ページ番号1005982 更新日 平成30年2月16日

増進回収法(EOR)は北海を復興できるか?英領北海油田における現状

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レポートID 1005982
作成日 2002-01-30 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 技術探鉱開発
著者
著者直接入力 岡津 弘明
年度 2002
Vol 35
No 1
ページ数
抽出データ 増進回収法(EOR)は北海を復興できるか?英領北海油田における現状岡 津 弘 明*英領北海油田からの生産は2000年を境として減退に向うと指摘されている。探鉱活動や新規開発もここ10年間は減少傾向にあり,これらによる追加生産量に多くは期待しがたい。この様な状況下において,既生産油田を中心として,生産量増加,生産期間延長のため新技術適用を含む試みが実施されている。生産量(回収率)を増加させる技術の一つである増進回収法(Enhanced Oil Recovery:以下EORと略)は油層内に水,ガス,ケミカル等を圧入し油層内に残存する油を掃攻し回収するものであり,1970年代以降,米国を中心に研究/実証が進められてきた。英国においては,英国貿易産業省(DTI:Department of Trade and Industry)によるEOR促進プログラムが1978年に開始されたが,広く適用されるには至っていなかった。しかし生産減退等環境の変化,総合的油層解釈に代表される関連技術の発展,コンピューター能力の改善等を背景に,この10年間に英領を含む北海油田へのEOR適用が進んできたことが指摘されている。北海油田へのEOR適用が注目される要因としては、以下が指摘される。1.大規模で残油の多い成熟油田が、現実に直面している課題への具体的な対処であること。研究でない実戦的なEOR適用が求められている。2.油層の複雑性、海洋油田といった技術上の難しさ、適用の際の制限を克服する必要があること。EOR適用の前提となる油層解釈と残油分布の把握、それに対する手法選択の際の考え方については、他の油田でのEOR適用においても学ぶべき点が多い。また北海油田への適用は、EORが単なる生産技術ではなく、業際的なアプローチを前提とする総合技術であることを改めて実感させられる好例といえる。3.英領北海では生産油田の資産取引が数多く実施されている。資産価値の評価に際しては、残存可採埋蔵量の評価に加え、今後の増産ポテンシャルと増産のための技術の適用性について、的確な把握が必要とされる。その意味から、増産技術としてのEORの現状、技術的問題と改善策を認識、把握しておく必要がある。本稿では,英領北海油田の現状について簡単に触れるとともに,EOR技術についてその手法別に英領北海油田を中心として適用性,適用状況,更に技術課題をまとめ解説する。1.英領北海油田をとりまく環境:探鉱,新規開発,既生産油田の状況これまで英領北海では,活発な新規探鉱・油田開発により埋蔵量は増加してきた。このこと*本稿は,ロンドン事務所副所長 岡津弘明(E-mail:okatsu@jnoc.org.ok)が担当した。は英国石油ガス産業の存在価値を高める要因となった。資産価値的にも英領北海は他の油ガス開発地域と比して魅力があると見なされてきた。しかし探鉱活動の活性化の一指標である試掘井/評価井掘削数は,1980年代後半にピークを達成した後,この10年間は長期減退傾向にある。英国貿易産業省(Department of Trade andIndustry,以下DTIと略)資料によると,1989―47―石油/天然ガス レビュー ’02・1ュ見油ガ ス田数 探鉱投資額 試掘 /評価井掘削数 試掘 /評価井掘削数 2502001501000056543年数 (1989年以降 )910117812302520151005探鉱投資額 (億ポンド) 発見油ガ ス田数 図1?1:1989年以降の探鉱状況(探鉱投資額,試掘/評価井掘削数および発見油ガス田数の変遷(DTI資料に基づく) 71? 8081? 100101? 150150? 200200以 上 ?1011? 2021? 3031? 4041? 5051? 6061? 70121002468油田数 可採埋蔵量(百万bbl)図1?2:2000年以降生産開発予定油田の可採埋蔵 量規模(DTI/英国石油協会資料に基づく)年までの英領北海油田の生産量は,2000年をピークとしてそれ以降減退することが指摘されている。地域別に油の生産をみると,現在生産量が最大である中部英領北海において特に今後の減退が著しい。今後新規開発油田からの生産量も,2000?2009年の予測累計生産量の20%強に過ぎず,地域全体の生産減退を抑えるには至らない。2010年における予測油生産量は548千b/dと予測され,これはピークレート(2000年)の15%強に過ぎない。現在生産中の個々の油田の生産傾向を見ると85油田は生産減退期にある。大半の英領北海油田の生産プロファイルは,生産開始以降1?2年でピークレート(可採埋蔵量の10?20%に相当)に達し,その後は減退というパターンをとる。このため過去1?2年内に生産開始した油田以外では生産量は減退している。英領北海において生産中の油田の総残存可採埋蔵量は,78億bbl(2000年初)で,これは初年以降の探鉱投資資金額も,若干の凸凹はあるものの減少傾向にあることが指摘される。探鉱成果としての発見油ガス田数も,1990年代は減退傾向にあることが指摘される(図1?1参照。1980年代から1990年代初頭が最も発見油ガス田数多かった時期で,その時期の発見数は20前後)。探鉱成果の定量的な指標として,発見レート(Discovery Rate:試掘井1坑当たりの可採埋蔵量)があげられる。WoodMackenzieの評価によると,1960年代から70年代半ばにかけての初期探鉱期においては,同値は50百万boe以上であったが,1980年代以降は10百万boe以下で推移している。このことは,新規発見油ガス田規模が小さくなり,大規模発見が得られていないことを示している。以上から,近年,英領北海における探鉱活動は停滞してきていることが指摘される。英国石油協会(Institute of Petroleum)資料によると,2000年以降生産開発が予定される油田(以下はEOR適用対象となる油田についてのみ触れる)の可採埋蔵量は,40百万bbl以下のものが大半である。可採埋蔵量規模で100百万bbl以上の油田は,Bittern(110百万bbl),Elgin-Franklin(244-123百万bbl),Shearwater(160百万bbl)およびClair(263百万bbl)の4油田に過ぎない。この結果も探鉱活動成果が小規模化している点を反映している。また今後は小規模油田の効率的な開発手法が求められる。Wood Mackenzieの予測によると,今後2010石油/天然ガス レビュー ’02・1―48―ナあり,英領北海油田生産量の減退に影響を与える。各油田の残存可採年数(R/P)は,厳密にはその油田の生産減退曲線および操業限界条件から算定されるものであるが,簡易評価として残存可採埋蔵量を1999年の年産量で割った値を求めた。図1?5は生産中油田の残存可採埋蔵量と簡易評価R/Pの分布である。残存可採埋蔵量規模に依らず,多くの油田においてはR/Pは10年以内という結果になり,今後10年間に多くの油田が生産停止に向かう傾向が指摘される。020406080残存 可採埋蔵量(百万to100n)120140 図1?5:RP簡易評価値の分布(DTI資料に基づく)以上から英領北海油田の現状を整理・要約すると1)2000年をピークとして油の生産量は減退。2010年の生産量はピーク時の15%が予測。2)1990年以降,探鉱活動は停滞。新規発見油田数減少かつ小規模化。また新規油田開発も既存インフラを利用した小規模開発が主体に。3)新規探鉱・開発のポテンシャルは限られるとともに,今後の残存可採埋蔵量は既生産油田に対するものが約8割を占める。4)生産中油田の大半が生産減退段階。全油田数の3割が可採埋蔵量の20%を切る。また今後10年間に多くの油田が生産停止に向かう傾向。2.英領北海油田の今後の生産とEORについて2.1.成熟油田の技術課題成熟期にある油田では,一般的に油層圧力の低下,含水率の上昇が問題となる。前者は自噴生産に影響し,後者も油生産量の減少のみなら4035302520151005R/P(残存可採量/1999年産量)期可採埋蔵量の30%に相当する。総残存可採埋蔵量に対し,既生産油田のそれが占める割合は8割弱である。現在開発中,さらに今後開発が確定している油田については,その1/4程度である。今後の英領北海からの生産は,依然,既生産油田に依存している。このことも新規開発対象油田からの可採埋蔵量,生産量に多くは望めないことを示している。油田別に,残存可採埋蔵量とその初期可採埋蔵量の割合(残存割合)を求め,油田数分布を整理する(図1?3)。すでに約半数の油田で残存割合は30%を切っており,さらに残存割合が20%を切った油田は油田全体数の30%強となっていることが指摘される。このことからも,多くの油田において生産段階が進んだ状態,言いかえれば成熟期にあることが定量的に指摘される。また残存割合が20%を切っている油田についてみると,多くは1970?80年台に開発された油田である(図1?4)。またこれらの油田の可採埋蔵量規模は大きく(10百万?100百万t級)1? 1011? 2021? 3031? 4041? 5051? 6061? 7071? 8081? 9091? 1001009080706050403020100油田数割合(%)<0 残存可採埋蔵量/可採埋蔵量(%)図1?3:残存可採埋蔵量の初期可採埋蔵量に対する割合(残存割合)の分布(DTI資料に基づく)74767880828486889092949698生産開始年(19**年)図1?4:生産開始年と残存割合(DTI資料に基づく)100806040200残存可採量割合(%)―49―石油/天然ガス レビュー ’02・1ク,坑内流体汲み上げ,生産流体の処理という点で操業に影響を与える。技術課題は,この様な油層状況下で,如何に効率的に多量の油を生産し,かつ操業費を抑制するかという点である。