエタンクラッカーをラスラファンにて建設中で、2027年初生産開始見込み、と述べた。「中国は私達の最大のLNG買主であり、NFE・NFS拡張のパートナーである。カタールは歴史的なLNG造船プログラムの一環として、多数を建造している」。

 

(注: bcm: 10億m3、CCS: 炭素回収・貯蔵、DES: 持ち届け ex-ship、DOE: 米連邦エネルギー省、EPC: エンジニアリング・調達・建設、EPCI: エンジニアリング・調達・建設・設置、 EPCm: エンジニアリング・調達・建設管理、FEED: 基本設計、FERC: 米連邦エネルギー規制委員会、FID: 最終投資決定、FLNG: 浮体液化設備、FOB: 本船渡し、FSRU: 浮体貯蔵・気化設備、FSU: 浮体貯蔵化設備、HOA: 基本合意、MOU: 覚書、SPA: LNG売買契約)

 

 

作成協力 一般財団法人日本エネルギー経済研究所

 

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