ページ番号1005979 更新日 平成30年2月16日

緊急レポート:テロは世界の上流事業の潮流を変える!?

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レポートID 1005979
作成日 2002-01-30 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 探鉱開発
著者
著者直接入力 The Petroleum Finance Company
年度 2002
Vol 35
No 1
ページ数
抽出データ 緊急レポート:テロは世界の上流事業の潮流を変える!?9月11日に世界を震撼させた同時多発テロ事件は,石油・天然ガスの上流事業にどのような影響を与え,現状の上流事業・投資をどのように変えるのであろうか?本稿は、米国の著名な石油コンサルタントであるThe Petroleum Finance Companyの緊急レポートである。9月11日の同時多発テロ事件及び現在アフガニスタンやその他の場所で生じている紛争は,世界の上流事業及び投資に対して様々な影響を及ぼしている。テロの直接的な影響は,政治的影響にあり,脅威,リスク及び不確実性を増すものであるが,間接的影響である原油価格に及ぼす経済的影響は,直接的なものよりもはるかに大きな影響を与えている。The Petroleum Finance Company(PFC)は,9月11日以前には,2002年の原油価格をWTIで20ドル台後半と予想していたが,現在は,20ドル台前半に予想を変更している。米国の天然ガス価格は,2000/2001年の冬のピーク以後すでに急落していたが,失速する米国経済により需要は更に悪影響を受けると判断した。同時多発テロ事件による間接的・直接的影響は,概略次のような状況をもたらした。*マクロ経済の減速や米国等のガス価格と世界の原油価格の下落が探鉱・開発の投資計画に影響を及ぼしている。*特定地域におけるテロの脅威が増大することにより,相対的に大水深における技術リスク(探鉱・開発技術)が低下し,探鉱・開発が促進される可能性がある。*石油産業に関わるすべての面(価格,地上リスク,株価動向,石油・ガス需要および上流での新規事業に対するアクセス)で変動性が高まる。― 1 ―石油/天然ガス レビュー’02・1V然ガス価格は,既に9月11日以前から下降トレンドにあった。同時多発テロ事件は,その下落傾向を一層厳しいものにするもので,そのトレンドを変えるものではなかった。しかし,石油価格のトレンドはこの事件によって一変して下降した。2002年の地域別投資の見込みは,米国ガス価格の下落を受けた北米地域と他の地域では異なるものの,全体で10%減少する可能性がある。このことは,すべての会社が2002年の投資計画を2001年に比べて縮小するということを意味せず,PFCの実施した聞き取り調査によれば,逆に一部の会社では,独自の戦略で投資計画を拡大することもあるとのことである。序論石油会社の2002年上流投資計画は,例年と異なりそのほとんどが未だ流動的である。通常,予算計画は9月から10月末の間に確定するが,9月11日のテロのため,多くの会社は内在する不確実性に対処するため予算計画の期間を延長している。2002年における各社のE&P投資計画について正式な調査はまだ行われていないが,PFCは,北米及び欧州地域の多くの企業から事前の聞き取り調査を行なった。そこで明らかになったことは,第1に,当社の予想どおり,北米の殆どの会社の2002年予算額は2001年に比し減少傾向にあること,さらに,2001年予算がすべて使われる見込みは小さいことである。現行のガス価格は,1999年半ば以前の時期よりはなお高い水準にある。だが,北米の多くの小規模独立系開発会社は,2001年初旬以降,北米の天然ガス価格の下落のため,天然ガス向けの投資を縮小する傾向にある。11月後半の調査のもう1つの結論は,上流投資対象の比重(ポートフォリオ)が変化するということであった。現在,少なくとも大企業においては,短期的に生産を増大させる投資は減少傾向にある。このため,探鉱や継続する長期プロジェクトに対する投資の比重が高まると予想できる。過去24カ月間,北米においては,ガス価格が高値傾向にあり,リグ稼動率も高かったことから,企業は即時に生産が可能な鉱区への掘削に集中投資した。その結果,高リスクで高コストの探鉱・開発(大水深等)への投資は,相対的に比重が落ちていた。ただし,いくつかの大企業は,より長期的なプロジェクトを選択しているため,短期間に投資を縮小することは困難と思われる。また,石油価格及びガス価格が低いため,短期的に増産しても収益は比較的少ないことから,直ちに企業が生産を強化する投資を行う可能性は低いものと思われる。事件およびその余波が世界の上流投資に及ぼす政治的・経済的影響9月11日の同時多発テロ事件及びその後の紛争は,石油開発の活動や投資に対して様々な影響を及ぼすと予想される。直接的な影響は,政治リスクが高くなることである。つまり,投資に対するリスクが高まると「認識」される国もあるし,「現実」にリスクが高くなった国もある。「現実」と「認識」とのギャップ拡大は,リスクをうまく管理し,かつ,株主にこれを説明できる企業にとってはビジネスチャンスである。