2025年7月

天然ガス・LNG価格動向

直近の値動き

アジア

  • 北東アジアのアセスメントされたスポットLNG価格JKMは、北東アジアでの気温上昇による需要増加および欧州とのカーゴ獲得競争により8月受渡しのカーゴが品薄となったことにより、7月頭に100万Btuあたり12ドル前半だった価格は7月中旬には13ドル付近まで上昇。それ以降は、9月受渡しに切り替わったことで需給の緩みが意識されたことから下落傾向が続き、7月下旬には11ド半ばまで下落した。
  • 財務省貿易統計速報に基づくと、2025年6月の日本平均LNG輸入価格は100万Btuあたり11.45ドル、円建てでは1トンあたり85,480円となった。前者のドル建て価格は、2025年3月の全日本平均原油輸入CIF価格が2025年2月より下落したため、前月比0.16ドル下落した。供給地域別では、米国産は10.89ドル、ASEAN地域産が11.59ドル、中東産が12.12ドル、ロシア産が11.98ドルであった。また、6月の北東アジア各国の平均輸入価格は、中国10.26ドル、韓国10.48ドル、台湾9.65ドルであった。全日本平均原油輸入CIF価格(JCC: Japan crude cocktail)は2025年6月には1バレル当たり70.21ドル、円建てでは1キロリットル当たり63,604円となった。
  • 6月の日本のLNG輸入量は、444万トンと前年同月比で2.8%減少した。6月の中国のLNG輸入量は531万トンと前年同月比で4.5%減少、韓国のLNG輸入量は311万トンと前年同月比で1.2%増加、台湾のLNG輸入量は190万トンと前年同月比0.6%減少となった。

米国

  • 米国スポットガス価格HHは、7月頭の100万Btuあたり3ドル半ばから、7月下旬には3ドル前半に下落。米国東部や南部での高温予報を受けて需要が増加した一方で供給面は安定していたことから小幅な動きが続き、下旬にやや下落した。

欧州

  • 欧州ガススポット価格TTFは、7月上旬は100万Btuあたり11ドル半ばで推移していたが、熱波による冷房需要の増加、地下ガス貯蔵への注入需要もあり7月中旬には一時12ドル前半まで上昇。その後は、気温が全般的に穏やかだったことや、ファンダメンタルズの安定感から軟化し、7月後半には11ドル前半まで下落した。

天然ガス・LNG価格推移(直近2年)

中長期の値動き

2024年

  • 2024年1月にはJKMは概ね100万Btuあたり9ドルで推移した。2月に入り北東アジア地域での旧正月後には下落基調は更に拍車がかかり8ドルを割ったが、3月には短期的な需要が発生したことなどから一時10ドルに近づいた。4月半ばには中東情勢激化への懸念等もあり中旬に11ドル前半まで急騰するも、下旬には緊張緩和により10ドル前半で推移。5月は夏季に向けた需要増を背景に、下旬には11ドル後半から12ドル台前半を推移。6月も夏場の需要増等を背景に一時13ドル半ばまで上昇。7月は需要が低調ながら価格下落による短期的な購入意欲の高まりもあり11ドル後半から12ドル前半を推移。8月中旬には地政学的な不透明さを背景に14ドル半ばを付け2024年中の最高値を更新した。9・10月は低需要を背景に軟化し13ドル付近を推移。11月には気温低下と地政学的緊張の高まりにより15ドル台を付け、2024年中の最高値を更新している。その後上昇は一時一服するも翌年のロシア産ガスフローの不透明感を受け再び上昇基調に転じた。

2025年

  • 2025年1月のJKMは欧州ガス価格に連動する形で主に100万Btuあたり13-14ドル台を推移。2月には一時2023年11月以来の17ドルを付けるもほどなく下落に転じた。3月は北東アジアでの低需要を背景に、一時12ドル前半まで下落したものの、その後地政学的リスクの高まりにより13ドル後半まで上昇した。4月は米国の関税政策発表による世界的な景気後退の懸念から11ドル前半まで急落したが、その後反発し12ドル前半で推移。5月は市場動向が夏季需要に本格的にシフトしたことや、ウクライナ-ロシア間の和平交渉に進展がみられなかったことから、中旬に12ドル後半まで上昇し、その後は12ドル半ばで推移した。6月にはイスラエルとイランの衝突による地政学的緊張の高まりを受けて、一時14ドル後半まで上昇したが、その後の停戦を受けて12ドル前半まで下落。7月は北東アジアでの気温情報による需要増加から8月分カーゴが不足、13ドル付近まで値を上げたが、9月配送分に切り替わったことで11ドル半ばまで下落した。

