2025年12月

天然ガス・LNG価格動向

直近の値動き

アジア

  • 北東アジアのアセスメントされたスポットLNG価格JKMは、12月頭に10ドル後半でスタートしたが、米国からの輸出増加を受けた地域全体での潤沢な供給を背景に下落が続き、10日には2024年4月下旬以来の9ドル台を付けた。日本、中国、韓国いずれの買主も冬季におけるスポット調達意欲は高くなく、12月後半はホリデーシーズンに入ることもあり9ドル半ば付近での小幅な推移に留まっている。
  • 財務省貿易統計速報に基づくと、2025年11月の日本平均LNG輸入価格は100万Btuあたり10.60ドル、円建てでは1トンあたり84,143円となった。前者のドル建て価格は、2025年8月の全日本平均原油輸入CIF価格が2025年7月より上昇し、前月比0.05ドル上昇した。供給地域別では、米国産は10.72ドル、ASEAN地域産が10.36ドル、中東産が10.50ドル、ロシア産が10.82ドルであった。また、11月の北東アジア各国の平均輸入価格は、中国9.21ドル、韓国9.63ドル、台湾9.66ドルであった。全日本平均原油輸入CIF価格(JCC: Japan crude cocktail)は2025年11月には1バレル当たり71.21ドル、円建てでは1キロリットル当たり68,595円となった。
  • 11月の日本のLNG輸入量は、473万トンと前年同月比で6.3%減少した。11月の中国のLNG輸入量は694万トンと前年同月比で14.7%上昇、韓国のLNG輸入量は335万トンと前年同月比で16.2%減少、台湾のLNG輸入量は203万トンと前年同月比15.0%増加となった。

米国

  • 米国スポットガス価格HHは、米国の LNG 輸出量増加、米国中部・東部における寒波予測、さらに12月は過去15年で最大の暖房需要が見込まれたことを背景に12月5日には5.3ドルとなり、2022年12月以来の高水準となった。しかしながら天気予報が一転し、12月中下旬にかけて米国全域で気温が上昇するとの予報に変わったことからその後は下落基調となり、16日には4ドルを下回った。その後は穏やかな気候の中で大きく値が崩れることはなく、4ドル付近を推移していたが、23日には短期的な需給要因を背景に上昇局面も見られた。

欧州

  • 欧州ガススポット価格TTFは、北西欧州及び南欧州における平年を上回る穏やかな気温、ドイツの風力発電量の大幅な増加、地下ガス貯蔵からの引き出しを背景に、12月初旬は下落傾向であり、11月末には9.8ドルを付けていたところ、10日には9.1ドルまで下落した。しかしその後は風力発電量が減少したことを受けて12日に9.5ドルまで値を戻している。供給面は月間を通して安定的で、月の半ばから下旬にかけても9ドル半ばから後半のレンジで推移している。

天然ガス・LNG価格推移(直近2年)

中長期の値動き

2024年

  • 2024年1月にはJKMは概ね100万Btuあたり9ドルで推移した。2月に入り北東アジア地域での旧正月後には下落基調は更に拍車がかかり8ドルを割ったが、3月には短期的な需要が発生したことなどから一時10ドルに近づいた。4月半ばには中東情勢激化への懸念等もあり中旬に11ドル前半まで急騰するも、下旬には緊張緩和により10ドル前半で推移。5月は夏季に向けた需要増を背景に、下旬には11ドル後半から12ドル台前半を推移。6月も夏場の需要増等を背景に一時13ドル半ばまで上昇。7月は需要が低調ながら価格下落による短期的な購入意欲の高まりもあり11ドル後半から12ドル前半を推移。8月中旬には地政学的な不透明さを背景に14ドル半ばを付け2024年中の最高値を更新した。9・10月は低需要を背景に軟化し13ドル付近を推移。11月には気温低下と地政学的緊張の高まりにより15ドル台を付け、2024年中の最高値を更新している。その後上昇は一時一服するも翌年のロシア産ガスフローの不透明感を受け再び上昇基調に転じた。