したがって,直接的影響(政治的影響)は,問題の地域をコアエリアにしている会社に対して比較的大きな影響を及ぼすであろう。間接的影響,つまり経済的な影響は,石油産業にはるかに広範な影響を及ぼしている。世界の石油・ガスに対する需要は,2001年及び2002年について以前の予測よりも減少するものと予想される。価格変動と不確実性とを伴う,経済の見通し悪化は,一部の大規模プロジェクトへの投資を遅らせ,また随時決定される小規模投資にも遅延をもたらすと考えられる。ただし,天然ガスへの投資には,価格が既に下落していたため見直しが行われていたため,あまり影響がないものと考えられる。9月11日の事件は,米国における天然ガス価格の方向を変えることはなかったが,原油価格については方向を一変させ下降させた。石油/天然ガス レビュー’02・1― 2 ―シ接的影響:リスク・プロファイルの変化投資に対する直接的な影響は,前述のように「現実」の地上リスクの高まりと,地上リスクの「認識」との投資家等の理解から始まる。PFCのMarket Intelligence Serviceは,国際政治関係の変化の結果としての勝者および敗者を分類した。WinnerRussia Iran India Turkey Libya Syria ? No Net ChangeAfghanistan ? Pakistan ? Gulf States Egypt China Afghanistan ? Pakistan ? Iraq Israel Yemen Central AsiaLoserーに対する関心が高まることにより,米国政府は,西半球の諸国に対して,その炭化水素部門を外国投資に開放,または再開放するよう圧力をかけるようになることが予想される。ベネズエラは,石油の再開放に向けて圧力を受ける可能性があり,また,メキシコは,ガス部門の開放の主たる目標となる可能性がある(ビセンテ・フォックス大統領は,財政政策を優先するため,改革プログラムにおけるガス部門改革の重要性を劣後させざるを得なかった)。直接的効果を総括すると,イラク,イスラエル,イエメン,パキスタン及び中央アジアにおいて限定的な投資活動が行なわれているが,「敗者」地域におけるリスクの上昇のために減少傾向になっている。特に,特定の企業やプロジェクトについては,「現実」のリスクと「認識」されるリスクとのギャップが増大して,大問題の原因となる可能性がある。上流投資に対する影響に立ち戻ると,急な変化の影響を受けず予め決められたスケジュールに従って投資計画を実施すると決定されている場合,投資延期の決定までに1年を要する可能性もある。総体的に,新しい状況においては,ロシアとイランとが最大の勝者(受益者)となり,イスラエル,イエメンおよび中央アジアが最大の敗者(被害者)となる。イラン,スーダン及びリビアに対する米国の制裁が解除されることは予想不可能だが,2国間関係が改善することにより,リビア及びイランの非米系石油・ガス企業に対するイラン・リビア制裁法に基づく制限は軽視される方向に向かうと予想される。また,スーダンに対する圧力が弱まる可能性もある。中央アジアにおいては,ロシアの地域的な優位性が高まることにより,Baku?Ceyhanパイプライン計画はさらに遅延する方向にある。この事態は,同プロジェクトにロシアの石油会社を加えること(ロシア政府はこれに固執する可能性あり。)により回避できるかもしれない。しかし,依然として,地域的不安定性および金融に対する障害という問題は残る。直接的な勝者や敗者とは別に,地域エネルギ間接的(経済的)影響:世界需要の低下と価格の下落同時多発テロ事件が間接的に及ぼす経済的影響は,政治的なものよりもはるかに大きな影響を及ぼしている。9月11日以前は,PFCは原油価格を2002年にWTI価格20ドル台後半で推移すると予想していたが,その後予想価格を,20ドル前半に下方修正した。米国の天然ガス価格は,2000/2001年の冬のピーク以後すでに急落していた。失速する米国経済により,需要動向は更に悪化すると予想される。北米のガス需要構造に変化はないが,1年後には需給状況が変わる可能性も無しとはしない。世界の石油・ガス需要は2002年末までに再び成長に転じるものと予想されるが,9月11日以前に比べると低い水準からの出発となろう。マクロ経済の減速は,大規模投資および小規模投資の双方のタイミングに影響を及ぼすと予想さ― 3 ―石油/天然ガス レビュー’02・1S Natural Gas Pricesれる。特定地域のガス開発事業は,必要とされるインフラに対する投資が大規模であり,現時点では事業の実現に不確実性が高いと予想されることから,特に高リスクになることも想定される。米国の週間リグ稼動総数が示すように,石油・ガスの掘削活動は2001年7月半ばの水準からすでに低下傾向にあったが,9月11日の事件によりその傾向がさらに拡大した。このデータを詳細に分析した結果,最も重要なのは,天然ガス価格が各週のガスリグ稼動総数に及ぼした影響であった。米国におけるオイルリグ稼動総数は,2001年第1四半期以降減少していたが,9月11日以後一層大幅に減少することとなった。しかし,その減少率の幅は,天然ガスのリグ稼動総数の減少率よりは低めに止まっている。これは,天然ガス事業に重点を置く企業が,石油事業に重点を置く企業よりも投資削減の姿勢が強いことを示している。