さらに具体的な課題を詰めると次ぎの様に分類される。>効率的油採取の観点から・直接的課題:回収率増加,リフト(人工採油)効率の改善,油層圧力維持・間接的課題:油層管理の最適化,油層モニタリング(油層/生産データ採取),高精度生産予測油層モデルの構築>操業費抑制の観点から・制御/モニタリング(油層内挙動)の自動化と精度向上,施設処理能力改善2.2.英国政府/貿易産業省(DTI)の方針英国政府にとって,成熟期にある北海油田開発に対する取り組みは,新たなチャレンジである。Wood MackenzieのMolisonは,これについて以下の点を指摘している(1999年9月の世界エネルギー研究所(CGES)主催ワークショップにおける講演)。>対象地域に競争性を維持することが必要:効率的助成,規制(緩和),財政支援等による。>新旧油田に従来とは異なった方法で対処すること。>廃鉱:何が何時必要になり,誰が負担するか?これらの内,技術的貢献という意味では後2項が係わる。さらにEORを含む技術革新という点では第2項が相当し,各種新技術の開発と適用が英領北海油田において実施されつつある。DTIは,今後新たな探鉱以外に特段何も対処を打たなければ,2009?10年に英領北海油ガス田の生産量は1.5百万boe/dまで減少し,これに加え操業費も高騰することから危機的な状態になると予想している。この様な状況に鑑み,DTIは今後英領北海での石油開発を活性化,維持することを念頭に,具体的に今後10年後を目処に生産量の数値目標をあげている。目標値は2010年に3百万boe/dとしているが,これは上記の何も対処を行わなかった際の予想量の倍である。目標達成ためには,新規探鉱の成功と既生産油田からの生産量増加が必要である。しかし,これまで述べた様に新規探鉱や油田開発から多くが望めない現状では,既生産油田の増産が鍵となり,言いかえれば回収率増加,すなわちEORが必要とされることが指摘される。DTIは,1998年以降,炭化水素追加回収プログラム(SHARP:Sustainable HydrocarbonAdditional Recovery Project)を開始している。同プログラムは1970年代半ばからのEOR促進(研究開発)プロジェクトを継承したものであり,年間予算280万ポンド(約5億円)で,2003年3月末までの期間実施されるものである。目的は英領北海からの炭化水素回収を経済的に最大にすることである。内容的には革新技術に関する研究,大学・産業共同プロジェクトへの参加である。本プロジェクトは,基礎的な,また広義の回収率増加に係わる研究が主体ではあり,将来の英領北海油田へのEOR適用を視野に入れた政府の取組みと指摘することができる。なお,DTIは,石油ガス産業界と政府のタスクフォースとして技術促進についてのプログラムを進めている。対象は以下の技術であるが,この内,前者が直接的/間接的に回収率増加を支援する技術といえる。>既生産油田を対象とした新技術:スルーチュービングドリリング,スマートウェル,インテリジェント仕上等>新規探鉱開発のための新技術:高解像度震探,ダイナミック油層モデル構築,長距離タイバック等3.EORの手法について次ぎにEORの定義について整理する。一般的にEORは増進回収法あるいは強制回収法とも訳されているが,この用語は従来の通常回収法(一次回収として自噴生産,人工採油。二次回収法としての水攻法,圧力維持法を含む)に対し,さらに回収率を増加させるために油層に人工的に排油エネルギーを与えて産油量の増加を図る手法を指す。具体的には熱攻法,ガス攻法,ケミカル攻法および微生物攻法等からなる。石油/天然ガス レビュー ’02・1―50―}3?1はEOR法を含む原油回収プロセスの位置付けを図化したものである(Institute ofPetroleumに基づく)。一次,二次回収法,EORは,必ずしも段階的に実施されるわけではなく,油田状況により開発初期から二次回収あるいはEORを適用することもある。また本稿では,下図において分類されるEORのみでなく,二次回収の水圧入(水攻法)を含めて解説する。これは,水圧入が技術的にEOR手法の原点となっていること,英領北海でのEOR適用状況に影響を与えていることからである。4.EORの現状4.1.水圧入(水攻法)4.1.1.適用概況水圧入の目的は,自然排油エネルギーが充分でない油層に対する圧力維持,および油層内での油の生産井への掃攻(水攻法)である。また特殊な目的として,生産に伴う地盤沈下防止もある(ノルウェー北海の一部の油田)。以下,前者も全ての目的を含め広義の意味で水圧入として用語を統一する。2000年版DTI年鑑に基づくと,全149油田中,↓ EOR(増進 回収 法 ) (回収率: 30-80%) ケミカル攻法 ポリ マー アル カリ 界面 活性剤 フォ ーム ガス攻法 空気 炭化 水素 二酸 化炭素 窒素 煙道 ガス 図 3-1:油回収プロセス 図3?1 油回収プロセス熱攻法 油層 内燃焼 スチ ーム 温水 人工採油 ポンプ ガスリ フト 他 圧力維持 水圧 入 ガス 圧入 一次回収 (回収 率: 5-25%) ↓ 二次回収 (回収 率: 15-65%) 自噴生産 水攻法 微生物攻法 (注1):図3?1における「・・攻法」は,基本的に圧入流体の置換掃攻概念を有する回収法を意味する。但し,圧入流体が,水及びガスの場合は,圧力維持法を含め,広義の概念として水圧入,ガス圧入にEOR攻法を含むことが多い。(注2):EORに類似する表現としてIOR(Improved Oil Recovery)という用語がある。同手法は,EORより広義の意味で,現時点で予想される生産量を増加させる手法を意味する。一方では総生産量自体は必ずしも増加しないものの,生産プロファイルを前倒しにして収益を改善させる手法もこれに含まれる(ケミカル攻法の一つであるポリマー攻法)。IORは,油層管理の改善,回収補助プロセスおよびEORプロセスに大別されるが,本稿でまとめるものは,この内のEORプロセスについてである。―51―石油/天然ガス レビュー ’02・1キでに中止,および今後予定されるものを併せて,89油田に対して水圧入が適用されている。一方で適用されていない油田については,その理由として以下が指摘される。>周辺油田,対象油層の状況から油層圧力,排油エネルギーが充分に高いことが分かっており必要ない。:Gannet,Heron油田等>可採埋蔵量規模が小さく,短期間で生産を終了する。:Bladon,Iona油田等。上記DTI年鑑によると可採埋蔵量が100万t以下の23油田中,水圧入適用は5油田にすぎない。後述する技術改良は必要とされるものの,水圧入自体は成熟した技術であり,一般的な採油法の分類上は,ニ次回収(通常採油法)の一つとして位置付けられている。英領北海において約6割の油田に適用されている状況からも,このことが裏付けられる。ただし,水圧入は油田の回収率増加に貢献することから,広義な意味で回収率増加手法として分類される。ノルウェー北海Ekofisk油田では,水圧入実施後,更なる回収率増加手法適用について検討を行ったが,その結果,最良の手法は水圧入の最適化であった。これは回収率増加のための再水圧入に,最適化等,改良の余地があることを示す一つの例といえる。以下,英領を中心に北海油田を対象とした水圧入の技術改良について,回収率増加,施設の2つの面から実例を踏まえて紹介する。加のための技術改良課題が残されていることが指摘される。先ず,改良の余地が何処にあるかという観点に立ち,水圧入後の残油の分布について,代表的な北海油田の対象油層を例に考える。4.1.2.1.水圧入後の残油状況:北海Brent層の例北海油田の多くの油層の共通の特徴として,層厚が厚く,複数の層から構成されることがあげられる。油層全体を構成する各層の油層性状(浸透率等)およびその分布は,堆積の過程や環境,粒子の大きさや堆積に係わる自然エネルギーといった要因,加えて堆積時の海洋環境として潮流の方向にも影響される。このため油層内の性状分布に幅があり,水圧入の挙動に影響を与えることが指摘される。Olsen他は,北海油田の代表的な生産層であるBrent層に例を取り,以下の点を整理指摘している。>複数の異なった堆積シーケンスからなること。>それぞれが頁岩により分離されていること。>幾つかの層では上部ほど粒子および浸透率が大きく,下部に行くほど指数関数的に浸透率が減少すること。その浸透率の分布は最大で1000倍にも及ぶこと。さらに,この様な油層における残油を,大きく以下のタイプに分類している。>低浸透率層に取り残された油>構造的に圧入水が掃攻できない(油層上部の)4.1.2.水圧入の技術改良-1:回収率増加の観点領域の残油からBrent油田を例にとると,同油田は1976年に生産を開始し,水圧入が実施されてきた。その後,1994年に水圧入後の油田を対象に回収率増加手法適用が検討された。同時期,残油埋蔵量は360百万bblと評価されている。規模の大きい油田ではあるが,水圧入を伴う生産後の残存埋蔵量が多大であることが指摘される。前述のEcofisk油田,さらにForties油田等,多くの油田で水圧入後に更なる回収率増加手法(EOR)適用が検討されていることは,言いかえれば従来の水圧入では,油の取り残しが多いということになる。このことから,水圧入には回収率増>圧入水の掃攻域でバイパスされた油具体的にBrent油田の残油の分布を油層の模式断面でみると,油層は異なる性状の3つの層から構成されるが,それぞれの層における残油は以下の様な形態を取る。>良好な砂層(Good Sand):生産井から断層トラップまでの構造上部間に油が残留。>タイトな砂層(Tight Sand):優先的に生産,あるいは掃攻されなかった油が残留。>入り組んだ砂(Labyrinth Sand):同一層内の高浸透性チャネルのみ油が水により掃攻されて,他堆積相内の油が残留。Olsen他は,Brent層を構成する各層毎の浸石油/天然ガス レビュー ’02・1―52―}4?1:Brent油田の油層模式断面でみた残油分布(Braithwaite 1994より,SPE1994,reprinted by permission of the SPE)透率とその層に含まれる回収対象油量の分布について調査している。その結果,低浸透率層(20md以下)に全体の1/4の油が残留していることを指摘している。