2025年

  • 2025年1月のJKMは欧州ガス価格に連動する形で主に100万Btuあたり13-14ドル台を推移。2月には一時2023年11月以来の17ドルを付けるもほどなく下落に転じた。3月は北東アジアでの低需要を背景に、一時12ドル前半まで下落したものの、その後地政学的リスクの高まりにより13ドル後半まで上昇した。4月は米国の関税政策発表による世界的な景気後退の懸念から11ドル前半まで急落したが、その後反発し12ドル前半で推移。5月は市場動向が夏季需要に本格的にシフトしたことや、ウクライナ-ロシア間の和平交渉に進展がみられなかったことから、中旬に12ドル後半まで上昇し、その後は12ドル半ばで推移した。6月にはイスラエルとイランの衝突による地政学的緊張の高まりを受けて、一時14ドル後半まで上昇したが、その後の停戦を受けて12ドル前半まで下落。7月は北東アジアでの気温情報による需要増加から8月分カーゴが不足、13ドル付近まで値を上げたが、9月配送分に切り替わったことで11ドル半ばまで下落した。8月は充分な供給と低調な需要を背景に、中旬には11ドル前半まで下落したものの、その後ウクライナ・ロシア間の停戦交渉を巡る不透明感の高まりから、11ドル後半まで上昇。9月も引き続き概ね11ドル台で推移。10月は需要が低調であったことから10ドル半ばまで値を下げたが、冬季シーズンとなる12月配送分に切り替わった後に、11ドル台まで再度上昇。11月は需要低迷が続く中で前半は10ドル後半まで下落したものの、後半は米国のLNG生産量増加による船舶不足を背景とした傭船費の上昇を主要因として11ドル半ばに上昇した。12月には潤沢な供給に加え冬季における気温低下の厳しさは限定的であり、2024年4月下旬以来の9ドル台に突入。

天然ガス・LNG価格推移(直近10年)

価格情報についてはファイルでのダウンロードサービスはありません。なお、上図については、S&P Global Plattsの情報が含まれることから、閲覧に際しては後述する内容にご同意いただくこととなります。
(出典)
米国HH(Henry Hub)価格: NYMEX Futures and Options, CME Group
蘭TTF(Title Transfer Facility)価格:ICE Endex, Intercontinental Exchange
JKM: LNG Japan/Korea Marker© 2025 by S&P Global Platts, a division of S&P Global Inc.
JOGMECスポットLNG価格:JOGMEC「日本着スポットLNG月次価格」、2021年3月までは経済産業省「スポットLNG価格調査」を出典とする
日本平均LNG輸入価格: 財務省貿易統計をもとに作成
EUA(EU ETS): ICE Endex, Intercontinental Exchange

上記閲覧に際しては、以下について同意することとなります。

  • Platts情報はS&P Global Plattsによって作成されています(出典:© 2025 by S&P Global Platts, a division of S&P Global Inc. All rights reserved)。
  • Platts情報を内部目的にのみ使用することに同意します。またインターネット、イントラネット、またはその他のネットワークを含むあらゆる形式または手段で、Platts情報をいかなる目的でも第三者に保存、複製、またはさらに配布しないことに同意します。
  • Platts、その関係会社およびそれらのすべての第三者ライセンサーが、Platts情報、および特許、企業秘密、著作権、商標権(登録有無に関わらず)を含むすべての知的財産権を所有していることに同意します。
  • Platts、その関係会社およびそれらのすべての第三者ライセンサーは、すべてのPlatts情報、データ、またはそれらの使用や実行によって得られた結果を含む、Platts情報に関する特定の目的または使用に対する商品性または適合性を含むすべての保障について、明示または黙示に関わらずすべての保障を否認します。Plattsまたはその関係会社あるいはそれらの第三者ライセンサーのいずれも、Platts情報またはその構成要素についての通知または通信の妥当性、正確性、適時性または完全性を保証しないものとします。Platts、その関係会社およびそれらの第三者ライセンサーは、Platts情報のいかなる誤差、脱漏または遅延についても、いかなる損害賠償または法的責任も問われないものとします。Platts情報およびそのすべての構成要素は、「現状の有り姿」として提供され、JOGMECウェブサイトのPlatts情報の使用は購読者自身の危険負担で行われるものとします。Platts情報は金融またはその他の専門的なアドバイスとみなされるべきではありません。
  • 上記記載内容に関わらず、いかなる場合も、Platts、その関係会社またはそれらの第三者ライセンサーは、利益の損失、取引損失、または損失時間や事業上の信用の損失を含むがこれに限定されないいかなる間接的損害、特別損害、付随的損害、懲罰的損害、または派生的損害について、たとえかかる損害の可能性について知らされていたとしても、契約の記述、不法行為(過失を含む)、厳格責任または別の方法のあるなしを問わず、決して責任を負わないものとします。またPlatts、その関係会社およびそれらの第三者ライセンサーは、第三者によるJOGMECウェブサイトに対するいかなるクレームにつきましても責任を負わないものとします。

