ページ番号1005991 更新日 平成30年2月16日

GTL :ガス田開発を促進するオプションとなりうるか ― GTL 燃料の市場性と課題―

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レポートID 1005991
作成日 2002-03-30 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガスレビュー
分野 非在来型技術
著者
著者直接入力 中村 新 佐藤 幹基
年度 2002
Vol 35
No 2
ページ数
抽出データ GTL:ガス田開発を促進するオプションとなりうるか―GTL燃料の市場性と課題―中 村   新,佐 藤 幹 基*天然ガス液体燃料化(以下GTL:Gas To Liquids)技術は,天然ガスの新たな利用形態として注目を浴びている。これはGTL技術がパイプライン,LNG等の既存の開発手法では開発できない埋蔵量の比較的小さい天然ガス田の開発促進に寄与できる可能性がある上に,製品が非常にクリーンであるため,今後の環境規制に適合したものであるためである。本稿はGTL技術を広義に捉え,製品としてFT合成油,DME,メタノールについて,製造技術の現状と製品の特徴及び経済性,導入に当っての課題をまとめたものである。主な結論は以下のとおりである。・現状の技術に基づきモデルを用いてCIF価格を試算し,石油製品・LPガスあるいはLNGとの代替の可能性を検討した結果,原料のガス価格が0.5?1ドル/MMBtuの範囲の場合,採算性から見て最も可能性が高いと見られるのはFT軽油,及び軽油代替,LPガス代替のDMEである。・FT軽油は油価が20ドル/bbl程度で推移すると原料ガス価格は0.5$/MMBtuでなければ採算の確保が難しいが,東京都が行っているようなクリーン燃料としての補助(10ドル/bbl;約8円/l)があれば,原料ガス価格が1.5$/MMBtuであっても十分に採算が確保できる。・製品の利用については,FT合成油は既に利用されているが,DME,メタノールについては現時点では燃料として利用されていない。これらの需要を高めるためにはコスト競争力を高めることのほか,利用技術・機器の開発,規制の整備を行う必要がある。1.はじめに天然ガス液体燃料化(以下GTL:Gas ToLiquids)技術は,天然ガスの新たな利用形態として注目を浴びている。ガス田開発の観点からは,フレア焼却ガスの有効利用,StrandedGasの開発,大規模ガス田の余剰天然ガスの利用・新たな市場の開拓,環境汚染対策等の点が,また利用者の立場からは,クリーンエネルギーであることがその主な理由である。GTL技術の開発は古く,1923年にDr. F.FischerとDr. H. Tropschが合成ガスから炭化水素が生成するフィッシャー・トロプシュ合成*本稿は石油公団天然ガス・プロジェクト企画部 中村新(E-mail:nakamr-a@jnoc.go.jp),佐藤幹基(E-mail:sato-mo@jnoc.go.jp)が担当した。(FT合成)を発見したことに始まり,商業プロジェクトとしては,南アフリカでSasolが1955年より石炭を原料としたGTLプラントが稼動し,また1992年からはMossgasが天然ガスを燃料としたGTLプラントが稼動を開始した。南アフリカ以外では,Shellが独自の技術により1993年よりマレーシアBintuluにおいて天然ガスを原料としたGTLの生産を開始している。近年GTLが急激に注目を浴びるようになったのは,Sasol,Shell,ExxonMobil,Syntroleum等によるGTL技術の革新により,液体燃料化製造コストが著しく低下してきたことによる。従来50ドル/bbl以上していた製造コストが,1990年代後半になって30ドル/bbl以下になる可能性が示されたことから,実用可能性のある技術として位置付けられるようになった。一方油価は1998年には一次10ドル/bblを切ったものの,1999年に入り30ドル/bbl以上まで石油/天然ガス レビュー ’02・3―24―sォし,その後25ドル/bbl前後で推移したことから,にわかにGTLが現実のものとなり,プロジェクト実現に向けた動きが一層活発になってきた。現在では,触媒,反応プロセスの技術革新に加えプラントの大型化によるスケールアップ効果を発揮することにより,さらなるコスト低減が図られている。とはいえ,上述した既存の商業プロジェクトはいずれも特殊な環境下(アパルトヘイトに伴う石油禁輸,パイロットプラント的操業等)で初めて成立しているものであり,必ずしも国際市場において経済的に成り立っているとはいえない。本稿では石油公団が平成12年度に実施した「各種GTL製品の製造技術の最新動向並びに市場性に関する調査(委託先:財団法人日本エネルギー経済研究所)」の結果に基づき,GTL製品(FT合成油,DME,メタノール)の市場性及び将来の課題について述べる。なお,狭義のGTL(FT合成)に関しては,GTL技術が注目される背景,技術の概要,最新動向及び経済性等について,既に本誌2001年11月号で鈴木により報告されているので参照されたい。ここでは,GTLを広義のGTLとして取り上げ,GTL製品間の比較検討により,それぞれの位置付けを明確にする。2.