浸透率の異なる複数層から油層が構成される場合,水圧入による油の掃攻効率は,垂直方向,つまり層間の導通性に影響される。層間の導通性がない場合,特に水が全層区間に圧入される場合,掃攻効率は低下し,この場合,掃攻効率は各層の水平方向浸透率の大きさに依存する。一方で垂直方向に導通性のある層においては,重力が効果的に働くことで油層全体としての掃攻効率は改善される。Brent油田の主要油層は4?14の層に分けられるが,各層の垂直方向の導通性を欠いているため,油層上部の高浸透率層のみ油は効率的に掃攻され,下部の低浸透性層に油が残留した。この傾向は他の多くの北海油田の油層についても同様に指摘されることである。つまり圧入水は選択的に流れやすい(高浸透率)層のみ流れるため,浸透性の低い層は,低生産性に加え,水による掃攻が得られない状況にある。この様な複数の層から構成される油層については,油層下部から搾孔(パーフォレーション)して生産し,その後,水付きが始まれば,その層はプラグやセメント埋め立てにより廃棄し,表4?1 残油タイプによる水圧入の効率改善 残油タイプ 低浸透率層に取り残された油 対 処 入水掃攻域でバイパスされミカル等圧入による油層(水平方向)の均質化(浸透率)。 圧入パターンの変更等。 基本的な考え方は,垂直方向の掃攻効率改善。 具体的には ①高浸透率層からの水の生産の遮断(特定層の封鎖) ②低浸透率層のみを対象とした選択的圧入・生産 ③ケミカル等圧入による油層(垂直方向)の均質化(浸透率)。 掘り(追加坑井掘削)による残油回収:巨視的にみればマクロ的(水平方向)な掃攻効率改善。 ただし残油の地域的分布を正確に把握し,間掘りを実施することは難。さらに追加掘削の経済性面の問題もあることが指摘される。 間 ケ―53―石油/天然ガス レビュー ’02・1 造的に圧入水で掃攻できない領域の油 構 圧た油 ∑ヤに上の層に生産層を移行させて行く手法が,理論的には理想的である。ただし,北海油田の様な海洋油田の場合,経済性の観点から生産期間は重要な要素となり(短期間の生産),さらに早期増産が要求される。このため生産方針として10?20mdの下部低浸透率層から順番に生産するのではなく,より高い浸透率を有する上部油層から優先的に生産,また場合によっては層分けを行わず全層を対象として搾孔し,全層同時に生産を行なうことが多く行われてきた。この結果,多くの成熟期海洋油田では,依然低浸透率油層内の油が取り残されている状態にあることが指摘される。4.1.2.2.水圧入の回収率増加のための基本的考え方:残油タイプ別油の回収率は,ミクロ的にみて油層岩の孔隙内に捕捉されている残油を置換する場合の置換効率と,マクロ的に油層内の油を掃攻する場合の掃攻効率(厳密には水平方向と垂直方向の各掃攻効率の積)の積としてあらわされ,双方の効率改善を図ることが回収率の増加につながる。ミクロ的な置換効率については,例えば圧入流体に界面活性剤を添加して油-水間の界面張力低下を図る,水蒸気等圧入流体により油の粘度を低下させ流動性を与える(易動度を高める)等により改善が図られるが,これは水圧入そのものとしての改善ではなく,界面活性剤攻法,熱攻法といった他EORの原理である。マクロ的な掃攻効率の改善についても,圧入流体自体の調整(ポリマー添加と増粘効果による易動度調整等)があるが,これもEORのポリマー攻法として分類される技術である。通常の水圧入の場合に,回収率増加のために考えられる対処について,前述の残油の主要タイプ別に整理し表4?1に示す。基本的な考え方は,垂直方向または水平方向の掃攻効率の改善を図るため,油層自体に何らかしらの処理,生産方針を変更することである。(1)Ninian油田における掃攻効率の改善のための対処・検討Ninian油田は1978年に生産開始し,その原始埋蔵量は約260百万bblと評価されている。同油田は,Brent層を生産対象とするが,排油エネルギー(水押し)が充分でないことから,生産開始6ヶ月後より水圧入を実施してきた。前述したとおり,Brent層は多層化の傾向が顕著であり,油層の連続性はあるものの油層特性は垂直/水平方向ともに大きく変化している。このため垂直/水平方向とも掃攻効率が低く,さらに圧入水の早期ブレイクスルー(圧入水の生産井流れ込み)が発生している(1979年7月に水圧入開始。同年10月にブレイクスルー)。圧入水の早期ブレイクスルーは,英領北海のBrent層を対象とするThistle,Hutton油田等でも共通して見られる傾向である。この様な油層状況に鑑み,同油田では水圧入の垂直/水平方向の掃攻効率改善のために,各種対処を実施してきている。ここでは考えられる対処はほぼ検討・実施されており,水圧入の最適化の好例である。以下,Omoregie他の報告に基づきまとめる。a)垂直方向掃攻効率改善1991年に掘削された坑井から,同油層を構成する幾つかの層は圧入水で完全に掃攻されていることが指摘され,これらの層への流動が低掃攻率の原因と考えられた。垂直方向掃攻効率を改善して回収率を増加させる手段として,表4?2に示される手段が検討された。b)水平方向掃攻効率改善水平方向掃攻効率は圧入井の配置と油層の不均質性および断層の分布に大きく左右される。また上記の垂直方向の掃攻効率の改善策も結果的に水平方向掃攻効率の改善に貢献することが指摘される。同油田に対し,検討実施された改善策について表4?3に整理する。4.1.2.3.水圧入回収率増加対処の実例以下,水圧入の回収率増加のための,具体的な対処についての事例を紹介する。垂直方向の掃攻効率改善では,坑井毎の対処が多いことに対し,これらの対処は油田全体を対象とした水圧入を伴う油層管理(の最適化)石油/天然ガス レビュー ’02・1―54―ニも指摘できる。(2)Beatrice油田におけるポリマー坑井処理:失敗例ポリマー(高分子化合物)溶液は,水に増粘効果を与える性質を有するが,一方で垂直方向の浸透率の分布幅の大きい油層に圧入することで,油層内の浸透率を均一化させる性質を有している。このことから不均質油層にポリマー溶液を圧入することで,均質な水圧入を可能とし掃攻効率の改善を図ることが期待される。この処理は圧入井のみならず生産井に対し一般的に実施されるものである。同油田では,油層の垂直方向の不均質性と掃攻効率の改善に鑑み,1985年に一組の生産井/表4?2 Ninian油田における水圧入掃攻効率改善対処?1(垂直方向) 対 処 仕上方式の改良 概 要 当初は単層仕上であり複数層別の生産は不可。この仕上法は水が生産されるまでは生産量を稼げる利点がある。水が付いた後は状況に合わせて選択的な生産を可能とする仕上法が好ましい。Ninian油田ではワイヤーライン作業により開閉するスライディングスリーブと複数のパッカーを用いたセレクティブ仕上げを採用している。水が付いた層は機械的にふさぐことで他層からの生産が可能となった。 この手法は同油田の垂直方向掃攻効率改善の主要な対策。 修の目的は複数層における生産/圧入の調整であり,具体的な作業としては,新規層の搾孔(低浸透性・非生産層からの生産),再仕上げ,既存搾孔部に対するスクイズセメント(産水層の封鎖:後述する遮水の一手法)等。処理対象層選択のためには生産ログ,フローテスト等結果の実施と解析が重要。 産状況に合わせた水圧入量の調整。例えば下部の未掃攻層に対する圧入が必要と判断された場合の対処として。 インターバル対象の搾孔(パーフォレーション) inian油田では初期坑井仕上時に多くの薄い油層が搾孔されていない。主要(厚い)層からの水の生産が著しいことから,未搾孔の薄い層を対象に増搾孔。ただし結果については成功/失敗双方あり。 水率98%以上の多くの坑井は水圧入のバランス上生産停止。生産停止中の重力分離効果により短期間であるが生産再開に伴い、より低い含水率での生産が可能となる場合がある。同油田では生産停止坑井は3ヶ月毎に試験的に生産し含水率が低い場合は連続して生産している。これは圧入の最適化の一方での垂直方向の掃攻効率の改善とされる。 水は,水の産出層を塞ぐことで水の生産量を抑え,さらに未掃攻のタイト層の油の生産を促す手法であり,生産井/圧入井共に適用される。 高浸透率層の油は圧入水により掃攻されるが,一方で水のブレイクスルーを起こした後も高いレートで水の生産が続く。同処理は機械的あるいはケミカル手法により,この水がブレイクスルーしている(高浸透率)層を遮蔽することで,選択的に同層に圧入されてきた水を残油のある低浸透率層に圧入させ油を掃攻させるもの。ケミカル処理には一般的にポリマー(高分子化合物)ゲル,セメント,レジン,クロスリングポリマー等が用いられる。 ただし同油田においては未適用で,同処理の経済性について検討中。 rent層の下から2番目のRanoch層は他の層と比して浸透率が低く,圧入水の大半は同層をバイパスしている。同層の残油に対しては水平坑井適用も検討されたが経済性から採用されず,スリムホール/ショートラディアス掘削によるRanoch層および上部層を対象とした坑井の適用が検討。 ―55―石油/天然ガス レビュー ’02・1 改 生 N 含 遮 B井改修 入量 配分調整 含水率井の 間歇生産 ミカルを用いた 遮水処理 部層の開発 坑 圧 小 高 ケ 下 ッ油田の幾つかの生産井は,部分的に水圧入域から孤立しており含水率も低い。この様な坑井に対してポンピング(電動が主体,一部ジェットポンプ)により生産量を増加させることで,圧入水の流れに影響を与え非掃攻域への水の掃攻を促す。 産状況/油層状況を把握し,残油領域/掃攻領域を特定することから追加坑井を掘削。 産井の圧入井転用を含む,水圧入システム全体の再調整。 質的に複雑とされこれまで開発対象となっていなかったEast-Flankを対象とした開発。さらに幅の狭いチャネルサンドであるNessチャネルの開発。 圧入井を対象に,ポリマー坑井処理を実施している。同油田の油層はサンドバー構造で,さらに生産井/圧入井間に高浸透率層が存在することから,圧入水のチャネリングが発生しており,圧入水の早期ブレイクスルーとそれによる低掃効率が問題となった。油層の浸透率は20?2000mdの幅で分布し,8つの層に分割される。これもこれまで述べてきた油田と共通の状況である。油田実データを基に実施したシミュレーションでポリマー坑井処理の効果が明らかとなった。