天然ガス・LNG在庫動向

日本

  • 2025年7月末の国内LNG在庫量は443万トンで、前月比13.3%、68.2万トンの減少、前年同月比では5.9%減少し、過去5年平均値を41万トン下回った。
  • 2025年8月末の国内LNG在庫量は445万トンで、前月比0.6%、2.8万トンの増加、前年同月比では1.5%減少し、過去5年平均値を29万トン下回った。
  • 8月末のガス事業用LNG在庫量は194万トンで、前月比12.3%減、前年同月比では15.5%減となった。8月の都市ガス用LNG消費量は前年同月比12.5%減の199万トン、都市ガス用LNG受入量は前年同月比14.2%減の173万トンだった。
  • 9月末のガス事業用LNG在庫量は211万トンで、前月比8.4%増、前年同月比では9.3%減となった。9月の都市ガス用LNG消費量は前年同月比8.7%減の208万トン、都市ガス用LNG受入量は前年同月比5.6%増の224万トンだった。
  • 7月末の発電燃料用LNG在庫量は221万トンで前月比14.6%減、前年同月比3.8%の減少となった。7月の発電燃料用LNG消費量は、前年同月比で、2.2%減の343万トン、発電燃料用LNG受入量は、前年同月比で4.6%減の348万トンであった。
  • 8月末の発電燃料用LNG在庫量は251万トンで前月比13.6%増、前年同月比12.9%の増加となった。8月の発電燃料用LNG消費量は、前年同月比で、10.6%減の331万トン、発電燃料用LNG受入量は、前年同月比で0.1%増の401万トンであった。
  • 2025年12月17日に経済産業省が発表した「発電用LNGの在庫状況」によると、大手電力事業者の12月14日時点のLNG在庫は215万トンであった。昨年同月末比で変わらず、過去5年間の12月末平均を8万トン下回っている。

国内LNG月末在庫量(直近2年)

国内LNG月末在庫(直近10年)

(出典)
経済産業省「ガス事業主生産動態統計」及び「電力調査統計・火力発電燃料実績」をもとに作成したもので、これら月末在庫を合算した値を国内在庫としてみなしたもの。なお、利用可能なデータは2008年1月以降のものであるため、過去5年平均は2013年1月分から計算している。


米国

  • 2025年12月12日の米国天然ガス地下貯蔵有効稼働ガス在庫(ワーキングガス)は、米国エネルギー情報局(EIA)のデータによると、3.6 Tcfで前月比9.3%減となった。在庫量は昨年同時期と比較すると1.2%低く、過去5年平均値を32 Bcf上回っている。

米国天然ガス地下貯蔵量(直近2年)

米国天然ガス地下貯蔵量(直近10年)

(出典)
米国エネルギー情報局(U.S. Energy Information Administration, EIA)のデータをもとに作成


欧州

  • 2025年12月17日時点のAggregated Gas Storage Inventory(AGSI+)加盟各社中、EU加盟国各社が有する欧州天然ガス地下貯蔵在庫は779.7 TWh(LNG換算5,158万トン相当)であった。これは前年同期より11.9%、105.3 TWh (LNG換算696万トン相当)下回るものだった。貯蔵容量に対する充填率は68.24%であり、前年同期の77.10%を下回り、過去5年間平均値の77.58%を下回った。貯蔵容量の大きなドイツ、イタリア、オランダの充填率はそれぞれ61.61%、78.93%、56.23%であった。

欧州天然ガス地下貯蔵量(直近2年)

欧州天然ガス地下貯蔵量(直近10年)

(出典)
Aggregated Gas Storage Inventory(AGSI), Gas Infrastructure Europeのデータをもとに作成。なお、利用可能なデータは2011年1月以降のものであるため、過去5年平均は2016年1月分から計算している。

 