少なくとも,世界石油/天然ガス レビュー’02・1― 4 ―ノおける民間上流投資のほぼ半分を占める北米において,ガス事業者の投資削減傾向はより強いものとなっている。会社はどのようにE&P計画を調整するのか経済見通しの変更および価格の変動は,短期間で変更できる事業の投資計画や,企業が100%国の制約を受けずに事業活動が行える国での投資計画にも影響を与える。最初に影響があらわれる地域は,いつも,北米の陸上,米国のメキシコ湾大陸棚および北海のマージナル油田である。具体的な2002年のE&P投資計画を発表した会社はほとんどないが,PFCの聞き取り調査から,企業の中には大幅な予算削減及び(ある場合には)資産売却を予定している向きもあることがわかった。2001年第3四半期の収益実績も投資縮小の傾向を示している。投資について暫定的なコメントをするために,民間企業63社(ペトロブラスを含む)の2001年の投資傾向を分析した。投資スケジュールに対する企業の自由裁量度を考慮すると,欧米と「その他」(中南米,ア― 5 ―石油/天然ガス レビュー’02・1tリカ,中東およびアジア太平洋)との間に投資削減率に開きがあるが,2002年は世界全体で前年比約10%の投資削減が行なわれることが見込まれている。「その他」の地域では,政府の意向によって事業進展が左右されることがしばしばあり,したがって北米の場合に比べ自由裁量の余地ははるかに少なくなっている。一部の小規模会社は,すでに,石油・ガス価格の下落によるキャッシュフローの大幅な減少に基づいて,2001年第4四半期および2002年の投資を削減しつつあるとのこと。各社の各々の状況により,ある会社は2002年予算を2001年よりもやや削減し(大方の企業の反応によると,平均して10%程度の削減が予想される),またある会社は2001年に対比して2002年の投資額を増加させる計画であるが,その増加幅は縮小傾向にあると予想される。2002年の予算修正を正式に発表した会社はごく僅かである。例を1つ挙げると,VintagePetroleum(米国独立企業)は,2001年11月前半に2002年投資計画の変更を発表した。Vintage社は,現在約94.5千boe/dを生産する小規模な独立企業である。同社は,9月11日前の計画より小幅にではあるが2002年の投資計画を増大させようとしている数少ない会社の1つである。Vintage社は,2002年に270百万ドルを投資する計画(権益取得予算を省く)であるが,これは,以前の2002年投資計画298百万ドルより縮小されている。それでも,2001年予算に比べれば13%増である。2002年の投資計画を当初より縮小したとは言え,Vintage社は明らかに例外である。大部分の会社は,2002年の投資額を若干縮小する見込みである。留意すべき点は,Vintage社の生産量の約64%が原油で,天然ガスは36%にすぎないということである。天然ガスの生産割合が50%以上である北米の企業あるいは大手企業は,ガス価格の下落の影響を受けて,投資を削減する確率が比較的高くなる傾向にある。既存の大規模な開発事業や長期の掘削事業に参加する会社にとって,E&P投資の削減は相対的に大きな問題である。各年初には,企業の上流投資予算の約65%がすでにコミットされており,裁量による投資予算は35%しか残っていない。「裁量による」投資部分である小規模事業や掘削事業の一部は見直され,3カ月以内に撤退・縮小し始めることとなる。これは,北米における大水深での事業活動ではなく,陸上や浅海での活動に比較的大きな影響を及ぼす可能性が高い。もちろん,不確実な状況下においては「コミットする」投資部分の増加を避けるために,大規模投資は延期されるものと思われる。投資のコミット部分の縮小には,1年ないし18カ月を要すると想定されることから,2003年の探鉱開発投資のパターンにはさらに大きな影響がある可能性は否定できない。上記の行動は,9月11日の経済的(あるいは間接的)影響の結果として捉えられる。一方,政治的(あるいは直接的)影響はどうか。この暫定的な分析によると,直接的影響による「敗者」地域や間接的影響を受ける北米などの陸上地域で,それが「裁量による」投資である場合には,まず,その投資について削減決定が行われることを示している。一方,「コミットされた」投資は,削減するのにより長い時間を要することが判明している。長期間にわたる投資計画の決定は,石油・ガス価格が歴史的にみて低めであること及び価格下落状況がしばらく続くとのコンセンサスが業界にあることを前提にして行われる。PFCは需給分析により,中長期の米国天然ガス価格は上昇するとの見通しが依然根強いと判断している。当社は,北米でのプロジェクトにおける天然ガスの比重が大きければ大きいほど,プロジェクトの短期投資を削減する対応が,中期的なガス需要の見通しが堅調であることから,価格回復を早めることになると確信する。石油/天然ガス レビュー’02・1― 6 ―
地域1 グローバル
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2002/01/30 [ 2002年01月号 ] The Petroleum Finance Company
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