しかし実際の処理では,ポリマー(ポリアクリルアマイド2000ppm溶液)の圧入域が計画より小さくなったことから,生産流体の含水率には変化が見られず,失敗に終わっている。(3)Heather油田における遮水処理:圧入ケミカルの改善と成功例ケミカルを用いる坑井処理上の問題の一つは,圧入ケミカルの油層内長期安定性である。表4?3 Ninian油田における水圧入掃攻効率改善対処?2(水平方向) 概 要 生 生 地加坑井掘削:間掘り 圧入の再調整 地域の開発 追 水 他対 処 人工採油の適用 Water Shut-off TreatmentWater Injection Start-upWater Injection Shut-down prior to Treatment10000500010005001001019931994Gross RateOil Rate1995図4?2:Heather油田H-43号井の生産挙動(whiltney et al., 1996より,SPE1996, reprinted by permisson of the SPE)石油/天然ガス レビュー ’02・1―56―齡ハ的に油層温度が高い北海油田では問題が生じる。Heather油田においては水の高レート生産層に対して遮水を行った際に,高温用有機ポリマーゲルが使用(Unocal社製)された。これは350度Fで使用可能であり,同油田の油層温度(230度F)条件下で適用可能と判断された。圧入処理の結果,油生産量は増加し,かつ水生産量も低下している。さらに生産は8ヶ月間継続し,成功を収めたと評価された。図4?2は遮水作業対象のH-43号井の生産挙動を示す(実線は汲上量,破線が油生産量)。遮水処理(1994年3月)後,油生産量が増加する反面,汲上量が低下しており,水の生産が抑えられたことが分かる。4.1.3.水圧入の技術改良-2:水圧入施設について開発費および操業費抑制の観点にたった場合,海洋油田においては,プラットフォームの小型化や施設の簡便化が求められる。以下,北海油田に適用された新たな発想に基づく水圧入施設技術の代表的な例として,海底設置型圧入(分離)施設(Trollパイロット)および簡易海水圧入施設について紹介する。4.1.3.1.海底設置セパレーター・圧入システム(Trollパイロットテスト)Trollパイロットテストは,海底設置セパレーター・圧入システムを適用する世界で初めての試みである。同システムは2000年9月に設置されている。ノルウェー北海Troll油田では,すでに多量の水が生産されている状態にある。同パイロットテストでは,海底設置セパレーターにより生産水を分離し,かつ分離生産水を油層に再圧入するもので,従来プラットフォーム上で行われていた処理を海底設置施設により実施するものである。このシステムについては以下の利点が指摘される。>施設が海底に移されることで,プラットフォームの必要搭載重量が削減され,プラットフォーム自体の小型化が図れること。さらにライザーパイプやフローラインも簡素化しうること。>プラットフォーム上の油処理能力が向上すること(一次分離処理がなくなる)。>既存の施設を活用した簡易・迅速な開発につながる(追加プラットフォーム等の設置が不要となる)ことから,サテライト構造,小規模油田の経済的開発が可能となること。>水圧入施設の簡略化が図れること。また閉鎖圧入システム(生産水を分離してそのまま圧入する)のため,圧入水処理プロセスやそのためのケミカル添加の必要がないこと。さらにプラットフォーム上で他層からの生産水との混合がある場合に懸念される,施設内のスケールも発生しないこと。これらは操業費削減につながる。>海底における油水の分離により,人工採油のリフト効率が改善されること。また油層に対する背圧も減少することから生産レート増加につながること。さらにセパレーターがスラグキャッチャー的な働きをすることから不安定な生産流体流動を抑制しうること。同システムは,1996年にABB社およびFramoEngineering社のジョイントヴェンチャーにより開発が開始された。同システムはノルウェーで建造され(ABB社),総重量は370t。開発費用は4500万ドル(約54億円:1ドル=120円換算)。システム自体は最大水深800m対応可能に設計されている。なお,Troll油田での設置水深は350m。システムの構成は,セパレーター,多相昇圧ポンプ,水圧入ポンプ,多相計量計,制御システム,電源システム,砂除去(坑底にサンドスクリーン,およびセパレーター上流部にサンドサイクロン設置)および廃棄システムから構成される。ABB社は同システムの適用により大幅に開発コストが減少しうることを期待している。Troll油田における設置後の運転状況については,2000年5月16日より同システム試験運転が開始され,Troll油田西部ガス地域のS-13号井からの生産流体の処理を実施。セパレーターの稼動状況は期待以上であり,同年6月には圧入―57―石油/天然ガス レビュー ’02・1ethanol to/from Troll CWell fluidScale inhibitorEmulsion breakerWater SamplingTo Troll CChoke図4?3 Trollパイロットテスト/海底設置型セパレーター・水圧入システム主要プロセス(JPT.April 2000より,SPE2000, reprinted by permmission of SPE)能力強化のためのポンプモジュールを設置。その後,2000年7月後半より9月末にかけて,電気ケーブルのトラブル(絶縁部の亀裂発生)により運転停止している。なお,2000年5月の段階で3,800m3の生産流体を処理(2,600m3の油と1,200m3の水を分離処理し,分離した水の半分を油層に再圧入)。Troll油田のオペレーターであるNorsk Hydroは,現在Farm油田,Gjoa油田および35/8鉱区の段階開発を計画している。同計画において,第1フェーズとして従来の海底仕上技術によるFarm油田からの生産を2003年に開始。第2フェーズとしてTroll型の海底設置セパレーター・圧入システムを同油田に適用し2005年に生産開始。さらにGjoa油田では同様の手法により最短で2006年からの生産開始を計画している。さらに同システムを開発したABB社では,次世代海底設置処理施設として海底IORステーションを計画。これは油水の分離の他にガス圧入,人工採油施設等を含むモジュールユニットであるとの由。また今後,同様のシステムの大水深域適用に際しては,セパレーターは海底の静水圧下での使用を考慮する必要がある。この場合,Trollシステムで採用されている重力分離型セパレーター(通常の地上配置型と同形式)では,容器の壁厚が非常に厚くなることから現実的でなく,遠心分離型,サイクロン型のセパレーターの開発が必要とKnudsenは指摘している。4.1.3.2.簡易海水圧入施設Trollシステムにおいては,生産流体から分離された水を圧入水として用いているが,多くの海洋油田において水圧入を実施する際,圧入水として海水が用いられる。通常の海水圧入の場合,海水は植物性プランクトンを避けるため,海面下のかなり深い個所(例えば70m:B.Edenの指摘)からプラットフォームに汲み上げ,フィルター(例えば150および5ミクロン)処理,脱気処理,酸素除去剤・殺菌剤による処理,塩素処理等を行い,閉塞物質や腐食性物質の除去を行なう必要がある。最近では,油層や海水の状況に合わせて,より簡素なフィルターシステムが用いられる場合もある。しかしプラットフォーム上の水処理施設,海水汲み上げポンプ,関連配管類は,開発費用においてかなりの割合を占める。CAPCIS/MSTS社は,C-FAST(CombinedFiltration and Seawater System)と称するシステムを開発している。同システムは最小限の処理(濾過および脱塩素)による海水圧入のための簡易型海底設置水圧入システムであり,これにより開発費/操業費の削減が図れるとしている。同システムは,以下から構成される。>チューブセットラー(図4?5参照):密度が水より高い粒子沈殿除去:粗フィルター代用。石油/天然ガス レビュー ’02・1―58―ベルヌーイ式カートリッジストレイナー(図4?6参照):半浮遊有機物質除去:フィルター代用。フィルターの簡略化により,初期開発投資額および操業費の削減が図れる。また低温の海水が油層部に圧入されることで,油層との温度差により坑井周辺にフラクチャーが発生するため,仮に圧入流体中の細かい粒子が除去されなくとも,生じたフラクチャー内に充填されることとなり,圧入性に大きな問題は生じないと考えられる。>小型電気式塩素処理装置>多段遠心分離ポンプおよびモーター:圧入部>制御装置同システムは1997年冬および1998年夏,2回にわたり性能実証テストが実施されている。その結果,簡略化したフィルター方式であっても,30?40ミクロンのフィルターを使用した通常方式と同様の水質が得られることが確かめられた。また砂粒子の完全な除去,中間浮遊物質の大半の除去が可能であることが分かった。なお同テスト時の海水取りこみ口における水中固形物質濃度は0.5?8mg/lであった。この値は北海油田の圧入水源のそれの10倍に相当することStandard Xmas Tree Change Out lrtertaceElectro- ChlorinatorBernoulil StrainerPump / Motor AssemblyProtection FeamePower / Umbilical ConnetionTube Settler図4?4 簡易型海底設置水圧入システム(C-FAST)IntakeWaterBakflush outlet ValueEjected DebrisWater Out letBackflush-flowPlunger ActuatorBackflush PlursgerStrainerNormal FlowParticulatesfall from tubeWater Inlet図4?5:チューブセトラー概念図4?6:ベルヌーイ式カートリッジストレイナー(水より比重の高い,22ミクロン以上の粒子除去)(以上3図:SPE Seminar “Recent Advances in Petroleum Facilities”March 2000より,reprinted byperminission of the author)―59―石油/天然ガス レビュー ’02・1ゥら,北海油田を対象として充分に使用可能であることが指摘される。