ガス田開発におけるGTLの位置付け天然ガスは近年クリーンなエネルギーとして注目を浴びているが,石油開発と違い,ガス田開発においては需要先の確保が重要であり,特にLNGの場合には,従来長期契約が締結され供給から需要先までLNGチェーンが確立されることが,プロジェクトの成立の前提とされてきた。また長期に安定した供給を可能にし,かつ経済性を良くするためには,ある程度以上の埋蔵量(LNGでは例えば5Tcf以上)が必要であることから,需要の確保と共に規模の大きなガス田の発見・開発が必要になる。一方,市場が確保できなくて,LNGや長距離距離パイプライン等の既存輸送技術では経済的に開発できないようなガス田(Stranded Gas)も莫大な埋蔵量があり,それをいかに開発するかが大きな課題である。また,カタールのノースフィールドのように埋蔵量が大きすぎても,需要先が確保された量以上の生産はできないことになるため,こういったものの有効利用も今後は重要になる。これらのガス資源の開発を可能にするためには,ガス田開発コストと共に輸送コストの削減が重要であり,洋上LNG生産設備の開発あるいはハイドレート輸送技術等が検討されている。GTL技術は,新たな輸送手段,市場の確保のための利用技術としてStranded Gasの開発,フレア焼却ガスの有効利用等のための手法として注目されている。GTLを目的としたガス田開発が従来の天然ガス開発と大きく異なる点は,生産したガスを,LNGを含めたガスとしてではなく,石油製品,DME,メタノール等の全く別の形態で販売することである。しかしDMEやメタノールは,燃料としての利用実績がほとんど無く,生産量が現状では市場によって制限される可能性がある。このため,上流石油会社も利用技術の開発,市場開発を行なうことが必要となると考えられる。3.GTL製品の特徴と利用可能性GTLの導入に当っての関連技術の成熟度,各GTL製品の特徴及び利用可能性は,以下のように整理される。1)FT合成油FT合成油は,硫黄分,窒素分,重金属分を含まず,また芳香族分が少ないことから,クリーンな製品として注目を浴びている。利用分野としては,ナフサ・ガソリン,ジェット燃料,灯油,軽油,ワックス等の石油製品からの代替が考えられる。他のGTL製品に比べて,商業的な実績があり,品質面での問題は無く,既存の流通インフラを使用できることから,特に石油製品と混合して利用する場合(南アフリカで混合して利用)には利用上全く問題がない。各利用分野での特徴は,以下の様に整理される。・FT軽油:自動車用ディーゼル燃料として―25―石油/天然ガス レビュー ’02・3フ利用を検討されている。セタン価が高く,硫黄分・アロマ分を含有していないことから,今後厳しくなる自動車用燃料規制に適合している1。現在流通している軽油も硫黄分を規制以下に除去することは可能であるが,その際かなりの追加投資が必要となる。南アフリカのFT軽油あるいはShellマレーシアのSMDS軽油はクリーン軽油として脚光を浴びており,欧米で単体あるいは石油製品の芳香族分,硫黄分を下げるための基材として利用されている。・FT灯油:硫黄分が少なく,煙点が高いため優れた燃焼性をもつことから,灯油代替あるいは将来的には家庭用燃料電池として利用できる可能性がある。ただし,現在の石油系灯油でも品質面で十分であることから,どの程度のプレミアムが得られるかが課題である。また南アフリカ・ヨハネスブルグ空港では石油系ジェット燃料油とGTL灯油を50:50で混合したジェット燃料が利用されており,スウェーデンのように灯油需要が少ない国では軽油に混合して軽質化用に使用されている。・GTLナフサ:石油化学用原料として,また燃料用電池燃料,低硫黄かつ芳香族分が少ないことから燃料電池自動車用ガソリンの基材として有望と見られる。ただしオクタン価が低いため,既存のガソリンの内燃機関と併用するためにはアルキレーションなどによりオクタン価を高める必要がある。・ワックス:クリーン,高性能という特性を生かした市場があるが,規模が限られており,ShellマレーシアのGTLプラントから生産されるワックスでほぼ充当されている。FT合成油の市場は,石油系製品の市場として十分な規模がある。GTL製品としての優位1日本では,硫黄分を現行の規制が500ppmから2004年末までに50ppmに削減される。米国では2006年9月までに15ppm以下に規制される。また,芳香族分やディーゼルエンジンからの粒子状物質(PM)排出量抑制等が求められている。2仮に天然ガスの生産量が100MMcf/d規模のプラントを建造すると,年間約870千トンのDMEが生産可能。性を考慮するためには,試験的な導入等による市場拡大が必要である。日本でも平成13年にマレーシアからのFT灯油4,500klがプレミアム付きで試験的に販売された。現状技術の成熟度は,以下のように整理される。・製造技術:商業プラントとしての実績がある。ただし,国際市場での石油製品との競争力を得るためには,技術革新,スケールアップ等によるさらなるコスト低減が必要である。現在稼働中のプラントの規模は以下のとおりである。?Sasol(南アフリカ):SasolⅠ(5,700b/d),SasolⅡ&SasolⅢ(100,000b/d)?Mossgas(南アフリカ):生産量30,200b/d?Shell(マレーシア):生産量12,500b/d・輸送技術:石油製品と同じであり,確立されている。・利用技術:石油製品との混合利用では全く問題ない。単独使用にあたっても,基本的に新たなインフラ整備・利用技術の開発を要しない。但し専用のタンク,輸送手段は必要である。