  • 2025年12月17日時点のAggregated LNG Storage Inventory(ALSI)加盟各社が有する欧州LNG在庫量は511万m3で、前月比13.4%減少、前年同日比33.2%増加、過去5年平均値を16.9%上回っている。貯蔵容量に対する充填率は53.9%であり、前年同期の42.5%を上回っている。

欧州LNG在庫量(直近2年)

欧州LNG在庫量(直近10年)

(出典)
Aggregated LNG Storage Inventory(ALSI), Gas Infrastructure Europeのデータをもとに作成。なお、利用可能なデータは2012年1月以降のものであるため、グラフ中の過去10年平均及び過去10年平均幅の値については、5年未満の値が含まれる。


天然ガス・LNGプロジェクト動向

ハイライト

  • アジア、欧州でLNG調達に向けた売買契約活動が目立ち、この中には複数の長期SPAも含まれた。北米では、インフラストラクチャー開発やLNG輸出承認の合理化、開発促進のための規制・立法の動きが進行した。プロジェクト開発のマイルストーンとして、豪州、アンゴラ、コンゴ共和国での動きがあった。米国とカナダでのeメタンプロジェクトを含む将来に向けた燃料源開発への取り組みも見られた。

 

アジア・オセアニア地域

  • 豪Woodside Energyは2025年11月25日、東ティモール石油類・鉱物資源省 (MPRM)・Woodside Energyが、Greater Sunriseガス田群に基づく東ティモールでのLNGコンセプト(TLNG)進展に向けたスタディ・活動実施への協力協定を締結したことを発表した。MPRM・Woodsideは東ティモールでの新規年間500万トンLNGコンセプト・国内向けガス設備・ヘリウム抽出設備のコマーシャル・テクニカルの検討を進める。この活動はGreater Sunriseガス田群の上流開発を支える経済・規制・法的枠組に関するSunrise合弁事業体、東ティモール・豪州政府の交渉と並行する。今回の協定は、コンセプトの選定・投資決定次第で2032-35年にLNG生産が開始できる進展に向けた活動の概要計画を含む。
  • 豪州洋上事業規制機関NOPSEMAは2025年11月28日、Shell Australiaによる西オーストラリア沖Crux天然ガスプロジェクトの仕上げ・稼働開始・操業を承認した。Cruxプロジェクトは、Prelude FLNG設備にガスを供給する。
  • Eniは2025年12月4日、タイGulf Developmentと長期LNG販売契約を締結したことを発表した。Eniは年間80万トンのLNGを10年間販売することに合意している。2027年からタイの気化基地で引き渡される。本契約は、両社が2024年に締結した2025年から年間50万トンのLNG供給の2年間の取引に続くものとなる。Eniにとってタイ向けの初の長期LNG供給となる。
  • Chevron Australiaは2025年12月5日、Gorgon合弁事業参加パートナー企業とともに、西オーストラリア州(WA)北西沖Gorgonステージ3開発でFIDを行ったことを発表した。Barrow Island北西100 km・水深1,300 mの2ガス田に6本の生産井を掘削することとなる。このバックフィル型開発において、Greater Gorgon地域の沖合Geryon、Eurytion天然ガス田をGorgonの既存海底ガス採集インフラストラクチャー及びBarrow Islandの処理設備に接続する。Gorgonの当初開発計画の一環でもあるGorgonステージ3は計画されている一連の海底接続プロジェクトの最初となる。GorgonはWA市場向けにガス日量300テラジュール(年間200万トン)、LNG年間1,560万トンの生産容量を持つ。
  • 三井物産は2025年12月8日、西オーストラリア州Waitsiaガス田ステージ2開発を完了し、ガスの商業生産を12月6日に開始したことを発表した。三井物産は100%子会社Mitsui E&P Australia Pty Ltd(MEPAU)を通じ、オペレーターとしてWaitsiaの50%の権益を保有している。Waitsiaはパースの北約350 kmに位置する、豪州最大級の陸上天然ガス田である。三井物産はWaitsia権益を2018年に取得し、既存の国内へのガス供給に加え、新たにLNGとして輸出するステージ2開発のFIDを2020年に行った。国内市場向けのガスに加え、年間140万トン程度のLNGが生産され、三井物産は持分比率に応じその半分程度を引き取るとしている。LNGの生産はNorth West Shelf(NWS JV)の天然ガス液化設備を活用するとしている。
  • JERAは2025年12月8日、インドの発電会社Torrent Powerとの間で、LNG販売契約を締結したことを発表した。JERAが海外エネルギー事業者との間で長期LNG販売契約を締結するのは初めてとなる。2027年から10年間、自社LNG調達ポートフォリオよりDESにて年間4カーゴ(約27万トン)のLNGを販売する。
  • TechnipFMCは2025年12月11日、ChevronからGorgonステージ3増強プロジェクト向けにSubsea 2.0®生産システム提供の契約を受注したことを発表した。
  • SHPGX(Shanghai Petroleum and Natural Gas Exchange)は2025年12月12日、同6-12日の週の中国のパイプライン天然ガスのスポット価格として1m3当たり2.47人民元と公表した。オンライン取引による中国の初の全国パイプライン天然ガススポット価格の公式な公表となる。この「中国管道天然气现货价格」は、基本的にSHPGXからのパイプライン天然ガスのオンライントレーディングに基づき、毎週金曜日に公表される。金曜日が祝日の場合、その祝日の直前の営業日に公表される。
  • TotalEnergiesは2025年12月16日、マレーシアSK408鉱区の間接持分9.998%をPTTEPに売却する契約を締結したことを発表した。TotalEnergiesは30.002%持分を維持する。
  • 豪Santosは2025年12月17日、クイーンズランド州Bowen盆地のMahalo合弁事業における42.86%操業権付持分のComet Ridgeへの売却に関しての条件付SPAを締結したことを発表した。
  • 豪Santosは2025年12月17日、パプアニューギニアPNG LNG合弁事業(Santos 39.9%)が同事業のプロジェクトファイナンス融資を前倒しして返済完了したことを発表した。
  • JERAは2025年12月18日、北海道ガスとの間でLNG販売契約を締結したことを発表した。2027年から7年間、JERAのLNG調達ポートフォリオよりDES条件で年間2-3カーゴ(約13-20万トン)のLNGを販売する。
  • タイPTTは2025年12月19日、PTT International Trading(PTTT)、Centrica LNGが2028年から10年間の長期LNG SPAを締結したことを発表した。このSPAは2025年6月に締結したHoAに基づく。PTTTにとってタイ国外での最初の長期LNG販売契約となり、アジアの様々な販売先にDES条件でカーゴを引き渡す。