CAPCIS社では水深500m,圧入井3坑,圧入量および坑口圧力25千b/d,150気圧,タイバック距離20kmの条件下で,C-FASTシステムと浮遊式生産システム(FPSU)上に従来の圧入施設を搭載した場合の,経済性の比較を実施している。その結果,C-FASTシステムによる費用削減率(従来式に対する)は,>搭載設備費について48%。金額にして7.3百万ドル。>タイバック距離一定(20km)で,水深が倍(1000m)になると48%から52%に増加。>水深500mで,タイバック距離を20から50kmとした場合,48%から53%に増加。同社は,例えば水深が浅い場合等の条件下ではC-FASTシステムによっても,費用削減はさほど大きくないとしている。しかし上記のとおりタイバック距離,水深の増加に伴い,従来の圧入システムでは水圧入パイプラインやライザーパイプのコストが増加することから,同システムはコスト的に有利となる。また同システムの場合には遠距離圧入井へのポンピングのパワー損失がないことも,操業費抑制に関連して好ましい点として指摘されている。4.2.ガス圧入4.2.1.英領北海油田における適用状況ガス圧入は,水圧入と同様にすでに長い適用の歴史がある。圧入ガスの油置換機構の違いから,掃攻を伴う前方置換を目的とする分散型ガス圧入法(ガス攻法)と,重力分離による垂直置換を目的とした分離型ガス圧入法(圧力維持法)に大きく分類される。ガスコンデセート層を対象としたガスサイクリング法もガス圧入の1つの変形とされる。このうちガス攻法がEORに相当するが,以下,他の圧入法も併せ,ガス圧入としての適用状況をまとめる。前述のとおり,英領北海油田は,回収率増加手法として水圧入法が大きな役割を果たしている一方で,水圧入を実施しても未掃攻部の油の取り残しも出る。ガス圧入は,圧入流体であるガスの高易動度(易動度=浸透率/流体粘度:油層内の流体の流れやすさを示す指標),低比重といった特性から,水では侵入不可能な部分での油の掃攻を可能とし,より高い回収率を得ることが期待される。現在,英領北海では20油田に対し,ガス圧入が実施もしくは計画中である。これらの油田概要およびガス圧入の状況について,表4?4にまとめた。通常,圧入流体としては,炭化水素ガス,炭酸ガス,窒素等が用いられるが,英領北海油田では,ほとんどが生産随伴ガスとしての炭化水素ガスが用いられている。米国陸上等で用いられる炭酸ガスは,英領北海油田では用いられていない。これは炭酸ガス源,炭酸ガス移送のインフラがないことに起因している。その他圧入ガスとして窒素または空気が用いられることもあるが,ガス圧入の手法としては一般的でなく,英領北海油田でも適用されていない。適用油田におけるガス圧入の目的は,概ね表4?5のとおりに分類される。英領北海油田におけるガス圧入の変遷をみると,先ずは排油エネルギー補足という観点から圧力維持が主体であった。1970年代後半から80年代初期に開発された油田において,生産開始直後よりガス圧入が開始された油田もある。ただし油層圧力維持のためといいつつ,実態は資源保護法に従うべくガスを油層に再圧入(リサイクル)していた油田も一部もあると指摘されている。この様な場合,回収率増加の立場からは,必ずしも成果をあげていないこともある(例:Fulmer油田ではガスのブレイクスルーに伴うガス油比上昇により生産量減少)。圧力維持,再圧入を目的とした場合,圧入井の多くは構造頂部に配置された。これに対し,最近では水圧入後の残油回収を目的とした分散型ガス圧入法,特に炭化水素ガス(生産随伴ガス)を用いたガス攻法が実施,計画される方向にある。英領(を含む)北海油田に対する回収率増加策としてガス圧入適用を考える場合,条件的に以下が有利な点として指摘できる。石油/天然ガス レビュー ’02・1―60―@   ―61―石油/天然ガス レビュー ’02・1  表4?4 英領北海油田ガス圧入実施対象油田一覧原油比重/粘度が比較的低い:圧入/被圧入流体の易動度比の観点から好ましい。>水圧入後の残油がある:回収ポテンシャルが高い。>油層圧力維持のためガス圧入が当初計画に組み込まれていたことから,圧入施設が既に存在する:追加施設不要。>油層深度や温度の点,他のEOR(ケミカル攻法,熱攻法等)より適用条件的に問題が少ない。>間接的であるが,環境対策から随伴ガス処理としてのフレアリングを抑制する傾向にあり,ガスが販売されない場合には産出ガスの処理が問題となる。これに対応しうる。表4?5 英領北海油田のガス圧入目的 目 的 1.油層圧力維持 油 田 名 Beryl, South/East-Brae, Bruce, Gryphon, Harding,, Mungo, Pierce, Statfijord .生産量増加(掃攻効率改善) eryl, East-Brae, Bruce, Miller, Mungo, .ミシブルガスによる油回収 lwyn North, South-Brae, Magnus, Statfjord   (水圧入後残油) .資源保持法によるガス処理として ulmar, Heather, Thistle 注):ミシブル:特定の圧力/温度状況下で置換流体のガスと被置換流体の原油が接触した際に溶け合う(両流体間に界面が存在しない)状態となること。この状況下で2流体間の界面張力はゼロとなるため,理論的には置換効率は100%となり,高い回収率が期待される。 B A F 圧 水 上 2 3 4 ( C 残 U形 態 Attic Oil ellar Oil 表4?6 水圧入後の残油分布状況の分類(Jordan 他による) 残 油 状 況 構造が断層により分断される場合,構造上部に位置する生産井とトラップとなる断層間の油は,構造下部からの水圧入によっても掃攻されず取り残された状態になる。 また油層上部の浸透性が劣化する場合も,この領域の油は水圧入実施の場合には重力の効果が現れず排出されず残る。さらに圧入井と生産井間に幾つもの断層が存在する場合,各断層で油がトラップされる状況となる。 入水が浸透率の良好な上部層のみに流れる(オーバーライド:Override:上走り)ために生じる油層下部の取り残し。水圧入の残油分布で触れた下部Brent層のオーバーライドが代表的な例。Brent油田の場合,油層圧力維持のため水は油層下部の低浸透率のRanoch層に圧入。しかし重力がViscous Force(水平方向の流動に係わる粘性による力)より支配的であることから,圧入水は浸透率の良好な下部Brent層に流れ,下部のRanoch層の油は掃攻されず取り残される。 存油 圧入後の残存油飽和率はガス圧入のそれに比べて高い。これは圧入流体と置換流体(油)間の界面張力の差によるもの。北海の高浸透性ジュラ系砂岩油層の水攻残油率は10?25%である一方,ガス掃攻後の残油率は10%以下である。さらにミシブル状態の置換となれば残油率はさらに低下する。 ndrained Oil記の分類に属さず,堆積環境により水よりガスがより流れやすい不均質部の存在も考えられる。この部分の油が掃攻されないことがある。例えばBrent油田における比較的タイトな砂岩層は,生産性のより油層部とコミングルで仕上られることから取り残され点をBraithwatteは指摘している。 石油/天然ガス レビュー ’02・1―62―菶ヲ増加手法としてのガス圧入を考える際の重要なポイントは,一般論ではあるが,油田の地質状況を的確に把握し適切な圧入手法を採用することである。経済的観点からは,既存の生産井/圧入井配置を踏まえ,これらを効果的に活用する手法が求められる。地質的状況把握については,個々の油田でそれぞれの特徴があるために一概には言いがたいが,英領北海でこれまで,(如何なる目的にせよ)ガス圧入が実施されてきた油田の特徴としては以下があげられる。>砂岩層>断層が発達しており,多くの断層トラップや分断したブロックからなる>浸透率の分布幅が大きい(特に上部層の浸透率が高い傾向)>油層が厚い既生産油田の水圧入後の油層における残油の分布は,4.1.2.1.でBrent層を例に整理したが,Jordanらは北海油田を例にガス圧入による回収対象となる残油について4つの形態に分類している。前述部と一部重複はあるが表4?6にまとめる。圧入流体としてのガスの特性は,低粘度,低比重(および条件によってはミシブル状態の形成)である。低粘度という点についてみれば,ガスは圧入水が掃攻し得ない低浸透率層の油を掃攻しうることから,上記分類におけるUndrained Oilの回収が可能となり,この点ガス圧入の利点が指摘される。しかし易動度の改善が効率的回収法としてのポイントになることは水圧入の場合と同様である。むしろ置換流体と被置換流体の粘度の差は油-水系よりも油-ガス系が顕著であることから,ガスによる油の掃攻は,水の場合より,油層内(特に垂直方向の)浸透率分布に大きな影響を受ける。ガスと水の比重差から,特に油層の厚い北海油田では,ガス圧入の際の重力効果を期待することができる。ただし一方で油層の垂直方向の導通性に回収率は左右される。上記,水圧入後の残存油の分布状態,圧入流体としてのガスの特性を考慮して,如何なるガス圧入の手法が考えられるか,実際に北海油田における適用例を踏まえて表4?7にまとめた。Surgchev他はノルウェー北海油田のデータに基づき3次元シミュレーションスタディーを実施し,上記中の幾つかの手法による回収率を比較検討している。その結果として,以下の点を指摘している。>水圧入法と比較して,水平坑井を用いたガス圧入法(各圧入手法)の回収率は15?18%改善。>垂直方向の浸透性が良好であれば,WAG法の回収率は高いが,さらにガス・水混在同時圧入による回収率はWAG法によるそれの6?7%高い。>浸透率のコントラストが大きく,垂直方向の導通性が小さい場合,フォームを圧入することでWAG法の回収率は改善される。同スタディーは,簡略化した油層モデルによる手法の比較の域を過ぎるものでない。実際の圧入手法の選択に際しては,適用油田毎の地質,開発生産状況,既存坑井配置,経済性等を勘案する必要があることは言うまでもない。このため同スタディー結果から一概にどれがベストであるかであるかは言えない。