天然ガス・LNG価格推移(直近10年)

価格情報についてはファイルでのダウンロードサービスはありません。なお、上図については、S&P Global Plattsの情報が含まれることから、閲覧に際しては後述する内容にご同意いただくこととなります。
(出典)
米国HH(Henry Hub)価格: NYMEX Futures and Options, CME Group
蘭TTF(Title Transfer Facility)価格:ICE Endex, Intercontinental Exchange
JKM: LNG Japan/Korea Marker© 2025 by S&P Global Platts, a division of S&P Global Inc.
JOGMECスポットLNG価格:JOGMEC「日本着スポットLNG月次価格」、2021年3月までは経済産業省「スポットLNG価格調査」を出典とする
日本平均LNG輸入価格: 財務省貿易統計をもとに作成
EUA(EU ETS): ICE Endex, Intercontinental Exchange

上記閲覧に際しては、以下について同意することとなります。

  • Platts情報はS&P Global Plattsによって作成されています(出典:© 2025 by S&P Global Platts, a division of S&P Global Inc. All rights reserved)。
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天然ガス・LNG在庫動向

日本

  • 2025年2月末の国内LNG在庫量は474万トンで、前月比4.5%、22.4万トンの減少、前年同月比では2.9%増加し、過去5年平均値を32.9万トン上回った。
  • 2025年3月末の国内LNG在庫量は436万トンで、前月比7.9%、37.5万トンの減少、前年同月比では10.6%増加し、過去5年平均値を9.9万トン下回った。
  • 3月末のガス事業用LNG在庫量は191万トンで、前月比13.0%減、前年同月比では11.9%減となった。3月の都市ガス用LNG消費量は前年同月比7.1%減の258万トン、都市ガス用LNG受入量は前年同月比14.5%減の214万トンだった。
  • 4月末のガス事業用LNG在庫量は226万トンで、前月比18.6%増、前年同月比では7.2%増となった。4月の都市ガス用LNG消費量は前年同月比3%減の206万トン、都市ガス用LNG受入量は前年同月比24.6%増の225万トンだった。
  • 2月末の発電燃料用LNG在庫量は255万トンで前月比6.0%減、前年同月比3.4%の増加となった。2月の発電燃料用LNG消費量は、前年同月比で、2.3%増の346万トン、発電燃料用LNG受入量は、前年同月比で2.3%増の384万トンであった。
  • 3月末の発電燃料用LNG在庫量は246万トンで前月比3.5%減、前年同月比37.8%の増加となった。3月の発電燃料用LNG消費量は、前年同月比で、13.8%減の309万トン、発電燃料用LNG受入量は、前年同月比で3.4%増の348万トンであった。
  • 2025年7月23日に経済産業省が発表した「発電用LNGの在庫状況」によると、大手電力事業者の7月20日時点のLNG在庫は192万トンであった。2024年7月末比では2万トン下回り、過去5年間の7月末平均を23万トン下回っている。

国内LNG月末在庫量(直近2年)

国内LNG月末在庫(直近10年)

(出典)
経済産業省「ガス事業主生産動態統計」及び「電力調査統計・火力発電燃料実績」をもとに作成したもので、これら月末在庫を合算した値を国内在庫としてみなしたもの。なお、利用可能なデータは2008年1月以降のものであるため、過去5年平均は2013年1月分から計算している。


米国

  • 2025年7月11日の米国天然ガス地下貯蔵有効稼働ガス在庫(ワーキングガス)は、米国エネルギー情報局(EIA)のデータによると、3.1Tcfで前月比8.9%増となった。在庫量は2024年の同時期と比較すると4.9%低く、過去5年平均値を178Bcf上回っている。