FT合成油と一般原油との性状比較を表1に,現在GTL事業を行っている各社のFT合成軽油の代表性状と一般的な軽油(JIS2号)との性状比較を表2に示す。2)DME(ジメチルエーテル)DMEは化学式がCH3OCH3で表される最も炭素数の少ないエーテル化合物である。DMEは常温常圧で無色の気体であるが,常圧で?25℃に冷却するか,または常温で6気圧程度に加圧することで容易に液化できることから広義のGTLの範疇で考えることができる。現在の市場は,フロンガス代替用のスプレーの噴射剤等の化学品に限られ,年間の市場規模が日本で約10千トン,世界で150千トンと極めて少なく,今後普及させるためには燃料としての新たな需要の確保が不可欠である2。石油/天然ガス レビュー ’02・3―26―\1 Sasol・SSPD(Sasol Slurry Phase Distillate)プロセスによる一次生成物の性状 FT合成油 アラビアンライト ブレント スマトラライト PI比重 A硫黄分 ppm 窒素分 ppm 流動点 ℃ 軽油留分 Vol % 重質油分 Vol %(出所)Thi Chang, New JV markets one-stop GTL package, Oil & Gas Journal, Dec. 18, 200032.3 19,000 1,100 ?18 46 4238.3 4,000 1,300 ?45 49 3746.5 <10 <10 60 52 4035.0 <1,000 1,200 38 40 52市販軽油 JIS2号 3.50 73 350 26.7 56 174 277 333 360(注)Mossgasの軽油はコンデンセートを混合している関係から芳香族分が比較的高い値を示している。 (出所)Gary Grimes, Proceedings of Gas-To-Liquids Processing 94, May17-19, 1999     I. T. van Herwijnen, Proceedings of the Gastech 94, Oct.(1994)     P. W. Shchaberg et. al., Sasol Oil(Pty)Ltd等より作成 DMEは硫黄分を含まずクリーンなエネルギーであるとともに,性状がLPガスに似ておりLPガスのインフラが利用できる可能性があることから,LPガス代替燃料あるいは軽油代替燃料(ディーゼルエンジン用燃料)としての研究開発が進められている。一方で後述するとおり,FT合成油に比べて解決すべき課題も多い。わが国では,多くのグループが事業化に向けた調査,検討を実施している。この中で2001年には事業化検討会社が2社設立され,2006年頃からのDMEの導入を目指している。日本DME㈱ :三菱瓦斯化学㈱,日揮㈱,三菱重工業㈱,伊藤忠商事㈱デーエムイーインターナショナル㈱:NKK,豊田通商㈱,㈱日立製作所,トタールフィナエルフ,丸紅㈱,出光興産㈱,国際石油開発㈱,日本酸素㈱DMEの用途としては,発電用,民生用,ディーゼルエンジン用,燃料電池用等に利用できる可能性がある。LPガス代替としてDMEの導入が可能になれば,産油国の一方的なLPガス価格決定に対する抑制効果をもたらすものと期待される。また,DMEはセタン価が高く,炭素?炭素結合を含まないため,ディーゼルエンジンに利用した場合には粒子状物質(PM)が―27―石油/天然ガス レビュー ’02・3表2 各社のFT合成軽油の代表性状 Mossgas 輸出用軽油 SMDS合成軽油 Shell Sasol SSPD軽油 2.8 88 <3 <0.1 80 201 219 271 353 3582.43 71 10 2.68 >73 189 209 256 331 3563 91 <10 20 52 340cSt ℃ ppm Vol % ℃ 粘度 40℃     30℃ 引火点 硫黄分 芳香族分 セタン価 蒸留性状 IBP 5% 50% 90% 95% EP 動wど出ないことから軽油の代替としても有望である。ただし,実用化にはもうしばらく時間を要するものと予想される。現状技術の成熟度は,以下のように整理される。・製造技術:基本的に化成品用の製造技術は確立されているが,燃料用としての使用実績は無い。燃料用として製造する場合には,大量かつ安価に製造できる技術の確立が必要である。・輸送技術:LPガスの輸送技術の応用となる。・利用技術:燃料として利用するにあたっての燃焼性等の特性がまだ十分把握されていない。また,燃料として使用するためのインフラ整備・利用技術の開発が必要であり,燃料としての製造スペック,安全性の確認,使用基準の確立等解決すべき課題は多い。LPガスのインフラを転用・共有できる可能性があるが,シール,ホース等の配管材料に対する膨潤性等の問題点がある。DMEと他の燃料との物性比較を表3に示す。3)メタノールメタノールの需要はほぼ一貫して増加傾向にあるが,新規プラントの稼動開始が1997年以降続いており,供給は過剰となってきている。1998年の世界の生産能力は35.6百万トンで,需要は25.6百万トンである。日本の需要は1.9百万トンで全て輸入しており,主たる輸入元は中東,オセアニアである。近年はプラント規模の大型化が進み,天然ガス価格が高騰していることもあり,小規模プラントの休止が相次いでいるが,供給過剰を解消するほどの規模にはなっていない。メタノールは,それ自体が化成品として消費されるが量的にはごくわずかであり,大半はホルムアルデヒド,MTBE,酢酸等さまざまな化成品の原料として消費されている。