 

北米地域

  • 東京ガス、米Venture Globalは2025年11月26日、2030年から20年間、年間100万トンのLNGのSPAを発表した。FOB、仕向地制限なしとしている。
  • カナダWoodfibre LNGは2025年11月27日、2隻目の浮体式作業員住居設備 (floatel, The MV Saga X)を現場に受け入れたことを発表した。MV Isabelle X同様にMV Saga Xはバンクーバー企業Bridgemansが改修・提供した。
  • 日揮ホールディングスは、海外EPC事業会社である日揮グローバルが米Fluorと共同で遂行しているカナダLNG Canadaプロジェクトの第2系列を含めた全ての工事エリアの引き渡しを本年12月1日(現地時間)に達成、これに伴い同プロジェクトの第1フェーズが完了したことを発表した。日揮グローバルとFluor は、顧客が検討している第2期拡張計画のFEEDアップデート役務も現在遂行中である。
  • 東京ガスは2025年12月2日、カナダでe-メタン事業開発を推進しているTeralta Hydrogen Solutions Inc.と、マニトバ州でのe-メタン事業の開発プロジェクトに関する合意書を締結したことを発表した。同州ブランドンにて、水力発電由来の電力に基づく副生グリーン水素を利用する予定で2030年度までに年間約3万トンのe-メタンを製造し、日本向けに輸出することを目指す。FIDは2026年度から2027年度前半、運転開始は2030年度内を想定している。
  • 大阪ガス、東邦ガス、伊藤忠商事は2025年12月2日、TotalEnergies SEの子会社TotalEnergies Hydrogen Holdings USA, LLC、Tree Energy Solutions Belgium B.V.(TES)子会社TES US Development, LLCと、米国においてe-メタンを製造する事業(ネブラスカ州Live Oakプロジェクト)のFEED実施に向けた共同開発契約を締結したことを発表した。2027年度内のFID実施、2030年度中のe-メタンの製造(製造容量:年間約7.5万トン)開始および日本への輸出を目指す。
  • Glenfarne Group は2025年12月3日、自社Texas LNGプロジェクトがMacquarie Group子会社Macquarie Energyと、年間50万トンのLNGについて20年間のSPAを締結したことを発表した。今回の発表によると、Texas LNGは「設計上グリーンな」液化設備である。Kiewitが一括請負でTexas LNGの最終FEEDおよびEPCの契約を受注している。
  • Glenfarne Alaska LNGは2025年12月4日、POSCO Internationalと、Alaska LNGプロジェクト開発への戦略的パートナーシップを公式化する契約を締結したことを発表した。このパートナーシップには、世界トップクラスの製鐵企業POSCOが供給するAlaska LNG天然ガスパイプラインに必要となる鐵鋼、FOB条件でのLNG引き取り年間100万トンの20年間のHOAが含まれる。このHOAは、Alaska LNGプロジェクト初HOAである。またAlaska LNGへのPOSCO InternationalによるFID前必要分の投資も含まれる。本発表によると、2025年3月にAlaska LNG多数所有者となったGlenfarneは、日本、韓国、台湾、タイの有力LNG買主からLNG年間1100万トン分の初期的コマーシャルコミットメントを確保した。
  • FERCは2025年12月4日、Golden Pass LNG Terminalが、危険性液体物質をボイルオフガス・送出コンプレッサー、LNG貯蔵タンク、LNGポンプに導入し、LNG海上輸送船舶(クールダウン用カーゴ)を受け入れることを許可した。