米国天然ガス地下貯蔵量(直近2年)

米国天然ガス地下貯蔵量(直近10年)

(出典)
米国エネルギー情報局(U.S. Energy Information Administration, EIA)のデータをもとに作成


欧州

  • 2025年7月18日現在のAggregated Gas Storage Inventory(AGSI+)加盟各社中、EU加盟国各社が有する欧州天然ガス地下貯蔵在庫は730.3TWh(LNG換算4,831万トン相当)であった。これは前年同期より21.6%、201.19TWh(LNG換算1,331万トン相当)下回るものだった。貯蔵容量に対する充填率は64.40%であり、前年同期の72.52%を下回り、過去5年間平均値の73.15%を下回った。貯蔵容量の大きなドイツ、イタリア、オランダの充填率はそれぞれ56.53%、76.68%、53.48%であった。

欧州天然ガス地下貯蔵量(直近2年)

欧州天然ガス地下貯蔵量(直近10年)

(出典)
Aggregated Gas Storage Inventory(AGSI), Gas Infrastructure Europeのデータをもとに作成。なお、利用可能なデータは2011年1月以降のものであるため、過去5年平均は2016年1月分から計算している。

 

  • 2025年7月18日現在のAggregated LNG Storage Inventory(ALSI)加盟各社が有する欧州LNG在庫量は502万m3で、前月比0.4%減少、前年同日比10.7%増加、過去5年平均値を10.2%上回っている。貯蔵容量に対する充填率は53.7%であり、前年同期の51.9%を上回っている。

欧州LNG在庫量(直近2年)

欧州LNG在庫量(直近10年)

(出典)
Aggregated LNG Storage Inventory(ALSI), Gas Infrastructure Europeのデータをもとに作成。なお、利用可能なデータは2012年1月以降のものであるため、グラフ中の過去10年平均及び過去10年平均幅の値については、5年未満の値が含まれる。


天然ガス・LNGプロジェクト動向

ハイライト

  • カナダが太平洋市場向けのLNG輸出を開始した。
  • 2025年上半期の世界のLNG貿易量は、前年同期比2%増の2.08億トンとなった。中国を中心としてアジア地域のLNG輸入が減少したが、欧州連合・英国合計のLNG輸入が20%程度増加した。この結果、スエズ東西のLNG輸入量比は、2024年通年の70:30から2025年上半期は64:36と、大西洋市場の比重が増した。
  • 日本は2025年上半期、3,241万トンのLNGを輸入し、2024年の同時期より0.81%減少した。中国のLNG輸入量は20.6%減の3,011万トンであった。輸出側では、米国の輸出量が初めて半年間で5,000万トンを超えた。

 