燃料用としてはボイラー用燃料,自動車用燃料等の利用が考えられるが,ボイラー用燃料としては発熱量が低い等から普及が進んでいない。自動車用燃料としてはオクタン価が高いものの発熱量が低いので燃費が悪くなる傾向がある。また,セタン価が5程度と低いのでディーゼルエンジンには向かない。メタノール自動車はわが国では低公害車に区分されているが,取扱時に毒物・劇物取締法の規制を受けることもあって普及が進んでいない。メタノールの市場はある程度の規模があり,地域的な需要が確保されれば小規模なものは立ち上げ可能であるが,積極的に天然ガスを利用表3 DME及び関連各種燃料の物性比較 項  目 DME プロパン CH3OCH3 46.07 ?25.1 0.67 1.59 111.7 6.1 49 235 C3H8 44.09 ?42.0 0.49 1.52 101.8 9.3 41 457 ブタン C4H10 58.12 ?0.5 0.57 2.00 92.1 2.4 38 430 メタン メタノール CH4 16.04 ?161.5 ― 0.55 121.9 246 36 540 CH3OH 32.04 64.6 0.79 ― 262.0 ― 52 464 軽油 ― 170?200 180?370 0.84 ― 60.0 ― ― 316 3.4?18.6 55?60 14,200 6,880 4,6002.1?9.5 1.9?8.4 5.0?15.0 7.3?36.0 5 21,800 11,100 5,45010 28,300 10,930 6,2300 8,600 12,000 5,1805 ― 4,800 3,7701.0?6.0 40?55 ― 10,000 8,530化学式 分子量 沸点(℃) 液密度(g/cm3,20℃) ガス比重(対空気比) 蒸発潜熱(kcal/kg) 飽和蒸気圧(気圧,25℃) 最大燃焼速度(cm/sec.) 発火温度(℃) 爆発限界(%) セタン価 低位発熱量(kcal/Nm3) 低位発熱量(kcal/kg) 低位発熱量(kcal/L,液) 石油/天然ガス レビュー ’02・3―28―キるという観点からは燃料電池等の新たな利用技術の確立による新規需要の確保・拡大が必要である。現状技術の成熟度は,以下のように整理される。・製造技術:製造技術は確立されている。・輸送技術:確立されている。・利用技術:利用技術は既にあるが,多量の需要を確保するためには,燃料電池等の新たな利用技術の開発が必要である。燃料電池自動車用燃料としては,ダイムラークライスラーは実用化に近い車両を完成させ,各国で走行試験を行なっている。ただし,トヨタ,GMのグループは燃料電池自動車用の燃料としてガソリンの利用を考えており,わが国では経済産業省を中心にガソリン等の石油系燃料を推す声が強い。4.GTL導入上の課題1)FT合成油製造・利用の点で,技術的な大きな問題はほとんど無い。石油系燃料との競合においては,コスト低減が最も大きな課題である。クリーン燃料としての優位性により,プレミアムが期待できる,あるいは環境対応の観点から政策的に導入される場合には,早期の導入可能性が高い。その他の課題としては,以下のようなものがあげられる。・エンジン用の燃料としては,硫黄の含有量が低いため潤滑性に劣る。添加剤による潤滑性の向上は可能であるがコスト高になる。・FT合成軽油は,ゴムに対する膨潤性が低い。2)DMEDMEを実際導入する際には,技術面・経済面・インフラ面など様々な課題を解決する必要がある。今後検討すべき主な課題としては,以下のようなものがあげられる。・LPガスの代替燃料として利用する場合の,流通インフラ・規制の整備及び導入に伴うコスト,LPガスとの混合利用における問題の有無等。・潤滑性の改善とシール設計における配慮。・利用機器の改良・開発。・安全性の確保,関連法規制,労働環境濃度基準・消防法上の届出基準等の整備。・DMEは単位重量当りのエネルギー密度がLPガスの1.6分の1(単位容積量当りは1.18分の1)であるため,輸送等のコストがLPガスに比べて高い。・ボイラー燃料として使用する場合,過熱器(スーパーヒーター)の改良・ガスリーク防止・再液化防止・防爆などの対策。・電力用燃料として有効に活用するためには,熱効率の向上,排熱エネルギー回収技術(増熱効果)の確立。・DMEエンジン自動車のコスト低減,DMEスタンドの設置等の流通システム・インフラ整備。・燃料電池用燃料として利用する場合は,改質器性能の向上・高出力密度化・燃料の電解質膜透過抑制・水バランスと熱効率向上が課題。当面認識されている課題について表4に要約する。3)メタノールメタノールの場合は,技術的には確立されており,メタノールガスタービン発電,燃料電池,メタノール自動車,一部実用化あるいは実用性が確認されているといえるが,コスト競争力が問題である。その他の課題としては,以下のようなものがあげられる。・メタノールは化学用としての比較的高めの価格形成が完成しており,燃料用メタノール独自の価格形成は困難。・メタノールは熱量当たりでLNGと比較して常に高値であり価格の変動幅も大きいため,燃料として競合は困難。・メタノールの燃料電池自動車用燃料としての課題は,高出力化・小容積化・軽量化による出力当たりのコスト低減が必要。・他の低公害車と競合。・メタノールスタンド等のインフラ整備。