  • FERCは2025年12月8日、Trans-Foreland Pipelineに、アラスカ州Kenai LNGクールダウンプロジェクトの建設完了・業務開始準備完了までの期限を2028年12月17日まで延長する同社の2025年11月12日許可申請を承認した。
  • FERCは2025年12月11日、Golden Pass LNG Terminalによる、混合冷媒コンプレッサーの単独運転のため、第1系列ガスタービンへの燃料ガス導入の申請を承認した。
  • John Wood Groupは2025年12月11日、NextDecadeとRio Grande LNGでのメンテナンスソリューション提供の10年契約を受注したことを発表した。Woodは安全・信頼性高い操業を支援する包括的なメンテナンス業務を提供することとなる。Woodは現在同設備の機械的な統合性確認のプログラムを実施しつつ、操業に備えた準備に関するコンサルティングを行っている。
  • Ovintivおよび、Pembina Pipeline子会社が2025年12月15日、Cedar LNG設備におけるPembinaの液化容量年間50万トンに関しての12年間契約の締結を発表した。本件に伴う輸出は2028年末にCedar LNGのコマーシャル稼働開始とともに始まるとしている。
  • Epcilon LNGは2025年12月15日、承認されたメキシコでのLNG輸出設備からの輸出開始までの期間延長を申請する書簡を米DOEに提出した。Epcilonは過去、国際マクロ経済・地政状況による遅延に見舞われたが、メキシコのソノラ州グアイマスのAmigo LNG輸出プロジェクトのFIDを2026年第1四半期初頭に行うことを意図している。Epcilonは輸出開始期限を2027年12月8日からさらに24か月、2029年12月8日に延長することを申請している。Epcilonはこの延長申請を2026年1月22日までにDOEが承認することを求めている。
  • DOEは2025年12月16日、Woodside Louisiana LNGプロジェクトからの非FTA諸国向け輸出の開始期限を2029年12月31日まで延長する申請を承認した。さらにDOEは、Louisiana LNGがLNGの承認済み非FTA数量を、2050年12月31日までの承認輸出期間を超えて3年間(メイクアップ期間)の2053年12月31日まで輸出することを認める形で許可を修正した。
  • MidOcean Energyは2025年12月17日、カナダにおけるPETRONASの主要関係会社の20%株式の取得を完了したことを発表した。カナダにおけるPETRONASの上流投資を所有しているNorth Montney Upstream Joint Venture (NMJV)の20%持分、LNG CanadaプロジェクトにおけるPETRONASの25%参加持分を所有するNorth Montney LNG Limited Partnership(NMLLP)における20%持分が含まれる。
  • 石油資源開発(JAPEX)は2025年12月18日、取締役会で在外孫会社であるPeoria Resourceが管理するPeoria Resources Acquisition(AcquCo)を通じ、米国でタイトオイル・ガス資産を保有するVerdad Resources Intermediate Holdingsの全持分を取得することを決議し、連結子会社(孫会社)にすることを発表した。VRIH保有資産には同社がオペレーターであるものが含まれており、JAPEXはPeoriaおよびAcquCoを通じて米国にてオペレーターとしてE&P事業に取り組むとしている。2026年2月末ごろにVRIHの持分取得を予定している。
  • Energy Transferは2025年12月18日、自社の資本配分について天然ガスパイプラインインフラストラクチャープロジェクトに焦点を置くために、Lake Charles LNGプロジェクト開発を停止することを発表した。同プロジェクト開発に関心を有し得る第三者企業との話し合いには引き続きオープンであるとしている。