ただし,同スタディーでは,油層上部の性状が良好である北海油田の代表的な油層特性を考慮した油層モデルに基づいていることから,手法の比較という点では興味深いものと言える。4.2.2.北海油田におけるガス圧入適用事例(1)South Brae油田ミシブルガス圧入South Brae油田は北部英領北海に位置する。1983年に生産開始した大規模成熟油田であり,英領北海油田として,はじめてのミシブルガス圧入を実施中。それに先立ち実施されたパイロットテストは成功を収めている。同油田は1984年に水圧入を開始しており(一方で,圧力維持の目的で構造頂部よりガスを再圧入している),水-油の易動度比が良好なことから高い回収率が得られている。一方で圧入水のブレイクスルー後,急激な生産減退が起こり,取り残しの油が未だある状況にある(油層平均―63―石油/天然ガス レビュー ’02・1Kス圧入手法 ガス水交互圧入法: WAG法 (Water-Alternating-Gas) フ&パフ法 表4?7 効率的なガス圧入の手法 概 要 北海油田適用/検討例 油層内におけるガスのフィンガリング(油層内を指状に部分的にガスが先走りする挙動)減少を抑制するためにガスと水を交互に圧入する。垂直方向の掃攻効率が改善される。 対象→ Cellar Oil / Undrained Oil Millar(英),Magnus(英),Gallfak(ノルウェー)パイロットテスト, Statfjord(ノルウェー),Osberg(ノルウェー) allfak(ノルウェー) ス水混合同時圧入 SWAG法 (Simultaneous WAG) iri(デンマーク) ォーム併用WAG法 norre(ノルウェー) ハ ガ フ U U G S S T S 産井にガスを圧入し,その後生産に切り替える,水蒸気圧入法で広く採用されている手法。ガス圧入の場合,生産井より構造上部の油に流動性を与えること、油層圧力増加、坑井周辺の油を膨潤させて生産させること等が期待。対象→Attic Oil 浸透性層へのガス圧入による掃攻改善が目的。この点水圧入より効果が期待。ガスの比重差から油層内に垂直方向の浸透率バリアーがあったほうが効果あり。 対象→Cellar Oil / Undrained Oil 記WAG法の変形。浸透率のコントラストが特に強い層状油層で効果的。水圧入サイクル時に界面活性剤等フォーム形成ケミカルを添加しガス圧入時生成するフォームにより既掃攻層部をプラグし掃攻効率を改善する。 対象→Cellar Oil / Undrained Oi 生 低 上 水 Up-dipからの圧入1 p-dipからの圧入2 攻法後の3次回収モードとしての圧入。最hisle(英)で成功 終的には圧入ガスの回収要。 対象→残油,Undrained Oil p-dipサイドからのガス圧入/低レートの生産でフィンガリングを防ぎつつ構造下部の坑井より生産。重力安定置換(Gravity-stable displacement)。 対象→Cellar Oil / Undrain Oil / 残存油 outh-Brae(英)パイロットテスト Statfijord(ノルウェー) 残油飽和率は40%以上)。このため当初は坑井の増し掘りや改修作業で生産量維持に対処してきた。実油層コアを用いた室内実験研究から,ガス圧入により残油飽和率を10%以下まで低下し得る結果が得られており,ガス圧入による可採埋蔵量の増加が期待された。ガス圧入プロジェクトは1994年に開始された。諸検討の結果を踏まえ,すでに同油田においては,水圧入実施後の油田を対象とするミシブルガス圧入のパイロットテストが実施されている。220億cfのガス圧入の結果,生産井からの産出油量は4?10倍に増加し,ガス油比増加,含水率減少が認められた(図4?7および4?8参照)。この結果,1999年半ばまでのガス圧入期間中の総生産量2.7百万bblの8割がEORによる増油と評価されている。パイロットテスト結果に基づき,油田全域を対象として実施したシミュレーションスタディーの結果,2000億cfのガス圧入により23百万bblの増油可能,また圧入ガスの半分に相当する油等価量が増油分として回収されると評価されている。さらに経済的にも良好なプロジェクトと判断されている。油田全域対象のガス圧入プロジェクトは1998年11月に開始。1999年末までに最大90百万石油/天然ガス レビュー ’02・1―64―lwin North油田は北部英領北海に位置し,1999年よりBrent層を対象にミシブルガス圧入を実施中である。taオペレータであるTol(現TOTALFINAELF)は,本圧入計画実施に先立ち,油田内の最大域であるBrent East域を対象にEORとしてのガス圧入のポテンシャル評価を実施している。同油田では水圧入が実施され,生産井8坑/圧入井4坑(油層外辺配置)により回収率は54%が見こまれるが,一方で依然60百万bblが残油として存在すると評価された。ガス圧入の室内実験研究から,油層圧力375気圧以上においてガスと油のミシビリティー(前掲表4?5の注参照)が生じ,残油飽和率も7%まで減少することが確認されている。油田全域を対象としたシミュレーションスタディーの結果,ガス圧入後の水圧入,最終的なガス生産も含めて,15年間にわたり20百万bblの増産が得られると評価されている。またシミュレーションスタディーにより,ガス圧入パターン(圧入井/生産井配置)が検討された。既存の水圧入井をガス圧入に転用してDown-dip側からガスを圧入するケースで最も回収率が高いとの結果が得られている。この圧入パターンは,上記のSouth Brae油田とは逆方向の圧入である。因みにこの圧入手法の場合,既存生産井から連続して生産することとなり,回収速度の点では優れることも指摘される。実際の圧入計画について,1999年に水圧入井5坑のガス圧入井転用を含む改修作業が実施された。さらに同年プラットフォームに高圧ガス圧入用コンプレッサーを設置し,現在ガス圧入中(最大圧入レート:140百万cf/d)である。(3)Siri油田ガス水混合同時圧入デンマーク沖北海大陸棚Siri油田は1995年に発見,1999年5月に生産を開始した比較的新しい油田である。生産開始直後より油田全域を対象にSWAG(Simultaneous Water and GasInjection:ガス水混合同時圧入)が実施されている。同油田では,生産井5坑と水平坑井1坑を含5000 4000 3000 2000 1000 5000 4000 3000 2000 BPD1000 0Jul-94Jul-95Jul-96Jul-97OilJul-98Jul-99Water0Jul-00図4?7:South Brae油田A16号井油および水産出履歴5000 4000 Watercut %3000 2000 1000 0Jul-000Jul-94Jul-95Jul-96Jul-97OilJul-98Jul-99Water5000 4000 3000 2000 GOR(scf/STB)1000 図4?8:South Braeエ油田A16号井ガス油比および含水率履歴(Jethwa, 2000より;SPE2000, reprinted bypermisson og the SPE)scf/dで3坑井から圧入。2002年まで継続したのち水圧入に転換するとともに,追加のガス圧入も計画されている。なお,重力効果によるガスの上走り(Override)を防ぐため,Up-dip側,油層頂部よりガスを圧入することとし,重力的な安定にガス-油界面を押し下げて行くことで,取り残し等を抑えることとしている。施設面では,圧入コンプレッサーの増強(4千→9千scf/d),水処理施設の増強(ガス掃攻域の拡大のため,高含水率生産井も生産する必要があるため)が実施中。将来的には生産井でガスのブレイクスルーが同時に起きた場合のガス処理も問題となる可能性がある。(2)Alwyn North油田・ガス圧入ポテンシャル評価―65―石油/天然ガス レビュー ’02・1゙SWAG用圧入井1坑が配置されている。生産随伴ガスと水は,圧入井坑口で混合され2相状態で圧入される。ガス水混合同時圧入法は,アラスカKuparukRiver油田でのパイロットテスト実施例はあるが,北海では同油田の他に実施報告例はない。同圧入法の採用の理由は以下のとおりである。>ガス移送用インフラがなく,フレアリングは(環境上)受け入れられないことから,生産随伴ガスは再圧入の必要があること。>シミュレーションスタディーで,SWAG法はAttic Oilの置換,残存油飽和率の低下,掃攻効率の点で回収率増加に好ましい結果が得られたこと。>油層圧力維持に水圧入が必要であること。圧入対象は,深度2,070mの砂岩油層である。油層性状として,高ネットグロス比,高孔隙率,浸透率も比較的良好であることが指摘される。可採埋蔵量は51百万bblで回収率は35%以上と評価されている。シミュレーションスタディー結果から,SWAG法適用により単純な水圧入の回収率から更に6%増加すると評価されている。Up-dipからのガス圧入の場合,同油田の生産井(特に水平坑井)は構造上部にあるため,ガスのブレイクスルーが生じやすく,またWAGの場合はDown-dipの圧入井が2坑で1坑は常にガス圧入に専用されるため,追加圧入井がないと水圧入量が制限を受けるといった問題がある。比較的限られた量のガスを効果的に圧入(すなわちガスを水平方向に広く分布させる)ためにはSWAG法が効果的であることも指摘される。施設上の対処としては,水圧入用高圧ポンプの導入,またガス水の同時圧入に伴うガスハイドレートの析出防止策の適用あげられる。適用例の少ない手法であるだけに,プロジェクトの今後の進捗は注目に値する。(4)Snorre油田・フォームWAG(FWAG:Foam Assisted WAG)ノルウェー北海Snorre油田は,1992年に生産開始し,水圧入を伴う開発が実施されている。可採埋蔵量は140百万bblと評価されており,これは回収率41%に相当する。生産開始以降,可採埋蔵量増加のポテンシャルが指摘され,そのための計画の一環として油層の連続性調査,EOR適用性,先進坑井技術の適用等がパイロットテストを含み検討されてきた。EORについては,先ず油田中央部の断層ブロックにおいて圧入井2/生産井3からなるWAG法のパイロットテストが実施された。