・メタノールを輸送用燃料として普及させる―29―石油/天然ガス レビュー ’02・3)LPガス代替   一般工業   (産業)用 熱器・燃焼器の改良開発 表4 DME導入上の課題 技術面 経済面 インフラ面 法規制面 品質面 MEは日本着の輸入価格で大幅な優位性があり,設備改造費用を含めても競合可能 MEロジティックスの確立,設備改造を含む流通インフラの整備 槽の保安距離・埋設等LPガス並みの規制緩和と適用関連法規の整備 品としての品質標準化と規格化  散布発電用 上 境コスト面でも上 製 同 同 同 同 同 同 製 製上 上 上 上 上 貯 同 同 同 同 同 同 同 同上 上 上 上 上 上 上,並びに製造されたSNGの品質規格化 上,また,運転時の健康安全性に関する自動車構造取扱基準を作成 品としての品質標準化と規格化。また,低粘性・低潤滑性向上添加剤の標準化も必要 上 品としての品質標準化と規格化 上,特に自動車ユーザー利便性から,相当数のスタンド必要 ・ガソリンスタンド併設 ・LPガススタンド併設 ・DME単独設置 を検討 上 同 D 同 同 同 同 同 同 同上 上 上 上 上 生用のコンロの空気量調節とノズル径の改良 上,ただ流通チェーンの長さの認識必要 Pガスとのブレンド使用の技術確証 上,ただ競争激化市場への参入認識必要 熱器・燃焼器の改良 開発,ガスクリーク・再液化防止,防爆対策,気化器圧縮機の変換等 の燃料に比べ,脱硫装置等不要で設備面での優位性はある。LPガス代替用はLNGの価格次第 優位 環スの燃焼性,燃焼器への適合性,加圧圧送時の露点などの問題 Pガス代替同様,優位性はある。ただ,発熱量が低いため数量的対応必要 Pガス原料代替としてのSNG製造実証試験及びDME原料用SNG製造プロセスの触媒寿命試験の実施 Pガス代替同様,優位性はある。ただ,SNGの生産効率が低下するデメリットを考慮する必要がある 油燃料自動車の燃料供給系・噴射系・燃焼系及び浄化装置等の改造,排気再循環・吸蔵還元触媒等の後処理技術の採用 MEの輸入コストHに優位性がある限り,種々のコストアップ要因を吸収し,環境メリット含め総合的に競合可能 D 同 同 他 L L D 他 加 民 L 過 同 ガ L 軽 改 家庭・業務用 自動車用 2)電力用   火力発電用 3)都市ガス用   増熱用 SNG用 4)軽油代替 ( ( ( ( (        5)燃料電池用 質器性能の向上,高出力密度化・燃料の電解質膜透過抑制・熱効率向上 の競合燃料と匹敵する価格システムの調査検討が必要 ための法制面の問題点は,厳しい規制・義務が発生。・「毒物及び劇物取締法」により劇物に指定されているため,燃料油の販売と比較して・標準品質規格の設定と認定・維持制度の整備が必要。石油/天然ガス レビュー ’02・3―30―E税法(課税)の整備が必要3。・備蓄義務の検討が必要。5.GTLの経済性評価GTL燃料は,一般に石油系燃料よりコスト高になる。特性上優位性があるが,それがどの程度付加価値をつけられるかが導入の鍵になる。GTLの経済性を評価するために,FT合成油,メタノール,DMEの各々についてプロセスを選定し,天然ガスの液化から海上輸送を含めた経済性評価モデルを構築し,CIF価格で評価した。1)評価方法・本検討の範囲は,天然ガス?液化?海上輸送までとし,この3つの各段階と,その総合としての日本着のCIF価格で評価した。・3種類の製品を同じレベルで比較検討するために,通常行われている単位熱量当たりの価格(米ドル/MMBtu)を算定した。2)経済性評価モデル天然ガスをベースとし,各液化プロセスで製造されたFT合成油,DME,メタノールの経済性を比較するために次の評価モデルを採用した。(1)天然ガス部分:・原料ガス価格を0.5 /0.75 /1.0 /1.5ドル/MMBtuの幅で変化させた。・容積当たりの発熱量(Btu/scf)はガス組成により若干異なるが,本検討では1,050Btu/scfとした。従って,容積当たりの発熱量が違うガスを対象とする場合は,必要熱量(絶対量)を正としてガス量を逆算することにより対応する。(2)液化プロセス部分:/操業費)等を推定し,DCF計算(Discounted Cash Flow)により税引き後のROI=10%を確保するような製品FOB価格を求めた。・基本となるプラント規模(ベースケース)は,現在の技術レベルで一番現実的かつ競争力のあるプラントの規模とし,下記のものを採用した。eFT合成油:19,000 b/d(1系列)eDME:5,000 t/d(1系列)eメタノール:2,500 t/d(1系列)(3)海上輸送部分:・東南アジア?日本間,距離5,000kmとした時の単位発熱量当たりの輸送・保険コスト(ドル/MMBtu,高位発熱量ベース)をFT合成油/DME/メタノール毎に設定した。①FT合成油:0.39ドル/MMBtu一般のナフサ・タンカー相当で輸送するものとし,公表された試算値および市場価格の両方を加味し設定した。②DME:0.42ドル/MMBtuDMEの物理的特性はLPGに極めて近い。このためDMEの輸送には,冷凍・常圧の大型DME専用タンカーを新造船するか,あるいは既存LPG船(冷凍・常圧)を一部改造し転用する事になる。今回の経済性試算では60,000 DWT規模のDME専用輸送船を新造するベースの値を採用した。③メタノール:0.91ドル/MMBtuメタノールは一般に,30,000?40,000DWTの常圧・常温タンカーで海上輸送されているため,今回試算では現行の通常タンカーサイズ,即ち30,000 DWTベースの価格を採用した。