 

欧州および周辺地域

  • TotalEnergiesは2025年11月25日、Le HavreのLNG FSRUを停止することを決めたと発表した。2022年、当局の要請に応じてTotalEnergiesは補助金なしの自社費用負担でLe Havre港にこのFSRUを用意した。TotalEnergiesによると、フランス・欧州のガス供給状況は安定し、最早同FSRUが必要なくなったとしている。
  • Eniは2025年12月3日、トルコBOTAŞと長期LNG販売契約を締結したことを発表した。年間40万トンのLNGを2028年から10年間供給する。両社が2025年9月に締結した同年11月から年間40万トンの供給についての3年間の取引に続くものである。今回の契約はEniのトルコ向け最初の長期LNG販売となる。Eniの戦略は、自社の世界でのLNG供給源を多様化し、ポテンシャルの高い市場での顧客基盤を拡大し、自社LNGポートフォリオを2030年までに年間2000万トンとすることとしている。
  • SEFE Securing Energy for Europeは2025年12月3日、トルコBOTAŞ向けに2028年第4四半期引き渡し開始でLNGを供給する10年契約を締結したことを発表した。2025年これより先に締結された累計150万トンのLNGを供給する3年間の取引に積み上げとなる。今回の新契約ではSEFEは今後10年間に累計500万トンのLNGを引き渡す。このLNGはSEFEの拡大するグローバルLNGポートフォリオから引き渡されることとなる。
  • 欧州連合理事会は2025年12月3日、EU理事会議長・欧州議会代表間でロシア産天然ガス輸入フェーズアウト規制案の暫定合意に達したことを発表した。LNG、パイプラインガス輸入の法的拘束力ある段階的な禁止を導入し、前者は2026年末から、後者は2027年秋から全面禁止とする。今回の暫定合意は、EU理事会、欧州議会の支持を得て後の公式採択となる。
  • イタリアSnamは2025年12月11日、リヴォルノ沖FSRU Toscana基地を操業するOLT-Offshore LNG ToscanaにおけるIgneo Infrastructure Partners所有の48.2%を買い取ることで合意したことを発表した。この取引は、イタリアの反トラスト・優越権規制上の承認確保も含めた規制承認を条件に、2026年上半期の完了が見込まれている。取引完了後Snamは合計97.3%を保有することとなる。
  • ドイツDET(Deutsche Energy Terminal)は2025年12月12日、総計27スロットの残り予約容量が再度市場にオファーされたことを発表した。12月22日からDETは、Wilhelmshaven 01、02基地の2026年第1、2四半期の残り予約容量を100万Btu当たり€0.56ユーロでオファーする。2026年第4四半期の追加予約容量は後日オファーされる。
  • 欧州議会は2025年12月17日、ロシア産ガス・LNG輸入禁止案を、賛成500、反対120、棄権32で支持することを決した。段階的に実施するもので、パイプラインでのフローは2027年秋終了としている。この禁止案の発効には、欧州連合理事会もこれを採択しなければならない。
  • OFAC(米財務省外国資産管理局)は2025年12月17日、「Sakhalin-2関連の特定のサービス」を2026年6月18日まで承認するジェネラルライセンスを発行した。Sakhalin-2を源とする原油の海上輸送は、これが「日本への輸入となる限りにおいて」2026年6月まで承認される。

 