圧入ガスは販売ガスであり,油層圧より22気圧高い282気圧において油とミシブル状態になることが室内実験研究で確認されている。圧入はDown-dipから実施。生産井と圧入井に導通性がある油層域では,坑井間距離が1kmであるにも係わらず,圧入後1ヶ月で,生産井におけるガスのブレークスルーが発生した。また導通性が顕著でない油層域では2次ガスキャップが生じ,ブレイクスルー自体は遅くなっている。同油田では油層の垂直方向の導通性が良好であり,ガスは分離し構造上部に移動しやすいことが指摘されている。このため油層上部はガスによる掃攻が良好であり,生産井より構造的に高い部分に2次ガスキャップが発生している。これらの結果から,ガスの易動度を減少させることにより,回収率を増加しうることが指摘された。具体的な手法としては,フォームの圧入が検討された。フォーム(泡:この場合,界面活性剤水溶液とガスを接触させる-吹き込む-ことで発生させる)により,ガス相の粘度増加,高浸透率層におけるガスの易動度低下,さらに低浸透率層でのガスの掃攻改善が可能と指摘されている。コアを用いた室内実験から,フォーム圧入による回収率の改善が指摘され,1996年以降,生産井1坑に対してフォーム圧入によるガスのシャットオフ処理(ガス産出層のブロック)が実施された。この結果,圧入後2ヶ月間以上にわたりガス油比が50%以上減少し,また油層下部からの増産が認められた。圧入井に対するガス易動度調整のためのパイロットテストは1996年に計画が承認され,1998年8月以降フォーム圧入が実施。これまでに水74,500m3,界面活性剤(38%)1,040t,ガス石油/天然ガス レビュー ’02・1―66―Kスガス /水 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ → → → → → → (高浸透率油層) (低浸透率油層) 水 → 水 水水 → ガスガス ガスガス 油 油 油油 ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ (圧入井) (生産井図4?9:ガス水交互圧入法の概念:これは圧入の1サイクルである。この後にガス,水を,また交互に圧入。 その際,水に界面活性剤を添加することでガスの前面にフォームが発生し,ガスの易動度が調整される。75,000m3が圧入。圧入井より半径280mの範囲に圧入処理が実施されたことになる。室内実験を経て選択されたフォーム発生のための界面活性剤は,αオレフィンスルフォネートで,水溶液濃度は0.5wt%。フォームのクオリティー(ガスの割合)は70%に設計されている。パイロットテストでは,界面活性剤溶液の圧入後にガスを圧入,または坑口で界面活性剤溶液とガスを同時に圧入する両手法が試みられた。圧入結果については解析中であるが,この効果把握のためトレーサー圧入,シミュレーションスタディー等も実施されている。これまでの結果として,圧入井近傍でフォームが発生したことが確認されている。生産井の反応としては,フォームが完全にガスの導通層をブロックしたわけではないが,フォームによってガスの易動度は低下し掃攻効率は改善されたと考えられている。実際に生産井でのガス油比は低下し,圧入開始直前より高い油生産量が得られているとのことである。なお,ノルウェー北海におけるガス圧入については,上記のSnorre油田の他にStatfjord油田におけるミシブルガス圧入,Oseberg油田におけるインミシブルガス圧入等が上げられる。(5)Magnus油田・ミシブルガス圧入計画BP操業のMagnus油田におけるミシブルガス圧入は,2000年10月に計画承認を受けており,最近特に注目を集めている大規模なEOR事業といえる。計画は,周辺ガス田よりパイプラインでガスを移送し,Magnus油田に圧入するもの。2002年初の開始を予定。これにより生産量は50百万bbl増加,回収率は52から57%に増加,また総生産期間は5年間延長(2015年まで生産予定)が期待されている。同プロジェクトの費用総額は3億ポンド(4.4億$)。圧入ガス源は,Foinaven,SchiehallionおよびLoyalの大水深海域ガス田。これらのガスは,複数の小径パイプラインで大陸棚端水深180mに位置するパイプラインマニホールド(PLEM)に集められる。その後,186km長の20”径パイプラインによりSullom Voeターミナル(シェットランド島)に移送。ここでLPGと混入した上で,10”径210km長のパイプラインによりMagnus油田に移送される。Magnus油田プラットフォームにはガスコンプレッサーを搭載するため新たなデッキが設置される。さらに熱交換機とサクションドラム,新たなガス圧入マニフォールドと関連パイプラインが設置される。移送されたガスは,6坑の既存水圧入井(ウェルヘッド交換予定)から油層部に圧入。また油層内の圧入井近隣部に4坑のサイドトラック井を掘削。圧入方式としては,ガスの効果的圧入(モビリティーコントロール:易動度調整)のため6ヶ月毎にガスと海水を交互に圧入する計画である。―67―石油/天然ガス レビュー ’02・1.3.ケミカル攻法ケミカル攻法は,大きくポリマー攻法と界面活性剤攻法に分類される(アルカリ攻法もあるが,適用が限定されることから一般的でない)。原理について簡単に触れると,前者はポリマー(高分子化合物)を添加することで圧入水の粘度を上げ,易動度比,掃攻効率を改善させる,後者は界面活性剤により油-水間の界面張力を低下させて置換効率を改善させることで回収率増加させる手法である。言いかえると前者がマクロ的掃攻効率,後者はミクロ的置換効率の改善に基づく回収率増加手法である。水圧入の効率改善として,遮水作業/浸透率調整のためにポリマー溶液を圧入する例はすでに述べた。これはポリマーによる油層性状の調整である。これに対し,ポリマー攻法は,ポリマーの添加により圧入流体性状を調整することが鍵である。また界面活性剤攻法についても,ガス圧入法の際のフォーム生成のための界面活性剤使用とは,目的を異とする。ケミカル攻法の北海油田への適用となると,適用検討については報告例があるものの,パイロットテストも含め実油田への適用は限られる。これについては以下の背景が考えられる。>油田条件,特に油層温度が必ずしも適用条件を満たさないこと(後述)。>ケミカル性状の油層内コントロールが複雑であること。>ケミカルが高価で経済性が問題とされること。現在,界面活性剤攻法については,北海に限らず全世界的にも適用は限られているが,これは特に後2項が係わるためである。以下,各攻法別に北海油田に対する適用可能性といくつかの検討実績をまとめる。4.3.1.ポリマー攻法一般的に北海油田原油は,軽質で低粘度であるため圧入流体(水)-油層流体(油)間の易動度比は,置換プロセス上好ましく,ポリマー攻法適用の必要性は低い。しかしながら1993年以降,英領北海油田においても重質/高粘度油田が生産開始しており,油田によっては,水圧入法の改良としてポリマー攻法の適用可能性はあると考えられる。英領北海において,重質油の原始埋蔵量は100億bblと評価されており,現在開発中の油田はその1/4以下である。このためEORの適用により追加埋蔵量が期待できるとの指摘がある。以下の表は,DTI資料に基づく英領北海での重質油田および原油性状のまとめである。重質/高粘度原油に対するEORと言えば,一般的には水蒸気攻法に代表される熱攻法があげられる。後述するとおり,北海油田についての熱攻法適用には基本的な条件において限界があることから,むしろこれらの油田に対してはポリマー攻法はより適用性が高いと指摘される。ポリマー攻法適用の際に考慮すべきことは油層温度と油層水中の2価イオンの濃度である。これらは共に圧入流体としてのポリマー溶液の長期安定性に悪影響を与える。2価イオン濃度表4?8 英領北海重質油田の性状 油田名 オペレータ 発見年 Alba Captai Gryphon Harding Gannet-East Mariner(M) Mariner(N) Bressay ClairChevron Texaco Kerr MacGee BP Shell Texaco Texaco Chevron BP他 1984 1977 1987 1988 1982 1981 1981 1976 1976 深度 (ft) 6,500 2,900 5,700 5,700 5,700 4,800 4,200 3,500 6,100 浸透度 (md) 3,000 7,000 10,000 10,000 870 5,000 3,000 10,000 20-50油層温度 (度F) 165 87 140 140 175 116 100 93 155比重 (API) 20 19 21 19-21 20 14 12 11-12 25粘度 (cp) 7 88 6 5-10 20 65 540 1,000 3-8流動点 (度F) -13 -16 -45 -17/-44 10 20 ? 45 -4原始埋蔵量 (百万bbl) >500 959 207 >322 132 ? ? ? ? (DTI資料に基づく)石油/天然ガス レビュー ’02・1―68―ノついてはデータがないため判断できないが,油層温度については一般的に212度F(100度C)がポリマー攻法適用限界とされる。種類によっては,ppb単位の脱酸素を行っても,175度F程度でポリマー溶液性状の長期的劣化が指摘されている。北海油田の油層温度の分布をみるに多くの油田は油層温度が212度Fを超えており,今後,耐熱安定性のあるポリマーが開発されないと,ポリマー攻法適用には限界がある。ただし,上記表の重質油田については87?175度Fと適用可能範囲にある。これらの油田の内,Captain油田においては,実際にポリマー攻法適用が検討されており,原油粘度,油層温度,油層水の低塩分濃度等からポリアクリルアマイドの使用が適切と評価され,パイロットテストの実施が検討されている。最終的な実施は経済性に依存することは言うまでもない。1990年代以降,この他にも北海油田を対象としたポリマー攻法の適用性について検討が行われているが,基本的にコアを用いた室内実験やシミュレーションによる評価に留まっている。4.3.2.界面活性剤攻法同攻法については,北海ではノルウェーGullfaks油田における単一坑井でのテストが報告されているのみで(1991),それ以外は適用されていない。