・各FT合成油/DME/メタノール製造のための液化プラントのCAPEX/OPEX(設備費3)選定プロセスと基本生産能力(1)FT合成油:3揮発油及び軽油にはそれぞれ道路特定財源としてガソリン税(揮発油税48.6円/L及び地方道路税5.2円/Lを合わせた53.8円/L)と軽油引取税(32.1円/L)が石油消費税として課せられている。現在燃料用メタノールについては低公害車普及推進の観点から未課税となっているが,燃料として普及させる場合,コスト競争力を持たないメタノールに対しての取り扱いが問題となる。・選定プロセス:Malaysiaで12,500b/dの建設実績のあるShellのSMDSプロセスを想定した。・基本生産能力:19,000b/d,1系列をベースケースとした。また,ベースケース以外の9,500b/d,50,000b/d規模のプラントコ―31―石油/天然ガス レビュー ’02・3Xトも,同様に積み上げベースで別途算出した。製品として今回はFT合成油のみを作る単純化したプラント構成とした。(2)DME:・選定プロセス:DMEを製造するプロセスとしては,合成ガスから作ったメタノールを更に脱水してDMEを作るDME間接製造法と,合成ガスから直接DMEを作るDME直接製造法があるが,今回は経済性の観点からDME直接製造法を対象とし,技術的に確立しかつ大型商業化検討の一番進んでいるHaldor Topsoeのプロセスを想定した。・基本生産能力:既に商業化検討を実施したオーストラリアの2ヶ所のメガ・メタノール・プラント(5,000t/d)の計画を発表したLurgiのプロセスを想定した。・基本生産能力:現時点でのWorld-scaleプラントのベンチマークである2,000?3,000t/dのうち,平均的なものとして2,500t/dを採用した。4)感度分析上記基本的与条件から求めたものをベースケースとし,下記の項目に関しては感度分析のために数値を変動させた。・天然ガス価格:5,000t/dをベースケースとした。(0.5 /0.75 /1.0 /1.5ドル/MMBtu)(3)メタノール:・選定プロセス:大規模装置であることを考慮し,以下の理由から2段改質法(Two-step Reforming Approach)を検討対象とした。・従来,天然ガス・ベースのメタノール製造は水蒸気改質法による合成ガスを原料として行われてきたが,一般に水蒸気改質法の弱点としては,余剰の水素が発生するために下流の合成ガス圧縮機や,その他の機器のサイズが大きくなること,余剰の水素リッチな合成ガスを燃料として使うという不効率さがある。・化学量論的な合成ガスができることで熱効率を高くできるとともに,合成ガスの成分(H2/CO/CO2等)の過不足がないため外部との出入りがないこと,このためにStand-aloneのプラントとして適する,特に僻地での立地に適する。・必要なプロセス水が少ない。・Reformerの運転圧力を高くすることで改質装置を小型化でき,競争力のある合成ガス製造設備が可能となる。・1系列当たりのメタノール製造能力が最大10,000t/dと極めて大きく,このため規模の拡大効果が期待できる。・2段改質法をベースにした代表的メタノール・プロセスのうち,現在商業実績が6基と一番多く,一昨年初めにトリニダッド,・ターン・キー・コスト:(ベースケース→?10%,+10%)・税制:(35%→25%,45%)・プラント規模GTL(19,000b/d→9,500b/d,50,000b/d)DME(5,000t/d→2,000t/d,7,000t/d)メタノール(2,500t/d→5,000t/d,9,000t/d)5)経済性評価結果(1)事業投資額上記前提に基づくFT合成油,DME,メタノールプラントの総事業投資額(単位:百万ドル)を表5に示す。(2)GTL製品価格評価結果GTL製品価格評価結果を表6に示す。なお,FT合成油プロセスからの製品組成としては,軽油生産を最大とするケース(ナフサ:15%,灯油:25%,軽油:60%)を想定し,その合成コストとして示している。GTLのコストを評価する手法として,これらの価格に対してGTLのCIF価格が価格的に競合し,代替として輸入され得るか否かを判断することとした。①輸入石油製品・LPガスあるいはLNGのCIF価格は,わが国が輸入する原油のCIF価格と一定の関係にあると仮定し,1996年4月から2000年12月までのこれらのCIF価格実績に対して輸入原油CIF価格との回帰石油/天然ガス レビュー ’02・3―32―\5 各プロジェクトの総事業投資額(単位:百万ドル) 生産能力 立地 FT合成油 19,000b/d DME 5,000t/d メタノール 2,500t/d 東南アジア立地 プラント・コスト オーナーズ・コスト 初期運転資金 資金調達関連費用(100%自己資金ベース) 建中金利(100%自己資金ベース) 総投資額 (注)オーナーズ・コストとはプロジェクト着手から商業生産開始までに必要とされるオーナー(事業者)側535.6 28.8 17.5 0.0 0.0 581.9536.0 34.0 16.0 0.0 0.0 586.0285.7 24.8 10.0 0.0 0.0 320.5 1.50 38.8 34.0 33.3 154.4 134.9 123.2 176.1 153.1 147.1天然ガス価格 ドル/MMBtu 0.75 32.2 27.2 26.6 128.6 108.8 97.8 142.9 120.2 114.5 1.00 34.4 29.4 28.8 137.0 117.6 106.2 154.0 131.6 125.6 0.50 30.1 25.1 24.5 120.2 100.6 89.0 132.2 109.4 103.5 単 位 9,500b/d 19,000b/d 50,000b/d 2,000t/d 5,000t/d 7,000t/d 2,500t/d 5,000t/d 9,000t/dドル/bbl ドル/bbl ドル/bbl ドル/t ドル/t ドル/t ドル/t ドル/t ドル/tT合成油 Fタノール メME Dで発生するコスト。 