その他地域

  • TotalEnergiesは2025年12月1日、TotalEnergies EP Nigeriaが、Chevron子会社Star Deep Water Petroleumに、ナイジェリア沖PPL 2000・PPL 2001開発鉱区ライセンスの40%参加権を売却するファームアウト契約を締結したことを発表した。両ライセンスはWest Delta地域で2,000 km2を占め、ナイジェリア上流部門石油類規制委員会が実施した2024年探査権入札手続きを経てTotalEnergies・South Atlantic Petroleum連合が獲得した。TotalEnergiesは40%参加のオペレーター権を維持し、Chevron (40%)・South Atlantic Petroleum(20%)がパートナーとなる。
  • 英国のビジネス・通商担当大臣は2025年12月1日、自国政府がモザンビークMozambique LNGプロジェクトへのUKEF(輸出信用機関)関与を解消することを決定したことを発表した。この決定は、プロジェクト推進企業その他参加関係者の合意を得てなされている。UKEFは同プロジェクトから支払われていた保険料を払い戻す。オランダAtradius Dutch State Businessは、2本建てで13億米ドルの輸出保険を承認していた。同国財務省はこの2本中、大規模な1本が撤回された、と述べた。
  • ドイツSEFE Securing Energy for Europeは2025年12月1日、アルゼンチンSouthern Energyと8年間の供給取引に関するHOAを締結したことを発表した。SEFEは最大年間200万トンのLNGをFOB条件で購入し、引き渡しは2027年末開始を予定している。締結されればアルゼンチン初の長期LNG供給契約となる。
  • Eniは2025年12月2日、コンゴ共和国でのNguya FLNG浮体液化設備到着、新規沖合インフラストラクチャーシステムへのガス導入をもって、Congo LNGプロジェクト第2段階の稼働開始を発表した。初LNGカーゴは2026年初実現を目標としている。同第2段階は、生産プラットフォーム3基、ガス処理・圧送用設備、Nguya FLNGを備え、プロジェクト全体容量を年間300万トンとする。今回の発表によると、この統合された構成により、沖合Marine XIIライセンスのNené、Litchendjiliガス田からのガス資源の全面的開発及び柔軟かつ段階的な生産が可能となり、2023年末から稼働しているTango FLNG設備に加えてNguya FLNGへの着実なフローが確保される。
  • サウディアラビア財務省の2025年12月3日に公表された2026年予算書によると、2025年度の主要業績に、Jafurahガス設備建設第1段階の完成、容量日量0.45bcfでの生産開始が含まれる。2030年までにプロジェクト完成後は、定常生産日量2 bcfに達することが見込まれる。
  • カタールのエネルギー相は2025年12月6日、新規供給開始にあたって予想されるタイムラインについて、「希望的にはカタールで最初の系列が2026年第3四半期に稼働開始する。米国ではGolden Pass LNG第1系列のコミッショニング活動を開始しており、希望的には2026年第1四半期末までに稼働開始し、その後残り2系列が順次続く」と述べた。
  • イスラエル政府は2025年12月17日、Chevronのエジプト向けガス輸出取引をイスラエル史上最大のガス取引として承認したことを発表した。
  • アラブ首長国連邦(UAE)アブダビのAbu Dhabi National Oil(ADNOC)は、Eni、PTTEPとともに2025年12月18日、Hail・Ghasha中流部門将来のガス生産の商業化のために最大11億米ドル(404億ディナール)のストラクチャード・ファイナンス取引の締結を発表した。Hail・Ghashaはアブダビ沖合に位置するより広範囲のGhasha鉱区の一部で、ガス日量1.8bscfの生産が見込まれている。ADNOCは本件を年間150万トンのCO2を回収しネットゼロ排出で操業する世界最初の沖合ガスプロジェクトとなるとしている。

 

(注:  bcm: 10億m3、CCS: 炭素回収・貯蔵、DES: 持ち届け ex-ship、DOE: 米連邦エネルギー省、EPC: エンジニアリング・調達・建設、EPCI: エンジニアリング・調達・建設・設置、EPCIC: エンジニアリング・調達・建設・設置・コミッショニング、EPCm: エンジニアリング・調達・建設管理、FEED: 基本設計、FERC: 米連邦エネルギー規制委員会、FID: 最終投資決定、FLNG: 浮体液化設備、FOB: 本船渡し、FSRU: 浮体貯蔵・気化設備、FSU: 浮体貯蔵化設備、HOA: 基本合意、MOU: 覚書、SPA: LNG売買契約)

 

 

作成協力 一般財団法人日本エネルギー経済研究所

 

添付ファイル