Hinderakerは,界面活性剤攻法によるノルウェー北海油田の追加埋蔵量ポテンシャルを350?550千bblと見積もっているが,実際には適用されてないことの理由の一つとして,その経済性をあげている。ノルウェーでは,他のEOR手法と共に同攻法の北海油田に対する適用性を検討しており,Jakobson他は主要油田に対するモデルケーススタディーを実施している。4.4.熱攻法圧入流体により,油層若しくは油層流体を加熱し,油層流体の流動性を高めることにより回収率増加を図ることが熱攻法の基本的原理である。水蒸気攻法,熱水攻法は熱流体圧入と油層内流体との接触により原油の粘度を低下させ易動度を高める。また火攻法(油層内燃焼法)は,空気や酸素を圧入して油層内で燃焼させることで,燃焼前面での発生水蒸気,燃焼ガスによる油粘度低下・軽質化により原油の回収に貢献する。水蒸気攻法は重質油回収法として一般的な手法である。ポリマー攻法の適用性において触れた英領北海重質油田群は,油層流体性状からみて熱攻法対象となる。またこれら油田の油層性状についても,浸透率が高いことから適用性はある様に見うけられる。しかしながら実際には熱攻法の(英領を含む)北海油田への適用はない。この理由と考えられる一般的な適用上の制限として,以下があげられる。>油層深度:水蒸気や熱水を適用する場合,問題は圧入流体が対象油層に至るまでの熱損失100010010 油粘度(cp) 300040005000油層深度(ft)60007000 1200030004000500060007000油 層 深 度 (ft) 2001801601401201008060402002000油層温度(度F)図4?10:英領北海の重質油田の性状分布(右:油層温度分布,左:油粘度分布)(DTI資料に基づく)―69―石油/天然ガス レビュー ’02・1M水圧入用の施設がない場合でも生産流体分離プロセスの副産物としての熱水を使用することは考えられる。 問題は熱水と油層水の置換に伴う熱的な不安定性。 Alba,GriphoneおよびHardingといった油粘度が10cp程度,油層温度もそれ程高くない油田においては熱水攻法の効果は油層下部の水層の有無にほとんど影響を受けないが,油層厚が限られる場合は(熱損失につながり)回収率は低下する。 Captain油田は,低油層温度で,かつ油粘度も100cpと比較的高いが,同油田を対象としたスタディー結果からは熱水攻法の効果は認められないとのこと。 さらに油粘度が高い場合(?400cp)の低油層温度下での適用は,厚い水層があっても最大原始埋蔵量の18%程度の回収量が評価される一方で垂直/水平方向の浸透率によって大きな影響を受ける。 度が深い北海油田への適用は先の熱損失の観点から問題。Goodyearらの指摘では深度が深い場合には油層圧力が低下していれば適用可能としているが,この観点からだと水層からの圧力補助が充分ある油田は対象候補外。 水蒸気発生装置等の施設の増設もプラットフォーム搭載スペースに限界がある場合がある。 既存の水圧入法での坑井配置を水蒸気攻法にそのまま適用するには問題があることも指摘(坑井間隔が長すぎる)。 攻法は超高粘度の油の回収に適用されるが,一般的に燃焼の制御等の操業面において難点がある。 一部では空気圧入法が既存のガスコンプレッサー等を活用することも考えられることから安価な手法として研究されており,Surgechevらは北海油田への適用性をシミュレーションスタディー等で評価している。この結果,最終生産段階での空気圧入は効率が高く,水圧入よりも5?10%回収率が高いと評価。ただしこれは基本的な検討。 実際には燃焼に伴う腐食性生産物への施設上/坑井上の対処が必要とされることも指摘。 用性検討結果等 適 表4?9 北海油田に対する熱攻法の適用性 手 法 熱水攻法 深 同蒸気攻法 攻法 水 火 である。一般に水蒸気攻法の適用深度限界は1,000m(3,280ft)といわれる。前掲の英領北海重質油田において,深度的に条件を満たしているのはCaptain油田のみである。もっとも断熱チュービングの使用により熱効率(損失)は改善されることから,適用深度は上記限界を上回ることも可能であろうが,一般的には油層深度上,適用に限界があること。>ガスキャップや水層の存在は,油層部での熱損失につながり,さらに油層が薄い場合も熱効率的に好ましくないこと。>施設(例えば水蒸気ジェネレーター等)の増設が必要となること。また既存坑井間隔が適正かが問題となること。前掲の英領北海における重質油田を対象に,Goodyear他の検討結果を踏まえ,熱攻法手法別に適用可能性について表4?9整理する。4.5.微生物攻法ケミカルを用いたEORの場合,問題の一つはケミカルが高価であることからくる経済性であるが,この手法は特に成熟期油田においては,ケミカル攻法/油層処理の安価な代用策として注目される。ただし,実際には,英領北海の2油田(BeatriceおよびNinian油田)で適用されているという以外に,詳細についての報告はない。最近(2001年3月)の報道によると,ノルウェー北海Norne油田において,Statoilが微生物を用いた回収率増加法(同社の特許)を適用しているとのことである。同社によるとパイロットテストの結果,今後1?5年の期間において30千bblの増産が見込まれるとのこと。同技術石油/天然ガス レビュー ’02・1―70― 掃 Cはベルゲン大学およびオーストリアOMVとの共同開発である。この場合,元来海中に生息するバクテリアの原油粘度を低下させる特性を利用する。他の微生物は酸素供給で増殖し,界面活性剤の作用と同じく孔壁からの油の分離に貢献するとされている。Norne油田では海底施設にステンレス鋼が用いられており,圧入水から酸素が除去されない等,微生物の圧入に好都合である点もあり,大規模なパイロットテスト実施対象油田となっている。4.6.適用状況のまとめと今後の改善技術要素今後の英領を含む北海油田へのEOR適用に際して,下記表中に記した改善技術要素に関連して,以下の点が指摘される。1)適正なモニタリングおよび高精度モデリングに基づく油層の把握EORの技術的な成功は,油層構造,残留油分布,圧入/掃攻流体挙動の適正な把握が前提といえる。前述のとおり北海油田が油層構造的にかなり複雑であることに鑑み,適切な油層モデリングとそれに基づく挙動評価が肝要である。これは各手法に共通しての課題である。評価スタディー用のソフトウェアも10年以前と比較して大幅に改善されている。生産/圧入油層の連続モニタリングと言う点から,次ぎに触れるインテリジェントウェルや恒久ゲージの設置も重要な鍵となる。2)新たな坑井技術との組合せ水平掃攻効率の改善のための水平坑井の適用。垂直掃攻率改善のためのインテリジェントウェルの適用(モニタリングに基づく生産/圧入ゾーンの制御による掃攻効率改善)。ただし,既存井を圧入/生産井に転用する場合は新たな仕上のための改修作業が必要となる。今後表4?10 北海油田におけるEOR適用状況のまとめ手 法 水圧入 適用状況と今後の適用性等 改善技術要素 備 考 掃攻効率改善 油層管理:油層状況の把握と圧入最適化等 海底設置圧入施設 英領北海油田では6割に適用。通常採油法。確立技術として大半の場合,初期開発計画に含まれる。 水圧入後も油層内にはかなりの残油が残り,水圧入最適化を含む今後のIOR対象となりうる。 領北海では20油田に適用。 圧入ガスは生産随伴ガスが主体。 水圧入後油田象の将来のEORとして期待。 生産ガス処理上からも着目。 Magnus油田等での実施に注目。 攻効率改善 油層管理:油層状況の把握と圧入の最適化。 攻効率改善の諸圧入手法に関し追跡調査要。 英 検 適 英ス圧入 ミカル攻法 攻法 生物攻法 ガ ケ 熱 微 掃 高 基討例はあるが,実油田への適用例は限られる。 重質油田を対象としたポリマー攻法に期待。(→備考) 経済性は適用のキーポイント。 温安定性ケミカル。 安価なケミカル。 油層管理。 aptain油田への適用検討要注目。 用例なし。 重質油田等の発見・生産開始があるものの、油層深度等北海油田には適用条件上の難あり。 施設増設要/既存坑井の使用にも一部難。 多くは望めないが、空気圧入法の可能性あり。 領北海で2件、ノルウェーで1件の油田本的検討:バク適用例。 適用可能性は高いと推測。 テリアの選定等 ―71―石油/天然ガス レビュー ’02・1OR用開発井として新たな坑井の掘削が必要とされる場合は,状況および経済性に照らし合わせてこの様な坑井技術が適用されることが考えられる。3)施設面での改善プロジェクト全体としての経済性向上のための,EOR用施設の簡素・低コスト化。代表例は水圧入法で触れた海底設置施設や簡易水圧入施設の適用がある。4)実油田適用に基づく経験とノウハウの蓄積英領北海油田においては,すでに水圧入法についてかなりの蓄積がある。紹介したBrent油田における水圧入の最適化に係わる検討は,それを反映していると考えられる。一方でMagnus油田プロジェクトに代表される様な,大規模ガス圧入EORの操業に関するノウハウの蓄積はこれから。ケミカル/微生物攻法自体については適用数自体が少ないことから,今後の経験が貴重である。さらに操業/油層管理の面における業際的(Multi-disciplinary)アプローチの実践とノウハウ化が重要であろう。■参考文献・英国貿易産業省(DTI)発行:”Development of UK Oil & Gas Resources2000”(Brown Book)・Wood Macknzie:”UK Upstream Service”(Nov.1999)・Wood Macknzie:”UK North Sea Service”・Wood Macknzie:”UK Upstream Report”・Petroleum Review :”North Sea - aprovince heading for decline ?”(Sept.,2000)・Norwegian Petroleum Directorate Website資料・A. 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2002/01/30 [ 2002年01月号 ] 岡津 弘明
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