アジア・オセアニア地域

  • 豪Santosは2025年6月27日、アブダビADNOC(Abu Dhabi National Oil Company)子会社XRGを含むコンソーシアム(XRGコンソーシアム)の筆頭投資家であるXRGと、Santos全発行済株式取得への非拘束提案について、独占交渉に関する合意書(Process Deed)を締結したことを発表した。XRGコンソーシアムは、6週間の独占的なデューデリジェンスアクセスを受ける。
  • INPEXは2025年7月3日、INPEX Browse E&P Pty Ltd(IBEP)を通じて、パートナーであるTotalEnergies CCS AustraliaおよびWoodside Energyを含むBonaparte CCS共同事業体として2022年より豪州北部準州ダーウィンの沖合約250 kmに位置するBonaparte堆積盆地に広がるGHGアセスメント鉱区G-7-AP鉱区でBonaparte CCSプロジェクトの評価作業を行ってきており、本事業が豪州連邦政府より重要プロジェクト認定(Major Project Status)を受けたことを発表した。本事業は同国で本認定を受けた初の海上CCSプロジェクトとなる。
  • 豪Santosは2025年7月4日、QatarEnergy Tradingと2026年から2年間にわたり年間50万トンのLNGをDES条件でSantosポートフォリオから供給する中期LNG供給契約の締結を発表した。
  • GTTは2025年7月8日、次世代LNG輸送船舶設計のため中国の海運産業の主要企業7社と共同開発プロジェクト合意書を締結したことを発表した。LNG輸送のカーゴ容量は200,000 m3、カーゴタンク3基を備え、低速での運航前提で設計される。この運航方法により、輸送されるカーゴ単位当たりの燃料消費・CO2排出を大幅に削減し、全体としてのエネルギー効率を改善するとのこと。
  • 豪Woodside Energyは2025年7月9日、韓国のHyundai Engineering、Hyundai Glovisとの間で、LNGプロジェクト開発、エンジニアリング業務、海上輸送ロジスティックスで協力するための戦略的枠組を確立するMOUを締結したことを発表した。
  • インドPetronet LNG(PLL)は2025年7月10日、Deepak Fertilisers and Petrochemicals(DFPCL)傘下のPerformance Chemiserve(PCL)との間で、5年半(2026年5-7月開始、2031年12月終了)の気化契約を締結したことを発表した、対象のLNGはDFPCLグループが輸入する。PLLは自社Dahej基地で、2026暦年の初期立ち上がり以降、年間25.6TBTUs(50万トン)のLNGを受け入れ、貯蔵、気化する。気化されたガスはタロジャにおけるDFPCLグループの製造業部門を中心に利用されることとなる。これよりも先に、DFPCLはEquinorとLNG SPAを締結している。
  • インドGAILは2025年7月14日、Vitol Asiaとの間で2026年から年間100万トン、10年間のLNG SPAを締結したことを発表した。
  • POSCO Holdingsは2025年7月15日、POSCO E&Cが6月30日にタイGulf MTP(Map Ta Phut)LNG基地プロジェクト建設契約を受注したことを発表した。同プロジェクトは、250,000 m3のLNG貯蔵タンク2基、積卸設備、年間処理容量は800万トンの気化設備建設が含まれている。Gulf MTP LNG基地はタイ初の官民パートナーシップでのLNG基地プロジェクトとなる。
  • マレーシアPETRONASは2025年7月17日、子会社PETRONAS LNGがSMJ Energyとの間で、同社にPFLNG 3社への25%出資参加諸条件を正式化するためのHoAを締結したことを発表した。PFLNG 3は、サバ州Sipitang Oil & Gas Industrial Parkに設置されることとなるニアショアFLNG設備開発企業である。
  • 豪Santosは2025年7月17日、Barossa LNGプロジェクトについて97%以上完成している、と述べた。BW Opal FPSO(浮体生産・貯蔵・積み出し)設備はBarossaガス田に到着、海面下インフラストラクチャーと接続された。最終コミッショニング活動が進行中である。Darwin LNG延命含む全作業が、引き続き2025年第3四半期ガス生産開始に向け予定通り進行している。ガス搬出パイプライン、Darwin LNGへのパイプライン複線化は完了、試験、接続されBarossaガス受入準備が整っている。

 