表6 各種GTLの輸入CIF価格 分析を行い,今後予想される20ドル/bbl程度の原油価格水準におけるCIF価格を想定した。原油価格が20ドル/bbl,25ドル/bblである場合に,回帰分析の結果得られたそれぞれの想定CIF価格は表7に示す通りである。②GTLのCIF価格については,ベースケース(GTLプラントの能力をFT合成油19,000b/d,メタノール,DMEの生産能力をそれぞれ5,000t/dとした場合)の価格を採用した。なお,メタノール,DMEについてはLNG,LPガス,軽油のそれぞれに熱量等価で換算を行なった。換算結果を表8に示す。検討の結果を表9にまとめる。表中◎は原油価格20ドル/bblの環境下で導入が十分に可能であると判断されるもの,○は採算ぎりぎりであり,判断の境界上にあるもの,△は原油価格が―33―石油/天然ガス レビュー ’02・3表7 各種代替燃料候補の輸入CIF価格(計算値) ナフサ ガソリン 灯油 22.8 27.4ドル/bbl 27.5 32.128.1 34.3軽油 28.4 34.8LPG LNG ドル/t 243.0 295.7190.4 220.4油価格 20ドル/bbl      25ドル/bbl 原\8 メタノール,DMEの熱量換算価格原料ガス価格 ドル/MMBTU 0.5 0.75 1.0 1.5 0.5 0.75 1.0 1.5輸入CIF価格 軽油 代替燃料候補 LPG LNG ドル/トン ドル/BBL ドル/トン ドル/トン 100.6 108.8 117.6 134.6 109.4 120.2 131.6 153.128.0 30.3 32.7 37.4 21.2 23.3 25.5 29.6230.6 249.3 269.5 308.4 174.5 191.6 209.7 244.1251.6 272.0 294.0 336.5 190.3 209.0 228.8 266.2タノール DME メ表9 GTLの導入可能性(まとめ)25ドル/bbl以上であれば採算が合うが,20ドル/bblに低下すると採算が合わないものを示している。今回検討に用いたのはGTLと代替燃料候補との価格差だけであり,例えばFTガソリンの場合,石油系ガソリンと同等の品質にするには更に精製コストが必要になるが,GTLの品質や導入に際して必要な設備の改造コストなどは配慮していない。したがって,単純に表の結果から判断することは出来ないが,油価が20ドル/bbl程度の水準で推移するとの想定のもとで得た結論は概ね次の通りである。・原料のガス価格が0.5?1ドル/MMBtuの範囲の場合,採算性から見て最も有利と見られるのは軽油代替,LPガス代替のDMEである。ただ,LPガス価格は原油価格と乖離したCP価格で定められているため,更に検討が必要である。・FT合成油ではガソリン,灯油の採算性が高いが,ガソリンは品質的にはオクタン価が低いと見られることから,精製処理コストも加味した検討が必要である。・FT軽油は,石油系軽油と品質が同一と見なされる時には,油価が20ドル/バレル程度の水準で推移すると,原料ガス価格が0.5ドル/MMBtu程度でなければ採算の確保が難しい。ただし東京都が行っているように,クリーン燃料としてのプレミアムが10ドル/バレル(約8円/l)程度与えられると,原料ガス価格が1.5ドル/MMBtuであっても十分に採算性が確保できる。6.GTLの市場性以上の調査結果を総合してGTLが当初どのような市場において受容されるかを検討した。検討の際には,導入分野の市場規模も考慮した。評価の前提として,新設するGTLプラント石油/天然ガス レビュー ’02・3―34―フ能力をFT合成油19,000b/d,メタノール,DMEの生産能力をそれぞれ5,000t/dとした(参考:必要ガス量はFT 159MMcf/d,DME207MMcf/d,メタノール161 MMcf/d)。このときの年間生産量は表10に示すようにFT合成油約103万KL,DME,メタノールはそれぞれ170万トンである。各GTLが導入される可能性のある市場分野を表11にまとめる。メタノール,DME,FT合成油のそれぞれについて導入市場の概要を以下に示す。・FT軽油は最も有望であり,今後軽油の規格が強化される中でFT軽油は益々脚光を浴びるものと予想されるが,クリーンな特性を活かすためにもシティー軽油として早期に導入することが求められる。FTナフサ,FT灯油は価格次第では石油系ナフサ,灯油と代替して導入が行われるものと見られる。・DMEはLPガスよりも安価で導入が可能と見られることから,既存のLPガス利用からの切り替え,あるいは燃焼がクリーンであるという特性を活かして石油系燃料からの切り替えが進展するものと思われる。セタン価が高いことからディーゼル燃料としての特性も優れており,エンジンの技術開発等が進展することが期待される。