北米地域

  • Glenfarne Alaska LNGは2025年6月23日、タイPTTがAlaska LNGプロジェクトへの、年間200万トン・20年間の調達を含めた戦略的参加に関して、協力協定を締結したことを発表した。Glenfarne Alaska LNGは「今回の合意とこれまでに公表した合意により、Alaska LNGは利用可能な第三者向けLNG引き取り容量中50%を投資適格な相手方向けとして確保している」と述べた。
  • Cheniere Energyは2025年6月24日、取締役会がCorpus Christiミッドスケールトレイン8 & 9・デボトルネッキングプロジェクト(CCLミッドスケール8 & 9)についてFIDを行いBechtel Energyに正式な工事着手通知を発行したことを発表した。CCLミッドスケール8 & 9は中規模系列2基であり、見込まれる容量はLNG年間300万トン・その他インフラストラクチャーデボトルネッキングで構成される。
  • 豪Woodside Energyは2025年6月25日、Louisiana LNG Infrastructureにおける40%持分のStonepeakへの売却が完了したことを発表した。StonepeakはLouisiana LNG基礎開発に見込まれる資本的支出のうち、2025年・2026年のプロジェクト資本的支出の75%を前倒しで57億米ドルを拠出し負担する。Woodsideが受領したクロージング時点での支払い19億米ドルは、2025年1月1日の取引効力日以降発生している資本的支出中のStonepeak分の75%を反映している、とのこと。
  • カナダLNG Canadaは2025年6月30日、同国西岸ブリティッシュコロンビア州キティマットの設備から初のLNGカーゴが出港したことを発表した。同設備は、2基の処理系列総容量年間1,400万トンからLNGを輸出する。建設請負連合である日揮ホールディングス・米Fluorも7月1日、初出荷が達成されたことを発表した。
  • DOEは2025年7月2日、Golden Pass LNG Terminal(GPLNG)が、米国が外国供給源から輸入したLNGを、2025年10月1日から2年間、最大50 bcf(100万トン相当)輸出する包括許可を求める6月26日付申請の受理を通知した。再輸出を提案されているLNGはGPLNGによるLNG輸入活動により生じ、GPLNG基地のLNG貯蔵タンクに留まっているものとなる。このLNGは再輸出されるか気化され同設備の燃料ガスとして使われる。GPLNGはさらにこの輸入されたLNGを輸出設備のスタートアップに使う計画である。米国・グローバル市場の価格動向次第で、このLNGは、国内天然ガス市場での消費のために気化される可能性もある。
  • Delfin Midstreamは2025年7月2日、Siemens Energy社とSGT-750ガスタービンメカニカルドライブパッケージ4件の製造能力確保の契約締結を発表した。Delfinはまた、サムスン重工(SHI)・Black & Veatch Inc.(B&V)との間で、一括請負エンジニアリング・調達・建設・統合化(EPCI)契約の基礎としてFLNG船舶仕様詳細化を進め、プロジェクト実施準備に向けた早期作業プログラムに合意したことを発表した。
  • Venture Globalは2025年7月3日、PETRONAS LNGとの新規20年間のSPA締結を発表した。PETRONASは年間100万トンのLNGをCP2 LNGから20年間購入することとなる。本件はVenture GlobalのPETRONASとのPlaquemines LNG からの年間100万トンのLNG供給既存契約に上乗せとなる。
  • Gulfstream LNG Developmentは2025年7月7日、FERCにLNG輸出プロジェクト建設への公式な許可申請を提出した。同プロジェクトは、米国内で生産された天然ガスを国内外市場向けにルイジアナ州プラクミンズ郡でLNGに転換する計画で、容量年間400万トンで計画している。同社は7月22日、FERCが申請提出を承認したことを発表した。
  • Venture Global、Securing Energy for Europe(SEFE)は2025年7月9日、自社子会社SEFE Energyが、Venture Global第3のプロジェクトCP2 LNGから20年間、追加年間75万トンのLNGを購入する契約を最終合意したことを発表した。今回の発表は、2023年締結された既存SPAを修正しSEFEがCP2 LNGから購入するLNG総量を年間300万トンに増加させるもの。
  • FERCに2025年7月14日付提出された書簡によると、Venture GlobalはPlaquemines拡張プロジェクト設計を進めており、承認を求める液化ブロック数が12から16に増加した。その結果、プロジェクトの計画生産容量は、年間1,860万トンから2,480万トンに増加している。
  • Venture Global、イタリアEniは2025年7月16日、CP2 LNGから20年間、年間200万トンのLNGについての新規SPA締結を発表した。Eniにとって初の米国LNG生産者との長期契約である。これによりCP2フェーズ1の年間1350万トンが契約済みとなり、Venture Global全プロジェクトの契約済み容量は年間4350万トンに増加した。

 

欧州および周辺地域

  • 国際協力銀行(JBIC)は2025年6月27日、商船三井(MOL)が100%出資するキプロス法人WHITE EAGLE ENERGY LIMITEDとの間で、融資金額最大252百万米ドル(JBIC分)の貸付契約を締結したことを発表した。三井住友銀行およびCrédit Agricoleとの協調融資により実施するとしている。WHITE EAGLEが新造FSRUを1隻保有し、ポーランドGAZ-SYSTEMに対して傭船サービスを提供するために必要な資金を融資するもの。
  • イタリアA2Aは2025年6月30日、bpとSPAを締結したことを発表した。A2Aは2027年から2044年まで年間最大10カーゴをDES、FOBで購入し、イタリアOLT Offshore LNG Toscana基地その他欧州基地で受け入れる。A2AはToscana基地オークションで複数年気化容量を確保している。引き渡しは2027年最終四半期開始され、2042年から数量減少する予定。契約期間末期にはA2Aは国内ガス消費減少を見込んでおり、供給の一部は他市場に仕向け変更する可能性がある。
  • ドイツDeutsche Energy Terminalは2025年7月2日、6月23日から7月1日までに実施したマーケティングによりWilhelmshaven 1・2基地の気化スロット全てを売り切ったことを発表した。Wilhelmshaven 1基地2026年分、Wilhelmshaven 2基地2025・2026年分をデジタルプラットフォームPrismaにより販売した。
  • ポーランドORLENの2025年7月2日の発表によると、今後数か月間ウクライナNaftogazとの新契約で0.14 bcmの天然ガスを供給する。米国から調達してŚwinoujście基地で気化し、ウクライナに輸送する。本件は ORLEN・Naftogaz間で2025年4件目のガス供給契約となる。過去3件の契約での合計数量は0.3 bcmとなった。いずれの場合もガスはORLENが米国からŚwinoujście基地またはリトアニアKlaipėda基地で輸入したLNGを気化した。
  • Sacyr Proyectaは2025年7月14日、Fluxys がSacyr Proyectaに対して、ベルギーZeebrugge LNG基地の新たなFEED契約を発注したことを発表した。範囲としては新規海水オープンラック気化器(ORV)・対応するポンプ、港湾設備での新たな引き込み設備の設置を含む。
  • 欧州委員会(EC)は、2025年7月18日、対ロシア第18次制裁パッケージ発表の中で、3隻のLNG輸送タンカーが「当初就航した目的であったロシアYamal、Arctic2プロジェクトからのエネルギー輸送に今後従事しない確約に基づき制裁リストから外された」「この措置は、EU制裁船舶指定のインパクトと、確約があれば就航に復帰できることを示している」と述べた。該当する船舶は、2025年5月20日にリストに加えられたNorth Moon、North Ocean、North Lightである。

 

その他地域

  • シンガポールSeatriumは2025年7月3日、Karpowership子会社KineticsからのFSRU改造契約受注を発表した。この受注は2024年4月発表されたLNG輸送船舶3隻のFSRUs改造・4隻目オプション付契約の、4隻目オプションをKinetics が行使したことによるもの。2025年第3四半期作業開始予定で、LNG輸送船舶をFSRU・名称 LNGT Turkiye に改造する。
  • 韓国サムスン重工(SHI)は2025年7月7日、アフリカで操業する欧州の海運企業とモザンビークのFLNG設備を建造する基本合意を締結した、と述べた。
  • アブダビADNOC Gasは2025年7月10日、ドイツSEFEと2025年から70万トンのLNGを引き渡す3年間のLNG供給契約を締結したことを発表した。Das Island液化設備から供給される。
  • New Fortress Energy(NFE)は2025年7月16日、自社子会社が138,250 m3 FSRU Energos Winter配備に関して、エジプトEgyptian Natural Gas Holding Company(EGAS)との間で5年契約を締結したことを発表した。同設備は同国ダミエッタでEGASのLNG輸入基地として操業することとなる。NFEとして同国Energos Eskimoに続く2件目のFSRUとして早ければ2025年8月に配備されることとなる。

 

(注: bcm: 10億m3、CCS: 炭素回収・貯蔵、DES: 持ち届け ex-ship、DOE: 米連邦エネルギー省、EPC: エンジニアリング・調達・建設、EPCI: エンジニアリング・調達・建設・設置、 EPCm: エンジニアリング・調達・建設管理、FEED: 基本設計、FERC: 米連邦エネルギー規制委員会、FID: 最終投資決定、FLNG: 浮体液化設備、FOB: 本船渡し、FSRU: 浮体貯蔵・気化設備、FSU: 浮体貯蔵化設備、HOA: 基本合意、MOU: 覚書、SPA: LNG売買契約)

 

 

作成協力 一般財団法人日本エネルギー経済研究所

 

添付ファイル