・メタノールは価格的に競争力が低く,法制表10 GTLの年間生産能力 FT合成油 19,000B/D 1,027 千 KL メタノール 5,000 トン/D 170 万トン DME 5,000 トン/D 170 万トン 間生産量 年(軽油換算 1.396 千 KL) (LNG換算 98 万トン) (LPG換算 107 万トン) (注)換算は真発熱量ベース,DME6,900Kcal/Kg,メタノール4,800Kcal/Kg,LNG12,000Kcal/Kg,LPG11,000Kcal/Kg,ナフサ 154 千 KL 灯油 257 千 KL 軽油 616 千 KL(軽油換算 971 千 KL) (LNG換算 68 万トン) 軽油8,400Kcal/L表11GTLの市場性(まとめ)―35―石油/天然ガス レビュー ’02・3ハにおける制約とも相俟って著しく導入が進展すると見るのは難しい。改質の容易さという特性を活かした分散型発電用,あるいは自動車用燃料電池の開発動向が鍵となる。7.まとめFT合成油は既に述べたように,実用段階にあるといえ,特に軽油の市場で有望であると評価された。ただしコスト面から直ちに急激な需要の伸びが期待できる状況にはない。混合基材として利用する場合,使用上の問題は無いが大きなプレミアムが得られるとは考えにくい。また,単独で使用する場合には,価格面でのどの程度の優位性が得られるか,既存の燃焼機器等との相性はどうか,どのようにして一定量の需要を確保するかが当面の課題である。現在計画中の多数のGTLプロジェクトが2006年頃から本格的な稼動を予定しており,それまでの間,今後ますます厳しくなる排気ガス規制・環境規制等に対応するため,クリーンな燃料が強く要望される中で,いかに市場を確立し,プレミアムを確保していくかが重要である。そのためには,さらなる技術革新によるコスト低減を図ると共に,試験的な導入を図ることが重要である。また当面は政策的な助成等も必要となろう。DMEは,産業用燃料の市場分野で有望であると評価された。ただ,FT合成油の場合に比べて,燃料として利用するためには解決すべき課題が多く,当面燃料としての実績を積むことが必要である。また同様に一定量の需要の確保が問題である。本格的な導入のタイミングはFT合成油より遅れると考えられる。当面の目標としては,日本DME㈱等が導入を予定している2006年であろう。取り組むべき課題は多いが,官・民各業界が一体となり,利用技術の研究開発,導入に必要な関連基盤の整備等を着実に行っていくことが必要である。DMEはFT軽油のような品質面での格差,優位性を活かす部分が少ないため,既存のLPガス需要家からの切り替えを前提として,一定量の産業用燃料としての需要を確保することが先決となる。逆にDMEプラントの立ち上げが先行する場合には,図12FT軽油導入のタイムスケジュール 石油/天然ガス レビュー ’02・3―36― 図13DME導入のタイムスケジュール 当面インドあるいは中国等の既存のLNG市場が発達していない地域を視野に入れた対応も考慮する必要があろう。メタノールは,価格的に競合が厳しいという評価が得られた。実用の点では既にわが国でメタノール自動車としての導入がなされ,全国にメタノール供給用エコステーションは10ヶ所存在するが,メタノール自動車は200台程度しか無いため,いずれの設備も休眠状態にあるのが現状である。将来需要としては,燃料電池自動車用燃料としての技術開発の状況を注視する必要がある。これら既存のメタノール供給インフラを活かして燃料電池自動車の試験的導入を実施し,性能の確認,流通面での問題点の把握を行い,対応策の検討を行なうことが可能であろう。なお,このような試験の実施に当たっては,当面各エコステーションの運営に採算性が期待できないことから,国あるいは地方自治体の導入インセンティブが要望される。依然多くの課題があるものの,GTLは莫大な埋蔵量を有する天然ガスをエネルギー資源とし利用する上で有効な手段であり,長期的には必ず実用化の必要な技術であるといえよう。そのためには,製造コストの削減,利用技術の確立に向けた研究開発が引き続き必要であると共に,導入に向けた基準,インフラ,法規制等の実用化基盤整備を着実に行っていくことが必要である。一方,短期的には試験的な導入等による市場の確立に向けた努力が必要になる。ガス田開発の観点からは,GTLによるガス田開発に際しては,ある程度の長期にわたる需要確保が必要であり,日々技術革新が行われている中においては,プロジェクト立ち上げのタイミング,規模,使用技術(ライセンサー),GTL製品の選択等は重要である。他方,ファイナンスの確保も必須である。またプロジェクト期間にわたって競争力を持つためには,将来の新たな技術の導入によるコスト低減,FT合成油の場合には製品の多様化といったフレキシビリティも考慮することが重要であろう。参考文献1.平成12年度石油公団委託調査「各種GTL製品の製造技術の最新動向並びに市場性に関する調査」報告書 平成13年2月28日(財)日本エネルギー経済研究所2.鈴木信市:未開発ガス田を市場に導く石油公団GTL技術開発,石油公団 石油/天然ガスレビュー,Vol.34,No.6,平成13年11月―37―石油/天然ガス レビュー ’02・3
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2002/03/30 [ 2002年03月号 ] 中村 新 佐藤 幹基
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